金曜日, 2月 27, 2026
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怒らないから言ってごらん《続・気軽にSOS》131

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【コラム・浅井和幸】怒らないから言ってごらん。そう言われて、怒られないなら正直に言っちゃおう、とはなりませんよね。というのも、怒らないからと言っている時点で、すでに怒る準備が出来ていて、正直に言おうが、黙っていようが、うそをつこうが、怒られることが確定しているからです。

かなり前のことですが、発達障害の方たちのために活動をしている発達障害のKさんに、子どものころの話を聞いたことがあります。同年代のKさんの、その時の話がとても面白くて印象に残っています。といっても、大人になって振り返っているから面白いのであって、その当時はとても恐怖を感じた経験だったでしょう。

小学校のころ、学校に持っていく教科書をよく忘れていたKさん。いつも先生に怒られていました。あるとき先生から「忘れ物をしない方法を一緒に考えよう。怒らないから、何でもいいから言ってごらん」と言われました。Kさんは、それなら正直に言おうと、「自分は忘れ物をしないのは無理なので、教科書などを家に持ち帰らずに、学校に置いておけばよいと思います」と言ったら、とても怒られたとのことでした。

四半世紀以上前の話です。今なら、家と学校に教科書を置いておくのは一般的にあることですが、当時としては先進的過ぎたのでしょう。怒らないと言った先生は、真面目に答えたKさんの案をふざけていると思って怒ったのです。

正直に答えたら怒られるから正直に生きてはいけない。うそをつくなり、ニコニコして「わからないから教えてください」とか、うつむいて「ごめんなさい」と言った方がよいということを学んだそうです。

問題解決にはペース配分が大切

上の話はわかりやすい例ですが、多くの方が、日常会話の中で悩んでいるとき、あまりよい状況でないときは、そのような状況を招いた自分が悪いと、周りから責められる経験を重ねます。そうすると、悪い状況のときに質問されるのを恐れるようになります。

悩み相談で、その方と関係性をつくる前に、私が現状を知ろうと質問をすると、回答に躊躇(ちゅうちょ)される方が多いのはこのような理由によります。質問を矢継ぎ早にしてしまうと、恐怖感を与えてしまいます。現状を知りたいと聞いているのに、相談に来られた方が「私が悪いというのですか」と怒り出すこともあります。 悩んで苦しんでいるのに、さらに責められている、悪者にされていると感じてしまうからです。問題解決を先延ばしにすると悪循環になる可能性はありますが、逆に急ぎ過ぎると前に進まなくなることがあり、ペース配分がとても大切なのです。(精神保健福祉士)

大江健三郎がのこしたこころ《遊民通信》62

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【コラム・田口哲郎】

前略

先日、ノーベル賞作家の大江健三郎さんの訃報が飛び込んできました。88歳の大往生とはいえ、驚きましたし、悲しいですね。

大江さんがノーベル賞文学賞を受賞されたのは1994年で、当時、私は高校生でした。日本はバブル景気がはじけて、失われた10年に突入し始めたころです。高校生の私は呑気(のんき)で、世情に疎いタイプでしたので、それから世界や日本の社会が劇的に変わってゆくなんて、夢にも思っていませんでした。

先日、大江さんを追悼する番組がNHKで再放送されました。ノーベル賞受賞の記念講演とそのときのスウェーデンへの旅に密着したドキュメンタリーでした。

大江さんは受賞直前に小説の執筆を止めると公言していました。周りは再び書くよう勧めますが、大江さんは小説よりももっと直接的に人びとの魂に救いをもたらすような、小説ではない何かを生み出したいとおっしゃっていました。

多様性、ケアの思想を先取り

スウェーデンには長男の光さんを同伴されていました。光さんは障がいを持ちながら、クラシック音楽の作曲をして、そのCDは20万枚売れたそうです。私もよく聴いていました。

今になると、大江文学の中心的な主題である、障がいを持つ息子との交流は、ケアの思想を先取りしていたのだなと思います。いのちある者はみな互いに尊重し合い、弱きを助ける考え方です。大江文学は弱者により添います。インタビューで大江さんは、「ダイバーシティ」という言葉をつかって、多様な価値観を受け入れ、尊重できる社会をめざすべきだとおっしゃっていました。

現在、さまざまなところでダイバーシティが言われ、多様な社会の実現のための努力がおこなわれています。それを大江さんは30年近く前に先取りしていたのですね。

現実と虚構が一体の世界を創作

さて、ノーベル賞受賞理由は「詩趣に富む表現力を持ち、現実と虚構が一体となった世界を創作して、読者の心に揺さぶりをかけるように現代人の苦境を浮き彫りにしている」です。大江文学は文体のすばらしさ、その文体がつくる世界観の奥深さ、それを写実的ではなく幻想的に描き出したことです。

しかし、大江作品の魅力は、現代人が持つ苦しみにより添う姿勢だと思います。たとえば、社会はダイバーシティを推進するために、積極的に前進することを強調します。大江さんはその活動の根本にある原因、人間の悲しみを癒やすこころを静かに、そして丁寧に書き残したのだと思います。

大江さんという偉大な賢人が残してくれた言葉をじっくり味わいたいですね。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

不登校、親が悩み語り合う場を つくば 竹園で交流の場

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来場者にフランクフルトを手渡す「オヤジの会」のメンバーら

つくば市竹園地区を中心に活動する「みちくさ~竹園学園“教室や学校に行きづらい子ども”の親の会」が、学校生活に不安を抱える親の悩み相談に乗っている。結成されて1年。父親たちも悩みを分かち合う「オヤジの会」を立ち上げ、交流の輪を広げようと活動している。

薄桃色の花が満開を迎えた庭に炭火焼きの煙が立ち上る。川村正二さん(45)が小銭と引き換えに手渡したフランクフルトに、子どもたちは大きく口を開けてかぶりついた。

フランクフルトの出店を企画した「オヤジの会」の川村正二さん

1日、同地区に住む川村さんと妻の真理子さん(38)が自宅近くで営むフリースクール「テラ子屋つくば」の1周年イベント。川村さんはこの日、「オヤジの会」のメンバーの父親とともに、フランクフルトをふるまった。

川村さん夫妻は昨年4月、「テラ子屋」を立ち上げた。市内の別のフリースクールと掛け持ちで小3~小6の子ども約10人が通っている。設立のきっかけは2年前の夏から次男(8)が不登校になったことだった。

ブラジリアン柔術の道場を営む川村さん自身は不登校を経験しておらず、最初は戸惑った。真理子さんは中学1年から不登校。高校を中退して大検を経て大学を卒業し、社会に出た。経験者だけに、不登校には理解があるつもりだった。

しかし、わが子が小1で不登校になると、すんなり受け入れられない。こんな小さいのに、勉強しなくていいのだろうか。将来どうなってしまうのかー。

学校での勉強が難しいなら、体験を通じて成長を促そう。一緒に料理をしたり、買い物に連れて行ったり。でも、興味が湧かないとそっぽを向かれる。「空回りする日々が続いた」と振り返る。

ドッジボールや鬼ごっこ、カードゲーム…「テラ子屋」で異学年の子どもと笑い合い、時にはケンカして共に時間を過ごす。次男は以前、聞き取れないぐらいの小声でしか話せなかったが、最近は人前でも大きな声で会話できるようになり、少しずつ成長を実感している。

夫とともに会場を訪れた中村規乃さん(47)の高校1年の息子も中1から不登校だった。最初のころは、相談相手が見つからずに苦しんだ。その経験から、仲間と「親の会」を立ち上げ、毎月1回、おしゃべり会を開催している。公式LINEの登録者は60~70人。20~30人と対面で相談に乗る。竹園地区だけでなく、市内全域から相談に訪れる。

不登校への考えが、夫婦で一致しないケースもある。中村さんも、将来を不安視する夫に違和感を抱いた。子どもへの寄り添いを大切にしたいのに、夫は未来を見据えた早い変化を期待する。考えの溝が埋まらず、平行線が続いた時期があった。

自分には母親同士で不登校の悩みを共有する場がある。でも、夫にはない。

「男同士で話せる場をつくってみたら?」

真理子さんや、近所に住む石田佳織さんと語らって、夫たちに「オヤジの会」の旗揚げを促した。初対面で打ち解けるのは難しかろうと、昨夏、集まって手作りピザを焼いたのが初会合。以後も5、6人の父親が集い、バーベキューや飲み会を催して語り合う。

学校に通わずに、どうやって子どもの成長を促し、進路を決めるのか。子どもと同様、父親も即答できない問いを抱えている。

参加者は皆40代。昔の漫画やテレビ番組といった「あるあるネタ」やつくばの街の変貌ぶりをさかなに、グラスを傾ける。

にぎやかな歓談も、話題が子どもの近況に及ぶと、少し、しんみりする。

ぽつりぽつりと、だれかの口から出た悩みや葛藤。「それ、分かります」。すぐに誰かが言葉を拾い、皆でうなずく。それぞれの家族が背負ってきた紆余曲折はなんとなく分かる。だから、子どもの進路が決まったら、よその子でも我が子のように祝える。

中村さんは「不登校に限らず、学校や子どもとの向き合い方に不安を感じる親は多いと思う。まずは連絡してほしい」と参加を呼び掛けている。(鹿野幹男)

◆「親の会」には、http://lin.ee/254RL1tのQRコードからアクセスできる。

母の遺族年金の手続きを済ませました 《ハチドリ暮らし》24

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長ネギの植え付けと、手前にほうれん草が生えてきました

【コラム・山口京子】父が1月に亡くなり、今月、母の遺族年金の手続きを済ませました。母は厚生年金に加入したことがないので、老齢基礎年金しかありません。父は厚生年金に30年以上加入していました。そのため、父の厚生年金(報酬比例部分)の4分の3を遺族厚生年金として母が受け取れます。

また、経過的寡婦加算というものがあり、これは妻本人の生年月日で支給額が段階的に決められています。昭和8年(1933年)生まれでは年額で約42万円となり、この経過的寡婦加算と遺族厚生年金を合わせた額と自身の老齢基礎年金が、これからの生活を支えてくれます。

ちなみに、経過的寡婦加算は昭和31年(1956年)4月2日以降生まれの妻には支給されないため、自分としては他人事でしたが、母の遺族年金は予想していた額より多く支給されることになりました。

元々、日本の年金制度は雇用される夫と専業主婦の妻を想定した制度設計で、遺族年金は妻にあつい仕組みですが、2014年、遺族基礎年金は「子のある妻」から「子のある配偶者」とされ、夫も対象になりました。今後、遺族年金の男女の偏りが是正されていくのでしょう。

一方、働く女性の半数以上は非正規で働いており、年収が低く老後に受け取れる年金額も少ないので、雇用環境の改善が不可欠ですし、賃金の引き上げは喫緊の課題です。女性のみでなく、男性にも非正規雇用が広がっています。正規と非正規の壁をなくし、収入に応じた保険料を納付する仕組みを作り、高齢期の生活保障の安心を構築してほしいと願います。

おだやかに無理をしないで暮らす

年金制度も、これから改正が続きます。そうしたことにアンテナをはり、家計にどういう影響がでるのかに注意したいと改めて感じました。

高齢期の家計管理にあたって、公的年金制度の仕組みを知ることが大事です。そしてわが家では、どういった年金がいつから、いくらくらい支給されるのかを事前に見積もることです。夫婦で暮らす期間の年金の額と、「おひとりさま」になった際に年金がどうなるのかを調べておきたいものです。家族の形は多様化していますので、自分のケースではどうなるのかを確認しましょう。

そのときにならないと分からないこともありますが、事前に算段することで、慌てなくて済むこともあります。働き続けることを想定し、定年以降の就労に向けて、50代から計画し行動に移す人が増えていると聞きます。自分も65歳となり、少し働くことと社会的な活動に参加すること、母の世話とのバランスをとれたらいいな、と。おだやかに無理をしないで暮らしていきたいと思うこのごろです。(消費生活アドバイザー)

反戦や平和テーマに つくばで「茨城現展」開幕

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さまざまなジャンルの作品が一堂に展示されている茨城現展=11日、県つくば美術館

個性を尊重し自由な表現活動を行う美術団体「現代美術家協会茨城支部」(佐野幸子支部長)の第39回茨城現展が11日、つくば市吾妻、県つくば美術館で開幕した。支部会員ら36人の絵画、立体造形、工芸、写真作品など約150点が一堂に展示されている。ウクライナで戦争が長期化する中、反戦や平和をテーマにした作品が目立った。

佐野支部長は、ウクライナ国旗の青と黄色が人々の涙雨のように焦土に降る「遥か、ウクライナ」を出品した。戦争がいつ終わるとも知れないウクライナの人々の悲しみを表現したという。ほかにウクライナの避難民を連想する福田徹さんの「霧の中の人々」、ウクライナの国花ヒマワリの写真を合成した佐々木誠さんの写真作品「ウクライナ」などが展示されている。

会場入り口の廊下には、平和をテーマにした会員による合同作品も紹介されており、佐野支部長は「戦禍をこうむった当時者はいかばかりかと思う。皆さんと共に全世界の平和を願いたい」と話す。

佐野幸子支部長の「遥か、ウクライナ」

会場にはつくば、土浦、牛久など県内の40代から80代の支部会員による油絵、アクリル画、リトグラフ、パッチワーク、写真、彫刻、陶芸などが展示されている。

つくば市の佐々木量代さんは、Tシャツとこいのぼりが風に揺れる作品「5月の空に」など3点を出品した。「固定観念なく個性を尊重する団体なので、自分の表現の可能性にチャレンジできる」と話す。

ほかに、各地の仏像の顔を描いた絵画や、アルバムの写真を集めた「昭和に思いを寄せて(Nさんのアルバムより)」、競走馬の蹄鉄(ていてつ)などを素材にした馬の頭の造形作品などが展示されている。

来場したつくば市の飯島裕子さんは「一般に美術団体の作品展は似た感じの作品が多いが、現展はそれぞれ個性があり、いろいろなジャンルがあるので面白いし楽しい。表現の自由を感じる」と話していた。

◆第39回茨城現展は16日(日)まで、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時)まで。入場無料。

「宇宙の部屋」宇部にて 《続・平熱日記》131

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筆者が描いた絵

【コラム・斉藤裕之】弟の家は山口県の山の中にある。3月の半ば、ここに来てから薪(まき)ストーブのある山小屋風の母屋はとても暖かく、麓より少し遅い春も快適に過ごせている。今日は午後から雨の予報が出ていて、弟の嫁のユキちゃんは地域の奥様方と予定していたベーコンとハムの薫製作りを延期した。そこで、宇部という街にユキちゃんと出掛けることにした。大学の後輩がグループ展をしているというのをたまたまSNSで見かけたのだ。

着いたところは元病院だったという建物。いつもは絵を描いている後輩の作品はインスタレーション(場所や空間全体を作品として体験させる芸術)によるものだった。階段を上っていくと、3階はGLYCINES(グリシーヌ)」というギャラリースペース。

実は本当に偶然なのだが、つい2週間ほど前まで、この場所でユキちゃんの長女、つまり姪(めい)のナオちゃんが展覧会をしていたのだ。ナオちゃんはカナダに住んでいて、この冬の数カ月間を山口で過ごすため帰国していた。随分前からイラストを描いていたのは知っていたが、今回は日本で知り合いになった写真家の女性に誘われて、急きょここGLYINESで二人展をすることになったそうだ。

ナオちゃんはボールペンで絵を描く。その緻密なイラストは、友人の書いた「ごちそうの山」という昨年出版された本の表紙にもなっている(広島の山奥でマタギとして生活する若い女性のエキセントリックな日常を描いたこの本はお勧め)。

藤の花のような文化の拠点

ちょうど昼時になったので、併設のカフェでカレーをいただきながら、オーナーの涼子さんにユキちゃんはお礼方々、私達が今日ここにきた経緯など話しているうちに、涼子さんと私は同時期にパリにいたことが分かってきた。

例えば、涼子さんが大変お世話になったというある高名な絵描きさん。その方は芸大ラグビー部の大先輩で、私もパリのご自宅でご馳走(ちそう)になったことを思い出して…。縁は異なもの、先ほど1階で見てきた作品の作者も実はラグビー部の後輩でもあるのだ。

涼子さんは3年前に東京からこの街に帰られて、ご実家である病院を文化の拠点とするべく、頑張っておられるという。GLYCINESとはフランス語で「藤」という意味で、かつてここの地名に藤という字が使われていたことに因(ちな)んだそうだ。3階にオープンしたギャラリー、2階の元病室はシェアハウスに、1階にはレコード店が入り、そして間もなくカフェもオープンの予定だという。

なるほど。上から下へと咲いていく藤の花のように、建物の上から下へ涼子さんの思いも開花しているかのようだ。

すると、そこに女性が1人現れた。涼子さんの友人で、2階のシェアハウスに滞在中のジェニーさん。職業は占い師。「どちらからですか?」と聞かれたので、「牛久です」と答えたら、なんと以前、阿見町の会社に勤務されていたという。今日の偶然ともいえる出会いをしきりに不思議がるユキちゃんに、ジェニーさんは「宇部は宇宙の部屋ですから」と、さらりと答えた。

帰り道、山あいにコブシだけが白く咲いていた。結局、雨は降らなかった。(画家)

筑波大 学生有志が企画 注目のピアノ三重奏団、来月公演 

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葵トリオ⒞仲野達也=つくばリサイタルシリーズ実行委員会提供

筑波大生有志が主催するコンサートが来月21日、同市竹園、つくばカピオホールで開催される。第13回目の今回は「葵トリオー3人で奏でるシンフォニー」と題して、東京芸術大学(東京都台東区)出身のピアノ三重奏団「葵トリオ」が出演する。第67回ミュンヘン国際音楽コンクールで日本人団体として初めて優勝した注目のトリオで、ヴァイオリンの小川響子さん、チェロ伊東裕さん、ピアノ秋元孝介さんで構成する。

「本当にすごい方が来ていただけることがうれしい」と話すのは、同コンサートを主催する「つくばリサイタルシリーズ実行委員会」の同大障害科学類3年、加藤千尋さんだ。葵トリオのマネージャーが過去の公演を見に来ており、それが今回の公演実現につながったという。「今回念願かなって、ようやくお三方に出演していただけることになった」と加藤さん。

ピアノ三重奏は、ヴァイオリン、チェロ、ピアノによるアンサンブルを指す。演奏されるのはベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第3番」、ラフマニノフ「ピアノ三重奏曲第2番」と、つくばリサイタルシリーズを創設した同大の江藤光紀准教授による新曲の計3曲。

ラフマニノフの楽曲は演奏時間が50分にもなる重厚な楽曲で「ピアノ三重奏を味わうのにもってこいの楽曲」と加藤さん。江藤准教授の新曲はこれまでの公演でも演奏されており(2020年12月2日付)、今回は「ポップで楽しくて聞きやすい感じ」だという。

つくばリサイタルシリーズは主に学生にクラシックに親しみを持ってもらうことを目指し、毎年第一線で活躍する演奏家を招きコンサートを開催している。今回の公演も学生は無料で見ることができる。同大の学生主体で運営されており、助成金やクラウドファンディングによる寄付を募るなどして開催する。加藤さんは「今年から私たちの学年が実行委員会の幹部になる。良いコンサートをつくっていきたい」と話す。(山口和紀)

◆「葵トリオー3人で奏でるシンフォニー」は5月21日午後2時開演。チケットは学生無料、一般1500円。全席指定。チケットの案内はつくばリサイタルシリーズ公式ブログへ。

有機農業運動のトップリーダーを偲ぶ 《邑から日本を見る》133

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大和田さんと金子さんを偲び、有機農業の未来に向けて語る会

【コラム・先﨑千尋】昨年、わが国の有機農業運動をけん引してきた2人が相次いで亡くなった。鹿児島市の大和田世志人さん(73)と埼玉県小川町の金子美登さん(74)だ。その2人を偲(しの)び、有機農業の未来に向けて語る会が去る3月30日、東京・永田町の憲政記念館で開かれ、有機農業の生産者や消費者、国会議員など2人と親交のあった約150人が参加し、2人の人柄や功績などを語り合った。主催したのは、2人が理事長を務めた全国有機農業推進協議会(全有協)。

大和田さんは鹿児島県生まれ。学生時代に水俣病患者の支援活動で熊本県水俣市に行き、「水俣の闘いは人間の生き方を問うている」と考え、そこで出会った岩手県陸前高田市出身の明江さんと鹿児島県で有機農業運動を始め、1978年に鹿児島県有機農業研究会を立ち上げ、84年には有機農家を束ねた有機生産者組合を結成し、消費者との提携を広めていった。

現在は160人の生産者が参加し、約100品目の野菜と20品目の果実、有機米、雑穀、茶などを出荷している。店舗は鹿児島市内に3店舗、レストランもあり、直営農場も運営し、年間の販売高は8億円を超えている。

金子さんは、1971年に農林省の農業者大学校第1期生として卒業し、就農。学生時代に北海道酪農の父・黒沢酉蔵の「土地からとったものは土地に戻す」という還元農法に魅(ひ)かれ、有吉佐和子さんや一楽照雄さんらと交流し、食を通して日本の未来に貢献したいと考え、有機農業に取り組んだ。金子さんは、自分の経営だけでなく、集落全体に広げ、地場の豆腐店や酒造会社などとも提携し、地域循環型農業を確立、後継者の育成も図ってきた。

今後10年が日本農業再生の好機

集会では、呼び掛け人の1人である篠原孝衆議院議員が「金子さんの人生は、日本の有機農業の歴史そのものだ。国会にもファンがいっぱいいた。さまざまな苦労があったが、埼玉で地道に取り組んでこられ、ようやく国も意欲的な目標を立てるまでに至った」と話した。

また、呼び掛け人代表の枝元真徹前農水事務次官は「大和田さんの故郷、鹿児島県の先輩後輩の仲。彼から人としての生き方を学んだ。有機農業が人類の本来の営みであるという信念を貫き、仲間のために昼夜を問わず働いていた。2人の遺志を受け継ぎ、有機農業の未来を語る場にしたい」とあいさつした。

さらに、全有協の下山久信理事長は「有機農業推進法制定の時は2人と共に農水大臣室に通った。法律が出来てから16年たつが、有機農業は思ったほど拡大していない。しかし、みどりの食料システム戦略が国の政策となり、これからの10年が日本農業再生のチャンスとなる」と述べた。その後、2人と親交のあった国会議員や生産者や消費者、農水省関係者ら約30人が2人の思い出を語った。

集会は約3時間半。思い出話だけでなく、これからのわが国の農業のあり方や有機農業運動の取り組み方など幅広い問題提起もなされ、「有機農業の未来に向けて語る」というテーマにふさわしい集まりだった。有機農業の拡大のためには、先駆者のノウハウを踏まえ、担い手の育成、技術の継承、販路の確保などの課題を乗り越えていく必要があると考えた。

話を聞いていて、私は中国の文学者魯迅の「もともと地上に道はない。人の歩く所が道になるのだ」という言葉を思い出した。(元瓜連町長)

「つくばサイエンス0.3倍」のメッセージ 《竹林亭日乗》3

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【コラム・片岡英明】今年からつくば工科高校は2学級増の理科専科のつくばサイエンス高校となった。しかし、定員240名に対し志願者は72名(0.3倍)であった。昨年は160人に対し133人(0.83倍)だったので、志願者・倍率ともに低下した。

サイエンス高の説明会には約700人の生徒保護者が参加し、高い関心があったというが、なぜだろう。「0.3倍」に示された受験生からのメッセージを読み取ってみたい。

県立高必要地区での定員割れ

サイエンス高があるつくば市谷田部地区は、合併時4万の人口が11万を超えているが、県立高はつくば工科1校のみである。県立高5校の取手、同4校の筑西よりも人口は多く、つくば市の中でも最も県立高(特に普通科)が必要な地区である。

つくばエリアには、TXが開通した2005年以降、こども増の中で県立高が逆に削減され、県立高不足という構造的な問題が発生している。一方、子ども増の中での県立高の定員割れという、もうひとつの課題も浮上している。この2つの課題を混同せず、それぞれ独自に解決を図る構えが必要である。

サイエンス高の場所を考えると、通学利便性も重要で、説明会でも通学に対する質問が多かった。利便性が従来のままで、定員割れの解消、さらに学級増まで2ステップ前進をねらった今年のサイエンス高新設は、当初より設定目標が高かった。

説明会参加の多さは新しい高校への期待である。その根底に新設校の豊かな学び・青春・進路への受験生の期待がある。生徒・保護者約700人が、ある意味校門まで来たのだ。楽しさや青春のある学園像を示し、受験の決断を促すもう一押し「祭りのステップ」が必要だった。

4学級理系・2学級文系では?

文系理系という日本独特の狭い分類に縛られている点も気になる。生徒がテーマを持って探求活動、つまりサイエンスを行えば、理系大学やマイスターへの道に加え、文系大学への可能性も当然広がる。そんな学びの深まり方も知らせてほしい。

高校受験段階で理科一本に決めかねている生徒も受けとめる柔らかさ、学びながら進路を考える安心が高校には必要である。あえて文理で考えるなら、4学級を理系、2学級を文系ではどうだろう。今後、時間をかけて評価を高め、谷田部地区の中学生がたくさん入学する地元の人気校になってほしい。

前回コラム(3月8日掲載)で扱った、つくばエリアの現時点での15学級、2030年までさらに10学級―合計25学級の県立高不足の解決が急がれる。特に普通科の学級増が急務だ。

今年のサイエンス高の2学級増に続いて、私たちは2024年入試での学級増と「今後の学級増の計画提示」を県に求めている。4月中に要望書を提出し、担当者と懇談したい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

開幕戦敗れる 茨城アストロプラネッツ

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2回表、1死1・2塁のピンチにナインがマウンドへ集まる(撮影/高橋浩一)

埼玉に降雨コールド

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは8日、龍ケ崎市松ケ丘のTOKIWAスタジアム龍ケ崎で、今季開幕戦として埼玉武蔵ヒートベアーズ(本拠地熊谷市)と対戦し、6回途中降雨コールドにより0-9で敗戦。今季就任の伊藤悠一監督は、公式戦初采配を勝利で飾ることができなかった。

【ルートインBCリーグ2023公式戦】
茨城アストロプラネッツ-埼玉武蔵ヒートベアーズ
(4月8日、TOKIWAスタジアム龍ケ崎)
埼玉 530 001 9
茨城 000 00  0
(6回途中 降雨コールド)

茨城の先発は二宮衣沙貴。昨季10勝を挙げたエースだが、この日は立ち上がりから相手の勢いに飲まれた。1、2番に2連打を浴び、四球で満塁にされると、2点タイムリーと3点本塁打でいきなり5点を失う。埼玉は下位打線でも小柄な選手でも、パンチのある打球をフェンス際まで運び、チャンスを拡大した。

「ホームランを打たれたのは甘いスライダー。自分としては決して状態は悪くなかったが、ボールが先行し、本来の投球スタイルができなかった」と二宮。「打者を早い段階で追い込みたかったが、ストライクを取った後の球が緩くなり、浮いた球が打たれてしまった」と話すのは霞ケ浦高出身の捕手、日渡騰輝。

茨城の先発、二宮。「右脚に張りを感じ、球の弱さがあった」と試合後に話した(同)

ベンチとしては二宮に6回まで任せるプランだったこともあり、もう少し行かせてみようと次の回もマウンドに送り出した。だがこのイニングも3つの四球と3安打を許し3失点。

ここで救援に向かったのが水戸啓明高出身の小島正也。「肩はでき上がっていたので、いつも通りのピッチングができた。1死満塁の場面だったが、最初の打者を2球で追い込んで余裕が持てた」と1人目を三振、2人目を2ゴロに抑えてピンチを切り抜け、伊藤監督からも「ナイスピッチング」と声を掛けられた。

二番手の小島。2回のピンチを乗り切り、チームメートとタッチを交わす(同)

その後も小島と3人目の清原浩斗が好投を見せるが、打線が援護できない。良い当たりは出るものの、散発に終わってしまう。次第に雨が強まり、6回表を終えたところで一時中断、コールドゲームが宣告された。

「いいスタートを切りたかったが、序盤から点差をつけられ残念。ファンの方々も雨の中を来てたくさん声掛けしてくださった。いい雰囲気で入っただけに先制点を取って流れを作りたかった。この完敗を糧に次へつなげていきたい」と伊藤監督の敗戦の弁。

試合後に訓示を述べる伊藤監督。テレビディレクター出身の異色の人材で、「コミュニケーション能力が高く気軽に話せ、見ていないようでいて選手をよく見ている人」と小島選手は印象を話す(同)

茨城の次戦は9日、神奈川県平塚市のバッティングパレス相石スタジアムひらつかで、神奈川フューチャードリームスと対戦する。(池田充雄)

「愛情と根気育み動物のプロに」 つくば国際ペット専門学校で入学式

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新入生を代表して決意を述べる愛玩動物看護師コースの市田梨乃さん=つくば国際会議場

国内有数の動物分野の専門学校、つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、東郷治久理事長)の入学式が8日、つくば国際会議場で催された。東郷理事長は「動物のプロになるために必要なものは愛情と根気。皆さんが動物と日々触れ合っていく中で必ず育まれる。動物ペット業界を支え、けん引していく人材育成を目標に、皆さんの夢をかなえるために教職員一同尽力します」と祝辞を述べた。

ドックトリマー、愛玩動物看護師・動物衛生看護、ドッグトレーナー、ペットケア総合の4つのコースがあるペットビジネス学科に全国各地から205人が入学した。マスク着用は個人の判断となったことを受けて、教職員はマスクをしないで式典に臨んだ。マスクを着用しない新入生の姿も見られた。

記念撮影をする新入生ら=同

高橋仁校長は「皆さんはこの3年間、新型コロナに翻弄(ほんろう)され、我慢を強いられてきた。我慢の時間が終わりを告げようとし、自分の意思で日常を送ることができる世の中になる。これからは受け身ではなく自分から進んで学ぶ姿勢を意識し、自分が成長しているという実感をもって、新しい挑戦へのモチベーションとしてください」と式辞を述べた。

続いて在校生代表を代表してドッグトリマーコースの池田くるみさんが歓迎の言葉を述べ「学校にはたくさんの特色があり、恵まれた環境。自分の可能性が広がっていくことを実感している。一緒に学び、一緒に思い出をたくさんつくっていきましょう」と話した。

これを受けて新入生を代表し愛玩動物看護師コースの市田梨乃さんが「大好きな動物と関わる仕事に就くために抱いた夢への第一歩を踏み出すことができたのは、たくさんの方々の支えがあったから。動物が好きだからという気持ちだけではできない職業であることを肝に銘じ、互いを認め合い、支え合い、悔いの残らぬよう勉学に努め努力していきます」と決意を述べた。

ジャパンケネルクラブんおトリマー試験委員の高尾諭さん(左)から優秀養成機関賞の書状を受け取る東郷治久理事長

式典では併せて、4月1日に東京ビッグサイトで行われたジャパンケネルクラブ主催のトリミング競技大会で、トリマーコースの佐々木麻衣さんが最優秀技術賞、吉田奈央さんが優秀技術賞を受賞し、同校が優秀養成機関賞を受賞したことが報告され、同クラブトリマー試験委員の高尾諭さんから東郷理事長に賞状とトロフィーが授与された。

同校は1997年に犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(同市沼田)の一角でトリミングスクールとしてスタートし、2006年に県内初の動物分野専門学校として開校した。グループ会社のつくばわんわんランドと連携することで全国的にも珍しい、生徒一人が2年間を通して一頭の犬と生活を共にしながら犬を育てるパートナードッグ制度を実施している。施設は、出産を担当するブルーディングハウス「コスモス」、老犬老猫ホーム「ひまわり」、ペット霊園の「わんわんランドメモリアルパーク」などがそろっており、昨年は新校舎「動物医療センター」が完成した。22年度からは動物の専門学校として全国初の通信制ペット学科がスタートした。

90歳で恋人のいた牧野富太郎先生 《くずかごの唄》125

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】NHKの朝ドラに植物学者の牧野富太郎氏が出現して、うれしくなってしまった。牧野先生は小学校すら卒業していないのに、東大の先生になった人と噂(うわさ)された人物である。

「どんな方なの? 私、会って、お話してみたいの」
「私の家の近くだから、連れていってあげるわ」

私が大学3年生のときだった。友達の案内で予告もなしに会いに行ってしまった。焼け野原だった戦後の東京にも、このような鄙(ひな)びた場所が残っていたのかと思われる広い庭の中に、昔風の古民家があった。

表札もなし、玄関と庭の境目にぎっしり木が植えてあって、案内の人がいなければ、どこから入っていいのかわからないたたずまいの家である。

「こんにちは、牧野先生いらっしゃいますか? 会いに参りました」
「どうぞ、お上り下さい。私が牧野です」

奥の方から女の人が飛び出してきた。

「お上り下さいなんて言って… そこは、ネダ(根太)と畳が腐っていて、危ないのよ。こちらから回って、入ってください」

先生は60歳くらいかと思った

後で調べてみたら、先生は当時90歳だった。平均寿命が40歳。70歳で死ぬと長生きしてオメデタイといって紅白のお饅頭(まんじゅう)を出した時代である。当時60歳以上の老人と、あまり話をしたことがない私は、先生を60歳くらいかと思ってしまった。

「学生さんかい?」
「薬科大学の学生で植研に入っています」
「ショッケン? 食券?」
「植物研究部です、薬用植物の観察をしています」
「山へいくの?」
「この間は、筑波山へカタクリの花を見に行きました。いつまで見ていても飽きない形をしていました」

話が弾んで、なぜか、とても楽しかった。先生は自伝に「私の恋人は植物です」と書いている。90歳になっても恋人のいる人は、さすがに若くて溌剌(はつらつ)としていた。(随筆家、薬剤師)

320人に入学許可 プラニク新校長の土浦一高・付属中

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式辞を述べるプラニク・ヨゲンドラ校長=土浦一高体育館

県立土浦第一高等学校・付属中学校(プラニク・ヨゲンドラ校長)の入学式が7日、土浦市真鍋の同校体育館で行われた。3期生となる中学生80人、高校全日制240人の名が一人ひとり読み上げられ、入学を許可された。定時制を除く同校生徒数は中学239人、高校754人の計993人となった。

創立125年の同校は今春からインド出身のプラニク校長の新体制。茨城県の県立高校長公募の第1回で選ばれ、22年度から同校の副校長に就任していた。

新校長は羽織袴(はかま)の礼装で式典に臨んだ。校訓である「自主・協同・責任」に加え、ポジティブな姿勢、国際的な視野を持って学業やスポーツ、文化活動に取り組むのが「一高スタイル」だとし、新入生には「セルフマネジメントとタイムマネジメントをしっかりと過ごす」よう諭した。保護者には「毎日15分の体操と5分の振り返りを共にする」よう求めた。

新入生たちは大半がマスク着用で式典に臨んだ。高校新入生を代表して大久保祐紀さんは「コロナ禍で制限の多い中学校の3年間だった。乗り越えてきた自信をもって高校生活に臨みたい」と誓いの言葉を述べた。

総勢320人の新入生。前2列が中学生

式には大野金一同窓会長、塚本一也PTA会長らが出席した。在校生は吹奏楽部、管弦楽部、コーラス部の合同編成による校歌演奏で出迎えた。

同校は長く1学年8クラスの編成が続いたが、1学年2クラスの付属中の設置に伴い高校は一昨年の7クラスから、昨年・今年度と6クラス240人定員となった。付属中生徒が進学が始まる来年度からは4クラス160人の募集定員となる。県下きっての進学校のさらなる「狭き門」化は、土浦・つくばの高校進学地図に新たな変数をもたらしそうだ。(相澤冬樹)

いばらきフラワーパーク 《日本一の湖のほとりにある街の話》10

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】茨城県の花「バラ」をメーンとするテーマパークとして、長年地域に愛されてきた「茨城県フラワーパーク」。同園は2021年4月、「見る」から「感じる」をコンセプトに、「いばらきフラワーパーク」としてリニューアルオープンしました。

園の設計・運営を手掛けるのは、都内を中心に洗練されたお花を提供する「青山フラワーマーケット」を運営する「株式会社パーク・コーポレーション」。今回は同園広報の潮田さんに、リニューアル後の見どころをご紹介いただきました。

まず挙げられたのが「地域とのつながり」。エントランスに大胆に積み上げられた大きな石は、地元の石職人が切り出した筑波石の石積みです。さらに最初に出迎えてくれるバラは、園の所在地「八郷」にちなみ、フランス語で「八」をあらわす「ユイット」、「郷」を意味する「カンパーニュ」に日本語の「結い」という言葉を組み合わせた、同園のための新品種「ユイット・カンパーニュ」。

レストランでは茨城県・八郷の食材をふんだんに用いたメニューが楽しめるなど、バラを中心とするコンセプトを引き継ぎつつ、地域文化を洗練した形で散りばめたものとなっています。

そして、種々の工夫により体で「感じる」フラワーパークが広がっています。中心となるバラ園は、360度バラの香りに包まれる「バラのトンネル」にはじまり、「バラテラス」や「色別バラ」といった目を楽しませるエリアのほか、「香りのバラ」として様々な香りを楽しめるエリアなど900品種も。

見るだけでなくバラを用いたスイーツなど、味覚でも楽しめるうえ、バラなど季節の植物の蒸留体験といった体験プログラムなど、まさに五感で感じられるコンテンツが展開されています。

八郷の風土を丸ごと楽しめる施設

もちろん、バラだけでなく四季を通じて折々の花々が楽しめるようになっており、4月の今は関東でも有数、100万本のシャガの群落が咲き誇ります。白いかれんな花が、森の中の小道を埋める清々しい美しさは格別。その他の季節も、季節ごとの美しい花やイルミネーションが園内を飾ります。

そして、「100の体験」アクティビティとして、「バラ摘み体験」「季節のボタニカルリースづくり」「季節の花々のポストカードづくり」「パークヨガ」など、花とロケーションを生かし、季節にあわせた様々なアクティビティが用意されています。こうした取り組みにより、リニューアル前と比較してお客様の滞在時間が大きく伸びたそうです。

さらに、リニューアルに合わせ整備された宿泊施設「花やさと山」では、コテージやグランピングなどで気軽に自然と触れ合うことが可能。日中に花を楽しんだら、夜は都会では味わえない満天の星空に出会えます。また、宿泊者だけの特別な体験として、花が最も美しい開園前の早朝の園内を散策することができる、スペシャルな特典も!

22人ものガーデナーが丹精込めて育てる折々の季節の花々と、八郷の風土を丸ごと楽しめる同施設。爽やかな散策が楽しいこれからの季節に、ぜひ足をお運びください。一回では味わいつくせない、四季折々の美しさを体感するために、年間パスポートの購入がおススメです!(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

これまで紹介した場所はこちら

茨城のポテンシャルは高いはずだが… 《地方創生を考える》28

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ダイアモンド筑波

【コラム・中尾隆友】私の持論は「地方経済にとって有望な成長産業は、農業・観光・医療の3つの分野である」ということだ。

産業育成に欠かせない「相乗効果」の視点

実は、この3つの産業は密接にリンクしている。たとえば、海外の富裕層や中間層に、日本への観光をかねて、先端的な医療あるいは人間ドックを受けに来てもらう。そして、湯治などを含めた観光では、ご当地のおいしい日本食を楽しんでもらう。

それができれば、帰国した後も、安全で品質の高い日本の農産物を食べてもらえる機会が増えるだろう。ひとたび日本のファンになってもらえれば、その後もたびたび日本を訪れてもらうことができるかもしれない。

こういった日本の強みを生かせる産業の組み合わせこそが、農業・観光・医療の高付加価値をさらに高め、日本ブランドを確立すること、ひいてはそれが地方経済の発展につながる。そうなれば、中国や韓国、台湾などアジアのライバルたちとの価格競争にも巻き込まれることはなく、賃金水準が比較的高い新たな雇用をつくりだすことができるのだ。

特に茨城県は農業に強く、医療水準が高い大病院が多い。しっかり整備をすれば、モノになる観光資源も少なくない。ポテンシャルは高いはずだ。

「点」ではなく「面」で考える重要性

しかし現状では、農業と医療は国の規制でがんじがらめになっているし、観光は国の経済規模でみると、諸外国に比べて圧倒的に予算が少ないというハンデを背負っている。

茨城県の2023年度の一般会計では、PRによる観光振興や農産物のブランド化など、少ないながら予算が配分されているものの、それよりも予算の硬直化が否めないのは非常に残念に思う。

これは、国と地方自治体が抱える共通の問題点だ。かつて行政に身を置いたからよく分かるのだが、予算を農業という「点」、観光という「点」でしか考えず、相乗効果をもたらす「面」で配分できない仕組み(あるいは慣習)なのだ。

私は「これら3つの分野を10年かけて成長産業に育てることが望ましい」と言い続けてきたが、すでに言い始めてから15年が経ってしまった。地方の活性化を本気で考えるならば、このような閉塞(へいそく)した予算を早く打ち破ってもらいたいところだ。(経営アドバイザー)

週末の教室を地域開放 つくば香取台小、研究学園小・中学校で開校式

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香取台小の校旗伝達。五十嵐市長(左)から塚本明校長へ

今年度開校のつくば市立香取台小学校(同市島名、塚本明校長)、研究学園小学校(同市研究学園、岡田太郎校長)と研究学園中学校(同所、板谷亜由美校長)の開校式が4日、それぞれの学校で行われた。式典では五十嵐立青市長や森田充教育長、五頭泰誠市議会議長らが挨拶し、校章や校歌が披露された。

3校はいずれも「地域と共に学び育つ学校」をコンセプトとし、体育館や家庭科室、図工室などの教室は休業日に市民へ開放することを想定した造りになっている。児童生徒数の増減に合わせて教室数を調整できるよう、空き教室が発生した際に別施設に転用がしやすい配置や普通教室に転用できる教室設計とするなど工夫を凝らした。

3校はまた、それぞれTX万博記念公園駅、研究学園駅の近隣に位置することから、災害時に帰宅困難者たちの受け入れが可能となるよう、自家発電設備や防災用井戸を導入して避難所としての機能を強化させたという。

松本俊明さん作曲の校歌も披露

香取台小の開校式で、五十嵐市長は「学校は子どもたちのものだけでなく、週末は地域の皆さんに使っていただけるように設計してもらった。さまざまな交流やコミュニティーを作る場所にしたい」と式辞を述べた。森田教育長は「さまざまな学びに耐えうるような空間にした。近代的でありながら木を使ってあたたかみのある校舎ができた」と告辞を述べた。

香取台小学校の教室内=つくば市島名

式には同小の校歌を作詞、作曲したピアニストの松本俊明さんも参加し、歌詞や曲調に込めた思いを話して校歌が披露された。

香取台小の建設事業費は、敷地内にある児童クラブ、かとりだい交流館を含めて約35億9000万円。校舎は鉄筋コンクリート造3階建て延床面積約7100平方メートル。体育館は鉄骨造約1100平方メートル。普通教室数は最大24学級で、今年度は1年生が4学級、2年生から6年生が各3学級の全19学級、児童数は591人となる予定。

研究学園小・中それぞれに校舎と体育館

研究学園小学校、中学校の開校式では、五十嵐市長は「規模が大きくなりすぎると一人の校長で見ることは難しい。今まで義務教育学校であった課題を解決するために今回は小中で別々の学校にした」と話した。板谷校長は「研究・探究に主体的に取り組む児童生徒」など同校が目指す児童生徒像について語り、「これまで開校に携わった全ての方々の期待を背負いスタートする」と述べた。

研究学園小・中学校=つくば市研究学園

研究学園小・中学校の建設事業費は合わせて約62億3000万円。小学校校舎は鉄筋コンクリート造3階建て延床面積約7000平方メートル。体育館は鉄筋コンクリート造約1200平方メートル。普通教室数は最大22学級で、今年度は1年生が4学級、2年生から4年生が各3学級、5年生から6年生が各2学級の全17学級、児童数は507人となる予定。中学校校舎は鉄筋コンクリート造3階建て延床面積約4800平方メートル。体育館は鉄筋コンクリート造約1200平方メートル。普通教室数は最大9学級で、今年度は各学年1学級の全3学級、生徒数は54人となる予定だという。(田中めぐみ)

おいしいものに宿るもの 《ことばのおはなし》56

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私が作ったペペロンチーノ

【コラム・山口絹記】「神は細部に宿る(God is in the details)」という有名な格言がある。芸術をはじめ、様々な分野よく引用されるものの、実は誰が最初に言ったことばなのかはよくわかっていないそうだ。

ある休日の昼下がり。娘に何が食べたいか聞くと、ペペロンチーノがいいと言う。ニンニクやトウガラシ、バジルなんかをコトコトとキッチンに並べていると、娘がどうやって作るのか知りたいと言い出した。

じゃぁ、作るから見てなよ、ということで、水の入った鍋を火にかけ、ニンニクの皮をむきながら説明をする。ペペロンチーノは材料が少ない分、ひとつひとつの素材を丁寧に扱わないといけないということ。ニンニクなら、同じ厚み、大きさに切ることが大切だということ。スライスしたニンニクを見せながらそんな話をする。

沸いた湯に塩とパスタを入れながら娘を見やると、娘は、小さなニンニクのかけらを手に取りながら、それで味が変わるの? と言いたげな表情だ。娘からニンニクを受け取って、オリーブオイルの中に入れる。火を弱火にしてから台の上に娘を乗せて、ニンニクの色が変わる様子を見せた。

ペペロンチーノとひとことに言っても、ニンニクの使い方にはいろいろある。切らずにつぶしていれてしまうこともあるし、みじん切りにすることだってあるのだが、我が家は厚めのスライスだ。芽は焦げるので取り除く。

ひとつひとつのニンニクのかけらがきつね色になり、部屋に食欲をそそる香りが広がる。大きさがそろってないと焦げるものや生焼けのものができてしまうことを説明すると、娘も納得したようだ。

辛い物も食べられるようになった娘

「神は細部に宿るんだよ」と私が言うと、娘は怪訝(けげん)な顔をした。「丁寧に作ればおいしくなるってこと」。私は言いながらバジルとパセリをみじん切りにする。少しのゆで汁を加えてできたソースに、種を取り除いたトウガラシをハサミでちょきちょきと切り入れる。これくらいのタイミングで入れれば辛くなり過ぎず、娘も食べられるのだ。

できたソースにパスタを絡め、刻んでおいたバジルとパセリ、塩を加えてさっと混ぜ、スライスしたレモンを皿に絞り入れてから、その上にパスタを盛り付ける。食べるときに混ぜながら食べるとおいしい。

トウガラシを器用に取り除きながらペペロンチーノをほおばる娘を見ていると、辛い物も食べられるようになったんだな、と感慨深くなる。私はこれといって信仰は持たない。細部に宿るのが神だろうが悪魔だろうが知ったことではないが、あえて信じるものがあるとすれば、おいしいものには幸せが宿る、ということだ。(言語研究者)

はやく、楽しく、かっこよく つくばで関彰商事「走り方教室」

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マーカーをまたぎながら走る練習。自己流の走りからアスリートのフォームに近付く=筑波大学中央体育館

グループ企業の社員とその子どもたちを対象にした「セキショウ走り方教室」が3日、つくば市天王台の筑波大学中央体育館で開かれた。関彰商事(本社・筑西市、つくば市、関正樹社長)所属のアスリート社員が「はやく、楽しく、かっこよく」走れるようになる方法を伝授した。

同社は身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることをさす「ウェルビーイング」の考え方を取り入れた企業活動を展開している。今回は、つくば市といわき市の2会場で開催され、つくば会場では小学生を中心とする約20組の親子が参加した。共催は、1日に改組によりスタートしたばかりの筑波大学体育スポーツ局。

講師はセキショウアスリートクラブONE所属、100mハードルで全日本選手権3位などの戦績を持つ広報部の相馬絵里子さん。準備運動から始まり、走り方の基本を順を追って指導していった。

両足ジャンプで、地面の力をもらう感覚をつかむ練習

走るときの姿勢で「いちばん大事なのは、地面から力をもらうこと」と相馬さん。地面に足をついたとき、地面から受ける反発力を利用し、それを前へ進む力に変えるのだそうだ。そのためには、なるべくひざをまっすぐ伸ばしたまま、かかとからではなく足全体で、バンと大きな音が出るようにつく。このとき、もう片方の足はももを水平に上げ、爪先も上げておく。

腕の振り方は「前の手は自分の鼻、後ろの手はズボンのポッケの横」。これは脇を締め、腕を曲げたまま振るためのアドバイスだそうだ。こうしてだんだんと実際の走りへと近付けていき、最後は体育館の端から端まで全力でダッシュした。

参加者の一人、平田朝輝さん(7)は「楽しかった。今でも1着を取れるけど、もっと速く走りたい。教わったことを練習すれば、できるようになると思う」と意欲的。坂入ちひろさん(10)は「中学校へ行ったら陸上部に入りたい。すごく分かりやすく話してもらえた」との感想を述べた。

小学生を中心とする児童約20人とその保護者が参加

相馬さんは「子どもたちが元気に楽しそうに参加してくれてうれしい。ちょっと難しい内容だったが、なるべく分かりやすく工夫し、短い時間でも要点を教えることができた。子どもたちもしっかりやってくれていい教室になった。いままではコロナ禍でなかなか機会が持てなかったが、今後も規模を広げたりしながら開催していきたい」と話した。(池田充雄)

大人も知らないキーワード「春闘」 《雑記録》46

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春の花 筆者撮影

【コラム・瀧田薫】3月23日、毎日小学生新聞「大人も知らないキーワード」のページが「春闘」を取り上げていた。もとより「死語」とされて久しい「春闘」であり、子ども新聞によって「大人も知らない語」とされても違和感はない。しかし、死語だったはずの「春闘」が一般紙に頻繁に登場し、子ども新聞によってキーワードとされるに至っては、死語から復活したということだろう。いやそれどころか、今や「春闘ブーム」が進行中、それが実態らしいのだ。

ブーム前段の動きは昨年11月の毎月勤労統計調査が発表されたころに現れた。調査によれば、現金給与総額が前年比1.9%伸びている。しかし、同月の消費者物価上昇率は4.5%。つまり実質賃金は前年比で大幅マイナスである。さすがに政府も危機感を抱き、労使トップに働きかけて、8年ぶりに「政労使会議」を開いた。政府の狙いは「春闘」とタイアップして賃上げの機運を醸成することにあった。

それが効いてか、3月15日に主要企業の賃上げ回答があり、高水準の賃上げが相次ぐこととなったのである。

日本労働組合総連合会(以下「連合」)は3月24日、プレスリリース「2023春期生活闘争 回答集計結果」を発行し、「高い賃上げ額・率回答を引き出した」と宣言し、この水準は比較可能な2013年闘争以降で最も高いとした。連合にすれば、今春闘における高水準の賃上げを、連合が闘い取った成果と言いたかったのだろう。

しかし、今回の春闘の主導権は連合ではなく、政府と使用者側にあったことは明らかだ。連合の報告にある2013年という年は、第2次安倍政権が「政労使会議」を初めて設け、経済界に賃金の引き上げを要請した年である。当時のマスコミは、本来労使交渉で決めるべき賃上げに政府が介入したことを揶揄(やゆ)して、「官製春闘」という言葉を使用するようになった。

「政労使」における労組の衰退

今回、岸田政権によって「政労使会議」が再生され、それと同時に「官製春闘」という言葉も復活したと言えよう。

つまり、今回の「春闘ブーム」は政府と使用者側主導のブームであり、労組あるいは連合の存在は、子ども新聞が指摘したように、大人も知らないほど影の薄いものになっているということだ。現状、政労使のトライアングルは労組の衰退によってバランスがとれていない。このままであれば、この国の権力バランスがさらに不健全なものとなろう。当面、労働者側はOECD諸国の政労使関係に範を求めて自力をつける努力をすべきだろう。

ところで、中小企業の賃金動向は大企業のそれとはタイムラグを伴う。今回の賃上げが中小企業にも浸透するかどうか事態を見守る必要がある。さらに、政府、使用者側そして労働者側も、財務省が公表した「国民負担率」資料、特に昭和45年(1970)からの負担率推移表を手に取り、国民がどれほど重い負担に耐え続けてきたか確認すべきだ。

政府はもとより、使用者側も労働組合も国民全体の生活に責任を負っていることを忘れないでほしい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

消えたワカサギ 水遊びの生態系から【桜川と共に】2

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桜川で投網をする漁協組合員の姿

桜川漁協の拠点、つくば市松塚の桜川のほとりには4月上旬、桜や菜の花、チューリップが咲き誇っていた。元々雑草や不法投棄で荒れていたこの場所は、漁協のメンバーたちで構成する多面的機能活動組織が定期的な草刈りや清掃を行い、花を植えて環境を整備した。訪れる人々はウグイスの鳴く美しい景色の中、写真を撮ったり、釣り糸を垂れたりして思い思いに楽しんでいる。

しかし、牧歌的な風景とは裏腹に、水の中では大きな変化が起こっている。「ワカサギが全然上がってこない。魚がいないからカワウも来ない。このままでは桜川の漁業はあと7年も持たない」漁協組合長の鈴木清次さん(80)は表情を曇らせる。

放流用も確保できない記録的不漁

ワカサギは霞ケ浦と流入河川を行き来している。桜川漁協では毎年ワカサギの卵を200万粒放流していたが、令和に入ってから記録的な不漁が続き、今年はついに魚卵の採取ができず、放流もできなかった。霞ケ浦での放流は行われたものの、北浦を含む霞ケ浦のワカサギ漁獲量は2019年の119トンから21年には34トンにまで落ち込んでいる(県農林水産統計年報)。

不漁の一因に水温の上昇が考えられる。ワカサギは水温30℃を超えると死ぬ個体が出るとされており、霞ケ浦で調査が進められている。流入河川の改修や霞ケ浦の消波堤の造成の影響についても調査中だ。近年適用が拡大された農薬の影響の懸念を口にする漁業者もいる。

今、桜川で釣りをすると外来種のアメリカオオナマズやミシシッピアカミミガメばかりが釣れる。小さいころから桜川で遊び、70年以上桜川を見つめてきた鈴木さんと漁協理事の酒井康男さん(86)は桜川の生態系がすっかり変わってしまったと話す。特に昭和38年(1963)に完成した常陸川水門は特に生態系に大きな影響を与えたという。

プール代わり 飲んだり食べたり

今、桜川の水は濁っているが、鈴木さんと酒井さんが子どもの頃は水が澄んでおり、桜川に入って遊んでいたと話す。「夏は毎日泳いで遊んでいた。水を手ですくって飲むこともできたんだから。お腹も壊さなかった」と鈴木さん。

桜川漁業組合の拠点で昔を振り返る鈴木清次さんと酒井康男さん=つくば市松塚

酒井さんは「プールの代わり。子どもの頃は巻き網漁をやる大人の後ろをずっと付いて行った。たくさん魚が捕れたよ」という。アユやオイカワ、クチボソ、ニゴイ、フナ、ウナギなどの魚やシジミ、モクズガニがたくさん捕れたと振り返る。「かいぼりして、手づかみでシジミを捕って、家に持って帰って母親が味噌汁にする。ニゴイのこいこくもおいしいんだ」

川から田んぼへの用水路の泥の中にはウナギがおり、長い柄の先にかぎをつけた「ウナギかき」という道具でウナギを捕ることができた。田んぼにもドジョウがたくさんいた。「ざるを持ってきゅうりやトマトを取って、川に入れて冷やしておく。遊んでのどが乾いたらそれを食べてね。桑の実を食べて、口を真っ赤にしてさ、紅みたいに」酒井さんも「なあ」と相づちを打ち笑顔になる。二人とも、幼い頃桜川で遊びまわった記憶が鮮明にあるという。

当時は海の魚の流通が少なかったため、桜川で捕った魚を山間部や谷田部の方に売りに行っていた。小学生や中学生の子どもたちも自分で捕った魚を売って歩き、お小遣いにしていたという。「本当なら今からが楽しい時なんだ。昔はわなをかけるとドジョウがいっぱい捕れてね」「今の子どもは川には入っちゃいけないと教わるからね」

鈴木さんは昭和42年(1967)25歳で、酒井さんは昭和45年(1970)35歳の時にそれぞれ漁協に入った。酒井さんの記憶によると昭和37年(1962)頃には420人ほどの組合員がいたというが、高齢化が進み現在は107人だ。鈴木さんや酒井さんが加入した当時から現在まで、漁業だけで生計を立てている人はおらず、ほとんどが農家との兼業だという。

桜川の生態系は大きく変わってしまったが、2人は漁協への加入以来、桜川の環境改善のため、放流事業や漁場の整備、特定外来魚の駆除などに取り組み続けてきた。鈴木さんは「上流の下水の整備をして、下は水門を開けてほしい。10年、20年かかるかもしれないが、昔のような桜川に戻していろんな人に遊びに来てもらうことが私の願い」と話す。(田中めぐみ)

【桜川と共に】1回目はこちら