木曜日, 5月 28, 2026
ホームつくば3氏が第一声、舌戦スタート つくば市長選

3氏が第一声、舌戦スタート つくば市長選

【鈴木宏子】18日告示されたつくば市長選に立候補した3氏はそれぞれ、第1声を上げ、舌戦がスタートした。新人で自動車販売店などを経営する富島純一氏(37)=無所属=は午後1時からホテル駐車場で出陣式を開き「つくばを未来に向け明るいまちに変えていきたい」と訴えた。現職で2期目を目指す五十嵐立青氏(42)=同=は午後4時から選挙事務所前第一声を上げ「市民に寄り添う、誰一人とり残さないつくばをつくる」と訴えた。新人で元研究者の酒井泉氏(71)=同=は午前10時から旧総合運動公園問題用地がある大穂地区のスーパー前で街頭演説し「(元所有者の)URと交渉し総合運動公園の(購入金額の)66億円を取り戻す」と訴えた。

元事務次官「仕事に成果を出す男」

出陣式で訴える富島純一氏

富島氏は午後1時から、同市小野崎のホテル駐車場で出陣式。09年に知事選に出馬した土浦市出身の小幡政人元国交省事務次官や岡田久司元市副市長、市議選に立候補している現職市議や新人市議らが応援に駆け付けた。小幡元事務次官は「(富島氏は)仕事に対して成果を出す男」などと強調した。岡田元副市長は「すい星のように現れたのが富島候補。夢を語り(五十嵐氏と)全然違う提案ができる」と話した。

これを受けて富島氏は「(五十嵐市政で)何か変わったという実感が得られたことが一つもない」と現職を批判。出馬を決意した経緯を「対抗馬がいない中、無投票で進んでいいのか、居ても立ってもいられない気持ちだった」と語った。科学万博をもう一度というスローガンを掲げたことについては「夢を語ることが大切。先輩たちと話をすると、科学万博の話になるとにこやかになる。科学万博に対しては今でも忘れられない熱い思いがある」とし「つくば市政を、未来に向け明るい街にしていきたい」と訴え支持を求めた。

「未熟だった」一期目の反省から切り出す

五十嵐氏は午後4時から上横場の選挙事務所で事務所前第一声。立憲民主党の青山大人衆院議員らのほか、県内20市町村を超える市町村長が顔をそろえた。地元からは鈴木将県議(自民)、山中たい子県議(共産)と、いずれも市議選に立候補している、最大会派の自民つくばクラブ、市民ネット、共産の現職ら13人が応援に駆け付けた。

五十嵐氏はまず、1期目に議会の賛成を得られず断念したクレオ再生と総合運動公園用地売却問題について「(当時は)いい計画だから分かってもらえて当然と思ったが、これこそが私の未熟さだったと理解した」と4年間の反省から切り出し「同じ過ちを繰り返すことなく、新しい議員と話し合いをし、地域の声を聞いて、経営的実現可能性を踏まえ、次期任期中に結論を出したい」などと支持を求めた。

その上で「一期4年間は市民無視の市政から市民第一の転換することに力を注いだ。流れを止めるわけにはいかない」とし「市民に寄り添う、誰一人とり残さないつくばをつくる」と訴えた。

研究用地に戻せば66億円戻る

第一声を上げる酒井泉氏

酒井氏は、同市筑穂のスーパー前で第一声。(市長選には)三つの大きな論点があるとし、一つ目の総合運動公園問題は「66億円という財政負担を放っておけば大きなしわ寄せがくる。(五十嵐氏は)完全解決すると公約して市長になったがURと真剣に交渉してない。昨年8月には購入価格より26億円も安く売りに出そうとした」と現職を批判。「元々の研究用地に戻せば66億円が返ってくる。そうしなければ新しい研究所はつくば以外に行ってしまい、つくばの将来の発展可能性がなくなる」と強調した。

さらに30年来の町村合併の弊害として、市役所は管理職が肥大化しているとし「(市役所組織の)制度上の問題は一気に解決することが必要。その上で旧町村の企画部を旧庁舎に復活させ、任期6年の部長を配置」し、地域の問題を地域で解決する地域分権が必要だと訴えた。

その上で、総合運動公園用地の66億円の返還交渉については「利子返済期限の2024年3月までに支払うはめになったら責任をもって辞任する」と強調した。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

日本の競争力回復には教育改革が必要《よぎさんの眼》1

【コラム・よぎ】かつて世界トップクラスの競争力を誇った日本は現在、IMD(国際経営開発研究所)の国際競争力ランキングで38位に後退している。技術革新、企業ガバナンス、労働生産性など多くの分野で停滞が見られ、国際社会における存在感が低下している。インフラ面では依然として高い水準を維持しているものの、ビジネスや政治の効率性に課題が残り、その背景には人材の質の低下があると指摘されている。 人手不足でなくスキル不足が問題 教育分野においても問題は深刻である。不登校やいじめの増加に加え、学級閉鎖の頻発や教員不足が進行している。さらに、大学ランキングの低下、英語力やICT(情報通信技術)教育の遅れも顕著であり、若者の海外進出や高度な研究への挑戦を阻む要因となっている。また、企業が求めるスキルと教育内容との乖離(かいり)や、企業内研修機会の減少が重なり、スキル不足や構造的失業を招いている。加えて、自己肯定感の低さや将来への希望の欠如といった精神的課題も社会全体に広がっている。 人口減少や高齢化に伴う人手不足が深刻だと指摘されている一方で、専門家は「日本の問題は人手不足ではなくスキル不足である」と強調する。産学連携の強化や国内人材のリスキリング、IT・AI分野の教育機関の拡充が不可欠である。また、人手不足への対応として外国人材の受け入れが進んでいるが、その活用には課題も多い。技能や言語能力が十分でない人材の受け入れが進むなど、質と量のバランスに問題がある。 適切な移民政策の下で、人材マッチングを進めるとともに、教育・医療などを含めた包括的な支援体制の整備が求められている。 学校を「学びの企業」と再定義 地方から都市への人口流出を防ぐには、地域における教育と雇用の機会創出が重要である。公立学校では生徒数減少により統廃合が進み、学校経営そのものの見直しが求められている。学校を「学びの企業」として再定義し、生徒や保護者のニーズに応じた教育の提供、教員育成、ガバナンス強化を進めていく必要がある。 進学校、一般校、特別支援学校、工業高校、夜間学校、通信制教育など、多様な学校形態が存在する中で、それぞれの教育が本当に生徒や社会のニーズに応えているのかを具体的に問い直す必要がある。例えば、夜間学校において全日制と同様のカリキュラムをそのまま適用しても、多くの生徒にとっては現実的ではない。学校の形態や生徒の実情に応じて、カリキュラムや教育活動を柔軟に調整することが求められる。 問題は「形骸化」と「現状維持」 日本社会の最大の課題は「形骸化」と「現状維持」である。これを打破するためには、教育の目的と理念を再確認し、改革と改善を同時に進めることが不可欠である。教育は単なる知識伝達にとどまらず、人材育成を通じて社会と国家の未来を形づくる基盤であり、日本再生の最も重要な鍵である。このコラムでは、教育をどのように変革していくべきか、考えていきたい。(元土浦一高・付属中学校 校長) 【よぎ(本名プラニク・ヨゲンドラ)】インド西部のプネ大学(物理・経済)卒、同大学院(国際・労務経済)修士。同時に日本語と情報技術を学ぶ。1997年に国費留学生として来日、大手IT企業や金融機関の幹部として勤務。2019年から東京都江戸川区議。22年4月~26年3月、茨城県立高校の公募校長として、土浦一高・付属中学の副校長・校長。全日本インド人協会会長、江戸川印度文化センター館長。1977年生まれ、インド出身。

給食の米飯350食分を廃棄 振替休日を連絡し忘れ つくば市立中学校

つくば市は27日、市内の市立中学校1校が4月27日(月)を振替休日とすることを市給食センターに連絡するのを忘れ、同日の学校給食の米飯約350食分、約5万6000円相当を廃棄したと発表した。 市健康教育課によると、同中学校では4月25日(土)に授業参観を実施し、27日を振替休日としていた。学校行事などで給食の提供を中止する際は、各学校が前月の5日までにそれぞれ給食センターに連絡することになっているが、学校からの連絡が漏れたという。 同市の給食は、委託業者が米飯を炊き、一人分ずつ器に入れて各学校に直接配送している。おかずは学校給食センターが調理し各学校に配送している。4月27日午前10時ごろ、委託業者が同中学校に米飯を配送したところ、休校だったことから給食センターに連絡し廃棄とした。一方、給食センターで調理した350人分のおかずは、配送する前だったため、他校に割り振った。 同課は、市内の各学校と幼稚園などに対し、給食の中止や人数の変更が発生する場合は適切に報告するよう改めて周知し、再発防止に努めるとしている。

在来大豆「タノクロ豆」を守り受け継ぐ《宍塚の里山》136

【コラム・小関緑】宍塚には大粒でとてもおいしい大豆があります。地元では通称「タノクロ豆」。田の畦畔(けいはん)などで作られてきた在来大豆です。近年は作る方が減少しましたが、この大豆を守りつないでいきたいと、地元の方から種を分けていただき、種継ぎを続け20年以上になります。大豆は味噌(みそ)に加工し、宍塚の方々と里山保全に取り組む人たちで分けています。 里地里山文化の象徴 大豆は、味噌、醤油(しょうゆ)、豆腐、納豆の原料であり、畑でとれる貴重なたんぱく源。日本人の食に欠かせない食料です。それぞれの地域で、その土地の気候風土に順化した在来大豆が作り継がれてきました。田んぼの畦(あぜ)は、陽当たり風通しがよく、根を伸ばせば水に届く―そんな環境が大豆にはちょうどよく、畦畔での栽培が行われていました。 自然資源を持続的に循環利用し、気候風土に適した作物のタネをとり、持続的に食料を生産する―そのような生業(なりわい)の在り方が里地里山の文化の要だと考えています。私にとって在来大豆は、そんな里地里山文化の象徴です。 お味噌に加工して配付 20年以上前、当時の及川ひろみ会長が会報配付に集落各戸を回った際、おいしい煮豆をごちそうになったのが、出会いでした。その方の作業を手伝わせていただくことから、栽培が始まりました。 栽培は、土地の資源を生かすこと、先人の知恵を生かすことが基本。聞き書きでも畑作や大豆栽培について聞いており、播種時期、麦間を利用した栽培、脱穀や調整の道具などが記録されています。当会では、落ち葉を畑にすきこむ方法や、裏作の麦との二毛作などに取り組んでいます。ただ近年は草管理が行き届かず、気候変動に伴う生育不良にも苦戦しているところです。 タノクロ豆の存在を知ってもらうため、できた大豆は味噌にして地元の方と里山保全に係る人たちで分けています。味噌作りも最初は地元の方に教わり、宍塚伝来のレシピで作っています。糀(こうじ)の米もなるべく宍塚産にし、当会の田んぼ塾の谷津田米や宍塚の農家が生産したお米を使用。煮炊きには里山保全作業で出た材をまきに使っています。里山の恵みをぎゅっと絞った雫(しずく)のようなお味噌です。 唯一無二だから種をつなぐ 宍塚の風土に順化し、生業文化に根差して作り継がれてきたタノクロ豆。これは、世界に唯一無二です。本来は地元の人たちによって受け継がれるのがベストですが、現代の社会構造では難しくなっています。ここで途切れさせてはならない、タネをつながなければならない―ほぼよそ者で構成される当会がそのつなぎ役になれればと考えています。 幸い、本当の地元住民であり、会員としても活躍くださっている方が、栽培をしてくださっています。このつながりに感謝し、今後も細々ではありますが継続していきます。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

傘がない《短いおはなし》51

【ノベル・伊東葎花】 電車を降りると雨だった。しかもかなり降っている。カバンに入れたはずの、折りたたみ傘がない。困ったな。タクシーは行列ができている。コンビニまで走って傘を買うか。だけどちょっと走っただけで、ずぶぬれになりそうな雨だ。 迷っていたら女が隣に立って、傘を広げていた。じっと見ていたら目が合った。 「傘をお忘れですか?」 「ええ、そこのコンビニで買おうと思っています。しかし、この雨では」 「よかったら、コンビニまでご一緒しませんか?」 「えっ、いいんですか。肩が濡れてしまいますよ」 「構いませんよ。困ったときはお互いさま。さあ、どうぞ」 女が開いた傘は、僕の傘にとても似ていた。どこにでもあるチェック柄だけど、僕の傘には柄のところに「M」の文字が刻まれている。僕の名前の頭文字だ。 「僕が持ちますよ」 そう言って傘を受け取って柄を見ると、「M」の文字が刻まれている。 「あの、これはあなたの傘ですか?」 「違います。電車の中で拾ったんです」 「拾った? じゃあやっぱり、これは僕の傘だ。かばんから落ちてしまったんですね」 「まあ、そうでしたか。届けようと思ったんですけど、この雨でしょう。つい、持ってきちゃって。ごめんなさい」 「構いませんよ。返してもらえたら」 「コンビニに着いたらすぐにお返します。本当にすみません」 女はすまなそうにうつむいた。かわいい人だ。彼女に拾ってもらえたのは、もしかしたら運命かも。 それにしても、カバンに入れていた傘が、どうして落ちたんだろう。何かを取り出したときに落としたのかな。ウトウトしているあいだに落ちたかな。ぜんぜん気づかなかった。 ふたりで並んで歩いた。かなり密着している。長い髪が腕に触れるたび、いい匂いがした。早くなる鼓動を気づかれないように歩いた。あっという間にコンビニに着いた。 「ありがとうございました。では私は、傘を買って帰ります。本当にすみませんでした」 「こちらこそ、あなたに拾っていただけてよかった」 「雨が強くなってきました。さあ、早く帰ってください」 「また会えるかな」 「同じ電車を利用しているんです。きっと会えますよ」 女は笑いながら手を振って、店に入った。そうだ。これが運命なら、きっとまた会える。 歩き出してから、冷蔵庫に何もないことを思い出した。 「弁当とビールでも買うか」 引き返してコンビニに行くと、女がレジで金を払っているところだった。「あれ? その財布」 似ている。色、マーク、表面のキズ。紛れもなく僕の財布だ。「あの、それは、あなたの財布ですか?」 女が振り向いて、にこやかに答えた。 「違います。さっき拾いました」 (作家)