金曜日, 3月 29, 2024
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高齢化で在宅介護の相談急増 民生委員自ら初の研修 つくば市茎崎

【橋立多美】住宅団地住民が一斉に年をとり、急速な高齢化が進むつくば市茎崎地区で、民生委員が在宅介護に関する相談を受けるケースがここ数年、急増している。こうした状況を受け、同地区の民生委員自らが初の試みとして、在宅介護のシステムと現状を知る研修に取り組んだ。 茎崎交流センターで18日開かれた、同市茎崎地区民生委員児童委員協議会(関口光治会長)による全体研修で、初めて在宅医療と介護をテーマにした。 訪問診療を専門に行っている、つくば在宅クリニック院長の渡辺拓自さんの講演と3人を看取った介護者の体験談が語られ、会場に集まった32人の委員たちは静かに耳を傾けた。 渡辺さんは同市を中心に、10市1町の在宅患者約140人の診療にあたっている。様々な患者と家族の例を挙げながら「在宅医療は看取りのための医療ではなく、患者の意思に添いながら訪問看護師などがチームで支える医療」と話した。その一方で「本人にとって介護が生活の基盤で家族の理解と協力がないと成り立たない」とも。 続いて谷田部地区民生委員の久保田美智子さんが、実母と夫、従妹の順で介護し見送った体験を語った。「本人の痛みをコントロールしてくれる在宅医がいたから、9年に及んだ介護の日々を乗り切ることができた」と振り返った。 参加した民生委員からは「相談に乗ってくれる良い主治医を探すには?」「知りたかった訪問診療にかかる費用が分かって良かった」などの質問や感想が聞かれた。 民生委員は、地域の身近な相談相手として必要な支援を行う非常勤の公務員。あしび野に住む民生委員の稲川誠一さんによると、2005年に施行された個人情報保護法でお年寄りの安否確認が満足にできなくなって業務に弊害が生じたり、民生委員自らが高齢になって辞めるなど、なり手不足になっていると課題を指摘した。

シェーキーズ20日閉店 つくばセンタービル 35年の歴史惜しみ行列

【橋立多美】つくばセンタービル(つくば市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールにあるピザチェーン店「シェーキーズ筑波学園店」が20日に閉店する。同センタービルがオープンした1983年に開店し、35年間市民に親しまれてきた。西武筑波店、イオンつくば駅前店に続いて中心地区のにぎわいがまた一つ消える。同店前では、閉店を惜しむ人たちが連日行列をつくっている。 シェーキーズは関東を中心に23店舗を展開するピザチェーン。運営本部のアールアンドケーフードサービス(東京都世田谷区)によると、2014年頃から売り上げが下降傾向となり、近隣の商業施設の撤退もあり、やむなく撤退を決めたという。 閉店まで残り3日となった17日の正午過ぎ、40人以上が店の前で行列をつくり順番を待った。市内在住の40代の母親と娘2人は「寂しいし名残り惜しい」。60代の男女5人は「みんなピザ好きで土浦から誘い合って来ていた。これからどうしよう」と話した。牛久在住の49歳の男性は「当時通っていた牛久高校の期末試験が終わると、友人と50ccのバイクで来るのが決まりだった。青春時代の1ページが終わる」。精算を済ませた40代の男性は「今日も変わらずおいしかった」と話した。 4割が空き店舗に 同店はアイアイモールの核店舗の一つ。同モールがあるセンタービルは、建築家、磯崎新の代表作として知られ、コンサートホールや交流センター、ホテルなどの都心機能を併せもつ施設として建設された。 つくばセンタービルを運営している筑波都市整備(同市竹園)によれば、同モールは12区画あるが、同店が閉店することで4割の5区画が空くことになるという。 センタービルオープンに次いで、科学万博が開かれた85年に大型商業施設クレオが誕生した当時は、同モールとクレオを結ぶ平坦な歩道があった。市内外から集まった多くの買い物客は回遊してショッピングを楽しむことができた。 その後94年に歩道がなくなり、クレオと分断された格好になった。さらに2009年に常陽銀行、翌年関東銀行(現筑波銀行)が撤退し、モールの活気が徐々に失われていったという。総務部長の糸賀徹さんは、2銀行が撤退した頃にはオープン当初の来館者数の半分以下になっていたと振り返る。 小林睦営業部長は「シェーキーズは固定客が多くモールの核だっただけに、撤退は痛手」と話す。つくばエクスプレス(TX)開業や周辺に大型商業施設ができたこと、市庁舎が研究学園地区にできたなど社会的背景が変わってセンター機能が失われたとした上で、「人気店の撤退を機に、文化と科学が集積するセンター地区で求められる機能は何かを追求していきたい」とした。 「中心地が疲弊し厳しい状況だと分かっている」と語ったのは、つくばセンター地区活性化協議会事務局長の稲葉祐樹さんだ。中央広場を囲むセンタービル1階のモールは階段で2階のペデストリアンデッキに通じるが、ベビーカーを押す人や高齢者などはビル内のエレベーターに乗るという動線上の問題がある。稲葉さんは「磯崎新の設計を変えず、どう使いやすい施設にするかが課題」と話した。

素案に評価と落胆 つくば市公共交通改編 茎崎地区で説明会

【橋立多美】つくば市が策定した、コミュニティーバス「つくバス」や路線バスなど公共交通改編素案の説明会が12日から市内7地区で始まった。このうち高齢化率が市内で最も高い茎崎地区では、参加者から「牛久駅行の新規バス路線を盛った案は一歩前進」と評価する声と、「要望がかなわなかった。高齢者は5年、10年先どうなるのか」と落胆する声の両方が出された。 同地区の説明会は13日、茎崎交流センターで行われた。改編素案は、昨年実施された地区別懇談会やアンケート調査で分かった利用者のニーズに沿い市が作成した。説明会には住民51人が参加し、5グループに分かれて素案の問題点を出し合った。グループワークで積極的に意見を述べる姿が見られた。 同地区では現在、下岩崎の茎崎老人福祉センターから牛久学園通りを走行してつくばセンターに至る「南部シャトル」と、牛久沼に突き出た南西部から商業施設アッセを経由してTXみどりの駅に至る「自由ケ丘シャトル」が運行されている。旧6町村中、高齢化率が36.7%と最も高い同地区の住民は、牛久市の病院やスーパーを利用する人が多く、市域を超えた生活圏が存在する。そのため牛久方面への公共交通の整備を要望する住民の声が絶えなかった。 改編素案では、牛久方面への直通バス路線のない南西部地域などに新規路線バスを運行するほか、牛久駅とを結ぶ既存の4路線バスへの運賃補助が盛り込まれた。補助額は、路線バス運賃をつくバス料金(200~400円、高齢者などは半額)と同等にする金額で検討されている。 グループワークでは素案に対し、「城山団地と桜が丘団地につくバスのルートをつくってほしい」「1時間に1本の自由ケ丘シャトルを30分間隔にしてほしい」「牛久の総合病院に乗り入れてほしい」「バスを待つバス停の環境を整えてほしい」などの意見が挙がった。 南西部・あしび野団地に住む稲川誠一さんは「この辺りの高齢者は1日かけて牛久の病院に通っている。路線バスでJR藤代駅まで行き、常磐線に乗り換えて牛久駅で降り、そこから病院の送迎バスを利用している。往復で1200円かかる。牛久駅行の新規バス路線を盛った案は一歩前進」と話した。 改編案に落胆した地区もある。つくバスの「南部シャトル」と「自由ケ丘シャトル」の中間に位置する桜が丘団地住民の交通手段は、マイカーか牛久駅とを結ぶ路線バス。落合正水区長は「つくばセンター方面に行きたい住民が多く、南部シャトルの昼間の時間帯で一本おきでもいいと要望したがかなわなかった。約500人の高齢者が住んでいる。5年、10年先はどうなるのか」と不安を隠さない。 約1300世帯が暮らす住宅団地、森の里の倉本茂樹自治会長は、つくバスのバス停の間隔を現在の約1㎞間隔から500m間隔を基準にするとの案を評価する一方、団地内にバス停が設置されないことに不満を募らせる。「バス停の間隔が狭くなると運行に時間が掛かるとの指摘があるが、体力のない高齢者が荷物を持って歩けるのは350mが精いっぱい」とした上で「団地面積は約25haで団地入り口のバス停まで最長1㎞の道のりがある。粘り強くバス停新設を要望していくしかない」と話していた。

きょう2日は八十八夜 新茶シーズン到来

【橋立多美】立春から数えて88日目にあたるきょう2日は、茶摘みを始めるのに最適な八十八夜。新茶シーズンの到来だ。 筑波大学(つくば市天王台)東側に茶畑が広がる一角がある。栽培から加工販売まで行っている沢辺茶園(つくば市要)の畑で広さ2ha。畑一帯が明るい緑色におおわれ、一年中で最も多忙な時期を迎えた。 同園は、店主の沢辺稔さん(70)が静岡の製茶園で修業を積んで始めた。おいしいお茶は土作りからと有機肥料にこだわり、息子夫婦と一家総出で取り組んでいる。 沢辺さんは「今年は天候に恵まれて順調に生育し、例年に比べて1週間ほど新芽の伸びが早い」という。「さわやかな甘みと旨みを味わってもらえる」と味に太鼓判を押す。 近年、ペットボトルや紙パック入りの緑茶飲料が普及し、急須離れが進んでいる。お茶はペッボトルに入っているのを買う時代となり、緑茶の消費は減少傾向で推移している。 総務省の家計調査によれば、1965年の一世帯当たりの緑茶年間購入量(全国)は2133gだった。この年をピークに下落し、2008年に初めて1000gを割り込み、16年には856gまで落ち込んでいる。 生産者の高齢化と相まって規模を縮小する茶園があるが、沢辺さんは「茶文化を衰退させたくない」と前向きだ。茶葉に触れ、緑茶を急須で飲む習慣を取り戻してほしいと毎年、新茶の時期に手摘みなどを体験できるイベントを開催している。今年は30人募集に40人の申し込みがあり、締め切られた。 ゴールデンウイーク明けには新茶が同園の店頭に並ぶという。問い合わせは電話029-864-0989(同園)。

次は「ご近所寄り道商店街」 つくばの女性3人 大角豆で6月開催

【橋立多美】街をワクワクさせたいと、つくば市大角豆(ささぎ)のカフェ・ギャラリー「メモリーズ」で古本市を開催した女性3人組「ワンダーホー」が、今度は、ご近所寄り道商店街「どんぐりコロコロ」の準備を進めている。 6月2日と3日の2日間、同市大角豆地区で、農園やレストラン、鍼灸院などを営む有志と開催する。歩いて回れる範囲にある6店の店内の一角で、野菜、手作り商品、飲み物などを販売したり、来場者と共に楽しむイベント。スタンプラリーも実施される。昨年に続く第2回目で、昨年は延べ450人が来場した。 3人は、つくば市大角豆でジュエリーショップ・メモリーズを営む傍ら彫金教室を主宰する鳥山玲子さんと、同教室を介して知り合った丹野雅子さんと齋藤多賀子さんの3人。2016年秋「素敵!」と思うことを実現させようと意気投合した。 各自3万円を出し合って運営資金とし、鳥山さんが広報と渉外、丹野さんが会計、齋藤さんが企画調整を担当。背伸びをしない範囲で自分も周りも楽しくなる企画を練り、「楽しいことをしたい人、この指とまれ」と市民主体で活動の輪を広げている。 6月の寄り道商店街にアクセサリーを出品する鳥山さんは「昨年と同じ店主が顔を揃え、打ち合わせを重ねるごとにご近所同士の親密さが増している。今回はさらに魅力的で個性的な商店街を目指しています」と意気込みを語る。 3人は今月14~15日の2日間、市民が家に眠っている本を持ち寄り、店主として販売する古本市「ブック・フェス」をメモリーズギャラリーで開催した。400冊に及ぶ古本が並べられた会場には延べ150人が訪れ、合計3万6000円を売り上げたそうだ。「家庭で眠っている本を街に循環させて読み手をつなごう」という企画で、本を仲介に入場者同士が会話を弾ませる姿が見られたばかり。 ◆大角豆エリアで開催されるご近所寄り道商店街「どんぐりコロコロ」は、6月2日(土)と3日(日)午前11時~午後4時を予定。問い合わせは鳥山さん(電話029-852-8286)まで。  

サクラソウ花壇が見頃 つくば市松見公園

【橋立多美】つくば市天久保、松見公園内のサクラソウ花壇が見頃を迎えた。花と緑のまちづくりを目指し、同公園で花の手入れや癒しの庭づくりなどをしているNPO法人つくばアーバンガーデニングの園芸仲間が植え付けた。 江戸時代から伝わる園芸品種など800株以上が、園内を流れる滝の脇の花壇に10区画に分かれて植えられている。薄紫の花は伊達男(だておとこ)、白い花は車白(くるまじろ)、ピンク色の花は天晴(あっぱれ)などの名前が付いている。 現存の園芸品種を将来に向けた遺伝資源として保存しようと、2005年、筑波大学と同NPOが共同で立ち上げた「さくらそう里親の会」のメンバーが株を育てた。株分けの作業で出た余剰株を花壇に植え付けた。 花壇は、シノ竹が茂っていたやぶを園芸仲間やボランティアが手作業で根っこを掘り起こして開墾し、3年前に整備したという。 今年は例年より1週間ほど早い13日に開花した。5月中旬まで楽しめる。同NPO理事の落合由美子さんは「日本古来の貴重な品種の美しさを楽しんでほしい」と話す。 サクラソウは桜によく似た花を咲かせる多年草で、国内外を問わずたくさんの愛好家がいる。春の代表的な草花として江戸時代に育種が進み、多くの品種が作られた。園芸品種は、当時生み出された独自の作法に基づく鑑賞法や、日本人独特の花に対する美意識を考察する上で重要とされる。  

「家事」から脱却 おしゃれなコインランドリー LALAガーデンつくば

【橋立多美】洗濯の概念を「家事」から「心地よい体験」に変えるをコンセプトに、LALA(ララ)ガーデンつくば(つくば市小野崎)に3月中旬オープンしたコインランドリー「ランドリー&ラウンジ ウララ」。開店から1カ月の同店を訪ねた。 土浦学園線に面するガラス張りのおしゃれで明るい店内(元ひな野)に、セルフで毛布や布団など大物まで洗えて乾燥できる洗濯乾燥機3台と乾燥機9台が備えられている。セールスポイントはITを活用した利便性の高さだ。①ウェブサイトで機器の空き状況や終了時間が分かる②コイン(硬貨)の持ち合わせがなくてもプリペイド型のICカードで利用できる。 オープニングキャンペーン後も利用客の出足は好調で、午前10時からの1時間が稼働のピーク、午後2時と同8時からも来店客が増えるという。客層は学生から高齢者までと幅広く、主流は40~50代の主婦たち。 音声ガイドで手順を説明するが、店内の清掃を兼ねたスタッフが午前9時~11時まで常駐し、操作に不安感を持つ高齢者に対応している。一方で、開店初日から連日利用する高齢者がいるそうだ。 厚労省の調査によると、2003年に1万2726店だったコインランドリーの店舗数は2013年には1万6693店と、この10年で約3割増えた。かつての狭くて暗いイメージを一新した店が、駐車スペースの広い郊外のショッピングセンターに誕生するようになった。 家庭に洗濯機があっても需要が伸びている理由は、セルフサービスであることから料金がクリーニング店と比較して安いこと。そして、長雨や梅雨でも洗濯物をふわふわに仕上げてくれる乾燥機を1回数百円で利用できることだ。布団やカーテンなどの大物も洗えるといった家庭用洗濯機にはない便利な機能が、コインランドリーの拡大を押し上げている。 小学生の子どもがいる同市の40代の女性は「月曜に体操服を持って行くのが学校の決まりだけど週末が天気とは限らない。乾燥機だけ利用することが多い」。ウララの利用は3回目という50代の女性は「花粉症のため、外干ししたくないタオルやシーツ類の洗濯と乾燥に利用している。運転前に洗浄ボタンを押して清潔に使えるのが嬉しい。終了時間が表示されるので、書店に立ち寄ったり買い物したりと時間を有効に使える」と話した。

タジキスタンの文化と食を堪能 筑波学院大で記念コンサート

【橋立多美】中央アジアに位置するタジキスタン共和国の「文化の日記念コンサート」が7日、筑波学院大学(つくば市吾妻)で開催され、来日した同国の歌手と伝統弦楽器ドゥタール奏者の澄んだ音色に約100人の聴衆が聴き入った。駐日タジキスタン共和国大使館主催。同大学とつくば市国際交流協会が後援した。 今月5日、東京赤坂の区民センターでも同様のコンサートが開催された。さらに多くの人にタジキスタンの文化を広め、在日タジキスタン人と交流することを目的に同市での公演となった。 同国で活躍している男性歌手フィルダウス・ホシモフさんと、女性歌手マディナ・アクナザロワさんが自国の伝統音楽を歌いあげた。軽快なリズムを刻む打楽器をバックにした歌が多く、舞台に上がって踊る人も。中央アジアの舞踊を学んでいる日本女性グループ、グリスタンがタジク人の民族衣装で華麗な踊りを披露する場面もあって、会場はタジキスタン一色となった。 次いで伝統楽器ドゥタールの演奏家シロジディン・ジュラエフさんが登場。中央アジアで最も優れた演奏家として広く知られ、余韻の残る美しい音色に会場が静まり返った。ドゥタールは木製の洋ナシ形の胴と長い棹(さお)に2本の弦が張られた弦楽器で重さは2㎏弱。三味線に似た音色を響かせたり「さくらさくら」が演奏されるなど、巧みな技を披露した。 コンサート後は、学生食堂でタジキスタンの日常食のパンとサラダ、プロフ(ピラフ)が振る舞われた。プロフは米と野菜、羊肉を炊いたもの。紙皿に取り分けたパンやプロフに次々に手が伸びていた。 先月、つくば駅前のBiViつくばで開かれた茶話会「世界お茶のみ話」(同国際交流協会主催)に参加し、タジキスタンに興味を持ったという70代の男性は「ドゥタールの演奏が素晴らしかった。機会があればまた聴きたい」。60代の女性は「民族衣装に引かれました。温かな雰囲気のコンサートで来て良かった」と話した。

「街をワクワクさせたい」 つくば市の3女性が古本市 14、15日

【橋立多美】「ワクワクする楽しいことをやろう」と、つくば市の女性3人が活動する「ワンダホー」。市民が家に眠っている本を持ち寄り、店主として販売する古本市「ブック・フェス」を14、15日の2日間、同市大角豆(ささぎ)のカフェ・ギャラリー「メモリーズ」で開催する。 メンバーは、ジュエリーショップ「メモリーズ」を営む傍ら彫金教室を主宰する鳥山玲子さんと、同教室を介して知り合った丹野雅子さんと齋藤多賀子さん。「すてきと思うことを実現させたい3人が集まった」と丹野さんはいう。 活字離れや電子書籍の台頭などの影響で街の本屋が消え、欲しい本はネットで買う時代になった。3人は「読書の楽しみは本に触れ、手に取った出合いにこそあるのでは。家庭で眠っている本を街に循環させて読み手をつなごう」と昨年2月、初めて古本市を企画した。今年は2回目で、「かつて感動した本が、この街の誰かをまた感動させるかもしれません」と出店を呼び掛ける。 古本市は各出店者が屋号を決めて本を並べるフリーマーケット形式。各自が20冊以上を持ち込み、自由に本の値付けをする。昨年は100円または500円に値付けされた古本が多く、延べ約100人が来場したという。今年も小説や料理、旅行、美術など、さまざまなジャンルの古本がそろいそうだ。 今年は新たに、出店者が屋号をアレンジした図案を彫って、はんこを手作りした。「売り上げカード(スリップ)」に押して、販売する本にはさむ予定だ。 1日、同ギャラリーで約10人がはんこ作りに取り組んだ。篆刻(てんこく)用の石を使ったはんこで、鳥山さんの夫で彫刻家の鳥山豊さんが指導した。牛久市の松川啓さんと妻の香苗さんは「オリジナルのはんこ作りにひかれて古本市に参加する。思ったより石が柔らかくて驚いた。古本市には子どもたちが愛読していた絵本を出品するつもり」と話した。 ◆開催時間は14日(土)、15日(日)両日とも午前11時30分~午後5時まで。メモリーズは同市大角豆2012-788。障害者の自立支援に取り組んでいる「ごきげんファーム」運営のレストラン「ごきげんキッチン」内にある。本を片手にゆったりとした時間が過ごせる。問い合わせは電話029-852-8286

【シルバー団地の挑戦】1 自治会スリム化へ模索 つくば市森の里 高齢化で地域力衰え

【橋立多美】高齢化が進み、役員のなり手不足や加入率の低下など自治会を取り巻くさまざまな課題が指摘される中、自治会の役割を根本から見直そうという動きが、つくば市内でも始まっている。 深刻な高齢化と人口減少に直面している同市茎崎地区にある森の里自治会は、3月25日に開かれた総会で、これからの自治会のあり方を検討する委員会を自治会内に設置することを決めた。これまでの活動を継続していくほどの体力が地域にはないということが背景にあるという。 総会で、新年度会長の倉本茂樹さん(75)は「高齢化が進む中で、自治会運営を検討する委員会を設置する」とあいさつした。演壇に立った倉本さんは「これからも高齢者支援は続けていくが、役員だけで運営していくには無理がある。検討委員会を含めて住民の力を貸してほしい」と呼び掛けた。 また「夏祭りを続けるか、アンケート調査をした上で決めたい」とも述べ、住民の意見を尊重しつつ、運営をスリム化する考えを示唆した。 空き家に転入も入会断られ 市南端の茎崎地区(旧茎崎町)は、筑波研究学園都市の建設に伴って九つの住宅団地が造成され、純農村地域は首都圏のベッドタウンとなった。 住宅団地の中で市内最大規模の森の里(約1300世帯)は1980年代に約5000人が住んでいたが、今では子どもたちが独立し人口は当時の6割の約3000人に減少した。さらに入居時、働き盛りだった世代が一斉に老いたことで、65歳以上の高齢者人口は4割を超える1388人(2017年4月時点)に上っている。このうち184人が一人暮らしという。 約1300世帯中、自治会に加入している世帯は1071世帯。昨年1年間で退会した世帯は27件、死亡による退会は18件あった。高齢化と人口減少が、自治会加入者の減少と空き家の増加を招いているという。 自治会退会の理由の多くが、会費の徴収や回覧板の配布に歩き回るのが辛いというもの。加入している世帯数に応じて市から補助金(事務委託料)が出るため、退会されると会費収入と委託料を同時に失うことになる。 16年10月から、市が市内全域を対象に実施した「空家等実態調査」では森の里の空き家は55件だった。が、連日団地内の空き家や空き地の見守りをしている自警団は99件あると報告している。最近はリフォームされた家を借りて住む人が出てきた。自治会役員が訪ねて入会を勧めても断られる上にごみ出しのルールを守らない人もいて、役員たちの頭痛の種になっている。 新たな負担次々 自治会活動を担う役員自らも高齢者で、行事運営が負担になってきていることも挙げられる。街路灯のチェックや維持管理、清掃美化、ごみ集積所の管理といった暮らしに関わる活動のほか、7年前から高齢者の見守りや粗大ごみ出し支援、閉じこもりを防ぐための行事や交流サロンなど、高齢者対策を実践している。会員間の親睦を図る夏まつりは恒例の一大イベントだが、後期高齢者が多い実行委メンバーたちは血圧や健康状態を確認して本番に臨むという。 運営をスリム化し、時代に合った役割に切り替えるか。森の里自治会の模索は始まったばかりだ。 ◇NEWSつくばは、高齢社会の抱える課題が顕在する森の里自治会の動きに密着し、人口減少と超高齢社会へのアプローチを「シルバー団地の挑戦」とワッペンを付けて報道する。

【桜花爛漫】SNSで拡散、科学の街に新名所 東光台研究団地

【橋立多美】開花した桜花がライトアップされ、幻想的な光景が繰り広げられている―。ここはつくば市東光台研究団地のウシオライティング(本社東京都中央区)つくば事業所で、科学の街らしい夜桜見物の新名所だ。 主に舞台やコンサート会場の演出照明を手がける同社エンタテインメント事業部が、専門技術を生かしてソメイヨシノ8本を美しく染め上げた。最新の高出力LED照明機器をセットした2階の窓から光が放たれ、15秒程度の間隔で鮮やかなピンクやオレンジ、緑、白色、黄、青、紫へと変わっていく。 ライトアップのきっかけは同事業所センター長の細居秀人さんら3人。竣工後に植樹された樹齢27年のソメイヨシノを見上げながら「我々だけで花を楽しむのはもったいない。ライトアップして地域の人たちにも楽しんでもらったらどうだろう」と意見がまとまった。 照明機材の扱いは慣れているが、照明をセットする建物と8本の桜の位置が平行でないため光を当てるのに苦労したそうだ。培った技術を駆使してライトアップに成功したのが2013年春だった。「地域社会との調和」を基本方針にしている同社は細居さんらの提案を受け入れ、翌年春から本格的にライトアップがスタートした。 8本の桜は、社員がレクリエーションで使う広さ約1650㎡の芝生に植えられている。今年もライトアップが始まると、家族連れや、三脚をセットしてシャッターチャンスをうかがう人たちでにぎわい始めた。 稲敷市の50代の夫婦は「初めて来たが見事の一言。桜の季節の楽しみができた」。つくば在住で1歳の子どもを連れてきた30代の夫婦は「今年で2回目。夜桜は昼間見る桜と違って味わい深い」と話した。3世代で阿見町から訪れた女性は「ここで撮る写真は家族のいい記念になりそう」とスマートフォンを手に顔をほころばせた。 ライトアップの時間帯は同事業所敷地内の駐車場が開放され、多くの車が出入りする。細居さんは「SNSが普及して一気に来場者が増えた。群馬や千葉、横浜のナンバープレートを付けた車もある」という。 桜の開花時期は年度末。会社は多忙を極めるときだが、来場者から元気をもらっているという。「朝出社して芝生周辺を見回るが、これまでごみ一つ落ちていたことがない。『楽しんだよ』の気持ちが伝わってきてうれしいし、続けていく元気の源になっている」と細居さんは話してくれた。 ライトアップは4月2日(月)までの午後6時~同10時。開花状況により日程変更あり。いろいろな角度から見るのがお薦め。つくば事業所は東光台5-2-4(東光台研究団地内の幹線道路沿い) https://youtu.be/CIitYRvUg9w

【桜花爛漫】157公園に植樹 樹齢40年、樹勢に衰え

【橋立多美】桜のつぼみがほころび、満開間近。約300本の桜が咲き誇る北条大池を始め、つくば市内には、桜が植樹された157カ所の都市公園がある。農村部では、社寺の参道や田畑の中に点在する桜が開花し、春一色に彩られる。桜の代表格ソメイヨシノの満開の景色を楽しむスポットが多いが、近年は樹勢が衰えているという。 都市公園の整備や維持管理をしている市建設部公園・施設課によると、市内の桜は樹齢40年余のソメイヨシノが多い。1960年代末に幹線道路が造成され、その後、街路樹や公園の植樹が行われたことによるという。 ソメイヨシノは、江戸時代にエドヒガンとオオシマザクラの雑種を交配させた品種で、戦後、都市開発や公園整備に伴って全国各地に広まった。同市も例外ではない。 近年、日本全域でソメイヨシノの衰弱が目立つようになり、「寿命60年説」がささやかれる。樹木医=メモ=で国交省国土技術政策総合研究所(同市旭)の研究員、飯塚康雄さんは、寿命というより生育環境による影響が大きいと話す。 「ソメイヨシノは高く広く枝を伸ばす品種。植栽間隔が狭いと互いに枝を交差させながら成長するが、40歳を過ぎると交差した枝が日照不足で枯れ始めて樹勢の衰退が始まる」と話す。「市内のペデストリアンデッキ(歩行者と自転車のための専用道路)に植樹されたソメイヨシノは衰退が見られるが、土浦市立真鍋小学校のソメイヨシノは樹齢100年でも樹勢は衰えず、力強く咲いている」とも。 同市二の宮、洞峰公園事務所で行われている「植物なんでも相談」の相談員を担当している樹木医の芹沢誠さんは、「樹齢40年ともなると花見客が訪れ、養水分を吸収している根元を踏まれるのも寿命を縮める一因」と語る。踏みつけられて根が浮き出たり、枝を傷つけられると腐朽菌が侵入するそうだ。美しい桜並木を次世代に引き継ぐために枝を折らない、飲み残しを捨てないなどのマナーを呼びかける。 一方、芹沢さんはソメイヨシノだけが桜として取り上げられる状態を憂慮する。「桜は約400種類ある。多彩な桜に出合ってほしい」とした上で、乙戸沼と森林総合研究所、雪入の山桜を挙げてくれた。連載で紹介する。 メモ 【樹木医】樹木の保護と生育に関する知識の普及と指導を行う専門家。日本緑化センターが実施する資格審査に合格して登録される。活動は県単位で、日本樹木医会茨城県支部(阿部豊支部長)は59人で組織されている。

思い分かち合い4年 夜の絵画教室仲間が作品展 つくば

【橋立多美】「美術の世界には、こうしなければという決まりはない」を合言葉に、将来への不安や介護の悩みなど、同じ思いを分かち合う仲間と絵を描く過程を大切にする筑波山麓の絵画教室が30日から、古民家を改装したカフェ&ギャラリークラウドナイン(つくば市大角豆)で「小さな夜の絵画教室展」を開く。水彩とアクリル画約20点を展示する。 教室を主宰するのは筑波山麓に住むフリーのイラストレーター小沢陽子さん。気取りがなくて明るい小沢さんのアトリエには、地域の知人や生まれ育った下妻の友人たちが集まり、井戸端会議が始まるのが常だった。こうした仲間たちで4年前に絵画教室がスタートした。 メンバーは60~70代の7人。店を切り盛りする人や養鶏に携わる人など、全員が仕事を終えて顔をそろえるのが夜7時。それから絵筆を握る。 小沢さんは千葉大学教育学部卒。教壇には立たなかったが、ルールにとらわれず自由に表現する現代美術を追求しており、教室では描き上げるまでの過程を楽しむことにしている。時に絵画教室が井戸端会議の場になることがある。仕事や介護に傷付き、辛くて参加したメンバーがいると「制作よりも大事」と皆で話を聴く。思いを分かち合い、打ち明けた本人は心が晴れてスッキリした顔で帰っていくという。 もっと年をとっても教室を続けようというメンバーたちは、教室が仲間たちの安否確認の機能を果たすと考えている。移動手段の車をいつまで運転できるかがネックだが、小沢さんは「多様な人々が共に生きる地域社会のモデルを仲間と模索していきたい」と話す。 年を重ねると新しいことに挑戦する機会は少なくなる。作品発表に戸惑う声もあったが、思い出づくりとして制作に打ち込んできた。会期は30日(金)~4月11日(水)、5日は休廊。入場無料。  

「霞ケ浦に外国人観光客呼び込みたい」留学生が真剣に考えた その答えは―

【橋立多美】インド洋に浮かぶ島、スリランカ生まれのリヤナアラッチゲ ハシタ ガラシャーン サマラヴィクラマさん(26)は、筑波学院大学(つくば市吾妻)に在籍する留学生。名前が長いのはスリランカでは常識で自称「ハシータ」。ほりの深い顔だちで笑顔が優しい。来春卒業後は、日本製の車や母国の紅茶などを交易する会社を設立したいと学業に励んでいる。 同大学は、学外活動を通して社会に貢献する意欲を育むOCP(オフ・キャンパス・プログラム)を実践している。2年生のハシータさんは霞ケ浦の玄関口にあるヨットハーバー、ラクスマリーナ(土浦市川口)で、年4回開催されている「誰でも楽しもう霞ケ浦」の運営に関わった。年齢や経験、障害の有無を問わず水上体験ができる催しで、セイラビリティー土浦(代表・秋元昭臣ラクスマリーナ専務)が主催している。 カヌーやヨット、ゴムボートなどのマリンスポーツの操船を覚えてから会場の設営、乗船の介添えなどを行った。乗船客とはゼスチャーを交えて交流し、出会った人からの「ありがとう」は今も忘れられないという。 OCP活動は、3年生になると地域への貢献を意識した企画立案と実現に取り組む。翌年ハシータさんは霞ケ浦のマリンスポーツに外国人参加者を増やすため、「誰でも楽しもう霞ケ浦」の一環として「外国人を対象としたバリアフリーヨット活動」を企画。年4回(5月の子どもの日、7月の海の日、8月の土浦キララ祭り、10月の体育の日)のイベントに毎回外国人20人の参加を目標にした。 いつもイベントの1週間前にSNSで友人ら1600人に参加を呼びかけた。このうち土浦近辺に住んでいる外国人は約80人で閲覧者160人が「いいね!」ボタンを押してくれた。しかし8月のイベントまで参加者はいなかった。最後の10月は目標に到達したいと、アルバイト先のコンビニにポスターを貼ったり声掛けをして手応えがあったが、悪天候でこの日も外国人参加者はゼロ。「ショックだった」と振り返る。 ハシータさんは外国人ゼロの理由を考えてみた。忙しい、興味がないといった返答もあったが、多かったのが「安全じゃない」と「アクセスが悪い」だった。 ラクスマリーナでは、乗船者はライフジャケットの着用と保険加入が必須で、複数のスタッフが常時監視している。「安全面の情報をきちんと伝えるべきだった。広報の難しさを実感しました」と話す。「アクセスが悪い」については「歩いて案内できる良い場所」と捉える。JR土浦駅から徒歩15分の道すがら土浦のまちを案内できると柔軟な考えだ。 ハシータさんが意外に感じたのは日本の友人の「霞ケ浦の水は汚いから近づきたくない」だった。1970年代のひどい悪臭を伴うアオコ発生が、地元に霞ケ浦イコール汚いのイメージを根付かせた。現在は水質が改善している。ハシータさんは「霞ケ浦はマリンスポーツを身近に楽しめる好適地。(水質は)気にならない」と話した。 昨年の痛い経験にめげず、ハシータさんは5月5日の子どもの日に「外国人を対象としたバリアフリーヨット活動」を開催する。目標は30人。外国人の視点に立ち、地域のアミューズメント施設の広報に知恵を絞っている。 ※来日後の暮らしをつづったハシータさんのエッセーが、17日付けで筑波学院大学の留学生エッセー9に掲載されています。

妻の竹島由美子さん、出版引き継ぐ STEP廃業2年

【橋立多美】NEWSつくばのコラムニストの一人、先崎千尋さんが1月に出版した書籍『邑(むら)から日本を見る』は、『筑波の友』で知られた「STEP」(つくば市松代)が発行所になっている。創業した竹島茂さんが他界し、2016年12月に会社を廃業したが、妻の由美子さんが装丁と発行を引き受けた。 出版業界から退いたことで書店へ出版物を流通することはできなくなった。同書は限定800部の自費出版で流通ルートに乗せる必要のないことから、校閲などを通して親交のあった先崎さんからの依頼に応えた。 同書は、暮らしに直結した事柄を題材に、40年間自らの考えや情報収集を交えて元常陽新聞に連載した記事やコラムをまとめてある。増え続ける遊休農地と農村の過疎化、後継者問題など、農政の在り方をしぶとく「おかしい」と表明し続けている。 由美子さんは「巻頭を飾った元美浦村長市川紀行さんの贈る歌、前東海村長村上達也さんの序文に、先崎さんとの共通点が読み取れて興味深い」と語る。 「STEP」は科学万博開催の1985年、東京生まれの速記者・竹島茂さんが創業した地域出版社。翌年には月刊誌『筑波の友』を発刊。研究学園都市として変貌する自然環境や人々の営み、まち、歴史を切り取り、多くの問題を提起した。一方、筑波山や霞ケ浦に関する書籍の出版やこの地に住む人々が著した本の刊行にも尽力した。地域のオピニオン誌を目指した『筑波の友』は03年6月発行の201号を最後に休刊となり、12年8月に竹島さんが他界した。廃業後は在庫のある同社出版物の注文に応じている。 「STEPが稼働したころは研究者や芸術家、営農者たちが集う異業種交流会が盛んで、生きざまに感銘を受ける人たちとの出会いがあった。新天地を求めてつくばに来た竹島にとって良い巡り合わせだったと思う。あれから30年余り経ち、住宅地とマンションの無味乾燥なまちになってしまった」と振り返る。そして「編集を介して知りあったり廃業を惜しんで下さる人たちとの縁は続いている。竹島は社会との繋がりという遺産を残してくれた」と由美子さんは語った。    

カフェ開放し健康教室 看護師ら月1回予防法など伝授 つくば双愛病院

【橋立多美】つくば市茎崎地区の総合病院「つくば双愛病院」(青柳啓之院長、病床数162床)の看護師らが毎月1回、無料の健康教室「けんこう教室&カフェ」を開いている。健康で安心して暮らせる地域づくりを支援する活動で、1階のカフェテリアを開放し会場に充てている。茎崎地区ばかりでなくだれでも参加できる。 2月は、これからも健康寿命de行こう! シリーズの3回目で「誤嚥(ごえん)性肺炎を予防して元気でいこう!」をテーマに16日開催され、地元住民20人が参加した。 誤嚥とは、唾液や食べ物などが本来流れ込むはずの食道ではなく気官に入ってしまうこと。そこにばい菌が繁殖すると肺炎を引き起こす。 看護師の松田直美さんが、映像を使いながら誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケアと嚥下体操を分かりやすく説き、参加者たちは静かに聴き入った。歯と口中を清潔に保つための毎食後の手入れと、飲みこむ力を鍛える首や肩、頬などの運動や発音など、自宅でできるトレーニングを学んだ。 説明後、参加者から「歯磨きの時の歯磨剤は毎回付けたほうがいいか」「ガムはいいか」「マウスウォッシュを使っているが歯ブラシのほうがいいか」の質問が上がった。松田さんは研磨剤が入った歯磨剤は十分なうがいを促し、ガムは唾液を出して噛む筋力を付けると答えた。また、口中のばい菌を取るには歯磨きがベストとした上で、自分で歯磨きができない人や水がない場合は口腔ケア用ウェットシートが販売されているとアドバイスした。 2回目の参加だという渡辺孝雄さん(75)、文子さん(同)夫妻は「知識を吸収でき、教室で知り合った人と交流するのも楽しみ。これからも参加したい」。津久井道子さん(72)は「これまでは食べることを単純に考えていたが、さまざまな筋肉が動いていることを知った。シニアに必要な事をこれからも取り上げてほしい」。 松田さんは「誤嚥性肺炎の怖さが知られるようになりましたが、予防医学も普及させなければと思っています」と頬を引き締めた。 ◆次回のけんこう教室&カフェは3月16日(金)午後2時30分からを予定。茎崎地区を問わず、誰でも参加可。参加費無料。問い合わせは029-873-2771(教室事務局の寺田さんまで)

薪ストーブ静かなブーム 愛好者が里山整備に一役

【橋立多美】環境にやさしい薪(まき)ストーブが静かなブームになっている。里山を整備しながら薪ストーブを楽しむ「つくば薪クラブ」(芳賀開一代表)のメンバーが4日、龍ケ崎市塗戸の約1haの雑木林の伐採に取りかかった。 力強いチェーンソーのエンジン音が冷たい空気を震わせ、大きく枝を伸ばしたエノキが次々に切り倒されていく。木の重心を判断し、狙った方向に倒すのは勘と経験を必要とするそうだ。 雑木林は千葉県流山市在住の金子保広さんの所有地。長年放置したことで400本ほどの雑木とササが生い茂った。一念発起して整備することにしたが孤軍奮闘しても歯が立たなかった。 同クラブは里山保全活動を実践しているNPO法人「つくば環境フォーラム」(田中ひとみ代表=つくば市要)の会員の中で、薪ストーブ愛好家たちが森林整備で出る木材の有効活用を図るために2008年に結成した。現在は「つくば薪クラブ」として独立し、下草刈りなど里山林の整備をしながら薪材の伐採や運搬、薪割り、乾燥など一連の薪作りを行っている。薪は活動に応じて会員に配分されている。 手慣れた様子でチェーンソーを操る同クラブの小林茂樹さん(59)=龍ケ崎市在住。「斜面での下草刈りや薪割りは体力を消耗するが、きれいな空気の下で仲間と交流しながらの作業はジムに通うより楽しい」と話す。 暖房器具として、インテリアとしても人気の高い薪ストーブの良さはどんなところにあるのか。「体の芯から暖まる心地良さとガラスの窓から見える炎に癒される」と、薪ストーブ使用歴20年の小林さんはいう。難点は薪の入手で、市販は一束700円前後と高額になるため、薪を確保するルートを持つことが必要になると話した。 所有林の伐採を依頼した金子さんは「手を入れなかったことで雑木が自生し、ササやツタが繁茂して陽が入らない暗い林になった。還暦を過ぎて『終活』として林をきれいにしなければと思った。だが遅々として進まず、つくば薪クラブのお陰で先が見えてきた」と安堵の表情を見せた。 同クラブは一緒に活動する仲間を募集している。問い合わせは「つくば環境フォーラム」にメール(tef298@lime.ocn.ne.jp)で。  

地域に出て体験「視野広げた」 23組が活動報告 筑波学院大社会力育成プログラム

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻、大島愼子学長)の学生が地域に出て、地元企業や自治体、NPO法人、報道機関などの人々と協働して活動するオフ・キャンパス・プログラム(OCP)の2017年度学年報告会が29日、同大学で催された。さまざまな活動の中から優れた活動として認められた1~3年生23組が、映像を使いながら活動報告を行った。 在校生やOCPの受け入れ協力をしている企業担当者の他、関彰商事常務執行役員の岡本俊一さん、カスミ環境・社会貢献部の小島雅弘さん、つくば市科学技術振興課の久保田靖彦さんら10人の外部アドバイザーが出席した。 リサイクル活動に携わったことで物の価値に気づいたという報告や、里山保全活動を行って環境保全には人の手入れが欠かせず体力が必要だと分かったなどの報告があり、活動を通じてグループワークとコミュニケーションの難しさを学んだ体験や、コミュニケーションを醸成させ視野を広げることができたなどの成果が伝えられた。 県県南生涯学習センター(土浦市)が実施する子ども向け遊びの広場「エンジョイホリデー」の工作教室で活動した飯塚百香さん(2年)は「全ての子どもと話ができずに積極性が足りなかった」。また報告会について「活舌に注意して報告しプレゼンの勉強になりました」と笑顔を見せた。 OCP奨励賞は、つくば市の環境保全団体NPOつくば環境フォーラムでの里山保全活動と、エンジョイホリデーでの子ども向け工作教室活動のほか、茨城YMCAで活動した学生3組に授与された。 また学生を受け入れて通算10年となったつくば市の子育て支援団体「おもちゃライブラリーさくらんぼ」と、筑波山の環境保全団体「筑波山クリーンアップ大作戦実行委員会」に感謝状が贈呈された。同さくらんぼの拓植法子代表は「学生さんが加わってくれると子どもたちは大喜び。感謝状は仲間たちの励みになります」。 大島学長は「つくば市をキャンパスにしたOCPは、体で覚えて、多様な能力と社会力を高めてくれます」とした上で「今春、より社会力の育成を目指す地域デザインコースを新設します」と話した。 OCPは社会力育成プログラムで、学生全員必須の学びの場。1年が体験的活動、2年は30時間以上、3年生は地域への貢献を意識した60時間以上の活動に取り組んでいる。

「相続を“争い”にしない対策を」 認知症増える中、税理士法人が講座 つくば

【橋立多美】多くの人がいつか直面する相続問題。認知症患者が増えている今、判断能力が十分でなくなったら財産の管理や相続はどうしたらいいかと不安を募らせる人は多い。 こうした社会のニーズに応える「あなたと家族を守る―認知症対策・相続対策講座」が27日、つくば研究支援センター(つくば市千現)で開かれた。同市や土浦、牛久市、阿見町など県南地域から約40人が参加して耳を傾けた。主催は同センターに事務所がある相続手続支援機構。 講師は税理士法人「栄光パートナーズ」代表で税理士や行政書士の資格をもつ逆井甚一郎さん(74)。専門用語を解説しながら、認知症になって判断能力が衰えた人を法律的に支援する成年後見制度、元気なうちに財産管理や終末期の尊厳死宣言などを登記しておく公正証書と遺言の重要性を説いた。 また認知症対策として注目されている家族信託(民事信託)についても触れた。2007年にスタートした比較的新しい制度で、信頼できる家族や親類に遺産の管理や処分を託すというものだ。 逆井さんは「おっくうがって相続の手続きに手を付けない人が多いが、遺産分けで生じるトラブルの原因のナンバー1は不動産」と話した上で、相続を骨肉の争いの舞台にしないために相続対策が大切だと強調した。 講座に参加した、つくば市の50代女性は「親が老いてきて相続のことを考えなければと思っていたが、窓口がどこにあるか分からなかった。今日は勉強になりました」と話した。 今回の講座は第3回目。今後も年に3~4回の頻度で開講していくという。問い合わせは☎029・846・6444( 栄光パートナーズつくば事務所、つくば研究支援センター内)

学生がイベント企画や商品開発 筑波学院大地域デザインセンター 30日から卒業制作展

【橋立多美】学生の立場から地域の魅力を発信したり、イベント企画や運営、商品開発など、地域に根を下ろした活動で目を引くのが、筑波学院大学の「地域デザインセンター」(つくば市吾妻、センター長・大島愼子学長)だ。デザインを学ぶ学生が地域と関わりながら主体的に活動する拠点を目指し、2016年6月に発足した。同センターの成果を地域に知ってもらうための「卒業制作展」が、県つくば美術館(同市吾妻)で30日から開催される。 学生たちを指導しセンターをけん引しているのが、副センター長の高嶋啓准教授。神奈川生まれで東京芸術大学卒。7年前に同学院大に招へいされ、経営情報学部ビジネスデザイン学科メディアデザインコースで教鞭(きょうべん)をとっている。 センター発足から2年に満たないが、▽市内企業のウェブサイトデザインと制作▽地元農業法人の販売促進のためのデザイン▽県産品のパッケージデザイン▽市などとの連携による短編映画祭「つくばショートムービーコンペティション」の運営▽つくば都市交通センターと連携した、商業施設「クレオスクエア」立体駐車場サインのデザイン―など、産官学で連携しながら活動を展開している。 同学科に在籍する女子学生は、オープンキャンパス(大学施設開放)に訪れた際、クレオスクエアの立体駐車場を利用した。動物キャラクターを使った親しみやすいサインが学生たちによるものだと分かり、「この大学で学ぼう」と出願を決めたという。 メディアデザインコースはグラフィック系ソフトや映像表現の知識と技術、広報戦略の立案などを総合的に学ぶ。そして、地元企業などから同センターに寄せられるイベントや企画が実践の場になる。 高嶋准教授は「実践することで学生の経験値が上がり、創造力の育成につながる」と話し、「企業などの担当者と意思疎通を図る中でコミュニケーション能力も向上する。就職後は、ここで学んだデザインの価値や重要性をばねに活躍の場を広げてほしい」と言い添えた。 卒業制作展は2月4日まで。入場無料。

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