月曜日, 3月 2, 2026
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円安・ドル高と日本銀行《雑記録》59

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チューリップ花壇(写真は筆者)

【コラム・瀧田薫】ここ1年、 極端な円安が続いている。4月29日、ドル・円相場は1ドル=158円をつけた。2023年4月ごろには130円だったから、1年間で30円近い円安・ドル高になったことになる。

この円安、アベノミクスによる円安誘導(日銀による異次元金融緩和)がもたらした結果であることは明らかで、円安自体について驚きはない。ただ世界銀行算定の購買力平価ベースのレートでは、1米ドルはおよそ100円だから、それと比べれば5割以上の行き過ぎた円安であり、国民生活の観点からすれば、到底容認できるものではない。

ところで、日銀はこの3月、黒田元総裁の後を継いだ植田新総裁がマイナス金利政策から離脱し、安倍元首相と黒田氏が主導してきた異次元金融緩和政策に終止符を打った。実に11年ぶりのことである。

ところが、4月26日、この大きな政策変更に付箋が付く。植田氏は記者会見で「足元の円安進行が物価上昇率に大きな影響は与えていない」と言い、「将来無視できない影響が出れば政策判断の材料とする」とした。つまり、異次元金融緩和策からの離脱に際し、急ハンドルは切らない、あるいは切れないという宣言である。

これは事実上、緩和的な金融環境を当面持続するということになるから、投機筋がこれをチャンスとみることは必定である。だが、植田氏はあえてこのリスクを受け入れた。円安是正のためには利上げが必要なことは分かっていても、利上げできない理由がある。

積極的な情報発信を期待

利上げが住宅ローンにどう跳ね返るか、また、長期金利の上昇を抑えるために購入してきた大量の国債にどう影響するか、予断を許さない。つまり、黒田元総裁から受け継いだ負の遺産から離脱する際に伴う、副作用への警戒を優先してのことである。そうなると、円安対策としては為替介入ぐらいしかなくなることになる。

もちろん、為替介入の効果が続くのはごく短期間でしかないし、異常な円安を是正する抜本的な対策からはほど遠いが、投機筋に対して何もしないわけにもいかないということだろう。

とにかく、異次元金融緩和の後始末だけでも大変なのに、超低金利に慣れ切った政府与党は裏金問題で迷走し、首相はほとんどレームダック化している。そんな状況下、植田新総裁には貧乏くじを引いたと後悔している表情はないし愚痴もない。現実を見据え、出来ること、出来ないことをはっきり区別するリアリズムに徹する、芯の強い人物なのだろう。

植田新総裁の就任によって、漂流を続けてきた日銀そして日本経済の先行きにようやく指針めいたものが設定されつつある。今後の日銀には、市場との丁寧な対話や日銀の外から寄せられる提言に対応した積極的な情報発信を期待したい。

それにしても、「異次元緩和の教訓は、金融政策だけで経済を復活させることは難しいという事実だ」という日本経済新聞の社説(3月9日付)が掲載されるまでに、10年以上の年月が必要だったことになる。(茨城キリスト教大学名誉教授)

常総学院が2連覇 春季高校野球県大会

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2回表1死一・三塁、常総学院 丸山のスクイズで杉山が生還(撮影/高橋浩一)

第76回春季関東地区高校野球県大会は6日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で決勝戦が行われ、常総学院が2年連続の優勝を果たした。決勝の相手は昨年の秋季大会と同じ鹿島学園。常総学院は投手4人の継投により相手の追撃をかわし逃げ切った。両校は18日から群馬県で開催される関東大会に出場する。

第76回春季関東地区高校野球茨城県大会 決勝
(6日、J:COMスタジアム土浦)
常総 102010000 4
鹿島 100000200 3

1回表2死一塁、武田の先制打(同)

常総は初回、3番・池田翔吾の中前打と、4番・武田勇哉の左翼線二塁打で1点を先制。その裏に同点とされるが、2回に8番・杉山陽大の左翼線二塁打と1番・丸山隼人のセーフティスクイズで2点を勝ち越した。4回には丸山がバントヒットで出塁後、牽制悪送球で二進し、三盗を仕掛けたところで相手投手が暴投。労せず1点を追加した。

「小技をからめて相手にダメージを与えるという、自分たちの目指す野球ができた。特に1回2死から得点できたことは大きい」と島田直也監督。勝ち越しの殊勲打を放った杉山は「相手の左投手のインコースへの直球を狙っていた。なかなか来なかったが追い込まれてもファールで粘り、来た球を一発で仕留めることができた」と振り返った。

2回表1死一塁、杉山の勝ち越し打(同)

投手陣は先発の平隼磨が2回1/3を投げて4安打1失点、3回に死球2つを出して満塁となったところで降板。「追い込んでからの投球ができなかった。自分の力を出しきれず悔しい」と反省の弁。その後は2番手の鍛冶壮志が6回までを3安打無失点で抑えた。「ピンチの場面でしっかりコースに投げきることができた。自分はストライク率の高さが武器。ただし4、5回は厳しくいこうとして狙いすぎ、球が荒れてしまった」と鍛冶の振り返り。

3回途中から6回まで投げた鍛冶(同)

7回は3番手の大川慧が投げて3安打2失点。8、9回は小林芯汰が無安打で締めた。「5回以降は相手の粘りの野球が厳しかったが、しっかり守りきることができた。小林の投球は想定通りだったが、それに続く投手の活躍を求めている。夏に向けて調整したい」と島田監督。

関東大会で常総は19日の初戦、千葉県2位の中央学院と対戦する。「相手は選抜大会でベスト4に勝ち進んだ実力あるチーム。だが自分たちだってちょっとの間に成長を続けている。良い相手に思い切りぶつかって、しっかりと勝ちに行く」と若林佑真主将は意気込む。(池田充雄)

優勝旗を手にする若林主将(同)


  

ロボッツ来季もB1で 今季最終戦を終える

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この日、両チーム通じて最多の17得点を挙げた茨城ロボッツのルーク・メイ(青いユニフォーム)=撮影/高橋浩一

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは4日と5日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで宇都宮ブレックスと対戦、4日は59-100、5日は64-88で連敗を喫した。茨城の最終成績は12勝48敗で東地区8位。B2降格をまぬがれ、来季もB1で戦うことが決まった。

2023-24 B1リーグ戦(5月5日、アダストリアみとアリーナ)
茨城ロボッツ 64-88 宇都宮ブレックス
茨 城|21|11|13|19|=64
宇都宮|17|26|21|24|=88

鶴巻啓太(右端)は攻守に奮闘、最後は5ファウルで退場となった=同

「今季最後のホームゲームであり、選手のためにもブースターの皆さんのためにも、どうしても勝ちたい試合だった。だが宇都宮は本当に素晴らしいチームで、思うような結果を出すことはできなかった」と、茨城のリチャード・グレスマンヘッドコーチ(HC)。

昨日の大敗を受け、この日はアウトサイドで勝負をかけた。「相手は中へ収縮する守備をしてくる。そこで今日は積極的に3点シュートを打っていこうと考えた。守備のときも、相手にとにかく3点シュートを打たせることがわれわれのポイントだった」とグレスマンHC。試合の立ち上がりはこれがうまくいった。相手が3本のシュートを外す間に、茨城はルーク・メイが2本、中村功平が1本の3点シュートを決め、9-0の大差を付けてゲームをスタートさせることができた。

鶴巻、中村と共に中大トリオの一角を担う大庭圭太郎(中央)=同

だが驚くべきは宇都宮の修正力だった。その後は3点シュートを精度よく決められ、第2クオーター半ばに逆転。逆に茨城は、思うように得点が伸びなくなる。「宇都宮はヘルプの寄りが速いので、寄ったところでキックアウトして、外のノーマークの選手がシュートを打つという作戦だった。だが相手の速くて洗練された守備に、ノーマークにさせてもらえなかった」と中村功平はいう。

前半は両チームともハーフコートで、じっくりとパスを回す攻撃が多く、後半は状況を打開するべく、茨城が乱戦を仕掛けた。だがこれは宇都宮の思うつぼだった。ビッグラインナップではインサイドをしっかりと固め、スモールラインナップでは鋭いドライブで得点を重ねる相手に、ますます茨城は身動きがとれなくなっていった。

6得点のほかリバウンドやアシストでも活躍したチェハーレス・タプスコット(中央)=同

こうして連敗で今季を終えた茨城だが、他地区のチームがさらに成績下位だったため(信州ブレイブウォリアーズ=10勝50敗、富山グラウジーズ=4勝56敗)、B2降格は免れることができた。

「昨年12月に私がHCとして復帰したときチームは2勝28敗で、いつあきらめてしまっても仕方のないような状況だった。それでも選手たちが本当に頑張って、B1継続という目標を成し遂げることができた。二度とこのようなシーズンを送らないためにも、ここから多くのことを学び、ロボッツのスタンダードを上げる必要があると思う」とグレスマンHC。

Bプレミアの要件達成見込み

この日の入場者数は5055人で、立見席まで人が鈴なりとなった。この結果、今季のホームゲーム平均入場者数は4619人を達成。2026年から始まる新リーグ「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」参入要件の一つ、平均入場者数4000人以上を、大きく上回ることができた。

試合後のホームゲーム最終戦セレモニーの様子=同

残る2つの要件は、売上高12億円以上と、ホームアリーナ基準の充足。このうち売上高については、詳細は6月の今季決算を待つことになるが、ほぼ達成されそうな見込みという。施設基準についても、アリーナ改修予算が水戸市議会で議決されたため一定の目処がついた。このため早ければ今年12月のBリーグ理事会で、Bプレミア参入が決定する可能性がある。

西村大介代表は「皆さんにはご心配をおかけしたが、最後は無事B1継続を達成することができ、胸を撫で下ろすシーズンとなった。来季はロボッツ10周年という節目の年でもあり、あと2年で始まるBプレミアを見据え、更なる進化をするシーズンにしなくてはならない」と話している。(池田充雄)

オッペンハイマーとサム・アルトマン 【吾妻カガミ】182

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ツツジの生け垣(写真は筆者)

【コラム・坂本栄】何かと話題になっている映画「オッペンハイマー」を見てきました。主筋は、米国の原爆開発を主導した理論物理学者オッペンハイマーが水爆開発には反対、ソ連のスパイの疑いまでかけられ、戦後には冷たい扱いを受けるという史実ですが、当時の米政府の情報管理や学者間の確執もふんだんに盛り込まれており、面白い映画でした。

ナチスとの原爆開発競争

実験成功後に彼を講堂に迎え、関係者と家族たちが足を鳴らして成功を祝う場面では、これで日本を降伏に追い込めるという米国民の高揚感が伝わってきます。真逆の場面=トルーマンが大統領執務室でオッペンハイマーと会ったとき、彼が水爆開発には消極的と知り、退室後に「あの泣き虫には二度と会いたくない」とこき下ろす場面=もあり、このコントラストは秀逸でした。

米国の原爆開発は、ナチス・ドイツの原爆開発に負けてはならないと始まったものでした。ところが、ドイツが早めに降伏したため、対日戦を終わらせる決定兵器になります。また、米国は戦後の仮想敵国としてソ連を想定するようになり、開発情報の対ソ漏えいを極度に警戒します。こういった米国の政略・戦略の変化も描かれています。

原爆開発を引き受けた動機が「ヒットラー憎し」であったオッペンハイマーは、国際政治に翻弄(ほんろう)されるだけでなく、ソ連のスパイ組織と見られていた米共産党との関係にも翻弄されます。これらに原爆開発を主導したという倫理上の自責の念が加わり、見応えある長尺3時間の映画に仕上がりました。

私は、165「酷暑日に核廃絶と核抑止について考えた」(2023年8月21日掲載)の中で、対日原爆投下を決断した米政府・軍部の心中を、①その破壊力を日本に実感させて降伏に持ち込みたい、②巨額の開発費を使った原爆の力を確認してみたい、③大戦後に敵国になるソ連の諸活動を抑制したい―と整理しました。

戦後、原爆は戦争を抑止する装置として使われるようになり、オッペンハイマーは国際政治の枠組みに大きな影響を与えました。

人工知能は世界を滅ぼす?

「オッペンハイマー」を見ながら、頭の中ではサム・アルトマンの顔がチラついていました。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」の開発を主導した「米オープンAI」の最高経営責任者(CEO)です。AIは原水爆に匹敵するような影響を人類に及ぼすのではないか…と。

チャットGPTについては、156「大乗仏教の空と相対性理論の空の関係」(23年5月1日掲載)の中で、「ネット上に格納された情報を超速で探し出し、それらを取捨選択、整理整頓し、文法的に正しい回答を作文してくれる」ツールと私なりに定義しました。扱い方を間違えると人間に思考の放棄を促し、破壊の恐怖=原水爆を上回る力を持つでしょう。人類支配力(破壊力?)としてはAIの方が大きくなるかもしれません。

「米オープンAI」の倫理派役員たちは、商業開発に突っ走るアルトマンを一度追放したものの、同法人に巨額の資金を提供している米マイクロソフトがこの人事に介入し、アルトマンをCEOに復帰させました。この経緯を報じた米ウォ―ル・ストリート・ジャーナル紙(23年11月24日付)は、倫理派役員の考え方(思想運動)を「Effective Altruism(効果的利他主義)」と呼び、以下のように伝えています。

「この運動では、AIが人間としての正しい価値観を植え付けられて注意深く作り上げられれば黄金時代を生み出すが、そうしたものにならなければ世界の終わりのような結果を招く恐れがあると信じられている」 (経済ジャーナリスト、戦史研究者)

投網や釣り体験で交流 川守養成プログラム始まる 桜川

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鈴木組合長(右端)から投網の投げ方を教わり何度も練習する中学生ら

桜川に親しみ、川の環境を見守る人を養成する「桜川川守(かわもり)養成プログラム」(4月22日付)の第1回が5日、つくば市松塚、桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)の拠点広場で開催され、市内外から7組22人が参加した。中国やインド出身の参加者も訪れて投網や釣りを体験し、国籍や世代を超えて交流を深めた。

同プログラムは川の水質や生態系を見守る担い手を育てようと、川守養成プログラム実行委員会が企画した。桜川漁協や市民グループ「桜川ナマズプロジェクト」が協力し、NEWSつくばが後援している。

鈴木清次組合長(81)は参加者に、シジミやウナギなど多様な生き物が生息し、澄んだ流れだったという桜川の記憶や、近年アユやワカサギ、オイカワなど在来魚が急激に減少していることについて話した。桜川で伝統的に使われている漁具についても実物を見せながら紹介した。その後、参加者に投網の投げ方を教え、参加者は川沿いの広場で投網を何度も投げて練習した。桜川では遊漁者が投網を行うことは禁じられているが、漁協の組合員になれば投網を使用することができる。組合員によると、投網を正しく丸く広げられるようになるには10年の経験が必要だという。

漁具について説明する鈴木組合長

投網体験のほか釣りの体験も行われ、体長60センチほどのアメリカナマズが次々と釣り上げられて歓声が上がった。15匹が釣れ、市外から参加した女子高校生が慣れた手つきでナマズをしめてさばいた。昼食時には市内の四川料理店「麻辣十食」(同市天久保)が、霞ケ浦のアメリカナマズを使ったメニュー2種類を提供し参加者が試食した。四川料理「ラーズーナマズ」は今年2月から同店でレギュラーメニュー化した一品(2月28日付)。市外から参加した中学生は「今日はアメリカナマズを釣り上げた。試食したナマズはすごくおいしい。人気になると思う」と話した。釣り体験で釣れたナマズは、その場でしめ、食用や骨格標本制作用として参加者がそれぞれ持ち帰った。昼食時には、鈴木組合長による投網の実演が行われ、外来魚のダントウボウやアメリカナマズ、オイカワなどが網にかかり、参加者から拍手が起こっていた。

在来魚が減少し、特定外来魚であるアメリカナマズが急激に増加するなど、近年桜川の生態系は大きく変化している。桜川はつくば市の水源である霞ケ浦に流れ込んでおり、川の水環境は市民の生活に密接に関係している。70年前、澄んだ水だった桜川で泳いで遊んだという鈴木清次組合長や組合員の鈴木孝之さん(81)は、当時の記憶を話し、かつての清らかな水質を取り戻したいと市民に向け発信を続けている。

市内在住の30代の男性は「NEWSつくばを見て、投網をやってみたいと思い参加した。子どもの時から桜川で釣りをして遊んできたので、桜川が好き。長く見ているので、桜川で釣れるものが変わってきたのを感じている」と変化についての実感を話した。同じく市内在住で北海道出身の30代男性は「桜川には観光としての魅力がある」と観光資源としての可能性を話した。

鈴木組合長は「いつでも遊びに来てください。楽しみながら川のことを知ってほしい。清らかな桜川を取り戻すのが私の願い」と参加者に話した。川の生態系の現状を知ってもらい、川を見守る担い手を増やしたい思いだ。

同プログラムは年5回実施の予定。4回以上プログラムに参加した人は、養成プログラム実行委員会が桜川の「川守」(桜川を見守るサポーター)に認定し、川の清掃活動などの情報を配信する。プログラムは1回のみの参加も可能で、来年度も実施を予定している。(田中めぐみ)

◆次回、第2回プログラムは6月9日(日)開催の予定。NEWSつくばページで5月11日より参加を募集する。

産んでも男の子は兵士になって死ぬんでしょ《ひょうたんの眼》68

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新緑(写真は筆者)

【コラム・高橋惠一】私は、毎年5月3日には日本国憲法を読むことにしている。国際社会は2度の世界大戦の人類絶滅危機を恐れ、日本は310万人もの犠牲者を出しながら、加害責任を追及される結果を踏まえ、国と国民が共有する決まりとして制定した憲法である。

「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」として、無知と偏見が、人種、性、言語または宗教上の差別を可能にし、愚かな戦争に至らしめていると警告する「ユネスコ憲章」と、国民主権を人類普遍の原理とうたい、人権尊重と戦争放棄を決意することによって国際社会に名誉ある地位を占めたいと宣言する「日本国憲法前文」を、座右の銘と思っている。

統一教会との癒着や、不正な裏金によって確保した議席の多数によって、民主主義をねじ曲げ、挙げ句は、平和憲法の「改悪」をはばからない現政権に嫌悪感を持たざるを得ない。その与党に何を期待するのか、すり寄る一部「野党」や一部「マスメディア」にも落胆している。裏金問題の改革は、企業団体献金の禁止しかないのに、何を躊躇(ちゅうちょ)しているのだろう。

防衛費負担は従来の2倍に

日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かれ世界4位に転落した。さらに3年後にはインドに抜かれる見通しだ。1人当たりのGDPは21位で、世界第2位を誇った30年前の見る影もない。経済政策の失態なのだが、特に近年の「アベノミクス」という理念の無い経済政策の結果であり、だらだらと現在も続いている。

アベノミクスでは、企業業績の拡大を最優先に据え、円安に進んだ。また、経済活動の効率化を図るとしながら、その手段をコスト抑制に求め、具体には人件費=賃金の抑制と、原材料調達費=下請け企業の収益削減に負担を押し付けた。

少子高齢化の進行や災害復興の財政需要の拡大は、元々予定されるところだが、財源不足を国債に求め、デフレ状況下でも好調な輸出部門やIT関連企業からの税負担は採用せず、むしろ内部留保への特別措置など、大企業優遇が続いている。

そこに安全保障環境の悪化によるとする、防衛費についてGDPの2%負担を首相が国際会議の場で約束してしまった。1%増やすだけではなくて、従来の2倍にするということだ。世界第4位の軍事費大国になるということだ。

安倍政権に次いで、現政権も国会で議論せず、与党だけで調整し閣議決定で通してしまう。まさに国会という主権者の判断を仰ぐ機会を無視しているのだ。

子育て支援などと言うが

滅茶苦茶な国政の運営も、要約すると、大企業が今後の稼ぎ頭にしたい防衛産業を拡大するために、社会保障や格差解消のための財源を削って、大企業優先の財政運営をする。子育て支援などと言うが、今日のコラムの見出しは、2人の子育て中の若い女性の言葉である。日本という国に、何の期待もできないのだ。(地歴好きな土浦人)

70歳からの正しいわがまま《看取り医者は見た!》18

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自分を撮ってもらいました

【コラム・平野国美】先日、つくば市内で開かれた市民団体の講演会に呼ばれました。演題は拙著のタイトル「70歳からの正しいわがまま」です。私の仕事「訪問診療」で出会った患者さんとのやり取りなどに、私なりの解釈などを加えて話しました。

今、回収されたアンケートを読んでいるところです。22年間もこの仕事をしていると、変わるもの、変わらないものがあります。病名はほとんど変わりません。新型コロナが増えたぐらいです。変わっているのは、患者さんを取り巻く環境です。

いずれ詳しく書きたいと思いますが、今、患者さんに寄り添うのは御家族であることが少なくなってきました。独居と思いきや、そこに現れるのは同級生だったりします。内縁や不倫の関係者も現れます。また、ペットの犬や猫が家族以上の関係になっています。

講演会場に来られた良識の塊のような紳士淑女の方々には、内縁や不倫を絡めた話は抵抗があるかと思ったのですが、多くの方は「うらやましい」と受け入れていたようです。同じ日本人であっても、時代が変わり、世代が変わると、常識や価値観が変わるものです。

患者さんと話をしていると、そこに気がつくのです。例えば、日本を代表するアニメ「サザエさん」の家族状況を今の子供が理解できるでしょうか? 家の間取り、卓袱(ちゃぶ)台、家族関係などは理解不能でしょう。今、昔のドラマの再放送がされていますが、時代劇や古典劇を見ているような気がします。

変わる、病や死に対する考え

小学校の頃に見た「俺たちの旅」では、やたらタバコを吸いますし、殴り合いになります。学生運動をしていたことが発覚して就職できなくなることなど、今の大学生には理解できないでしょう。

患者さんの御宅で親子げんかをしているのを眺めていると、どちらも間違ってはいない、価値観の違いであろうと思うのです。戦前に生まれた親の世代からすれば「家や墓は守るもの」なのに、息子の世代は「いらない」になります。この価値観の変遷に気が付かないと、けんかは終わりません。

同じように、病や死に対する概念も変わっていくのです。このコラムでは、これまで「消えてゆく街並み」を書いてきましたが、これからは私の仕事を通して患者さんから学んだことも書きたいと思います。少し斜に構えれば、「庶民的な死生観」となるでしょう。(訪問診療医師)

「私たちは憲法の前でボーっとしてるんじゃないか」 つくばでデモ行進と集会

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デモ行進では「不安定」の文字が掲げられた

憲法記念日の3日、「憲法はボーっとしてんじゃねぇよメーデー」(主催:茨城アンダークラスメーデー実行委員会)と題して、市民団体がつくば駅周辺でデモ行進と憲法について考える集会を開催した。デモには県内外から16人が参加し、「アルバイトでも派遣でも生きていける社会を」「不当解雇するな」などと訴え、駅周辺を約1時間行進した。

ゴールデンウィークでにぎわうつくばセンター広場を行進する

集会では3人の話題提供者が、「地域に暮らす外国人の子どもの権利」、「思想・良心、学問の自由」、「憲法前文」などについて憲法をもとに問題意識を挙げると、来場者からは、職業や性差別、学歴、労働環境、在日外国人が置かれている環境など、日常の中で接する課題について意見が出され議論が交わされた。

デモと集会に参加した、東京・山谷で労働者を支援する向井宏一郎さんは「それぞれの地域には必ず厳しい環境で働く人がいる。(集会やデモをきかっけに)地元の支援団体が、労働問題を地域の生活問題として捉え、地域住民と関わることは重要」だと指摘する。

集会で配布された憲法前文のコピー

主催団体の加藤匡通さん(55)は「私たちは憲法の前でボーっとしてるんじゃないのか」と言い、「憲法は基本的人権と法の下の平等を規定し、職業選択の自由と勤労の権利と義務を記し、勤労者の団結権を保障している。しかし、それは紙の上だけのことではないのか。私たちはこれら憲法に書かれていることを、自らのものとしているのか」と疑問を投げかける。「人権が尊重されない職場で辞めることもできずに働き続ける人がいる。憲法が謳う基本的人権が空文化している。憲法に書かれている権利に対して、誰かがやってくれるだろうと思っていてはダメ。憲法を自分のこととして主体的に考えていかなければいけない」と、憲法記念日にメーデーをテーマとしたイベントを開催した意義を語った。(柴田大輔)

娘と父と、それから戦車《ことばのおはなし》69

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】最近、どういうわけか、夜な夜な娘と戦車のプラモデルを作っている。

一時期、戦車のアニメにはまっていた娘のために、妻が気まぐれで買ってきたのだ。しかし、箱を開けてみると接着剤が必要なタイプのプラモデルである。デフォルメされているといっても部品が結構細かい。

私はプラモデルは全く作らないのだが、私の父がその道に大変造詣が深いため、小さい頃からその手のモノたちに囲まれて育った。特に戦車のプラモデルが多かった気がする。関心はないのに育まれるもの、というのが世の中にはいろいろとあって、親の趣味というのもこれに該当する。

見ればわかるだろう、ということで、おもちゃ屋に行って、見覚えはあるのに名も知らぬ、しかし使い方は知っている道具たちを一式買って手伝うこととなった。あれだけの環境で育ったのにも関わらず自分の趣味にはならなかった戦車のプラモデルを、自分の娘と突然作ることになるのだから人生は相変わらずよくわからない。

こういう時間を大切にする

手伝うと言っても、半分以上の工程は私が作っている。一緒に説明書を読んで、該当する部品を探して、ニッパーで部品を切り離していく。最初は早く完成させたがっていた娘も、最近は落ち着いて作業を進めるようになってきた。見ているだけでも案外楽しいらしい。

そういえば、小さい頃に私も、こうして父に手伝ってもらいながらプラモデルを作ったことがあったな、とふと懐かしい気持ちになる。

自分の手を動かしてやったことというのは、案外よく覚えているものだ。「親と一緒に」というならなおさらだ。娘もそうなるかはわからないが、少なくとも私は「娘と一緒に」作ったことは忘れないだろう。だから、こういう時間は大切にしないといけない。

それにしても、実際に作っていると、もう少し良い道具が欲しいとか、塗装ってやっぱりやったほうがいいのか、などと雑念がわいてくる。凝りだすと大変なのは、よくよくわかっているはずなのだが。(言語研究者)

最近知った「うれしい変化」《医療通訳のつぶやき》8

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写真は筆者

【コラム・松永悠】最近SNSで偶然、ある投稿を目にしました。投稿者がどこかのアウトレットで買い物をしていると、3人の中国人男性客が、持参したお酒とおつまみを取り出してプチ宴会を始めたそうです。

どうやら買い物中の奥様を待っている感じで、しばらくすると戻ってきた奥さんと合流しました。「ゴミをそのままにするだろうなぁ」と思っていたら、3人がバッグからゴミ袋を取り出して、全部片付けただけでなく、さらにウェットティッシュでテーブルを拭いて、きれいにしてから帰っていったそうです。

「これまで自分の中では中国人観光客=マナーの悪い人と決めつけていた」と投稿が続き、また「どの国にもマナーの良い人、悪い人がいると改めて思った」とも。偶然目にしたこの投稿を読んで、素直にうれしく思いました。

「マネーありマナーなし」は昔の話

医療通訳の仕事柄、日本在住中国人、治療目的で来日する中国人と一緒にいる時間が長いです。私からすると、マナーに関しては年々よくなっています。今でもはっきり覚えているエピソードがあります。10年くらい前に担当した人間ドックのクライアントが院内のゴミ箱の中に直接痰(たん)を吐き出したのです。あまりに突然のことで阻止できず、私も病院の方も仰天しました。

このクライアントは田舎から出てきたお婆(ばあ)さんです。話を聞くと、娘さんがビジネスに成功した方で、親孝行の一環としてお母さんを日本に連れてきて、観光と人間ドックをプレゼントしたそうです。恐らく「ちゃんとゴミ箱の中に吐いたでしょ、何がダメなの?」くらいの感覚です。

他にも、平気で予約時間に大幅に遅刻するとか、病院内で電話するとか、いわゆる「マネーありマナーなし」の人がいました。

しかし状況がどんどん変わってきています。今では丁寧にごあいさつしたり、常に病院に迷惑をかけないように心がけたり、感謝を繰り返したりと、病院も医師も私もみんなにとってありがたいクライアントがほとんどです。

いびきを気にして個室を希望

今年に入ってからあるクライアントを担当するようになりました。心臓病を患っていて、さまざまな検査を経て今週入院して来週開胸手術を受けることになります。かなり大掛かりの手術で、入院も1カ月かかると言われています。

外国でこんな大きい手術を受けるなんて、心配や不安がいっぱいだと思います。しかしこの患者さんは全くそれを出さず、いつも「先生のご判断を信頼していますし、しっかり治療してくれると信じていますので、ご迷惑になるようなことはしません。できることは何でも協力します」とおっしゃいます。

検査入院した時も、自分のいびきが他の患者にとって迷惑になるかもしれないので、個室希望と自ら申し出て、それを聞いた看護師さんたちが大変感動しました。

医師・患者である前に、みんなそれぞれ一人ひとりの人間です。温かみのある言葉でコミュニケーションを取れば、国が違っても心が通じると信じています。そんなお手伝いをするのは医療通訳なのです。素敵(すてき)な仕事だと思いませんか。(医療通訳)

<参考> 医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。

誰もが安心して暮らせる社会の実現を つくばでメーデー集会 

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メッセージを書き込んだ手製の鯉のぼりを掲げるパレード参加者

メーデーの1日、TXつくば駅前の中央公園で、第95回つくば中央メーデー集会(同実行委員会主催)が開かれた。つくば市をはじめ県南、県西地域の研究機関、民間企業、自治体の労働組合など14団体、148人が集まり、「働くものたちの権利を守り、労働環境の改善、市民生活の向上、安心して暮らせる街づくり」を目指すとのメーデー宣言を採択した。

降雨のため予定より1時間縮小しての開催となった。集会後には50人余りがつくば駅周辺をパレードし、賃上げの実現や介護職員の待遇改善などを訴えた。

メーデー宣言を読み上げる前田啓つくば中央メーデー実行委員長

雨足が激しくなる中、予定より15分繰り上げて9時15分に集会が始まった。冒頭で、主催団体のつくば中央メーデー実行委員会の前田啓委員長(39)がメーデー宣言を読み上げた。

宣言では、物価高騰などを背景に労働者の実質賃金の低迷が続くとし、増加する税金や社会保障費の負担、拡大する格差と貧困を前に、安定した雇用環境の実現、労働者への大幅賃上げを求めた。また、先進国最下位である日本のジェンダーギャップ指数や増加する性暴力(DV)被害を背景にジェンダー平等の実現、能登や台湾での地震とコロナ禍を踏まえて、命と暮らしを守るための体制強化や関係者の処遇改善のほか、研究者の待遇改善を求めることが盛り込まれた。

さらに、原発に依存しない持続可能なエネルギーや社会の実現、東海第2原発の再稼働反対、憲法と民主主義を守り全ての人々の自由と命と暮らしが守られる平和な世界の実現を目指すとし、「働く者の団結で希望の持てる社会を次世代に繋ぐ」と決意が述べられた。

参加団体からは、低下し続ける実質賃金に対する物価高騰に見合った適切な生活保障の確立や、悪化する労働条件の改善と人員の適正配置、不均衡化する研究費の公平な再分配などが求められた。

雨の中をパレード

集会後、約50人がつくば駅周辺をパレードした

集会後は約30分にわたりパレードした。筑西市から参加した新井慶治さん(24)は「職場の先輩に誘われて初めて参加した。メーデーの意味について知るきっかけにもなったし、これから職場の環境をより良いものにしていきたい」と思いを語った。

パレードの先頭で掛け声を上げた憲法9条の会つくば共同代表の石上俊雄さん(65)は「強い雨の中だったが、やってよかった。若い方の参加もあった。『何をやっても社会は変わらない』と思いがちだが、あきらめてはいけない。厳しい時代だが、市民が声を上げることがより重要になる」と語った。(柴田大輔)

つくば市の過剰な管理職数の問題を考える《投稿》

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つくば市役所

現市政下で職員数と人件費が急増

【投稿・酒井泉】自治体の給与・定員管理などについては、総務省が示した統一の様式で公表されています。つくば市の場合は2013(平成25年)から22年(令和4年)までの数字が公表されています。以下、前市長時代と現市長下の職員数と人件費のデータを比較してみました。

▽市原市長時代(2013年→17年)
・人口: 1万1071人増(+5%)
・歳出額: 128億4千万円増(+19%)
・職員数: 11人減(-1%)
・人件費: 2億6千万円増(+2%)

▽五十嵐市長になってから(2017年→22年)
・人口: 1万9414人増(+8%)
・歳出額: 192億8千万円増(+24%)
・職員数: 206人増(+13%)
・人件費:+30億3千万円増(+20%)

市原市政下では、人口と歳出額が増えても職員数と人件費は増えていません。ところが五十嵐市政下では、人口増を上回る割合で職員数と人件費が増えています。

ちなみに、24年度予算では、人件費は22年に比べ26億円増え(+14%)、人件費の総額は212億円に達しています。この数字は、市民1人当たり8.3万円になります。16年は7.1万円ですから、五十嵐市政下で17%も増えたことになります。

係長級以上が一般行政職員の半分

22年の一般行政職員数は926人です。その内訳は、部長14人、次長29人、課長88人、課長補佐124人、係長級236人、一般職員435人―となっています。つまり、係長級以上の役職は491人になり、一般行政職員の53%も占めています。半数以上が係長級以上ということですから、民間企業で働いている市民はその多さに驚くでしょう。

組織の単位は何人ぐらいが最適か?

1人の人間が一般的に管理できる人数は、様々な研究から、おおむね5~8人、最大でも10人程度と言われています。2人以下の議論では偏った結論になりやすく、仕事のチームが10人を超えると急激にパフォーマンスが下がるという研究もあります(J.リチャード・ハックマン)。

近年、アマゾンの最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏は、「チームの最適な人数は2枚のピザを分け合える程度の5~8人である」という『2枚のピザ理論』を提唱しているそうです。

こういった研究結果から、多くの会社や組織では5人前後を最小の単位の「係」とし、その上に「課」や「部」などの上部組織を配置するピラミッド型の人事組織を採用しています。

つくば市の管理職は「望ましい組織」の2倍

組織単位を最低の5人とした場合、4人の係員に1人の係長、4人の係長に1人の課長、4人の課長に1人の部長となり、1つの部の総数は85人になります。そこで、「1つの部の人数を85人。部長1、課長4、係長16、係員64」を望ましい組織と考えて、人員構成の健全度を測る物差しにします。

これで組織作りをすると、22年のつくば市の一般行政職員数は926人なので、85人の部を11部設定したとすると、望ましい管理職構成は、部長11、課長44、係長176、一般職員695になり、管理職総数は231となります。

これに対し、同年の管理職数は、部長と次長が43人(物差しの3.9倍)、課長と課長補佐が212人(同4.8倍)、係長級が236人(同1.3倍)ですから、係長級より上の管理職総数は491人(同2.1倍)となります。つくば市の管理職数は明らかに過剰です。

市民とのコミュニケーションが不足

つくば市の場合、係長の下に一般職員が2人くらいしかおらず、市役所内の情報の共有と相談・協力体制が十分ではありません。このため、市の職員は市民と情報を共有して議論することができません。

「人事規律」を無視して職員を処遇するために管理職を増やすと、組織が細分化されたタテ割りの身分制となり、市民と市役所の間のコミュニケーション(民主主義の基本)が機能しなくなります。これは深刻な問題です。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)

問題解決と評価《続・気軽にSOS》149

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【コラム・浅井和幸】日々、問題の解決や改善を繰り返していると、人とのやり取りの中で「まどろっこしいなぁ」と感じることが多々あります。心理相談の時は相手のペースに合わせるのであまり感じないのですが、事業や生活での従業員や家族とのやり取りでは「しょっちゅう」という感じです。

そこで、「話が進まないこの違和感はどこに原因があるのだろうか?」という疑問が湧いてきます。それをつかめれば、コミュニケーションを改善でき、話を前に進めやすく、物事の改善がスピーディーにできますから。

133「人のせいするという生き方」(5月20日掲載)にも書いたように、人には「自分は悪くない。他の人や状況が悪いのだ」という考えがあります。これは、物事を改善するには悪いところを無くす必要がある、だから悪い状況や悪い人が変わればよい、悪いことをしていない自分は何も変えない―という考えにつながります。

変えることは悪いやつだと認めることになり、善人である自分は変える必要がない、と確信しているからです。

ほめる、たたえる、感動する、感謝する

より良くしていくという考えは、悪いことを良くするだけでなく、良い今よりもさらに良くするということも含まれます。この考えを持つことがかなり難しいということが一つの気付きでした。そして、そこには過去と今の評価を気にする、悪い評価を避けたいという心理が改善を妨げているということがあります。

未来を変えるには、今からの言動を変えていく必要があります。そして、どのように変えるかは、現状をより正確に把握する方がより効率がよいのです。ですが、人は質問攻めをされると、悪い評価を得るとか怒られるという不安に駆られるものです。人からだけでなく、自問自答を繰り返すと、気分が悪くなる人は多いのではないでしょうか。

ドラマの警察の取り調べのように質問を繰り返すと、回答しにくい状況になっていきます。なので、質問に対する回答があったら、ほめる、たたえる、感動する、感謝する言葉を相槌(あいづち)に混ぜ、「あなたを悪く評価していませんよ。高く評価しているよ」という気持ちを伝えることが大切なのです。

こちらからの質問に、「じゃあ、どうすればよかったんですか?」「私が悪いというのですか?」「何回も答えているじゃないですか」というような回答が出てきたら要注意です。現状把握をしたいだけで、責めているわけではないのに、そのような回答をもらいやすい人は、改善に対する考えが前のめりすぎる「せっかちなタイプ」かもしれません。(精神保健福祉士)

「竹」でイッポン! 並木中等6年生 保水性舗装研究引っ提げ米国へ

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自家製の竹繊維を手のひらに乗せて見せる野末紗良さん=並木中等教育学校

高校生たちが自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC2023(第21回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」で上位入賞した県立並木中等教育学校(つくば市並木、柴﨑孝浩校長)の野末紗良さんが5月、米国 ロサンゼルスで開かれる世界大会「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に日本代表として挑む。竹材から取った繊維を舗装材に使うことで保水性を高め、都市部で気温が上がるヒートアイランド現象の対策に活用できる可能性を示した。

野末さんは高校の3年生にあたる同校6年次生。昨年行われたJSEC2023に「竹繊維保水性舗装によるヒートアイランド現象への挑戦」をテーマに研究を発表した。全国174校の634人から、過去最多の343件の応募があり、審査でJFEスチール賞を受賞した。副賞として協賛社から学校に、100万円相当の位相差顕微鏡が贈られている。

理数系のコンテストに数多く参加し県内きっての実績を誇る同校だが、野末さんは科学部所属ではなく、中学入学時から剣道部員という異色の理系女子だ。母親が民間企業の研究職という家庭で育ったが、夏休みの自由研究などに熱中し、ずっと独力で取り組んできた。

剣道を始めて、竹刀を通じて素材としての竹に興味を持った。木刀と違って竹刀は打たれてもそんなに痛くない。竹がしなって衝撃を吸収するのは保水性のためと知った。入学しての3年間は素材研究に取り組み、竹を繊維化すると吸水性が向上し、繰り返し吸水できることを調べた。

5年次になって、保水性を生かした竹繊維の実用化研究に取り組んだ。舗装のすき間に吸水・保水性のある注入材を使う「保水性舗装」は、路面温度の上昇を抑える機能が注目され近年施工例を増やしている。水分の蒸発時に気化熱を奪って温度を下げる効果、いわゆる「打ち水」の原理に通じる。

コンクリートはセメントに砕石や水を加えて作るが、保水性舗装には吸水ポリマーやゼオライトなどの保水材を混ぜている。この材料を竹繊維に代えてサンプルを作り、吸水試験による他の吸水材との比較、経年劣化試験による耐候性及び疑似舗装を使った効果の検証を行った。

水酸化ナトリウム水溶液で竹繊維を作り、電子顕微鏡で観察するなどの研究は学校の実験室で行い、ホームセンターで購入した材料でサンプルのコンクリートを作って自宅で実験を繰り返した。その結果、通常のコンクリートに比べ路面温度が約5℃低くなる効果を確認できたという。

竹は周辺の竹林の孟宗竹、真竹を利用した。野末さんは「地域では(放置竹林が周囲に侵入、拡大する)竹害が深刻化している。竹繊維の利用を進めることでヒートアイランド以外の環境対策にもつながると思う」と語る。

5月12日から18日まで開催のISEFへは、JSEC2023で上位入賞した10研究が派遣される。並木中等科学部の粉川雄一郎教諭によれば、同校からは9年ぶり2人目の参加となる。現地では審査員を前に2分間のスピーチを含む15分間のプレゼンテーションを行う。発表やポスター展示の資料はすべてが英語だが、これらも準備作業を終えた。

「剣道では目立った成績は上げられなかったが、竹について真剣に5年間取り組めたのはよかった。アメリカでは竹への関心があまりないみたいなので、どんな反応が返ってくるか楽しみ」と野末さん。将来は「新素材・新材料の研究者になりたい」そうだ。(相澤冬樹)

ソメイヨシノとヤマザクラが同時に満開 気象と開花の謎

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つくば市神郡のヤマザクラ=4月7日撮影

【コラム・榎田智司】地球温暖化の影響なのか、今年も季節が早く進んでいる感じがする。筑波山麓では今春、ソメイヨシノとヤマザクラの開花と満開の時期がほぼ同時だった。

筑波山麓で活動するつくば環境フォーラムの理事、大塚太郎(54)さんは「今年はソメイヨシノとヤマザクラ、さらには桃までが、同時に咲いた印象がある。フキノトウ、タラノメなども一気に大きくなり、いきなり収穫という感じになった。近年の温暖化傾向はずっと続いており、今後の対策として12月に収穫するコメを作る計画をしている」と述べる。

北条大池公園の桜=4月9日撮影

ヤマザクラで有名な桜川市役所観光課に問い合わせると「毎年ヤマザクラはソメイヨシノよりも1週間ほど遅く開花していたが、今年はほぼ同時だった。暖冬傾向の中で3月上旬の気温が低かったためではないか」という。

水戸地方気象台の発表ではソメイヨシノの開花は3月31日、満開は4月8日。県内の開花は平年通りだったが、近年の温暖化傾向の中では、遅い桜とも感じた。一方、九州地方から東北地方南部までの開花の差が3日ほどしかなかった。

つくば市臼井地区の桃=4月7日撮影

振り返ると2024年の年明けは比較的温暖で、2月中旬には春を思わせる気温となり、このまま暖かくなるかなと思ったら、3月上旬は気温が下がり雪が降ったこともあった。ソメイヨシノは2月1日からの最高気温の積算が600度に達すると開花するという法則があるといわれるが、今年の開花時は積算が768度になっており、62年ぶりに予想が外れたといわれる。テレビでは気象予報士の森田正光さんが、これも暖冬の影響で、冬の間に十分な寒さがないと「休眠打破」が出来ずに開花が遅れたのではないかと推測していた。

一般に、ヤマザクラの開花は関西ではソメイヨシノより早く、関東では遅いと言われる。仮説としてあげられるのは、ソメイヨシノは1本の木から生まれたクローンだが、山桜には多様な種類があるために起こる現象ではないかとも言われているそうだ。開花と気候をめぐる謎は深まるばかりだ。(NEWSつくばライター)

宇宙へのあこがれ 80mのアートに 今井義明さん 1日から県つくば美術館

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制作物(アート)を並べた自宅前で展覧会への意欲を語る今井さん=かすみがうら市新治

画材一式を背負って世界各国をめぐり、現地で人間や環境をテーマにしたアート制作に取り組んできた画家の今井義明さん(81)=かすみがうら市在住=の展覧会が1日から県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まる。宇宙への思いのたけを幅1メートル×タテ1.7メートルのパネル80枚に描き、全作を横並びに連ねて展示するというスケールの大きな展示会で、「ゴールデンウイーク中の子供たちに観てほしい」と来場を呼び掛けている。

143回目となる展覧会は「未来へ宇宙オリンピア」がテーマ。人類の宇宙へのあこがれに、想像力を羽ばたかせたアクリル画80枚を展示室の中空に吊り下げる。1枚1枚のパネルを屏風状に連ねて吊り下げるため、美術館保有のワイヤーでは不足が生じ他館から調達して間に合わせるという前代未聞の展示法になる。

2点を横につなげた今井さんのパネル画の一部

1960年代に画業をスタートさせた今井さんは車に画材や生活用具一式を積み込み、全国各地で野外絵画展を開き、93年までに全国47都道府県を巡回した。97年からはバックパッカーとなって世界各国をめぐり、中国を皮切りに5大陸を踏破して 2006年には世界一周達成展を開催、20年の「万葉集・花展」までに142回の展覧会をこなし、人類や環境をテーマとしたアートを発表し続けてきた。

さらに宇宙へとイメージをふくらませた展覧会を東京五輪に合わせ20年に企画したが、折からのコロナ禍で断念。今回は早々につくば美術館のゴールデンウイーク中の日程を押さえ、4年越しの開催に漕ぎつけた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙センターが所在し、つくばエキスポセンターも最寄りに立地する美術館で、是非とも開きたかった会場という。

「宇宙への夢を実現するのはいつも子供たちだから、この奇想天外な世界に遊びに楽しんでほしい」と今井さん。4年前の制作物を描き替え、描き加えてパネルの総延長は約80メートルになる。照明を落とし宇宙に見立てた80メートルの空間を、子供たちが聖火トーチを持って走るイメージの趣向も考えているそうだ。(相澤冬樹)

◆今井義明展は5月1日(水)~6日(月)、県つくば美術館。入場無料。電話0299-59-4152(アートセンターイマイ)


乳がんについて知っておきたいこと《メディカル知恵袋》4

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筑波メディカルセンター病院

ありふれた病気

【コラム・乳腺科医師】乳がんは今や日本人女性の9人に1人が発症する時代となりました。好発年齢が40代および60代と社会や家庭で活躍する年齢層であり、乳がんの発症によりその重要な役割を充分に果たせなくなることは社会問題であると言えます。

罹患率こそ女性第1位でありますが、5年相対生存率(あるがんと診断された場合に治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つ)は92.3%(2009~11年:がん情報サービスがん統計より抜粋)と決して低くありません。ただし病期(ステージ)が進むにつれ治療も難しくなるので早期発見・早期治療が肝心です。

初期治療

乳がんの初期治療には、手術、放射線療法といった局所療法と薬物による全身療法があります。最適な治療方針を決定するためには組織診断と画像診断が不可欠です。乳がんが非浸潤(ひしんじゅん)がんか浸潤がんか、リンパ節やほかの臓器に転移をしていないかなど、がんの進行度や特性に応じて治療を行っていきます。

非浸潤がんは、乳管・小葉内にがんがとどまっている状態を指し、局所療法のみで根治可能です。浸潤がんは乳管・小葉周囲にがんが広がった状態であり、すでにリンパや血液の中にがんが潜んでいる可能性があることから、それらを根絶するために全身治療が必要となります。

局所療法

乳がんの手術は乳房と領域リンパ節にある病巣の切除からなります。乳房の手術は乳房をすべて切除する全切除と、病巣を切除する部分切除(乳房温存術)があります。乳房温存術は病巣が小さい、限局しているといった適応となる条件があり、術後は残った乳房に放射線療法を行う必要があります。全切除では、乳房の喪失感を補うために乳房再建術を同時に行うことも保険適用で可能です。

領域リンパ節の手術は、術前に明らかなリンパ節転移を認めない場合に「センチネルリンパ節生検」を行います。センチネルリンパ節とは、リンパ流に乗ったがん細胞が最初に転移するリンパ節のことです。センチネルリンパ節に転移を認めなかった場合にはそれより奥のリンパ節の郭清(根こそぎ切除する)を省略可能であり、上腕の浮腫や知覚鈍麻の発症を防ぐことができます。術前からリンパ節に転移を認める場合やセンチネルリンパ節に転移を認めた場合にはリンパ節を郭清(かくせい)します。

全身療法

薬物療法には、ホルモン療法、化学療法(抗がん剤治療)、分子標的薬療法、免疫療法があります。乳がんの約7割はホルモン受容体陽性で女性ホルモンの一種であるエストロゲンにより増殖が促されるため、エストロゲンを抑える治療を行います。

 HER2(がん細胞の増殖に関係するタンパク質)陽性乳がんには、抗HER2療法を用います。化学療法はがん細胞に対する効果が期待されると同時にがん以外の正常な細胞に影響を与える可能性があり、適応や使用には十分に注意します。

脱毛や悪心などに代表される副作用に対する支持療法も発展してきています。近年では、ホルモン療法にCDK4/6阻害薬という分子標的薬を併用したり、化学療法に自己の免疫を賦活化させる免疫療法を併用させたりすることで、再発予防効果が高まることが知られています。

遺伝も関連

乳がんの5~10%はその発症に遺伝が関連していると言われています。親から子に受け継がれる遺伝子に変化を認めることで、がんを発症しやすくなる体質のことを遺伝性のがんといいます。

その中でも、BRCA1またはBRCA2遺伝子に変化を認めることを「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)」といい、乳がんの約5%でみられます。生涯にわたり乳がん、卵巣がんを発症する確率が高いほか、前立腺がんや膵(すい)がんの発症とも関連していることがわかっています。HBOCの場合、がんを発症していない側の乳房や卵巣の予防的な切除や遺伝子の変化に対応した治療薬による治療を行うことが可能です。

1人ひとりに合った治療を提供

このように、乳がん治療は多岐にわたります。それに加え、仕事や学業、妊娠・出産、子育てなどの生活との両立に悩まれる方も多いのではないかと思います。治療のためだからといって、すべてを諦める必要はありません。必ずあなたに合った治療があると思います。私たちは、1人ひとりの患者さんに合った治療を提供していけるよう、日々診療を行ってまいります。(筑波メディカルセンター病院 医師)

山麓の田んぼに「逆さ筑波」出現

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つくば市国松から見た逆さ筑波(4月26日、肥田芳宣さん撮影)

田植えを前に田んぼに水が張られ、筑波山麓では「逆さ筑波」が現れ始めた。田んぼの水面が鏡となって筑波山が逆さに映る。

筑波山東側の石岡市に住む出版業、野末琢二さん(65)は、逆さ筑波を地域の魅力の一つとして捉え、2015年からフェイスブックで「逆さ筑波」の写真を募集し発信している。

毎年30点ほどの作品が集まる。二つ峰の逆さ筑波のほか、女体山が男体山に隠れて一つ峰になった逆さ筑波などが水面に映る。

野末さんは「田植え前に水が入る時期から、田植えが終わって早苗が成長して水鏡に山が映らなくなるまで、ちょうど4月下旬から6月上旬まで、わずかな時の逆さ筑波との出合いを大事にしたい」という。

野末さんが逆さ筑波を発信するようになったのは、11年の東日本大震災と12年の北条の竜巻災害がきっかけだ。「災害が2年続いて起き、精神的に落ち着かない日々だった。翌13年、桜の季節が終わり、田んぼに水が張られた頃、筑波山がぽっかりと水面に映っていた。逆さに映った筑波山がとっても新鮮で愛らしかった」と話す。逆さ筑波は毎年出現していたはずなのに、急に魅力的に感じられ、皆が撮った写真を募集してみようと思い立った。

つくば市大貫から見た逆さ筑波(2023年4月、肥田さん撮影)

山麓の同市神郡に住む肥田芳宣さん(58)は、地元をジョキングする合い間に逆さ筑波を撮影し、野末さんの呼び掛けに応じて毎年、写真を投稿している。

肥田さんによると撮影のポイントは「風が吹き始める午前6時前が狙い目。場所としては、西はつくば市寺具や筑西市赤浜、南はつくば市小田、北は桜川市樺穂まで」と言い、1枚の田んぼでは、水が張られてから田植えまで約1週間と、田植えから苗が成長するまで約3週間の1カ月間が撮影のチャンスだという。

筑波山麓ではほとんどが5月上旬までに田植えを終える。野末さんは間もなく、今年の逆さ筑波の写真の募集を開始する予定だ。

逆さ筑波は、風がない晴れた日に見ることができる。筑西市の母子島(はこじま)遊水池の逆さ筑波などが知られる。(榎田智司)

解消が進まない所有者不明土地問題《文京町便り》27

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】日本の土地利用に関してはこのところ、耕作放棄地、空き家問題、ゴミ屋敷問題、シャッター商店街に加えて、所有者不明土地問題も、人々の口の端に乗るようになっている。要するに、本来、公共的性格をもっているはずの土地利用が、街づくりや災害復旧の現場をはじめ、さまざまな局面で滞っていることの表れのようだ。

こうした問題に対応するため、国は近年、関連諸制度の見直しに取り組んでいる。2018年6月の「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)の制定を皮切りに、2020年3月には土地基本法が30年ぶりに見直され、土地の適正な「利用」と並んで、「管理」の重要性が土地政策の基本に位置付けられた。

同法では、法の対象とする「所有者不明土地」を、「相当な努力がはらわれたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地」(2条)と定義する。

2023年4月には改正民法が施行され、所有者不明土地や管理不全土地に特化した新たな管理制度や、相続制度・共有制度等に関する新規律の運用が始まった。同月には、所有者不明土地の予防策として、相続により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」もスタートした。

この「相続土地国庫帰属制度」は、申請要件として、管理コストの国への不当な転嫁や所有者が通常の管理を怠るなどのモラルハザードを防ぐ観点から、建物がある土地や境界が明らかでない土地等は不可であり、また、10年分の土地管理費相当額の負担金を納めることが必要とされる。

2023年4月27日に施行され、同年2月22日の事前相談開始から24年3月31日までの13カ月で2万件超の相談が寄せられ、申請件数は1905件、うち248件は国庫帰属が確定している。2024年4月からは相続登記の申請義務化も始まったので、この傾向は加速する可能性がある。これは事態改善への一歩前進である。

負担が重い土地所有者の探索

一方、人口減少下の国土管理の新たな手法として、国、都道府県、市町村、地域の各レベルで、土地管理の在り方を検討する「国土の管理構想」の仕組みが2021年6月に策定された。要するに、土地所有者の責務の明確化と「地域」の役割の重視、である。ポイントは、「所有者以外の者」すなわち「近隣住民・地域コミュニティ等」を、土地政策の担い手の一つとして明確に位置付けたことである。

具体的には、所有者不明土地対策の実施に要する費用の一部を国の直轄調査を通じて支援する「地域福祉増進事業」制度があり、全国展開を図るために先進的な取組の募集・採択が行われている(採択数は、2019年度6件、20年度7件、21年度7件など)。しかし、この制度を使って所有者不明土地の活用に至った事例は、新潟県栗島浦村(自治体)による1件に留まっている(2023年12月現在)。

スムーズな導入が進まない背景には、推進調査の実施主体の設定の難しさに加えて、土地所有者を探索する負担の重さがあるようだ。現状は、問題解決というより所在の端緒(たんちょ)に、着いたばかりである。(専修大学名誉教授)

まずこいのぼりで宙に 筑波宇宙センター 衛星「はくりゅう」打ち上げ目前

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はくりゅうのぼりを中央に3体のこいのぼりが泳ぐ=つくば宇宙センター




大型連休初日の27日、つくば市千現の宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターで、5月下旬に打ち上げが予定される地球観測衛星「EarthCARE(アースケア)」を知ってもらおうというイベントが開かれた。地域の親子連れ約60人が参加し、コイと竜と吹き流しの3体のこいのぼりが子供たちの手で掲揚された。

衛星事業の意味や意義を特に子供たちに知ってもらおうと開いた。イベントは「EarthCAREこいのぼりを宇宙にあげよう」と題し、衛星事業の紹介の後、親子で塗り絵によるミニこいのぼりを作成し、屋外に出て長さ3メートルの3体のこいのぼりを揚げた。

この日のこいのぼりは「はくりゅうのぼり」と名付けられた特注品。衛星が打ち上げに成功すれば、衛星の愛称が「はくりゅう」となることから、登竜門を上る白い竜の形状で作られた。

地球観測衛星EarthCAREの模型

EarthCAREは雲エアロゾル放射ミッション/雲プロファイリングレーダーの略称で、日本と欧州が協力して開発を進める地球観測衛星。搭載する4つのセンサー(雲プロファイリングレーダー、大気ライダー、多波長イメジャー、広帯域放射収支計)によって、雲、エアロゾル(大気中に存在するほこりやちりなどの微粒子)の全地球的な観測を行い、気候変動予測の精度向上に貴重なデータを提供する。

地球から400キロ離れた低軌道を周回する衛星のため、大きな寒暖差や酸素原子の衝突などに対応して多層断熱材が白色になった。総重量は2350キロあり、4つのセンサーのうち雲プロファイリングレーダー(CPR)をJAXAが開発している。直径2.5メートルの大型ミリ波アンテナを備えたレーダーだ。ドイツのエアバス社で衛星に組み立てられ、米国バンデンバーグに移送された。スペースX社のファルコン9により、5月下旬に打ち上げられる予定という。

先進レーダー搭載の気象衛星としてはH3ロケットにより6月30日に打ち上げられる「だいち4号」に比べ知られていないが、衛星の開発は1990年代に始まったという歴史がある。CPRプロジェクトの岡田和之サブマネージャー(43)は、入所以来20年間このプロジェクトに携わってきた。「震災やコロナ禍に振り回されたこともあってプロジェクトには曲折があった。ロケットも欧州宇宙機関(ESA)のヴェガでの打ち上げがロシアのソユーズに変更になりウクライナ情勢からファルコン9に切り替わった。今は無事打ち上がってくれることを願っている」という。

ミニこいのぼりの塗り絵を楽しんだ寺山未来さん

コイが白い竜になるまで20年かかった事業は、子供たちに継承されての長い取り組みになる。この日参加したつくば市の小学2年生、寺山未来さんは最後まで粘って塗り絵に取り組んだ。「コイのうろこ1つずつ色を変えて塗っていくのが大変だったけどとっても楽しかった。次は宇宙に行きたい」と目を輝かせた。(相澤冬樹)