水曜日, 5月 15, 2024
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将来はプロ棋士に 小中学生が熱戦 筑波大将棋部主催

筑波大学将棋部が主催する「つくば小中学生将棋大会」が11日、つくば市吾妻のつくばイノベーションセンター大会議室で開かれた。小学4年生から中学3年生まで32人が、盤上で熱戦を繰り広げた。 午後1時から始まった大会では、初心者リーグと上級者リーグに分かれ、スイス式トーナメントで4局対局が行われた。参加者は真剣な眼差しで、一手一手駒を進めた。上級者リーグで優勝した明石晃英さん(松戸市立馬橋小6年)は「危ない局面もあったので、勝ててよかった」と喜びを語り、「将来はプロ棋士になって活躍できるようになりたい」と目を輝かせた。 大会終了後はエキシビジョンマッチもあり、上級リーグ1~5位の参加者が将棋部員と対戦を楽しんだ。 大会は「つくばで子どもたちが将棋に触れ合える場を作りたい」と将棋部の学生らが企画し、今年で4回目。この日運営にあたった将棋部員はOB合わせて15人。部員の小野元さん(21)は「年々参加人数が増えて、やりがいを実感できるようになった」。部長の小山寛人さん(21)は「活動を地域に還元できていることに意義を感じる。大会の知名度が広がり、県外からの参加者も増え、価値ある大会になってきたと実感している」と話した。 ◆上級者リーグ入賞者(敬称略) 優勝:明石晃英(松戸市立馬橋小6年) 準優勝:雪野倖太郎(文星芸術大学附属中2年) 3位:前田優斗(墨田区立柳島小4年) 4位:石上雄一朗(石岡市立杉並小5年) 5位:青柳賢治(守谷市立守谷中1年)

《土着通信部》18 「地学」を選びたかった君へ 18日に公開講座

【コラム・相沢冬樹】筑波山地域ジオパークが認定されたころ、地球科学を専攻する筑波大学の学生に「最近の受験では、理科で地学を選択しやすくなったのか」たずねたことがある。「いいえ難しいっす。地学で受験できる大学は限られているし、今でも教える高校は少ない。自分も履修できなくて、入試は物理と生物で受けました」。 僕は大学入試センター(共通一次)試験が始まる前の世代だが、学校教育での地学の扱いにずっと納得いかなかった。理科4科目のなかで、物理、化学、生物に比べ地学だけが冷遇されてきた。しかし、天文(宇宙)、地質、地球物理、気象の4分野にわたる地学には、興味を惹くテーマがそろっている。「理科離れ」が叫ばれて久しいが、高校で地学を選べたなら事情はだいぶ違ったろうと思えるのだ。 微積分に歯が立たず、文系に進んだ僕も、社会に出てからは折にふれ理系との接触が刺激となった。高エネルギー加速器研究機構の一般公開をのぞいたり、筑波山周辺のジオサイトをめぐるトレッキングに出かけたり…、つくばはその機会にこと欠かない。 挙句に僕は、総合科学研究機構(CROSS、横溝英明理事長)という一般財団法人に身を寄せた。文系・理系にまたがるサイエンスをカバーして、クロスは「文理融合」の意味となる。格調高く総合科学を冠するも、足場は発祥の地元に置くのがユニークだ。 つくばの産学官連携に取り組もうとCROSSと称してちょうど20年、この間ずっと本部は土浦市内にあった。2011年からは東海村の加速器施設J-PARCにある中性子ビームラインの利用促進を業務の主力にしている。 太陽系と地球誕生の謎に迫る その財団が地域社会との交流機会に設けているのが市民公開講座で、今年の「CROSS2018」は18日(土)午後1時から開く。会場は筑波銀行つくば本部ビル(つくば市竹園1丁目)10階大会議室、開催タイトルを「太陽系と地球誕生の謎に迫る」と打ち出した。 「地球外物質から探る太陽系の誕生と天体進化」三河内岳(東京大学総合研究博物館教授)、「チバニアンと地質時代」岡田誠(茨城大学理学部教授)の2講演が予定されている。ともに地学ファンには聞き逃せないテーマである。 遅れて地学の徒となった僕は、千葉県市原市にある「チバニアン」の地層を訪ねたりした。地質時代境界の「千葉セクション」は日本最初の国際標準模式地候補となり、地質時代名称として「チバニアン」が提唱されている。その研究チームの代表が岡田氏で、講演では地質学から地球の歴史に迫り、地磁気逆転や氷期―間氷期の変化などの話をするということだ。(ブロガー) ▽CROSS2018:入場無料。問い合わせ・事前登録は電話(029-826-6251)かメール(tsukuba@cross.or.jp)でCROSS事務局まで

《茨城の創生を考える》5 つくばに情報科学大学を:提案1

【コラム・中尾隆友】前回のコラムでは、茨城が元気になるための政策を3つ提案したが、「NEWSつくば」という媒体でもあるので、今回から、つくば市がさらに輝くための提案を数回に分けて申し上げたい。 1つめは、情報処理能力の育成に特化した「情報科学大学」(仮称:市立の専門職大学あるいは単科大学)をつくることだ。経済のデジタル化が進むなかで、ビジネスの現場では膨大なデータの活用を考えるAI技術者が不足している。現在、横浜市立大学や滋賀大学などがAIに精通する人材育成を目的とした学部を新設し、志願者が殺到しているという。しかしこれらの大学に、地方創生という観点から学部を新設したという発想が見受けられないのは残念なことだ。 情報科学大の新設の目的は、大企業が欲するAI人材を教育し供給する条件として、つくば市に大企業の本社機能の一部または研究所を移転してもらうということだ。その過程では、大学は複数の大企業と提携関係を構築し、共同研究や人材交流などで結びつきを強めることが有効だろう。その成果として、大企業は研究に没頭できる環境と人材の採用の双方を獲得する一方で、つくば市は将来の良質な雇用確保と優秀な若者の定住を実現できるというわけだ。 当然のことながら、専門職大や単科大をつくるために、最初からそのすべてを地方の財政で賄うというのは無理がある。だから地方自治体は、淘汰により廃校になった大学・高校や不要になった施設などを改修・刷新することで再利用するという選択肢を持つべきなのだ。そのうえで、つくば市には有望な候補地が何カ所かあることも忘れてはならないだろう。 大企業誘致と大学振興 前回述べたように、IT企業を中心に本社機能の移転需要は確実にあるのだから、つくば市は東京に近いという利便性や生活・教育環境の充実といった強みを発揮し、多くのIT企業を誘致できるポテンシャルを持っている。おまけに、市には運動公園用地として購入した46㌶の遊んだ土地がある。この土地を無償で貸すなどして、移転のインセンティブを強めることもできるはずだ。 これに対して、筑波大学でAI人材を育成する学部を新設すればいいのではないかという意見が出てくるかもしれない。たしかに、筑波大が協力してくれるのであれば、理想的な流れであると思う。ただし、筑波大が市と協力して地元の活性化を目指す方針を共有できるのかという難題をクリアしなければならない。また、そうでなければあまり意味がない。 いずれにしても、私が強く願うのは、つくば市が地域の特色や強みを分析・可視化したうえで、「大企業の誘致」と「大学の振興」を組み合わせた施策を進めてもらいたいということだ。やはり、相性の良い施策を組み合わせてこそ、相応の効果を発揮することが期待できるからだ。 つくばはシリコンバレーの街並みに似ているといわれるが、AIやIT、IoT関連の企業が集積する日本版シリコンバレー「つくバレー」を目指すのもおもしろいだろう。もし行政が本気で取り組みたいのであれば、私も惜しみなく協力させていただきたいと思っている。(経営アドバイザー)

忘れられた化石は謎多き海の哺乳類と判明 筑波大で60年保管

【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)の古生物標本収蔵庫に60年間以上保管されていた骨の化石が、1千万年前に絶滅した謎の多い海の哺乳類「パレオパラドキシア」であることが分かった。国立科学博物館地学研究部(つくば市天久保)の木村由莉研究員と、同大生命環境系の上松佐知子准教授らが26日、記者会見し発表した。 化石は右後ろ足の大腿(だいたい)骨で、筋肉の付着面が分かるなど保存状態がとても良いことから、今後、当時の生活や他の生物との関係などを解明する手がかりになると見られている。保存状態が良好なパレオパラドキシアの化石は国内で2例目という。 1950年代前半に前身の東京教育大学の教員に預けられた標本で、木箱に入ったまま保管されていた。当時は別の哺乳類と鑑定され、そのまま忘れられていたという。 大学の標本管理方法の調査をするため昨年6月、同収蔵庫を訪れた木村研究員が、木箱に入った長さ約30センチ、重さ約1キロの未登録の骨の標本を見つけた。骨の特徴から束柱類(そくせきるい)という哺乳類の大腿骨と判断した木村研究員は、専門家による調査チームをつくって調査を開始した。 まず木箱に貼り付けてあったメモを手がかりに調査したところ、1950年代前半、福島市土湯温泉で砂防ダムの工事中に発見されたことがわかった。当時、現地では恐竜の骨とされ、ほかにも骨の化石が見つかっていたが、別の骨は1954年に同温泉で起こった大火で失われてしまったことも分かった。 さらに化石に付着していたジルコンという鉱物を分析したところ、1600万年前より新しい時代の化石であることが判明した。当時、東北地方は海の中だったという。 パレオパラドキシアは約2300万~1000万年前に北太平洋の沿岸地域に生息していた哺乳類で、名前は「謎めいた古生物」という意味。カバのような大きさで、発見された化石はやや小ぶりのものだという。 木村研究員は「パレオパラドキシアはジュゴンやマナティなどの仲間だという説とサイなどの仲間だという説があり見解が統一されていない。海の哺乳類は陸の哺乳類が海に入っていったものだが、なぜ海に入ったのか、どのように海に適応していったのかなどの解明に役立つ可能性がある」と話している。

推薦入試にビブリオバトル 筑波大 知識情報・図書館学類

【田中めぐみ】筑波大学(つくば市天王台)情報学群知識情報・図書館学類は今年11月の推薦入試から、ビブリオバトル方式の面接を導入する。大学入試にビブリオバトルを導入するのは全国でも初の試みだ。 ビブリオバトルは、参加者が読んで面白いと思った本を順番に紹介し合い、最後に一番読みたくなった1冊(チャンプ本)を決めるコミュニケーションゲーム。近年では小学校から大学院まで、コミュニケーション能力を向上させる方法の一つとして授業などで導入されている。 同学類の募集定員は100人で、そのうち推薦入試は40人。ビブリオバトルの面接試験は1グループ4~6人の受験生で入室し、公式ルールにのっとって本のプレゼンテーションと質疑応答を行う。どのようなジャンルの本を選んで紹介するかは受験生に任されており、漫画や時刻表などを選んでもよいという。チャンプ本はグループの受験生の投票によって決められるが、チャンプ本になるかどうかは評価にはかかわらない。 同学類は昨年までの推薦入試で個別面接を実施してきた。しかし受験生は面接に向けて入念な準備をしてくるため、評価で差がつきにくい状況となっていたという。ビブリオバトルは、5分間の本の紹介を事前に準備できるが、質疑応答では臨機応変な対応力が必要となる。本の紹介からは表現力や論理性などによる説得力、質疑応答からは判断力や質問力、他者とのコミュニケーション力など、受験生を多角的な視点で評価することが可能だという。通常のグループディスカッションでは、発言権が得られなければアピールすることもできないが、ビブリオバトルでは各々5分の紹介時間が与えられるため、試験の公平性も高くなるという。 同学類は、インターネットや図書館など知識共有の仕組みの企画・運営やそれを支える情報システムについて学び、知識や情報の蓄積・流通の成り立ちやシステムのあり方を探求する。膨大な情報があふれる昨今、それらの情報をどのように収集、保存し有効活用するのか、包括的に学び、研究していくことが使命という。研究分野は政策、法律から情報システムまで多岐にわたり、幅広い視点を持って専門外の分野についても主体的に学んでいく姿勢を求めている。 歳森敦学類長は「文系、理系の枠に縛られず勉強してほしい。文系だから、理系だからと自分の能力を限定してしまうのではなく、教科を横断した視点を持ってほしい」と受験生にエールを送る。 同学類は一般入試や推薦入試の他、AC入試(自己推薦に基づく選抜)、国際バカロレア(大学入学資格が与えられる海外の教育プログラム)特別入試など様々な受験方式を設けることで、多様な能力、資質を持つ学生を幅広く受け入れる。 *ビブリオバトル公式ルール 1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。 2.順番に一人5分間で本を紹介する。 3.それぞれの発表の後に参加者全員で発表に関するディスカッションを2~3分行う。 4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを「チャンプ本」とする。 (知的書評合戦ビブリオバトル公式ウェブサイト http://www.bibliobattle.jp/ より引用)

《好人余聞》 9 「こんな竹の筒に惚れてしまったんですね」渡辺大輔さん

【コラム・オダギ秀】人生という旅の途中で出会った人たち、みんな素敵な人たちでした。その方々に伺った話を、覚え書きのように綴りたいと思っています。 「あの日、あのバス停に立っていなかったら、ボクは違う運命を辿ることになったのかも知れません」 筑波大学の木立の中のバス停に、入学試験を終えた18歳の少年が佇んでいた。そこに、彼が聴いたことのない音とメロディが流れて来る。彼はその楽器を見たこともなく、名前も知らなかった。けれど奏でられるその音楽に打ち震え、心惹かれて、人生を変えることとなった。 少年は、20年前の渡辺大輔さん。つくば市に住むケーナ奏者だ。渡辺さんが、アンデスの楽器ケーナと初めて出会った瞬間だった。いま彼は、ケーナのプロの演奏家となっている。その切っ掛けとなった瞬間だった。 「それまでも音楽が好きで、X-Japanやら久石譲さんに惹かれていたんですが、これと言う楽器に出会えなかった。でも、バス停で聞いた音とメロディに、これだ、と思ったんです。大学に入ると、その演奏していた人たちを1ヶ月ぐらいかけて探し、そのサークルに入りました。そこでケーナという楽器を知り、曲がリャキルナ(悲しい人)と言うのを知りました」 大学を卒業し、渡辺さんは市役所に勤めた。だが、ケーナへの思いは、ますます強くなっていたのだろう。公務員になって2年過ぎたころ、ケーナのプロの演奏家になりたいと、両親に告白する。 「渡辺家始まって以来の大修羅場になりましたよ。ケーナの演奏家なんて、どうなるかもわからない。とんでもないと母には泣かれ、父には怒られ、散々でした。 「そんな気持ちを抱えながら、公務員の仕事は精一杯やりました。それなりに充実し、よくやっていたと思います。でも、勇気を出せば、ケーナという楽器で、自分を表現出来る幸せな人生を歩めるかも知れない、という思いは捨てられなかった。で、とうとう市役所職員8年目を終える時に、勘当されてもいいという覚悟で、親に電話したんです。すると、こちらから言い出す前に、お父さんもお母さんも応援するよ、と言われたんです。気持ちを判ってくれていたんですね」 渡辺さんがケーナと出会って、15年が過ぎていた。公務員を退職し、以来、ケーナ演奏家としての渡辺さんの活躍は目覚ましい。 人生を切り開く情熱は、バス停に立たなくても、いつでも何処でも誰にでも、湧き上がるのかも知れない。情熱は自分で作るものだ、渡辺さんと話していると、そんな気がしてくる。(写真家) ・公式ブログ「渡辺大輔ケーナ日記」 https://ameblo.jp/dai-quena/ ・YouTube動画『リャキルナ』 https://youtu.be/Z_i0A6g4zJg ・YouTube動画『木枯らし(旧・風の詩)』 https://youtu.be/8CAuYaQxVh0

つくばで小中学生将棋大会 8月11日 参加者募集

【大志万容子】筑波大学将棋部が主催する「つくば小中学生将棋大会」が8月11日、つくば市吾妻のつくばイノベーションセンター大会議室で開かれる。現在、参加者を募集している。 同大会は年1回開かれており、今年で4回目。放課後の小学1~3年生を対象にボードゲームで交流を図る市内のサークル「つくばボードゲーム愛好会」で、子どもたちに将棋を教えている同将棋部の学生らが企画した。 「つくばには小中学生向けの将棋教室がない。子どもたちに将棋に触れ合う場を作りたいというのが狙い」と同部長の小山寛人さん(21)。藤井聡太七段の活躍もあり、最近は将棋のやり方や技を教えてほしいという子どもたちの熱意も高まっているという。 小山さんは「今年は参加枠を24人から32人に増やした。皆さんの応募をお待ちしています。一緒に将棋を楽しみましょう」と参加を呼びかける。 ◆将棋大会は小学4年~中学3年までが対象、形式はスイス式トーナメント。事前申し込みが必要(定員32人、先着順、市内外不問)。参加費は1000円(当日集金)。当日は午後0時30分に受け付け、同1時から対局開始。同大会HPのフォーム(https://tsukubashogi.github.io/Tsukusho2018/about.html)から申し込む。問い合わせは、同将棋部(メールtkb.shogi@gmail.com)、HPは(https://tsukubashogi.github.io/Tsukusho2018/index.html)。

《留学生エッセー》11 文化のニュアンス、理解すること大事

国際別科※ アイムベゴヴ ニヤズ ニヤズと申します。名前がちょっと難しいから、他の人たちから「二さん」と呼ばれています。35歳です。半年前、妻が筑波大学に入学したので、家族とカザフスタンから来日して、つくば市で暮らしています。以前、会計会社で10年間、ITサービスデスク長の仕事をしていました。その前、カザフスタンの日本センターで働いていた時、日本に興味があったので、日本語を2年間勉強しました。10年後の今、それがすごく役に立ったと思います。 でも、日本に来て、文化と日本語をもっと学ぶと、日本語能力がまだ低いことを実感します。日本に来たばかりのときに経験した言葉や文化の問題について紹介します。 ■「園長」?「延長」? 私は娘を保育園に預けています。あるとき、ディレクター(責任者)さんに相談したいと思いました。職員の人からディレクターは日本語で「えんちょう」と聞きました。そのすぐ後、つくば市立中央図書館に行って本を返そうとしたら、そこの職員から「えんちょうしますか?」と聞かれました。 「どうしてまたディレクターさんの話が出るのだろう?」と不思議に思い、「いいえ、えんちょうさんはいりません。本だけ返します」と答えました。その後、バス乗り場でスマホの辞書を調べて初めて、保育園の「園長」と本の貸出の「延長」の違いがわかりました。 ■「見送りの文化」にびっくり ほかには文化の話もあります。ある日、家族と「キュート」の店に行き、サプリメントを買ってお金を払いました。店員さんが商品を袋に入れたので、袋をもらおうと妻が手を出しました。すると、袋を差し出しそうとした店員さんは急に気が変わったように、私達の袋を手に出口の方に走り出したのです!それを見た妻と私は呆然。「やばい!店員さんが私たちのサプリを持って逃げている!」という思いが一瞬頭をかすめました。 しかし店員さんは出口の前で私達を待ち、袋を渡してくれたのです。妻と私は安心しました。これも、店員が買ったものを出口まで運んで、見送ってくれる日本の文化と知りました。 ■技術だけでなく態度も大切 現在、私は日本の運転免許をもらうために、自動車教習所に通っています。はじめは1カ月で免許が取れると思いましたが、3カ月かかってしまっています。理由は、日本の運転免許をとるための試験は大変難しいからです。 教習所の先生が教えるのは、運転技術だけではなく、試験を受けるときの態度もです。例えば、試験を受ける前と後には挨拶をしなければなりません。私はおそらくそれが分かっていなかったので、仮免許をとるのに4回もかかってしまいました。 日本で楽しく住むためには、日本語で話す能力だけでは足りません。読み書きができることに加えて、文化のニュアンスを理解しようとする姿勢を持つことが大事です。   ※国際別科:外国人が中級から上級の日本語を集中的に学ぶための筑波学院大学の特別な1年間のプログラム。

記者が体験 ヨガでストレス軽減を実感 筑波大

【田中めぐみ】筑波大学(つくば市天王台)は、人間の身体活動能力を最大化するための次世代健康スポーツ科学を推進している。その効果的な方策の一つとして、2015年から同大学院の共通科目にヨガコースが開講した。院生たちは自分の研究テーマに向かい合い、さまざまなプレッシャーと戦っているが、生活にヨガを取り入れることでストレスが軽減しているという。6月3日と11日に同大武道館で開かれた社会人向けヨガ講座を記者が体験した。この講座は、同大のスポーツ・オリンピック学専門プログラム「つくば国際スポーツアカデミー(TIAS)」が社会貢献事業の一環として開催している。 ヨガはストレスやプレッシャーを切り抜け、平常心を取り戻すための心身技法だ。担当教員の一人である農学博士ランディープ・ラクワール教授によると、毎年ヨガコースの受講希望者は定員を超えキャンセル待ちの状態。教室は学生でいっぱいになり、ニーズの高さを感じているという。 研究成果を地域に還元 同大では、研究で得られた成果を広く社会に還元することを目指している。ランディープ教授は学生たちのヨガへの関心の高さを知り、16年から一般の参加者も受講できる「みんなのヨーガ」クラスを開講した。講師は長年ヨガや呼吸法指導、ヨガの科学的研究に携わってきた高橋玄朴講師。講座は深遠なヨガの思想について解説する講義とヨガの実技合わせて各回3時間ほどで、今年度は7月15日まで開講している。 講義のテーマは毎回異なっている。3日の講義は「東洋心身思想の特徴とその広がり」。高橋講師によると、座禅や気功、武道とヨガには共通する特徴があり、それは姿勢を整える(調身)、呼吸を整える(調息)、心を整える(調心)ということだ。日本の「道」(蹴鞠、能・狂言、武道、茶道など)にも共通する心身技法があるという。 ラクワール教授は「大学発の講座である以上、アカデミックな内容であることを重視している」と言う。専門的で難解な部分もあるが、講義後には高橋講師やラクワール教授に自由に質問することもできる。 寝不足でこわばり 脱力体操でほぐれる 講義は1時間ほどで終わり、短い休憩の後いよいよ実技だ。高橋講師の指示に従いながら、まずは体をほぐす脱力体操から始める。前の週に忙しかったこともあり、1週間まとまった運動をしていない。前夜は寝不足気味で少しだるさがあった。しかし、力を入れては抜くという運動をじっくり繰り返しているうちに首のこわばりや肩の緊張が取れてきた感じがする。 外は緑いっぱいで気持ちの良い快晴。静かな中、武道場で試合する人たちの掛け声や鳥の声、葉擦れの音が遠く聞こえる。ゆったり流れる時間が心地よい。時間をかけて体を伸ばし呼吸を続けるうちに、浅かった呼吸がだんだん深くなり、たくさん息を吸い込めるようになってきた。その分吐く息も長くなる。もともと体が硬く、先生のようにはできないポーズも多いが、気にせずに体が心地よく伸びるのを味わう。 雑念ばかり 10まで数えられない! 実技前の講義で、仏教の行のやり方である「数息観(すうそくかん)」について習った。1から10まで数を数えながら呼吸をし、最後までいったらまた1に戻る、間違えたらまた1から数え直すというものだ。高橋講師の指示で始めるが、これがなかなかうまくいかない。数を数えていても仕事の事ばかり頭に浮かんでは消え、何度やっても10まで数えられない。「あっ、また雑念だ」と思ってやり直すのだが、無心になることがこれほど難しいとは。日ごろどれだけ雑念ばかりで生活しているのかを思い知った。 その後指示で、自分にだけ聞こえるように「んー」と言いながら瞑想をする。「無字観(むじかん)」という技法だ。すると、自分の声の響きに集中するせいだろうか。雑念が減った。不思議な感覚だ。しばらく「んー」と言い続けることだけに集中し、その後先生の指示で止めると、なんとも言いようのない穏やかな静寂が広がる。明鏡止水の心境。とても気持ちの良い感覚だ。 不安消え目の前シンプルに 初心者にも取り組みやすく手順を踏んだ瞑想のやり方は、高橋講師が大学院の学生のために考案したものだという。静かな心の状態をゆっくりと味わった後、仰向けのポーズになってゆったり呼吸し、伸びをして起き上がる。 ヨガをやる前に感じていた「あれもこれもやらなくては」という焦燥感や漠然とした不安感が消え、目の前の仕事がシンプルに映り、やるべきことの優先順位が明確になった感じがする。本来各々が持っている力を最大限発揮できるようにするというヨガの効果を記者も実感することができた。

《映画探偵団 》8 市街地ヴィジョン(案)の裏を読む

【コラム・冠木新市】5月20日(日)、つくばイノベーションプラザで『つくばまちづくりシンポジウム―中心市街地のヴィジョンを考えよう―』(つくば市主催)が開催された。若い女性は少なかったが、場内は100人で満席だった。知人は、市職員が多いと言っていたが、市民活動家や市議の姿も目立った。 配布資料は「つくば中心市街地まちづくりヴィジョン(案)世界のあしたが見えるまち」というA3用紙1枚。そこには「リラックス×遊び心」「科学技術の恩恵×新たな価値の創造」「ローカル×持続可能性」の3項目の下に、<イメージ>として、それぞれ5つの願望と小イラスト5点、計15のカットがあった。選挙公約風の印象で具体的な内容はなかった。 五十嵐立青市長は「このヴィジョンは第1段階です。第2段階は目標設定と戦略、第3段階はマスタープラン発表となり、実行は秋ごろから」と語っていた。2017年7月にまちづくりアドバイザーが就任して、ほぼ1年が経過した。本当にこれだけなのか。何か裏があると思えてならなかった。 今年、開業35周年記念を迎えたオークラホテルのパンフチラシ『オークラつくば』(vol.27)には、『お祭り騒ぎスケジュール』として、来年3月までのレストランとイベントの企画が目白押しで載っている。 さらに「2019年もつづきます!」とのコピー。また、地元団体とタイアップして新たな行動計画策定中とあり、筑波大学応援イベント企画、社会貢献活動が具体的に示され、意気込みが伝わってくる。6月中にアイアイモールの最後の飲食店「一成」も閉店予定の中、応援したくなるヴィジョンとなっている。 スピルバーグ監督「未知との遭遇」 ヴィジョンで思い出すのは、スティーブン・スピルバーグ監督の作品『未知との遭遇』(1977年公開)である。UFOを目撃した市民が一様にあるイメージを受け取る。1人の女性は、そのイメージを何枚もの絵に描いていく。それは巨岩のような山のような奇妙な形である。後で、デビルズタワーという実在する岩山だと分かる。そのイメージに突き動かされて市民が岩山めざして集まってくる。ヴィジョンとは人々の行動を刺激するものである。 自分だったらヴィジョン(案)をどう表現するか考えた。人は謎を好み得体の知れないものに興味を抱く。松見公園の展望塔、エキスポセンター、ノバホール、筑波銀行前の時計台、さくら大橋、大清水公園、国際会議場などに隠されたピラミッド群をイラスト化し、説明を省略してヴィジョン(案)とするだろう。 後日、団員たちに市の配付資料を見せて感想を求めたところ、口の悪い団員が「餡(あん)のないアンパンですな」と返ってきた。 私はハッとした。今回のヴィジョン(案)は内容の無さをさり気なく隠し、発表と実行を先延ばしすることで市民の心を刺激、まちづくりへの参加へと誘導しようとしたのではなかろうか。そうだとしたら、遊び心に満ちた凄いヴィジョンと言えるかも知れない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

【ひと】心地良い空間で地域を元気に パブオーナー 松島壮志さん

【鈴木康平】つくば市天久保のリッチモンド2番街にあるパブ「フィンラガン」は、連日深夜まで多くの客でにぎわう。 オーナー、松島壮志さん(46)は筑波大学体育学群入学後、アルバイトでバーテンダーの世界に足を踏み入れた。同大学近くのバーの副店長を任され、カウンターの内側で多くの時間を過ごす学生生活だった。「一流の世界を見たい」と都内の店にも頻繁に足を運び、技術を学んだ。「興味の先へ突き進んでいく性格」と自身を分析する。 大学を卒業後、アルバイト先の店舗にプロのバーテンダーとして職を得た。当時ウイスキーの虜(とりこ)になっていた松島さんは「ビンテージや価格帯、豊富なバリエーションなど奥深い世界を好きになった」と話す。バー仲間から言われた「一度、本場を見なくてはだめだよ」に背中を押され、26歳の時ウイスキーの本場スコットランドへ単身旅立った。 同国各地に点在する蒸留所を巡った旅。しかし、当初は松島さんが思っていたのとは違うものだったという。「日本で飲んでいないものは無いくらい飲んでいたから、初めはたいしたことないと感じていた」。しかし旅が進むにつれて、「パブ」という街の酒場に心引かれてゆく。 「バーの世界は酒に対して真摯に向き合う、緊張感のある世界」と旅立つ前の環境を回想する松島さん。一方、パブはパブリックスペースの略語で誰の管理下でもない、自由でリラックスした雰囲気を大切にする。「時には何も飲み食いせず、話すだけで帰る人もいた」ことに衝撃を受けた。この出合いが、後の「フィンラガン」の原点につながる。 帰国後、29歳の時に独立してオープンした同店。スコットランドで出合ったパブを再現するため、松島さんの思いが形になった店内は、立ち飲みを想定した背丈の高いカウンターやテーブルが並ぶ。15種類のクラフトビールに自然派ワインやモルトウイスキーなどお酒と料理の会計は、「好きな時に出入りして欲しい」と、受け取る際に料金を前払いするキャッシュオン制を採用している。 クラフトビールの仕入れは「実際に飲んで、作り手に会って話す」過程を大切にする。原料のホップが収穫される時期には農園に出向いて手伝い、作り手との関係を深めた。客に提供する時も、「思いが詰まったビールを最高の形で出したい」と機材から注ぎ方まで細部に渡ってこだわってきた。 同店は今年で17年目。松島さんが掲げるのは「元気」というキーワードだ。「今までは良いお酒や料理など『モノ』を売ってきたが、今後は元気を出す『場作り』もしていきたい」。4月からは毎週水曜日に、市内に住む外国人との交流を目的としたイベント「TGIフィンラガン」を開催。今後も自身の趣味であるランニングとビールを活かした「Run for BEER(ラン・フォー・ビア)」など、新たな場作りに力を入れる。 日の暮れた頃、大学や仕事帰りに杯を片手に明日への元気を充電するお客さんを迎えるため、松島さんは今日もカウンターに立つ。 ◆ブラッセリー&バー「フィンラガン」はつくば市天久保2-9-2、リッチモンド2番街B-203。営業時間は月~土曜の午後6時30分~午前3時。日曜は午後3時~午後11時。電話029-852-0244。 ブログhttps://blogs.yahoo.co.jp/finlaggan0220 twitter https://twitter.com/barfinlaggan?lang=ja

経年劣化しボルト破断が原因 筑波大渡り廊下屋根崩落事故

【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)で昨年12月10日、教室がある建物と建物の2階部分をつなぐ連絡通路(渡り廊下)の屋根が崩落した事故で、同大は24日、原因は経年劣化により、建物のコンクリートに打ち込んで屋根を固定していたボルトがさびて腐食し破断したためと発表した。外部の専門家を加えた特別チームを設置し事故原因を調査していた。 崩落した屋根は42年前の1975年に建設された。鉄骨造、長さ約17.5m、幅約4.5m、重さ約13.6tで、2つの建物と両側20本のボルトで固定されていた。普段は学生が渡り廊下を歩いて教室を行き来しているが、事故時は日曜日のため学生がおらずけが人はなかった。 さびた原因は、長年にわたって雨水が直接かかり腐食したという。事故前からすでに破断していたとみられるボルトや、細くなっていたボルトもあり、屋根の重さを支えきれない状態になっていたと考えられるという。この日氷点下2.3度を記録したため部材が収縮したことがきっかけになった可能性もあるという。 対策について、これまで目視により定期点検を行っていたが、ボルト部分は鋼板で覆われていたため、さびなどを確認することができなかったとした。一方、2004年に建物の耐震診断を実施した際、崩落した屋根については構造計算をしておらず、当時計算していれば事故を防げた可能性があったとした。 事故後、同大は、学内の渡り廊下77カ所の緊急点検を実施し、これまでに平砂宿舎の渡り廊下など計3カ所を撤去したり改修した。他に、崩落事故があった屋根と同様にボルトで固定されている渡り廊下が3カ所あることから、さらに点検を進めるとしている。 調査結果について永田恭介学長は「学内施設に対する安全性への信頼を低下させる極めて深刻な事故。今後同様の事故が発生することがないよう安全・安心の確保のため全力を尽くしたい」とするコメントを出した。

北京冬季五輪で採用目指す ヒト型ドーピング検査ロボット開発 産総研など

【富永みくに】スポーツ選手のドーピング検査の自動化を可能とするヒト型ロボット「まほろ」が23日、つくば市春日の筑波大学高細精医療イノベーション棟で報道陣に公開された。2022年の北京冬季オリンピックでの採用を目指して開発を進めている。 近年ドーピングは巧妙化し、禁止薬物を使用するのではなく、遺伝子操作を行った細胞を体内に注入する「遺伝子ドーピング」が行われるようになっている。従来の尿検査では検出できず、特殊な検査が必要となるため、国際オリンピック委員会(IOC)や世界反ドーピング機関(WADA)は、対策に頭を悩ませている。 産業技術総合研究所(つくば市)は、安川電機(福岡県北九州市)らと共同で昨年4月、ドーピング解析の自動化を目的としたプロジェクト「まほろプロジェクト」を設立。オリンピックなど世界的なスポーツイベントでの採用を目指している。 熟練者の動き再現 産総研創薬分子プロファイリングセンターの夏目徹センター長によると、「まほろ」には2本の腕と7つの関節が付いている。器具などを次々と持ち変えながら、液体を注入したり、遠心分離機を操作するなど一連の動作をこなす。熟練した検査員の基本動作を1台のロボットで再現した。 普段、検査員が使用している器具・機材をそのまま使える。さらに遺伝子検査は通常のドーピング検査に比べて検査工程が多く、髪の毛1本落とすことも許されないクリーンルームでの作業となるため、ロボットを活用することでさらに不純物の混合が避けられる。オリンピックなどの大会期間中、不眠不休で作業に当たることも可能。5年間24時間働き続けてもミスを起こさない性能を持っている。 リース価格は1台につき約1億円だが「人件費や開発費などを考慮すると数年で回収できる」と夏目センター長は話す。工程の追加・入れ替えをするだけでドーピング検査に限らず幅広い検査に活用できる。 当初、2020年の東京五輪での採用を目指していたが、公式的な作業手順の策定や、検査を行う研究所の設置などが間に合わなかった。夏目センター長は「スポンサーが見つかれば東京オリンピック中にもデモンストレーションをやってみたい。今は人の動作を完全にまねているが、いずれはAIを使って最適な動作が行えるようになる」と意気込みを語った。 https://youtu.be/XFhi8HNFOtA

2018年度つくば子どもと教育相談センター総会・記念講演

総会:13:00~14;20 議題 2017年度活動・会計報告 2018年度活動計画・予算計画 講演:14:30~16:30 「不登校・ひきこもりの理解と対応」(仮題) 講師:斎藤 環先生 筑波大学医学医療系教授 申し込み:事前申し込み。先着順で定員(90人)に達し次第締め切り。 申込み方法は、メールかファックス(所定の用紙を利用) 申し込み・ファックス用紙には、1.氏名(ふりがな)2.住所 3.連絡先電話番号 4.会員・一般の区別を記入。 問い合わせ先 029・858・2034(事務局)029・851・1952(一谷)029・856・5422(川西)      

地域でがんと向き合いたい 19、20日 つくばで「命のリレー」

【田中めぐみ】がん征圧・患者支援のためのチャリティーウォークイベント「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2018茨城」が19、20日の2日間、つくば市研究学園駅前公園で開催される。2011年から17年まで同イベントの実行委員長で、今年、副委員長を務める、つくば市に住む県がん検診推進協議会委員の宮本恭子さん(59)に運動への思いを聞いた。 宮本さんが運動を始めたのは2006年のこと。知り合いからボランティアスタッフを頼まれたことがきっかけだった。宮本さんは20代の頃に祖母をがんで亡くした。祖母の介護を手伝い、見送った経験を通し、がんの辛さや苦しさを知ったという。祖母を思い出し、がん予防啓発の手伝いができればとボランティアを引き受けた。 患者の笑顔に衝撃 祖母のイメージから、がんは怖いもの、辛いものと思っていたが、イベントを通じて知り合ったがん患者の女性は、余命いくばくも無いことを笑顔で宮本さんに告白した。宮本さんは衝撃を受けたが、女性は「泣いても笑っても死ぬのなら、笑っていた方が周りのみんなを幸せにできる」と語ったという。 女性の人柄にひかれ、ブログやメールを通じてやり取りを続けるうち、ぜひイベントの実行委員をやってほしいと依頼された。しかし、がんと向き合って活動することに怖さもあり、自信が持てず、返事を濁したまま時は過ぎた。 その後、よく知っていた少年が白血病で亡くなった。若い命が尽きるのを目の当たりにしながら何もできず、やるせなさを覚えた。生前「僕を覚えていてほしい」と言われた言葉が胸に突き刺さり、微力でもいいからできることをしようと決意を固めた。 2009年、宮本さんを含む5人の女性ボランティアが集まり、本格的に「リレー・フォー・ライフ茨城」がスタートした。以来、2010年からは毎年欠かさずチャリティーイベントを行っている。 毎年必ず開催 決して順風満帆なわけではない。2011年には東日本大震災でイベント開催が危ぶまれたが、茨城の被災を心配する支援者の善意もあって、開催にこぎつけることができた。 毎年1度は必ず開催したいと思うのは、参加したがん患者の人たちから「来年も楽しみにしている」という声を聞くためだ。「来年も必ずここで会おう」などと互いに約束をして、それぞれの生活に戻る。闘病は辛く苦しいが「来年も必ず」という希望に応えて必ずイベントを開催しなければという思いがある。 イベントではがんの当事者らと一緒に公園内を歩きながらがんについて語り合うほか、セミナーや体験談を語る「サバイバートーク」に参加してがんの知識を深めることもできる。アーティストによるパフォーマンスもあり、子どもから大人まで楽しみながら学べる内容となっている。 会場となる公園の遊歩道には希望の光「ルミナリエ」が灯され、様々な立場の人からメッセージが寄せられる。当事者の声、家族や友人、医療従事者からのエール、亡くなった人への追悼など、多くの思いが沿道を照らす。イベントは、当事者のみならず、家族や友人、医療従事者などが共感し合い、情報交換する場になっている。 イベントを通して集まった寄付金は、患者支援やがん医療の発展、がん検診の啓発など、がんに負けないまちづくりに役立てられる。 つくば市は2006年に日本で初めてトライアルイベントが行われた地であり、「リレー・フォー・ライフの聖地」と呼ばれている。宮本さんは、運動の火を消さないように、今後も携わっていくつもりだ。2010年には来場者は300人ほどだったが、昨年は2日で延べ約1700人が来場するほど大きな運動の輪となったという。 ◆19日は正午から受付開始、20日正午までの開催。つくば市役所第3駐車場がイベント参加者のために開放される。詳しくは「RFLJ茨城」http://relayforlife.jp/ibaraki/ ※メモ 【リレー・フォー・ライフ】米国で始まった運動で、がん患者やその家族の支援のほか、がん予防の啓発、がんで亡くなった人の追悼を使命として活動している。

日本語学校「国際語学院」つくばに開校

【鈴木萬里子】つくば国際ペット専門学校(同市沼田)を運営する学校法人つくば文化学園(東郷治久理事長)は、日本語学校「日本つくば国際語学院」(今瀬文隆校長)を4月20日、つくば市松代に開校した。学校法人が運営する日本語学校は県内初という。定員100人。 留学生はウズベキスタン出身者が16人、ベトナム5人、スリランカ5人のほか、タジキスタン、ギニア、モンゴル、ネパールなど9カ国から集まった第1期生35人が新生活をスタートさせた。 同ペット専門学校に入学した留学生が日本語を学ぶ教育機関が必要となっていたことや、同市での開校の要望が多かったことから設立に至った。近隣市町から聴講の問い合わせが寄せられたのを受けて、外国人の聴講生も随時受け入れる。 4月入学の2年間と、10月入学の1年6カ月の2コースがある。授業時間はできる限り午前中に集中させ、留学生が学業とアルバイトを両立させることができるよう配慮した。学校から徒歩圏内に学生寮も完備され、勉学に打ち込める環境が整っている。 入学時に日本語の能力別にクラス編成が行われ、初級クラスは18人。中級クラスはフィリピン、中国、モンゴル出身の3人が学んでいる。 始まったばかりの中級クラスでは、かなり高度な日本文を、つかえることなく流ちょうな発音で練習していた。モンゴル出身のバヤルツェンゲルさん(20)は「つくばはにぎやかな所だと思っていたが、緑が多くてとても気に入っている。将来は大学と大学院に進み経済学を勉強したい」と話した。中国出身の許辰光さん(23)は「つくばは人がやさしいし環境も良い。筑波大学に進学したい」と、13歳から勉強しているという完璧に近い日本語で話した。 同クラス専任教員の中谷あゆみさんは「このクラスは中級なので、私の投げかける言葉で学生たちが会話を膨らますことが出来ます。話の糸口を与えることで、日本語のキャッチボールが出来るようになるのは教師冥利に尽きます。日本語で意思疎通が図れるように指導していきたい」と話した。

日本学士院第68回公開講演会

文科省の特別機関で日本の国立アカデミーといわれる「日本学士院」は、活動を理解してもらうことを目的に毎年春・秋の2回、広く一般を対象に講演会を実施している。今春は筑波大学と共催で開催する。 講演1「地方分権改革を目指す二つの路線」講師:西尾勝(東京大学名誉教授) 司会:松村岐夫(日本学士院会員) 講演2「空間と図形の理論と現実」講師:深谷賢治(米国ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校サイモンズ幾何物理センター教授) 司会:柏原正樹(日本学士院会員) 参加申し込みは日本学士院のウェブサイトから事前申し込みが必要。

《吾妻カガミ》31 働くことをケース・スタディ

【コラム・坂本栄】5月連休明けの7日、新年度の大学講義も5回目になりました。1講座は半期15回ですから3分の1を消化したことになります。新入生もキャンパスに大分慣れて来たのではないでしょうか。 以前にも触れましたが、私は毎月曜の午後、2つの授業を担当しています。日立の茨城キリスト教大まで常磐高速を飛ばし、昼はサンドイッチで済ませ、それから各90分講義します。一つは必須課目の「社会科学の考え方」、もう一つは選択科目の「働くということ」(上期、下期は「国際経済と暮らし」)です。 「社会科学の考え方」については、このコラムの23回目(洋風居酒屋で若い先生と議論)で触れました。「国際経済と暮らし」については、24回目(ごじゃっぺ・トランプを素材に講義)と26回目(分散投資と電源構成)で、どんなことを教えているか触れました。今回は、面白い講座名の「働くということ」を取り上げます。 「こういったタイトルの講座を持ってくれないか」と、大学の幹部に言われたとき、私の反応は「?」でした。名称のストレートさは置くとして、労働雇用問題には素人だからです。でも「学生の関心が強い就活や就業に役立つ話を」との注文に、それも面白いかと引き受けました。 素材は常陽新聞「キーパーソン」 講義は3年目になりますが、昨年100名程度だった「働くということ」の受講生は、今年150名弱に増えました。通常の教室に入りきれず、急きょ、倍の席数の教室を手当てしてもらいました。うちの奥さんにその話をすると「試験がやさしいとの噂が拡がったのでは」と言われましたが、「内容がユニークで評判がよいからだろう」と反論しました。 というのは、精神論的な話は1回で済ませ、2回目以降はケース・スタディにしたからです。どういうことかと言うと、いろいろな業種の会社・組織(ケース)を取り上げ、その業種の特徴や働き方のツボを話すという、学生に興味を持たせる仕掛けです。 これまでの3ケース(業種)では、不動産、医療、教育を取り上げ、各業種の地元企業・組織トップの話を素材に、職場ではどんな仕事をするのか、どういった心得が必要か、その業種の構造や展望などについて話しました。 ケースの素材は、常陽新聞(2014年2月~2017年4月)に寄稿していた「キーパーソン」欄に登場してもらったトップのインタビュー記事です。すでに、一誠商事の五十嵐翼会長、筑波メディカルセンターの軸屋智昭病院長、筑波大学の永田恭介学長のコメントを使わせていただきました。 各トップとも話が具体的でポイントを突いていますから、業種の特性などを学生に理解してもらうにはピッタリです。私にとっては、ジャーナリストの蓄積を使えるというメリットがあります。時差はありますが一石二鳥?(大学兼任講師)

きょう2日は八十八夜 新茶シーズン到来

【橋立多美】立春から数えて88日目にあたるきょう2日は、茶摘みを始めるのに最適な八十八夜。新茶シーズンの到来だ。 筑波大学(つくば市天王台)東側に茶畑が広がる一角がある。栽培から加工販売まで行っている沢辺茶園(つくば市要)の畑で広さ2ha。畑一帯が明るい緑色におおわれ、一年中で最も多忙な時期を迎えた。 同園は、店主の沢辺稔さん(70)が静岡の製茶園で修業を積んで始めた。おいしいお茶は土作りからと有機肥料にこだわり、息子夫婦と一家総出で取り組んでいる。 沢辺さんは「今年は天候に恵まれて順調に生育し、例年に比べて1週間ほど新芽の伸びが早い」という。「さわやかな甘みと旨みを味わってもらえる」と味に太鼓判を押す。 近年、ペットボトルや紙パック入りの緑茶飲料が普及し、急須離れが進んでいる。お茶はペッボトルに入っているのを買う時代となり、緑茶の消費は減少傾向で推移している。 総務省の家計調査によれば、1965年の一世帯当たりの緑茶年間購入量(全国)は2133gだった。この年をピークに下落し、2008年に初めて1000gを割り込み、16年には856gまで落ち込んでいる。 生産者の高齢化と相まって規模を縮小する茶園があるが、沢辺さんは「茶文化を衰退させたくない」と前向きだ。茶葉に触れ、緑茶を急須で飲む習慣を取り戻してほしいと毎年、新茶の時期に手摘みなどを体験できるイベントを開催している。今年は30人募集に40人の申し込みがあり、締め切られた。 ゴールデンウイーク明けには新茶が同園の店頭に並ぶという。問い合わせは電話029-864-0989(同園)。

乳がん トップレベルの検診伝えたい 29日 つくばピンクリボンフェス

【富永みくに】茨城県の乳がん検診システムは世界でもトップレベルだ。しかし検診率は約40%と全国平均と比べ高くない。このままでは優れた検診システムが「宝の持ちぐされ」になってしまう―。乳がん検診の大切さを訴えようと、「つくばピンクリボンフェスティバル2018」が29日、つくば市竹園、つくば国際会議場大ホールで開かれ、乳がん検診と治療の最新動向を紹介する。同フェスティバルを主催するNPOつくばピンクリボンの植野映理事長に話を聞いた。「乳がん検診や治療について一般の人たちにも分かりやすく伝えたい」と話す。 ―植野先生はつくば国際ブレストクリニック院長で、同フェスティバルの実行委員長です。まず、つくばピンクリボンの会の活動について教えてください。 ピンクリボン活動は、1991年にアメリカのエヴリン・H・ローダーが提唱し、世界規模で行われている乳がん撲滅のための活動です。つくばピンクリボンの会は、検診によって乳がんによる死亡を減らすことを目的に2004年に立ち上げました。他県のピンクリボン活動は一般市民を中心とした活動が主流ですが、つくばの場合は一般市民、患者、医療従事者が連携しているのが特長です。県やつくば市のバックアップもあります。名称に「つくば」とありますが、活動はつくば市や茨城県内に限定したものではありません。 私は1983年、33歳の時に筑波大学の講師として招かれてつくば(当時は桜村)に来ましたが、県民の患者の乳がんの大きさが平均3.1cmもあることにショックを受けました。当時、日本には乳がんの検診制度が無く、全国的にも発見が遅れ気味ではありましたが、茨城は中でもひどい状況でした。その時の衝撃が今の活動の根底にあると思います。 現在、茨城県の乳がん検診受診率は39.1%(厚労省『国民生活基礎調査』2016年、40~60歳)に向上していますが、それでも全国平均(同36.9%)と比べて決して高いとは言えません。われわれの活動としては50%超えを目指しています。 ―「最新の乳がん検診と治療」が今年のフェスティバルのテーマですが、最新の検診と治療はどのようなものになっているのですか。 県民の多くは、なぜか茨城の乳がん検診のシステムが他県と比べて劣っていると思い込んでいます。実際には世界でトップクラスと言っても過言ではありません。マンモグラフィと超音波検査を組み合わせた検診システムは国際的にも誇れる内容です。さらに検診のための診断装置、診断する医師や技師の技量も充実しています。 厚労省が実施した「ジェイ・スタート」(J-START=マンモグラフィのみの検診と超音波検査を併用した検診の結果を比較する大規模臨床試験)では、茨城の乳がん検診システムが採用されました。同試験の結果、マンモグラフィのみの検診では30%(2012年の調査時)の見落としがあることが分かっています。つまり、茨城県民はより見落としが少ない、レベルの高い検査が受けられるということです。つくば市内に限らず、県内のどの医療機関で受診しても同じシステムの検診が受けられます。 乳がんの補助療法では、「化学療法」「分子標的治療」「内分泌治療」が発展しました。がんの症状と種類により、外科的治療に加えてこれらを組み合わせて行います。早期に発見されれば抗がん剤は使用しなくても良い。かつては乳房温存手術と放射線照射を組み合わせた治療が行われていましたが、今は乳房の再建手術が保険の適用になっていることから、乳房を温存せずに切除するケースも増えています。基本的には切除していない胸の形に合わせることが多いです。 ―昨年、元アナウンサーの小林真央さんが乳がんで亡くなりました。最近は元SKE48のメンバーの矢方美紀さんが左乳房を全摘出したことも話題になりました。 こういったニュースが流れると「20代や30代の若い世代に乳がんが多い」と誤解する人もあるかもしれませんが、20代でかかるのはむしろまれなケースです。乳がんにかかりやすいのは40代~60代。40代以上の女性は、検診を受けることを推奨します。 ―今年のフェスティバルに向けた思いを教えてください。 これまでフェスティバルでは、ウォークやサイクリングなどの啓発イベントで乳がん検診の重要性を訴えてきましたが、それだけでは正しい乳がんの知識が伝えられませんでした。そこで今回は、一般の人に乳がんについて新しい正しい知識を伝える講演会をメーンに開催することにしました。 フェスティバルでは乳がんについて、一般の人や患者さんが特に知りたいという声の多かった情報をピックアップし、そのテーマに応じて専門医が解説します。講演やつくばピンクリボンのホームページなどを通じて、乳がん検診の重要性を理解してくれればと思います。 ◆同フェスティバルは29日(日)午前10時~午後2時20分まで。参加費無料、事前申し込み不要。「乳がん最前線―乳がんと乳がん検診の新しい正しい知識を」をテーマに、専門医や筑波大学の教授らが検診と治療の最新動向について解説する。演題は▽「なぜ、乳がんが増えているの?」(杏雲堂病院医師・池田達彦氏)▽「どうやって受ける?乳がん検診」(つくば国際ブレストクリニック診療放射線技師・津田香緒里氏)▽「転移・再発の治療(薬)」(筑波大学准教授・坂東裕子氏)▽「上手なセカンドオピニオンの使い方」(東京医科大学茨城医療センター医師・海瀬博史氏)など9項目。

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