木曜日, 11月 13, 2025
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「地域」を撮ったコレクション つくば「夢工房」所蔵品展

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「東京を撮る」のコーナー前で、自作について語る塚田さん=つくば市「夢工房」

【池田充雄】つくば市豊里の杜のギャラリー「夢工房」で、所蔵品展が開かれている。12月1日まで。ギャラリー主宰の塚田幸子さんがコレクションした写真・陶芸・彫刻や、賛助作家によるミニ写真展、塚田さんと仲間による「東京を撮る」の特設展示など、幅広い作品を見ることができる。

最終日にはトークショーも

壁面構成の大部分を占めるのは写真の展示だ。柳下征史さんの「ひだまりの茅葺(かやぶ)き民家」6点は、大子町など県内の古民家を、地域の風土や生活とともに捉えたもの。柳下さんはこのテーマを20年ほど撮り続けており、ほかに金砂郷(常陸太田市)の磯出大祭礼の記録集などでも知られる。

篠崎隆さんは「黎明(れいめい)の筑波嶺」「追憶ふるさと点描」の計6点。「追憶―」シリーズは、桜川市の神事や民俗行事を収めたもの。テレビ局などを活動の場としてきた映像作家で、「映画を作る合間に撮った」というが、作品性とともに記録的価値も高い。

写真ではほかに清水雅之さん「足尾探求」、英伸三さん「里の農の記憶」、金瀬胖さん「日本橋」など。それらの間に市村緑郎さん、井上壽博さん、一色邦彦さんらの彫刻や陶器が、要所を押さえるかのように配されている。これらは塚田さんが「そのときどきに出会い、惹かれたもの」であり、やはり県内作家の作品が多い。

いままで個展を中心としてきた同ギャラリーとしては、新たな試みとなった。「これだけのスペースでも、1つのタイトルだけで展示をまとめるのは大変な作業。年に一度くらいはこのように、さまざまな人に参加していただければ、それも一つのやり方かな」と塚田さん。次の展開としては、筑波山麓の自然と暮らしが息づく写真展などを考えているという。

開廊は午前10時30分~午後4時、入場無料。12月1日午後1時30分からは、篠崎隆さんの映像作品「常陸国風土記」上映会とトークショー(コーヒー付き2000円)がある。

◆Cafe&Gallary夢工房(つくば市豊里の杜2丁目2-5、電話090-4676-9623)

バリアフリーな演奏を楽しんで 土・日にカスミつくばセンターで音楽祭

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「ムシカヒストリア音楽祭」公演チラシ

【田中めぐみ】カスミつくばセンター(つくば市西大橋)で30日と12月1日の2日間、「ムシカヒストリア音楽祭」が開かれる。クラッシック音楽を通し、楽しみながら音楽の歴史を学ぶ体験型コンサートで、茨城県にゆかりのある演奏家を中心に2日間で約60人が出演する。0歳から大人まで年齢を問わず参加できるという。

振動で音を感じるインターフェースの装着体験も

30日には、箏(こと)や尺八、バイオリン、ピアノなどの演奏のほか、県立下館工業高校のジャズバンド部総勢25人が登場する。また、観客に楽器を持ち込んでもらい、舞台で一緒にパッヘルベルのカノンを演奏する体験型コンサートも行う。

12月1日には、聴覚障がい者にも音楽を楽しんでもらえるよう、音を振動で感じることのできる富士通のインターフェース装置「Ontenna(オンテナ)」20台を貸し出す。髪にクリップで装着して使用するもので、貸し出しは聴覚障がい者優先だが、健常者も体験が可能。オンテナ使用のコンサートは市内では初という。障がいの有無にかかわらず、全ての人にコンサートを楽しんでもらいたい考えだ。

12月1日に出演するVOJA-tensionの3人(左から)つくば市出身の榊原暁さん、日立市出身の朝日さん、林夏葵さん

また、7人のゴスペルユニットVOJA-tension(ボジャ・テンション)から榊原暁さん、朝日美貴さん、林夏葵さんの3人が出演。榊原さんはつくば市、朝日さんは日立市の出身。つくば市在住のフリーアナウンサー、鈴木もえみさんによる「くるみ割り人形」の朗読も行われる。

「自由・平等・友愛」がテーマ

音楽祭を主催する音楽通史ムシカヒストリアの代表小又史江さんは、クラッシック音楽をもっと気軽にリラックスした雰囲気の中で楽しんでほしい、と昨年からつくば市内でコンサートを企画し、開催している。小又さんは、「来年は自由・平等・友愛の理念に共感した音楽家、ベートーベンの生誕250周年に当たる。今回も自由・平等・友愛をテーマにして、演奏家と観客の距離の近いコンサートを目指した。障がいのある人も無い人も平等に音楽を楽しんでもらえるように工夫した。一つの価値観ではなく、いろんな感じ方で自由に音楽を楽しんでもらえたら」と話す。

イベントは、食品スーパーのカスミ(つくば市、石井俊樹社長)の「第27回『わたしの企画』応援します!」に採択された企画。同日にはXmas Town(塙千佳子代表)が主催するクラフトマーケットと音楽フェスティバル「Xmas Townつくば」の同時開催。2日間で約130店が出店するほか、屋外ステージでのライブも行われるという。

◆ムシカヒストリア音楽祭2days

30日(土)午前10時~午後5時、12月1日(日)午前10時~午後4時半。会場はカスミつくばセンター(つくば市西大橋599-1)。入場料は100円(中学生以上、福祉事業に全額寄付)当日は研究学園駅から無料シャトルバスが運行される。

問い合わせは、カスミ環境社会貢献部(電話029-850-1824)

助産院に180万円返還請求 つくば市産後ケア、契約通り実施せず

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市が民間医療機関や助産院などに委託して実施している産後ケア事業について、委託先の一つである市内の助産院が、昨年8月から今年8月までの間、契約通りに事業を実施しなかったとして、同市は助産院に対し、委託料など計180万7500円全額を返還請求すると発表した。12月3日開会の市議会12月定例会に同和解案を提案する。

市健康増進課によるとこの助産院は、同市が産後ケア事業をスタートさせた昨年5月に市と委託契約を結んだ。その後、昨年8月から今年8月までの間、12組の母子に計48回産後ケアを実施した。

一方、契約では、助産院を経営する助産師の女性のほかに、助産師2人が産後ケア事業に従事するとなっていたのに、実際は助産師2人は勤務実態が無く2人の名前が無断で登録されていた。さらに、産後ケアの実施場所として市内のクリニックで通所型と宿泊型サービスを実施するとされていたにもかかわらず、48回のうち39回は、自身が経営する助産院や経営者宅のゲストハウス、利用者の自宅などで通所型と宿泊型のケアを実施していた。ケアの実施時間も、通所型は午前10時から午後4時までと規定されているにもかかわらず、午後2時までで打ち切るなど、スタッフ体制、ケアの提供場所、時間帯について、契約通り実施しなかったとされる。

今年8月、サービス提供場所として登録されていた市内のクリニックから市に対し「(同クリニックでは)5月までで(産後ケアを)やらなくなったのに、市から郵便物が届いている」などの問い合わせがあり発覚した。一方で利用者から苦情などは無く、利用者アンケートの満足度も「良かった」「まあまあ良かった」という回答だけだったという。

発覚を受けて市は同助産院への委託を8月に取り止めた。市によると、助産院経営者は契約不履行を認め、市に対し「勝手に解釈し、契約と少しぐらい変更があってもいいと甘く考えていた」などと話しているという。返還請求する約180万円の内訳は、市が事業者に支払った委託料が約164万円、利用者が負担した額が約16万円。

再発防止策として同課は、来年度から予告なしの立ち入り検査を実施するほか、従事したスタッフが署名し押印をする形式に、用紙の書式を変更するとしている。

産後ケア事業は、出産後、産後うつになるなど心身に不調をきたしたり、育児に不安がある母親を対象に、生後6カ月までの乳児の育児相談に乗ったり、授乳やもく浴の指導をしたりする事業。同市では今回、委託を取り止めた助産院を含め市内外の医療機関や助産院計6事業所に委託している。通所型(市の委託料は1回2万2500円、利用者負担は同2500円)と宿泊型(委託料は1回5万円、利用者負担5000円)があり、1人7回まで利用できる。18年度は5月以降、26人が117回利用、19年度は9月末までに47人が60回利用したという。

サンガイア(V2)開幕5連敗 巻き返しに布陣整うも

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ホーム開幕戦に臨むサンガイアの選手たち=霞ケ浦文化体育会館(土浦市大岩田)

【池田充雄】バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイアは23日、2019-20シーズンのホーム初戦として、土浦市大岩田の霞ケ浦文化体育会館でヴォレアス北海道と対戦。セットカウント0-3で敗れた。つくばは開幕から5連敗したが、24日は同会場で兵庫デルフィーノと対戦し、3-0で勝利。この結果、順位を12チーム中8位に上げている。

つくば 0 - 3 北海道
19-25
22-25
21-25

チームの勢いの差が結果に出た。北海道はVリーグ加盟3季目で、今季V2初挑戦ながら無敗で首位を走る。対してつくばはここまで上位陣との試合が続き、その中で結果が伴わず苦しんでいる。この日も各セットの序盤はつくばが先手を取りながら、サーブミスなどで自ら流れを切ってしまい、北海道に逆転を許すという展開が続いた。

第1セット、北海道の多彩な攻撃に苦しむ

「チームの強みである攻撃力を出しきれなかった。相手の多彩な攻撃や高さのあるブロックに対し、守りきることができず、思うようにされてしまった」と都澤みどり監督。「ホームの力を借りて連敗をストップさせたかったが、できなかった悔しさがある。負け続けると自信がゆらいでくるが、練習でやってきたことに間違いはない。それを信じて明日の試合も頑張りたい」と浜崎勇矢主将。

収穫は若手成長株

戦力的には昨季を通じて大幅に厚みを増し、特に若手は成長株が揃っている。加えて今季は、廣瀬優希がV1のジェイテクトSTINGから加入。日立市生まれ、霞ケ浦高出身の26歳のミドルブロッカーだ。経験を生かして早くもコートの内外でリーダーシップを発揮しており、浜崎主将も「廣瀬が入ってくれて自分の負担が軽減された。チームの雰囲気も明るい」と喜ぶ。

新加入選手、ミドルブロッカーの廣瀬優希

ポジションの流動化も進んだ。奥村航はミドルブロッカーに加えオポジットもこなし、さらに攻撃力を発揮できるようになった。曹海倫はミドルブロッカーとしてその高さを守備にも生かす。こうした采配の妙が、今日の試合でも後半に拮抗した場面を作り出していた。

上位陣との対戦が一通り終わった今が、仕切り直しのチャンスでもある。「これまでの試合でも手応えは感じている。あとは勝ちきること。勝ち方を覚えればポンポンといけると思う」と都沢監督。浜崎主将も「今は個々のスキルに頼るバレーになっている。チームで展開を運べたら強いチームになれる。全員バレーで勝ちに行きたい」と巻き返しを誓う。

殻ごと食べられる霞ケ浦・北浦産のテナガエビ 加工品が県品評会で農水大臣賞

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農林水産大臣賞を受賞した大輪水産の「大えび赤煮」(茨城県水産物開発普及協会提供)

【山崎実】海のエビに比べ、殻ごと食べられる淡水のテナガエビはカルシウムが多く最近、人気の食材になっている。茨城県の沿海と霞ケ浦・北浦部門の製品を一堂に集めた今年度の「茨城県水産製品品評会」で、霞ケ浦・北浦産のテナガエビを原料にした「大えび赤煮」(大輪水産、行方市)が農林水産大臣賞を受賞した。テナガエビでの大臣賞受賞は。2009年以来10年ぶり。

茨城のテナガエビ生産量は253トン(2018年)と全国一を誇り、続く青森の25トン、北海道の12トンを引き離している。今回の受賞を契機に改めて消費者の関心を集めることになりそうだ。

品評会は水産加工業の発展と品質の向上を目的に1963年から毎年行われており、今年度は沿海部門が113点、霞ケ浦北浦部門が250点の計363点(昨年度は365点)が出展された。

全般的には丸干しや開き、佃煮など伝統的な製品を基調にしながら、消費者ニーズに対応するため、そのまま食べられる調理の手間が少ない製品や、洋風の味付け製品もあった。沿海部門では、シラス、サバの塩干品のほか、豊漁のメヒカリ、ツブガイ、ハナダイなど地魚の加工品が目立ったのが特徴。

特に注目されたのが初めて農林大臣賞に輝いた「大えび赤煮」。5センチ前後の大きなエビだけが使われ、鮮度を保ち、煮くずれがなく「調味に白しょうゆを使用することで『柔らかくて甘い香り』や『上品な味』などのおいしさを併せ持つ製品」(講評)と高い評価を受けた。

沿海、霞ケ浦北浦部門で農林水産大臣賞を受賞した製品は、来年開かれる全国農林水産祭・天皇杯の受賞候補になる。今年度の品評会の主な受賞製品は次の通り。

〈沿海部門〉▽農林水産大臣=北海蒸し蛸(樫寅、ひたちなか市)

〈霞ケ浦北浦部門〉▽農林水産大臣賞=大えび赤煮(大輪水産、行方市)▽水産庁長官賞=はぜ佃煮(中村商店、かすみがうら市)、若さぎ甘露煮(山澤水産、潮来市)▽県知事賞=白魚煮干(貝塚忠三郎商店、かすみがうら市)、くるみちりめん(はしもと、行方市)、海老の佃煮(箕輪名産店、土浦市)

「温かさあふれる市政」実現へ 安藤市長が初登庁 土浦

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初登庁し支持者や女性職員から次々と花束贈呈を受ける安藤真理子市長(中央)。「たくさんの人たちが来てくれて本当にうれしく、選挙中のことが頭をよぎった」という=土浦市役所前うらら大屋根広場

【鈴木宏子】土浦市長選に初当選した安藤真理子市長が22日初登庁した。同市初の女性市長。安藤市長は市幹部職員を前に、選挙戦で公約に掲げた「温かさあふれる市政」を実現したいと強調し、「可能な限り市民や市職員の意見に耳を傾け、話し合いながら市政に取り組みたい」と抱負を述べた。

午前8時過ぎ、市役所1階ロビーとうらら大屋根広場には約500人の支持者や市職員が集まり、拍手で初登庁を出迎えた。安藤市長は、選挙戦で着用したピンクのスーツとは異なり、シックなスーツ姿でワゴン車から降り、支持者や女性職員から次々と花束を手渡された。

続いて市幹部職員約70人を前に訓示。①市民の暮らし満足度ナンバーワンの実現②子育て支援と女性の活躍の場所づくり③市財政の健全化ーなど7つの公約を改めて強調し、「すべての市民に寄り添った『温かさあふれる市政』を実現するため7つの公約は必要不可欠」「県議としての経験を生かし企業誘致や土浦ブランドセールスの先頭に立って財源確保に努める」などと強調した。

さらに「公約実現には職員の皆さんの力が必要。市民のいろいろな声を形にするため、スピード感をもって課題に取り組み、職員にも積極的にアイデアを出してもらい、国、県と連携を図って土浦市のために全力を尽くしたい」と話した。「市民サービスの向上には職員の明るい笑顔が何より大切。明るく生き生きと職務に励んで市民を温かくお迎えする雰囲気づくりをしてほしい」などとも言い添えた。

続いて行われた記者会見で、副市長人事について質問が出たが、安藤市長は「いろいろな人の意見をお聞きし協議したい。具体的に話ができる段階ではない」とし、12月議会の会期中には新たな副市長人事を提案しない見通しを示した。

中川市長、五頭副市長が退任 土浦市

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花束贈呈を受け退任のあいさつをする中川清市長(手前左)と五頭英明副市長(手前右)=土浦市役所1階ホール

【鈴木宏子】土浦市長を4期16年務めた中川清市長(74)が21日、任期満了を迎え退任した。2期目から11年間、中川市政を支えた五頭英明副市長(74)も中川市長と共に同日付けで退任した。

同日午後5時15分から、市役所1階ホールで退任セレモニーが催された。中川市長と五頭副市長は女性職員から花束贈呈を受け、約500人の市職員や市民らに拍手で見送られた。

集まった市職員らを前に中川市長は「16年間、皆さんのお陰でつつがなくやってこられた、いろいろ仕事をやってきたつもりなので、これから実が大きくなって花が開く。後の人がしっかりやってくれることに期待したい」と話した。

五頭副市長は「50年間、土浦市に奉職できたのは皆さんのお陰。今土浦市はサイクリングという明るい話題が出ており、この機を逃さず民間の人と力を合わせてサイクリングの街にしていってほしい。一市民としてできることはやっていきたい」などと話した。

拍手が鳴りやまない中、市役所1階ホールに集まった約500人の市職員や市民らと笑顔であいさつを交わす中川清市長(中央)=同

退任セレモニーの後、市役所前のうらら大屋根広場では、駅西口や東口をイルミネーションで飾る「第27回土浦ウインターフェスティバル」の点灯式が催された。中川市長は五頭副市長と共に、最後の公務として点灯式を行い、16年間の公務を終えた。

10日投開票が行われた市長選で、中川市長は5期目を目指したが、新人の安藤真理子氏に敗れた。

市職員出身の五頭副市長は2005年4月に市長公室長から収入役になり、中川市長2期目途中の08年7月から副市長に就任した。来年6月の任期満了を待たず職を辞した。

【カレーのまち土浦】給食の思い出たどり 高校生がツェッペリンの歴史ひもとく

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亀城プラザにあるツェッペリン伯号の模型近くに立つ高校生ライターの酒井明日香さん

「第16回土浦カレーフェスティバル」が23、24日の2日間、J:COMフィールド土浦(川口運動公園)で催される。土浦のご当地カレーといえば「ツェッペリンカレー」だ。学校給食にも出されていることから今や土浦の子供たちのソウルフードにもなっているという。今年は、世界最大級の飛行船ツェッペリン伯号が土浦に寄航してちょうど90周年に当たる。カレーフェスティバルを前に、土浦日大中等教育学校の5年生(高2)3人が、ツェッペリンカレーの歴史をひもとき、土浦がなぜ「カレーのまち」と呼ばれるのかを探った。

給食のツェッペリンカレー。盛り付け方は子どもたちの自由(土浦第一給食センター提供)

【高校生ライター/酒井明日香、笠倉斗真、石田日菜子】土浦では2004年から毎年、カレーフェスティバルが開催されている。今年は市内のレストランや飲食店28店のほか、全国各地から計50店が出店して、土浦をカレーの街として盛り上げる。

カレーを通じたまちおこしは、老舗料亭「霞月楼」の専務、堀越雄二さんらによって取り組まれた。堀越さんによると、ツェッペリンカレーの名称は、当時世界最大級のドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」に由来している。

90年前の1929年8月、ツェッペリン伯号は世界一周の途中で、霞ケ浦海軍航空隊(現在の阿見町と土浦市)の飛行場に寄航した。第一次世界大戦に勝利した日本はベルサイユ条約に基づき、ドイツから飛行船用の格納庫を押収し霞ケ浦飛行場に移設した。その飛行船用格納庫があったこと、近くに湖畔があり見晴らしがよく風が穏やかなことから寄港地となった。その格納庫は長さ240メートル、間口73メートル、高さ35メートルもある巨大なもので「押収格納庫」と呼ばれていた。

全長236.6メートル、最大直径30.5メートルもある巨大な飛行船に、県内だけでなく東京などからも見物客が押し寄せた。ツェッペリン伯号を見るために4日間で30万人の見物客が集まり、「君はツェッペリンを見たか」という言葉が合い言葉のように広くに知れ渡ったといわれる。

堀越雄二さん(左)に土浦のカレーの歴史を取材する高校生ライターの石田日菜子さん(中央)と笠倉斗真さん(右)=土浦市中央、霞月楼

乗組員にカレーふるまう

当時、飛行船の乗組員を歓迎し、カレーを振る舞ったという。当時のレシピを探し当て再現した堀越さんは「少し粉っぽくて、今の人の口にはあまり合わなかった」と振り返る。右籾でとれたジャガイモ、霞ケ浦のシラス、川魚などが入っていた。ただし当時のレシピは紛失してしまい、今はもう「幻のカレー」だという。

その逸話をもとに、土浦商工会女性会が現代風にアレンジしたツェッペリンカレーを考案し、2004年から「食のまちづくり検討委員会」が組織され、カレーによるまちおこしの取り組みが始まった。

現在ツェッペリンカレーは土浦名産のレンコンなどを使うルールになっている。レトルトとしても市販されており、地元野菜と茨城の銘柄豚肉ローズポークが入っている。

学校給食で大人気

学校給食で出されているツェッペリンカレーについて管理栄養士の御代彩乃さん(中央)らに取材する高校生ライターの酒井さん(左)=土浦市下高津、土浦第一給食センター

土浦市の小中学校では2006年2月からツェッペリンカレーが小中学校の給食の献立にも登場する。土浦の歴史に親しみながらおいしく食べてほしいと、現在は年に3回給食に出る。土浦生まれの記者も小学校の時に食べたことがあり、楽しみにしていたメニューの一つ。

給食とはいえ、具材には土浦産のレンコンで作ったレンコンチップス、ブロッコリー、ジャガイモが添えられている。ライスはターメリックライスで、仕上げにはガラムマサラと本格的なカレーだ。

土浦第一給食センターの管理栄養士、御代彩乃さんによると、ツェッペリンカレーを初めて給食に出した時は多少辛かったそう。これを子どもの口に合うようにフルーツチャツネの量を増やして何度も改良を繰り返した。そのかいあってか今ではとても人気のメニューとなっており、残飯もほとんどないという。

給食に出されることになった理由は、ツェッペリン伯号についてカレーを通して楽しく学べて、土浦の歴史をたくさんの子どもたちに継承できるからだそうだ。

亀城プラザに20分の1の模型

現在、亀城プラザにツェッペリンの20分の1の模型、「まちかど蔵 野村」の蔵の一つにツェッペリンの資料が展示されている。堀越さんが所属する「土浦ツェッペリン倶楽部」が作成、収集した。堀越さんは現在同倶楽部の広報担当として活動する。

同倶楽部は飛行船による街づくりをテーマに結成された。模型は市制施行60周年を記念して製作した。20分の1とはいえ全長12メートル、最大直径1.4メートルと巨大だ。設計図をドイツから取り寄せ約2カ月かけて完成させた。

堀越さんは今後の同倶楽部の活動について「(まちかど蔵 野村の)蔵での資料充実や紙芝居の読み聞かせなどを発展させ、たくさんの人にツェッペリンカレーを知ってもらえるように活動していきたい」と語った。高校生も交え土浦の街づくりを盛り上げていきたい。(土浦日本大学中等教育学校5年)

「まちかど蔵 野村」の蔵の一つに展示されている資料。「土浦ツェッペリン倶楽部」が作成、収集した=土浦市中央

給食のツェッペリンカレーを再現

土浦第一給食センターで作り方を教わり、高校生が、給食のツェッペリンカレーを再現した。

動画制作は古城聖也さん(土浦日本大学中等教育学校 報道サークル)

いっぱい読んでしおりをもらおう つくばの小学校で秋の読書まつり

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熱心に本を読む児童でいっぱいになる図書室=つくば市小茎の第三小学校

【橋立多美】読書週間(10月27日~11月9日)にちなみ、つくば市立茎崎第三小学校(鮏川誠校長、216人)で「よんで&あつめてスタンプラリー」と副題を付けた「秋の読書まつり」が開かれている。スタンプを集めるとしおりがもらえる特典付きだ。

同校図書室の蔵書は5908冊。歴史や自然科学、芸術、産業などの書架のほか、絵本、クイズ、実話、教科書に出てくる本などを集めたコーナーが設けられている。図書室の運営と管理は、司書教諭補助員の戸川美紀さんと、4年生から6年生までの図書委員22人が行っている。

戸川さんによると、今年5月の1カ月間に貸し出した図書数は887冊で児童1人当たりの月平均読書冊数は4冊。もっと本を読んでほしいと戸川さんと図書委員が企画したのが、10冊を読破するスタンプラリーの読書まつりだ。

図書委員手づくりのしおり=同

委員たちがしおり制作を担当し、短冊形にカットした色画用紙にイラストを描いたり折り紙を付けたり工夫を凝らした上にラミネート加工を施した。

低・中・高学年別に配られたスタンプ用紙は、高学年だと「歴史の本をよみましょう」からスタートして、怖い本、宮沢賢治が書いた本など、指定された分野の本を順番に読んでそれぞれ1個スタンプを押してもらう。スタンプが10個になるとラリー達成となり、しおりがプレゼントされる。

休み時間になるとスタンプラリーの用紙を持った児童たちで図書室はにぎやかになり、貸し出しカウンターに行列ができた。バーコードを活用してパソコンで図書を管理するシステムが導入されており、図書委員の児童が簡単に貸し出しを行う姿が見られた。

司書教諭補助員の戸川美紀さん=同

図書委員で4年生の西村懸命さんは「しおり作りが楽しかった」。6年生の北田恵さんは「図書委員になっていろんな本に興味を持つようになり、今は歴史の本が面白い」と話してくれた。

19日現在でしおりを入手した児童は3人。戸川さんは「読書まつりは28日まで。まだ時間があるので普段読まないジャンルの本でもチャレンジして、しおりを手に入れてほしい」。そして「本との出合いに遅過ぎることはない。親は『うちの子は本は読まない』なんて決めつけず、子どもが本に触れるきっかけをつくってあげてほしい」と言い添えた。

万博記念公園で秋を満喫 愛犬の撮影にも人気 つくば

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色づいた科学万博記念公園のイチョウ並木=つくば市御幸が丘

【橋立多美】秋が深まり、つくば市の科学万博記念公園のイチョウが見頃を迎えた。澄んだ青空に映える黄色のイチョウの下を散歩する人や、犬友達のグループが愛犬の写真撮りをする姿が見られた。

同公園は1985年に開催されたつくば科学万博会場跡地に造られた。面積約6万平方メートル。現在は緑豊かで芝生が広がる公園となり、万博当時から「ぽっちゃん池」という愛称で呼ばれていた水辺には多くの生き物が生息する。中でも秋色に染まる科学万博記念公園のイチョウ並木は人気のスポットだ。

秋を切り取る撮影スポットは愛犬家たちにも知られ、色づいたイチョウを背景に愛犬を撮影しようという女性たちのグループが次々にデジタルカメラを肩にかけ、小型犬を抱いて公園に現れた。

散歩で知り合った「犬友だち」が公園で落ち合って撮影し、インスタグラムに投稿するのだという。よりかわいい写真を撮るために熊手(落ち葉をかき集める)やシャボン玉、上から撮るための脚立などの演出用具を持ち込む。ドッグウエアは着替えまで用意するそうだ。

撮影場所を探していた3人のグループは40代後半の主婦たち。最初の写真撮りはドラえもんの衣装と決めていたそうで、3頭はタケコプター付きのお揃いの衣装を身に着けていた。「いい記念になるしインスタ映えする写真を撮りたい」と話した。

おそろいのドラえもんの衣装をまとった犬たち=同

同市は筑波山はもちろんのこと、筑波研究学園都市地区に植樹されている街路樹の多くが落葉樹であることから、秋にはまちが赤色や黄色に彩られる。市内各地の都市公園でも美しい紅葉を楽しむことができる。

510人が色づく筑波山麓走る ナショナルサイクルルート指定記念

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大井川知事の号砲で先頭グループがスタート=土浦市川口、J:COMスタジアム陸上競技場

【相澤冬樹】ナショナルサイクルルート指定記念と銘打った茨城県の「つくば霞ケ浦りんりんサイクリング」が17日、土浦市のJ:COMフィールド土浦(川口運動公園)をスタート・ゴールとする57.4キロのコースで行われた。土浦青年会議所主催の「霞ケ浦サイクルフェスティバル2019」と同時開催された。

りんりんサイクリングは土浦を出発、つくば市沼田、かすみがうら市上土田を経由して、途中4カ所に設けられたエイドステーションでご当地の味覚を楽しんでもらう企画。ビギナー歓迎で参加者募集をしたところ、510人もの応募があった。東京都から155人、千葉県から77人と、茨城県の75人を上回る参加者を集め、4分の1が女性、30%はオフロードは初めてという構成になった。

募集時にはまだ指定されてなかったナショナルサイクルルートが7日に決まって、県は指定記念やロゴマークを入れた横断幕やのぼりを作成して開催に間に合わせた。開会式で大井川知事は「ナショナルサイクルルートという国のお墨付きを得たわけで、大いにアピールしたい。知名度ランキング7年連続最下位なんかぶっとばせ」と気勢を上げた。

五十嵐つくば市長も私費で参戦。スターターを務めた知事の合図で20人ほどのグループを作り、順次車列を組んでサイクリングに繰り出した。

今回のコースは、序盤こそ旧筑波鉄道の廃線跡を走る平坦なコースだが、筑波山の登山口で折り返してからは山麓に沿う一般道を走ってかすみがうら市方面に抜ける。高低差は小さいもののアップダウンが繰り返しあって、初心者にはそれなりにハード。色づき始めた山並みの景色を楽しみながら、好天の山麓コースを思い思いのスピードで駆け抜けた。

つくば霞ケ浦りんりんロードを走る参加者

東京・練馬から来たという新藤美紗子さん、遠藤友理さんの2人は、快調に飛ばして第2エイドステーションになっているつくば市平沢の官衙遺跡公園に到着。「1度目は北海道を走って、今日は2度目。いいお天気で気持ちよかったけど、脚はもう一杯いっぱい」と提供された常陸牛しぐれ煮おにぎりをほおばっていた。

エイドステーションになっている平沢官衙遺跡で提供されたおにぎりを広げる東京からの参加者=つくば市平沢

➡ナショナルサイクルルートの過去記事はこちら

清掃活動15年 「ごみ箱撤去以来きれいに」 土浦 霞ケ浦総合公園

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お孫さん連れで稲敷市から来たという参加者も“ごみ探し”で公園散歩=土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園

【相澤冬樹】水郷桜イルミネーションの点灯式から一夜明けた17日、土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園で、第15回を迎えた「クリーン・ザ・パーク霞ケ浦総合公園」の清掃活動が行われた。主催は明るい社会づくり筑浦協議会(村上和雄会長)で、土浦ライオンズクラブ(飯田晃久会長)などと実行委員会を作って開催した。

同市やつくば市などから約130人が参加、午前8時から始まった開会式で、矢口幸一実行委員長は「普段はドングリの実を拾って育てる運動など、地域でボランティア活動を展開してきた皆さんが年に一度集まる機会がクリーン・ザ・パーク。元気な顔で令和最初のごみ拾いに集まれたことを喜びたい」とあいさつした。会には長年活動に参加して、一週前の土浦市長選で初当選した安藤真理子さんも駆けつけ当選の報告をした。

参加者はごみ袋を手に、同公園の水辺から運動広場まで広がって清掃活動に励んだ。風車広場周辺は点灯式前に一旦整えられていることもあって、前夜のごみもほとんど見当たらないクリーンさだった。公園全体で40リットルのごみ袋に換算して50袋に満たない回収量で約30分の活動を切り上げた。

15年間、活動に携わっているという木村清さん(80)は、「土浦の花火大会の後の清掃にも参加しているが、昔と比べると随分きれいになった。公園ではごみ箱の撤去以来、目に見えてごみが減った。ごみは持ち帰り、きれいに使おうという意識が定着しているみたいだ」という。

開会式に集まった参加者=同

水郷桜イルミネーション点灯 土浦 霞ケ浦湖畔

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点灯した水郷桜イルミネーション=土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園

【鈴木宏子】土浦の冬の風物詩「水郷桜イルミネーション」が16日夕方、霞ケ浦湖畔の同市大岩田、霞ケ浦総合公園風車前広場で点灯した。高さ25メートル、直径20メートルのオランダ風車が光で彩られ、花火、ハス田、帆引き船、桜など土浦の風物が計約24万5000球のLEDで浮かび上がった。

今年で8年目。市民と企業有志でつくる「水郷桜イルミネーション推進委員会」が毎年実施している。今年は新たに、色合いが刻々と変化する1000輪のバラのアーチが風車南側にお目見えした。

同日午後5時から点灯式が催され、同推進委の広瀬英敏共同代表は「今年で8年目となるが、土浦自慢の地域資源をモチーフに湖畔を彩る水郷桜イルミネーションは、いまや土浦の冬の風物詩として定着している。霞ケ浦総合公園がより魅力的になり足を運んでいただければ」とあいさつした。

点灯のスイッチが押されると、詰め掛けた大勢の市民から「すごい」「きれい」などの歓声が次々に上がった。

点灯式前に催された、声優でいばらき大使の安達勇人さんのライブを見に、笠間市から長女と2人で訪れたパート窪田真由美さん(60)は「子供たちが小さい頃、風車を見に来て以来25年ぶりに来た。イルミネーションがこんなすごいとは思わなかった。来てよかった。感動」などと話し、光のアートに見入っていた。

水面に浮かびあがった帆引き船やハス田=同

同イルミネーションは来年2月16日まで点灯する。点灯時間は午後5時~9時。事業費は同推進委の協賛金約505万円と市の補助約640万円の計1145万円。

21日からは「土浦ウインターフェスティバル」が催され、土浦駅西口周辺や東口でもイルミネーションが点灯するれる。同フェスは来年1月31日まで。

土浦など9市町村71店で料理フェア開催中 17日は「れんこんの日」

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県が配布しているれんこん料理フェアのチラシ

【山崎実】生産量日本一を誇るレンコンをよりおいしく、身近に食べてもらおうと、土浦市など霞ケ浦周辺の9市町村で30日まで「日本一の茨城れんこんーれんこん料理フェア2019」が開かれている。

同フェアは1994年11月、全国の産地の代表が土浦市に一堂に会した「れんこんサミット」で制定された「れんこんの日」(11月17日)を含む1カ月間を期間限定で実施している。

参加店舗は、いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会の構成メンバーである土浦、石岡、稲敷、かすみがうら、小美玉、行方、阿見、河内、美浦の9市町村71店舗。

レンコンの消費拡大が目的で、霞ケ浦周辺のほか、都内のホテルや料理店でも茨城産レンコンの料理を提供するなど、全国に発信する。料理を食べた人にアンケートを行い、応募者から抽選でレンコン加工品などをプレゼント(20人)する企画も用意されている。

県によると、レンコンの都道府県別の作付け状況は、2016年実績で作付け面積1610ヘクタール、出荷量2万4100トンと、続く徳島県の出荷量5770トンを大きく上回り、収穫量、出荷量とも全国一を誇っている。

官民一体の料理フェアによる消費拡大作戦で、茨城レンコンのさらなるブランド化を図る。

問い合わせは茨城県県南農林事務所振興・環境室(電話029-822-7086)へ。

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学会の試験問題を漏えい 40代男性講師を解雇 筑波大

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筑波大学

学会が実施する作成途中の試験問題を漏えいしたとして、筑波大学(つくば市天王台)は15日、同大の40代男性講師を10月29日付けで諭旨解雇したと発表した。

同大によると男性講師は、自身が所属する学会が実施する試験の問題作成委員になっていた。今年7月、試験を受ける予定だった同じ研究分野の後輩の同大教員に、作成途中の試験問題を漏えいしたとされる。

後輩の教員から今年7月、同大に相談があり発覚した。後輩の教員はいったん断ったが、先輩後輩の関係上、拒めなかったという。先輩の男性講師は漏えいを認め、試験に受かってほしかったと理由を説明しているとされる。

今回の漏えいを受けて、学会は試験問題の作成をやり直し、後輩教員は今回、試験を受けないという。

永田恭介学長は「本件は本学の業務に直接関係はないが、本学教員がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾であり関係者に心からお詫びします。今回の事態を真摯に受け止め、教職員に対し研究倫理の向上を図り、再発防止に向けたさらなる啓発活動を行い、社会的信頼の維持・向上に努めます」などとするコメントを発表した。

ナショナルサイクルルート指定で加速 土浦発自転車サンデー

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晩秋の筑波路をたどるつくば霞ケ浦りんりんサイクリング(茨城県地域振興課提供)

【山崎実】茨城県のサイクルツーリズム(自転車観光)をけん引するつくば霞ケ浦りんりんロード(約180キロ)が、日本を代表する「ナショナルサイクルルート」の1つに指定されたことで自転車熱に加速がついた。イベントも盛りだくさんで、17日には土浦市のJ:COMフィールド土浦(川口運動公園)を主会場に「地域資源を巡る―つくば霞ケ浦りんりんサイクリング」(県主催)と「霞ケ浦サイクルフェスティバル2019ー自転車の聖地を目指して」(土浦青年会議所主催)が同時開催される。

17日午前9時スタートで

りんりんサイクリングは17日午前9時に開会。川口運動公園からつくば市沼田のりんりんロード筑波休憩所折り返しの周遊コース57.4キロを走り、途中、4カ所のエイドステーションでご当地の味覚を楽しんでもらう。レンタサイクルあり、ビギナー歓迎で参加者募集をしたところ、510人もの応募があった。北海道から兵庫県まで、県外から多数が訪れる。参加者には12歳の中学生から76歳の喜寿サイクリストまでがおり、「応募締め切り後にナショナルサイクルルート指定が決まり、記念イベントとして開催できることで盛り上がっている」と県地域振興課。出発地点の運動公園には周辺市町村からキッチンカーや物販ブースが多数出店する。

サイクルフェスティバルも午前9時スタート。土浦市内を走る「つちうら散走」、指定された神社仏閣にお参りしてご朱印をもらいながら走る「ご朱印ライド&ヒルクライドin土浦2019」のほか、「子供のための自転車教室」「ママチャリ ジャストタイムレース」などが繰り広げられる。イベントには参加料や自転車・装備の持ち込みが必要なものがあり、一部は応募を締め切ったものもあり、主催者に要確認。

また23、24日はかすみがうら市の歩崎公園で、関東では初めての民間主体による「バイク&キャンプ」イベントが開かれる。キャンプを通じて自転車旅の素晴らしさ、自転車の魅力を発信するイベントだ。月夜の中、会場全体で、多数のたき火による幻想的なりんりんロードと霞ケ浦を楽しむ演出も用意されている。

第一次ナショナルサイクルルート発表の席で赤羽国交相を中央に今泉石岡市長㊧と大井川知事㊨=中央合同庁舎(同提供)

ナショナルサイクルルートは、国が11月7日、全国で3カ所の第一次指定を発表。ビワイチ(滋賀県)、しまなみ海道サイクリングロード(広島県、愛媛県)と並んでつくば霞ケ浦りんりんロードが含まれた。指定を受けた際、大井川和彦知事は「東京に近く、平坦で走りやすいコース。国内外から多くの人に来てもらえるよう、しっかりサイクルツーリズムを推進していく」とコメントしたが、その輪は徐々に全県的な広がりを見せ始めている。

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つくばの5社に県が計1500万円補助 宇宙ビジネス

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8月5日、つくば市内で開かれた第2回いばらき宇宙ビジネスサミットの様子(県科学技術振興課提供)

【山崎実】宇宙ビジネスの成長産業化を促進するため各種支援事業(補助金)を実施している茨城県は、今年度の第3回として5社5件への補助金交付を決めた。5社はいずれもつくば市内で、補助金の合計額は約1556万円。今後のビジネス展開を後押しする。

採択された5社5件は、▽有人宇宙システム(交付決定額342万円)=衛星データと地上データを活用したスマート農業向けアプリケーションの開発▽スペースキュービクス(393万円)=JAXA発ベンチャー、放射線の強い宇宙環境で発生する機器の誤作動などに対応する不具合検知・復旧機能を持つソフトウェアの開発▽ビーヤ(新規参入、20万円)=少量生産システム方式で生産される宇宙機用集積回路の販路開拓▽スペースシフト(400万円)=検知が難しかった衛星データの変化をAI(人工知能)を用いて高精度で自動検知するソフトウェアの開発▽クロスステージ(起業予定の個人、400万円)=衛星データや地表・天候などのビッグデータを用いて、人、物の流れを予測し、マーケティング効果の最大化を行うソフトウェアの開発。

20日秋葉原でサミット

いばらき宇宙ビジネスは、起業、関連企業の誘致、進出から独自の成長産業化を目指し、テイクオフ(離陸)の段階に入ろうとしているという。県は事業採択を契機に、茨城発宇宙ビジネスを国内外に展開する方針で、20日、東京・秋葉原UDXで「いばらき宇宙ビジネスサミット2019 in TOKYO」を開催する。昨年12月、今年8月に続く3回目のサミットで、宇宙ビジネスへの参入促進の気運醸成を図る。

20日は、日本発民間初の宇宙ビジネスカンファレンス、佐藤将史さんと、新事業開発のスペシャリスト、尾崎典明さんによるトークセッション「新時代の宇宙ビジネスに期待すること」のほか、県が立ち上げた「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を活用した新たな事業展開のプレゼンテーションも行われる。

具体的には、アストロオーシャンの森琢磨さんが「小型ロケット洋上打ち上げ実証プロジェクト」、サグリの社長、坪井俊輔さんが「衛星を活用した耕作放棄地検出とワイン用ブドウの適地選定実証」、ワープスペースのCEO、常間地悟さんが「超小型衛星による世界初の衛星間通信ネットワークの実現」、Yスペース共同代表の田中克明さんが「つくば宇宙観光プロジェクト構想」―などについて、それぞれ開発事業内容や構想を披歴する。

問い合わせは県科学技術振興課特区・宇宙プロジェクト推進室(電話029-301-2515)。

【つくバス改編】「不安が的中」半年で利用者2万人減 市公共交通の総事業費は1.5倍

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つくばセンターバスターミナルを発着するつくバス(中央)=つくば市吾妻

【鈴木宏子】つくば市のコミュニティーバス「つくバス」の4-9月半年間の利用者数が、今年4月の大幅改編後、前年同期と比べ2万1231人減少したことが分かった。つくバスは2011年にシャトル型の運行が始まり年々利用者が増えてきた。11年以降、半年間とはいえ利用者が前年を下回ったのは初めて。14日、市内で開かれた市公共交通活性化協議会(会長・石田東生筑波大特命教授)で報告された。

今年4月の改編で市は、つくバスの停留所の数を2倍に増やしたり、路線を新設したり、実証実験として支線型バスの運行や路線バスの運賃補助を開始した。改編に伴って同市の公共交通の全体事業費は年間約3億8000万円から約5億6000万円と約1.5倍に増えた。

つくバスの利用者が減った理由について市は「渋滞などによる遅延を考慮した時刻の見直し、停留所数の倍増とルート変更による路線長大化の結果、運行便数が減少」したことが利用者減につなかったと分析している。

石田会長は「減ると思っていた不安が的中した。(2018年度までは)バス停の数を少なくする代わりに主要拠点への到着時間を小さくして便数を多くした。それでは地域間の不公平が生じるということで(4月の改編で)バス停を増やした。時間が長くかかり、バスの台数は一定なので便数を減らさざるを得なかった」と述べ、「全体としてほとんど(の路線)が減っており大きな問題」だとした。その上で「(時間調整のため)誰もいないバス停でバスが止まっていることがある。到着時間を短く設定したり、実績として利用がないバス停は(利用促進を)働き掛けた上で、利用が無ければ撤去することも考えるなど、うまく便数を増やす工夫をしないといけない」と話した。

路線別ではつくバス9路線のうち、つくばセンターから谷田部、茎崎地区を巡回する「南部シャトル」のみ利用者が増加した。4路線は利用者が減少、ルート変更や新規の4路線は1便当たりの利用者がいずれも平均の9.9人を下回った。南部シャトルと、筑波地区などを巡回する北部シャトル以外の傾向は昨年度と変わらなかった。

支線型バス「厳しい状況」

一方、3年間の実証実験として4月からスタートした筑波地区の支線型バスの半年間の利用実績は振るわなかった。4つのコースのうち、最も利用者が多い筑波ふれあいの里入り口から筑波交流センターを巡回するコースの1便当たりの利用者数は約0.9人、ほか3つのコースの平均は約0.2人だった。石田会長は「つくタクより厳しい状況。救世主にはなれない状況」との見方を示した。

支線型バスの停留所看板=つくば市北条

これに対し、同じ実証実験として茎崎地区で導入された路線バス運賃補てん事業は、4路線で1日平均220人の利用があり、当初の計画148人の約1.5倍の利用があった。城山団地などを運行する新規路線バス実証実験事業は、1便当たり平均4.5人の利用があった。住宅団地の自治会で利用啓発したなどの効果もあるとみられる。桜地区の増便事業は、1便当たりの利用は平均4.5人で、当初の事業計画とほぼ同じだった。

乗り合いタクシー「つくタク」の半年間の利用者数は前年同期とほぼ同程度だった。

【メモ】4月の公共交通改編の主な柱は、つくバスは、バス停の数を111カ所から223カ所に倍増した、これまでバスが運行してなかった市西部にバスを運行するなど路線を増やし走行総延長距離を7路線149キロから9路線205キロと1.4倍にした―など。バス停が2倍に増えた、時刻表を見直したことなどから目的地に到着するまでの所要時間が平均15分程度長くかかるようになり、結果として運行便数を334便から15%減らし283便とした。ほかに3年間の実証実験として、高齢化率が最も高い茎崎地区と2番目に高い筑波地区で路線バスの運賃補てんや、ワゴン車を使った支線型バスの運行などをスタートさせた。

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染谷・東大教授に江崎玲於奈賞を授与 ナノテク駆使つくばで素材開発

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大井川知事(左奥)も閣つけての授賞式。江崎理事長と握手を交わす染谷東大教授=つくば国際会議場

【相澤冬樹】ナノサイエンス・ナノテクノロジー分野で優れた業績を挙げた研究者に贈られる「第16回江崎玲於奈賞」(茨城県科学技術振興財団など主催)の授賞式が13日、つくば市竹園のつくば国際会議場で行われた。

同財団の江崎玲於奈理事長から賞が贈られたのは、東京大学大学院工学系研究科教授の染谷隆夫さん(51)。ナノテクノロジーを駆使した素材開発によって、曲げたり、伸ばしたり、ねじったりできるようなゴムシートのような有機半導体デバイスを発明した。

この技術で人間の身体のような3次元曲面にさまざまな電子機能を直接貼り付けて、健康状態やスポーツの運動状態などをモニタリングできるようになった。最新のものは厚さが1マイクロメートル、1平方メートル当たり3グラムしかないフィルムに薄型センサーをプリントして肌に貼り付け、心電図を取るなどしており、新しいバイオエレクトロニクスが生み出されつつある。

江崎玲於奈賞は副賞1000万円、染谷さんは夫人同伴で授賞式に臨んだ。記念講演で研究にはつくば時代があったことに触れ、「2003年に研究を始めたころは、プリントは手刷りだった。2005年につくばに来て8年、伸縮性に富み壊れにくいナノ素材がみつかり、大面積に展開できる印刷技術につながった」と振り返った。

授賞式ではまた、県内において科学技術に関する研究に携わり、優れた成果を収めた研究者を表彰する第30回つくば賞が物質・材料研究機構フェロー、廣崎尚登さん(64)の「白色LED用蛍光体の開発」に贈られた。

さらに第29回つくば奨励賞(実用化研究部門)は同機構機能性材料研究拠点グループリーダー、島村清史さん(53)ら3人の「レーザー加工機用の優れたファラデー回転子の開発と実用化」に、同賞(若手研究者部門)が理化学研究所バイオリソース研究センターチームリーダー、林洋平さん(38)の「難病患者特異的 iPS細胞を用いた革新的治療法の創出」に、それぞれ贈られた。

かがいの舞台を再現 27日、筑波山で「百人きもの」

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昨年の「百人きもの」イベント時の記念撮影(筑波山華やぎプロジェクト提供)

【山崎実】筑波山に着物で集うイベント「百人きもの」(筑波山華やぎプロジェクト主催)が27日、つくば市の筑波山神社と、中腹の旅館、筑波山江戸屋で催される。

奈良時代の「常陸国風土記」にみる、男女が集い恋愛の歌を読み合う嬥歌(かがい)の舞台を再現する。にぎわいと華やぎをもたらすため、日本文化の象徴、着物で集い、歴史や伝統を学びながら、筑波山ファンのネットワークを構築するのが狙い。

筑波山系には、養蚕の創始にまつわる縁起「金色姫(こんじきひめ)伝説」が伝承される蚕影(こかげ)神社がある。筑波山神社の春と秋の祭り、御座替祭(おざがわりさい)の行事、神衣祭(かんみそさい)と神幸祭(じんこうさい)では、絹で織った神衣を神が乗り移るものだとしている。

筑波山周辺にはさらに、常陸紬(結城紬)、絹川(鬼怒川)、蚕飼川(小貝川)、糸繰川(糸魚川)など、いずれも養蚕に関わる地名などがあり、万葉集でも多く歌われている。これらのことから同実行委員会は「養蚕の創始、筑波山神社『御座替祭』の神衣であり、茨城の織物から見る筑波山の着物の淵源(えんげん)をテーマにした」という。

イベントの主な内容は、トークライブ「万葉集から令和を読み解く」布浦万代(万葉集研究家)、ライブ&朗読「金色姫伝説~篠笛にのせて」篠笛奏者YUJI&鈴木もえみ、つくばきものコレクション、きもの男子トーク、ランチ会議―など。参加費は8000円(事前振込)。

問い合わせは同実行委員会(電話090-8722-5697 筑波山江戸屋内)

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