日曜日, 12月 28, 2025
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つくば市の過剰な管理職数の問題を考える《投稿》

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つくば市役所

現市政下で職員数と人件費が急増

【投稿・酒井泉】自治体の給与・定員管理などについては、総務省が示した統一の様式で公表されています。つくば市の場合は2013(平成25年)から22年(令和4年)までの数字が公表されています。以下、前市長時代と現市長下の職員数と人件費のデータを比較してみました。

▽市原市長時代(2013年→17年)
・人口: 1万1071人増(+5%)
・歳出額: 128億4千万円増(+19%)
・職員数: 11人減(-1%)
・人件費: 2億6千万円増(+2%)

▽五十嵐市長になってから(2017年→22年)
・人口: 1万9414人増(+8%)
・歳出額: 192億8千万円増(+24%)
・職員数: 206人増(+13%)
・人件費:+30億3千万円増(+20%)

市原市政下では、人口と歳出額が増えても職員数と人件費は増えていません。ところが五十嵐市政下では、人口増を上回る割合で職員数と人件費が増えています。

ちなみに、24年度予算では、人件費は22年に比べ26億円増え(+14%)、人件費の総額は212億円に達しています。この数字は、市民1人当たり8.3万円になります。16年は7.1万円ですから、五十嵐市政下で17%も増えたことになります。

係長級以上が一般行政職員の半分

22年の一般行政職員数は926人です。その内訳は、部長14人、次長29人、課長88人、課長補佐124人、係長級236人、一般職員435人―となっています。つまり、係長級以上の役職は491人になり、一般行政職員の53%も占めています。半数以上が係長級以上ということですから、民間企業で働いている市民はその多さに驚くでしょう。

組織の単位は何人ぐらいが最適か?

1人の人間が一般的に管理できる人数は、様々な研究から、おおむね5~8人、最大でも10人程度と言われています。2人以下の議論では偏った結論になりやすく、仕事のチームが10人を超えると急激にパフォーマンスが下がるという研究もあります(J.リチャード・ハックマン)。

近年、アマゾンの最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏は、「チームの最適な人数は2枚のピザを分け合える程度の5~8人である」という『2枚のピザ理論』を提唱しているそうです。

こういった研究結果から、多くの会社や組織では5人前後を最小の単位の「係」とし、その上に「課」や「部」などの上部組織を配置するピラミッド型の人事組織を採用しています。

つくば市の管理職は「望ましい組織」の2倍

組織単位を最低の5人とした場合、4人の係員に1人の係長、4人の係長に1人の課長、4人の課長に1人の部長となり、1つの部の総数は85人になります。そこで、「1つの部の人数を85人。部長1、課長4、係長16、係員64」を望ましい組織と考えて、人員構成の健全度を測る物差しにします。

これで組織作りをすると、22年のつくば市の一般行政職員数は926人なので、85人の部を11部設定したとすると、望ましい管理職構成は、部長11、課長44、係長176、一般職員695になり、管理職総数は231となります。

これに対し、同年の管理職数は、部長と次長が43人(物差しの3.9倍)、課長と課長補佐が212人(同4.8倍)、係長級が236人(同1.3倍)ですから、係長級より上の管理職総数は491人(同2.1倍)となります。つくば市の管理職数は明らかに過剰です。

市民とのコミュニケーションが不足

つくば市の場合、係長の下に一般職員が2人くらいしかおらず、市役所内の情報の共有と相談・協力体制が十分ではありません。このため、市の職員は市民と情報を共有して議論することができません。

「人事規律」を無視して職員を処遇するために管理職を増やすと、組織が細分化されたタテ割りの身分制となり、市民と市役所の間のコミュニケーション(民主主義の基本)が機能しなくなります。これは深刻な問題です。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)

問題解決と評価《続・気軽にSOS》149

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【コラム・浅井和幸】日々、問題の解決や改善を繰り返していると、人とのやり取りの中で「まどろっこしいなぁ」と感じることが多々あります。心理相談の時は相手のペースに合わせるのであまり感じないのですが、事業や生活での従業員や家族とのやり取りでは「しょっちゅう」という感じです。

そこで、「話が進まないこの違和感はどこに原因があるのだろうか?」という疑問が湧いてきます。それをつかめれば、コミュニケーションを改善でき、話を前に進めやすく、物事の改善がスピーディーにできますから。

133「人のせいするという生き方」(5月20日掲載)にも書いたように、人には「自分は悪くない。他の人や状況が悪いのだ」という考えがあります。これは、物事を改善するには悪いところを無くす必要がある、だから悪い状況や悪い人が変わればよい、悪いことをしていない自分は何も変えない―という考えにつながります。

変えることは悪いやつだと認めることになり、善人である自分は変える必要がない、と確信しているからです。

ほめる、たたえる、感動する、感謝する

より良くしていくという考えは、悪いことを良くするだけでなく、良い今よりもさらに良くするということも含まれます。この考えを持つことがかなり難しいということが一つの気付きでした。そして、そこには過去と今の評価を気にする、悪い評価を避けたいという心理が改善を妨げているということがあります。

未来を変えるには、今からの言動を変えていく必要があります。そして、どのように変えるかは、現状をより正確に把握する方がより効率がよいのです。ですが、人は質問攻めをされると、悪い評価を得るとか怒られるという不安に駆られるものです。人からだけでなく、自問自答を繰り返すと、気分が悪くなる人は多いのではないでしょうか。

ドラマの警察の取り調べのように質問を繰り返すと、回答しにくい状況になっていきます。なので、質問に対する回答があったら、ほめる、たたえる、感動する、感謝する言葉を相槌(あいづち)に混ぜ、「あなたを悪く評価していませんよ。高く評価しているよ」という気持ちを伝えることが大切なのです。

こちらからの質問に、「じゃあ、どうすればよかったんですか?」「私が悪いというのですか?」「何回も答えているじゃないですか」というような回答が出てきたら要注意です。現状把握をしたいだけで、責めているわけではないのに、そのような回答をもらいやすい人は、改善に対する考えが前のめりすぎる「せっかちなタイプ」かもしれません。(精神保健福祉士)

「竹」でイッポン! 並木中等6年生 保水性舗装研究引っ提げ米国へ

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自家製の竹繊維を手のひらに乗せて見せる野末紗良さん=並木中等教育学校

高校生たちが自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC2023(第21回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」で上位入賞した県立並木中等教育学校(つくば市並木、柴﨑孝浩校長)の野末紗良さんが5月、米国 ロサンゼルスで開かれる世界大会「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に日本代表として挑む。竹材から取った繊維を舗装材に使うことで保水性を高め、都市部で気温が上がるヒートアイランド現象の対策に活用できる可能性を示した。

野末さんは高校の3年生にあたる同校6年次生。昨年行われたJSEC2023に「竹繊維保水性舗装によるヒートアイランド現象への挑戦」をテーマに研究を発表した。全国174校の634人から、過去最多の343件の応募があり、審査でJFEスチール賞を受賞した。副賞として協賛社から学校に、100万円相当の位相差顕微鏡が贈られている。

理数系のコンテストに数多く参加し県内きっての実績を誇る同校だが、野末さんは科学部所属ではなく、中学入学時から剣道部員という異色の理系女子だ。母親が民間企業の研究職という家庭で育ったが、夏休みの自由研究などに熱中し、ずっと独力で取り組んできた。

剣道を始めて、竹刀を通じて素材としての竹に興味を持った。木刀と違って竹刀は打たれてもそんなに痛くない。竹がしなって衝撃を吸収するのは保水性のためと知った。入学しての3年間は素材研究に取り組み、竹を繊維化すると吸水性が向上し、繰り返し吸水できることを調べた。

5年次になって、保水性を生かした竹繊維の実用化研究に取り組んだ。舗装のすき間に吸水・保水性のある注入材を使う「保水性舗装」は、路面温度の上昇を抑える機能が注目され近年施工例を増やしている。水分の蒸発時に気化熱を奪って温度を下げる効果、いわゆる「打ち水」の原理に通じる。

コンクリートはセメントに砕石や水を加えて作るが、保水性舗装には吸水ポリマーやゼオライトなどの保水材を混ぜている。この材料を竹繊維に代えてサンプルを作り、吸水試験による他の吸水材との比較、経年劣化試験による耐候性及び疑似舗装を使った効果の検証を行った。

水酸化ナトリウム水溶液で竹繊維を作り、電子顕微鏡で観察するなどの研究は学校の実験室で行い、ホームセンターで購入した材料でサンプルのコンクリートを作って自宅で実験を繰り返した。その結果、通常のコンクリートに比べ路面温度が約5℃低くなる効果を確認できたという。

竹は周辺の竹林の孟宗竹、真竹を利用した。野末さんは「地域では(放置竹林が周囲に侵入、拡大する)竹害が深刻化している。竹繊維の利用を進めることでヒートアイランド以外の環境対策にもつながると思う」と語る。

5月12日から18日まで開催のISEFへは、JSEC2023で上位入賞した10研究が派遣される。並木中等科学部の粉川雄一郎教諭によれば、同校からは9年ぶり2人目の参加となる。現地では審査員を前に2分間のスピーチを含む15分間のプレゼンテーションを行う。発表やポスター展示の資料はすべてが英語だが、これらも準備作業を終えた。

「剣道では目立った成績は上げられなかったが、竹について真剣に5年間取り組めたのはよかった。アメリカでは竹への関心があまりないみたいなので、どんな反応が返ってくるか楽しみ」と野末さん。将来は「新素材・新材料の研究者になりたい」そうだ。(相澤冬樹)

ソメイヨシノとヤマザクラが同時に満開 気象と開花の謎

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つくば市神郡のヤマザクラ=4月7日撮影

【コラム・榎田智司】地球温暖化の影響なのか、今年も季節が早く進んでいる感じがする。筑波山麓では今春、ソメイヨシノとヤマザクラの開花と満開の時期がほぼ同時だった。

筑波山麓で活動するつくば環境フォーラムの理事、大塚太郎(54)さんは「今年はソメイヨシノとヤマザクラ、さらには桃までが、同時に咲いた印象がある。フキノトウ、タラノメなども一気に大きくなり、いきなり収穫という感じになった。近年の温暖化傾向はずっと続いており、今後の対策として12月に収穫するコメを作る計画をしている」と述べる。

北条大池公園の桜=4月9日撮影

ヤマザクラで有名な桜川市役所観光課に問い合わせると「毎年ヤマザクラはソメイヨシノよりも1週間ほど遅く開花していたが、今年はほぼ同時だった。暖冬傾向の中で3月上旬の気温が低かったためではないか」という。

水戸地方気象台の発表ではソメイヨシノの開花は3月31日、満開は4月8日。県内の開花は平年通りだったが、近年の温暖化傾向の中では、遅い桜とも感じた。一方、九州地方から東北地方南部までの開花の差が3日ほどしかなかった。

つくば市臼井地区の桃=4月7日撮影

振り返ると2024年の年明けは比較的温暖で、2月中旬には春を思わせる気温となり、このまま暖かくなるかなと思ったら、3月上旬は気温が下がり雪が降ったこともあった。ソメイヨシノは2月1日からの最高気温の積算が600度に達すると開花するという法則があるといわれるが、今年の開花時は積算が768度になっており、62年ぶりに予想が外れたといわれる。テレビでは気象予報士の森田正光さんが、これも暖冬の影響で、冬の間に十分な寒さがないと「休眠打破」が出来ずに開花が遅れたのではないかと推測していた。

一般に、ヤマザクラの開花は関西ではソメイヨシノより早く、関東では遅いと言われる。仮説としてあげられるのは、ソメイヨシノは1本の木から生まれたクローンだが、山桜には多様な種類があるために起こる現象ではないかとも言われているそうだ。開花と気候をめぐる謎は深まるばかりだ。(NEWSつくばライター)

宇宙へのあこがれ 80mのアートに 今井義明さん 1日から県つくば美術館

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制作物(アート)を並べた自宅前で展覧会への意欲を語る今井さん=かすみがうら市新治

画材一式を背負って世界各国をめぐり、現地で人間や環境をテーマにしたアート制作に取り組んできた画家の今井義明さん(81)=かすみがうら市在住=の展覧会が1日から県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まる。宇宙への思いのたけを幅1メートル×タテ1.7メートルのパネル80枚に描き、全作を横並びに連ねて展示するというスケールの大きな展示会で、「ゴールデンウイーク中の子供たちに観てほしい」と来場を呼び掛けている。

143回目となる展覧会は「未来へ宇宙オリンピア」がテーマ。人類の宇宙へのあこがれに、想像力を羽ばたかせたアクリル画80枚を展示室の中空に吊り下げる。1枚1枚のパネルを屏風状に連ねて吊り下げるため、美術館保有のワイヤーでは不足が生じ他館から調達して間に合わせるという前代未聞の展示法になる。

2点を横につなげた今井さんのパネル画の一部

1960年代に画業をスタートさせた今井さんは車に画材や生活用具一式を積み込み、全国各地で野外絵画展を開き、93年までに全国47都道府県を巡回した。97年からはバックパッカーとなって世界各国をめぐり、中国を皮切りに5大陸を踏破して 2006年には世界一周達成展を開催、20年の「万葉集・花展」までに142回の展覧会をこなし、人類や環境をテーマとしたアートを発表し続けてきた。

さらに宇宙へとイメージをふくらませた展覧会を東京五輪に合わせ20年に企画したが、折からのコロナ禍で断念。今回は早々につくば美術館のゴールデンウイーク中の日程を押さえ、4年越しの開催に漕ぎつけた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙センターが所在し、つくばエキスポセンターも最寄りに立地する美術館で、是非とも開きたかった会場という。

「宇宙への夢を実現するのはいつも子供たちだから、この奇想天外な世界に遊びに楽しんでほしい」と今井さん。4年前の制作物を描き替え、描き加えてパネルの総延長は約80メートルになる。照明を落とし宇宙に見立てた80メートルの空間を、子供たちが聖火トーチを持って走るイメージの趣向も考えているそうだ。(相澤冬樹)

◆今井義明展は5月1日(水)~6日(月)、県つくば美術館。入場無料。電話0299-59-4152(アートセンターイマイ)


乳がんについて知っておきたいこと《メディカル知恵袋》4

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筑波メディカルセンター病院

ありふれた病気

【コラム・乳腺科医師】乳がんは今や日本人女性の9人に1人が発症する時代となりました。好発年齢が40代および60代と社会や家庭で活躍する年齢層であり、乳がんの発症によりその重要な役割を充分に果たせなくなることは社会問題であると言えます。

罹患率こそ女性第1位でありますが、5年相対生存率(あるがんと診断された場合に治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つ)は92.3%(2009~11年:がん情報サービスがん統計より抜粋)と決して低くありません。ただし病期(ステージ)が進むにつれ治療も難しくなるので早期発見・早期治療が肝心です。

初期治療

乳がんの初期治療には、手術、放射線療法といった局所療法と薬物による全身療法があります。最適な治療方針を決定するためには組織診断と画像診断が不可欠です。乳がんが非浸潤(ひしんじゅん)がんか浸潤がんか、リンパ節やほかの臓器に転移をしていないかなど、がんの進行度や特性に応じて治療を行っていきます。

非浸潤がんは、乳管・小葉内にがんがとどまっている状態を指し、局所療法のみで根治可能です。浸潤がんは乳管・小葉周囲にがんが広がった状態であり、すでにリンパや血液の中にがんが潜んでいる可能性があることから、それらを根絶するために全身治療が必要となります。

局所療法

乳がんの手術は乳房と領域リンパ節にある病巣の切除からなります。乳房の手術は乳房をすべて切除する全切除と、病巣を切除する部分切除(乳房温存術)があります。乳房温存術は病巣が小さい、限局しているといった適応となる条件があり、術後は残った乳房に放射線療法を行う必要があります。全切除では、乳房の喪失感を補うために乳房再建術を同時に行うことも保険適用で可能です。

領域リンパ節の手術は、術前に明らかなリンパ節転移を認めない場合に「センチネルリンパ節生検」を行います。センチネルリンパ節とは、リンパ流に乗ったがん細胞が最初に転移するリンパ節のことです。センチネルリンパ節に転移を認めなかった場合にはそれより奥のリンパ節の郭清(根こそぎ切除する)を省略可能であり、上腕の浮腫や知覚鈍麻の発症を防ぐことができます。術前からリンパ節に転移を認める場合やセンチネルリンパ節に転移を認めた場合にはリンパ節を郭清(かくせい)します。

全身療法

薬物療法には、ホルモン療法、化学療法(抗がん剤治療)、分子標的薬療法、免疫療法があります。乳がんの約7割はホルモン受容体陽性で女性ホルモンの一種であるエストロゲンにより増殖が促されるため、エストロゲンを抑える治療を行います。

 HER2(がん細胞の増殖に関係するタンパク質)陽性乳がんには、抗HER2療法を用います。化学療法はがん細胞に対する効果が期待されると同時にがん以外の正常な細胞に影響を与える可能性があり、適応や使用には十分に注意します。

脱毛や悪心などに代表される副作用に対する支持療法も発展してきています。近年では、ホルモン療法にCDK4/6阻害薬という分子標的薬を併用したり、化学療法に自己の免疫を賦活化させる免疫療法を併用させたりすることで、再発予防効果が高まることが知られています。

遺伝も関連

乳がんの5~10%はその発症に遺伝が関連していると言われています。親から子に受け継がれる遺伝子に変化を認めることで、がんを発症しやすくなる体質のことを遺伝性のがんといいます。

その中でも、BRCA1またはBRCA2遺伝子に変化を認めることを「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)」といい、乳がんの約5%でみられます。生涯にわたり乳がん、卵巣がんを発症する確率が高いほか、前立腺がんや膵(すい)がんの発症とも関連していることがわかっています。HBOCの場合、がんを発症していない側の乳房や卵巣の予防的な切除や遺伝子の変化に対応した治療薬による治療を行うことが可能です。

1人ひとりに合った治療を提供

このように、乳がん治療は多岐にわたります。それに加え、仕事や学業、妊娠・出産、子育てなどの生活との両立に悩まれる方も多いのではないかと思います。治療のためだからといって、すべてを諦める必要はありません。必ずあなたに合った治療があると思います。私たちは、1人ひとりの患者さんに合った治療を提供していけるよう、日々診療を行ってまいります。(筑波メディカルセンター病院 医師)

山麓の田んぼに「逆さ筑波」出現

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つくば市国松から見た逆さ筑波(4月26日、肥田芳宣さん撮影)

田植えを前に田んぼに水が張られ、筑波山麓では「逆さ筑波」が現れ始めた。田んぼの水面が鏡となって筑波山が逆さに映る。

筑波山東側の石岡市に住む出版業、野末琢二さん(65)は、逆さ筑波を地域の魅力の一つとして捉え、2015年からフェイスブックで「逆さ筑波」の写真を募集し発信している。

毎年30点ほどの作品が集まる。二つ峰の逆さ筑波のほか、女体山が男体山に隠れて一つ峰になった逆さ筑波などが水面に映る。

野末さんは「田植え前に水が入る時期から、田植えが終わって早苗が成長して水鏡に山が映らなくなるまで、ちょうど4月下旬から6月上旬まで、わずかな時の逆さ筑波との出合いを大事にしたい」という。

野末さんが逆さ筑波を発信するようになったのは、11年の東日本大震災と12年の北条の竜巻災害がきっかけだ。「災害が2年続いて起き、精神的に落ち着かない日々だった。翌13年、桜の季節が終わり、田んぼに水が張られた頃、筑波山がぽっかりと水面に映っていた。逆さに映った筑波山がとっても新鮮で愛らしかった」と話す。逆さ筑波は毎年出現していたはずなのに、急に魅力的に感じられ、皆が撮った写真を募集してみようと思い立った。

つくば市大貫から見た逆さ筑波(2023年4月、肥田さん撮影)

山麓の同市神郡に住む肥田芳宣さん(58)は、地元をジョキングする合い間に逆さ筑波を撮影し、野末さんの呼び掛けに応じて毎年、写真を投稿している。

肥田さんによると撮影のポイントは「風が吹き始める午前6時前が狙い目。場所としては、西はつくば市寺具や筑西市赤浜、南はつくば市小田、北は桜川市樺穂まで」と言い、1枚の田んぼでは、水が張られてから田植えまで約1週間と、田植えから苗が成長するまで約3週間の1カ月間が撮影のチャンスだという。

筑波山麓ではほとんどが5月上旬までに田植えを終える。野末さんは間もなく、今年の逆さ筑波の写真の募集を開始する予定だ。

逆さ筑波は、風がない晴れた日に見ることができる。筑西市の母子島(はこじま)遊水池の逆さ筑波などが知られる。(榎田智司)

解消が進まない所有者不明土地問題《文京町便り》27

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】日本の土地利用に関してはこのところ、耕作放棄地、空き家問題、ゴミ屋敷問題、シャッター商店街に加えて、所有者不明土地問題も、人々の口の端に乗るようになっている。要するに、本来、公共的性格をもっているはずの土地利用が、街づくりや災害復旧の現場をはじめ、さまざまな局面で滞っていることの表れのようだ。

こうした問題に対応するため、国は近年、関連諸制度の見直しに取り組んでいる。2018年6月の「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)の制定を皮切りに、2020年3月には土地基本法が30年ぶりに見直され、土地の適正な「利用」と並んで、「管理」の重要性が土地政策の基本に位置付けられた。

同法では、法の対象とする「所有者不明土地」を、「相当な努力がはらわれたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地」(2条)と定義する。

2023年4月には改正民法が施行され、所有者不明土地や管理不全土地に特化した新たな管理制度や、相続制度・共有制度等に関する新規律の運用が始まった。同月には、所有者不明土地の予防策として、相続により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」もスタートした。

この「相続土地国庫帰属制度」は、申請要件として、管理コストの国への不当な転嫁や所有者が通常の管理を怠るなどのモラルハザードを防ぐ観点から、建物がある土地や境界が明らかでない土地等は不可であり、また、10年分の土地管理費相当額の負担金を納めることが必要とされる。

2023年4月27日に施行され、同年2月22日の事前相談開始から24年3月31日までの13カ月で2万件超の相談が寄せられ、申請件数は1905件、うち248件は国庫帰属が確定している。2024年4月からは相続登記の申請義務化も始まったので、この傾向は加速する可能性がある。これは事態改善への一歩前進である。

負担が重い土地所有者の探索

一方、人口減少下の国土管理の新たな手法として、国、都道府県、市町村、地域の各レベルで、土地管理の在り方を検討する「国土の管理構想」の仕組みが2021年6月に策定された。要するに、土地所有者の責務の明確化と「地域」の役割の重視、である。ポイントは、「所有者以外の者」すなわち「近隣住民・地域コミュニティ等」を、土地政策の担い手の一つとして明確に位置付けたことである。

具体的には、所有者不明土地対策の実施に要する費用の一部を国の直轄調査を通じて支援する「地域福祉増進事業」制度があり、全国展開を図るために先進的な取組の募集・採択が行われている(採択数は、2019年度6件、20年度7件、21年度7件など)。しかし、この制度を使って所有者不明土地の活用に至った事例は、新潟県栗島浦村(自治体)による1件に留まっている(2023年12月現在)。

スムーズな導入が進まない背景には、推進調査の実施主体の設定の難しさに加えて、土地所有者を探索する負担の重さがあるようだ。現状は、問題解決というより所在の端緒(たんちょ)に、着いたばかりである。(専修大学名誉教授)

まずこいのぼりで宙に 筑波宇宙センター 衛星「はくりゅう」打ち上げ目前

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はくりゅうのぼりを中央に3体のこいのぼりが泳ぐ=つくば宇宙センター




大型連休初日の27日、つくば市千現の宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターで、5月下旬に打ち上げが予定される地球観測衛星「EarthCARE(アースケア)」を知ってもらおうというイベントが開かれた。地域の親子連れ約60人が参加し、コイと竜と吹き流しの3体のこいのぼりが子供たちの手で掲揚された。

衛星事業の意味や意義を特に子供たちに知ってもらおうと開いた。イベントは「EarthCAREこいのぼりを宇宙にあげよう」と題し、衛星事業の紹介の後、親子で塗り絵によるミニこいのぼりを作成し、屋外に出て長さ3メートルの3体のこいのぼりを揚げた。

この日のこいのぼりは「はくりゅうのぼり」と名付けられた特注品。衛星が打ち上げに成功すれば、衛星の愛称が「はくりゅう」となることから、登竜門を上る白い竜の形状で作られた。

地球観測衛星EarthCAREの模型

EarthCAREは雲エアロゾル放射ミッション/雲プロファイリングレーダーの略称で、日本と欧州が協力して開発を進める地球観測衛星。搭載する4つのセンサー(雲プロファイリングレーダー、大気ライダー、多波長イメジャー、広帯域放射収支計)によって、雲、エアロゾル(大気中に存在するほこりやちりなどの微粒子)の全地球的な観測を行い、気候変動予測の精度向上に貴重なデータを提供する。

地球から400キロ離れた低軌道を周回する衛星のため、大きな寒暖差や酸素原子の衝突などに対応して多層断熱材が白色になった。総重量は2350キロあり、4つのセンサーのうち雲プロファイリングレーダー(CPR)をJAXAが開発している。直径2.5メートルの大型ミリ波アンテナを備えたレーダーだ。ドイツのエアバス社で衛星に組み立てられ、米国バンデンバーグに移送された。スペースX社のファルコン9により、5月下旬に打ち上げられる予定という。

先進レーダー搭載の気象衛星としてはH3ロケットにより6月30日に打ち上げられる「だいち4号」に比べ知られていないが、衛星の開発は1990年代に始まったという歴史がある。CPRプロジェクトの岡田和之サブマネージャー(43)は、入所以来20年間このプロジェクトに携わってきた。「震災やコロナ禍に振り回されたこともあってプロジェクトには曲折があった。ロケットも欧州宇宙機関(ESA)のヴェガでの打ち上げがロシアのソユーズに変更になりウクライナ情勢からファルコン9に切り替わった。今は無事打ち上がってくれることを願っている」という。

ミニこいのぼりの塗り絵を楽しんだ寺山未来さん

コイが白い竜になるまで20年かかった事業は、子供たちに継承されての長い取り組みになる。この日参加したつくば市の小学2年生、寺山未来さんは最後まで粘って塗り絵に取り組んだ。「コイのうろこ1つずつ色を変えて塗っていくのが大変だったけどとっても楽しかった。次は宇宙に行きたい」と目を輝かせた。(相澤冬樹)

スミレ… 春の野草【宍塚の里山】112

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(左から)アオイスミレ、キンラン、ジロボウエンゴサク

【コラム・鶴田学】春の野草で、まず思い浮かべるのは、スミレ類でしょうか。宍塚の里山で最初に姿を見せるのは、アオイスミレ(写真左)。葉がフタバアオイに似ていることから、名がつけられています。ちなみに、徳川家で有名な「三つ葉葵(あおい)」は、フタバアオイから紋様(もんよう)化されているそうです。

次に、本格的に花をつけるのはタチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、コスミレ、ノジスミレなど。これに続き、ヒメスミレ、ツボスミレがやや遅れて、花を見せてくれます。本家のスミレは、このところ、あまり姿を見せません。かえって、道端などで見かけることが多いようです。

早春には、スプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれる華奢(きゃしゃ)な小さな花たちをみることができます。林の木々が葉を広げないうちに、春の太陽の光を浴びる戦略をとっている植物たちですね。早秋の短い期間に花をつけ、種をつけると共に、すぐに枯れて、1年の大半を地中過ごし、地下茎などに栄養を蓄えるのだそうです。

カタクリなどが有名ですが、宍塚の里山では、ヤマエンゴサク、ジロボウエンゴサク(写真右)、イチリンソウなどを見ることができます。見ごろは数週間なので、運がよければということになります。このなかで、ジロボウエンゴサクは儚(はかな)げで、特にお気に入りです。

ちなみに、タロボウ(太郎坊)はスミレで、ジロボウ(次郎坊)で、それぞれ、距(きょ=花の基部から伸びる袋状の部分)が長いので、子どもたちが引っかけて遊んだそうです。

自然環境は持ち帰れません

紹介したい春の野草は色々ありますが、4月下旬から5月初めになると、林の中で目立つのは、キンラン(写真中央)やギンランです。実は、この植物たちは、手入れされた里山環境でしか生き延びることができないとされ、里山の減少とともに、絶滅危惧種に指定されています。

春の時期に十分太陽の光が地面に届くように手入れされた環境が必要だけでなく、コナラなどブナ科の樹木とその根で共生している菌根菌(きんこんきん)と一緒生きているためです。

宍塚の里山では、里山の保全活動を進めてきており、毎年のようにキンラン、ギンランなどを見ることができるようになりました。自然環境を持ち帰ることはできません。是非、一緒に見守り、大切にしてもらいたいと思います。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

科博の国産旅客機「YS-11」 航空宇宙技術遺産に認定

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「YS-11」量産初号機を展示する科博廣澤航空博物館=筑西市ザ・ヒロサワ・シティ

2月からヒロサワで展示

国立科学博物館(篠田謙一館長)が所有する国産旅客機「YS-11」の量産初号機が19日、日本航空宇宙学会から航空宇宙技術遺産に認定された。同機は今年2月からテーマパーク、ザ・ヒロサワ・シティ(筑西市)内の科博廣澤航空博物館で一般公開されている(2月1日付)。

戦後の航空機産業の空白後に、再び航空機設計の基礎技術を確立し蓄積したエポックメーキングな機体であることなどが評価された。

YS-11は、国内唯一の純国産民間旅客機として国の支援を受けて開発され、性能や経済性などが世界的に評価され活躍した。ヒロサワで公開されている機体は量産初号機で、現存するYS-11の中では試作機を除いて最古となる。1965年3月に運輸省航空局(当時)に納入され、日本の飛行安全を確認する点検機として2万時間を超えて飛行した実績がある。

2007年には機械遺産(日本機械学会)、08年には「重要航空遺産」(日本航空協会)に認定された。

羽田空港内の格納庫で保管されていたが、2020年にグラウドファンディングによる支援を得て、筑西市のヒロサワに移設し組み立てられた。21年3月、同館とザ・ヒロサワ・シティが一般財団法人科博廣澤航空博物館(廣澤清代表)を設立し、今年2月11日から一般公開されている。

同館産業技術史資料情報センターの前島正裕センター長は「長いこと保有し、やっと皆さんに見ていただけるようになった中、航空宇宙技術遺産として技術や機体の重要性を認定いただき、感謝申し上げたい。多くの皆さんにご覧いただければ」と話している。

航空宇宙技術遺産は、日本航空宇宙学会が日本の航空宇宙技術発展史を形づくる画期的な製品及び技術を顕彰して、後世に伝え、今後の航空宇宙技術の発展に寄与することを目的に認定している。23年からスタートし、第1号として6件、今年はYS-11を含め8件が認定され、認定件数は計14件になる。今年の8件のうち、2件は国立科学博物館が所有する製品で、もう1件は同館上野本館(東京都台東区上野公園)に展示されている超小型のペンシルロケットが併せて認定された。

市営みどりのプール 27日オープン つくば

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25メートルプールが2槽あるみどりのプール

つくば市営の温水プール「みどりのプール」が27日、TXみどりの駅近くの同市みどりの南にオープンする。平日午前中は市内の小中学校9校がそれぞれプールの授業を実施し、午後などは市民が利用できる。会議室やトレーニングルームもある。同市の温水プールはつくばウエルネスパーク(同市山木)に次いで2カ所目。

温水プールは25メートルプールが2槽設置されている。1槽は7コースあり、最大水深1.3メートルで水深の調整が可能な可動床になっている。もう1槽は6コースで、水深1.1メートル、車椅子用スロープが設置されている。水温は30~31度、プールサイドは床暖房で、体を温める採暖室もある。幼児用プールとして水深50センチ、直径5メートルの円形プールも設置されている。

幼児用プール

小中学校の利用は5~12月の午前9時~午後0時30分で、学校にプールがない、みどりの南小中、研究学園小中、香取台小などTX沿線の新設校と、児童生徒数が増加し自校のプールでは足りない学園の森、みどりの学園義務教育学校、島名小のほか、真瀬小の児童生徒計約6000人がそれぞれ年3回程度、バスで行き来し利用する計画だ。

更衣室は、LGBTQなど性的少数者に配慮し、男女それぞれの更衣室に個室を備えているほか、車椅子の障害者などが利用しやすいようロッカーの高さを調整しシャワーやトイレと一体的に利用できる「だれでも更衣室」も設けられている。

だれでも更衣室

ほかにダンスや体操などができる壁一面鏡張りのトレーニングルーム(約120平方メートル)と、可動の間仕切りで3パターン利用できる会議室(90平方メートル)がある。TX沿線のみどりの地区には公共の集会施設が無く、地域住民が集まりなどで利用できる会議室が整備されるのは初めて。会議室の利用が無い時は開放し、コミュニティスペースとして市民が自由に利用できるようにする。

環境にも配慮し、コジェネレーションシステムによりガスでプールの温水を沸かし、同時に発生する電気で施設の使用電力の一部をまかなうほか、発電量50キロワットの太陽光発電設備を取り付け、エネルギー使用量を50%削減する。

トレーニングルーム

施設の運営は、筑波大の野村武雄名誉教授が代表を務めるNPOつくばアクアライフ研究所(つくば市島名)と東京アスレティッククラブ(東京都中野区)で構成するつくばアクアティックグループが指定管理者となり管理運営する。ほかに、水泳やダンス、ヨガ教室などの自主講座や、小学生対象の放課後運動教室を開催する。市が事業者に支払う24年度の指定管理料は年間約3900万円、プールや会議室などの利用料金と自主教室の受講料などは指定管理者の収入となる。指定期間は3年間。

施設は敷地面積約2万5000平方メートル、プールがある建物は鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、延べ床面積約2900平方メートル。2022年10月から建設工事に着工し1年半かけて完成した。用地購入費も含めた総事業費は約35億円。

会議室の壁を取り払った状態のコミュニティスペース(つくば市提供)

市スポーツ施設課の武笠健一課長は「環境に配慮し、障害のある人でもだれでも使っていただけるよう設計した。皆さんに来ていただけたら」と話している。

みどりのプールの場所はもともと学校用地で、みどりの南小の建設予定地として市が約8億5000万円で県有地を購入したが、産業廃棄物処理施設が近くにあること、高圧線の近くに位置することなどから議会で心配の声が上がり、市は、みどりの南小を約600メートル南の現在地に移転し、代わって小中学校が利用する屋内プールを建設した経緯がある(2020年6月2日付)。

みどりのプール外観

◆みどりのプールはつくば市みどりの南14-1。一般市民の利用時間は5~12月の平日が午後1~9時、学校の利用がない土日祝日と1~4月は午前9時~午後9時。休館日は毎月第2、第4月曜など。▷プール利用料金はつくば市民が大人1回550円(つくば市以外は820円)、子供・高齢者270円(同400円)、障害者180円(同240円)など▷トレーニングルームは同市民が1時間全室一般1100円(同1650円)、半室550円(同820円)など▷会議室は同市民が1時間当たり小会議室150円(同220円)、中会議室310円(同460円)、大会議室460円(同680円)など。つくば市在住、在勤、在学者であることを証明する免許証や学生証などの提示が必要。駐車場は200台分あり無料。詳しくは電話029-896-6870。

壁なくす交流の場に つくば在住スリランカ人 28日 母国の正月祭り

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正月祭り恒例のパン食い競争。毎年大いに盛り上がる(スリランカのお正月祭り実行委員会提供)

つくば市在住のスリランカ人らによる「スリランカお正月祭り」が28日、同市花畑の花畑近隣公園で開かれる。スリランカの新年は4月。正月祭りの主催団体「スリランカお正月祭り実行委員会」で活動する市内在住のニルマール・ペレラさん(46)は「たくさんのスリランカ人が住んでいるが、地域の人と交流する機会は限られている」と言い、「お互いの壁をなくせるような交流の場にしたい」と思いを語る。

2023年6月末時点で県内には3614人のスリランカ人が暮らしている。全国で3番目に多く、人口10万人当たりに換算すると国内最多となる。つくば市には昨年1月末時点で399人が暮らす。

「地域との交流の場にしたい」と話すペレラさん

留学生のレクリエーションが始まり

つくばでスリランカの正月祭りが始まったのは約10年前。筑波大学で学ぶスリランカ人留学生たちが集まり、食事をしたりレクリエーションをしたのが始まりだったとペレラさんは言う。当初は学生中心だったが、つくば市や周辺で働くスリランカ人たちにも輪が広がった。市内で妻と3人の子どもと暮らすペレラさんが参加したのは2018年から。その後コロナ禍で2年間開催できなかった。昨年3年ぶりに再開すると、100人余りの同胞人や日本人が参加した。

ミルクライス食べる儀式から

スリランカでは太陽がうお座からおひつじ座に移ったときに年が変わるとされており、占星術師たちが毎年その時間を国民に知らせる。4月中旬ごろになるが、今年は4月13日午後9時5分に新年を迎えた。

占星術師が年明けの時刻を予告すると、その前後に何もしてはいけない時間帯がある。年が明けてから初めてかまどに火を入れ、器にココナッツミルクとライスを入れて沸騰させ吹きこぼし、新年最初の食事はココナッツミルクで作るミルクライスを食べる。仕事を始める時間も、占星術師によって決められた時刻に行うのが慣習だ。「吹きこぼし儀式」「食べ始めの儀式」は、五穀豊穣を祈るものとされる。

スリランカで楽しまれている綱引きも行われる(同)

つくばの正月祭りでも母国の儀式をもとに、ミルクを器に注ぎ、ココナッツオイルに火を入れて、ミルクライスを食べる儀式からスタートする。その後は、母国でするのと同様に、ダンスや綱引き、マラソン大会、パン食い競争、口に加えたスプーンにレモンを載せて走るなど、さまざまなレクリエーションを参加者同士で楽しみつつ、用意された食事に舌鼓を打つ。

10年以上続く中で地域の日本人との交流も少しずつ広がった。今年は家庭で備える防災について、外国人にもわかりやすくやさしい日本語と英語で表現した「防災かるた」を使い、考案者であるつくば市在住の防災士、水谷浩子さんを招いてカルタ大会を初めて開く。

昨年開催された「スリランカのお正月祭り」の集合写真(同)

子どもたちが母国文化と接する機会

ペレラさんは「日本で生まれたスリランカ人の子どもがたくさんいる。多くは地域の学校に通っていて、スリランカの文化に触れる機会が限られる。使う言葉も日本語が中心。一方で、つくばには沢山の外国人が暮らしているが、地域との関わりを持てずに暮らしている大人も多い。子どもたちにとってはスリランカ文化と接する機会に、大人たちにとっては地域との交流の場になるといい」と話し、「将来的には日本とスリランカ、互いの文化が持つ良い面が混ざり合い、つくばだからこその新しい文化が育っていくきっかけになれば」と思いを語る。(柴田大輔)

◆「スリランカのお正月祭2024+防災」は4月28日(日)午前9時~午後5時、つくば市花畑3-11-5の花畑近隣公園で開催。参加費無料。

大地震など緊急事の薬《くずかごの唄》138

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】最近、処方箋に「残薬調整」と書かれているのを持ってくる人が多くなった。いい傾向である。そういうとき、我々薬剤師は、患者さんが前にもらった分の残薬を入れて、調剤する。

「残薬調整と処方箋に書いてありますので、すみませんが、残薬を見せて下さい」

家に残っている薬の数を紙に書いて持ってくる人もいるが、私は実物を見せてもらっている。薬を大事に保存している人の中に、期限が切れた昔の薬が混ざっていることがあるので、私は必ず錠剤の形や色などを点検して、期限を確かめている。

自分の薬は自分で持って逃げる

「随分たくさん、薬が残ってしまいましたね」

「ハイ。引き出しを整理したら、いつの間にか、こんなにたくさん…」

「大地震があったときの『緊急事態用』に、1週間分ぐらい別にして、救急カバンに入れておいたらいいと思いますけど」

「救急カバンなんて、ないわ」

「自分で作るしかないですよ」

「避難するような大地震なんか、この辺りであるわけないと思いますが…」

「関東大震災から100年です。もしかして地震があって、万一避難するとき、自分の薬だけは自分で守って持っていく。そういうときのために、自分用の救急袋を作っておいたらいいと思いますけど…」

「能登半島の地震のとき、薬はどうしたのでしょう」

「さあ、わかりませんが、防災は個人個人違うと割り切って、大切なものを大事に保管しておいたらいかがでしょう」

無いと困る血圧や心臓の薬

医療の不備だった事例はいろいろ報道されているけれど、薬は、個人個人あまりに違いがありすぎるせいか、あまり報道されていない。薬剤師会の中に「災害時情報共有システム」という組織が地域ごとにあるが、電気もない中でどう働くのか、私にもわからない。

血圧の薬。心臓の薬。1週間以上休薬することができない薬は多い。薬はかさばるものではない。せめて自分のいつもの薬くらいは、緊急時に持って避難することを心掛けてほしい。(随筆家、薬剤師)

研究学園駅近くにBBQ広場 つくば薫製手作り工房がオープン

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薫製肉直販所

つくば学園の森 薫製手造り工房(つくば市二の宮、塚崎雅之社長)は25日、ベーコン、ハム、ソーセージ、スモークチキンなどの直販所にバーベキュー(BBQ)広場を併設した「Bella Foresta TSUKUBA(ベラ・フォレスタ つくば)」をTX研究学園駅から約1キロのつくば市西大橋にオープンした。イタリア語のベラ・フォレスタは美しい森という意味で、森林を切り開いたエリアで薫製肉を焼いて食べられる。

直販店舗内

10数本の大木を残した新施設の広さは1200坪(4000平方メートル)。ここに、薫製肉販売店、BBQゾーン、ハム・ソーセージ造り体験施設、ドッグランなどが広がる。真壁石を磨いて造られたBBQ用のテーブルとイスは20セット用意されている。駐車場は隣接地に約50台分。

BBQ広場

塚崎社長は「研究学園駅から1キロ、つくば駅から1.5キロの場所。タクシーだと1メーターと両駅から近い。旧村落に残っていた森林を買い取り、市民が集える場に整備した。キッチンカーが営業できる区画も設けたので、業者さんは店を出してほしい」と語る。

つくば市内を貫くエキスポ通りから約200メートルのところに位置し、自動車でのアクセス性もよい。

案内ボード

当面は薫製肉販売とBBQが中心になるが、今秋にはフランスパンとジェラートの店もオープンする。場所は同広場第2駐車場そばの元飲食店舗。塚崎社長は「今、社員2人をイタリアで研修させている。ハムやソーセージをパンに挟んで食べ、イタリア風アイスも楽しんでもらいたい」は話す。(岩田大志)

◆同店はつくば市西大橋59-7。問い合わせは電話029-846-0186(同店)。ホームページは現在制作中。

➡塚崎さんの過去記事「電気工事会社 …ハム工房を経営…【キーパーソン】」はこちら

団体客から個人客にシフト 「亀の井ホテル 筑波山」オープン

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宴会場を改装し2階に新設されたビュッフェレストラン

筑波山中腹のつくば市筑波に「亀の井ホテル 筑波山」が23日、リブランドオープンした。昨年9月末、「筑波山温泉 つくばグランドホテル」が米国の投資ファンドに譲渡され(23年8月10日付)、同ファンド子会社でホテル運営会社のマイステイズ・ホテル・マネジメント(東京都港区)が客室やレストランなどの改修を実施していた。つくばグランドホテルは団体客の利用が多かったが、新たなホテルは家族連れやペットとの旅行、サイクリングなど多彩なスタイルで旅行する個人客を主なターゲットとする。訪日外国人の誘客も目指す。

客室は、小さな子供を持つファミリー向けのキッズルームや、3世代で宿泊できるファミリールーム、愛犬と宿泊できるペットルームなど新たな客室が新設された。

二段ベットや秘密の隠れ家があるキッズルーム

食事は、団体客向けの宴会場を無くし、2階にビュッフェ形式のレストランを新設。常陸牛の焼きしゃぶ、県産キノコを使ったきのこ鍋、県産食材でアレンジする山海丼のほか、朝食は納豆の食べ比べができるなど、県産の食材を使った豪華な食事を自由に取り分けて食べられるようにした。ビュッフェ形式は筑波山にある五つの観光ホテルで初めてという。

7階の露天風呂は、今まであった柵を取り払い、関東平野や富士山、日光連山などの大パノラマが望める絶景の露天風呂に改装した。

7階のインフィニティ露天風呂

ロビーラウンジがある3階は、家族や友人とリラックスしたり交流できる空間としてゲームやトランプなどができるゲームエリアを新設した。

今後さらに、自転車を客室に持ち込めるサイクルルーム、部屋の中から関東平野の景観を楽しめるハリウッドパノラマビュールームなどを新設し、7月6日にグランドオープンする予定。

24日は関係者を集めて内覧会が催され、新装施設が案内された。ロビーラウンジがある3階南側には広いデッキが広がり、関東平野が見渡せる。ラウンジはファミリーなどを意識したものに改装され、元カラオケルームは大画面でゲームを楽しめるゲームルームになった。家族や友人と、トランプや人生ゲームなどのボードゲームを楽しめるテーブルも設置された。7階キッズルームはかわいいキノコのキャラクターが登場する楽しいデザインが施されている。2階のビュッフェレストランは青森のねぶた師が手掛けた「つくばねぶた」が置かれている。朝食、夕食とも好きなものが食べられ、外国人も想定した多様なニーズに応える。

ロビーラウンジのある3階に新設されたゲームルーム。大画面でゲームが楽しめる

同ホテルの天満龍裕支配人(45)は「茨城のおいしい食材を提供するなど食事に力を入れており、豊富なメニューをそろえている。レストラン、ビュー、新しいお部屋はもちろんだが、まずはお客様を温かく迎えられるホテル、人に会いに来ていただけるホテルづくりを今後ともしていきたい」と話す。

同ホテルは客室61室(定員325人)、宿泊料金は1人当たり一般客室1万3000円~、ファミリールーム1万8000円~(消費税、サービス料込み)。初年度は年間約3万2000人の宿泊客を目指す。

亀の井ホテルは、マイステイズ・ホテル・マネジメントが2022年4月、日本郵政から「かんぽの宿」30施設を譲り受け運営を開始したホテルと、亀の井ホテル別府(旧別府亀の井ホテル)など計32施設により22年7月に誕生した。筑波山は39施設目。県内では、かんぽの宿だった大洗、潮来に次いで3施設目。

日帰りから滞在型へ 筑波山観光の新たな戦略とは?

亀の井ホテル 筑波山の天満龍裕支配人

筑波山は首都圏から日帰りできる距離にあり、現在、日帰り観光が主流になっている。どうやって滞在型に変えていくのか、天満龍裕支配人と、本社の増井香織マーケティングアドバタイジング パブリックリレーションズチーム チームマネージャーに新たなホテルの運営戦略などについて聞いた。

ー亀の井ホテル筑波山の魅力、売りは何か。

天満支配人 今回は食事を一番変えさせていただいた。茨城県の魅力がたっぷり詰まったビュッフェになっている。ビュッフェはファミリー層が大好きかと思う。食事は県産のきのこ鍋、納豆カツなど。朝食では納豆3種食べ比べをしたり、夜朝共に茨城の食材をふんだんに準備している。あと、亀の井ホテルグループの共通メニューもあって、どこの亀の井ホテルに行ってもおいしく食べていただけるメニューもあるので自信をもってご提供させていただく。(首都圏から)近くにこんないいところがあるんだよということを知っていただきたい。

それから弊館の売りは関東平野のビュー。7階のインフィニティ露天風呂があってそこからの景色はひじょうにすばらしい。宿泊のお客様だけが利用できるので、食事や温泉の魅力を十分に発信していきたい。

今サイクリストが多く、筑波山にも自転車で来られる方がたくさんいらっしゃる。そういった方々が筑波山に上がってこられて一休みできるようなサイクルルームもつくる。いろんなニーズに応えられるように、ファミリー向けのキッズルームや3世代向けの絆ルームをつくったり、多種多様なお部屋を準備するので、今まで日帰りで帰ってしまったお客様が一休みできる空間をつくっていきたい。

壁一面にかわいいキノコのキャラクターが描かれたキッズルームの寝室

―宿泊客をどこから呼び込むのか。

天満 亀の井ホテルグループには、旧かんぽの宿で会員になっていた方々を中心にKMC会員(カメノイ・ホテル・メンバーズ)が66万人おり、亀の井ホテルのいろいろな温泉地を巡っていただこうと取り組んでいる。関東圏のお客様が多いが、遠方からお越しいただいている方もいらっしゃる。会員様を増やしていこうとキャンペーンを組み込んだりしており、さらに会員数を増やしていきたい。

―筑波山のホテルは、客室で食事をとる個室食が中心だが、亀の井筑波山では個室食は提供しないということか。

天満 以前は団体のお客様がメーンで、宴会場も大中小3カ所あったが、ビュッフェや客室に改装した。今回、個室食のメニューから一新してビュッフェに変えた。お客様のお声をお聞きすると「個室食なんだよね」というお声が結構あった。個室食が好きなお客様もいらっしゃるが、筑波山には個室食のお宿(ホテル・旅館)がたくさんある。ビュッフェのレストランをもっているお宿はあまりない。こういった差別化を図りながら、地元の古くから営業されているお宿との共存を目指して、より多くのお客様が筑波山に来ていただけるコンセプトを考えたい。

―地元のつくば市では職場の忘年会や宴会で筑波山のホテルを利用するというイメージがある。亀の井筑波山では宴会は受けないということか。

天満 宴会をされたい方はほかのお宿があるのですみ分けをしたい。

亀の井ホテル筑波山の外観

―訪日外国人客(インバウンド)はどれくらいを想定しているのか。

天満 今現在のインバウンドは15%ぐらい。私の中ではまず15%から30%に増やしていきたい。インバウンドをとっていきたいというのはビュッフェにした理由の一つでもある。海外からのお客様でメニューが口に合わないものがあったり、食べられないものがあったりということがある。ビュッフェスタイルであれば好きなものが食べられる。地元の食材をふんだんに使った茨城県のおいしい料理を知っていただきたいと料理を準備させていただいた。温泉もあり、東京からのアクセスがいい。筑波山は標高877メートルと百名山の中でも低いが、コースによってはすごくきつかったり、なだらかな魅力あふれるコースがある。そういったことを身近に楽しめる場所として最適な場所だと思う。海外の方も、地元の方も大切しながら、共存できるホテルづくりをしていきたい。

ー県内には大洗、潮来、筑波山と3件の亀の井ホテルがある。どのように連携していくのか。

天満 例えば亀の井筑波山に問い合わせがきたお客様に「うちはいっぱいですけど、こちらはいかがですか」とご紹介ができたり、あと食器とか「こういういいものがあるから使ってみたら」と情報交換がすごくしやすかったりする。

―米国の外資系ホテルが初めて筑波山に進出してきたということで、地元としては期待やさまざまな受け止めがある。

増井 本社チームマネージャー つくばグランドホテルの時代は地域との共存はすごくあったと思う。私たちが運営を引き継いで、どういうホテルになるんだろうという期待を皆さんにもっていただいている。ホテルも運営会社も、近隣の皆さんと一緒に筑波山という地域、茨城という地域を盛り上げたい、観光に貢献したい、寄与したいというスタンスでいる。(榎田智司、鈴木宏子)

「つちまる」も好きだけど「ラーシク」も好きになった《遊民通信》87

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【コラム・田口哲郎】

前略

3月1日発行No.1356「広報うしく」の表紙には、牛久市の公式キャラクター「ラーシク」を中心に、牛久市観光協会のキャラクター「かっぱのキューちゃん」、美浦村の「みほーす」、阿見町の「あみっぺ」、竜ヶ崎市の「まいりゅう」、河内町の「かわち丸」そして土浦市の「つちまる」が、牛久シャトーをバックに勢ぞろいした写真が載っています。

ゆるキャラ好きとしては、ここになぜ、かすみがうら市の「かすみがうにゃ」がいないのかが気になりますが、事情があったのでしょう。

さて、牛久市の公式キャラクターはかっぱのキューちゃんだと思われがちですが、それは観光協会のキャラクター。市のほうは「ラーシク」です。牛久市といえば、ワイン醸造所だった牛久シャトー、世界一の高さ120メートルでギネス認定された牛久大仏が有名ですから、ワインやブドウの妖精、大仏さんになりそうなものですが、ラーシクは一見したところではご当地名物を読みとれない姿です。

公式ホームページには、「『ゆるキャラ』が乱立している世の中ですが、単にかわいらしさは狙わず、ぶどうは甲州、うなぎは浜名湖、などの地域の特徴へのこだわりも捨て、まったく新しい五感の創出と、大勢の中にあっても埋もれない強さを持ったキャラクターが誕生しました」とあり、その意気込みが伝わってきます。

カワイイだけじゃない、精神的な受け皿になる意気込み

単にカワイイだけではない、「人間は一人ひとりみな違うもの。牛久の市民がそれぞれに『自分らしく生きる』こと。それが結果として牛久のまちを輝かせる」という哲学を表しているそうです。

自分らしく。そんなラーシクは「まちの活性化に主眼を置」いているそうで、公式キャラクターの任務を忘れません。さらに、行政キャラクターにありがちな前向き一方の理想をうたっていないところがすごい。

「悲しいこと、辛いこと、楽しいこと、なんでも受け止めてくれるみんなの受け皿になります」。楽しいことのみならず、悲しいことも受け皿としてわかってくれる。精神的なよりどころであることも宣言されています。こうした精神性が先立つゆるキャラにはあまりお目にかかったことがないので、おどろいたとともに良いなあと思いました。

他人の悲しみを受け止めるのは並大抵の大変さではないと思います。牛久市役所の職員の方々は日々、市民の困りごとに対応されていると思います。悲喜こもごも、人間が生きることは楽しいことばかりじゃないけれども、ラーシクのやさしい笑顔が包み込んでくれる。

そう思うと、ラーシクに不思議な愛着がわいてきます。私は「つちまる」の大ファンでもありますが、ラーシクファンにもなりました。市民が人間らしく生きられる町、そんなおだやかなポリシーをかざらずに表明する牛久市が、これからも牛久らしくあることを願っています。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

「魔女のフェスタ」29日石岡の廃校で 妖怪仮装パレードも

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昨年の魔女のフェスタ

筑波山麓で、アロマテラピーなどの知識や技術を学ぶ「魔女の学校」を主宰するいしざき緑子さんらが29日、石岡市柴内の廃校、朝日里山学校で第7回「魔女のフェスタ」を開催する。受講生らがマルシェ形式で手作り品やオーガニックの品を販売する。雑貨店のほか占いの店、飲食店など計約100店が出店する。

今回のテーマは「天球オペレッタ」。関東一円から様々なジャンルのアーティスト11組が参加し、音楽ステージが途切れることなく繰り広げられる。妖怪仮装パレードなども行い「楽しい所に人は集まる」「はじけたい」という気持ちを体現してもらう。いしざきさんは「母なる天球の中を回って巡る星々のように、共鳴し合い共振して、どんなエネルギーも豊かな愛で包んでいきたい」と話す。

主宰者のいしざき緑子さん

いしざきさんは2021年からつくば市国松の古民家で「魔女の学校」を主宰し、春と秋の年2回、受講生らが出店する「魔女のフェスタ」を開催している。春は、ドイツ各地で毎年4月30日に開催される魔女まつり「ヴァルプルギスの夜」を手本に開催する。いしざきさんは4月30日が誕生日で、特別な日だという思いが強い。29日は同まつりの前夜祭にあたり、スペインでは魔女が春をお迎えするというおめでたい日だという。

同フェスタには受講生たちのほか、いしざきさんのネットワークで毎年、関東一円からたくさんの人が参加する。雑貨、オーガニック、タロット、占いなどの出店のほか、体育館ではつくば市国松で子供の交流施設「じゅんばあの家」(2023年12月14日付)を開設する関係者でつくる「チームじゅんばあ」による昭和の遊びなどが行われる。

主催者のいしざきさんは「魔女の学校はあるがままの自然を大事にしている。グレゴリオ暦(太陽暦)ではなく太陰暦を使うことによって、自然の営みに入ることができ、免疫力も上がる。天球オペレッタに参加してもらい元気になって欲しい」と話す。(榎田智司)

◆魔女のフェスタは29日(月・祝)午前10時~午後4時、石岡市柴内630、朝日里山学校で開催。入場無料。問い合わせは魔女のフェスタのインスタグラムまたはフェイスブックへ。今年度の魔女の学校は5月開講予定、春の受講生を募集している。

タオルの一生《短いおはなし》26

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イラストは筆者

【ノベル・伊東葎花】

わたしは、ふわふわのタオルでした。
かわいいお花模様の、ピンク色のタオルでした。
上品な箱に入れられて、この家にやってきました。
大人も子どもも、わたしに頬ずりして言いました。

「肌触りがいいね」

「ふかふかで気持ちいい」

「ずっとすりすりしていたいな」

そうです。わたしはタオルの中でもひときわ人気者でした。
えへんと胸を張って、タオル掛けでみんなを待っていたのです。

しかし悲しいかな、月日は流れ、わたしは古くなりました。
何度も洗濯されてごわごわになりました。
ある日子どもが、ろくに洗わない泥のついた手を、わたしで拭きました。
「あらまあ汚い」と、おばあさんがわたしを漂白しました。
ちょっと待ってぇ~と叫んでも、声は届きません。
私は漂白されてしまいました。

自慢だったきれいなピンク色は、白と薄いピンクのまだらになりました。
お花模様は、もはや色とりどりのシミと成り下がりました。
生地の繊維も弱くなり、いつ穴が空くかビクビクしていました。
そしてついに、そのときがやってきたのです。

お母さんが、テーブルをわたしで拭いたのです。
そうです。わたしは雑巾にされてしまいました。
でも、テーブルの雑巾は、雑巾の中でも上位でした。
台所の油汚れを拭かれたり、トイレの雑巾になるよりは、ずっとマシなのです。
だからわたしは、たとえ食べ物のかすを拭かれても、じっと耐えました。

あるとき、子どもが言いました。

「お母さん、この雑巾、穴が空いてる」

が~ん。ついに、わたしに小さな穴が空いてしまったのです。

「あら、しょうがないわね。じゃあ、お台所の雑巾に格下げしましましょう」

格下げ…。嫌な言葉です。恐れていた言葉です。
わたしは台所の油汚れを拭かれた上に、焦げた鍋やこびり付いたカレーを拭かれ、ゴミ箱に捨てられるのです。
わたしの一生は、こうして終わりを迎えるのです。

しかしそのとき、子どもが言いました。

「お母さん、これ、絵の具拭きにしていい?」

「いいわよ」

ああ、なんとありがたいお言葉。
絵の具拭きになるということは、子どもと一緒に学校へ行けるのです。
格下げどころか、天にも昇る気持ちです。

わたしは翌日から、絵の具用の雑巾になりました。
赤青黄色、たくさんの色で、わたしはとてもカラフルになりました。
写生の時は、一緒に外に連れて行ってもらいます。
太陽の光を浴びながら、水色や緑に染まります。
わたしは今、とても幸せです。

子どもは、なかなか絵が上手でした。
将来、有名な画家になるかもしれません。
彼が有名な画家になったら『有名画家が使用した雑巾』として、美術館に展示されるかもしれません。
わたしはその日を夢見て、今日も絵の具箱の中で出番を待っているのです。(作家)

「国際人となって世界へ」 13の国・地域 68人が入学 日本つくば国際語学院

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東郷理事長から1人ずつ学生証が授与された日本つくば国際語学院の入学式=つくば山水亭

つくば文化学園による日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長兼校長)の入学式が23日、同市小野崎の料亭、つくば山水亭で開かれた。13の国と地域出身の68人が、多様な民族衣装やスーツに身を包み、新たな一歩を踏み出した。

新入生を代表してあいさつしたアフリカ・マダガスカル出身のラコトベ・ラベヴィチャ・アンディ・エヴァンさんは「日本に来るための準備に苦労し、家族や友人からもとても心配された」という。しかし、来日してみると「風景はきれいで、覚えてきた日本語で日本人と話すことができた。『これは夢ではない。現実だ』と思うと心配はなくなった」と話す。夢はアニメーター。「いつか著名な日本人アニメーターと仕事を共にしたい。そのために日本語を一生懸命学び、毎日絵を描き、多くの方に作品を見てもらえるよう頑張りたい」と語った。

新入生代表あいさつに立つ、マダガスカル出身のラコトベさん

在校生を代表したネパール出身のタマン・マダン・クマルさんは「日本に来て一番困ったのは日本語ができなかったこと」だと振り返る。来日当初、コンビニのレジで支払い方法を聞かれたのに、「はい」と答えてしまい恥ずかしい思いをした。「わからない時には『はい』『大丈夫です』とは言わないでください。ここには皆さんを助けてくれる人がたくさんいる。わからないことは先輩や先生に聞いてほしい」と新入生たちに語り掛けた。

入学式に参加する息子を見届けた、バングラディシュ出身でつくば市在住のモハメドさんは「皆さんのおかげで(息子は)ここまで成長できた。今は安心しているが、ここから先は彼自身の責任で前に進まなければいけない。しっかり日本語を学んでほしい」と我が子にエールを送った。

緊張した面持ちで入学式の始まりをまつ新入生たち

東郷理事長兼校長は「異国の地での生活には不安もあると思うが、学校には様々な国籍の先輩がいる。困ったことがあれば先輩たちを頼ってほしい。これから留学生活の中で日本語を楽しく学び、何かをつかみ、大きく成長してください。皆さんが国際人となって世界へ羽ばたくことを期待しています」と話した。

今年度の入学生68人のうち、最も多いのはネパール出身者で37人。次いでミャンマー出身が8人、スリランカ出身が7人。その他、中国が3人、タイ、韓国、バングラディシュ、モンゴルが2人、香港、インド、ベトナム、マダガスカル、フィリピンから1人ずつとなっている。

ネパール留学生増え2位に

出入国在留管理庁によると、2023年末時点における在留外国人は341万992人で、前年末と比べて33万5779人増で過去最高を更新した。その中で「留学」の在留資格を持つ人数はほぼ1割の34万883人。国籍・地域別ではネパール国籍の留学生が5万5604人で、ベトナムを抜いて初めて2位となった。1位は中国で13万4651人。2024年3月1日時点のつくば市には、146カ国、1万2583人の外国籍住民が暮らしている。(柴田大輔)

入学式後の記念撮影