個性を尊重し自由な表現活動を行う美術団体「現代美術家協会茨城支部」(佐野幸子支部長)の第39回茨城現展が11日、つくば市吾妻、県つくば美術館で開幕した。支部会員ら36人の絵画、立体造形、工芸、写真作品など約150点が一堂に展示されている。ウクライナで戦争が長期化する中、反戦や平和をテーマにした作品が目立った。
佐野支部長は、ウクライナ国旗の青と黄色が人々の涙雨のように焦土に降る「遥か、ウクライナ」を出品した。戦争がいつ終わるとも知れないウクライナの人々の悲しみを表現したという。ほかにウクライナの避難民を連想する福田徹さんの「霧の中の人々」、ウクライナの国花ヒマワリの写真を合成した佐々木誠さんの写真作品「ウクライナ」などが展示されている。
会場入り口の廊下には、平和をテーマにした会員による合同作品も紹介されており、佐野支部長は「戦禍をこうむった当時者はいかばかりかと思う。皆さんと共に全世界の平和を願いたい」と話す。
会場にはつくば、土浦、牛久など県内の40代から80代の支部会員による油絵、アクリル画、リトグラフ、パッチワーク、写真、彫刻、陶芸などが展示されている。
つくば市の佐々木量代さんは、Tシャツとこいのぼりが風に揺れる作品「5月の空に」など3点を出品した。「固定観念なく個性を尊重する団体なので、自分の表現の可能性にチャレンジできる」と話す。
ほかに、各地の仏像の顔を描いた絵画や、アルバムの写真を集めた「昭和に思いを寄せて(Nさんのアルバムより)」、競走馬の蹄鉄(ていてつ)などを素材にした馬の頭の造形作品などが展示されている。
来場したつくば市の飯島裕子さんは「一般に美術団体の作品展は似た感じの作品が多いが、現展はそれぞれ個性があり、いろいろなジャンルがあるので面白いし楽しい。表現の自由を感じる」と話していた。
◆第39回茨城現展は16日(日)まで、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時)まで。入場無料。