月曜日, 12月 29, 2025
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道路工事中に重機と接触 歩行者の胸骨にひび つくば

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つくば市役所

つくば市は15日、市が発注した同市栗原の道路改良工事で、12日午後4時35分ごろ、道路工事現場に歩行者の60代男性が入り、重機のショベルと接触して胸骨にひびが入るけがを負ったと発表した。

市道路管理課によると、歩行者の男性は散歩中で、業者が道路を通行止めにして工事をしていた。工事現場のバリケードに50センチ程度の隙間があったことから、通れると思って男性がバリケード内に入ったところ、重機が左に旋回し、ショベルが男性の胸に当たって、後ろに倒れた。

男性は救急車で病院に搬送され、胸骨にひびが入っているのが分かった。入院はせず、その日のうちに帰宅したという。

市によると、バリケードに隙間があったほか、現場に「工事関係者以外立ち入り禁止」の表示がなかったこと、交通誘導員は配置されていたが注意を怠り男性に声掛けしなかったこと、さらに重機を運転していた作業員も注意が不足していたことが原因としている。

けがをした男性に対しては、工事の受注業者が謝罪、さらに補償についても業者が対応するとしている。

再発防止策として市は受注業者に対し、工事現場の交通規制方法の再確認のほか、道路誘導員と作業員に安全対策の再教育をするよう指示すると共に、現在、市の工事を受注している全ての業者に対して安全対策に関する指導を徹底するとしている。

事故当時の状況に誤り

【3月5日訂正】つくば市は3月5日、事故当時の現場の状況について誤りがあったと発表した。2月15日の発表時点では、工事業者は現場を通行止めにして工事を実施し、現場のバリケードに50センチ程度の隙間があったと広報したが、再度、状況を確認した結果、事故発生当時は、重機の出入りのためバリケードが一時撤去され、通行止めの状態ではなく、通行止めの看板についても被害男性が歩いてきた方向からは確認できない状況だったとした。

市道路管理課によると、2月17日に被害男性の自宅で同15日付の事故の広報について説明したところ、被害男性から、事故当時の状況が異なる内容で発信されているとの申し出があった。同課が工事受注業者に再度確認したところ、被害男性の申し出通り、誤っていたことが分かったとしている。

市は誤った内容を広報してしまったことに対し被害者に謝罪すると共に、工事業者に対し正確に状況を報告するよう求めたとしている。

災害時の迅速な初動対応へドローン購入 土浦市新年度予算案

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2024年度当初予算案を発表する安藤真理子市長=土浦市役所

土浦市の安藤真理子市長は15日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比2.6%増の567億3000万円、特別会計などを含めた総額は同2.1%増の989億4000万円となる。主な新規事業は、水害や土砂災害発生時などに素早く初動対応ができるよう、俯瞰(ふかん)的な視点で情報を収集するため、消防本部がドローン1基を購入するほか操縦者の育成などを進める(2145万円)。

一般会計は過去4番目、総額は過去3番目に大きい額となる。3月5日開会の同市議会3月定例会に提案する。

モール505 歩行空間を再構築へ

中心市街地では、つくば科学万博が開催された1985年に高架道と併せて整備され、現在は空き店舗が目立つ土浦駅西口近くの川口ショッピングモール505について、街路空間を、人々が集い多様な活動を繰り広げる場にしていく「ウォーカブルシティ」の取り組みを国交省などが推進していることなどから、650万円を計上し、安全で魅力ある歩行空間の再構築に向け構想案を策定する。

つくばエクスプレス(TX)県内延伸構想の具体化に向け県が検討を始めたTX土浦駅延伸に向けては、昨年9月、国交省の準備段階調査箇所に採択された常磐道・土浦スマートインターチェンジ(IC)整備と併せ、交通ネットワークの形成を見据えて、約850万円を計上して沿線開発候補地となる可能性調査などを実施する。

常磐道・桜IC周辺の開発については、産業発展を促す拠点整備に向けて、23年度に地権者組織の発起人会が立ち上がったことから、24年度は6394万円を計上し、組合の前身となる準備委員会の設立に向けて地権者の合意形成を図るほか、詳細な事業化検討調査を実施する。

コミュニティバスの実証運行については8368万円を計上し、21年10月に運行を開始した中村南・西根南地区と22年10月運行開始の右籾地区に加えて、24年度は新たに乙戸南地区と並木・板谷地区で実証運行を開始する。

ヤングケアラーにヘルパー派遣

子育て支援は、病気や障害のある親などに代わって子供が家事やきょうだいの世話をしているヤングケアラーや支援が必要な子育て中の家庭に、食事の準備や掃除、洗濯などの家事援助をするヘルパーを派遣する子育て世帯訪問支援事業(約70万5000円)を実施する。

不登校児童生徒の支援は2700万円を計上、23年度に6つの中学校に設置した校内フリースクールを24年度はさらに2校増やし、市内8つの中学校すべてに校内フリースクールを設置する。

児童数が減少し学級数が適正規模に満たない小学校がある上大津地区については1億940万円を計上し、上大津地区統合小学校の28年4月の開校を目指し、新年度は基本・実施設計などを実施する。

昨年10月にスタートした小中学校の給食費無償化は新年度も継続する(約4億4500万円)。

道路交通法改正により昨年4月から着用が努力義務となった自転車利用者のヘルメットについて、小学生以下の着用率が73%、中学生は89%なのに対し、高校生は8%、65歳以上の高齢者は8.4%にとどまっていることから、高校生相当と65歳以上を対象にヘルメット購入費の2分の1を補助する(約80万円)。

文化財の保存と活用については、21年12月に土地・建物の寄贈を受けた登録有形文化財「一色家住宅主屋」について729万円を計上し、23年度に策定した市文化財保存活用地域計画に基づき保存活用に向け、耐震調査や利活用の市場調査などを実施する。

図書館、花火100年

ほかに、市立図書館は1924(大正13)年6月1日に開館してから今年で100周年を迎えることから、これまでの歩みを振り返り次の100年に向けて新たな一歩となるイベントを開催する(450万円)。

1925(大正14)に始まった土浦全国花火競技大会が来年の第94回大会で100年、7年後に第100回大会の節目を迎えることから、花火のまち土浦を発信していくため機構改革を実施し商工観光課の花火対策室を花火のまち推進室に改編する。

一方歳入は、経済の改善などにより個人と法人の住民税が増加し、市税全体で前年度比3.0%増加すると見込む。歳出の増加に伴って財源不足が生じることから、財政調整基金から23年度と同額の15億円を繰り入れる。これにより24年度末の基金残高は135億円になる見込み。

安藤市長は「厳しい財政状況だが『夢のある、元気のある土浦』に向けて、給食費の無償化を継続し、認定こども園での英語教室など特色ある保育を実施するなど子育て支援をさらに充実させる。常磐道スマートインターチェンジの1日も早い整備や、TXの土浦延伸に向け県と連携するなど、選択と集中を図る予算を編成した」などとしている。(鈴木宏子)

筑波学園病院内の「レストラン サンテ」《ご飯は世界を救う》60

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】サーロインステーキを初めて描きました。今まで、サーロインステーキって数えるほどしか食してないです。息子3人のお腹を、どうやって安価で栄養あるもので満腹にさせるか―こればっかり考えていました。そして、どうにかでっかくなりました。

筑波学園病院(つくば市上横場)にはめったに行かないですが、今回は連れ合いが整形外科を受診。かつては息子がはやり病とかで色々お世話になりました。でも、院内の「レストラン サンテ」は横目で見ても、毎回バタバタとスルーでした。それで、前々から一度入ってみたいと思っていました。今回ちょっと勇気。

病院ですから、優しい感じの麺類や和食かと思っていたら、サーロインステーキが「おすすめ」となっていて…。なんだか不思議ですよね。サーロインステーキが病院レストランのお勧め? お値段も超お得! それで、描くことに。いえ、食べることに。

病気でなくても、また行きたい

それが、食べつけない、つまり経験値が低いものは、描きにくいことが判明。育児後、まぁ、食べられれば食べたのですが、食べ慣れたものばかり食べるって、ありますよね。それに、上手に焼けないし…。

結構、描くのに苦戦です。お手軽価格の、とてもおいしいこのステーキ。もっと、おいしそうに描きたかったなぁ~。病気でなくても、また行きたいレストランです。

色々な方がランチなさっていました。病院のスタッフさん風の方。車いすでお連れの方に食べさせてもらっている方。多分、皆さん病院にご飯だけ食べに来ているのではないでしょう。

ご飯を食べないと生きていけない。そのたった1回の食事でさえ、長く診察の順番を待って、やっと終わって、結果がどうであれ、とにかくご飯を食べることができる。そんな何でもなさそうなことが、貴重で幸せなのではないかしら。

その一食が「おいしい!!」となったら、最高。サンテさん、これからも幸せな時間をつくってくださいね。(イラストレーター)

◆「レストラン サンテ」は2月19日から内装工事に入り、3月21日再開予定です。

サイバー攻撃の最新手口を紹介 関彰商事が対策セミナー

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セミナーの様子。講師はキヤノンマーケティングジャパンの佐藤英明さん=つくば市竹園、国際会議場大会議室

企業の経営者やセキュリティー対策担当者向けに、サイバー攻撃の最新の手口や対策を解説する「サイバーセキュリティ対策セミナー」が14日、つくば市竹園、つくば国際会議場で開催された。関彰商事(本社筑西市、つくば市、関正樹社長)が主催し、会場とウェブから約200人が参加した。実際の事例を元にサイバー犯罪の実態と被害防止対策について学んだ。

関彰商事は昨年12月にも水戸市で同セミナーを開催し、今回で2回目となる。セミナーは3部制で、警察庁関東管区警察局、茨城県警本部、キヤノンマーケティングジャパンから講師を招いた。セミナーではランサムウェアへの対策を中心にセキュリティ意識の啓発が行われた。ランサムウェアは、端末に保存されたデータを使用できない状態にし、復元と引き換えに金銭を要求するソフトウェアや悪質なコードの総称で、近年サイバー犯罪の中で最も被害が多いという。

関東管区警察局はランサムウェアによるサイバー攻撃の実演を行い、加害者側のパソコンと被害者側のパソコン2画面を示して、被害者の1クリックからパソコンが遠隔操作され、情報が次々と盗まれる過程を解説した。

県警本部は、サプライチェーンへのサイバー攻撃の事例を挙げ「何の対策もせずにインターネットを使うのは雪山に薄着で行くようなもの」と話し、セキュリティー対策を常に最新の状態で更新、継続していくことや、被害に遭った時の対処法を社内で決めておくことなどの重要性を強調した。

キヤノンマーケティングジャパンは、実際に起こった被害の事例を挙げ、データのバックアップをオフラインで保存しておくことの必要性を話した。また、ウイルス感染の警告が表示されるなどマルウェアが実行された可能性があれば、すぐにネットワークを切断し、画面をカメラで撮影して警察に通報するといった具体的な対処法についても解説した。

水戸市での第1回開催では、参加者から「実際の画面を見るデモンストレーションを通じて、ハッカーの具体的な手口を知ることができたのは有意義だった」「フィッシング詐欺メールの文面が巧妙になってきていることを知り、それに対する従業員への啓蒙も今後さらに必要になると感じた」といった声が聞かれたという。

主催した関彰商事ビジネストランスフォーメーション部の小林進さんは「社内でも常に新しい情報を取り入れ、サイバーセキュリティー対策をしている。役立つ情報を提供できればと考えセミナーを開催した。今後も継続して開催していきたいと考えている」と話した。

2022年の1年間で、県警へのサイバー関連の問い合わせ件数は3789件あったという。情報処理推進機構(IPA、東京都文京区)によると、ランサムウェアによる被害は2018年頃から確認されている。被害件数が毎年増加しており、同機構が毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」ではランサムウェアによる被害が4年連続1位となっている。政府は、2月1日から3月18日までを「サイバーセキュリティー月間」と定め、サイバーセキュリティーに対する取り組みを推進している。(田中めぐみ)

「人生100年時代」というけれど…《ハチドリ暮らし》34

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畑のレタスに霜がかかっています

【コラム・山口京子】「人生100年時代」ということは、老後の時間が延びるということ、すると、体力や気力はどうなるのか? 長寿にどう心構えをするのか、しないまま歳を重ねてしまうのか…。

80歳まで生きるとは予想していなかった母。自身の母を自分が4歳のころに亡くしており、母親の顔は覚えていないと言います。母が35歳のとき、父親は65歳で亡くなりました。父が亡くなった年を超えたとき、感無量だったと言います。60代から80代前半までは旅行と趣味で日々忙しく、先のことは頭になかったと。

その母が90歳になったころ、「こんなに長生きするなら、お金のことをちゃんと考えておくべきだった」と言うのです。現在の日本では90歳以上の人が200万人を超え、その7割は要介護認定を受けているそうです。年齢を重ねるほど個人差が大きいように思われますが、やはり誰もが老いていきます。

母の老いを見ていると、85歳で体力がガクンと落ち、要支援1に認定され、90歳でガクガクガクンと落ち、要支援2と認定されました。1人暮らしで食事作りもままなりません。

私たち子どもが、月に数回、買い出しや病院通いのために実家に帰省していました。その後、カゼを引き体調を崩してから、呼び出される回数が増えます。体調が悪く、気持ちも落ち込んでいるときは「もう1人暮らしは無理だから施設に入ろうかな」と言い、体調が良くなれば「まだまだ1人暮らしを頑張れる」と気持ちが揺れます。

干し柿、うな丼、チョコレート

鼻が利かない母は、自分が漏らしているおしっこの臭いに気付きません。ですが、私たちからすると強烈な臭いです。加えて大便を漏らすようにもなりました。自分で箸をつかってご飯を食べることはできるけれど、調理や片付けは難しくなっています。1人でお風呂に入ることはできません。洗濯をすることも難しくなっています。

腰の痛みが尋常ではないと言うので、整形外科で診察していただきました。このままでは寝たきりになると言われました。施設入所を考えケアマネジャーさんに相談すると、入所に不本意な母に対して「今は寒い時期だから施設に入ろう。暖かくなったら家に戻ればいいよね」と言葉がけ。

母も納得し、施設に入ることにしました。施設に入る前の夜、干し柿、うな丼、チョコレートを食べ切りました。「長生きなんかしたくない」と言いつつ、不調があれば医者通い…。長生きとその代償との折り合いをどう付ければよいのでしょう。(消費生活アドバイザー)

市議報酬30%引き上げへ 4月から つくば市

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つくば市議会

つくば市議会議員の報酬が4月から約30%引き上げられそうだ。13日開会の同市議会3月定例会に五十嵐立青市長が引き上げの条例改正案を提案した。可決されれば、議長は現在の月額54万7000円から27.6%増の69万8000円、副議長は48万円から30.4%増の62万6000円、議員は44万7000円から30.6%増の58万4000円になる。

期末手当などを含む年間支給額は、議長が1102万4910円、副議長が988万7670円、議員が922万4280円になる。

県内市の中で、つくば市の議長報酬は現在、水戸、日立、土浦市に次いで4番目、副議長と議員は水戸、日立、ひたちなか、土浦市に次いで5番目に高い。引き上げ後は、議長、副議長、議員いずれも水戸市に次いで2番目となる。

つくば市の議員報酬の引き上げは1994年以来、30年ぶり。昨年12月、市特別職報酬審議会(会長・前田聡流通経済大学教授)から出された答申に基づいて引き上げる。五十嵐市長は議員報酬引き上げを2年前にも同審議会に諮問したが、当時はコロナ禍だったため「現在の社会経済・雇用情勢、市民感情を総合的に勘案し、現時点では据え置くことが適当」だとする答申が出ていた。

今回の答申は、つくば市の人口、予算規模は増加しているのに、議会費は変化しておらず、市議の報酬は県内他市や全国の特例市、財政規模が同程度の他市と比較しても低くなっているなどとし、「適格者を引き付けるために他市と比較した報酬水準を考慮する必要がある」とした。金額については「年間支給額で県内の人口上位3自治体(水戸、つくば、日立市)の均衡を考慮した額に増額することが適当」だとした。

報酬の在り方として委員からは「兼業が可能とは言え、会社員として勤めながらは難しい。議員活動に専念でき、議員自身も生活できる額であるべき」との意見が出た。審議会に提出された資料によると、2020年1月から12月まで1年間に、本会議や委員会など議会活動のみに要した時間は、行政視察や議員勉強会などを除いて137時間50分だった、

一方「市民の平均給与が大きく上昇していない中で、報酬額を上げることは市民の反感を生む可能性がある」との意見も委員から出された。全国の民間給与の平均は30年前の1994年が年間455万5000円なのに対し2021年は443万3000円だった。

審議会では「定期的な見直しが行われていなかったことが今回の大幅改定につながっている」「30%増というのは結構大きな増額。市民から見たときに変動の幅を見るとちょっと大丈夫かなと心配なところはある」などの意見が出て、今後について「いきなり上げるのではなく、この審議会を2年後や定期開催とし、その時に再検討するのがよい」との意見も答申に盛り込まれた。(鈴木宏子)

明菜と聖子が市長選挙に出たら?《映画探偵団》73

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】「中森明菜と松田聖子がつくば市長選挙に出たら、どちらが選ばれるだろうか?」と考えた。2月4日、ホテルグランド東雲で開催した『新春つくこい祭ツアー/80年代の中森明菜を舞い歌う』第1景の本番中だった。

明菜の80年代のヒット曲に合わせ、フラメンコと日本舞踊を次々に披露。参加者の手拍子、足拍子、掛け声でグングン盛り上がった。圧巻は『二人静』の曲によるフラメンコと日本舞踊の競演。扇を短刀に見立て、2人がグサッと刺すしぐさにはどよめきが起きた。

第2景であいさつに立った来賓は「見ていて、青春時代を思い出し涙ウルウルになりました。現在では娘がカラオケで歌っています」と話されていた。明菜再ブ一ムが起きていると知ってはいたが、眼前の40代以上の女性の反応を見て、本当にそうなのだなと実感させられた。

80年代の明菜の曲とつくばの歴史を重ねた構成(映画探偵団72)を理解していただけるか心配だったが、第2景の民謡版『少女A』が終わったあと、長年つくばで暮らす人がわざわざ私のところにいらして、構成が良いとほめてくれた。どうやら分かってくれたようだ。

今回のイベントで明菜のことを調べると、明菜より2年前の80年にデビューし同時期に活躍した松田聖子の存在が浮き上がってきた。

何人かの女性に明菜と聖子のことを尋ねると、皆熱心に2人のことを語ってくれた。髪型、衣装、振付などにこだわりセルフプロデュースする明菜を支持する派とぶりっ子と揶揄(やゆ)されながらも海外での飛躍をめざしていた上昇志向の聖子支持派に分かれる。また、2人とも大好きだという女性も多くいた。

薬師丸ひろ子と原田知世は?

2024年2月はつくば史にとって特別な月になる。2月1日、洞峰公園が茨城県から無償譲渡された。2月12日には、つくばセンタービルに市民センターと消費生活センターと市国際交流協会が入った「コリドイオ」(イタリア語で回廊の意味)がオ一プンするからだ。

明菜派、聖子派がどんな反応を示すか興味がある。洞峰公園を無視しコリドイオのことを語るのか? コリドイオよりも洞峰公園の維持管理に関心を示すのか? 2つの出来事を分けて考えるのか? だが2つの場所は都市の中心軸として一つにつながっている。別のものではない。

つくばセンタービルができた年、筒井康隆原作、大林宣彦監督、原田知世主演の角川映画『時をかける少女』(1983)が公開された。未来から植物採集にやって来た若者に女子高校生が恋をしてしまうというお話。未来人は念波を用い関係者の記憶を書き換える。

この年、先に角川映画でデビューしていた薬師丸ひろ子と原田知世のアイドル競争が始まった。音楽業界の明菜と聖子、映画業界の薬師丸ひろ子と原田知世の活躍も同時期だったのだ。また明菜は角川映画のファンでアルバムを作っている。

今秋にはつくば市長選挙を控えている。鍵を握るのは80年代に明菜と聖子の歌声で育った女性たち、ひろ子と知世の映画を見ていた女性たちである。 だからであろうか、2人が市長選に出たら、どっちが勝つかなどと不埒(ふらち)な妄想が湧いてしまったのだろう。

次のイベントも80年代の女性を対象にするつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

市民活動の新拠点がオープン つくばセンタービル

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広々としたフリースペースと図書コーナー

新しい市民活動の拠点「コリドイオ」が12日、つくば市吾妻のつくばセンタービル南側にオープンした。吾妻交流センターと市民活動センターの機能を合わせた新施設「つくば市民センター」、市国際交流センターと市が連携した「国際交流拠点」、「消費者センター」の3施設が入居する。

市の担当者は「個別にあった施設が1カ所に集まったことで、情報が集まり利便性が向上する。新たな市民活動の拠点として多様な活動が生まれることを期待している」と話す。コリドイオはイタリア語で「回廊」を意味し、市民の公募で決められた。

この日開かれた開所式には、市民活動に関心のある市民50人余りが参加した。あいさつに立った五十嵐立青市長は、名称について「(センタービルの設計者である)磯崎新氏によるポストモダン建築の金字塔となったのがこのセンタービル。この世界的に有名な施設のモチーフがローマのカンピドリオ広場であることから、この施設がそこへ続く回廊となる」と語り、「磯崎氏の意匠と、そこにある理念をどうすれば形にできるかを考えた。長年の課題だったセンタービルが、人が集まりいろいろな活動を通じて価値を生み出す拠点になればと願っている」と話した。

テープカットをする五十嵐市長(左から2番目)ら

1階は入居する3施設が事務所を構える。さらに、新たにA1サイズまで印刷可能になった印刷作業室、約1800冊の蔵書を揃える図書コーナー、ベビールームや授乳室、調理実習室、フリースペースなどが並ぶ。音楽室にはドラムセット、ピアノ、アンプなどが用意され、市民のバンド練習やダンスレッスンなどに利用できる。1階は以前はノバホールの小ホールと市民活動センターがあった。

2階はノバホール「小ホール」が移転し、リニューアルオープン。照明や防音性能を向上させた。

3階には大・小会議室がそれぞれ2室ずつ用意され、国際交流拠点による多文化共生ルームは日本語教室など文化イベントに利用される。

昨年12月末に閉館しコリドイオに移転した吾妻交流センターがあったつくばセンタービル4階は、同ビル1階にシェアオフィスなどを構えるco-en(コーエン)の運営会社「つくばまちなかデザイン」が管理する。(柴田大輔)

移動用小型車をシェア つくば駅周辺で実証実験始まる

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立ち乗りの移動用小型車に試乗する、つくばスマートシティ協議会理事の鈴木健嗣筑波大学教授(右端)ら=つくば市吾妻、つくばセンター広場

歩く速さで走行し歩行を補助する1人乗り移動用小型車のシェアリングサービス「つくモビ」の実証実験が10日からつくば駅周辺で始まった。駅周辺の7カ所で貸し出し、返却用もできる。だれでも無料で借りることができ、最大4時間まで貸し出す。実証実験は3月24日までの約6週間。

つくばスマートシティ協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)と関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)、つくばまちなかデザイン(茨城県つくば市吾妻、内山博文社長)が実施する。

貸し出すのは、いずれもトヨタ製の立ち乗り用「C+walkT(シーウォークティー)」2台と、座り乗り「C+walkS(シーウォークエス)」4台の計6台。つくば駅から半径3キロ圏内での利用を推奨している。

トヨタ製の立ち乗りの1人用モビリティ「C+walkT(シーウォークティー)」(左)と座り乗りの「C+walkS(シーウォークエス)」=つくば市提供

移動用小型車は昨年4月の道路交通法改正で新設され、歩道を走行できるようになった。電動車いすに準じて歩行者扱いとなり、車道は走行できない。最高時速は6キロで、運転免許は不要、ヘルメット装着の必要はない。電動のためボタンの操作で簡単に運転することができる。利用対象は身長140~185センチ、体重100キロ以内であれば年齢制限もない。

今回の実証実験では、シェアリングサービス「つくモビ」のサービス向上に向け、利用時間、利用経路、滞在場所などのデータをGPSなどで取得し、検証するのが目的。データは、つくば市でのシェアリングサービス実装に向けたニーズ調査や、ビジネスモデル構築の検討のために活用する。

つくば市は、政府が進めているスーパーシティ国家戦略特区に指定され、先進的サービスを実装して課題解決や新たな価値の創出につなげる「つくばスーパーサイエンスシティ」の実現を目指している。つくば駅周辺を「スマートモビリティエリア」とし、鉄道、バス、タクシー、次世代モビリティなどの乗り物がつながり、次世代モビリティや自動運転バスが途切れなく走行する未来図を描く。シェアリングサービス「つくモビ」の実証実験は、市民やつくばを訪れた人が快適に移動できる環境を実現する一歩として開始した。

貸出場所で運営を担う、つくばまちなかデザインの小林遼平専務によると、今月1日から予約を開始し、10日、11日で25件の利用があった。12日以降も60件の予約が入っているという。「つくば市は車社会ということもあり、公共交通で移動しづらいという声もかなりある。若者の車離れや高齢化を考えると、ストレスなく移動できる環境を作ることが重要。たくさんの方に使ってもらい、たくさんの声をもらい、サービスのブラッシュアップにつなげたい」と小林専務は利用を呼び掛ける。

予約は事前であれば、当日受け付けも可能だという。(田中めぐみ)

茨城の干し芋 最近の話題《邑から日本を見る》153

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干し芋づくりの体験

【コラム・先﨑千尋】茨城県の冬の風物詩は干し芋。と言っても、県南や県西地区の人はあまり関係ないと思っているかもしれない。私が県北地区に住んでいるからそう思うのだろうか。

誰にも好かれるその干し芋。全国の干し芋の産出額(生産額)は2021年のデータで130億円(1万910トン)。うち茨城が129億円。先進地だった静岡県などすべてを足しても1億円にすぎないのだから、ダントツ、独壇場だ。

その茨城の中でも、ひたちなか市、東海村、那珂市で90%を占める。他では、鉾田市、茨城町、那珂市などで生産量が多い。

干し芋は県内や首都圏などでは知られていても、全国レベルでの知名度は高くない。そこで県は1月10日を「ほしいもの日」と制定し、認知度の向上をめざすことにした。この日にしたのは、芋という字が草冠(くさかんむり)の下に一と十が入っているからだそうだ。

そうした県の動きに合わせて、干し芋加工業者の中にも新たな試みが見られる。そのうちの一つに、ひたちなか市阿字ケ浦町のマルヒがある。同社ではこの1月から、「あなただけの特別な干し芋を作りませんか(MAKE HOSIIMO  YOURSELF)と消費者に呼びかけ、干し芋の手づくり体験ができる施設を作った。

会場は同社が海水浴シーズンに営業しているビーチガーデンの一室で、同社専務の黒澤一欽さんが、最初に干し芋の歴史や作り方を映像で紹介する。その後、エプロンや手袋、帽子などの作業着を身に着けてもらい、作業にとりかかる。

体験では、あらかじめ蒸しておいた約2キロのサツマイモを使う。イモの種類は、古くからある「玉豊」か、人気の高い「べにはるか」で、体験者が事前に選んでおく。作業は、ナイフでイモの皮をむき、スライサーを通して薄く切り、用意されたすだれに並べる。

すだれに並べたサツマイモは同社で預かり、1週間ほど天日で干し、完成した干し芋を体験者の名前が入ったパックに袋詰めし、届けられる。体験できるのは、1月から4月までの金・土曜日。申込者は県内や首都圏の干し芋が好きな人が多く、大阪からも来ている。

干し芋の皮で焼酎造り

マルヒのもう一つの話題は、蒸したサツマイモの皮や、大きくなりすぎて干し芋に適さないサツマイモなど、干し芋の製造工程でこれまで捨てられてきた残渣(ざんさ)を利用して3種類の焼酎を製造し、販売を始めたことだ。

干し芋の残渣を利用した焼酎

大量に出る干し芋の皮の処分は、放置しておくとクサくなり、これまで生産者の頭痛のタネだった。焼酎は3種類ともサツマイモの甘い香りが楽しめ、品種やサツマイモの状態の違いから生じる味の差を感じ取るのも楽しみの一つだ。

干し芋焼酎はこれまでにもひたちなか農協(現常陸農協)の「へのかっぱ」などがあるが、残渣を利用しての焼酎づくりは、干し芋産地の課題解決の新たな手法として注目されよう。

黒澤専務は2009年にスタートした「ほしいも学校」の最初からのメンバーだ。ほしいも学校のコンセプトは、コミュニケーション、商品開発、教育、広報、農業、志気。干し芋の体験教室や残渣を利用した焼酎造りは、ほしいも学校の目指す方向に沿った活動と言える。拍手を送りたい。(元瓜連町長)

◆問い合わせ先は㈱マルヒ(電話0120-028056)

サンガイア、ホームでトヨタに連勝

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第2セット、サンガイア主将の濱田(白いユニフォーム)がミドルからスパイクを決める(撮影/高橋浩一)

今季7勝目

バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は10・11日、つくば市流星台の市桜総合体育館でトヨタ自動車サンホークス(本拠地豊田市)との2連戦を行い、10日はセットカウント3-0、11日は同3-1で2連勝を果たした。つくばの通算成績は7勝9敗、10チーム中8位。

2023-24 Vリーグ2部男子(2月11日、つくば市桜総合体育館)
つくば 3-1 トヨタ自動車
25-21
20-25
25-23
25-21

今季7勝目を挙げ、全員で7のサインで記念撮影(同)

両チームとも2連戦の2日目とあって「昨日と同じ試合では勝てない」と、手の内を変えて臨んだ試合。つくばは勝利をつかんだものの「サンガイアらしいバレーをさせてもらえず、今季の7勝の中で最も苦しい勝利だった」と加藤俊介監督は明かす。

第1セットは互角の競り合いから、終盤につくばが堀夏央哉と鎌田敏弥の投入を機に得点を重ね、セットを奪った。第2セットは序盤に5点のビハインドを負い、途中追い上げはしたものの最後まで点差を引きずり、落としてしまう。第3セットは中盤に相手にリードを広げられるが、終盤につくばが架谷也斗や松田康河の得点で取り返した。第4セットは中盤から濱田英寿や架谷、鎌田らの攻撃でリードを広げ、逃げ切った。

第2セット、架谷が相手のブロックを上から抜く(同)

「試合の前半から中盤にかけては、相手のブロックやレシーブが粘り強く、攻撃が決まらなかった。後半は整理して、相手の守備隊形を見てコースの打ち分けなどをリセットできた」と濱田主将。

「サーブとブロックが機能せず、うちの強みであるレシーブからの得点につなげられなかった。途中からサーブの狙いを変え、ブロックやレシーブで対応して崩すことができた」と加藤監督。

つくばは前日と比べて攻撃の多彩さも増した。ミドルからは十文字龍翔のBクイックが威力を発揮。「相手のブロックも高かったが、空中でトスを待ってコースを突くことができた」と10本のアタックを決めたほか、ブロックやレシーブでも貢献した。バックアタックでは鎌田、濱田、架谷の3人で10本を決めた。「どこからでも得点できるチームを目指しており、バックアタックに関しても攻撃陣で意識して練習に取り組んでいる」と濱田主将。

第4セット、スパイクを決めて喜ぶ十文字(中央)=同

これでつくばは開幕7連敗の後を7勝2敗と盛り返してきた。「監督に就任してすぐ開幕を迎え、準備ができないまま11月は連敗を重ねてしまった。12月の中断期間にチームの方向性を確認して練習を重ねたことが今の好調につながった」と加藤監督。狙いを持たせたサーブから相手の攻撃の先を読み、ブロックやレシーブで対応して攻撃へ展開していく。これは大学時代、恩師の都澤凡夫監督に学んだバレーそのものだという。

「都澤先生の思いを継ぎ、先生が目指した形でのチーム作りがしたい」との思いから、今季つくばの監督に就任。「勝つことだけでなく、地元に愛された上で強いチームを作りたい。選手一人一人が全てのことに一生懸命取り組むことで、身近なところからファンを増やし、応援したいと思ってもらえるチームにしたい」

試合中、選手を鼓舞する加藤監督(同)

加藤監督は1978年生まれ、群馬県出身。深谷高校で春高バレー優勝、筑波大学でインカレ4連覇を経験。指導者としては桐蔭学園高校(神奈川)バレー部を19年間率い、関東大会出場9回という強豪校に育て上げた。「バレーを教えるに当たっては高校生も大人も大きな差はない。一つ一つのミスを減らし、1本1本のパスをつなぐ。誰かが目立つのではなく、みんなが一生懸命やる。それは日本のバレーが目指す方向でもあると思う」と話す。(池田充雄)

せっかちでやせ我慢《続・平熱日記》151

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】小さい頃からずっと冬はこたつのある家だった。しかし、この冬はこたつを出したものの入らないでいる。始めは節約を心がけて寒さが厳しくなったらいずれは入ろうと思っていたのだが、羽毛布団に潜り込んでテレビを見たりしているうちに、とうとうこたつなしで年を越してしまった。

よく家族に「せっかち」だと言われる。確かに行列が大嫌いだし、請求書の類いはとにかく早く払ってしまいたい。しかしこれが私の気質なのかというと、意外に教育されたものでないかと最近思うようになった。

思えば、小学校の頃から体操服に着替えるのも計算ドリルも教室の移動も、とにかく手早くやるように言われ続けた。のろまで愚図(ぐず)は悪であるかのように教育されたのだ。

それと同じように教え込まれたのが「やせ我慢」。特に、寒さに対してのやせ我慢は善とされた。冷たい水で雑巾がけ。休み時間は校庭をぐるぐる走らされ、「子供は風の子、元気な子」作戦。乾布摩擦なんて今では見かけなくなったが、このような心頭滅却型のやせ我慢教育は少なからず私の身に沁みついている。

だが、そろそろやせ我慢も限界。毎月の光熱費の請求額にびくびくしながら暮らすのもうんざりだ。

貧乏性の男の春はまだ遠い

多分歳のせいか、こたつは我慢できても風呂には入りたい。以前は冬に2~3日風呂に入らなくとも平気だったのに、この頃は風呂に入って温まりたいと思うようになった。ちなみに、去年は節約チャレンジャーのつもりで真冬でもシャワーで済ませていたが、今年は考え直した。

毎日銭湯に行くことを考えれば、また冷えた体のまま風邪を引いたり免疫力が落ちることを考えれば、熱い風呂に入った方が結局安く上がるというものだ。さらばやせ我慢! どうせなら、少し熱めの湯に入浴剤などを入れて温泉気分を楽しむことにしよう。ここはせっかちな性分を封印して、ゆっくりと湯につかる。身も心も温まって、体の冷えも疲れも取れた気がする。

スーパーでは半額で買えるペットボトル飲料をコンビニで平気で買うのに、1円でも安いガソリンスタンドを探してしまう。歯磨き粉は親の仇(かたき)でもあるかのように最後まで絞り出すくせに、普段の買い物はどんぶり勘定である。全く何をケチっていくら節約しているというのか。

というか、そもそも1人暮らしなのがよくない。自分1人のために風呂に湯を張るのはもったいないという話だ。だから、今日も夕方になると風呂に入ろうかどうしようかと悩む。よし、今日は寒いし風呂に入ろう。たまった洗濯をするのに、残り湯を使うから。言い訳がましいのも歳を取ったせいか。

暮れに指をけがしたことで、洗い物にゴム手袋をするようになった。まさにけがの功名というか、毎年悩まされていた親指のぱっくり割れもないし、お湯を使わなくて済むのが何よりうれしい。せっかちでやせ我慢の上に貧乏性の男の春はまだ遠い。(画家)

出来ない理由が先に出てくる《続・気軽にSOS》146

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【コラム・浅井和幸】先日、友人Aと待ち合わせの話し合いをしました。大したことではないので、さっと済ませられるかと思っていたのですが、なかなか話が進まず、何を話し合っているのか、途中から分からなくなることもありました。

A「来週の月曜日に一緒に昼食を食べよう」

浅井「たまにはよいね。どこかで待ち合わせてから、食べに行こう」

A「どこで待ち合わせる? 浅井が決めてよ」

浅井「どこでも良いよ。事務所で待ち合わせようか? それともAの家に迎えに行こうか?」

A「事務所まで行くのは面倒だなぁ」

浅井「じゃ、Aの家に迎えに行くよ」

A「いやいや、遠いし、申しわけないよ」

浅井「別に構わないけど」

A「でもなぁ…」

結局、事務所で待ち合わせをすることになったのですが、Aの考え方のくせが私の考え方のくせとあまり合いません。待ち合わせ場所をどうするかとかではなく、どのような場所で待ち合わせるのが嫌かというやり取りに終始するのです。

逆立ちして待ち合わせるのは苦しい

この話には続きがあって、私は「こちらも、アメリカで待ち合わせるのは遠いので嫌だし、逆立ちして待ち合わせるのも嫌だな。場所を決めることぐらい、大した問題ではないと思うけど、こちらも待ち合わせには適さないことを永遠と言い続けようか? 車を担いで待ち合わせるのは不可能だとか」と、極端なことを言います。するとAはハッとして、事務所で待ち合わせることになったのです。

自分は何も悪いことをしていないのに、運が悪いとか周りの人間が悪いやつばかりだと、Aはいつも言います。ですが実のところ、A自身が解決策を考えるどころか、悪いところを探し出して、あげつらっている日々なのです。

どんなことにも良い点と悪い点があります。悪い点ばかりを見続ける、改善させないように立ち振る舞う、苦しさをかなり抱え込む―。大変な人生を選択している彼に、同情の念を抱かずにはいられないのですが、改善策をアドバイスすることは彼のストレスを大きくしてしまいます。

それにAは、耐えられないほどの苦痛を感じて反発するだけなので、苦しみを重ね続ける彼を遠くで見守るしか手はないのだと、自分に言い聞かせる今日この頃です。(精神保健福祉士)

住むのに便利な街《遊民通信》82

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【コラム・田口哲郎】

前略

先日、「徹子の部屋」に阿川佐和子さんが出ていて、おもしろい話をしていました。阿川さんは終(つい)の住処(すみか)になるだろう我が家を探すのに、海が見えるところに住みたいと思ったそう。海が見える家にずっと憧れを持っていたのがその理由です。

最初は瀬戸内海沿岸の尾道あたりを考えたけれども、東京での仕事が多く、通うのが不便なので断念。次に東京近郊の湘南はどうかと年上のお友達に相談したら、湘南は東京都心まで距離があるし、海辺は生活利便施設があまりないところが多いので、生活が不便になるから止めた方がよいと言われたそうです。

「海なら年に数回見に行けばよいじゃないか」と言われたらしい。そして結局、都心の便利なところに住んでいるというオチでした。

これを見て、なるほど海辺や森の中の家に憧れるけれども、景観がよいのは心を和ませてくれても、生活するのに直接的便利さは提供してはくれないー。改めて考えさせられる言葉でした。

県南で住むのに便利な街は?

私は常々、茨城県南には筑波山や霞ケ浦を始めとして風光明媚(めいび)な場所はたくさんあるのに、特に霞ケ浦はいまいち観光地としてパッケージ化がされていないように思っていました。京都の宇治みたいな楽園感があまりないような気がするのです。

でも、よく考えると、宇治の観光地のど真ん中にスーパーマーケットやホームセンターはないです。行くたびに、こんなところに住みたいと願うのですが、実際に住むとなると不便さが出てくるのかもしれませんね。

そういう意味で、筑波山や霞ケ浦の周辺は鉄道駅から離れていたりして少し不便ですので、逆に観光地としての可能性は大いにあると考えてもよいんじゃないでしょうか。

ところで、生活利便施設があるといっても、それが点在していると、結局、自動車に乗らなければならなくなったりと不便さがあったりします。駅前にスーパーマーケット、ホームセンター、家電量販店などが集中しているところが、生活に便利な街ということになるでしょう。

すると、県南地域で思いつくのはTXの研究学園駅です。さらに、JR常磐線のひたち野うしく駅周辺も隠れた便利エリアになっています。関東広しといえども、これほど便利な街はそうそうないと思います。

コロナ禍が収まり、東京への集中の傾向が出てきた昨今、郊外の駅チカの便利な街がますますにぎわうかもしれませんね。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

納税怠り過去5年分の消費税13万円を納付 まつりつくば大会本部

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つくば市役所

つくば市は8日、市観光推進課が事務局を務める「まつりつくば大会本部」(本部長・五十嵐立青つくば市長)が、消費税を納めなければならない課税対象事業者であるにもかかわらず、納めていなかったことが分かったとして、過去5年間にさかのぼり消費税13万800円を同日、税務署に納付したと発表した。

内訳は、2018年度分の消費税6万3700円と19年度分の6万7100円で、協賛金や出店負担金など収入分の消費税から、各参加団体への助成金やテント設置の委託料など支出分の消費税を差し引いた額など。20、21、22年度の3年間はコロナ禍により、まつりを中止または規模縮小したため課税対象範囲外だった。

市観光推進課によると原因は、協賛金を消費税がかからない寄付金とみていたこと、収入の消費税より支出の消費税の方が多かったことなどから、消費税の課税対象事業者ではないと判断していたため。

その後22年4月、市スポーツ振興課が事務局を務める「つくばマラソン実行委員会」(実行委員長・五十嵐立青つくば市長)が、課税対象事業者であるにもかかわらず消費税と源泉所得税を納めていなかったことが判明し税務署に納税(22年4月18日付)する事案があった。同様の事例について市役所内で調査を実施し、まつりつくば大会本部の税務処理について土浦税務署に資料を提出し協議したところ、同大会本部が消費税の課税対象事業者であることが分かったとしている。その際、協賛金については、パンフレット等に協賛事業者名が記載されることなどから、寄付金ではなく、消費税がかかる広告費であるなどと指摘があったとしている。

一方、消費税の延滞税と無申告加算税、まつり関係者への謝礼に対する源泉所得税などについては税務署と引き続き協議を実施している。法人税については、みなし法人扱いとなるが、まつり自体が収益事業ではないため課税対象外という。

再発防止策として市は「税務署からの指摘事項について庁内で周知徹底を図り、税務法令を遵守すると共に、適正な事務処理と再発防止に努めます」としている。市総務課によると、調査の結果、納税を怠った事例はつくばマラソンとまつりつくば以外にはないとしている。

県立中学入試から、学びを考える《竹林亭日乗》13

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立春の筑波山(写真は筆者)

【コラム・片岡英明】1月6日の県立中入試で、定員920人に2393人が応募した。これは2023年度の県内小学6年生2万3442人の10.2%になり、10人に1人が県立中を受験したことになる。今まで受験といえば高校入試だったが、最近は小学生の中学受験が増えている。

学ぶ力をつけるのは、生徒も含め私たちの一生のテーマであり、学びたいときがスタートだ。しかし、中学受験について保護者の話を聞くと、どうしても塾が話題になる。そういった一方向の流れに疑問を感じながら、中学受験を意識した生徒の学びも応援する、一生モノの「学びの大河」を提起できないかと悩んでいる。

中学入試も貫く「読む力」

県立中試験は、①長い問題文を読む力、②複数の図表から設問と関係する部分を柔らかく読む力、③問い-意見-理由-説明の記述を意識した設問の意図を読む力―を重視している。

2024年の適性検査1は全13ページで算数と理科。問題数は29問、回答時間は45分で、90秒で1問を解く必要がある。算数の問題1は本文13行と図の次にあり、短時間で「問いは何か」「どう解くか」の2 ステップで読み解く必要がある。

長文化が指摘される共通テストも、県立中の問題でも、長い文章を正確に速く読むには、文章の型を学び、先を予想する力が要となる。それには、教科書・新聞・本などを主体的に読むための基本となる「3つの読み」が有効である。

情報読み、読解、対話読み

1.情報読み=何が書いてあるか? 文章をキーワードや段落を意識して必要な情報を効率的に探す。設問と関係がある文を探すのもこれだ。

県立中入試のように図表が多い問題は、マンガを読むように、株のディーラーように、こだわりのない緩い目の「並行読み」で対処する。でも、情報読みばかりでは当然疲れる。

2.読解=著者はなぜ書いたか? 情報読みで「あれっ」と立ち止まり、新聞の切り抜きをノートに貼る。そのときに、主体的な読解と学びの蓄積が始まる。効率や速さからwhyへの深化だ。

なぜ、この問題を出したか? その意図を考えると、情報読みが読解となる。問題作成者の意図を読み取る学習は、設問と関係する文を探す(正解に接近する)速さを上げ、正解率が高まる。試験で効率的に解答するにも、ゆっくりwhyと考える読解の学習段階が重要だ。

3.対話読み=「そうか?」と著者に問う。切り抜いた新聞記事をノートに貼ると、意見を書きたくなる。著者と自分との対話である。

小論ならば著者の結論や根拠に、物語では山場で主人公が行動で示した著者の思いについて、あれこれ耕す。対話読みとは、言葉がどんな場面で発せられたかを読み解き、自分の意見を著者にぶつけることだ。これを行って、初めて自分の読みが完結する。

読みから記述へ、始まりは読み

読みは、著者がどう書いたか、つまり「表現の工夫」に至る。そこから、読みが記述につながる。そして、記述は話すことに、話すことが聞くことにも広がっていく。始まりは読みである。

学びや中学受験を意識したら、以上の3つの読みを参考に、一生モノの「学びの大河」となる読む力をつけてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

つくば、土浦、水戸にEVバス 19日から3台が運行 関東鉄道

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3台の新型EVバスと 関鉄バスの(左から)廣瀬貢司常務、所長の木村和矢さん、加瀬林幹治運転手。バスは(左から)つくば中央、土浦、水戸の各営業所に配置される

関東鉄道(本社土浦市、松上英一郎社長)は19日から、つくば中央、土浦、水戸の各営業所に新型の電気自動車(EV)バスをそれぞれ1台、計3台導入し、路線バスとして各地区で運行を開始すると発表した。昨年6月、守谷営業所に2台を導入したのに次いで、同社のEVバスは計5台となる。

定員80人の大型車で、フル充電した場合の運行距離は約240キロ。座席は26席あり、全座席にUSBの端末が付いている。床面はフラットで、障害者やベビーカーなどにも配慮した段差無く乗り降りできるノンステップバスとなっている。災害時には電源供給車としても使用できる。購入は国交省の補助金「訪日外国人旅行者周遊促進事業費補助金」を活用し、2分の1の補助を受けた。

運行路線は、つくば中央営業所(同市上横場)が市内循環と牛久、土浦、常総、取手、つくばみらい行き、土浦営業所(同市川口町)が市内循環と阿見、つくば、牛久行き、水戸営業所(同市住吉町)が市内循環と茨城町、小美玉市、石岡行きとなっている。各営業所1台がさまざまな路線を走行する。

EVバスは走行時に二酸化炭素や排気ガスを排出しない。エンジン音や振動などがほとんど感じられず、音が静かなのが特徴だ。車内にはカメラが配置され、運転席から客席がモニターできるようになっていて安全に配慮配備している。

EVバスの車内

3台のバスのデザインは昨年11月~今年1月にそれぞれの地域の観光をアピールしたものを公募し、社内で各1点を選考した。つくば営業所のバスは、EVの充電ケーブルをモチーフに、筑波山のシルエット、研究をイメージした六角形の幾何学模様、地球と太陽、宇宙を表現し、守谷市在住の税所(さしょ)早苗さんがデザインした。

土浦は、シンボルのオランダ風車や自転車、レンコン、ハスの花をちりばめ、牛久市在住の青木杏香さんがデザインした。水戸は、水戸黄門の着物の色を彷彿(ほうふつ)とさせるイエローに、水と緑の自然都市をイメージさせる青緑色の水玉模様と梅の花をちりばめた。流線は納豆の糸引きをイメージし、大阪府の小林咲希さんのデザインを採用した。

関東鉄道の廣瀬貢司常務(57)は「現在全営業所で338台のバスが走っているが、今後EVバスはさらに増えていくだろうと思う。EVバスの導入は、当社グループの経営理念や行動指針に基づいたもので、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて取り組みたい。SDGs の目標である『エネルギーをみんなに そしてクリーンに』『気候変動に具体的対策を』に貢献していくことを目指したい」と話している。

17日には「新型EVバスお披露目撮影会」を開催し、試乗したり撮影したりできるので、応募してほしいという。(榎田智司)

◆記念イベント「新型 EV バスお披露目撮影会」は2月17日(土)開催。 集合は午前9時30分~10時、土浦駅東口。行程は午前10時、土浦駅東口を出発→水戸営業所→土浦営業所→つくば中央営業所を回って、午後4時つくばセンターに着く。荒天中止。募集人員40人、参加費7000円。①各営業所でEVバスと特徴ある車両を並べた撮影会②土浦営業所で新型EVバスに試乗③参加記念に限定バスグッズをプレゼントする。昼食付き。参加方法は、関鉄観光バス予約サイトで受け付ける。先着順。問い合わせは関鉄観光株式会社(電話0120-22-3725)へ。電話の受け付け時間は月曜~土曜日の午前9時~午後5時30分。

2058年に1億人割れ、日本の人口減少対策は?《ひょうたんの眼》65

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山茶花(さざんか)=写真は筆者

【コラム・高橋恵一】国立社会保障・人口問題研究所は、日本の人口が2050年には、現在より17%減の1億600万人になると予測した。2058年には1億人を割り込み、2100年には7500万人としている。

少子化が進めば、人口減少で働き手や消費者が減り生産力が低下して、経済全体を弱めると考え、人口減少を抑えることを最重要課題として、与党も野党も、メディアも子育て対策に夢中のようだ。岸田政権は、異次元の子育て対策を喧伝(けんでん)している。

子どもづくりを国策として奨励したのは太平洋戦争時代で、「産めよ、増やせよ」「軍国の母」などの掛け声とともに、「兵隊さん」を確保するためだったが、赤ん坊が兵士になるまで15年から20年を要するので、泥縄政策であり、効果は無かった。まして戦死を美化し、食糧確保もままならない戦時中に子育てをするなど、母親にとって納得できる国策では無かったであろう。

ある調査で、大学生の19%(女子は23.5%)が子どもを欲しくないと答え、経済面の不安や女性に育児負担が偏ると考えているとの結果が報告されている。非正規低賃金の若者には、子育てどころか、結婚もままならない。また、異常な受験競争でトリプル学習塾や勝利至上主義の部活に身を置く子どもたちの現状で、生まれる子供たちは自由と笑顔で成長できるのだろうか?

欧州の福祉国家を構築する経済政策

折しも、GDPがドイツに抜かれて世界第4位になり、日本の経済成長力が低下しつつあることが明らかになった。独の人口は8400万人、2070年に予想される日本の人口だ。日本が、失われた30年と言われ、個人消費が低迷している間に、独、英、仏、北欧諸国は、福祉国家を構築する経済政策で進み、30年の間に日本に差をつけた。

例えば、医療福祉サービスは、経済需要の大きな分野であり、賃金は、個人消費支出として循環するのだ。財源が公的部門から出れば、建設部門の公共事業と同じ機能を持つことになる。日本の低賃金政策が結局、GDPで独に抜かれた所以(ゆえん)なのだ。医療・介護従事者の賃金は政府が決められる。岸田総理は明日にも、望む賃上げを実現でき、人手不足を解消できるのだ。

人口減少は、少子化要因だけでなく、後期高齢に達した団塊の世代の今後20年ほどの急速減少も加わっていく。人口1億人なら、1億人分の需要に応じた供給力で対応すればよいだけだ。(地図好きの土浦人)

三村山不殺生界碑 つくば市有形文化財に指定

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つくば市有形文化財に指定された三村山不殺生界碑=同市小田

鎌倉時代の僧侶、忍性が寺域整備を裏付け

つくば市小田にある石造物「三村山不殺生界碑(みむらさんふせっしょうかいひ)」が市有形文化財に指定された。貧者やハンセン病患者など病人の救済に尽力した鎌倉時代の僧侶、忍性が、不殺生界を定めて寺域を整備したことを裏付ける重要な歴史的資料という。ほかに同市臼井にある弘法大師像など「立野大師堂石仏群・175軀(く)」が市独自の市地域文化財に認定された。

市有形文化財の指定は2004年7月以来約20年ぶり、84件目。市認定地域文化財は13年1月以来11年ぶりで、筑波山ガマの油売り口上に次いで2件目となる。いずれも市教育委員会が1日、指定及び認定した。

三村山不殺生界碑の拓本(つくば市提供)

三村山不殺生界碑は高さ1.5メートル、幅1.3メートル、厚さ0.13メートル。黒雲母片岩で造られた板碑で「建長五年 癸丑/三村山/不殺生界/九月十一日」という銘文が刻まれており、鎌倉時代中期の1253(建長5)年に製作されたものだとわかる。現在小田にあるが、もともと宝篋山の山麓にあり、運搬されてきたと推測されている。現在は雨除けの屋根が架けられているが、風雨による経年劣化により表面がはがれやすくなっており、銘文の文字もかなり薄くなっている。現在は個人が所有している。

西大寺(奈良市、真言律宗)の僧侶だった忍性は鎌倉時代、布教活動のため関東に行き、宝篋山の南麓、三村山極楽寺を1252年に律宗に改めた。さらに小田氏の保護を得て整備、拡張するなど、同寺を関東の布教の拠点として整備していく過程が分かる資料という。

年号の刻まれた石造物としては市内最古。三村山極楽寺に関わる石造物は県やつくば市、土浦市が指定するものがすでに多くある。今回は他の石造物と比較しても歴史的な重要性は遜色ないという。

市教育局文化財課の石橋充課長は「最初、つくば市のボランティアグループから報告があり、文化財として指定してほしいという依頼だった。市で調査し、大変貴重なものだと分かった。今後は劣化を防ぐために覆いを作るなど支援していきたい」と語った。

市認定地域文化財に立野大師堂石仏群

立野太子堂入り口正面の石仏群=同市臼井(同)

立野大師堂石仏群はつくば市臼井、立野地区の大師堂に納められ、江戸時代後期から明治時代の弘法大師像87体、如来・菩薩・明王像88体で構成されている。

伝承では、江戸後期の1832(天保3年)、地区に住む皆川重兵衛が、四国八十八ケ所霊場の霊山寺から持ち帰った土で土地を清めて弘法大師像を安置したことに始まり、地域の大師講の信仰対象になったとされる。1913(大正2)年には、筑波山南麓に「新四国八十八ケ所弘法大師尊霊場」がつくられて巡拝経路が整備され、大師像は分散配置されていたが、その後、大師堂に収められることになった。

江戸時代後期から大正時代にかけて製作された大師講に関わる石仏群で、 地域の信仰の歴史を物語る資料であり、現在に至る経緯も明らかであること。さらに、堂内に多数の石仏が整然と並んでいる状況は市内でも珍しく、現在でも地区住民で大切に管理されていることなどが認定の理由。

現在、大師堂と石仏は立野区会が所管し、市道から立野児童館や蔵王神社に向かう途中にあるトタン作りの小屋に保管されている。地元住民で構成される「橘会」のメンバーが、弘法大師の月命日である21日に集まり、石仏の袈裟(けさ)を作るなどの行事や、維持管理を行っている。

立野大師堂の外観

立野区会では、石仏群が持つ地区の歴史を示す文化財としての重要性が広く知られ、次世代に継承されていくことを期待しており、同地区に住む菊地武司(69)さんは「大師堂は地域の6~7人が一生懸命守っている。地元の人でも由来など知らない人も多い。市の認定を受けたことで、整備管理など地区全体で関わっていかなければならないのではないか」と話していた。

市指定文化財は、補助金などの支援により特に貴重なものを保護していくもので、現状を変更することは規制される。市認定地域文化財は市独自の制度で、幅広い物件を文化財とし保存や活用を促進していこうというもの。補助金の支援はないが規制は緩やかになっている。(榎田智司)

つくば、土浦で雪やみぞれ 登校は2時間繰り下げ

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登校前に近所の公園でそり遊びをする子供たち=6日午前9時20分ごろ、みどりの中央公園

5日から6日にかけて南岸低気圧が本州の南を通過した影響で、つくば、土浦でも雪やみぞれが降り、両市の小中学校、義務教育学校は6日朝、登校時間を2時間繰り下げた。

気象観測地点のつくば市館野と土浦市ではいずれも積雪は記録されなかった。

つくば市消防本部によると同市内では6日午前11時までに、雪の影響により転倒したなどの救急搬送が2件あった。土浦市内では雪の影響による救急搬送は無かった。

つくば市南部、TXみどりの駅近くのみどりの中央公園では6日午前9時過ぎ、芝生に5センチほど雪が積もり、登校前に子供たちがそりで斜面を滑り降りるなどして遊ぶ姿が見られた。近所の家族と一緒に子供たちを連れて遊びに来た、近くに住む会社員男性(38)は「自宅にそりがあってなかなか使う機会が無かったが、雪が積もったので遊びに来た。子供が喜んでいてうれしい」と話し、小学1年の女子児童は「楽しい」と話していた。

雪化粧した筑波山。山頂付近は霧がかかっている=6日午前7時30分ごろ、つくば市臼井から撮影

つくば市北部の筑波山は6日朝7時30分ごろ、5合目より上が白く雪化粧した姿が見られた。この冬の筑波山の積雪は1月14日以来、2回目。一方、山麓の臼井地域では5日夜の雪はみぞれから雨に変わり、積雪はなかった。(鈴木宏子、榎田智司)

【7日追加】雪が止み、快晴となった7日朝は放射冷却で冷え、青空をバックに美しい筑波山が姿を見せた。

雪化粧した筑波山。7日午前9時、つくば市臼井で撮影