水曜日, 5月 1, 2024

白いじゅうたん一面に 常陸秋ソバの花が見ごろ

つくば市北太田の畑で、常陸秋ソバの花が見ごろを迎えている。1 haの畑一面が白いじゅうたんを敷き詰めたようで、清楚な花が心地良さそうに風に揺れている。 写真のソバ畑は同地区の関喜幸さんが所有。8月に天候不順があったが開花は例年と変わらず、霜の降りる11月に収穫時期を迎える。3俵(135㎏)の収穫を見込む。(橋立多美)  

迷い犬を保護 研究学園駅近くの保育園で

10月6日午前6時30分ごろ、つくば市研究学園5-6-3、ラ・フェリーチェ保育園の髙橋晃雄園長が、園前の道路で鎖を付けたまま歩いている犬を見つけ保護した。雑種、オスの中型犬。少し太り気味だが、毛並みもきれいで、人懐っこく、吠えることもないという。 鎖の端だけに砂が付いていたことから、捨て犬ではなく家の庭で飼われていて鎖が外れ、さ迷っているうちに迷子になったのではないかと高橋園長は考える。 ラ・フェリーチェ保育園には、高橋園長が自宅で飼っているトイプードルが毎週遊びに来るので、園児たちも犬が大好き。6日、登園してきた園児たちは「新しいワンちゃんだ」と目を輝かせたが、園長から「迷子になって、おうちに帰れないんだよ」と聞くと、「かわいそうだね」と心配顔だった。 週末は、保育園で保護できないため、6日午後からつくば市役所に対応を任せた。市環境課によると、6日から9日までは、市内の動物病院で保護し、その後は、石岡にある県の動物愛護センターに送られる。 市環境課によると、犬が行方不明になると、飼い主は、自分で探し回り、2~3日してから市役所や警察に連絡してくるケースが多いとのこと。高橋園長は「15日までに飼い主が見つからないと殺処分になってしまう。飼い主もきっと必死になって探していると思う。近所のスーパーに張り紙をお願いしたが、SNSをやっている方は、是非発信して、飼い主探しに協力して欲しい」と協力を呼び掛けている。 連絡先は▽つくば市役所環境課 029-883-1111▽ラ・フェリーチェ保育園園長 髙橋晃雄さん(℡029-875-7831、携帯090-1844-8514)

いばらき腎臓財団に第一生命保険「保健文化賞」 賞金200万円

臓器移植の普及や啓発に取り組んでいる公益財団法人いばらき腎臓財団(つくば市、理事長・山縣邦弘筑波大学腎臓内科学教授)が、第一生命保険主催の「第69回保健文化賞」を受賞した。腎臓財団が2008年度から続けている子どもたちへの「いのちの学習会」活動が高く評価された。贈呈式は10月12日、東京・帝国ホテルであり、賞金200万円が贈られる。年間の事業費規模が約900万円の財団にとって、大きな支えとなる。 第一生命保険によると、保健文化賞は1950年創設と歴史があり、近年は、生活習慣病対策、高齢者・障害者への福祉、海外医療や疾病対策などに継続的に取り組んできた個人・団体を顕彰している。今年度は個人6人、団体はいばらき腎臓財団を含む9件が受賞した。厚労省、朝日新聞厚生文化事業団、NHK厚生文化事業団が後援している。 評価された「いのちの学習会」は、小中学校や高校に出向いて開いてきた。臓器移植への理解を深め、自分や他人の命を尊重する心を育んでもらうのがねらい。筑波大などの医師や看護師、腎臓財団職員らが移植医療の現状を伝えるため、臓器移植の仕組みを学ぶDVDを見せたり、さまざまな移植の事例を紹介したりする。移植する側、される側双方の家族らが直接話すこともあった。 児童・生徒には、生後間もない赤ちゃんの実物大の人形を抱っこしてもらい、人形と自分を比べて成長を感じることで「生きること」や「命のつながり」について考えたり、感じたりしてもらっている。 学習会は08年度から15年度までに県内の33小学校、19中学校、27高校で開催された。16年度には15年度の1.5倍近い延べ32回に増えたという。腎臓財団のスタッフは「一人でも多くの方々に臓器移植医療に関心を持ってもらえるよう、今後も地道な活動を続けていきます」とコメントしている。(米内隆) 腎臓財団事務局は電話029・858・3775、「いのちの学習会」の申し込みはinfoiba@iba-jinzou.com  

土浦花火大会 7日予定通り開催

日本三大花火の一つ、第86回土浦全国花火競技大会は7日午後6時から、土浦市、学園大橋付近の桜川湖畔で予定通り開催される。同大会実行委(委員長・中川清市長)が6日朝、正式決定した。 約2万発の花火が打ち上げられる。スターマイン、10号玉、創造花火の3部門で競技が行われ、20都道府県の54業者が技を競う。特に数百発の多種多様な花火を組み合わせて速射連発するスターマインは日本一を競うといわれる。 幅約500mにわたる9カ所から、6分間にわたって約2100発を打ち上げるワイドスターマイン「土浦花火づくし」などの打ち上げもあり、夜空を覆い尽くすほどの迫力がある。 花火大会は1925(大正14)年、文京町の神龍寺住職が霞ケ浦海軍航空隊殉職者の慰霊と、関東大震災後の不況で疲弊した土浦の経済を活性化しようと、私財を投じて開催したのが始まり。 毎年約70万人の観客でにぎわう。今年は無料だった市駐車場のうち土浦一中校庭など7カ所が新たに有料(1000円)になる。

突然ハスが消えた! 谷田川で謎深まる

牛久沼に流入する谷田川から今夏、突然ハスが消えた。ハス消滅は全国各地で起きている。地元、つくば市森の里団地住民の間で謎が深まっている。 つくば市長高野の田園地帯から南下する谷田川は、左岸の住宅団地森の里の前を過ぎて牛久沼の北側に流入する一級河川(全長35.2㎞)。森の里団地に面して築かれた堤防は地域住民の格好の散歩コースで、7~8月には対岸に自生したハスがピンク色の花を咲かせて目を楽しませた。 ところが今夏は風景が一変。花は一輪も見当たらず、ハスは突然姿を消した。 一昨年の2015年7月は水辺に涼し気に花を咲かせた。ハスの群生は広がり森の里団地近くまで伸びてきた。当時同団地自治会長だった倉本茂樹さんは「大量の雨が降った場合、水面をハスで覆われたことで水の行き場がなくなり、堤防を越えて団地内に流出しないか」と不安を覚えたほどだった。 そこで谷田川を管理している県竜ケ崎工事事務所にハスの駆除を要望した。同事務所はこのままでは安全上問題があると判断。同年7月下旬から8月上旬にかけて駆除作業を行った。全駆除ではなく、およそ200mの川幅の中央部から森の里団地に向かって広がったハスを取り除いた。 16年初夏、駆除されなかった対岸のハスは葉を水上に出したが、開花は例年に比べて少なかった。そして今夏。葉一枚すら見当たらなかった。 水面を覆っていたハスが突然姿を消す事態は日本各地で起きているという。京都市の淀城跡公園や福岡県の舞鶴公園、佐賀県の佐賀城公園ではいずれも堀に生育していたハスが激減したり全滅している。極めつけは13haものハスの群生地として有名な滋賀県琵琶湖畔のハスが、昨年こつぜんと消えた。 森の里団地では「ミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)や鳥のオオバンが新芽を食べたせいではないか」などが、ハス消滅の原因ではないかと取り沙汰され、謎は深まるばかり。 原因は何なのか。理学博士で県霞ケ浦環境科学センター嘱託職員の沼澤篤さんによると、考えられる要因として①出水の時にハスの生育に適した泥が流されて川底が砂地に変化した②アメリカザリガニやミシシッピーアカミミガメまたはジャンボタニシが新芽や若葉を食べてしまった③ハス特有のウイルスや線虫、菌などの病原体に感染した④泥中の有機物が多くなり、分解するときにメタンガスが発生して酸素が欠乏し、呼吸困難で枯死した、の4つが挙がった。 全国では現地調査が行われた所もあるが「要因が重なっていることも考えられ、谷田川も含めて原因は特定できない」と沼澤さんはいう。また「地球温暖化で水温が高くなって酸欠状態になる。これもハスが激減したり全滅する原因になっているのではないか」と言い添えた。 森の里在住で谷田川の白鳥を撮り続けている富樫次夫さんは「水辺に咲く花は夏の風物詩だったし、冬枯れの風景もよかった。非常に残念だ」と話す。(橋立多美)  

地元中学生が牛若丸を熱演 小田で「能に親しむ会」

つくば市小田の築105年の古民家でこのほど、「能に親しむ会」が開かれた。地元、筑波東中2年の飯塚太一さん(13)が、観世流能楽師で重要無形文化財総合指定保持者の高梨良一さん(69)と共演し、「橋弁慶」の牛若丸を力強く舞った。普段見られない能の装束付や、高梨さんから能を学ぶ子どもたちの発表会もあり、秋の夜空の元、約300人が能づくしの舞台を楽しんだ。 日本が誇る伝統芸能の能を地域の人に親しんでもらおうと、NPO法人「華の幹(はなのき)」(つくば市小田、飯塚洋子代表)が、高梨さんら観世流の能楽師を招いて毎年開いている。今年で5回目。 舞台は2部構成で、例年、第1部は高梨さんが地域の子どもたちを対象に古民家で月1~2回開く能楽教室の発表会、第2部はプロの能楽師の舞台だが、今年は、上達を認められた生徒の太一さんが、子方(子役)として初めて第2部の出演に抜擢(ばってき)された。 太一さんは母親で同NPO代表の洋子さんに勧められ、小学5年から同教室で能を始めた。「橋弁慶」は今年初めから稽古を開始したが、高梨さんの厳しい指導に「泣いてしまうこともあった」という。一方で「よくできたときはとても褒めてもらえる。それが励みになった」と振り返る。 この日、太一さんは、白鉢巻きをきりりとしめて、きらびやかな能装束に身を包んだ。京都の五条の橋に見立てた舞台の上で、長刀(なぎなた)を繰り出す高梨さん演じる弁慶と堂々と太刀で渡り合い、大きな拍手を浴びた。 「練習通りの演技を100%出すことができて満足です」と太一さん。高梨さんは目を細め、「成長が著しい。今後はもっと教室のレベルアップを図り、子どもたちだけの(第2部)舞台も実現したい」と抱負を述べた。 これに先立つ舞台では、ふだん一般には公開しない能装束付けの実演なども行われ、演者に豪華な装束を着付けていく様子を観客はじっと見入っていた。 第1部の舞台では能楽教室の子どもらが着物姿で舞台に上がり、正座で腹からしっかりと謡で声を響かせたり、扇を手に堂々とした仕舞を踊ったりした。ゲストに招かれた日立市出身で現役大学生の津軽三味線奏者、高橋拓美さんも力強い演奏を披露した。(大志万容子) 能楽教室への問い合わせは、特定非営利活動法人華の幹(電話080・5544・5360)

障害者が働く弁当店「いっぱい買って」 牛久にオープン、配達も

障害者が働くお弁当屋さんが2日、牛久市小坂町の住宅団地内にオープンした。就労支援施設「いいはたらくばトポス」(小林綾子施設長)で、障害者らは「おいしいお弁当をいっぱい作りたい」「いっぱい買ってもらいたい」など期待を話していた。 牛久市内のほか阿見町、稲敷市などの18~52歳の男女14人が、スタッフの支援を受けながら野菜の下ごしらえをしたり、盛り付け作業をしたりする。店頭で販売するほか、注文を受けて近隣市町村の職場などに配達もする。 一般社団法人「おひさま」(理事長・小林幸子元土浦市議)が運営する。グループ施設の土浦市宍塚、障害者自立支援センター「おひさま」にもお弁当を配達する。 障害者の賃金を向上させたいと、小林綾子施設長(46)が2015年、就労フォーラムに参加したことがきっかけ。その後、全国の若手施設関係者と1年間勉強を重ね、オープンにこぎつけた。賃金向上のほか、一般企業への就職などを目指す。 施設は2階建て延べ床面積約300㎡、1階は店舗や厨房、地域住民との交流スペースを備える。2階は手芸やパソコンなどの就労訓練をする作業室などがある。 もともと倉庫として使われていたが10年ほど空き家になっていた施設を、日本財団の助成金を受けて改装しオープンした。 小林施設長は「障害を抱える人たちが、地域で当たり前に働く楽しさや喜びを体験できるよう頑張りたい」と話している。 販売するのは日替わり弁当(380円)、ボリューム弁当(500円)など。5個以上注文があれば職場などに配達する。(鈴木宏子) 開店時間は平日の午前11時~午後3時。問い合わせは℡029-828-8037。

キノコ愛でる、なでる、萌える 3連休は筑波実験植物園へ

「愛でるキノコ」が静かなブームになる中、つくば市天久保の筑波実験植物園で開かれている企画展「きのこ展―あの『物語』のきのこたち」が人気を集めている。 つくば市を中心に日本各地で採った100種類を超える野生の生キノコが並ぶ様子は、壮観だ。キノコをモチーフにした木版画を制作する同市北条の武井桂子さん(71)は「見てかわいく、食べておいしいキノコが子どもの頃から大好き。ここはキノコの魅力がいっぱいで、極上の気持ちになれる」とほほ笑む。 2010年から毎年開いている企画展。企画した国立科学博物館植物研究部の保坂健太郎研究主幹は「展示のキノコはさわれるので、実際にキノコに触れたり、重さを体感したりして、五感でキノコの多様性に触れてほしい」と話す。 生キノコが展示されている多目的温室には、つくば市内の公園で採取された直径約40㎝と巨大なニオウシメジや両腕で抱えるほどの大きさのミヤマトンビマイ、フランス料理の材料として知られるトリュフなどが展示され、その多様さに目が奪われる。 傷みやすいキノコを常時職員が採取した新鮮なものに入れ替えるため、展示される種類は日替わり。一日100種類以上、期間中ではのべ300種類にもなるという。 会場では、訪れた人たちが、キノコの傘をなでて「すべすべしている」と感想を話したり、目を閉じてゆっくり匂いを嗅いだりしながら、鑑賞を楽しんでいた。 また研修展示館1階では、キノコが登場する絵本や漫画など90冊以上を集めた展示コーナーを設置。それぞれのストーリーを紹介しながら、作中のキノコと実物の写真や標本を対比し、保坂さん自身が実際に作者に聞いたインタビューや、監修した図鑑の制作過程を紹介するなど、深く掘り下げた内容になっている。 同館2階では、武井さんら5人の作家によるアート作品や、同園主催の「きのこ画コンテスト」の応募作品270点も展示している。(大志万容子) 同展は9日まで。開園時間は午前9時~午後4時30分、入園料は大人310円、高校生以下は無料。詳細は同園ホームページ:http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2017/10kinoko/index.html

「私の髪の毛使って」 2年伸ばして31㎝、記者が寄付

出来る範囲で社会貢献したい。何かボランティアをしてみたい。そんな人には「ただ髪を伸ばすだけ」でボランティアができるヘアドネーション(髪の寄付)がお勧めだ。2年間、髪の毛を伸ばし続けてきた記者も、ついにそのときを迎えた。 2015年、記者は全国紙の記事でヘアドネーションを知った。抗がん剤の副作用や無毛症など頭髪の悩みを持つ子どもに、医療用ウイッグ(かつら)を作るため、長く伸ばした髪の毛を無償で提供するというもの。人毛の自然なウイッグは、見た目だけではなく、心まで癒やしてくれるという。 しかし人毛のウイッグは10万円からと値が張り、気軽に購入出来ない。一つのウイッグを作るには20~30人の髪の毛が必要で、さらに髪を均一にするための化学処理に約半年~1年はかかる。そのため最長2年の順番待ちが出てしまう。ウイッグに使える髪は、31㎝以上の長さがあること。ドナーの国籍、性別、年齢は関係ないが、引っ張ると切れてしまう髪は使えない。男性ドナーも1割いるという。 提供方法は①自分でカットして受け付け団体に送る②行きつけの美容室でカットした髪を持ち帰り、自分で送る③ヘアドネーションに賛同する美容室でカットし、美容室から団体に送ってもらう―の3つだ。②はお気に入りの美容院でカットできるメリットがあるが、自分で送るのが多少面倒になる。一番気楽にできるのは③の賛同美容院でカットしてもらうことだ。美容院によっては料金の割引特典もあるので問い合わせをお勧めする。  記者は2年間髪を伸ばし、この9月で規定の長さに達した。さっそく賛同美容院の一つ、つくば市天久保の「Hair-makeまぅるる」を訪れた。オーナーの「とまと」さんは「美容師でもヘアドネーションのことを知らない人は多いんです。私もお客さんから聞きました」と話す。自身もドナーの一人だ。   まず最初に、どの長さまで切って好みのヘアスタイルにするかをスタイルブックを参照して決める。なのでドナーは、残したい髪の長さに31㌢を足した長さまで伸ばす必要がある。スタイルが決まると髪の毛を4等分に束ねてカットする。切り取った髪の束を持つと、体の一部だった時には感じなかった重量感があり、不思議な感覚を覚えた。 髪を伸ばすのに要する日数は個人差が大きい。記者は髪を伸ばした経験がなかったためストレスも大きかった。抜け毛の多さと、長い毛が家の中に落ちている光景には正直閉口した。シャンプーは短髪の時より3倍の量が必要で、時間も3倍かかった。普段エコ生活を目指している記者には反エコなのもストレスになった。しかし髪を提供し終えた時には、短髪の頭と共に体中に清々しさが広がった。「頭髪で苦しむ子どもが一人でも多く笑顔になれれば良いな!」と心で念じつつ美容院を後にした。(文=鈴木萬里子 写真=大志万容子) ◆ヘアドネーションの受け付け団体は海外を含めいくつかある。その一つが2009年に設立されたNPO法人「Japan Hair Donation&Charity(JHDAC=ジャーダック)」だ。JHDACのつくば・土浦の賛同美容室は以下の通り Hair-make まぅるる つくば市天久保2-11-8 ☎029-858-0255 -SERA- つくば市酒丸286-1 ☎029-847-7708 artisanale つくば市小野崎591-1 ☎029-869-9610 chouette つくば市筑2398-13 ☎029-879-7787 美容室poco.a.poco つくば市天久保2-10-20 ☎029-851-3749 IRIS つくば市二の宮2-17-12アルミックビル2F ☎029-869-6230 GIORICH HAIR 土浦市木田余東台2-4-12 ☎029-824-3536 髪工房 土浦市西根南3-7-1 ☎029-842-8682      

ごみ出しは命がけ 横断歩道なし、渋滞県道向こうの集積所へ

「住民はごみを出すのに命がけなんだ」 そう語るのは、つくば市茎崎地区の小茎区会を束ねる小泉茂区長(68)だ。 小茎は、つくば市に編入する前の旧茎崎町役場が置かれた集落で、純農村地帯の中心だった。集落を横切る県道46号(片側1車線)はかつて生活道路だったが、周辺都市や都心へと向かう車が激増し、朝夕の通勤時間は慢性的に渋滞が発生している。 一方で、赤信号に捕まらなければ車はスピードを上げて通り過ぎていく。 こうした渋滞は、「朝8時まで」と決められたごみ出しの時間と重なる。それはまさに、小泉区長がいう命がけのごみ出しとなる。 小茎区会のごみ集積所は県道沿いの小茎農村集落センター脇にある。約150世帯の区会中、50世帯は集積所側にあるが、100世帯は国道を挟んだ反対側に位置する。安全に国道を横断するには約100m離れた茎崎農協前の信号まで行き、横断歩道を渡って集積所まで戻るしかない。 実際には車が途切れたときか、渋滞している車の間を縫うようにして県道を横断している住民が多い。集落の大半が2世帯同居世帯で、人数が多い分だけごみの量も多く、ごみ袋が重たいので回り道をしたくないという意識が働くからだ。特に足腰の弱った高齢者にとって遠回りは負担が大きい。 「先日は、左手にごみ袋を下げ、右手を上げて渋滞している車の前を横切った住民が、左からスピードを出して走って来た車と接触しそうになったことがありましたよ」と小泉さんは話す。 朝7時には渋滞するため、6時前にごみを出す人もいる。小泉さんは横断歩道があれば、とも考えた。だが、横断歩道の新設は、警察庁の交通規制基準に基づいて概ね200m以上の間隔が必要となる。現在は茎崎農協前に横断歩道があるため、集落前への設置は諦めたという。 通学路の安全対策で使う横断旗のように、せめて「ごみ出し横断中」の旗を作れないかどうかなど、小茎の住民が安全に暮らせるように思案している。 「区長を引き受けたからには諦めずに改善策を見つけたい。死傷者が出てからでは遅いし、一生後悔する」。小泉さんは語気を強めた。 (橋立多美)  

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