金曜日, 4月 19, 2024
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留学生らにお餅振る舞う 筑波大学の国際交流支援窓口

【車谷郁実】筑波大学(つくば市天王台)で7、8の両日、新型コロナの影響で帰省できない留学生や外国人教員、日本人学生らに向けてお餅を配布するイベントが行われた。大学が異文化交流や留学支援などのために設けている支援窓口、グローバルコモンズ機構(ベントン・キャロライン機構長)による。2日間で、事前に申し込みをした57人の留学生を含む125人がお餅を受け取った。 イベントでは個包装された紅白ののし餅2つが学生らに手渡された。お餅を食べ慣れていない留学生らに向けて、おすすめの調理方法や食べ方を英語で紹介したYouTubeのURLを記載した職員手作りの冊子も配布された。お餅を受け取った留学生からは「焼いて食べたい」「今朝も餅を食べたが、帰宅したらまた食べたい」などの声が挙がった。 グローバルコモンズ機構の糸井智香国際事業係長は「全国的にイベントや祭りが中止になり留学生にとって日本文化を感じる機会が少ない1年だったと思う。少しでも日本の正月の雰囲気を味わってもらえれば」とイベント開催の経緯について語る。 留学生に日本の文化を知ってもらおうと会場には、芸術学群の学生が所属する桐書藝団、池坊華道部がそれぞれ書道作品の揮毫(きごう)、生け花を展示したほか、絵馬を書くブースなども設けた。中国人の男子留学生は「書道のレベルの高さに驚いた。すごい」と目を輝かせていた。 同機構では例年、異文化交流イベントなどを常時開催し、学内の異文化理解を促進している。昨年1月には外国人教職員向けの餅つきや書き初めの体験イベントを行い、つきたての餅およそ250食がその場で振る舞われた。だが、昨年は新型コロナの影響で、対面でのイベントは一度も開催できなかった。 今回は、直接職員の手に触れない個包装になっているお餅を用い、入り口での検温や消毒に加え、密を避けるために配布の時間帯を2日間で5回に分けるなどの感染対策を徹底することで開催できた。 糸井係長は「餅を初めて食べる留学生もいた。今回のようなイベントがないと異文化交流が進まない」という。しかし、「イベントを企画した1カ月前とはコロナの感染状況が全く違う。1週間遅ければ開催も断念したかもしれない。日々状況が変化していく中で企画していくのは難しい」とも語った。

就職・進学への不安 新しい生活様式に生きる留学生 筑波大学

【竹田栄紀】新型コロナウイルスの感染拡大は、留学生の生活を一変させたといわれる。身近に頼れる人が少ない留学生は孤立してしまうことも多い。つくばには多くの外国人が暮らす。10月から秋学期が始まる筑波大学(つくば市天王台)で、留学生の生活の現状を探った。 アルバイト収入ゼロに 筑波大大学院生命科学研究科修士2年の中国人留学生、楊逸暉さん(27)は来日4年目。来年、日本の製薬会社に就職予定だ。新型コロナの影響で来日時から志望していた観光業の新卒採用が滞ってしまい、志望業種の変更を強いられた。 楊さんは「留学生の枠はもともと限られており、そこに新型コロナによる混乱、新卒採用見送りなどが重なって苦しい就職活動となった」と振り返る。 「親からの仕送りで生計を立てている。親が公務員ということもあって仕送り額に影響はなかったが、アルバイトは大学の補助員をしていたため、仕事がなくなり収入はゼロとなった」 精神面への影響も大きいという。「長期休暇には毎回、帰省をしていたが、次にいつ帰れるか分からない。SNSのWeChat(ウィーチャット)で週に何回か連絡して寂しさを紛らわせている」と嘆く。 大学のサポートに高評価 人文・文化学群のモンゴル出身女子留学生(20)は10月から3年次に進級予定だ。卒業後は大学院への進学を考えている。 「生入は主にアルバイトと奨学金。アルバイトは幸いシフト減の影響は受けなかった。モンゴルと日本は物価差が大きく、元々自力でやりくりしていた。日本は奨学金も見つけやすいし、大学のサポートもしっかりしている方だと感じる」と語った。 大学は、オンラインで基本情報登録をした留学生全員に12万円の支援を実施した。日本人学生への支援金1万5000円~3万円と比較しても、より手厚く支援する形をとった。「申請しやすかった」と留学生からの評価は高い。 公的支援分かりにくい しかし、2人や周囲の留学生は共通して、国や市町村などの公的機関の支援の申請の仕方や条件の分かりにくさを指摘した。特に文科省の「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』は、留学生に対する条件が曖昧だと感じた。必要書類も多いため、日本語が不得意な場合、申請しにくいという。「存在も知らなかった」と語る留学生も多い。 大学留学生相談室アドバイザーの安婷婷助教によると「筑波大の留学生は2019年度までは増加傾向だったが、今年は新型コロナの影響で日本語学校からの留学生以外ほとんど入国できず、入学者数は少ない」そうだ。 「筑波大は日本語、英語、中国語の3言語に対応しており、さらには心理専門の相談員がおり、全国的にみて専門性も高い方だと感じる。留学生はコミュニティーが狭くなりがちで孤立してしまう場合が多い。相談室では進学・進路、対人関係、心身健康などさまざまな面から相談に乗ることができる。積極的に大学のリソースを活用して困難を乗り越えて、成長して欲しい」 同相談室では7月1日から条件付きで対面による相談を再開している。秋学期も引き続き、経済面・精神面への手厚いサポート体制が大学には求められる。(筑波大学2年 ドットジェイピーインターン生)

オンラインでもYOSAKOIは踊れる 筑波大学生サークル「斬桐舞」(下)

【車谷郁実】新曲の完成を目指し、オンラインでの振り入れが始まって、もうすぐ1カ月。初めての試みはうまく進んでいるのだろうか。 新曲の振り入れは週に2回で2時間程度。1回の練習に30~40人が参加している。振りは各パート2、3人が中心となって考えた。練習ではそのうちの一人が振りを教え、残りの人が部員の踊っている様子を観察して気づいたことを担当者に伝える。練習の様子は録画し、後で見返すことが出来るようにした。 手を広げ満面の笑みで踊ってる オンラインでは相手に直接触れることができないため、腕の微妙な角度やつま先の向きなどの細かい部分を伝えることが難しい。担当者は「腕の角度は45度、つま先は外にむけて」など画面に各パーツのみを映しながら、動きを言語化して具体的に伝えている。 しかし、対面と違いオンラインでは同時に複数の人が会話をすることができない。自然と会話の数が減り、淡々と時間が過ぎてしまうこともしばしば。実際に振りを教えた小澤政貴さん(20)は「コミュニケーションをとることが難しく、相手がどう思っているかがわかりづらい」と不安げな様子を見せる。そこで、部員の進捗状況を把握するため、定期的に各自で動画を撮って提出してもらい、振りをどのくらい覚えられているか確認するようにした。 動画を見た部長の田中大輔さん(21)は「こんなに新入部員のみんなが踊れるようになると思っていなかった。自主練習を頑張ってくれたんだと思うととてもうれしい」と予想外の出来に驚きをみせた。新入部員の渥美和香奈さん(18)は録画された先輩の動画を0.5倍速で再生し、練習後それを見て自主練習に励んだという。練習を何度も見返すことが出来るというオンラインならではの良さを活かした。 また、オンライン練習では手をつないだり、ハイタッチしたりしながら踊ることができないなかで、多くの部員が手を画面いっぱいに広げて満面の笑みで踊っている様子も目立つ。新入部員の米谷はづきさん(19)は「先輩がニコニコ踊っているのを見て、画面越しでも楽しさが伝わった。対面だったらもっと楽しいんだろうな」とまだ知らないYOSAKOIの魅力に思いをはせている。 振り入れは9月いっぱいまで。全員に振りを覚えてもらった後、各々の動画をつないで一つの動画にする予定だ。田中さんは「引退前に必ず曲を完成させたい。リモートでも一体感を味わえる作品にしたい」と意気込んでいる。(筑波大学社会国際学群社会学類1年、ドットジェイピーインターン生)=おわり

将来は英語を生かせる仕事に NEWSつくばでインターンシップ 筑波大学日竎若菜さん

https://www.youtube.com/watch?v=g_iqV9Yq4XE 【伊藤悦子】土浦市のインターネットテレビ、Vチャンネルいばらきは20日放映の第92回で、筑波大学社会・国際学群国際総合学類1年、日竎(ひび)若菜さんをゲストに招いて話を聞いた。1月から2か月間 、ソーシャル・インターンシップ事業を運営するNPO法人ドットジェイピーのインターンシップをNEWSつくばで行った、 インターンシップ先にNEWSつくばを選んだのは、メディアに興味があること、取材を通して社会のいろいろな面を見られるのではと思ったからだという。実際に、つくば市議会を傍聴やつくば市長会見、東日本大震災関連の取材に同行した。 記者は取材、メモ、録音、撮影などすべて1人でやっていて大変そうだと思ったが、やりがいのある仕事だと思ったという。また市議会や市長会見は、内容が専門的で難しいところもあったが、議員のことを今までより身近に感じることができたと語った。 またアナウンサーの有働文子さんがキャスターを務める、毎週月曜日夕方のラヂオつくば「つくば You’ve got 84.2(つくば ゆうがた発信chu!)」にも出演、NEWSつくばのニュースを伝えた。最初は緊張したがMCの有働さんのおかげでリラックスでき、原稿を自分で作成して読むなど貴重な経験ができたという。 日竎さんは「NEWSつくばで2カ月間インターンシップをやったことで、つくばのことがよくわかった」と話す。 また大学のサークル活動では、夏休みに建築ボランティアとしてインドネシアに行った。日本では当たり前だと思っていたことが、現地では当たり前ではないことなどを実感したという。農業ボランティアのサークルにも入っており、今はニンジンの収穫を行っているそうだ。「将来はインターンシップやサークルでの経験を生かしながら、英語を使う仕事をしたい」と笑顔で話した。

《茨城の創生を考える》14 筑波大学に期待したいこと その2

【コラム・中尾隆友】今回は前回(1月31日掲載)の続きです。 第2に、研究や人材育成において、全国の大学や企業といっそうの協力・提携を深めながら、オープンイノベーションを推進していくということだ。昨今の大学は運営資金の減少から研究資金も不足がちであり、既成の枠組みにとらわれない研究をしようとしたら、とてもひとつの大学では研究を続けるのが難しくなってきているからだ。 そうであるからこそ、高いレベルの研究ができる仲間づくりが重要な意味合いを持っているのだ。大学と大学、あるいは大学と企業の共同研究や人材交流がますます増えていけば、大学と大学、あるいは大学と企業の双方の競争力向上やイノベーションに直結する成果が出てくる可能性が高まっていくはずだ。 以上の2つの改善点を踏まえたうえで、私が筑波大学に望む新しい大学像とは、学類(誤解を恐れずに言えば、筑波では「学部」が「学類」に相当する)ごとに縦割りになっている体制をもっと緩めて、学生が学類をいっそう自由に横断できる仕組みをつくってほしいということだ。大学を卒業するまでにひとつの学士だけでなく、複数の学士を修めることができるような体制をつくってほしいのだ。 文系と理系が融合したハイブリッド人材 たとえば、経営学とシステム工学の両方に精通する学生がいたら、社会に出て何かおもしろいことをやってくれると思えるのではないか。分野が違う複数の学問を修める学生を育てるには、複数の学類の教授陣が協力してカリキュラムや授業をつくるなど、学類を越えた横断的な取り組みが欠かせないだろう。 今のところ日本では、企業が求める人材は理学部や工学部の需要が強く、文系より理系のほうが優位な状況がしばらくは続きそうだ。しかし私が予想する未来では、文系と理系が融合したハイブリッド系の人材がもっとも重宝がられるようになるのではないかと考えている。 スマートフォンや自動運転車のように、イノベーションが異分野の融合から生まれるという事実から判断すれば、ハイブリッド系の人材が増えていけば、イノベーションが生まれる可能性はいっそう高まるはずだからだ。 これからの新しい時代では、大学のなかにも文系と理系の両方の要素を併せ持った学部や学科が誕生することを期待している。文系の感性を持った思考力と理系の論理で構築した思考力が組み合わさることによって、新しいタイプの人材を社会に送り出すことは、大学の存在意義をきっと高めてくれることになるだろう。(経営アドバイザー) ➡中尾隆友さんの過去のコラムはこちら

《茨城の創生を考える》13 筑波大学に期待したいこと その1

【コラム・中尾隆友】経済のグローバル化に続いてデジタル化の波が押し寄せている中で、企業は新卒一括採用を見直し、通年採用を拡大しようとしている。その流れと並行して、定年の延長が着々と進み、即戦力を求める中途採用がメジャーな採用になっていく見通しにあるのだ。 すなわち、新卒一括採用の重みが徐々になくなっていき、国公立か私立かにかかわらず、大学の役割と存在意義が問われる時代が到来するということだ。 日本の大学の最大の問題点は、学生が入学するためには必死で勉強するが、入学後はあまり勉強しなくても卒業できてしまう点だ。 そこで日本の大学を改革するために必要最低条件となるのは、卒業要件を厳格化し、勉学に励む学生しか卒業できない仕組みに改めるということだ。大学が卒業生に対して専門性に相応(ふさわ)しい知識や思考力を担保できなければ、日本の経済・社会の発展に貢献することなど、できるはずがないからだ。 縦割りで閉鎖的な組織を変えよ その上で、縦割りで閉鎖的な組織を変えていくことも欠かせない。大学のカリキュラムは基本的に学部ごとの縦割りになっていて、一部を除き、学部をまたいだ横の連携が皆無に等しいので、高度な人材を育成するための大きな障壁になってしまっているのだ。 たとえば、日本の大学がAI人材の育成で遅れを取っているのは、理学部や工学部といった昔からの学部編成に分かれていて、数学と情報工学など複数の分野を学べる環境が未だ十分に整っていないからだ。学部や学科をまたいで相乗効果が見込める共同授業を提供するなど、有為な人材を育てるという目線に立たなければならないだろう。 私は少なくともこれらの問題点に限っては、筑波大学はおおよそクリアできていると思う。しかしそれでも、筑波大学にはもっと変わってもらいたいと期待している。いくつかの古い体質や慣習などを改めていくことが欠かせないからだ。 第1に、優秀な人材を発掘する方法を改めなければならないということだ。大学は本当にすぐれた才能を見つけ出すことができているのか、大いに疑問を感じているからだ。 当然のことながら、試験内容の変更などで試行錯誤はしているのだろうが、結局のところ教員が今まで実践してきた才能の選び方に固執し続けていることはないか、検証の必要があるだろう。それぞれの専門性に真に不可欠な能力は何かということを、世界や社会の変化に順応して常に問い直していかねばならないからだ。―次回に続く― (経営アドバイザー) ➡中尾隆友さんの過去のコラムはこちら

筑波大学サテライトオフィスで書籍を無料貸し出し つくば駅前

【田中めぐみ】つくば市吾妻のBiViつくば2階、筑波大学サテライトオフィスが、同大学の施設案内や各種資料の配布のほか、教員や卒業生が執筆した書籍の貸し出しを無料で行っている。貸出期間は3週間。 書棚には筑波大学出版会から刊行された本を中心に約30冊が並び、ジャンルは栄養学や生物学、社会学、宗教学、スポーツ理論などさまざま。出版年は問わず、古いものから新しいものまで、できるだけ分野が偏らないように並べ、時々新しいものと入れ替えているという。オフィスには筑波大学の学生スタッフが常駐しており、本や大学について聞くこともできる。 『蟲愛づる人の蟲がたり』を読む  並べられた本の中から、今年3月6日に出版された『蟲愛(むしめ)づる人の蟲がたり』(筑波大学出版会)を手に取った。同大学山岳科学センター菅平高原実験所が発行している情報誌「菅平生き物通信」に掲載してきた10年分の記事の中から、昆虫にかかわる記事をピックアップしてまとめたもので、虫をこよなく愛する教職員と学生執筆者20人による、虫のエッセーや紹介、およそ60編が収録されている。 「昆虫は口で呼吸をしない!」「結婚するために目が飛び出ちゃった昆虫たち」など、興味ひかれる見出しが並び、それぞれのテーマが1ページから2ページに短くまとまっている。読みたいところどこから読み始めてもいい。 「なぜ蛾は光に集まるの?」「ノミの心臓はどこにある?」といった誰もが一度は感じたことのあるような素朴な疑問も学術的に解説し、イラストや写真も豊富。内容は中学生から大人向けだが、専門用語には読みがながふってあり、語り口はやさしく読みやすい。 記者が特に驚いたのは、昆虫は血管が無い代わりに「背脈管(はいみゃくかん)」という長いポンプで血液を循環させているということだ。翅(はね)にも血液を行きわたらせるために「翅脈(しみゃく)」を使い、筋肉の弛緩によって血液を送り出すのだという。また、昆虫の脱皮が「クチクラ」という分泌物を使って行われ、昆虫にとって命がけの作業であることも初めて知った。昆虫はまるで宇宙生命なのではないかと思うほど不思議に満ちている。 本書のタイトルに用いられている「蟲」の字は、今は常用されていないが、宋代に作られた字書『集韻(しゅういん)』に、裸蟲、毛蟲、羽蟲、鱗のある生き物、魚介など細々とした小さな生き物たちを指すとある。「蟲」の字は、小さな虫たちが表紙の絵のように一堂に集まる様子を表しているように思える。そして短い文章が集まった本書の構成自体も実に「蟲」的だ。 「蟲愛づる人」というタイトルは、平安末期から鎌倉初期にまとめられたとされる短編集『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」によっている。虫めづる姫君は「風の谷のナウシカ」のモデルにもなったという虫好きのおてんば姫だ。 物語の中で姫君は、様々な虫を採集し「これが成長して変化する様子を見よう」と言って虫かごに入れる。中でも毛虫が大のお気に入り。「毛虫が思慮深い様子をしているのは奥ゆかしい」と、一日中、額髪を耳の後ろにはさみ、毛虫を手のひらの上にはわせてじっと見つめ続けている。 高畑勲監督のアニメ「かぐや姫の物語」に出てくるかぐや姫はおてんばで、虫めづる姫君のイメージに近い。毛虫が「心深し」(思慮深い)というのはなんとなく分からないでもないが、「心にくし」(奥ゆかしい、心ひかれる、上品で美しい)とは。本書の中にも『枕草子』に模して「かはげら草子」と題し、カワゲラという虫の魅力について「をかし」と語ったエッセーが収録されている。虫愛でる姫君と本書の虫好き研究者たちとはまさに同じ目線。『蟲愛づる人の蟲がたり』というタイトルがぴったりだ。 ◆BiViつくば 筑波大学サテライトオフィス(電話029-855-2101)

僕たちのヤマカツ先生 筑波大学で「追悼 山口勝弘」展始まる

【伊藤悦子】昨年5月、90歳で亡くなった筑波大学名誉教授、山口勝弘さん(1928-2018)をしのぶ『追悼 山口勝弘:僕たちのヤマカツ先生』展が2日、筑波大学会館アートスペース(つくば市天王台)で始まった。 11月2日まで。2005年から07年に描いた「顔曼荼羅シリーズ」7点のほか、年表や画像資料、授業の音源、ポートレート、卒業生から寄せられた山口さんへのオマージュ作品などが展示されている。 戦後まもなく芸術活動を始めた山口さんは、光や映像、音響など最新のテクノロジーを作品に取り入れたメディアアートの先駆者として知られている。同大学に新設された総合造形領域で、1977年から15年間、後進の指導に当たった。在職中は芸術研究科長、芸術系学長、芸術専門学群長を歴任。アーティストであり、教育者でもあった山口さんは、「ヤマカツ先生」の愛称で慕われていた。教え子にはゲームプロデューサーの石原恒和さん(ポケモン社長)など著名人も多い。 今回の展覧会では、教育者としての山口さんにスポットを当てているのが特徴。事務局の林剛人丸(ごうじんまる)さんは、「ヤマカツ先生はメディアアートの始祖鳥のような方。学生たちには芸術と社会、芸術とテクノロジーなど、先生ご自身が経験されたことを教えていた」と話す。 「ヤマカツ先生」への思いをつづった卒業生や退官教員、関係者からの寄稿文も読むことができる。受付を担当していた同大学大学院2年の男子学生は「山口先生が筑波大学の芸術専門学群の流れを作られたことを実感した。たくさんの人に観てもらいたい」と話している。 【追悼 山口勝弘:僕たちのヤマカツ先生】 日程:11月2日(土)まで(毎週日曜日、10月22日、26日は休み)午前9時~午後5時 会場:筑波大学大学会館アートスペース ◆関連プログラム ▽山口勝弘ビデオ彫刻作品のアーカイブ事業成果発表会 10月2日から11日(日曜を除く)午前9時~午後5時、同大学総合交流会館多目的ホールで開催。文化庁メディア芸術アーカイブ推進事業採択の成果として1988年に制作された『アーチ』を再整備したもの。 ▽シンポジウム「僕たちのヤマカツ先生とは、」 10月5日午後0時30分から同大学芸術エリア6A208教室で開催。山口勝弘ビデオ彫刻作品のアーカイブ研究グループが、教育者である山口の目指したものや、影響力について語り合う。パネリストはクリストフ・シャルル、井口壽乃、森山朋絵ほか、モデレーターは森脇博之(敬称略)。 いずれも入場は無料。問い合わせは「僕たちのヤマカツ先生展」事務局・林さん(TEL029-853-2861)

10月にノバホールで定期演奏会 ソリスト2人を迎え筑波大学管弦楽団

【北村祐子】筑波大学管弦楽団の第86回定期演奏会が10月19日、つくば市吾妻のノバホールで開かれる。楽団は1974年に創立し、ノバホールで毎年春と秋に開催する定期演奏会、冬のプロムナードコンサートをメーンに活動している。ほかにも、アンサンブルコンサートや大学・大学院の式典での演奏、依頼演奏などを行っていて、現在の団員数は約100人。各パートやセクションで、定期的にトレーナーの指導を受けていることも楽団の特徴のひとつだ。 演奏会の曲目は、ロッシーニ/歌劇『どろぼうかささぎ』序曲、ブラームス/バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調、ドボルザーク/交響曲第8番ト長調。メーン曲となるドボルザークの交響曲第8番は、同楽団の定期演奏会で過去に最も演奏されているという名曲。チェコののどかな田園を思わせるメロディーが印象的だ。一方で、ブラームスのバイオリンとチェロのための二重協奏曲を楽団が演奏するのは今回が初めてとなる。ソリストには、バイオリニストで楽団OBでもある三浦章宏氏、チェリストの渡邉辰紀氏を迎える。2人のソリストとオーケストラとの掛け合いは聞きのがせない。 普段は週3回の練習を基本に活動しているが、9月上旬には志賀高原(長野)で4泊5日の合宿も行った。レッスンや合奏で得たことをもとに、残り約1カ月で演奏にさらに磨きをかける。団長の北浦光祐さん(20)は、「5月半ばから準備、練習してきた。筑波大学管弦楽団ならではのエネルギッシュな演奏を届けられるようにがんばります」と話した。(ライターはドットジェイピー・インターン) ◆筑波大学管弦楽団演奏会 10月19日(土)午後1時15分開場、14時開演。チケット料金は全席自由で1000円(税込み)。当日券は午後1時から販売開始。購入場所はノバホール事務局クレフ楽器、チケットぴあPコード160025などで。ホームページhttps://www.tsukuba-orch.org/

2種類の演算加速装置で性能アップ 筑波大学10代目のスパコンCygnus登場

【相澤冬樹】性格の異なる演算加速装置を2種類組み合わせた、世界で初めてのスーパーコンピューターが26日、筑波大学計算科学研究センター(つくば市天王台、梅村雅之センター長)で報道陣にお披露目された。4月から運用を開始するCygnus(シグナス)は、同センターにとって10代目のスパコン。会見で梅村センター長は「世界最速でも純国産でもないけれど、限界の見え始めたスパコンの開発競争に新たな方向性を提案するものだ」と胸を張った。 スパコンは、多くのコンピューターをつなげて、並列処理により高速の演算を実行するシステムで、1台1台をノードという。Cygnusは各計算ノードに、CPU(中央処理装置)に加え、計算処理を行う半導体チップのGPUを搭載、さらに一部のノードにはプログラマーが現場で論理回路を再構成できる集積回路FPGAを組み込んだ。いずれも市販品だが、2種の演算加速装置を合体させた例は世界初という。 一般にスパコンは、GPUの集積度を上げることで処理性能の高速さを競ってきた。巨大データの処理は得意だが、計算を進める際に分岐条件が出現するケースなどで性能が十分に発揮できず、実効スピードが落ちる弱点があった。FPGAはプログラムを書くのが大変だが柔軟性があり、接続すると装置内の高速通信も可能になる。GPUとFPGA、それぞれの特徴を組み合わて、性能の最適化が図るのが開発の狙いだった。 医療や気象研究に4月から運用開始 同研究センターは2016年度から3カ年、本体に約8億4000万円を投じてCygnusを完成させた。合わせて160基のCPU、320基のGPU、64基のFPGAで構成される。運用期間は6年の予定。「処理スピードだけなら他に早いものはいくらでもあるが、柔軟性を生かして高い演算性能と効率的な並列処理を持たせた。今後に新たな方向性を提供するものだ」(梅村センター長)という。 Cygnusのネーミングは、星座のはくちょう座に由来する。本体2台のノードは、それぞれはくちょう座のアルファ星デネブとベータ星アルビレオになぞらえられ、2種の演算加速装置を合体したノードは二重星アルビレオにちなんでいる。 スパコンを使った計算科学は、数値シミュレーションによるイメージング(可視化・映像化)に用いられることが多い。宇宙進化の謎に迫るなど、基礎物理での利用が盛んだが、近年は睡眠診断や手術ナビなど医療分野での応用に期待が広がっている。4月から約1カ月の試験期間を経て、5月に全国共同利用プログラムとして本格稼働する。すでに公募による19年度分の利用受付は終わっており、70件が採択された。気象やAIなどの研究テーマが決まっている。

【ひと】飲酒量低減外来を開設 筑波大学 吉本尚准教授

【田中めぐみ】筑波大学との連携で1月半ば、北茨城市民病院付属家庭医療センター(同市中郷町)内に飲酒の悩みを抱えている人を対象にした「飲酒量低減外来」が開設された。精神科以外での飲酒専門外来の開設は全国で初めて。毎週木曜日午前中に同大医学医療系の吉本尚准教授ら総合診療医が診察する。反響は大きく、開設して約3週間、予約はほぼいっぱいの状況だという。 北茨城市は筑波大と地域医療で連携しており、同大は総合診療、家庭医療の専門医教育の一環として、同センターで研修や実習を行っている。同外来は飲酒量が多い人や軽度のアルコール依存症の人などが対象。飲酒習慣について質問票で調査した上で、カウンセリングをするほか、場合によっては薬物治療も行い、一人ひとりに合った飲酒量を考えていく。診療で治験を集め、今後つくば・土浦市内、ひいては全国にも取り組みを広めていければとの考えだ。 吉本准教授によると、国内にはアルコール依存症が100万人いるとされているが、医療機関を受診している人は4~5万人。アルコール依存症の診療は従来、精神科や心療内科の領域であるため、受診をためらってしまうことが原因の一つとみられる。「アルコールの問題で悩んでいる人は想像以上に多い。悩んでいる人がもっと気軽に受診できるよう、新しい取り組みにチャレンジできないかと考え、飲酒量低減外来を開設した」と話す。 厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」としている量は、ビールなら男性で500ミリリットル、女性や高齢者はその半分。吉本准教授らが関東の31大学の学生533人を対象に調査したところ、飲み放題のサービスがある店では、飲み放題でない店よりも飲酒量が2倍近く増える傾向があるという。また関東の大学生2177人を調査したところ、男性では2時間で1缶500ミリリットルのビールを2本半、女性では2本飲むと、けがのリスクが25.6倍になったという。海外では飲み放題の規制をしている国もある。 アルコール・うつ・自殺は関連が深く、「死のトライアングル」と呼ばれている。吉本准教授は「最近は芸能界やスポーツ業界などでも、お酒に関係する事件の報道がされて話題になっており、お酒との付き合い方は難しいと感じる」そうだ。「『自分は飲み過ぎではないか』『飲む量を減らしたい』など、飲酒のことで気になること、困りごとがあればなんでも気軽に相談してほしい。本人だけでなく、家族の相談でもかまわない。体、心の害が出ないようにお酒とうまく付き合える支援をしていきたい」と話している。 [吉本尚(よしもと・ひさし)]北海道出身、筑波大卒、医学博士。2014年に母校に戻り、18年から医学医療系地域総合診療医学准教授、総合診療に関わる医師の在り方を提案している。 ◆北茨城市民病院付属家庭医療センターは予約制で1日3人まで。電話0293-43-1131 ◆飲酒に関する相談は同センターのほか、筑波大学付属病院総合診療グループ。電話029-853-3189

筑波大学ミニ展示「謎の古生物パレオパラドキシアを復元してみた!」

期間は2018年12月3日~19年1月31日 2017年6月筑波大学の古生物標本収蔵庫で見つかった骨化石が1600万年前の水生哺乳類パレオパラドキシアの右大腿骨であることが分かった。発見された骨化石の実物とレプリカのほか、3Dプリンターで新たに作製した骨格復元模型を展示する。 サイエンスカフェが12月22日(土)午後3時~4時30分に開かれ、骨化石を調査した筑波大生命環境系の上松佐知子准教授が話す。  

筑波大学附属図書館特別展「グローバルに挑む群像—幕末から明治へ」

会期は10月29日(月)~11月30日(金) 幕末・維新期から明治前半期を中心に、グローバルな世界に挑戦した人々の姿を同附属図書館所蔵の貴重図書・和装古書から取り上げ、日本近代の在り方を考える。 ①条約交渉と昌平坂学問所の儒者②動乱を生きた人びと③明治を拓いた名著—の3部構成で、昌平坂学問所関係文書、幕末関係記録、長州藩士記録、西洋料理通などの資料が展示される。

江戸から続く花壇で鑑賞を 筑波実験植物園で「さくらそう展」

筑波大保有の100種展示 国立科学博物館・筑波実験植物園(つくば市天久保)で13日からコレクション特別公開「さくらそう品種展」が始まる。植物園屋外には江戸時代からの鑑賞方法である「桜草(さくらそう)花壇」が設置され、遺伝資源の保存を目的に筑波大が保有する鉢植えされたサクラソウが100種以上展示される。 白い花をつける「薄蛇の目(うすじゃのめ)」、中心の白から外に向かって赤く色づく「天晴(あっぱれ)」、梅の花のような丸みをもつ「鶯宿梅(おうしゅくばい)」、大ぶりの真っ白な花が印象的な「満月」、現存する最古の品種とされる「南京小桜」など、それぞれ色や形に特徴を持つのが見どころだ。 室町中期ごろから貴族の間で栽培が始まったサクラソウ。品種改良が盛んになったのは江戸中期ごろとされる。江戸を流れる荒川流域に自生地が広がっていたこと、鉢植えで育てられることから「庶民の花」として江戸の人々の間で人気を博していった。 「野生の花を持ち帰り、種を採取してまいてみるとちょっと変わった花が咲くことがある。今まで他の人が持っていない珍しい花を選びとることが繰り返されて今に至る。途中から意図的に交雑させることをしていったと考えられる」と筑波大学つくば機能イノベーション研究センター准教授の吉岡洋輔さんが説明する。「並べて展示することで人の目をひきつけることができ、鑑賞者を喜ばせることができる」のも人気の要因だという。 絶滅の危機 人々に親しまれてきたサクラソウだが、近年は、環境の変化や乱開発により個体数が減り、環境省の準絶滅危惧に指定されている。愛好家らによる自生地の保全活動は全国的に活発になり「保全活動のアイドル的存在」なのだと吉岡さんは言う。 筑波大では園芸品種の遺伝資源の保存を目的に、つくば市民に栽培を委託する「サクラソウ里親制度」を2004年からスタートさせている。大学で保有する品種が、天災などの原因で絶えてしまったときに、里親から株を返還してもらう仕組みだ。同時に、江戸から続く文化を市民に知ってもらいたいという意味も込めている。会場には10年、20年続ける里親の声がパネル化され、屋外にはそれぞれが育てた鉢植えも見ることができる。 「サクラソウは元々日本に野生種がありそこから広がっていったもの。起源が日本にある園芸種は珍しい。四季のある日本の気候に合っているため、基本的な管理ができれば栽培はそこまで難しくはない。形や色など豊富な品種を見ることができるので、是非、自分好みのサクラソウに出会っていただけたら」と吉岡さんが来場を呼びかける。 教育棟ではサクラソウ栽培の歴史を知るパネル展が開かれる。(柴田大輔) ◆コレクション特別公開「さくらそう品種展」は4月13日(土)から21日(日)まで。15日(月)は休園。開場は午前9時から午後4時30分。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上、障害者などは無料。販売もあるが、無くなり次第終了する。

LGBTQとパレスチナ、分断ではなく連帯を 筑波大生が映画試聴会

「LGBTQ(性的少数者)に排他的なパレスチナを擁護することは、LGBTQの権利をないがしろにしている」。SNS上でも広がる「パレスチナへの連帯か、LGBTQの人権か」という二項対立的な論争にあらがおうと、筑波大学の学生有志を中心に、「LGBTQ+の運動を考えよう 映像試聴会」が14日に開催される。試聴会を企画した木原里沙さん(21) 、同大学院の正木僚さん(28)、りょうさん(仮名・23)は「あらゆる人権侵害を許さずに、LGBTQの権利回復を目指すための連帯と抵抗について考えたい」と話す。木原さんと正木さんはLGBTQ当事者だ。 虐殺を覆い隠す「ピンクウォッシュ」 人権侵害の事実を隠す意図で、特に同性愛者に理解があることを強調することを「ピンクウォッシュ」という。同性愛者のシンボルカラーとされる「ピンク」と、「覆い隠す」という動詞「whitewash(ホワイトウォッシュ)」を合わせた造語だ。特にイスラエル政府がLGBTQフレンドリーであると世界にアピールすることで、パレスチナへの占領という負のイメージを覆い隠していると批判する言葉だ。 毎年4月後半に開催される国内最大級のLGBTQ関連イベント「東京レインボープライド」も例年、イスラエル大使館がブースを出展していたため、「ピンクウォッシュだ」と当事者団体などから批判されていた。今年も19日から3日間、開催される予定だが、協賛企業のいくつかが、パレスチナで虐殺を続けるイスラエルに製品・サービスを提供しているとして、現在、世界中で不買運動が呼び掛けられている。 人権問題に優先順位はない 試聴会では、ドキュメンタリー映画『これがピンクウォッシュ!シアトルの闘い』(ディーン・スペード監督、2015年)を上映し、参加者同士で感想を共有する。2012年、イスラエルのLGBTQ活動家の訪問を歓迎するかどうかで、シアトルのLGBTQコミュニティが激しく揺れた様子を描いたものだ。 「過去のLGBT運動にはトランスジェンダーも関わっていたが、同性愛者の権利回復が優先されしまい、トランスジェンダーの権利は取り残されてきた。『LGBTQの権利か、パレスチナの解放か』のように、人権問題に優先順位をつけてしまうと、見落とされてしまう人が出てくる。レインボープライドを目前に、これからの運動のあり方を考えたい」と、正木さんは企画の趣旨を説明する。 木原さんは、大学内でLGBTQ当事者か否かに関わらずレインボープライドに参加予定の人もいるとし、「LGBTQというマイノリティ性を持っていても、他の社会課題に関心を持てるとは限らない。レインボープライドに参加する前に、一緒に映画を観て、パレスチナについて考えられたら」と話す。 りょうさんは「反対意見が出ると、それを押さえつけたくなるが、規模が大きくなるほど、いろんな考えの人が入ってきて当たり前。最初から批判されないことを目指すと、意見の異なる人を排除し、当事者を分断してしまうことにもなりかねない。意見の違いを受け入れながら、変わり続けることが大切」という。 連帯の可能性を模索 正木さんは昨年、イスラエルによるパレスチナへの攻撃が激しくなってから、問題に関心を持つようになり、できるだけ不買運動の対象にされている企業の商品を買わなくなった。「遠く離れたパレスチナを身近に感じることは難しいかもしれないが、社会課題はLGBTQの問題だけを切り離して考えられるものではない。気づかないうちに、自分が虐殺に加担してしまう可能性もあることを参加者と共有できたら」と話す。りょうさんも「私自身も知らないことが多く、危機感を持っている。知ることを放棄せず、仲間と一緒に知識を更新し続ける必要性も、参加者と考えたい」と期待する。 一方「今の私たちが見えていない社会課題もある。世代も関係なく、様々な人に参加してもらい、私たち自身も新しい視点を獲得したい。これからもLGBTQの問題に限らず、立場を超えて、いろんな人と繋がれるイベントを開催する予定」だと正木さんは話し、複合的な社会課題の解決に向けた連帯の可能性を模索する。 その一環として、28日には、同じメンバーが主催し、地域住民を対象に、特定の問題に限定することなく、日常で感じるモヤモヤを参加者同士で共有しあうイベント「灰色のため息だって彩りたい!」を開催する。 ◆「LGBTQ+の運動を考えよう 映像試聴会」は4月14日(日)午後1時から3時、ブックカフェ「本と喫茶 サッフォー」(つくば市天久保)で開催。参加費無料、ただしワンオーダー制。参加申込はこちら。定員20人。定員になり次第、締め切る。 ◆「灰色のため息だって彩りたい!」は4月28日(日) 午後1時から3時、同会場で開催。参加費無料、ただし19歳以上はワンオーダー制。参加申込はこちら。定員20人。

能登の高校生に元気を 筑波大バドミントン部が練習会 OBが呼び掛け 

筑波大学(つくば市天王台)バドミントン部の部員らが3月30、31日の2日間、能登半島地震で被災した高校生を対象に、石川県金沢市の県立工業高校体育館でバドミントン練習会を開催した。同大バドミントン部OBで、被災地の珠洲市で高校教員として勤務する清水亮輔さん(27)が「被災した子どもたちにバドミントを練習できる機会をつくれないか」と呼び掛けたことがきっかけになった。 清水さんは石川県出身。「震災後、部活動がしたいという生徒がいる中で、体育館が自由に使えないのが現状」という。清水さんによると、能登地区の生徒たちは、現在オンライン授業を活用するなど、学習機会を最低限確保できている一方、部活動に関しては、地震による体育館損壊の影響で、一部のスペースしか利用することができない。バドミントン部の生徒を含め、部活動は週に1回程度。ライフラインである水道はいまだ復旧しておらず、普段通りの生活が取り戻せない状況下で、生徒は自身の進路や大会に向けた練習に向き合っている。 清水さんの呼び掛けをきっかけに、石川県高体連バドミントン専門部、同県バドミントン協会と、筑波大バドミントン部が協働し、開催に至った。清水さんを中心に、能登地区周辺の高校に声を掛け、能登半島の県立輪島高校、七尾高校、飯田高校などのバドミントン部に所属する1〜3年生の生徒が参加した。当日はバスを利用して同校体育館に集まり、両日で延べ150人が練習に励んだ。 筑波大から派遣された部員有志は新入生も含めて12人。部員らで考えた練習メニューをもとに、バドミントンコート6面分ほどの広さの体育館で、男女シングルス、ダブルスなど種目別に分かれて練習を指導した。 清水さんは、同大バドミントン部に対して「ただ単に活動の場所を提供することだけでなく、参加した高校生が今まで以上にバドミントンに熱中できるよう接してもらうことを期待していた」と語り、「学生のおかげで、実際に参加した高校生の生き生きとした表情や、笑顔で楽しむ様子を見ることができた。制限がある中での生活だが、気が紛れたのではないか。石川のために時間を割いてもらってとても感謝している」と話した。 同大部員らの交通費や宿泊費などの開催費用は「がんばろう能登プロジェクト寄付金」と題して同部が寄付を呼び掛けた。約3週間で個人や法人などからおよそ75万円が集まり、練習会では、参加した高校生に対し、メーカーや有志らによるバドミントン練習用具の提供も行われた。 同大体育系助教でバドミントン部顧問の吹田真士総監督は「高校生には、バドミントンに取り組む瞬間だけは、日常を忘れて夢中になってもらえるよう心掛けて接した。この活動が、高校生たちの背中を押す一歩になれば」と話した。 同大大学院1年で部員の服部嶺さん(22)は石川県出身。バドミントンを通して地元に貢献したいという思いで参加した。「参加した生徒から『震災後初めてラケットを握った』『週1回1時間程度の練習しかできない』などと聞き、バドミントンが練習できる環境が整っていない現状を目の当たりにした」と述べ、「大変な時でも必死に1日を生きようとしている高校生の姿を見て、とても勇気づけられた。今後も地元やバドミントン界のためにできることを考えていきたい」と話した。 同大体育専門学群2年で部員の岡村祐輝さん(20)は、小学生の頃から南海トラフ地震に備えた訓練を経験してきたことで、被災地への支援活動に興味を持ち参加した。「金沢で出会えた高校生や、自分たちが活動するための寄付金など、周囲の助けや縁を感じられた2日間だった。自分たちに何ができるかを常に考えながら活動した」と話した。 参加した高校生からは「地震で週に1回しか練習ができていないため、こういった練習はとても良い機会になった」「自分に足りなかった部分がたくさんあったけれど、筑波大学の先輩たちが丁寧にアドバイスしてくれたおかげで、たくさん吸収できた」という声が寄せられた。一方「校舎の体育館が使えないため、自主練習ができない」という声や、「学校で練習ができない」「体育館が使えるか不安」など、地震の被害を受け、練習施設不足に関する悩みも寄せられたという。 吹田総監督は「自分たちに何ができるのかを考えながら、継続して行動し続けることで、周りに良い影響を与えていきたい。将来的には、高校生だけでなく、小中学生を巻き込んだ活動や、石川県以外の被災地とも連携し、支援の幅を広げていければ」と話した。 清水さんも今後について「自分たちにできることには限界があるが、高校生のためにも、競技力の高い筑波大学の学生の力を借りて、練習会をまた実現させたい」と話している。(上田侑子)

つくばFC 開幕戦でスター軍団に勝利

関東サッカーリーグ1部のジョイフル本田つくばFC(本拠地つくば市)は6日、ホームのつくば市山木、セキショウ・チャレンジスタジアムで開かれた開幕戦で、アマチュアサッカー界のスター軍団、南葛SC(東京都葛飾区)と対戦、1-0で勝利し順調な滑り出しとなった。 第58回関東サッカーリーグ1部 第1節(4月6日、セキショウ・チャレンジスタジアム)ジョイフル本田つくばFC 1-0 南葛SC前半1-0後半0-0 つくばは昨季関東1部リーグ5位、地域CL(全国地域サッカーチャンピオンリーグ)3位の成績を挙げ、JFL(日本フットボールリーグ)昇格へあと一歩のところまで迫った。今季こそ関東1部優勝とJFL昇格実現を目指す。 対する南葛SCは、漫画「キャプテン翼」の作者、高橋陽一さんが代表を務め、稲本潤一や大前元紀、今野泰幸ら元日本代表選手が多数在籍する。指導者は筑波大学蹴球部やJ1川﨑・名古屋などを歴任した風間八宏監督が今季から就任した。3月24日には東京都の社会人ナンバーワンを決める東京カップで優勝し、つくばに乗り込んできた。 試合前半、つくばの陣形は3-5-2。前線は恩塚幸之介と石橋オビオラの2トップ。昨季センターFWを務めた熊谷誠也はJFLのアトレチコ鈴鹿クラブへ移籍したが、1年間をJFLのブリオベッカ浦安で過ごした石橋が復帰。189センチの長身とフィジカルを生かし、南葛の高い守備ラインの裏に襲い掛かった。 ウイングバックは右の鍬田一雅が崩し、左の青木竣が刺す形だ。「鋤田らが試合をコントロールするところで自分が前へ入り、フィニッシャーとして狙っていった」と青木。その形が実ったのは前半37分。敵陣でのパスカットから鍬田がドリブルで中央へ持ち込みシュート。相手GKがはじいたところへ詰めていた青木がゴール右隅へ突き刺した。 「しっかり守備から入り、相手が攻撃的に来るところを狙おうというプラン。狙い通りの入りができた。チャンスは作れていたので、決めていればもう少し楽に勝てた」と副島秀治監督。 前半のシュート数はつくばの9本に対し南葛は2本。だが攻撃の回数では南葛に分があった印象がある。それだけつくばの守備陣が、相手の攻撃を跳ね返し続けた。副島監督は「日頃からゲーム形式の練習が多く、一人が抜かれても、もう一人が防ぐことを意識付けできている」と、チャレンジ&カバーの徹底を挙げる。 後半の立ち上がり、つくばは鍬田がドリブルなどで持ち込み、チャンスを作る場面が増えた。「前線の厚みを出そうと、頑張って走って前へ出た。守備のときもなるべく前に残り、相手の守備を下げさせられるよう心掛けた。苦しい時間帯にこそ、一人で2、3人はがして点を取ってこれるスーパーな選手になりたい」と鍬田。 だが時間の経過とともに相手に押し込まれ、守から攻への切り替えがきかなくなる。「体力的に落ちてきてしまった。もっとボールを保持する時間を作れれば気持ちの余裕もできる。セットプレーも突き詰めていきたい」と副島監督。 青木は「1点だけでなく2、3点取りに行く。守備でも抜け目なさを突き詰めたい。地域CLや全国社会人サッカー選手権でも1点の重みを味わってきたので、それをチームメートに伝え、厳しい要求をしていきたい」と、チームにさらなる奮起を促した。 次節は14日、柳島スポーツ公園総合競技場(神奈川県茅ケ崎市)で東邦チタニウムと対戦。17日には天皇杯県予選1回戦があり、RKUフットボールフィールド(龍ケ崎市)で流通経済大学体育局サッカー部と対戦する。(池田充雄)

建つか?筑波大恩師の銅像《看取り医者は見た!》16

【コラム・平野国美】数年前に北海道のある街に出掛けた時のこと。地元の方との話の中で我が恩師の地元が確かここだと思い出し、名前を挙げてみると、「おお、YZ先生のお知り合いですか?」と、相手が身を乗り出してきました。 先生は筑波大学時代の担任で、留年を繰り返した私は、何度も天久保の寿司屋で説教と励ましを受けました。恐れ多くて、知り合いなどとは言えません。その後、先生は母校の東京医科歯科大学に転籍され、トップに登り詰めました。医学界では伝説の方です。 先生の業績で理解しやすいものは、東京工業大学と東京医科歯科大学統合(2024年10月発足)の地ならしがあります。20年以上前、ある空港でお会いしたとき、2大学だけでなく、4大学連合(東京医科歯科大、東京外国語大、東京工業大、一橋大)を唱えておられました。各大学の人材や単位の流動性を図るのだと。 銅像は街の歴史を刻む 地元の方は「立ち消えになりましたが、駅前に先生の銅像を建てようという計画案があったのです」と言っていました。この話を聞き、駅前広場に青空を指差して立つ先生のブロンズ像を想像しました。見た目は、俳優の國村隼さんと「こち亀」の両さんを足して二で割ったような感じです。 学生時代、なぜ東京医科歯科大を目指したのか、先生に聞いたことがあります。「俺、田舎が比布でよ。子供の頃に地元代議士の息子がよ、東京の大学に合格してよ。入学するとき、なまら、わんさの人が駅のホームに集まってよ。札幌に向かう電車に向かって、万歳三唱したの見てよ。俺も、いつか東京に行かなきゃって思ったわけよ。だから、冠(かんむり)に東京って書いてある大学を狙ったわけ」と、話されていました。 地元の人が言う駅前が、比布町なのか旭川市なのか分かりませんが、いつか銅像が実現してほしいものです。もう先生は80代に入り、穏やかな日々を過ごされていると思います。空港で最後にお会いしたときの言葉は「今からハーバードに行ってくる」でした。 銅像は芸術的な意味もあると思いますが、街の歴史を刻むものもあります。私が見てみたいのはロッキー・バルボア像(フィラデルフィア)です。今回の写真の右は別府駅前の別府観光の生みの親、油屋熊八さんの像、そして左の写真は石垣港にある具志堅用高さんの銅像です。(訪問診療医師)

建つか?筑波大恩師の銅像《看取り医者は見た!》16

【コラム・平野国美】数年前に北海道のある街に出掛けた時のこと。地元の方との話の中で我が恩師の地元が確かここだと思い出し、名前を挙げてみると、「おお、YZ先生のお知り合いですか?」と、相手が身を乗り出してきました。 先生は筑波大学時代の担任で、留年を繰り返した私は、何度も天久保の寿司屋で説教と励ましを受けました。恐れ多くて、知り合いなどとは言えません。その後、先生は母校の東京医科歯科大学に転籍され、トップに登り詰めました。医学界では伝説の方です。 先生の業績で理解しやすいものは、東京工業大学と東京医科歯科大学統合(2024年10月発足)の地ならしがあります。20年以上前、ある空港でお会いしたとき、2大学だけでなく、4大学連合(東京医科歯科大、東京外国語大、東京工業大、一橋大)を唱えておられました。各大学の人材や単位の流動性を図るのだと。 銅像は街の歴史を刻む 地元の方は「立ち消えになりましたが、駅前に先生の銅像を建てようという計画案があったのです」と言っていました。この話を聞き、駅前広場に青空を指差して立つ先生のブロンズ像を想像しました。見た目は、俳優の國村隼さんと「こち亀」の両さんを足して二で割ったような感じです。 学生時代、なぜ東京医科歯科大を目指したのか、先生に聞いたことがあります。「俺、田舎が比布でよ。子供の頃に地元代議士の息子がよ、東京の大学に合格してよ。入学するとき、なまら、わんさの人が駅のホームに集まってよ。札幌に向かう電車に向かって、万歳三唱したの見てよ。俺も、いつか東京に行かなきゃって思ったわけよ。だから、冠(かんむり)に東京って書いてある大学を狙ったわけ」と、話されていました。 地元の人が言う駅前が、比布町なのか旭川市なのか分かりませんが、いつか銅像が実現してほしいものです。もう先生は80代に入り、穏やかな日々を過ごされていると思います。空港で最後にお会いしたときの言葉は「今からハーバードに行ってくる」でした。 銅像は芸術的な意味もあると思いますが、街の歴史を刻むものもあります。私が見てみたいのはロッキー・バルボア像(フィラデルフィア)です。今回の写真の右は別府駅前の別府観光の生みの親、油屋熊八さんの像、そして左の写真は石垣港にある具志堅用高さんの銅像です。(訪問診療医師)

「片足跳びでバランス力を」 アスリート社員が走り方教室 関彰商事

関彰商事(本社・筑西市、つくば市、関正樹社長)主催の「セキショウ走り方教室」が4日、つくば市天久保、筑波大学中央体育館で開かれ、仕事をしながら競技に打ち込むアスリート社員が子供たちに、速く、楽しく、かっこよく走る方法を指導した。 講師は2022年に現役を引退した短距離の魚里勇介さん(同社ヒューマンケア部)、セキショウアスリートクラブ「ONE」所属で400mハードルの高橋塁さん(同)、競歩の熊谷菜美さん(経理部)、中距離の平野綾子さん(総務部)。 グループ企業の社員と子供を対象とした走り方教室で、昨年に続き2回目。手書きの名札を胸に付けた子供たち13人が参加した。 ストレッチで体をほぐした後、片足跳びを軸に教室は進行。プログラムの内容は講師の4人で考えた。講師の高橋さんは「一歩一歩の連続が走る動作につながっている。一歩を支えるために必要なバランス力や地面に重心を伝える力を身に付けるために片足跳びは有効」と言い、しっかりひじを曲げて大きく手を振ることが早く走るポイントだと児童らに伝えた。段階的に負荷をかけながら体を動かし、最後は体育館を全力疾走して1時間の教室は終了した。 昨年に続いて2回目の参加という栗原結衣さん(10)は「普段はあまり走らないけどたまに走るのもいい。家にトランポリンがあるから片足跳びをやろうと思う」と話し、走ることが好きだという中村優花さん(7)は「片足けんけん飛びをして早く走れた」と笑顔を見せた。 指導した高橋さんは「教育実習で中高生に指導したことはあるが小学生は昨年に続いて2回目。子どもたちから無限のパワーを感じた。少し抑え目なトレーニングにしたので物足りなかったかも知れない。機会があれば来年以降も続けたい」と感想を述べた。 11日は水戸市内でも開催する予定で、100mハードルの相馬絵里子さん(広報部)、やり投の村澤雄平さん(総合企画部)らが講師として参加する。 同社は、身体的、精神的、社会的に満たされた状態を表す「ウェルビーイング」の向上を目指す取り組みを展開しており、その一環として開催した。3月には、芸術に親しみながら社員とその家族の交流を促すことを目的に陶芸ワークショップと展覧会観覧ツアーを開催している。 ウェルビーインググループ総務部の草野伸一課長は「イベントを通じて家族間はもちろん社員間の交流を深める機会にもつながっている」と取り組みの成果を話す一方、広報部の石井雅也さんは「就業時間中のイベント参加に二の足を踏む社員もおり、気兼ねなく参加できるよう周知したい」と語る。(泉水真紀)

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