火曜日, 5月 14, 2024
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サクラソウ花壇が見頃 つくば市松見公園

【橋立多美】つくば市天久保、松見公園内のサクラソウ花壇が見頃を迎えた。花と緑のまちづくりを目指し、同公園で花の手入れや癒しの庭づくりなどをしているNPO法人つくばアーバンガーデニングの園芸仲間が植え付けた。 江戸時代から伝わる園芸品種など800株以上が、園内を流れる滝の脇の花壇に10区画に分かれて植えられている。薄紫の花は伊達男(だておとこ)、白い花は車白(くるまじろ)、ピンク色の花は天晴(あっぱれ)などの名前が付いている。 現存の園芸品種を将来に向けた遺伝資源として保存しようと、2005年、筑波大学と同NPOが共同で立ち上げた「さくらそう里親の会」のメンバーが株を育てた。株分けの作業で出た余剰株を花壇に植え付けた。 花壇は、シノ竹が茂っていたやぶを園芸仲間やボランティアが手作業で根っこを掘り起こして開墾し、3年前に整備したという。 今年は例年より1週間ほど早い13日に開花した。5月中旬まで楽しめる。同NPO理事の落合由美子さんは「日本古来の貴重な品種の美しさを楽しんでほしい」と話す。 サクラソウは桜によく似た花を咲かせる多年草で、国内外を問わずたくさんの愛好家がいる。春の代表的な草花として江戸時代に育種が進み、多くの品種が作られた。園芸品種は、当時生み出された独自の作法に基づく鑑賞法や、日本人独特の花に対する美意識を考察する上で重要とされる。  

つくばの研究機関・大学28カ所が一般公開 16~22日 科学技術週間

【富永みくに】「科学技術週間」に合わせた一般公開イベントが16~22日までの期間中、つくば市内の研究機関、大学など28カ所で催され、施設公開、講演会、展覧会など工夫を凝らした企画が実施される。 産業技術総合研究所「サイエンス・スクエアつくば」(つくば市東)は21日午前9時30分~午後5時、災害調査ロボ「CRoSDI」のデモンストレーションとミニ講演を実施。人が入れないような狭い場所で活躍するロボットが見られる。他にもオリジナルのビーズストラップやはんこが作れる工作コーナーなどが設置される(予約制)。 物質・材料研究機構(NIMS、つくば市千現・並木・桜)は22日午前10時~午後4時、講演、実験、工作など70を超えるプログラムを用意。谷田部中学校とのコラボイベント「永久磁石を作ってみよう」、ナノ戦隊スマポレンジャーによるスマートポリマー実験ショーなども開催される。 21日(土)、22日(日)の2日間は、無料の「つくばサイエンスツアーバス」が1日6便運行され、北回りはTXつくば駅、国土地理院、国立科学博物館つくば植物園を、南回りはつくば駅、つくばエキスポセンター、産業技術総合研究所、筑波宇宙センターを巡回する。 その他、主な施設の公開日は次の通り。 ▽国立公文書館つくば分館=16~21日午前9時15分~午後5時、特別企画展「花さんぽ」植物図譜を中心に園芸書・名所図会などの展示。 ▽建築研究所=22日午前10時~午後4時、耐熱性に優れ強度がある新しい木材製品CLTの特徴を体感できるCLT実験棟、防耐火棟・強度試験棟の見学など(予約制)。 ▽国土技術政策総合研究所・土木研究所=20日午前10時~午後4時、道路に関する実験を行う試験走路の見学、土石流の発生の仕組みを学ぶコーナーなど。 ▽防災科学技術研究所=22日午前10時~午後4時、豪雨体験ができる施設見学(雨具・長靴持参)、ペットボトルで地震計を作るコーナーなど。 ▽国立科学博物館筑波研究施設・筑波実験植物園=21日午前10時~午後4時、植物園バックヤードツアー、「研究お宝大公開」など。※一般常設展示有(「さくらそう品種展」は14日~22日) ▽JAXA筑波宇宙センター=16~22日午前9時30分~午後5時、国際ステーションから見た地球の映像の上映、展示館クイズツアーなど。 ▽気象庁高層気象台=18日午前10時~午後4時、自由気球を使った高層大気の観測、古い気象測器の展示など。 ▽国土地理院=17、19日午前10時~午後4時、測量用航空機「くにかぜ」内部公開など。 ▽国際協力機構JICAつくば=21日午前10時~午後4時、トマトの接ぎ木教室(先着順)、世界の布でしおりを作る工作、ボランティア事業紹介など。 ▽森林総合研究所=20日午前10時~午後4時、樹木園・実験住宅を研究員による解説付きで見学。 ▽国際農林水産業研究センター=20、21日の午前時~午後4時、熱帯果樹・黒糖・さとうきびなどの試食会、ハイビスカス・パインなどの苗の配布(先着順)など。 ▽筑波大学=21日午前9時~午後5時、子どものための特別授業「キッズ・ユニバーシティ」面白くてためになる科学実験など。 ▽筑波技術大学=20日午後1~5時、視覚障がい者のために開発された触って理解する教材、触覚的な案内表示などを公開。 ▽日本自動車研究所=21日午前10時~午後4時、水素・電気で走る車の試乗、交通安全教室、消防・救急車両展示など。 詳しくは、2018年度筑波研究学園都市研究機関一般公開総合ガイド(http://stw.mext.go.jp/event/tsukuba.html)へ。

日本屈指のコレクションを公開 さくらそう品種展始まる 筑波実験植物園

【鈴木萬里子】日本屈指のサクラソウの品種コレクションを一堂に公開する「さくらそう品種展」が国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)で14日から始まった。筑波大学が保有する314品種の「筑波大学コレクション」が150点ずつ順に展示される。 サクラソウは室町時代後期から江戸時代前期に野生種の栽培が始まり、茶会の席にも使われるなど人気が高かった。江戸後期になると品種改良が進み多数の園芸品種が生み出された。筑波大は収集した品種のDNAタイプを調べ保全している。同展に展示されている150点は4~5日ごとに入れ替えるため、全品種を見ることが出来る。 NPOつくばアーバンガーデニングのメンバーらが中心となった「筑波大学さくらそう里親の会」による「里子コレクション」も展示されている。筑波大が保有する園芸品種を保存する里親で、市民と共に遺伝資源を守っている。里親の一人は「芽分け作業時には交配しないよう土を入れ替えるなど、細心の注意が必要。でもとても楽しい」と話していた。 会場には、サクラソウの花を観賞するために江戸時代に考案された陳列法「桜草花壇」が建てられている。下向きに咲く花は上段に、上向きの花は下段に配置するなど、花の色が一番きれいに見える工夫がされている。 植物園入口の教育棟には昨年のサクラソウ人気投票上位10品種が飾られている。 牛久市の60代女性は「サクラソウを見るのが楽しみで毎年来ている。あでやかなのに静かな雰囲気が良いですね」と話し、品種ごとに付けられた名前を丁寧にチェックしていた。名前は作った人が付け、和歌から取ったものが多いそうだ。中には日露戦争後に名付けられた「戦勝」などユニークな名前もあった。 ◆同展は22日(日)まで。16日(月)休園。開館時間は午前9時~午後4時30分。入園料は一般310円。

体操 宮地選手を東京五輪へ つくばで後援会発足

【大志万容子】2020年の東京オリンピック出場を目指す筑波大学大学院2年の体操、宮地秀享選手(23)を応援しようと、つくば市で後援会が発足した。宮地選手は昨年、カナダで開かれた世界選手権、男子鉄棒で最高難度の新技を成功させた。新技は国際体操連盟から「ミヤチ」と命名されるなど期待の新星だ。後援会長の廣瀬正さんは「頑張る選手を地元で応援したい」と支援を呼び掛ける。 成功した新技は、I難度の「伸身コバチ2回ひねり」。棒上で後方伸身2回宙返りをする間に2回ひねって鉄棒をつかむ。「1回ひねった技でも、日本でできる人はほとんどいない。さらにもう1回ひねるのは全く違う次元の技術と回転力が必要となる」と宮地選手。 愛知県出身。大学時代は「学生の中では強いレベルでしかなかった」。大学院では指導者を目指してコーチングを学んでいたが、昨年、全日本体操競技種目別選手権でこの大技を決め、9月に初めて日本代表に選ばれたことで、状況が一変した。「東京オリンピックが夢ではなく目標になった。全く無名からのスタートなので余裕はないが、後悔のないよう精一杯やりたい」 代表に選ばれたことで、日本体操協会から国際大会の遠征費は出るようになったが、国内大会は自己負担。また生活費もかかることから、市内の茗渓学園で非常勤講師をしたり、体操クラブで子どもたちを教えたりと、週3~4日はアルバイトに従事する。 そんな宮地選手を応援しようと、市内の不動産会社会長、廣瀬正さんら有志が後援会を立ち上げた。2年前に知人の紹介で知り合った廣瀬さんは、「当時は普通の大学体操部の選手だったが、昨年からメキメキと頭角を現してきた。オリンピックを狙うためにも、今がいちばん大事な時期」と話し、「バイトを辞めて練習に集中できる環境を作ってあげたい。つくばで頑張っている選手を地元が応援し、みんなで東京オリンピックを目指す夢を共有できれば」と支援を呼び掛ける。 宮地選手は「応援してくださる方がいることは励みになる。代表入りして試合で感じるプレッシャーも大きくなったが、それを力に変えて頑張りたい」と意気込んでいる。 ◆後援会では寄付金を募っている。振込先は「ゆうちょ銀行」の〇六八(ゼロロクハチ)支店(店番:068)普通預金4519650 ミヤチヒデタカコウエンカイ。問い合わせは同後援会(電話)029・896・3285、メール:htaka.miyachi@gmail.com。

《土着通信部》10 群れなすニホンミツバチ愛好家

【コラム・相沢冬樹】春になれば──、女王は働き者の侍女たちと共に住み慣れた巣を飛び立つ。「分封(ぶんぽう)」という。巣には新しい女王蜂が育っており、雄蜂との婚姻飛行を待っている。働き蜂はすべてがメスで、もっぱら繁殖期に生まれてくる雄蜂は、生殺与奪の権をメスたちに握られている。 昨年秋、ニホンミツバチの特異な習性とそれを飼う愛好家の話を聞いてから、僕は春の分封(分蜂とも書く)を見たいと思った。庭木の枝などに、女王蜂を中心に数千のハチが群がって蜂球(ほうきゅう)を作り、モーター音のようなうなりをあげる。ことさらに刺激しなければ人を襲うことはないそうだ。 数十年前のかすかな記憶があるものの、以来まるで目にしない。ニホンミツバチは近年、個体数を減らしていると聞くが、趣味の養蜂のネットワークは逆に広がっている。昨年秋筑波大学会館で初開催の「ミツバチサミット2017」には、養蜂業者をしのぐ愛好家が全国から集まった。 蜂蜜でいえば、ニホンミツバチによる生産量はセイヨウミツバチの1%にも満たない。果実の受粉にも活躍する後者に比べ、前者の飼養は困難を極める。分封を狙って、一群を捕獲できても、巣箱が気にいらなければメスたちは一晩で逃亡してしまう。つれない野生の手ごわさが、愛好者心理をそそり、情報交換の機会に多くが群がるのである。 地元にはつくば養蜂研究会という愛好家グループがある。2002年に結成され、年6回ほどの例会を開いている。出入りはあるが20人前後の会員数、近県からの参加者もあり、年齢的には定年前後からのリタイア組が中心、女性の姿も見られる。 話を聞くと、ミツバチをめぐる環境は近年悪化の一途をたどっている。セイヨウミツバチがニホンミツバチを駆逐したというのは誤解だが、天敵のスズメバチがミツバチの生息環境を奪っているのはたしかだ。伝染病を引き起こすダニ類の発生などが問題になる一方、花のある蜜源の減少により、蜂場をめぐるトラブルも増加している。 このため、養蜂振興法が改正され、2013年から養蜂業者だけではなく、趣味でミツバチを飼育するものにも届け出が義務化された。茨城県南でいえば、県南農林事務所の農業振興課が窓口で、同所の家畜保健衛生所による原則年1回の検査を受けなければならなくなった。 県南14市町村を所管する同課の集計では、2017年時点で約50件、900群のミツバチが飼われていたということだが、セイヨウ・ニホンは区別されない。群数ではセイヨウミツバチを飼うつくば市の蜂蜜採集業者が大半を占めて、他は数群の届け出にとどまるから、ほとんどが趣味のニホンミツバチ愛好家とみられている。 産業化は難しく、隣近所の理解を得るのも大変そうだが、在宅シニアにはなかなかに奥深く、優雅な趣味に映る。そういえば映画のシャーロック・ホームズは晩年、養蜂家となって「最後の事件」を解決したのだった。(ブロガー)

ドラゴンボートでお花見

桜川お花見はドラゴンボートに乗って川から楽しみましょう 土浦市桜まつり期間に20人でドラゴンボートを漕ぎながら両岸470本の桜を愛でる。今年で6回目、初心者でもOK。陸上での事前練習しライフジャケットを着用して乗船する。 実施日  4月1日(日)、予備日4月2日(月)、荒天中止 実施場所 桜川 学園大橋下流河川敷 (花火桟敷席) 集合時間 ①9:30 ②10:30(30分漕ぎ方を練習) 乗艇時間 ①10:00~10:45 ②11:00~11:45 コース  花火桟敷席河川敷⇔銭亀橋 約500m 銭亀橋でUターン 駐車場  学園大橋北側より下りた河川敷(100台) アクセス キララバス 生田西から徒歩5分 費用   大人1,000円 子供500円(保険料など) 募集人員 先着76人(小学生以上、保護者同伴 子供だけの参加は不可) 主催   ラクスマリーナ 共催   土浦B&G海洋クラブ、セイラビリティー土浦 後援   土浦市、土浦市教育委員会、土浦市観光協会(予定) 協力   筑波大学、筑波学院大、つくば国際大学、他 (予定) 連絡先  〒300-0033 土浦市川口2-13-6 ラクスマリーナ TEL029-822-2437 FAX029-826-2839 担当 大里恭子

中国語学び友情深めよう 留学生が講師に つくば日中協会

【大志万容子】中国語を学びながら中国文化の理解を深め、日中の市民間の友情を深めようと、つくば日中協会(不破正宏会長)は、中国語講座を開いている。講師は筑波大学の中国人留学生5人。生きた中国事情を若い学生の目で教えてもらえるのも特徴だ。 同講座は1997年から始まり、今年で22回目。これまで延べ約1000人近くが受講してきた。学習経験に合わせ、入門、基礎、初級、中級、文化の5コースがあり、初心者から上級者までレベルと興味にあわせて学ぶことができる。 不破正宏会長は「中国語を学びながら、日本文化の故郷でもある中国文化と発展する中国への理解を深めましょう」と呼び掛ける。 つくば日中協会は、筑波研究学園都市を中心に、日中交流に興味を持つ人たちが連携し、日中の相互理解を深めることなどを目的に93年に設立。中国語講座のほか月例懇談会や料理教室を定期的に開いている。95年には「日中友好文化交流団」を結成、中国の北京市と成都市を訪問し、同年度の県国際交流奨励賞を受賞した。 受講生募集 2018年度の中国語講座の受講生を募集している。期間は4月15日~19年3月15日(全40回)。会場は、つくば市竹園交流センター(入門、基礎、中級)▽同市並木交流センター(初級)▽同市小野川交流センター(文化)。受講料は3万8000円(同協会会員は3万3000円+年会費3000円)ほか教材費などが必要。募集定員は各コース20人(7人未満のコースは開講見送り)。 申込み・問い合わせは、つくば日中協会事務局:電話・FAX:029・877・3870(不破さん)、029・853・1426(杜さん)、携帯090・3069・1086(不破さん)、090・1706・8966(杜さん)、メール:tsukuba_nittyu_staff@freeml.com

スイスが筑波大で事前キャンプ 2020東京五輪

【鈴木宏子】2020年の東京オリンピックで、スイスが筑波大学(つくば市天王台)で事前キャンプをする。22日、同大が発表した。事前キャンプ実施に向け、同大の永田恭介学長、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長がスイスを訪問し、4月11日(現地時間)にスイスオリンピック協会と基本合意書を締結する。 同大によると、陸上、柔道、体操などの選手団が競技の2、3週間前などに来日し、同大の陸上競技場、武道館、中央体育館などの施設でトレーニングをする。選手団の規模は、1種目当たり選手、スタッフを含め数十人程度になると見込まれ、市内のホテルに宿泊しながら同大で練習することになるという。 同大つくば国際スポーツアカデミーとスイスのスポーツマネジメント大学院が2014年に連携協定を締結し、相互訪問するなど交流していたことから、スイス側から申し入れがあった。 永田学長は「学生にとってひじょうにいいボランティアが経験できる。できる限りサポートし協力していきたい」と話した。同大ではスポーツ科学やリハビリなどの研究設備も整っていることから、大学院生などが選手たちの測定を手伝ったり、ケアをするなどのサポートもできるという。 永田学長はスイスでさらにIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長を表敬訪問する予定で、同大など4大学が連携して開発したアンチ・ドーピングシステム(薬物検査方法)を紹介したいとしている。 県内で東京オリンピックの事前キャンプ地になるのは、常陸太田市(パラオ)、龍ケ崎市(キューバ=柔道、オセアニア地域=柔道、タイ=陸上)、桜川市(モンゴル=射撃)。つくば市は4市目。事前キャンプは時差を調整し気候に順応するために行う。

《留学生エッセー》9 スキル磨いて起業家に

経営情報学部経営情報学科3年 リヤナアラッチゲ ハシタ ガラシャーン サマラヴィクラマ 5年前、最愛の母を亡くして無気力になっていた私を心配した叔父に旅行に誘われて、スリランカから日本に来ました。叔父は母の弟で、筑波大学留学生センターで日本語の指導を受けた後、筑波大学で民俗学を学んで通訳になりました。叔父にキャンパスを案内されながら、中学生の頃から考えていた日本とスリランカを結ぶ貿易会社設立を思い出しました。自分も叔父のように日本語を習得して大学に進み、貿易会社を起業したいと強く思い、帰国せずに筑波学院大学国際別科に入学しました。 ゴルフ場の草刈りやレストランの洗い場などでアルバイトをしましたが、話す人のいない辛さと寂しさから何度も「帰りたい」と思いました。気弱だった私を成長させてくれたのは、国際別科担当で経営情報学科准教授の金久保紀子先生でした。亡き母は幼稚園の先生で「子どもはみんな自分の子」と等しく園児を可愛がりました。その母に似た金久保先生に出会ったことで落ち着きを取り戻し、日本に馴れることができました。 ■地域や弱者のために活動 2015年春、筑波学院大学に入学。ITを活用するプロを目指す「情報デザイン」コースをメーンに、経営学や流通など起業に必要な知識を取得できる科目を履修しています。勉強とアルバイトで忙しい毎日ですが充実しています。17年に結婚したスリランカ人の妻は、私の夢が実現するよう応援してくれます。 筑波学院大学には学生が地域社会に貢献する科目があり、霞ケ浦にあるヨットハーバー・ラクスマリーナで高齢者や障害を持った人もマリンスポーツを楽しむイベントを体験しました。「できるだけ手助けを」と、高齢者施設に通う母を見ていたことでボランティアに興味があり、乗船の介助をしたりして心を通わせることができました。スリランカは17年5月に発生した豪雨による水害で多くの人が財産や家を失いました。日本で不要になった物を船便で送る「桜スリランカ支援団体」のボランティア活動にも参加しました。 ■両国に有益な貿易を 卒業後は日本の貿易会社に2年程勤めて、経営現場の知識を得るつもりです。そして日本とスリランカ両国に役立つ貿易会社を日本で設立する計画です。輸出するのはスリランカで最も人気のある日本車と電気製品、農業や建設機械。輸入するのは食品や紅茶、薬用ハーブ、宝石や美術品などを考えています。

事業手法や採算性調査へ、大手会計事務所を選定 筑波大アリーナ

【崎山勝功】筑波大学は、スポーツの試合やイベント開催などを行うアリーナの建設をつくば駅近くの同市吾妻2丁目、同大職員宿舎敷地に計画している。同大は2月28日、事業手法や採算性などを調査・検討する民間事業者(アドバイザリー業務事業者)に、大手会計事務所「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社」(東京都千代田区)を選定したと発表した。 同大によると、アドバイザリー業務事業者を公募したところ4事業者から応募があった。各事業者の企画提案書を元に同大の選定委員会で審査が行われ決定した。契約期間は2月23日から7月31日までの約半年間。予算は3000万円。 アリーナを活用した新たなビジネスモデルの創出、地域経済の活性化など同大の事業ビジョンを実現させ、さらに民設民営など民間出資を可能にする同大と民間事業者の連携方法の開発など、具体的な事業の枠組みについて調査・検討を行い、ビジネスモデルの判断資料を作成する。 同大財務部は「どのような事業手法がいいのか、今年の7月までに報告書を出してもらう」と述べ、アドバイザリー業務報告を踏まえて学内で事業について検討を行い、18年秋ごろに結果を公表したいとしている。 建設予定地の職員宿舎は敷地面積約3.34ha。18年度末に廃止し、19年度に解体する予定。つくば駅に近く中心市街地の活性化が期待されるものの、一方で周囲に住宅が多く、騒音や来場者の車による交通渋滞が懸念されている。同大は「駐車場の確保や騒音規制なども含めて調査検討していく」としており、「事業推進に変わりはない」とアリーナ事業を進める方針を示した。 アリーナは、大学スポーツやプロスポーツの試合、イベント開催など多目的に使用でき、収容規模は7000~8000人。20年度のオープンを目指している。

女子学生にわいせつ行為 准教授を懲戒解雇 筑波大

筑波大学(つくば市天王台)は1日、女子学生にわいせつ行為をしたとして60代の男性准教授を懲戒解雇処分にしたと発表した。 同大によると准教授は2017年3月、学生らと学外での調査活動を実施した。調査を終え、帰りに女子学生と2人になり、准教授が所有する別荘に2人で宿泊した。それぞれ別々の部屋で就寝したが、その後、准教授が女子学生の寝ている部屋に行き、体を触るなどのわいせつ行為に及んだとされる。 数カ月前、女子学生から大学に相談があり発覚した。准教授は事実関係を認めているという。同大教員のセクハラによる処分は2013年12月に50代男性教員が諭旨解雇処分を受けて以来。今回の懲戒解雇は最も重い処分という。処分は2月28日付。 永田恭介学長は、准教授の行為は重大なセクハラであり女子学生に多大な精神的苦痛を与えたとして「学生を教育・指導する立場にある教員がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾で被害学生並びに関係者に心からお詫び申し上げます」とするコメントを発表した。「事態を真摯(しんし)に受け止め、教職員に対しハラスメント防止研修の一層の充実・強化を図るなど再発防止に向けた啓発活動を行い、学生の修学環境及び大学の社会的信頼の維持・向上に努める」などとしている。(ラヂオつくば)

【震災7年】参加者減、支援の在り方模索 筑波大生が福島避難者交流会

【崎山勝功】東日本大震災から7年を迎えるのを前に、福島第1原発事故による福島県避難者交流会が25日、つくば市松代の松代交流センターで開かれた。被災地支援に取り組む筑波大学の学生団体「Tsukuba for 3・11」が主催し、避難者や筑波大生など約20人が参加した。筑波大生からは、7年経ち支援の在り方を模索しているという声が聞かれた。 「ありがとアート~日常へ感謝をこめて」と出した交流会で、避難者が身の回りの出来事や感謝のメッセージを折り紙などに書いて、貼り絵のように大きな木の形をつくる「ありがとうの木」作りと、使用済みの食用油でつくったロウソクを用いた「エコキャンドル」作りが行われた。 「ありがとうの木」は4グループに分かれ、チラシなどを使って貼り絵をしたり、折り鶴を貼るなど制作に取り組んだ。さらに葉っぱの形に切った折り紙に感謝のメッセージを書いて模造紙に張り付けた。完成した「木」は、3月1日から4月下旬まで筑波大学第3エリアA棟1階に展示される。 午後に行われたエコキャンドル作りでは、さいの目に切られたさまざまな色のロウソク原料が用意され、参加者らは空き瓶や卵の殻に詰めてロウソクを自作した。エコキャンドルは例年3月11日、土浦市の震災イベントで点灯されてきたが、今年は主催者の都合により開催されないため、参加者が各自持ち帰った。 参加した福島県南相馬市出身の主婦(62)=つくば市在住=は「ありがとうの気持ちを手作りのもので表現できるのは素晴らしい。私たちはいろいろな人のお世話になって現在まできている」と話した。南相馬市にあった自宅はすでに解体し、つくば市に永住する予定という。 学んだこと「日常は当たり前じゃない」 同団体メンバーの池田花於里(かおり)さん(19)=同大1年=は「3・11から学んだことは、日常は当たり前じゃないということ。参加者と一緒に日常を振り返り、何に感謝しているか、何に感謝すべきかを改めて確認するイベントにした」と狙いを語った。交流会のコンセプトを決める際「復興支援を手伝っているが、震災から7年も経って復興支援と言い続けることに疑問を感じた」という意見が出たことから日常を振り返るイベントにしたという。一方で「避難者の参加が減っている。どういう方向で進めていったらいいか悩んでいる」と話し、支援のあり方を模索していると述べた。 代表の小林彩香さん(20)=2年=は、7年経ったが移住先の環境になじめずに周囲から孤立する避難者がいるとした上で「震災から時間が経っていくと、逆に心の傷や、福島に帰れないという思いが募って、交流会に出てこられなくなってしまう面があるのかなと思う。どこまで避難者を支援していけるのかがこれからの課題」と話した。「震災から7年も経つのにふるさとに帰る目途が付かない、帰るに帰れないので、つくばに永住しようか迷っている人もいる」と避難者の複雑な心境を明かし、「当事者に寄り添う姿勢を大事にしていく」との姿勢を改めて明確にした。

街全体で子育て支援、仕掛け作りへ50人がアイデア つくばで意見交換会

【大志万容子】つくばの子育てを支援者や親が共に考える「つくば子育てコミュニティワーク キックオフ・イベント」が24日、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザ大会議室であった。約50人が参加して、同市の子育てに関する課題や提案について「自分たちで何ができるか」という視点から熱心に意見を出し合った。 初めに「NPO法人せたがや子育てネット」代表理事の松田妙子さんが講演。子育て当事者や支援者、行政がフラットな立場で話し合う「区民版子ども子育て会議」など、東京都世田谷区で子育ての課題解決に向けて実践するさまざまな取り組みを紹介しながら、「直接支援には限界があり、街全体を温かくウェルカムな場所にしなければ。そのためにも、街の中で小さな仕掛けを作ることが大切」と呼びかけた。 続くワークショップで、参加者は数人ずつのグループに分かれて、つくばの街についての課題や、「こんな街になったらいい」理想の姿、そのために何ができるかについて活発に意見を出し合った。卓上の模造紙には「高齢者や子育てママが集う月1回の『みんなのリビング』」「学校の通学路で立ち寄れる場所」など、さまざまなアイデアが集まった。 参加した県地域活動連絡協議会会長の谷川原奈都子さんは「グループワークでは、自営業などふだん出会えない方の声も聞けて支援者として有意義だった。いろんな団体と手を取り合って支援を届けるためにも、このような場が必要」と感想を述べた。30代の母親は「異なる世代の方も同じ思いを持っていることに気づけたことがよかった」と話した。 同イベントは、子育てに関わる人や団体がつながり、協働できる場をつくりたいと、同市の子育て支援者や助産院院長、市議、大学准教授ら10人が実行委員会を立ち上げ、昨年夏から準備を進めてきた。実行委員長を務めた筑波大学の飯田浩之准教授は「予想以上に和気あいあいと活発な話し合いができた。それぞれの子育てに関する『気づき』を、具体的な『築き』につなげるきっかけづくりの場として今後も継続していきたい」と話した。

「すごろく」で筑波山の自然知って 環境マイスターの会 3月4日、BiVi

【谷島英里子】子どもたちに遊びながら筑波山の自然を学んでもらいたいと、市民団体「つくば市環境マイスターの会」が3月4日、同市吾妻のBiViつくば2階交流サロンで「筑波山すごろくゲーム」を開催する。 同会は、地域の環境教育や環境保全活動のリーダー的役割を担う「環境マイスター」の有志による団体。メンバーはつくば市と筑波大学が実施した「つくば市環境マイスター育成事業」で、4年間の認定課題を経て1級に認定された。2015年から市民向けに環境教育などの活動を行っている。 すごろくはメンバーが考案した。2~4人のチームになり筑波山の自然や地理、歴史などのクイズに答えながらコマを進めて競う。筑波山の標高や山頂付近で多く見られる樹木などがクイズに出題される。3月4日は優勝と準優勝のチームに筑波山に関する本や資料を贈呈する。参加者全員に粗品のプレゼントもある。 同会事務局の後藤美千代さんは「毎日見ている筑波山ですが、知らないことも多いはず。遊びを通して学んでほしい」と話す。 ◆開催時間は午後1時30分~3時30分。参加費無料。対象は小学生。定員は30人。申し込みはメール298meister@gmail.com 詳しくは同会ホームページで。

5cm四方の“世界” 渡辺のり子さん、土浦で個展

【谷島英里子】5cm四方の箱に小物を入れて“世界”を作る、つくば市のアーティスト渡辺のり子さん(29)の個展「長い旅行の断面図」が土浦市中央1丁目のギャラリー「がばん クリエイティブルーム」で開かれている。 発砲スチロール製の箱の中に、おもちゃ、クギ、綿、ロウソク、キーホルダーなどの小物を入れて、一つの世界を作っている。 作品のひとつ「夜の噴水公園」は、鳥のブローチと石とくぎを組み合わせた。紺色に塗られた箱の中に、外灯に見立てたくぎが立てられ、2羽の鳥が池に浮かんでいる。 渡辺さんは筑波大学芸術専門学群卒。学生のころ、箱のアーティストとして知られる米国のジョゼフ・コーネルの作品と出合い、2009年ごろから箱に小物を入れた作品の制作を始めた。11年から土浦市内にある劇団「百景社」で舞台美術を担当しながら、現在までに計300箱を制作した。今年度で退団し、アーティスト活動に専念する。劇団員として最後の個展だ。 渡辺さんは「一箱一箱まったく中身の違う作品を見ることによって、見る人を小さな世界への旅へと導いてくれると思う」と話している。 展示期間は11日と16~25日。開館時間は午前10時~午後6時まで。入場無料。 ◆ワークショップ「掌(てのひら)サイズの世界作り」を17日開催する。時間は午後1~4時まで。予約不要。参加費500円。箱に入れたい小物を持参して作ることもできる。問い合わせは百景社の根岸さん(電話029・896・3099)まで。

《宍塚の里山》8 地域の自然環境リポートを作成

【コラム・及川ひろみ】宍塚を訪れる多くの方が、土浦学園線からわずかに入った所に人工物がほとんどなく、谷津田、大池、雑木林が広がり、坂を上り、小道を曲がると、次々変わる景色、奥行きのある景観に大変びっくりされる。それもそのはず、ここは東京駅から筑波山麓までで最も広い里山なのです。 宍塚の自然と歴史の会は1989年に発足しました。それからほどなく、会員が100人を超えました。 そのころ、「確かにいい所だけれど、いい所ってどう言うこと」と質問されました。わたしたちは、宍塚の自然の特徴を知るには調べることが必要だと、仲間たちと足しげく通い、調査を行いました。(会員には昆虫、野鳥、植物、水質など、多くの分野の専門家が加わっていました。現在もそうですが)。なるべく標本に残すべきとの意見もあり、かなり克明な記録を残し続けました。 ある時、宍塚大池の水源である「泉」を案内しますよ、との申し出を地元の方から受け、これまで足を踏み入れたことのない谷津の奥、池の周りの泉を見て回りました。池の縁の大木の根元から絶え間なく水がしみ出していました。「サメゲの泉」と呼ばれる池の西に広がる谷津の泉は、地下から水がこんこんと湧き出ていました。 90年6月から、毎月、この水を採取、水温や水質を調べたところ、この泉は年間を通して13度から16度と水温がほぼ一定でした。泉のそばには、水が飲めるように、昔は茶碗があったそうです。今は荒れ果てていますが、当時は一帯には田畑が広がり、暑い時期の農作業には、冷たい水が飲める大切な場所であったことが推察できました。 調査の結果、宍塚には、植物(維管束植物)は県内で記録されている約1/3の種、チョウ・トンボは全国に生息する1/4の種が生息することが明らかになりました。 これらの記録に加え、藻類、鳥類、両生類・爬虫類、池の水質、気候、谷津の成り立ち・地質・水門などや、明治初年における宍塚大池周辺の土地利用形態(地元の方からお借りした土地明細帳を基に会員が図面を作成しました)、野生動植物を中心とする公園整備サイトとしての適性などを調べました。 95年、これらに保健保安林と都市の緑地保全といった項目も加え、「宍塚地域自然環境調査報告書」(A4版224頁)を、筑波大学の先生や農業環境技術研究所など研究所の方のご協力を得て出版しました。この報告書によって、宍塚の自然環境の豊かさが明確になりました。 現在、宍塚は環境省「生物多様性保全上重要な里地里山(重要里地里山)」に選定され、同省によるモニタリング1000調査コアサイトとして、会が調査を請け負っているほか、キノコ、サシバ、池や湿地の生物調査など、宍塚の自然を知る努力を続けています。(宍塚の自然と歴史の会代表)

「筑波大生の演奏に元気もらった」 森の里団地 130人がジャズ楽しみ交流

【崎山勝功】つくば市茎崎地区の住宅地、森の里団地でこのほど、森の里自治会文化部主催の「新春ジャズコンサート」が開催された。会場の森の里公会堂多目的ホールには小学生から年配者まで約130人が詰めかけ、筑波大学ジャズ愛好会「ゑひもせス」の演奏に聴き入った。 ジャズの定番曲「A列車で行こう」「イパネマの娘」「テネシーワルツ」など、アンコール曲も含めて全11曲を約2時間にわたり演奏した。住民たちは体でリズムをとって楽しんでいた。 同自治会は、昨年も同大のジャズ愛好会に出演を依頼。今年は今春卒業する4年生が主力の「ゑひもせス」の5人が出演した。演奏中にメンバーが卒業間近なことを語りかけたことから、演奏終了後に会場から「頑張れ!」の声援が送られた。 ボーカルとピアノ担当の奥田展也さん=芸術学群4年=は「エールに心から感謝、うれしい。地域の人たちの温かさを感じた」と話した。昨年も別のメンバーと出演したというアルトサックス担当の江橋佑奈さん(22)=同大比較文化学類4年=は「このメンバーでしかできない演奏ができた。卒業の節目になる」と語った。 主催した文化部の吉田敏部長は「森の里に限らず茎崎地区は高齢化が進んでお年寄り世帯が多くなった。家に閉じこもらず身近な場所で住民が交わることができるよう、四季折々にイベントを開催しており、新春コンサートもその一環。若い人たちが熱心に演奏するジャズの名曲に元気をもらったと思う」と話した。

機械化進む外来診療 受け付けごとの番号にイライラ

【コラム・橋立多美】つくば市の健康診断で精密検査を勧められ、かかりつけ医の紹介状を持って筑波大学附属病院(同市天久保)を訪ねたのが2年前。以来、通院を続けている。 近年、多くの来院者で混雑する大病院は診療体制のスリム化と効率化を図るために受け付けや会計を機械化している。同附属病院は機械の操作に不慣れな高齢者のために、ボランティアが受付機や診療費支払い機の前で手助けをしている。 また厚労省は、プライバシー保護に配慮しながら医療や介護分野のICT(情報通信技術)の活用を加速させており、患者の診療データを管理する電子カルテは、400床以上の病院の7割以上に普及(同省の2014年調査)しているそうだ。 「3時間待ちの3分診療」といわれる診療体制の改革に異論はない。が、同附属病院の場合、検査のための採血(病状によってレントゲン撮影やMRIなど検査は異なる)、診察、会計ごとに受付番号票を受け取って順番待ちをする。当然のことながら各受付機から出てくる票番号は異なり、3桁か4桁の番号が印字されている。 数字に弱い私はコロコロ変わる番号を覚えられない。ポケットやバッグに入れた票の番号を何度となく確認して、電光掲示板に表示される番号と自分の番号とをにらめっこする。 人工知能の時代。一つの受付番号で会計まで一元化できないかと思うのは私だけではあるまい。定期的に首都圏の大病院に通院する知人女性は「受付番号は変わらないが、診察から支払いまでの流れが頻繁に変わるので覚えるのが大変」。効率的な外来診療の在り方が模索されているようだ。 番号は患者の個人情報保護の手段だ。だが電光掲示板に表示されても当人が現れず、アナウンスしても反応がないと、窓口の職員が「お名前で失礼します」と断った上で患者の氏名を呼ぶ場面は毎度のことだ。 超高齢化が進んで質、量ともに医療へのニーズが増大すると見込まれることから、厚労省は大病院と診療所の機能分担と勤務医の負担軽減を目的にした選定療養費徴収に踏み切った。紹介状を持っていない患者の初診の際に、診察料とは別に5000円以上の自己負担金(選定療養費)を徴収するよう大病院に義務付けたものだ。同附属病院は選定療養費を税込み1万800円に設定している。 自己負担は増えても「大病院信仰」は幅を利かせているようで、受診した今月15日の外来患者数は2400人を超えた。患者の大半が同伴者を必要とする高齢者。患者数の2倍近い来院者で院内はごった返す。外来診療システムの機械化は急務だろうが診察は血の通ったものであってほしい。(NEWSつくばスタッフライター)

《土着通信部》5 霞ヶ浦のユーグレナは今

【コラム・相沢冬樹】ユーグレナといえば、健康食品、サプリメントに注目の素材。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など多数の栄養素を持ち、栄養価も高いと謳う。大手薬品メーカーからベンチャー企業まで参入して活況を呈している。 その名を初めて耳にしたのは、霞ケ浦で世界湖沼会議が開かれた1995年ごろだった。目にしたのは、川の淀みや水たまりにできる油膜の広がり。車のオイルやら機械油が漏れ出したみたいだが、藻類の一種ミドリムシが発生しているという。 霞ケ浦がアオコに悩んでいた時期だから、新手の脅威かと警戒して調べると、学名をユーグレナという古い原始生物だった。0.05㎜ほどの単細胞生物で、外形は鞭毛(べんもう)を持つ動物だが、細胞内に葉緑体を持って光合成する。植物とも動物ともつかぬ共生体である。 ユーグレナは環境中の二酸化炭素を吸収し、水を分解して酸素と糖を作りだしてエネルギー源にしている。暗闇など光合成を絶つ環境に置くと、体内に蓄積した糖分を脂肪に変えることでエネルギーを生み出そうとする。この脂肪分が良質の燃料となるということであった。 循環型社会の形成が叫ばれ出した90年代、湖沼会議でもバイオマスという考え方がしきりに強調された。そのなかにユーグレナから作るバイオ燃料もあった。つくばの研究者らは霞ケ浦流域の河川やため池でユーグレナを探し回り、原株を採集した。培養して油を効率的に回収できれば、農地を油田に変える技術になるといい、後には代替航空機燃料としても有望視されるようになった。 雨上がりに桜川の河川敷などを歩くと、今でも写真のような生息環境を目にできる。雨天、曇天で光合成が阻害され、しみ出た油膜が水たまりに浮かぶ。下地の赤茶色は、脂肪分を排出した藻の残滓(ざんし)が折り重なったものだろう。油分の出どころには緑色の藻が色濃く群生している。 食えない見た目だが、その食品機能性がクローズアップされるに従い、バイオ燃料への熱気は急速に冷めた。ベンチャー企業の立ち上げやら産学官協同での企業化などのニュースはあっても、再生エネルギーや航空産業などで利用や実用に至ったとは寡聞にして知らない。つくばでも、四半世紀の間に産総研のバイオマス研究グループは西日本に移り、筑波大学は同じ藻類でもボトリオコッカスやオーランチオキトリウムの培養に研究をシフトさせている。 ユーグレナは微生物のなかでも増殖のスピードが遅く、量産技術の確立にメドがたたなかったらしい。循環型社会の形成を旗印に、汚泥や間伐材処理のバイオマス事業が各地でさかんに立ち上がったが、これまで座礁や空中分解ばかりが続いた。枕を並べての討ち死にの列にユーグレナ燃料も加わった。 2018年10月の第17回世界湖沼会議でも分科会「流域活動と物質循環」でバイオマスが取り上げられる。2回の会議の間の検証は行われるのだろうか。(ブロガー)

《続・平熱日記》4 今年のクリスマス

【コラム・斉藤裕之】牛久のアトリエカフェ・シシコで一足お先に開かれたクリスマス会。石窯ピザや手作りの料理が並びます。おじさんバンド、シシコカフェオーケストラの演奏に今年は女性フルート奏者とバイオリン女子高生も加わって格調やや高めで宴を盛り上げます。ちなみにこのカフェの名前は猪子(ししこ)町にあるのでSiSiCoと私が付けさせていただきました。 そしてこの会を最後にお別れするのがイメさん。コスタリカから筑波大学に留学しているべっぴんさん。縁あってこのカフェで数年間英語とスペイン語の先生をしてもらいました。とはいえレッスンの半分以上は日本語のおしゃべりでしたが。 実はイメさんは今年の3月に勉強を終えるはずだったのですが論文が間に合わず卒業式にも出られませんでした。カフェのオーナーであるクミさんは是非ともイメさんに袴をはかせてあげたいとご用意されていたのですがそれも叶わず。それでもイメさんは頑張って論文を書き上げて半年余り後に念願の学位を取得。晴れてイメ博士になりました。 そこでつい1週間ばかり前のことですが満を持してクミさんは袴を用意。着せてもらった袴姿のイメ博士、学位証を手に記念撮影。長身のイメさんのためにクミさんは丈を最大限に伸ばしたということ。妙にスタイルのいい袴姿のイメ博士はその後自身の研究の内容を我々に講義してくれました。 博士の専門は世界遺産。残念ながら母国では様々な事情からこの分野での就職は難しいとか。ともかく今年いっぱいで日本を去ることになったイメさんですが一旦コスタリカに戻りその後大学で数学を教える彼氏、ダビッドのいるアメリカに行くとのことでした。 さて宴もたけなわとなった頃イメさんから重大発表。「私、結婚します!」おめでとうイメさんそしてダビッド。現在はビザの申請中だそうですが時おりしもトランプ政権。中米出身の2人にとっては決して芳しい状況とはいえません。 そしてクリスマス当日はというと、子育ても終わった家の中はクリスマス感皆無。まして日本人のクリスマス文化に疑問を感じるひねくれものの私。それでも車の運転中にラジオから流れてくるクリスマスソングには無意識に反応して不覚にも口ずさんでしまいます。しかしながらケーキや鶏を夫婦で食べるのも滑稽なことで、定番の鍋物をいただき聖夜はまさに静夜として何事もなく過ぎていく。(画家)

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