木曜日, 5月 16, 2024
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つくば市長の五十嵐氏 名誉棄損で元市議を提訴 「市民の声新聞」で

【鈴木宏子】つくば市長選が行われた昨年、市民団体「つくば市民オンブズマン」(代表・亀山大二郎元市議)が市内に配布したチラシ「つくば市民の声新聞」の記載内容について、名誉や社会的評価が著しく棄損されたなどとして、つくば市長の五十嵐立青氏(42)が、亀山元市議(79)を相手取って、130万円の慰謝料や謝罪文の住民全員への郵送などを求める訴えを、土浦簡易裁判所に起こしていたことが17日までに分かった。 公約は「返還」か「返還交渉」かなど争いに 市民の声新聞は昨年、新聞折り込みで複数回、市内に配布された。五十嵐市長の1期4年間を振り返り、総合運動公園問題やクレオ買い取り問題など市政の課題を、批判的に検証している。 五十嵐氏はこのうち、6月から8月に発行された計3回の同新聞に記載された内容のうち、22カ所について「公人としての信頼を根本的に揺るがし、社会的評価を低下せしめ名誉を棄損するもの」だと指摘している。 訴えによると、総合運動公園問題については「(同用地の元の所有者であるUR都市機構への)『返還』を公約としたことは無いにもかかわらず、(市民の声新聞は)『返還』が公約であったと表現した」、「実際に公約として掲げたのは『返還』することではなく『返還交渉』であった」などとしている。 さらに「(同新聞は)都市再生機構とわずか一度交渉しただけ」などと記載しているが、「実際には都市再生機構と複数回の交渉を行っている」などとしている。 クレオの買い取り問題に関しては「(同新聞は)五十嵐市長は、自分が当選したら『クレオを買い取り中心市街地の活性化を図る』ということを重要な公約として訴えてきた」などと記したが、「クレオを買い取り中心市街地の活性化を図るということを公約としたことはない」などとしている。 その上で五十嵐氏は訴状で「ゆがんだ情報によりいったん選挙結果が生じれば、一時的とはいえ、地方自治体の体制を混乱に陥れることにもなりかねない重大な結果を招く」などとしている。 「批判許さない圧力」 五十嵐氏は17日、自身のフェイスブックで「名誉毀損の訴訟を提起した」と発表し、「(同市民の声新聞は)数多くの虚偽の内容を記載し、市民に正しい情報を伝える機会であるべき選挙において重大な影響を与えた」「常に誹謗中傷や虚偽が多く出てしまうつくば市の選挙で、これ以上同じ行為が行われないために訴訟という措置を取った」などと投稿した。 一方、亀山元市議は「市民の声新聞は五十嵐市政がどういう4年間だったか、総合運動公園や中心市街地活性化など、重要な政策と実績を検証したもので、基本的に事実に基づいて書いている。五十嵐市長は、言葉使いや枝葉末節を取り上げて名誉棄損だと言っているが、有権者に選ばれた市長が、有権者に監視され、評価されるのは当然の話。些末(さまつ)なことを名誉棄損だと訴えるのは明らかに表現の自由の侵害であり、自らに対する批判を一切許さない圧力だ」などと話し、全面的に争うとしている。 口頭弁論は3月1日開かれる予定という。 【20日追加】裁判は土浦簡易裁判所から土浦地方裁判所に移され、第1回口頭弁論の期日は20日時点で未定という。

議会から違和感相次ぐ「市民活動よりオフィスに重点?」 つくばセンタービル改修

【鈴木宏子】つくば市中心市街地活性化の担い手として、同市が来春設立予定のまちづくり会社(地域運営会社)と、同まちづくり会社がつくばセンタービル1階アイアイモール部分と4階吾妻交流センターを改修して貸しオフィスとして運営する事業計画について、五十嵐立青市長は25日、市議会12月議会閉会後開かれた議会全員協議会で説明した。 議会からは、4日にようやく示された、つくばイノベーションプラザ部分1~3階を新たな市民活動拠点にするというリニューアル計画と合わせて「市民活動よりオフィスの比率が大きいと感じる」「高齢者、障害者、中高生など、幅広い世代や多様な市民が集える場なのか」「日本エスコンが開発する商業・業務の複合施設クレオとの連携を図るべき」「磯崎新氏の思想が込められた建築にエスカレーターはいるのか」などの意見が相次いだ。 一方、市が当初検討していた、市所有の地下駐車場と1階アイアイモールの床の区分所有権を、まちづくり会社にあげて現物出資する案について五十嵐市長は、現物出資と賃貸を比較した結果、賃貸することが望ましいとした。現物出資に対しては、12月議会一般質問でも、まちづくり会社が破綻したらどうなるのかという懸念が出ていた。五十嵐市長は「破綻した場合(地下駐車場と1階アイアイモールの)区画がつくば市のものから第3者にわたる可能性があるため」だとした。 議会での説明によると、1階アイアイモール2500平方メートルには、シェアオフィス約1300平方メートルとコワーキングスペース約400平方メートルが整備される。改修費は約2億7300万円で、来春設立される地域運営会社が改修工事をし、利用料をとって貸しオフィスを運営する。吾妻交流センター部分もシェアオフィスにする計画だが、センタービル内の他の場所と等価交換する場合もある。 シェアオフィスの利用料は1坪(3.3平方メートル)月額1万3000円、コワーキングは1人月額1万3000円で貸し出し、5年目の想定として、シェアオフィスは9割、コワーキングは個人40人、法人20社強が利用し、貸しオフィスの利用料収入と駐車場利用料収入として年間約1億1500万円の賃料収入を想定しているとした。 まちづくり会社7つのプロジェクト まちづくり会社の出資者は、市が6000万円を出資するほか、沼尻産業、関彰商事と、AIのベンチャー企業LIGHTz(ライツ)が各3000万円を出資する。ほかに数社が出資予定で、資本金計2億円と7000万円の融資を受けて資金計2億7000万円でスタートする。ただし7000万円の融資の保証や担保等をどうするかについて市は明らかにしなかった。 社員は7人程度で、社長はまちづくり事業に精通している人を当てる、市から2人、ほかの出資会社から数人出向し、直接雇用は1~2人。経費のうち人件費(当初)は年2400万円で、市から出向の2人の人件費は市が全額負担する。年間維持管理費は計約6830万円。 地域運営会社は、つくばセンタービルでの貸しオフィス運営のほか、中心市街地全体を活性化するため、②中央公園でわくわくする場をつくる③センター広場で人がつながる場をつくる④中心市街地全域で生活に役立つ情報を発信する⑤アプリや電子看板など情報発信のベースをつくる⑥科学を遊びながら体験できるAI学習室など子供が体験する場をつくり、ゲストハウスをつくる⑦多様な住み方を支えIot住宅などシェアハウスをつくるーなど7つのプロジェクトが示されたが、具体的に、何を、いつ、いくらでつくるのかなどの事業計画は示されなかった。 1983年に建築されて以来、初めて実施されるつくばセンタービルの本格的なリニューアルについて、全体の具体案が示されたのは今回が初めてだが、五十嵐市長は25日の記者会見で住民説明会は実施しないとした。一方、市議会は12月議会最終日の同日、「つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会」(ヘイズ・ジョン委員長)を設置した。小久保貴史議長は「(今回出された)市執行部の提案内容についてさらに情報共有しながら、内容についていろいろ協議したい」としている。来年1月中にも同調査特別委を開くという。 「活動スペースは用意する」 25日の全員協議会のやり取りは以下の通り。敬称略。 山中真弓市議 (地下駐車場の区分所有権をまちづくり会社に現物出資しないで賃貸することになったのに)駐車場料金がまちづくり会社の収入に入っているが、どういうことか。 五十嵐市長 駐車場の利用料がまちづくり会社の収入に入る。市には、駐車場をまちづくり会社に貸すお金が入る。 山中 中央公園でのプロジェクトなど7つのプロジェクトは(今回示された)まちづくり会社の収支に入っているのか。 市長 含まれない。(収支は)順次示す。ふわっとやるのではなく、経営としてやっていく。 川久保皆実市議 (シェアオフィスが9割の入居を想定している等)稼働率の根拠は何か。 市長 周辺の同様の施設やアンケートのデータを踏まえた。 川久保 子連れで働ける環境とあるが、どういうものか。 市長 保育所と同じように子供を一定時間預けて仕事に集中したり、子供を横で遊ばせながら仕事をするスペースを用意する。 川久保 機密性の高い仕事もあり、音が漏れない個室のニーズがあるのではないか。 市長 そういう場所も用意する。 川久保 子連れで働く人が利用できる子供の月齢はどれくらいからか、授乳はできるのか。 市長 まちづくり会社で検討する。 小森谷さやか市議 コロナで就業形態が変わり、つくばに移住する人が増えているということだが、どのくらい増えているのか。 市長 正確な数字は把握していない。問い合わせはある。 小森谷 まちづくり会社に(アイアイモール部分などを)いくらで貸し出すのか。 市長 固定資産税の2.5%。(収支見通しの中の)運営コストの中に入っている。これから不動産鑑定する。かなり安い金額になる。 黒田健祐市議 (7つのプロジェクトが)重要になる。体制やイメージ、どう稼いでいくのか。 市長 天下りOBのような3セクとは一線を画す。(まちづくり会社の社長には)民間で起業した経験があり、まちづくりに精通している人を代表取締役にする。会社設立の際に、一瞬、私が社長になる場合もあるが(自分は)経営はしない。 山本美和市議 日本エスコン(のクレオ)との調整だが、情報共有し、(中心市街地の活性化のため)巻き込んでいかなければならない。センター広場のエスカレーターだが、何でエスカレーターなのか。つくば市は国際会議場から中心市街地に名だたる建築家の建築が並んでいて、思いがこもっている。つくば市民だけではなく日本のまちづくりに大きな意味がある。 市長 エスコン(のクレオ)は来春オープンできると聞いており、随時情報共有している。つくばセンター地区活性化協議会にも加入してもらっている。クレオとセンタービルは双子の兄弟姉妹のようなもの。エスカレーターはセンター広場の課題の一つ、1階と2階の動線に弱さがある。どこから下りていけばいいかわからない。1階と2階を結んでいくことを重要視している。(つくばセンタービルの)意匠はできる限り継承する。(磯崎新氏から)ライブなどをやる北側の階段はさわらないで継承してほしいという意思を受けている。 山本 (リニューアル計画は)オフィスや働く人を支えるという重点が大きいと感じる。クレオの中にもオフィスは入ってくる。旧ライトオンビルも(商業ビルから)オフィスになった。さらに市がこれほど入れる必要があるのか。 市長 エスコン(のクレオ)もオフィスになるが、区画が大きい。かなり大きな企業がフロアを使う。センタービルはシェアオフィスなど区画が小さい。 山本 (センタービル周辺地域の)全体としての貸しオフィスのすみわけがどうなっているのか、概要を出してほしい。 川村直子市議 (リニューアル計画は)働く人を支える重点が大きい。全世代に役立つことが重要だ。高齢者や、リタイアして元気な人が交流するという視点はあるか。高校生の娘がいるが、つくば駅は中継点になっていて、相当数の高校生がつくば駅を通る。中高生の居場所はあるか。 市長 市民活動拠点があり、高齢者が新しい活動をしてみようという場合、最初の窓口になる。中高生のフリースペースは用意しており。300平方メートルを超えるスペースになる。中高生が勉強や自習をしたり、若者が活動するスペースは用意する。 川村 高齢者が働くこと(を支援すること)も検討してほしい。中高生はフリースペース、勉強部屋を用意するだけでなく、居場所となるような、親や教師と違う大人と話をする場という視点も必要だ。 橋本佳子市議 中心市街地を活性化する団体の形態として、調整する機能と実行する機能があり、人やコトをつなぐコーディネート、専門組織が必要とある。(改選前の)中心市街地まちづくり調査特別委員会の中では、プロジェクト2のわくわくする場をつくる、プロジェクト3の人がつながる場をつくるとなるが、(今回のセンタービルのアイアイモールを改修してつくる)働く場は、それとぷつっと切れる。AI学習室とかいろいろな近未来的なものをつくるのか、会社として(貸しオフィスを)運営していくのか、にぎわい、わくわくするものをつくるのか。 市長 (会社として運営するのかという質問は)順番が逆。市民のニーズを満たし、ビジョンや戦略を実現する事業を行う中で収益を上げる。市民ニーズを満たす中で、どのような事業があるか精査して、まちづくりに資する事業を行い、適正な利益を確保する。まちのために事業がある、経営のためにあるのではない、 橋本 (イノベーションプラザ部分の)市民が活動する場についてだが、(市民には)さまざまな人がおり、高齢者や障害者も活動できる場を増やしていかなくてはならない。市民が活動する場と、働く人の場の比率をもう少し考えられないか。 市長 ニーズとして(オフィスの)スペースが必要。高齢者や、企業や研究所で働いた人が、市民活動の場から流れて働く場につながっていくこともある。障害者がフリースペースを使ってイベントを開催したり、市民活動と働く場を切り離すのではなく、副次的に、働く場がリタイア後の活動の場になる。 浅野英公子市議 人件費が2400万円ということだが内訳はどうか。男女共同参画センターをつくってほしい。新しいスペースを生かして(男女共同参画の)展示、相談機能をもたせることを実現してほしい。 市長 人件費はプロパー社員の人件費と、出資会社から出向する社員の一部を負担する。男女共同参画センターは(リニューアルにあたって)最後まで検討したが、DVなど難しい相談が多い状況なので人目に付くとかえって活用はしぼんでしまうので、市役所の中で対応していく。

3氏が第一声、舌戦スタート つくば市長選

【鈴木宏子】18日告示されたつくば市長選に立候補した3氏はそれぞれ、第1声を上げ、舌戦がスタートした。新人で自動車販売店などを経営する富島純一氏(37)=無所属=は午後1時からホテル駐車場で出陣式を開き「つくばを未来に向け明るいまちに変えていきたい」と訴えた。現職で2期目を目指す五十嵐立青氏(42)=同=は午後4時から選挙事務所前第一声を上げ「市民に寄り添う、誰一人とり残さないつくばをつくる」と訴えた。新人で元研究者の酒井泉氏(71)=同=は午前10時から旧総合運動公園問題用地がある大穂地区のスーパー前で街頭演説し「(元所有者の)URと交渉し総合運動公園の(購入金額の)66億円を取り戻す」と訴えた。 元事務次官「仕事に成果を出す男」 富島氏は午後1時から、同市小野崎のホテル駐車場で出陣式。09年に知事選に出馬した土浦市出身の小幡政人元国交省事務次官や岡田久司元市副市長、市議選に立候補している現職市議や新人市議らが応援に駆け付けた。小幡元事務次官は「(富島氏は)仕事に対して成果を出す男」などと強調した。岡田元副市長は「すい星のように現れたのが富島候補。夢を語り(五十嵐氏と)全然違う提案ができる」と話した。 これを受けて富島氏は「(五十嵐市政で)何か変わったという実感が得られたことが一つもない」と現職を批判。出馬を決意した経緯を「対抗馬がいない中、無投票で進んでいいのか、居ても立ってもいられない気持ちだった」と語った。科学万博をもう一度というスローガンを掲げたことについては「夢を語ることが大切。先輩たちと話をすると、科学万博の話になるとにこやかになる。科学万博に対しては今でも忘れられない熱い思いがある」とし「つくば市政を、未来に向け明るい街にしていきたい」と訴え支持を求めた。 「未熟だった」一期目の反省から切り出す 五十嵐氏は午後4時から上横場の選挙事務所で事務所前第一声。立憲民主党の青山大人衆院議員らのほか、県内20市町村を超える市町村長が顔をそろえた。地元からは鈴木将県議(自民)、山中たい子県議(共産)と、いずれも市議選に立候補している、最大会派の自民つくばクラブ、市民ネット、共産の現職ら13人が応援に駆け付けた。 五十嵐氏はまず、1期目に議会の賛成を得られず断念したクレオ再生と総合運動公園用地売却問題について「(当時は)いい計画だから分かってもらえて当然と思ったが、これこそが私の未熟さだったと理解した」と4年間の反省から切り出し「同じ過ちを繰り返すことなく、新しい議員と話し合いをし、地域の声を聞いて、経営的実現可能性を踏まえ、次期任期中に結論を出したい」などと支持を求めた。 その上で「一期4年間は市民無視の市政から市民第一の転換することに力を注いだ。流れを止めるわけにはいかない」とし「市民に寄り添う、誰一人とり残さないつくばをつくる」と訴えた。 「研究用地に戻せば66億円戻る」 酒井氏は、同市筑穂のスーパー前で第一声。(市長選には)三つの大きな論点があるとし、一つ目の総合運動公園問題は「66億円という財政負担を放っておけば大きなしわ寄せがくる。(五十嵐氏は)完全解決すると公約して市長になったがURと真剣に交渉してない。昨年8月には購入価格より26億円も安く売りに出そうとした」と現職を批判。「元々の研究用地に戻せば66億円が返ってくる。そうしなければ新しい研究所はつくば以外に行ってしまい、つくばの将来の発展可能性がなくなる」と強調した。 さらに30年来の町村合併の弊害として、市役所は管理職が肥大化しているとし「(市役所組織の)制度上の問題は一気に解決することが必要。その上で旧町村の企画部を旧庁舎に復活させ、任期6年の部長を配置」し、地域の問題を地域で解決する地域分権が必要だと訴えた。 その上で、総合運動公園用地の66億円の返還交渉については「利子返済期限の2024年3月までに支払うはめになったら責任をもって辞任する」と強調した。

《映画探偵団》34 仮面ライダーの聖地を守れ!

【コラム・冠木新市】1971年に始まったTV映画『仮面ライダー』シリーズは、来年で50周年目を迎える。この間、何度か映画化もされ、世界中に多くのファンを獲得してきている。仮面ライダーとは、世界征服をたくらむ秘密組織ショッカーが、本郷猛という青年を科学技術で改造しようとした怪人である。しかし、完全に改造される前に脱出、逆にショッカーと戦う正義のヒーローとなった。 仮面ライダーを作画した漫画家・石森章太郎は、バッタの目玉と髑髏(どくろ)を混ぜ合わせた顔をもつ不気味なキャラクターに仕立てた。放映当初の人気は今一つだったが、本郷猛が腕を高く上げ、「変身トゥーッ!」の気合いで仮面ライダーとなり、サイクロン号のバイクに乗り、自分と同類の奇っ怪な敵をライダーキックで倒すうちに、子どもたちに爆発的な人気が出た。 その後、仮面ライダー2号、V3と続々仲間が誕生し、現在に至っている。これらの仮面ライダーと怪人たちが戦いを繰り広げるロケは、30年ほど前から幾度となく、つくばセンタービルで行われきた。原始的でもあり近未来的でもあるセンタービルは、善と悪が陣地取りするのには絶好の背景なのだ。 私も『仮面ライダー』の撮影現場を度々目撃している。いや撮影だけではない。仮面ライダーは「まつりつくば」などのショーにも出演し、センタービルと一体感のあるお馴染みのキャラクターとなっている。また仮面ライダーのゲームにも、リアルに描かれたセンター広場やノバホールが出てくる。つくばで暮らす私には、現実と虚構が溶け合った奇妙な空間となっている。 特撮ファンは、茨城県魅力度最下位の報道に接したとき、おかしいと感じたはずである。センタービルは仮面ライダーの聖地として全国で認知されていたからである。 センタービル秘密改造計画が進行中? 日本全国が新型コロナで苦しんでいる最中、「NEWSつくば」の記事(6月26日掲載)を見て驚いた。センタービルの改造計画が進んでいたからだ。さらに、続報で広場に屋根が付けられると知ってあ然とした(6月28日掲載)。思わず「広報つくば」6月号を取り出し見てみたが、センタービル改造計画の記事はなかった。 これまで、市報では「総合運動公園計画」「クレオ再生計画」は大きく取り上げられてきた。それが今回はなぜか沈黙している。また、2年前には中心市街地活性化で騒いでいた市議がピタッと口を閉ざしている。最近、投げ込まれ始めた市議選用と思われるチラシでも、改造計画の件は無視されている。これは一体どうしたことなのか。情報を市民に知らせないようにして、なるべく秘密主義で改造計画を進めているのかと勘ぐりたくなる。 45周年記念『仮面ライダー1号』(2016)をレンタルビデオ屋で借りてきた。この作品では、本郷猛とともに悪の組織ショッカーも出てくるが、そこから分裂したノバショッカーなる組織も登場する。 ノバショッカーは「世界征服」は時代遅れと宣言し、「経済による支配」を考えるビジネス集団であり、日本の国と契約書を交わす合法的な(?)悪の組織なのだ。しかし単なる力まかせのショッカーをあざ笑いながら、力で攻撃する極めて矛盾した組織である。昭和の仮面ライダー1号は、平成の仮面ライダーと協力してノバショッカーを倒す。 つくばセンタービル改造計画を考えた人たちは『仮面ライダー』を見て育った世代であろう。いつの間にか正義の味方ではなく、ショッカー、いやノバショッカーみたいな大人になってしまったのだろうか。虚構世界の仮面ライダーは、これまでセンタービルで様々な怪人たちと戦ってきた。今度は、現実世界の仮面ライダーファンが、つくばセンタービルの聖地を守るために戦いを開始するのではないだろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

《映画探偵団》34 仮面ライダーの聖地を守れ!

【コラム・冠木新市】1971年に始まったTV映画『仮面ライダー』シリーズは、来年で50周年目を迎える。この間、何度か映画化もされ、世界中に多くのファンを獲得してきている。仮面ライダーとは、世界征服をたくらむ秘密組織ショッカーが、本郷猛という青年を科学技術で改造しようとした怪人である。しかし、完全に改造される前に脱出、逆にショッカーと戦う正義のヒーローとなった。 仮面ライダーを作画した漫画家・石森章太郎は、バッタの目玉と髑髏(どくろ)を混ぜ合わせた顔をもつ不気味なキャラクターに仕立てた。放映当初の人気は今一つだったが、本郷猛が腕を高く上げ、「変身トゥーッ!」の気合いで仮面ライダーとなり、サイクロン号のバイクに乗り、自分と同類の奇っ怪な敵をライダーキックで倒すうちに、子どもたちに爆発的な人気が出た。 その後、仮面ライダー2号、V3と続々仲間が誕生し、現在に至っている。これらの仮面ライダーと怪人たちが戦いを繰り広げるロケは、30年ほど前から幾度となく、つくばセンタービルで行われきた。原始的でもあり近未来的でもあるセンタービルは、善と悪が陣地取りするのには絶好の背景なのだ。 私も『仮面ライダー』の撮影現場を度々目撃している。いや撮影だけではない。仮面ライダーは「まつりつくば」などのショーにも出演し、センタービルと一体感のあるお馴染みのキャラクターとなっている。また仮面ライダーのゲームにも、リアルに描かれたセンター広場やノバホールが出てくる。つくばで暮らす私には、現実と虚構が溶け合った奇妙な空間となっている。 特撮ファンは、茨城県魅力度最下位の報道に接したとき、おかしいと感じたはずである。センタービルは仮面ライダーの聖地として全国で認知されていたからである。 センタービル秘密改造計画が進行中? 日本全国が新型コロナで苦しんでいる最中、「NEWSつくば」の記事(6月26日掲載)を見て驚いた。センタービルの改造計画が進んでいたからだ。さらに、続報で広場に屋根が付けられると知ってあ然とした(6月28日掲載)。思わず「広報つくば」6月号を取り出し見てみたが、センタービル改造計画の記事はなかった。 これまで、市報では「総合運動公園計画」「クレオ再生計画」は大きく取り上げられてきた。それが今回はなぜか沈黙している。また、2年前には中心市街地活性化で騒いでいた市議がピタッと口を閉ざしている。最近、投げ込まれ始めた市議選用と思われるチラシでも、改造計画の件は無視されている。これは一体どうしたことなのか。情報を市民に知らせないようにして、なるべく秘密主義で改造計画を進めているのかと勘ぐりたくなる。 45周年記念『仮面ライダー1号』(2016)をレンタルビデオ屋で借りてきた。この作品では、本郷猛とともに悪の組織ショッカーも出てくるが、そこから分裂したノバショッカーなる組織も登場する。 ノバショッカーは「世界征服」は時代遅れと宣言し、「経済による支配」を考えるビジネス集団であり、日本の国と契約書を交わす合法的な(?)悪の組織なのだ。しかし単なる力まかせのショッカーをあざ笑いながら、力で攻撃する極めて矛盾した組織である。昭和の仮面ライダー1号は、平成の仮面ライダーと協力してノバショッカーを倒す。 つくばセンタービル改造計画を考えた人たちは『仮面ライダー』を見て育った世代であろう。いつの間にか正義の味方ではなく、ショッカー、いやノバショッカーみたいな大人になってしまったのだろうか。虚構世界の仮面ライダーは、これまでセンタービルで様々な怪人たちと戦ってきた。今度は、現実世界の仮面ライダーファンが、つくばセンタービルの聖地を守るために戦いを開始するのではないだろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

《吾妻カガミ》86 紙爆弾戦開始 つくば市長選

【コラム・坂本栄】コロナ禍下の選挙は従来とは少し違った形になりそうです。前回コラム「つくば市長選 2つの風景」(7月6日掲載)で触れましたように、今秋のつくば市長選に意欲を示していた保守系現県議は、コロナ下では現職市長に比べ市民との接触面が少ない挑戦者に不利になると、出馬を断念しました。再選を目指す現職も含め、市長選では「密」が避けられない集会は抑えられ、印刷物で市民に訴える「紙爆弾」が多用されそうです。 反市長の「つくば市民の声新聞」 「コロナ・ハンディキャップ」を抱える反現市長グループは6月下旬、「つくば市民の声新聞」第1号を新聞への折り込みで配布、紙爆弾作戦を開始しました。この無料紙が推そうとしている候補が誰なのかは分かりませんが、同紙は五十嵐市長の2大失政(総合運動公園問題後処理の不手際、つくば駅前ビル「クレオ」再生計画の失敗)などのリポートを掲載、現市長にマイナス点を付けました。 また、五十嵐市長の退職金辞退については、①市長退職金は市の財政から直接支払われるわけではない②市が県市町村総合事務組合に払い込んだ積立金から支払われる③したがって市長が退職金を辞退しても市財政の節約にはならない―と解説、「子どものお遊びか?」と指摘しています。 現市長陣営の「Activity Report」 同じ日、すでに出馬を表明している五十嵐市長の陣営も、活動報告「Activity Report」第5号を新聞折り込みで配布。こちらは現職の強みを生かし、つくば市の「新型コロナウイルス感染症対策」を特集しました。たまたまなのか、どちらかが相手の動きを察知したのか、よく分かりませんが、紙爆弾が同時投下されたわけです。 報告の内容は、計上した予算(経済対策5億円+市民生活6億円)を掲げ、「児童生徒の感染者を1人も出すことなく休校期間を終え、学校を再開」「70歳以上の高齢者の皆さまに5,000円分の商品券」「大規模医療機関に優先的に約14万枚のマスクを配布」「(事業者支援のため)応援チケットによる資金調達支援」など、コロナ対応を自賛しました。 印刷物はどちらに有利に働くか? 最近、選挙でもネット活用が話題になりますが、ネットの場合、スマホなどの利用者が情報を「読みに行く」必要があります。それに対し、印刷物は目の前に置かれますから、「読ませられる」メディアです。有権者が適度な数の市長選、しかもコロナで活動が制約されている環境下では、紙爆弾が持つ「破壊力」を見直す必要があるでしょう。 印刷物の配り方は、新聞折り込みだけではありません。郵便受けに入れるポスティング、自由に持ち帰ってもらうラック置き、駅前などで配る手渡し―など、多様な方法があります。活字の説得力を考えると、紙爆弾は、実績PRに終始する現職よりも、現職の問題点を突く挑戦者に有利に働くでしょう。反現職側に「ペーパー・アドバンテージ」?(経済ジャーナリスト)

《吾妻カガミ》86 紙爆弾戦開始 つくば市長選

【コラム・坂本栄】コロナ禍下の選挙は従来とは少し違った形になりそうです。前回コラム「つくば市長選 2つの風景」(7月6日掲載)で触れましたように、今秋のつくば市長選に意欲を示していた保守系現県議は、コロナ下では現職市長に比べ市民との接触面が少ない挑戦者に不利になると、出馬を断念しました。再選を目指す現職も含め、市長選では「密」が避けられない集会は抑えられ、印刷物で市民に訴える「紙爆弾」が多用されそうです。 反市長の「つくば市民の声新聞」 「コロナ・ハンディキャップ」を抱える反現市長グループは6月下旬、「つくば市民の声新聞」第1号を新聞への折り込みで配布、紙爆弾作戦を開始しました。この無料紙が推そうとしている候補が誰なのかは分かりませんが、同紙は五十嵐市長の2大失政(総合運動公園問題後処理の不手際、つくば駅前ビル「クレオ」再生計画の失敗)などのリポートを掲載、現市長にマイナス点を付けました。 また、五十嵐市長の退職金辞退については、①市長退職金は市の財政から直接支払われるわけではない②市が県市町村総合事務組合に払い込んだ積立金から支払われる③したがって市長が退職金を辞退しても市財政の節約にはならない―と解説、「子どものお遊びか?」と指摘しています。 現市長陣営の「Activity Report」 同じ日、すでに出馬を表明している五十嵐市長の陣営も、活動報告「Activity Report」第5号を新聞折り込みで配布。こちらは現職の強みを生かし、つくば市の「新型コロナウイルス感染症対策」を特集しました。たまたまなのか、どちらかが相手の動きを察知したのか、よく分かりませんが、紙爆弾が同時投下されたわけです。 報告の内容は、計上した予算(経済対策5億円+市民生活6億円)を掲げ、「児童生徒の感染者を1人も出すことなく休校期間を終え、学校を再開」「70歳以上の高齢者の皆さまに5,000円分の商品券」「大規模医療機関に優先的に約14万枚のマスクを配布」「(事業者支援のため)応援チケットによる資金調達支援」など、コロナ対応を自賛しました。 印刷物はどちらに有利に働くか? 最近、選挙でもネット活用が話題になりますが、ネットの場合、スマホなどの利用者が情報を「読みに行く」必要があります。それに対し、印刷物は目の前に置かれますから、「読ませられる」メディアです。有権者が適度な数の市長選、しかもコロナで活動が制約されている環境下では、紙爆弾が持つ「破壊力」を見直す必要があるでしょう。 印刷物の配り方は、新聞折り込みだけではありません。郵便受けに入れるポスティング、自由に持ち帰ってもらうラック置き、駅前などで配る手渡し―など、多様な方法があります。活字の説得力を考えると、紙爆弾は、実績PRに終始する現職よりも、現職の問題点を突く挑戦者に有利に働くでしょう。反現職側に「ペーパー・アドバンテージ」?(経済ジャーナリスト)

2期目へ五十嵐市長が立候補表明 11月のつくば市長選

【鈴木宏子】11月に任期満了を迎えるのに伴って行われるつくば市長選について、現職の五十嵐立青氏(41)は27日開かれた市議会3月定例会で「2期目も引き続きつくば市長として市政運営を担っていくべく強い決意をもっている」と答弁し、再選に向け立候補を表明した。与党最大会派の小久保貴史氏(自民つくばクラブ・新しい風)の代表質問に答えた。 同市では今年、市長選・市議選の同日選挙が行われる。市長選の立候補表明は五十嵐氏が初めて。前回は五十嵐氏のほか、元市議の飯岡宏之氏、元衆院議員の大泉博子氏の新人3人が立候補し、激しい選挙戦が繰り広げられた。 五十嵐氏は「市長に就任する前、周辺地域からは中心部ばかり発展している、行政は何もしてくれないという声が多く、地域の活気が薄れていると感じていた」と前市政を改めて批判し、「周辺市街地振興に向けた取り組みを開始し、市民と行政が一緒に地域の将来に向けて動き始めたことで、地域の新たな未来がつくられ始めている」と実績を強調した。 さらに「処遇改善による保育士確保、公設民営児童クラブの公営化、特別支援教育支援員の大幅増員や、公共交通体系の大幅な改善など市民生活に直結する課題の解決に向けて様々な取り組みを進めてきた」と述べ「科学技術の活用などつくば市ならではの手法により世界が抱える課題への取り組みを進めてきた。官民協働によるRPAを活用した業務の自動化、ブロックチェーン技術とマイナンバーカードを活用したインターネット投票、大規模戸建て住宅街でのドローン配送など全国初となる試みを実施し積極的に進めるスタートアップ政策は、つくばでの多くの新規創業につながっており、全国的にも注目を集めている」などと話した。 一方で「中心市街地の活性化や未利用公有地の活用などまだ道半ばの課題も山積している」と、商業施設クレオやつくばセンタービルなど中心市街地の空き店舗問題や、旧総合運動公園用地問題など未解決の課題も指摘した上で「就任以来の取り組みは着実に身を結び始めており、つくば市は『世界のあしたがみえるまち』に向け歩み始めている。この動きを止めることなく加速させ、持続可能なまちづくりを進めていく」などと強調した。

【つくば市長会見】義務教育学校は新設せずを明記

【鈴木宏子】つくば市、五十嵐立青市長の定例会見が6日、同市役所で開かれた。1日からパブリックコメント(意見募集)が実施されている市学校適正配置計画改訂案や市中心市街地まちづくり戦略案などについて報告があった。 みどりの地区に中学校も新設 今後20年間の小中学校の配置や通学区の在り方などについて定める学校適正配置計画改訂案は、施設一体型小中一貫校(義務教育学校)5校の開設や統廃合計画が示された2009年策定(14年改訂)の計画を大きく見直す。 見直しの大きな柱は義務教育学校だ。現在ある4校はTX沿線などの人口増加や学校の統廃合などに伴って大規模校化していると課題を指摘し、今後新たに開設する学校は義務教育学校ではなく小学校と中学校にする必要があるなどと明記した。 つくばエクスプレス(TX)沿線の児童・生徒数の急増による教室不足への対応については、すでに研究学園駅周辺に研究学園小中学校(仮称)、万博記念公園駅周辺に香取台地区小学校(同)、みどりの駅周辺にみどりの南小学校(同)の3校の新設が進められているが、加えて23年度までにみどりの南部に中学校を新設することが示された。市学務課によると、みどりの地区には新たな学校用地はもう用意されておらず、設置場所はこれから検討するという。さらに、みどりの義務教育学校の児童・生徒数急増に対し、谷田部南小と谷田部中の学区の見直しを検討する必要があるとした。 ほかに、TX沿線の中根・金田台地区に小中学校、上河原崎・中西地区に小学校の新設を検討する。 一方、今後、児童・生徒数がさらに減少し小規模校となる茎崎地区の小中学校については、現計画と同じ「統合の検討が必要」とする表現にとどめた。 中心市街地 9つのプロジェクト掲げる 中心市街地まちづくり戦略は、つくば駅周辺のまちづくりの基本方針について定め、今後5年間に市が先頭に立って優先的に進める事業として、9つのプロジェクトを掲げる。 センタービルのリニューアル▽つくばセンター広場のリニューアル▽イノベーション拠点の創出▽地域と連携したパブリックスペースの活用▽中央公園のリニューアル▽エリアマネジメント団体設立による官民連携のまちづくりの推進▽産業振興センターを拠点としたスタートアップ推進▽つくばの玄関口のおもてなし機能向上▽スマートシティの推進-の9つだ。 センタービルは、現在ある吾妻交流センターや市民活動センターなど公共施設の配置見直しと機能向上を図り、新たに行政窓口の導入を検討する。ほかに、シェアオフィス、コワーキングスペース、研究機関の窓口機能やスタートアップ支援などを含むイノベーション拠点の整備を検討するとしている。センター広場は、雨天時の対応や電源整備の充実、広場への動線の改良をする。 イノベーション拠点は、駅周辺の大街区の公務員宿舎跡地にイノベーション拠点が形成できるよう、さまざまな誘導施設を検討し、土地所有者の関東財務局と処分手法を協議するなどとしている。 これまでバーベキューやカヌー体験、水遊び場など試験的取り組みを行ってきた中央公園の維持管理は、レストランやカフェなどの出店を促し、民間事業者が収益を上げることができるパークPFI(公募設置管理制度)も含めた官民連携の新たな仕組みの導入を検討する。 新たに設立を検討するエリアマネジメント団体は、MOG(モグ)、Q't(キュート)、旧クレオ、Biviつくばなどの商業施設や、公共施設、ホテルなどの事業者と市が連携し、デザインの統一、まちのルールづくり、情報発信、オープンカフェやイベントを一体的につくることでまちの価値を高めたり、魅力あるテナントの発掘・誘致などに取り組むという。 さらに、駅から数百メートルのペデストリアンデッキを中心とした沿道空間(コアエリア)は、駅前にふさわしい都市機能が集積するよう住宅制限などを検討するとしている。 パブリックコメントはいずれも28日まで実施する。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || ).push({});

【つくば市20年度予算】過去最大規模を更新 学校建設ラッシュ続く

【鈴木宏子】つくば市は4日、2020年度当初予算案を市議会全員協議会に説明した。一般会計は約885億2500万円で前年度当初比0.6%増となり、過去最大規模だった前年度をさらに上回る。つくばエクスプレス(TX)沿線の児童・生徒数増加に対応するため、学校建設や校舎増築ラッシュが続く。 新設が予定されているのは、TX研究学園駅周辺の研究学園小中学校(仮称)、万博記念公園駅周辺の香取台地区小学校(同)、みどりの駅周辺のみどりの南小学校(同)の3校。研究学園小中と香取台小はいずれも23年4月開校に向け、それぞれ約1億2800万円と約9600万円で設計を行う。みどりの南小は24年4月開校に向け用地を約10億7800万円で購入し、さらに約2億1800万円で基本・実施設計をする。 ほかに小中学校3校で校舎を増築する。葛城小は21年4月からの利用開始を目指し約8億円で校舎を増築する。手代木南小と栗原小は22年4月の利用開始に向け校舎増築の設計を実施する(2校の設計費合計約5500万円)。 保育所もさらに増やす。民間保育所施設の整備補助を約14億1000万円を計上し、保育所7園、認定こども園1園、病児保育施設1園を20年度中に整備する予定だ。 旧総合運動公園 借入金返済に備え積み立て 課題となっている旧総合運動公園用地については、いったん市は売却を表明したが、市議会に特別委員会が設置され売却見直しの意見が多数となっていることから、2023年度末の土地購入費の借入金返済期限に備えて財政調整基金に6億円を積み立てる。21~23年度までは基金残高98億円を目標に3年間で毎年15億円ずつ積み立てる計画。今後、議会から示される方向性を見据えながら再検討していくという。 つくば駅前の商業施設クレオの再生に市が関与しない方針を決めた後の中心市街地のにぎわいづくりについては、市が約6000万円を出資し、官民連携の中心市街地エリアマネジメント団体を設立し活性化を図る。さらにつくばセンタービルの再整備に向け、約990万円で必要な機能や配置について検討する基本計画を策定する。 ほかに、圏央道つくば中央IC(インターチェンジ)- 常総IC間のスマートICの整備に向け、用地購入2億2600万円とNEXCO東日本への同IC建設負担金約7500万円を計上する。21年度中の利用開始が予定されている。 ナショナルサイクルルートに指定された「つくば霞ケ浦りんりんロード」については、新たにつくば駅からりんりんロードまで7.5キロの推奨ルートを設定し、案内表示の路面サインをつくる(約720万円)。 つくばウェルネスパーク内のサッカー場、セキショウ・チャレンジスタジアムは経年劣化により芝の破れやほつれが発生していることから、約1億7600万円で人工芝を張り替える予定だ。 不登校児童生徒の支援では、市南部に約1200万円で新たな支援拠点を設置する。市と民間の共同事業とする計画で、共同事業は県内初という。4月以降、民間事業者を公募し10月ごろ開設する予定だ。 一方歳入は、人口増などにより、個人市民税を前年度比5.1%増、固定資産税を3.2%増と見込む。法人市民税は昨年10月の税制改正の影響で13.2%減となり、市税全体は2.4%増を見込む。 特別会計などを含めた総額は1488億800億円となり、一般会計と同様、過去最大規模を更新する。 同予算案は14日開会の市議会3月議会に提案される。五十嵐立青市長は「市未来構想が目指す4つのまちの姿の実現に向けた予算で、まいてきた種が形になる」などと話している。

つくば駅前にアイスと雲のタペストリー 「涼」をテーマにデザインコンペ

【谷島英里子】関東甲信地方が梅雨明けした29日、つくば駅前のつくばクレオスクエアMOG1階にあるプラザ・パフォーマンス・ギャラリーは、涼感たっぷりの大型タペストリーで彩られた。筑波学院大学とつくば都市交通センターが主催する「空間デザインコンペティション」の授賞式が行われ、市民投票などで選ばれた優秀作品のタペストリー展示が始まった。 コンペは同大学メディアデザインコース3年生がデザイン教育の実践的な取り組みのため、2015年から行われ、つくばセンター地区のにぎわいにつなげている。今回も初めに学生の21作品がパネルで展示され、一般市民が投票。その後審査員らが優秀賞を、鈴木栞那さんの「カラフルアイス」とリ・ハクさんの「雲」に決めた。 「カラフルアイス」は、イチゴやレモンなどのフルーツアイスをみずみずしく色鮮やかにデザイン。特に子どもに楽しんでもらおうと、アイスの棒に「あたり」「はずれ」の仕掛けをした。 「雲」は、目を閉じて草原で風を感じる少女を描き、少女が着るスカートと青空の雲を合わせた。作者は「少女が涼しそうに感じている顔の表情をじっくりと見てほしい」という。 プラザ・パフォーマンス・ギャラリーの吹き抜け空間には、テーブルといすが設置され、ゆっくり鑑賞することができる。会期は9月30日まで、前半(鈴木栞那さん)と後半(リ・ハクさん)に分けて1作品ずつ展示される。 審査員長を務めたつくば都市交通センターの茂木貴志理事長は「つくばの夏の始まりにふさわしい作品で、とても涼やか。多くの人に立ち寄ってほしい」と話していた。

《吾妻カガミ》59 市民参加が怖い? つくば市の変な議会

【コラム・坂本栄】これまで、つくば市と議会の笑える話を何度か取り上げましたが、その類のニュースがまた飛び込んで来ました。つくば市は有力大学や研究機関が集まる学園市ですから、洗練された先進的な市と思われています。ところが、いなかの要素も色濃く残すまちでもあるという話です。 その記事の見出しは「公募はなじまない? 市民委員を削除 つくば市倫理審査会」=6月8日掲載=と「新たな政治倫理審査会委員決まる 公募市民は含まず つくば市」=6月28日掲載=です。靑字のところをクリックして読んでみてください。 ポイントはこういうことです。市当局が、市議の資産報告を審査する委員会に、市民から公募した方を入れようとしたところ、議会が反発。結果、審査委から公募市民を外し、同委は委員の経験がある市民だけで構成されることになった――。つまり、報告の真偽を判断する元資料(預金通帳、納税証明、借用証書など)は一般市民には見せず、チェックできるのは気心の知れた旧知の人たちだけになったそうです。 どうやら、つくばの市議さんは通帳などを一般市民にチェックされるのが怖いようです。何か不都合なことでもあるのでしょうか? 守谷市ではすでに公募市民が資産報告の審査に参加しており、つくばみらい市も近く同じ方式を採用するそうですから、県内TX沿線市の市政透明度を比較すると、つくば市の濁(にご)りが目立ちます。 スマートさに欠ける 看板と現実のズレ 資産審査も含め、各種の検討委員会に公募委員を入れるという考え方は、五十嵐立青市長の選挙公約でした。それが議会にダメと言われたわけで、市民参加型の市政を進める五十嵐さんのショックは大きいと思います。 市と議会のドタバタはこれまでにもありました。西武百貨店閉店後の空きビル活用問題、市施設の指定管理者選定問題などですが、笑える事例がもう一つ追加されたことになります。空きビル問題については「クレオ問題 そして祭りは終わった?」=昨年11月5日掲載=、指定管理者問題については「面白い形で決着 つくばの市施設問題」=3月4日掲載=をご覧ください。 つくば市は広報キャッチコピーに「世界のあしたが見えるまち。 TSUKUBA」を掲げ、世界のモデル市になることを目指しています。ところが、垢(あか)抜けない議会、手際がイマイチの市当局……と、スマートさに欠ける話が多出。この看板と現実のミスマッチ、これも結構笑えます。(経済ジャーナリスト) ➡坂本栄の過去のコラムはこちら

プリツカー賞受賞の磯崎新氏設計 つくばセンタービルを脚本家が語る 「仕掛けに満ちた建物」

【鈴木宏子】つくばセンタービル(つくば市吾妻)を設計した磯崎新氏が、建築界のノーベル賞といわれる2019年のプリツカー賞受賞者に選ばれた。つくば市在住の脚本家で、NEWSつくばコラムニストの冠木新市さん(67)は、同ビルを「仕掛けに満ちた建物」として、つくばの七不思議の一つに取り上げ、2014~15年にご当地ドラマを制作した。冠木さんとつくばセンタービルを歩いた。 冠木さんがまず教えてくれたのは建築の思想だ。「普通、中心にはシンボル的な施設が建てられるべきだと考えると思うが、磯崎氏はつくばの中心に沈み込む空洞をつくった」という。磯崎氏自身、著書「建築のパフォーマンス―つくばセンタービル論争」(パルコ出版局)で、筑波研究学園都市という国家プロジェクトゆえに中心に国家のシンボルを描き出すのではなく「中心を空間にし、空間の中に向かって消滅していくような反転した空間をつくり上げた」と記している。一方で建築の思想は、つくば市民の間で議論されたり共有されることはほとんどないまま建築から35年がたった。 同ビルの中心にあるくぼ地のセンター広場には、崩れかけた石が積まれてあり廃墟が表現されている。冠木さんは、商業施設クレオの閉鎖やつくばセンタービル内の商店街アイアイモールからの飲食店全店の撤退など、現在直面している中心市街地の空洞化について「磯崎氏にとってすでに折り込み済みだったのではないか」と話し、「磯崎氏は『断片やあつれき、縫合の合い間が別な物語を語り始めることはないかと期待をもっている』と語っている。つくばの中心にあるセンタービルは空っぽの器であり、情報が入り発信して初めて成り立つメディア(媒介するもの)のようなもので、どう使いこなすのかが問われている」と話す。 ご当地ドラマで魅力紹介 冠木さんが制作したドラマは「サイコドン」という題名で、つくば市のケーブルテレビACCSで全16話が放映された。そのうちの3話分で磯崎氏が折り込んださまざまな仕掛けを紹介している。建物の随所に使われているモンローカーブと呼ばれる曲線、筑波山の筑波石と笠間市の稲田石をわざと崩れたように積み上げて廃墟を表現したセンター広場の石、霞ケ浦の北浦と西浦を表現したとされる水の流れなどだ。 さらに独自の解釈もドラマの中で展開した。ホテル「オークラフロンティアつくば」の建物の最上階の独特な形の窓を東西南北を見つめる瞳と解釈し、南を向く瞳がノバホール2階入り口のピラミット型の窓に重なり、さらに重なった瞳がまっすぐ北を見つめ松見公園の展望台とつながっている―などの解釈だ。「瞳やピラミッドはドラマの撮影中に偶然見つけた。つくばセンタービルは至る所に仕掛けが満ちている。いろいろな建築様式がコラージュされていて奥が深い」と述べ「受賞を機につくばセンタービルが市民の間で再び注目され、いろいろな人が新たな魅力を発見できれば」と語る。 【つくばセンタービル】コンサートホール、店舗、ホテル、交流センター、広場などで構成される複合施設。1983年に完成した。設計者はプロポーザルにより13人の建築家の中から磯崎新氏が選ばれた。日本のポストモダン建築の代表作と評価されている。

《吾妻カガミ》47 つくばファースト? 研究学園の変な議会

【コラム・坂本栄】昨年12月のつくば市議会でおかしなことが起きました。市が慎重に選んだ市施設の指定管理者(案)を、議会が「地元の業者ではない」と否決したというのです。そして、近く開く臨時議会で、次点だった地元の業者を管理者に選ぶそうです。 どうやら、市民は、余計な費用(否決された業者の委託料の方が安い)を負担、そして、より良くないサービス(市の判定は否決された業者が最高点)を受けることになりそうです。 冒頭「おかしなこと」と言ったのは、市民が納めた税金をムダ使いし、より良いサービスを敬遠するという議決を、市議会が堂々としたからです。研究学園市の議会は、目線が市民(納税者)ではなく、アサッテ(受注業者)の方を向いているようです。 こういった議会の行状は、本サイトの記事「市長提案の事業者を否決 つくば市議会 ウエルネスパークの指定管理者」(12月21日掲載)で知りました。 詳しくはクリックしていただくとして、ポイントは①市の選定委員会が1位に選んだのは東京の業者だった②その受託料は他業者より年300万円ぐらい安かった③議会は1位の業者に代えて点数も下位だった市内の業者を選ぶらしい―です。 市の仕事はどうしても地元の業者にやらせたいと、議会は考えているのでしょう。「つくばファースト」ということでしょうか。米大統領のトランプさんが流行らせたコピー「アメリカファースト」のもじりですが、なにか不健全なものを感じます。 「世界のあしたが見えるまち」はどこに これと似た傾向は、市の新しい入札制度にも見られます。昨年秋、市がクレオ問題への市の関与策を議会で説明した際、この問題に興味があった私も傍聴しました。このとき、一緒に公表された入札制度運用方針に、私は強い違和感を覚えました。 市は、一般競争入札が原則と断りながらも、「指名競争入札や随意契約による調達が例外的な取り扱いとして認められている」として、「地域活性化の観点からは、地元企業が受注し地域経済に貢献することも求められており…」と、地域活性化を黄門様の印籠にして「つくばファースト」を掲げていたからです。 こういった排外的な施策は、長い目で見ると域内企業の競争力を弱めます。企業は競争を促すオープンな市場で鍛えられるからです。域外の企業をソフトに閉め出す議決や施策が、地域の経営力を弱めることにならないか心配しています。 つくば市長の五十嵐さんの看板「世界のあしたが見えるまち。TSUKUBA」は、つくばを世界のモデルにしたいという意気込みのコピーと聞いています。でも、トランプ流の「つくばファースト」が世界のお手本になるでしょうか? 真似してはいけないお手本(反面教師)なら分かりますが…。(経済ジャーナリスト)

つくばセンター地区冬の風物詩 ランタンアート 16日も7000個点灯

【谷島英里子】約7000個の明かりがまちを彩るつくばの冬の風物詩「ランタンアート2018」が15日、TXつくば駅周辺の遊歩道で始まった。ランタンには花火や動物などがデザインされ、訪れた人たちは写真に収めて楽しんでいた。 つくばセンター広場やクレオ前広場、エキスポセンターからデイズタウンまでのペデストリアンデッキに飾られている。つくばセンター地区活性化協議会が主催し、今年で10回目を迎えた。 市内の23校の小中学生、同協議会会員らが作った障子紙に絵を描く「絵付きランタン」や赤、緑、青色の画用紙を切り抜いた「切り抜きランタン」がずらりと並ぶ。 ランタンは16日(日)の午後4時45分から7時30分まで点灯される。開催中は初企画として、インスタグラムへの写真投稿で当たるプレゼント企画や、クイズラリー、オリジナルランタンコンテストへの投票、その場でランタンを作って飾れるコーナーがある。問い合わせは同協議会事務局(電話029・883・0251)まで。

《ことばのおはなし》4 みかんのおはなし

【コラム・山口絹記】図書館で調べ物をしていると、覚えのある詩の一節が目に入った。 君知るや南の国 レモンの木は花咲き くらき林の中に こがね色したる柑子(こうじ)は枝もたわわに実り 青き晴れたる空より しづやかに風吹き ミルテの木はしづかに ラウレルの木は高く 雲にそびえて立てる国や 彼方へ 君とともに ゆかまし ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』である。 南の国とは、当時の多くのヨーロッパの人々にとっての憧れの地、イタリアのことだ。レモンは、憧れの象徴だったのかもしれない。 レモンと言えば、私の母の実家にはみかんの樹が植えられていて、この時期になると実がなるのだが、これが驚くほど酸っぱい。見た目はグレープフルーツのようだが、味は苦味のあるレモンに近い。 10年ほど前のことになるが、私は母の実家で祖母と2人(と黒猫1匹)で暮らしていた時期がある。ある日、このみかんの実を両手いっぱいに収穫して帰ったことがあった。 何も知らずに実を頬張った私が、あまりの酸味に悶絶(もんぜつ)していると、祖母が部屋に入ってきた。机の上に山積みになったみかんを見ると、「ジャムにしましょう」と言うのだ。きっと祖母も食べてみたことがあったのだろう。先人の知恵である。 大量のジャムが出来上がると祖母は、「チーズケーキに添えて食べたい」と言い出した。夕方からケーキを焼き始め、結局一日がかりの作業になってしまったのだが、私は祖母と気まぐれに過ごすあの時間が好きだったのだと思う。 しかし、あのみかんは何という品種なのだろう。あの酸味、まさか市場に流通していたものではあるまい。 ピジンとクレオール 寄り道が好きな私は、ゲーテを横に置いて、みかんについて調べ始めた。 ミカン属というのは、もともとはマンダリン、ブンタン、シトロンという3種だけの小さな属だった。ミカン属は異なる種間でもおおむね他家受粉が可能で、発芽する種子ができる。例えばオレンジはマンダリンとブンタン、グレープフルーツはブンタンとオレンジ、レモンはシトロンとブンタンの交配種、というように。数百年にわたる交配と突然変異により、今ではオレンジだけで4千種は存在するらしい。 なんとも雑、いや、寛容な植物ではないか。そして、あのみかんの出生を本気で調べるのは、やめておいたほうがよさそうである。きっとどこかで交雑してしまった野良みかんなのだろう。 言語学には、ピジンとクレオールという用語がある。異なる言語が交わる過程と、それが定着したものを表す用語だ。 いくつもの言語が混ざり合い、もととなった言語は吸収されたり、または消えてしまったりして、そういったものたちの上に残ったものを、私たちは話しているのかもしれないのだ。そして、これからもみかんの味わいのように変わっていくのだろう。 変わっていくことが必ずしも幸せなことなのかは、私にはわからない。しかし、交わり変わることができるという、ことばの寛容性が、私の研究における憧れの地なのだ。(言語研究者)

《映画探偵団》13 戦いはこれで終わったわけではない

【コラム・冠木新市】私は驚いた。11月1日付「広報つくば」11月号の1面に、「周辺市街地のまちづくりが始まっています」と載っていたからだ。先月は、10月号が発行された7日後に、全8㌻のクレオ特集「臨時号」が出た。 クレオ購入計画の市民説明会の日程が発表され、3日間で、周辺地区の大穂、茎崎、市役所、筑波で開催されるとあった。さらに、ご意見募集ハガキが印刷されていて、10月16日必着とあった。緊急速報の慌ただしさであった。だから、11月号には続報が載ると想像していたが、どこにも出ていなかった。 私はまた驚いた。11月2日、五十嵐立青市長がクレオ購入を断念したとのニュースが流れたからだ。議会の承認が得られそうにないというのがその理由だった。計画発表から25日後である。8割の市民が賛成する中、当初から反対を表明していた私は、ホッとするよりも、割り切れない思いが残る結果となった。 計画に否定的な市議は、ビラでも作成しハッキリと意見を示すべきだった。様子見はいただけない。また、2年前に総合運動公園建設に反対の声を上げた市民たち(私も反対した)の声が上がらないのも不思議だった。運動公園とクレオ問題は異なるとも言うのだろうか。 クレオ調査費1500万円が消えた。建物調査以前に、クレオ・キュート・モグは一括売却という筑波都市整備の考えを明らかにしておけば、市民の賛成意見も変化しただろう。12月市議会で、今回の問題をどう総括するのか注目しよう。 などなど考えながら、改めて11月号を眺めたら別の思いが湧いた。1面の記事は、クレオ購入計画が決まることを前提に作られた記事ではないのかということだ。だから、次は周辺市街地の番ですとアピールしている。 クレオ計画発表とほぼ同時に、北条、小田、吉沼、大曽根、栄、上郷、谷田部、高見原の「8市街地合同勉強会」を開催したのも、計画を進めるリップサービスではなかったのか。そうした妄想で見ると、<実際に出たアイディアの例><地域共創プラットフォーム><地域共創コンペティション(仮称)の開催>の中で、何かの計画が進行中ではと疑いたくなる。 錦之助の『宮本武蔵/二刀流開眼』 映画とは大半が「リメーク」「シリーズ物」である。私が好きなシリーズ物に東映の『宮本武蔵』5部作(1961~1965)がある。内田吐夢監督が新人脚本家・鈴木尚之を起用し、主演の中村錦之助の成長に合わせ、1年1作で作り上げた。どっしりと腰を据えた制作手法は画面に重厚感を与えていた。 シリーズの第3作『宮本武蔵/二刀流開眼』で、武蔵は、京の名門・吉岡清十郎と対決し、木刀で相手の右腕の骨を砕き、あっさりと勝利する。敗北して門弟たちに抱えられて去る清十郎を見て、武蔵は言う。「俺は勝った。だが、戦いはこれで終わったわけではない。これからだ」と。 ひとつの出来事が終わると、すべてを忘れ去るのが日本人の特徴かも知れない。短期決戦ではなく、『宮本武蔵』シリーズの制作手法に学ぶべき点は多い。気軽に始めた『映画探偵団』の連載も1年が過ぎた。今後は、私も心を改めて真剣に取り組もう。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

早くもお歳暮商戦 京成百貨店つくばショップ ピークは12月上旬

【橋立多美】京成百貨店つくばショップ(つくば市吾妻)が今月1日に「お歳暮ギフトセンター」を開設した。京成百貨店(本社水戸)創業110年の感謝を込めた『「ありがとう」がいっぱい』がテーマ。近年はスーパーがお歳暮に力を入れたり、通販を活用して老舗がお歳暮商戦に参入する中で、こだわりのギフトを揃えた。 伝統が息づく和菓子や西京漬けなどを選りすぐった食品ギフト、鍋の食材をセットにした団らんギフトなど美味しさを追求した。また納豆や干し芋、涸沼のしじみ、常陸秋ソバなど地元特産品のうち、2、3品を選んで風呂敷に包んで送る「選べる県産品ギフト」と工夫を凝らしている。 若い世代が古い慣習にとらわれず、形だけの礼儀をしなくなったことがお歳暮離れの一因となり、お歳暮商戦は厳しい状況が続いているという。同店の斉藤智店長は客1人当たりの平均単価は前年並みの3000円~5000円と予想する。さらに店長は「宅配便大手のヤマト運輸が宅配便料金の値上げをしたことが追い打ちをかけなければいいが」とも。長引く不況で財布のひもは固くなりがち。同店では全国送料均一ギフト、送料込ギフトを打ち出している。 同店に立ち寄った市内に住む主婦(57)は「京成のお中元を贈ったら喜ばれたのでお歳暮の下見にきました。懐は厳しいが年末の贈り物はちゃんとしたい。お金は多くかけられないけど見栄えの良い品を選びたい」と話していた。 ギフトセンターが込み合うのは、公務員にボーナスが支給された後の今月末から12月9日と見込まれる。斉藤店長は「早めのご来店がおすすめです」と呼びかけている。 京成百貨店つくばショップは、つくばクレオスクエアキュート2階。電話029-897-3321

《吾妻カガミ》41 五十嵐市政 決断モードに

【コラム・坂本栄】これまでもクレオ跡地問題を何度か扱いましたが、冠木さんのコラム(映画探偵団11回)に刺激され、今回もこの問題を取り上げます。というのは、つくば市が行ったクレオ再生調査について、冠木さんは「すでに方向性は決定したとの印象を与えかねない、見事な誘導テクニックだ」と指摘しているからです。 つまり、8月前半に実施されたアンケート調査には、何か不自然さが感じられるというわけです。私も市が配った「クレオに関する検討状況について」というタイトルの発表文を一読して、同じことを感じました。何か変というより、調査のテイをなしていません。 期間はわずか2週間。しかも、無作為抽出で市民の考えを聴く形ではなく、意見のある人だけ、Web上で回答して欲しいというやり方です。さらに、判断に必要な材料が与えられていませんから、情報が少ないWeb弱者はどうしたらよいでしょう。 西武百貨店・イオン跡地を「市に何とかしてもらいたい」と思っている一部市民を対象にした、説得力に乏しい調査と言えないでしょうか。その結果は、①サンプル数1,242件②「商業施設」「公共施設」を望んでいる市民が多い③8割が市の関与を望んでいる―というものだったそうです。 拙速調査で方向誘導? ここまで書いてきたら、市長の五十嵐さんが、クレオ跡を市が関与する形で買い取る構想を議会に示したとの情報が入ってきました。やはり、8月調査は誘導のテクニックだったかと納得すると同時に、やっと決断したかと思ったものです。 五十嵐さんの行政スタイルは、何事も市民の考え方をよく聞いて進める、首長の判断でドンドン進めるのは控える―というものです。前市長の市原さんの失敗(土浦市との合併予備交渉でも総合運動公園案件でも市長主導で進め、結果、市民の理解を得られなかった)を教訓に、組み立てているようです。 このスタイルは研究学園の知的な雰囲気に合っており、スマートだと思います。だとすれば、調査はきちんと行う必要があります。「つくばの怪人」(と私が呼んでいる)冠木さんに「誘導テクニックだ」と言われるようでは、五十嵐スタイルは見せ掛けになってしまうからです。 実は私、市原スタイルが間違っているとは思いません。というのは、首相でも市長でも社長でも、トップには判断に必要な情報がたくさん集まるからです。問題は、豊富な情報に基づいて合理的な決断ができるか、その決断を国民・市民・社員に説得できるか、です(できなければトップ失格です)。 自治体がデベロッパーもやるという決断が合理的とは思いません。経営のリスクを抱えた構想を市民が支持するかどうかも分かりません。でも、その是非は別にして、決断モードに入ったことは評価しています。(経済ジャーナリスト)

筑波学院大生が街をデザイン 涼やかなタペストリー展

【谷島英里子】つくば駅前のつくばクレオスクエアMOG1階にある「プラザ・パフォーマンス・ギャラリー」で、筑波学院大学とつくば都市交通センターが主催する「空間デザインコンペティション」のタペストリー展が開かれている。夏の暑さを忘れさせる「涼しさ」がテーマで、市民投票で選ばれた優秀賞2作品が壁面を飾っている。 同大学はグラフィックデザイン制作、映像コンテンツ制作などクリエイティブな自己表現力を高めるデザイン教育の一環として、2015年からデザインコンペを行っている。コンペはパネル展示20作品から一般市民が投票。票数は全体で160票あり、メディアデザインコース3年藤崎栞夏(かんな)さんの「ナイトサファリ」、同年滝澤果奈さんの「そよ風」が優秀賞に決まり、タペストリーとなって展示された。 ナイトサファリはジャングルの熱帯夜をイメージして2頭のヒョウをピンクと青で描き迫力をつけた。そよ風は窓から入るそよ風を再現し、夏は木々の緑、花のピンクや黄色を取り入れシンプルに仕上げたという。 プラザ・パフォーマンス・ギャラリーの吹き抜け空間には、テーブルといすが設置され、ゆっくりと鑑賞することができる。9月7日まで。 コンペを担当した同大学経営情報学部ビジネスデザイン学科、准教授の髙嶋啓さんは「学生は作品が人の目や手に触れるとステップアップにつながる。多くの人に見ていただけたら」と話していた。

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