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留学生らにお餅振る舞う 筑波大学の国際交流支援窓口
2021年1月9日
【車谷郁実】筑波大学(つくば市天王台)で7、8の両日、新型コロナの影響で帰省できない留学生や外国人教員、日本人学生らに向けてお餅を配布するイベントが行われた。大学が異文化交流や留学支援などのために設けている支援窓口、グローバルコモンズ機構(ベントン・キャロライン機構長)による。2日間で、事前に申し込みをした57人の留学生を含む125人がお餅を受け取った。 イベントでは個包装された紅白ののし餅2つが学生らに手渡された。お餅を食べ慣れていない留学生らに向けて、おすすめの調理方法や食べ方を英語で紹介したYouTubeのURLを記載した職員手作りの冊子も配布された。お餅を受け取った留学生からは「焼いて食べたい」「今朝も餅を食べたが、帰宅したらまた食べたい」などの声が挙がった。 グローバルコモンズ機構の糸井智香国際事業係長は「全国的にイベントや祭りが中止になり留学生にとって日本文化を感じる機会が少ない1年だったと思う。少しでも日本の正月の雰囲気を味わってもらえれば」とイベント開催の経緯について語る。 留学生に日本の文化を知ってもらおうと会場には、芸術学群の学生が所属する桐書藝団、池坊華道部がそれぞれ書道作品の揮毫(きごう)、生け花を展示したほか、絵馬を書くブースなども設けた。中国人の男子留学生は「書道のレベルの高さに驚いた。すごい」と目を輝かせていた。 同機構では例年、異文化交流イベントなどを常時開催し、学内の異文化理解を促進している。昨年1月には外国人教職員向けの餅つきや書き初めの体験イベントを行い、つきたての餅およそ250食がその場で振る舞われた。だが、昨年は新型コロナの影響で、対面でのイベントは一度も開催できなかった。 今回は、直接職員の手に触れない個包装になっているお餅を用い、入り口での検温や消毒に加え、密を避けるために配布の時間帯を2日間で5回に分けるなどの感染対策を徹底することで開催できた。 糸井係長は「餅を初めて食べる留学生もいた。今回のようなイベントがないと異文化交流が進まない」という。しかし、「イベントを企画した1カ月前とはコロナの感染状況が全く違う。1週間遅ければ開催も断念したかもしれない。日々状況が変化していく中で企画していくのは難しい」とも語った。
就職・進学への不安 新しい生活様式に生きる留学生 筑波大学
2020年9月28日
【竹田栄紀】新型コロナウイルスの感染拡大は、留学生の生活を一変させたといわれる。身近に頼れる人が少ない留学生は孤立してしまうことも多い。つくばには多くの外国人が暮らす。10月から秋学期が始まる筑波大学(つくば市天王台)で、留学生の生活の現状を探った。 アルバイト収入ゼロに 筑波大大学院生命科学研究科修士2年の中国人留学生、楊逸暉さん(27)は来日4年目。来年、日本の製薬会社に就職予定だ。新型コロナの影響で来日時から志望していた観光業の新卒採用が滞ってしまい、志望業種の変更を強いられた。 楊さんは「留学生の枠はもともと限られており、そこに新型コロナによる混乱、新卒採用見送りなどが重なって苦しい就職活動となった」と振り返る。 「親からの仕送りで生計を立てている。親が公務員ということもあって仕送り額に影響はなかったが、アルバイトは大学の補助員をしていたため、仕事がなくなり収入はゼロとなった」 精神面への影響も大きいという。「長期休暇には毎回、帰省をしていたが、次にいつ帰れるか分からない。SNSのWeChat(ウィーチャット)で週に何回か連絡して寂しさを紛らわせている」と嘆く。 大学のサポートに高評価 人文・文化学群のモンゴル出身女子留学生(20)は10月から3年次に進級予定だ。卒業後は大学院への進学を考えている。 「生入は主にアルバイトと奨学金。アルバイトは幸いシフト減の影響は受けなかった。モンゴルと日本は物価差が大きく、元々自力でやりくりしていた。日本は奨学金も見つけやすいし、大学のサポートもしっかりしている方だと感じる」と語った。 大学は、オンラインで基本情報登録をした留学生全員に12万円の支援を実施した。日本人学生への支援金1万5000円~3万円と比較しても、より手厚く支援する形をとった。「申請しやすかった」と留学生からの評価は高い。 公的支援分かりにくい しかし、2人や周囲の留学生は共通して、国や市町村などの公的機関の支援の申請の仕方や条件の分かりにくさを指摘した。特に文科省の「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』は、留学生に対する条件が曖昧だと感じた。必要書類も多いため、日本語が不得意な場合、申請しにくいという。「存在も知らなかった」と語る留学生も多い。 大学留学生相談室アドバイザーの安婷婷助教によると「筑波大の留学生は2019年度までは増加傾向だったが、今年は新型コロナの影響で日本語学校からの留学生以外ほとんど入国できず、入学者数は少ない」そうだ。 「筑波大は日本語、英語、中国語の3言語に対応しており、さらには心理専門の相談員がおり、全国的にみて専門性も高い方だと感じる。留学生はコミュニティーが狭くなりがちで孤立してしまう場合が多い。相談室では進学・進路、対人関係、心身健康などさまざまな面から相談に乗ることができる。積極的に大学のリソースを活用して困難を乗り越えて、成長して欲しい」 同相談室では7月1日から条件付きで対面による相談を再開している。秋学期も引き続き、経済面・精神面への手厚いサポート体制が大学には求められる。(筑波大学2年 ドットジェイピーインターン生)
オンラインでもYOSAKOIは踊れる 筑波大学生サークル「斬桐舞」(下)
2020年9月14日
【車谷郁実】新曲の完成を目指し、オンラインでの振り入れが始まって、もうすぐ1カ月。初めての試みはうまく進んでいるのだろうか。 新曲の振り入れは週に2回で2時間程度。1回の練習に30~40人が参加している。振りは各パート2、3人が中心となって考えた。練習ではそのうちの一人が振りを教え、残りの人が部員の踊っている様子を観察して気づいたことを担当者に伝える。練習の様子は録画し、後で見返すことが出来るようにした。 手を広げ満面の笑みで踊ってる オンラインでは相手に直接触れることができないため、腕の微妙な角度やつま先の向きなどの細かい部分を伝えることが難しい。担当者は「腕の角度は45度、つま先は外にむけて」など画面に各パーツのみを映しながら、動きを言語化して具体的に伝えている。 しかし、対面と違いオンラインでは同時に複数の人が会話をすることができない。自然と会話の数が減り、淡々と時間が過ぎてしまうこともしばしば。実際に振りを教えた小澤政貴さん(20)は「コミュニケーションをとることが難しく、相手がどう思っているかがわかりづらい」と不安げな様子を見せる。そこで、部員の進捗状況を把握するため、定期的に各自で動画を撮って提出してもらい、振りをどのくらい覚えられているか確認するようにした。 動画を見た部長の田中大輔さん(21)は「こんなに新入部員のみんなが踊れるようになると思っていなかった。自主練習を頑張ってくれたんだと思うととてもうれしい」と予想外の出来に驚きをみせた。新入部員の渥美和香奈さん(18)は録画された先輩の動画を0.5倍速で再生し、練習後それを見て自主練習に励んだという。練習を何度も見返すことが出来るというオンラインならではの良さを活かした。 また、オンライン練習では手をつないだり、ハイタッチしたりしながら踊ることができないなかで、多くの部員が手を画面いっぱいに広げて満面の笑みで踊っている様子も目立つ。新入部員の米谷はづきさん(19)は「先輩がニコニコ踊っているのを見て、画面越しでも楽しさが伝わった。対面だったらもっと楽しいんだろうな」とまだ知らないYOSAKOIの魅力に思いをはせている。 振り入れは9月いっぱいまで。全員に振りを覚えてもらった後、各々の動画をつないで一つの動画にする予定だ。田中さんは「引退前に必ず曲を完成させたい。リモートでも一体感を味わえる作品にしたい」と意気込んでいる。(筑波大学社会国際学群社会学類1年、ドットジェイピーインターン生)=おわり
将来は英語を生かせる仕事に NEWSつくばでインターンシップ 筑波大学日竎若菜さん
2020年3月20日
https://www.youtube.com/watch?v=g_iqV9Yq4XE 【伊藤悦子】土浦市のインターネットテレビ、Vチャンネルいばらきは20日放映の第92回で、筑波大学社会・国際学群国際総合学類1年、日竎(ひび)若菜さんをゲストに招いて話を聞いた。1月から2か月間 、ソーシャル・インターンシップ事業を運営するNPO法人ドットジェイピーのインターンシップをNEWSつくばで行った、 インターンシップ先にNEWSつくばを選んだのは、メディアに興味があること、取材を通して社会のいろいろな面を見られるのではと思ったからだという。実際に、つくば市議会を傍聴やつくば市長会見、東日本大震災関連の取材に同行した。 記者は取材、メモ、録音、撮影などすべて1人でやっていて大変そうだと思ったが、やりがいのある仕事だと思ったという。また市議会や市長会見は、内容が専門的で難しいところもあったが、議員のことを今までより身近に感じることができたと語った。 またアナウンサーの有働文子さんがキャスターを務める、毎週月曜日夕方のラヂオつくば「つくば You’ve got 84.2(つくば ゆうがた発信chu!)」にも出演、NEWSつくばのニュースを伝えた。最初は緊張したがMCの有働さんのおかげでリラックスでき、原稿を自分で作成して読むなど貴重な経験ができたという。 日竎さんは「NEWSつくばで2カ月間インターンシップをやったことで、つくばのことがよくわかった」と話す。 また大学のサークル活動では、夏休みに建築ボランティアとしてインドネシアに行った。日本では当たり前だと思っていたことが、現地では当たり前ではないことなどを実感したという。農業ボランティアのサークルにも入っており、今はニンジンの収穫を行っているそうだ。「将来はインターンシップやサークルでの経験を生かしながら、英語を使う仕事をしたい」と笑顔で話した。
《茨城の創生を考える》14 筑波大学に期待したいこと その2
2020年2月5日
【コラム・中尾隆友】今回は前回(1月31日掲載)の続きです。 第2に、研究や人材育成において、全国の大学や企業といっそうの協力・提携を深めながら、オープンイノベーションを推進していくということだ。昨今の大学は運営資金の減少から研究資金も不足がちであり、既成の枠組みにとらわれない研究をしようとしたら、とてもひとつの大学では研究を続けるのが難しくなってきているからだ。 そうであるからこそ、高いレベルの研究ができる仲間づくりが重要な意味合いを持っているのだ。大学と大学、あるいは大学と企業の共同研究や人材交流がますます増えていけば、大学と大学、あるいは大学と企業の双方の競争力向上やイノベーションに直結する成果が出てくる可能性が高まっていくはずだ。 以上の2つの改善点を踏まえたうえで、私が筑波大学に望む新しい大学像とは、学類(誤解を恐れずに言えば、筑波では「学部」が「学類」に相当する)ごとに縦割りになっている体制をもっと緩めて、学生が学類をいっそう自由に横断できる仕組みをつくってほしいということだ。大学を卒業するまでにひとつの学士だけでなく、複数の学士を修めることができるような体制をつくってほしいのだ。 文系と理系が融合したハイブリッド人材 たとえば、経営学とシステム工学の両方に精通する学生がいたら、社会に出て何かおもしろいことをやってくれると思えるのではないか。分野が違う複数の学問を修める学生を育てるには、複数の学類の教授陣が協力してカリキュラムや授業をつくるなど、学類を越えた横断的な取り組みが欠かせないだろう。 今のところ日本では、企業が求める人材は理学部や工学部の需要が強く、文系より理系のほうが優位な状況がしばらくは続きそうだ。しかし私が予想する未来では、文系と理系が融合したハイブリッド系の人材がもっとも重宝がられるようになるのではないかと考えている。 スマートフォンや自動運転車のように、イノベーションが異分野の融合から生まれるという事実から判断すれば、ハイブリッド系の人材が増えていけば、イノベーションが生まれる可能性はいっそう高まるはずだからだ。 これからの新しい時代では、大学のなかにも文系と理系の両方の要素を併せ持った学部や学科が誕生することを期待している。文系の感性を持った思考力と理系の論理で構築した思考力が組み合わさることによって、新しいタイプの人材を社会に送り出すことは、大学の存在意義をきっと高めてくれることになるだろう。(経営アドバイザー) ➡中尾隆友さんの過去のコラムはこちら
《茨城の創生を考える》13 筑波大学に期待したいこと その1
2020年1月31日
【コラム・中尾隆友】経済のグローバル化に続いてデジタル化の波が押し寄せている中で、企業は新卒一括採用を見直し、通年採用を拡大しようとしている。その流れと並行して、定年の延長が着々と進み、即戦力を求める中途採用がメジャーな採用になっていく見通しにあるのだ。 すなわち、新卒一括採用の重みが徐々になくなっていき、国公立か私立かにかかわらず、大学の役割と存在意義が問われる時代が到来するということだ。 日本の大学の最大の問題点は、学生が入学するためには必死で勉強するが、入学後はあまり勉強しなくても卒業できてしまう点だ。 そこで日本の大学を改革するために必要最低条件となるのは、卒業要件を厳格化し、勉学に励む学生しか卒業できない仕組みに改めるということだ。大学が卒業生に対して専門性に相応(ふさわ)しい知識や思考力を担保できなければ、日本の経済・社会の発展に貢献することなど、できるはずがないからだ。 縦割りで閉鎖的な組織を変えよ その上で、縦割りで閉鎖的な組織を変えていくことも欠かせない。大学のカリキュラムは基本的に学部ごとの縦割りになっていて、一部を除き、学部をまたいだ横の連携が皆無に等しいので、高度な人材を育成するための大きな障壁になってしまっているのだ。 たとえば、日本の大学がAI人材の育成で遅れを取っているのは、理学部や工学部といった昔からの学部編成に分かれていて、数学と情報工学など複数の分野を学べる環境が未だ十分に整っていないからだ。学部や学科をまたいで相乗効果が見込める共同授業を提供するなど、有為な人材を育てるという目線に立たなければならないだろう。 私は少なくともこれらの問題点に限っては、筑波大学はおおよそクリアできていると思う。しかしそれでも、筑波大学にはもっと変わってもらいたいと期待している。いくつかの古い体質や慣習などを改めていくことが欠かせないからだ。 第1に、優秀な人材を発掘する方法を改めなければならないということだ。大学は本当にすぐれた才能を見つけ出すことができているのか、大いに疑問を感じているからだ。 当然のことながら、試験内容の変更などで試行錯誤はしているのだろうが、結局のところ教員が今まで実践してきた才能の選び方に固執し続けていることはないか、検証の必要があるだろう。それぞれの専門性に真に不可欠な能力は何かということを、世界や社会の変化に順応して常に問い直していかねばならないからだ。―次回に続く― (経営アドバイザー) ➡中尾隆友さんの過去のコラムはこちら
筑波大学サテライトオフィスで書籍を無料貸し出し つくば駅前
2019年12月23日
【田中めぐみ】つくば市吾妻のBiViつくば2階、筑波大学サテライトオフィスが、同大学の施設案内や各種資料の配布のほか、教員や卒業生が執筆した書籍の貸し出しを無料で行っている。貸出期間は3週間。 書棚には筑波大学出版会から刊行された本を中心に約30冊が並び、ジャンルは栄養学や生物学、社会学、宗教学、スポーツ理論などさまざま。出版年は問わず、古いものから新しいものまで、できるだけ分野が偏らないように並べ、時々新しいものと入れ替えているという。オフィスには筑波大学の学生スタッフが常駐しており、本や大学について聞くこともできる。 『蟲愛づる人の蟲がたり』を読む 並べられた本の中から、今年3月6日に出版された『蟲愛(むしめ)づる人の蟲がたり』(筑波大学出版会)を手に取った。同大学山岳科学センター菅平高原実験所が発行している情報誌「菅平生き物通信」に掲載してきた10年分の記事の中から、昆虫にかかわる記事をピックアップしてまとめたもので、虫をこよなく愛する教職員と学生執筆者20人による、虫のエッセーや紹介、およそ60編が収録されている。 「昆虫は口で呼吸をしない!」「結婚するために目が飛び出ちゃった昆虫たち」など、興味ひかれる見出しが並び、それぞれのテーマが1ページから2ページに短くまとまっている。読みたいところどこから読み始めてもいい。 「なぜ蛾は光に集まるの?」「ノミの心臓はどこにある?」といった誰もが一度は感じたことのあるような素朴な疑問も学術的に解説し、イラストや写真も豊富。内容は中学生から大人向けだが、専門用語には読みがながふってあり、語り口はやさしく読みやすい。 記者が特に驚いたのは、昆虫は血管が無い代わりに「背脈管(はいみゃくかん)」という長いポンプで血液を循環させているということだ。翅(はね)にも血液を行きわたらせるために「翅脈(しみゃく)」を使い、筋肉の弛緩によって血液を送り出すのだという。また、昆虫の脱皮が「クチクラ」という分泌物を使って行われ、昆虫にとって命がけの作業であることも初めて知った。昆虫はまるで宇宙生命なのではないかと思うほど不思議に満ちている。 本書のタイトルに用いられている「蟲」の字は、今は常用されていないが、宋代に作られた字書『集韻(しゅういん)』に、裸蟲、毛蟲、羽蟲、鱗のある生き物、魚介など細々とした小さな生き物たちを指すとある。「蟲」の字は、小さな虫たちが表紙の絵のように一堂に集まる様子を表しているように思える。そして短い文章が集まった本書の構成自体も実に「蟲」的だ。 「蟲愛づる人」というタイトルは、平安末期から鎌倉初期にまとめられたとされる短編集『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」によっている。虫めづる姫君は「風の谷のナウシカ」のモデルにもなったという虫好きのおてんば姫だ。 物語の中で姫君は、様々な虫を採集し「これが成長して変化する様子を見よう」と言って虫かごに入れる。中でも毛虫が大のお気に入り。「毛虫が思慮深い様子をしているのは奥ゆかしい」と、一日中、額髪を耳の後ろにはさみ、毛虫を手のひらの上にはわせてじっと見つめ続けている。 高畑勲監督のアニメ「かぐや姫の物語」に出てくるかぐや姫はおてんばで、虫めづる姫君のイメージに近い。毛虫が「心深し」(思慮深い)というのはなんとなく分からないでもないが、「心にくし」(奥ゆかしい、心ひかれる、上品で美しい)とは。本書の中にも『枕草子』に模して「かはげら草子」と題し、カワゲラという虫の魅力について「をかし」と語ったエッセーが収録されている。虫愛でる姫君と本書の虫好き研究者たちとはまさに同じ目線。『蟲愛づる人の蟲がたり』というタイトルがぴったりだ。 ◆BiViつくば 筑波大学サテライトオフィス(電話029-855-2101)
僕たちのヤマカツ先生 筑波大学で「追悼 山口勝弘」展始まる
2019年10月3日
【伊藤悦子】昨年5月、90歳で亡くなった筑波大学名誉教授、山口勝弘さん(1928-2018)をしのぶ『追悼 山口勝弘:僕たちのヤマカツ先生』展が2日、筑波大学会館アートスペース(つくば市天王台)で始まった。 11月2日まで。2005年から07年に描いた「顔曼荼羅シリーズ」7点のほか、年表や画像資料、授業の音源、ポートレート、卒業生から寄せられた山口さんへのオマージュ作品などが展示されている。 戦後まもなく芸術活動を始めた山口さんは、光や映像、音響など最新のテクノロジーを作品に取り入れたメディアアートの先駆者として知られている。同大学に新設された総合造形領域で、1977年から15年間、後進の指導に当たった。在職中は芸術研究科長、芸術系学長、芸術専門学群長を歴任。アーティストであり、教育者でもあった山口さんは、「ヤマカツ先生」の愛称で慕われていた。教え子にはゲームプロデューサーの石原恒和さん(ポケモン社長)など著名人も多い。 今回の展覧会では、教育者としての山口さんにスポットを当てているのが特徴。事務局の林剛人丸(ごうじんまる)さんは、「ヤマカツ先生はメディアアートの始祖鳥のような方。学生たちには芸術と社会、芸術とテクノロジーなど、先生ご自身が経験されたことを教えていた」と話す。 「ヤマカツ先生」への思いをつづった卒業生や退官教員、関係者からの寄稿文も読むことができる。受付を担当していた同大学大学院2年の男子学生は「山口先生が筑波大学の芸術専門学群の流れを作られたことを実感した。たくさんの人に観てもらいたい」と話している。 【追悼 山口勝弘:僕たちのヤマカツ先生】 日程:11月2日(土)まで(毎週日曜日、10月22日、26日は休み)午前9時~午後5時 会場:筑波大学大学会館アートスペース ◆関連プログラム ▽山口勝弘ビデオ彫刻作品のアーカイブ事業成果発表会 10月2日から11日(日曜を除く)午前9時~午後5時、同大学総合交流会館多目的ホールで開催。文化庁メディア芸術アーカイブ推進事業採択の成果として1988年に制作された『アーチ』を再整備したもの。 ▽シンポジウム「僕たちのヤマカツ先生とは、」 10月5日午後0時30分から同大学芸術エリア6A208教室で開催。山口勝弘ビデオ彫刻作品のアーカイブ研究グループが、教育者である山口の目指したものや、影響力について語り合う。パネリストはクリストフ・シャルル、井口壽乃、森山朋絵ほか、モデレーターは森脇博之(敬称略)。 いずれも入場は無料。問い合わせは「僕たちのヤマカツ先生展」事務局・林さん(TEL029-853-2861)
10月にノバホールで定期演奏会 ソリスト2人を迎え筑波大学管弦楽団
2019年9月16日
【北村祐子】筑波大学管弦楽団の第86回定期演奏会が10月19日、つくば市吾妻のノバホールで開かれる。楽団は1974年に創立し、ノバホールで毎年春と秋に開催する定期演奏会、冬のプロムナードコンサートをメーンに活動している。ほかにも、アンサンブルコンサートや大学・大学院の式典での演奏、依頼演奏などを行っていて、現在の団員数は約100人。各パートやセクションで、定期的にトレーナーの指導を受けていることも楽団の特徴のひとつだ。 演奏会の曲目は、ロッシーニ/歌劇『どろぼうかささぎ』序曲、ブラームス/バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調、ドボルザーク/交響曲第8番ト長調。メーン曲となるドボルザークの交響曲第8番は、同楽団の定期演奏会で過去に最も演奏されているという名曲。チェコののどかな田園を思わせるメロディーが印象的だ。一方で、ブラームスのバイオリンとチェロのための二重協奏曲を楽団が演奏するのは今回が初めてとなる。ソリストには、バイオリニストで楽団OBでもある三浦章宏氏、チェリストの渡邉辰紀氏を迎える。2人のソリストとオーケストラとの掛け合いは聞きのがせない。 普段は週3回の練習を基本に活動しているが、9月上旬には志賀高原(長野)で4泊5日の合宿も行った。レッスンや合奏で得たことをもとに、残り約1カ月で演奏にさらに磨きをかける。団長の北浦光祐さん(20)は、「5月半ばから準備、練習してきた。筑波大学管弦楽団ならではのエネルギッシュな演奏を届けられるようにがんばります」と話した。(ライターはドットジェイピー・インターン) ◆筑波大学管弦楽団演奏会 10月19日(土)午後1時15分開場、14時開演。チケット料金は全席自由で1000円(税込み)。当日券は午後1時から販売開始。購入場所はノバホール事務局クレフ楽器、チケットぴあPコード160025などで。ホームページhttps://www.tsukuba-orch.org/
2種類の演算加速装置で性能アップ 筑波大学10代目のスパコンCygnus登場
2019年3月26日
【相澤冬樹】性格の異なる演算加速装置を2種類組み合わせた、世界で初めてのスーパーコンピューターが26日、筑波大学計算科学研究センター(つくば市天王台、梅村雅之センター長)で報道陣にお披露目された。4月から運用を開始するCygnus(シグナス)は、同センターにとって10代目のスパコン。会見で梅村センター長は「世界最速でも純国産でもないけれど、限界の見え始めたスパコンの開発競争に新たな方向性を提案するものだ」と胸を張った。 スパコンは、多くのコンピューターをつなげて、並列処理により高速の演算を実行するシステムで、1台1台をノードという。Cygnusは各計算ノードに、CPU(中央処理装置)に加え、計算処理を行う半導体チップのGPUを搭載、さらに一部のノードにはプログラマーが現場で論理回路を再構成できる集積回路FPGAを組み込んだ。いずれも市販品だが、2種の演算加速装置を合体させた例は世界初という。 一般にスパコンは、GPUの集積度を上げることで処理性能の高速さを競ってきた。巨大データの処理は得意だが、計算を進める際に分岐条件が出現するケースなどで性能が十分に発揮できず、実効スピードが落ちる弱点があった。FPGAはプログラムを書くのが大変だが柔軟性があり、接続すると装置内の高速通信も可能になる。GPUとFPGA、それぞれの特徴を組み合わて、性能の最適化が図るのが開発の狙いだった。 医療や気象研究に4月から運用開始 同研究センターは2016年度から3カ年、本体に約8億4000万円を投じてCygnusを完成させた。合わせて160基のCPU、320基のGPU、64基のFPGAで構成される。運用期間は6年の予定。「処理スピードだけなら他に早いものはいくらでもあるが、柔軟性を生かして高い演算性能と効率的な並列処理を持たせた。今後に新たな方向性を提供するものだ」(梅村センター長)という。 Cygnusのネーミングは、星座のはくちょう座に由来する。本体2台のノードは、それぞれはくちょう座のアルファ星デネブとベータ星アルビレオになぞらえられ、2種の演算加速装置を合体したノードは二重星アルビレオにちなんでいる。 スパコンを使った計算科学は、数値シミュレーションによるイメージング(可視化・映像化)に用いられることが多い。宇宙進化の謎に迫るなど、基礎物理での利用が盛んだが、近年は睡眠診断や手術ナビなど医療分野での応用に期待が広がっている。4月から約1カ月の試験期間を経て、5月に全国共同利用プログラムとして本格稼働する。すでに公募による19年度分の利用受付は終わっており、70件が採択された。気象やAIなどの研究テーマが決まっている。
【ひと】飲酒量低減外来を開設 筑波大学 吉本尚准教授
2019年2月13日
【田中めぐみ】筑波大学との連携で1月半ば、北茨城市民病院付属家庭医療センター(同市中郷町)内に飲酒の悩みを抱えている人を対象にした「飲酒量低減外来」が開設された。精神科以外での飲酒専門外来の開設は全国で初めて。毎週木曜日午前中に同大医学医療系の吉本尚准教授ら総合診療医が診察する。反響は大きく、開設して約3週間、予約はほぼいっぱいの状況だという。 北茨城市は筑波大と地域医療で連携しており、同大は総合診療、家庭医療の専門医教育の一環として、同センターで研修や実習を行っている。同外来は飲酒量が多い人や軽度のアルコール依存症の人などが対象。飲酒習慣について質問票で調査した上で、カウンセリングをするほか、場合によっては薬物治療も行い、一人ひとりに合った飲酒量を考えていく。診療で治験を集め、今後つくば・土浦市内、ひいては全国にも取り組みを広めていければとの考えだ。 吉本准教授によると、国内にはアルコール依存症が100万人いるとされているが、医療機関を受診している人は4~5万人。アルコール依存症の診療は従来、精神科や心療内科の領域であるため、受診をためらってしまうことが原因の一つとみられる。「アルコールの問題で悩んでいる人は想像以上に多い。悩んでいる人がもっと気軽に受診できるよう、新しい取り組みにチャレンジできないかと考え、飲酒量低減外来を開設した」と話す。 厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」としている量は、ビールなら男性で500ミリリットル、女性や高齢者はその半分。吉本准教授らが関東の31大学の学生533人を対象に調査したところ、飲み放題のサービスがある店では、飲み放題でない店よりも飲酒量が2倍近く増える傾向があるという。また関東の大学生2177人を調査したところ、男性では2時間で1缶500ミリリットルのビールを2本半、女性では2本飲むと、けがのリスクが25.6倍になったという。海外では飲み放題の規制をしている国もある。 アルコール・うつ・自殺は関連が深く、「死のトライアングル」と呼ばれている。吉本准教授は「最近は芸能界やスポーツ業界などでも、お酒に関係する事件の報道がされて話題になっており、お酒との付き合い方は難しいと感じる」そうだ。「『自分は飲み過ぎではないか』『飲む量を減らしたい』など、飲酒のことで気になること、困りごとがあればなんでも気軽に相談してほしい。本人だけでなく、家族の相談でもかまわない。体、心の害が出ないようにお酒とうまく付き合える支援をしていきたい」と話している。 [吉本尚(よしもと・ひさし)]北海道出身、筑波大卒、医学博士。2014年に母校に戻り、18年から医学医療系地域総合診療医学准教授、総合診療に関わる医師の在り方を提案している。 ◆北茨城市民病院付属家庭医療センターは予約制で1日3人まで。電話0293-43-1131 ◆飲酒に関する相談は同センターのほか、筑波大学付属病院総合診療グループ。電話029-853-3189
筑波大学ミニ展示「謎の古生物パレオパラドキシアを復元してみた!」
2018年12月13日
期間は2018年12月3日~19年1月31日 2017年6月筑波大学の古生物標本収蔵庫で見つかった骨化石が1600万年前の水生哺乳類パレオパラドキシアの右大腿骨であることが分かった。発見された骨化石の実物とレプリカのほか、3Dプリンターで新たに作製した骨格復元模型を展示する。 サイエンスカフェが12月22日(土)午後3時~4時30分に開かれ、骨化石を調査した筑波大生命環境系の上松佐知子准教授が話す。
筑波大学附属図書館特別展「グローバルに挑む群像—幕末から明治へ」
2018年10月24日
会期は10月29日(月)~11月30日(金) 幕末・維新期から明治前半期を中心に、グローバルな世界に挑戦した人々の姿を同附属図書館所蔵の貴重図書・和装古書から取り上げ、日本近代の在り方を考える。 ①条約交渉と昌平坂学問所の儒者②動乱を生きた人びと③明治を拓いた名著—の3部構成で、昌平坂学問所関係文書、幕末関係記録、長州藩士記録、西洋料理通などの資料が展示される。
軽井沢高原文庫館長の大藤敏行さん《ふるほんや見聞記》6
2025年7月1日
【コラム・岡田富朗】大藤敏行さん(62)は埼玉県の出身。筑波大学を卒業後、1985年、長野県軽井沢町に開館した軽井沢高原文庫の学芸員に着任しました。同文庫は、作家の中村真一郎さんを中心に、堀多恵子さん(堀辰雄夫人)、室生朝子さん(室生犀星長女)、『新潮』元編集長の谷田昌平さんらに力添えを得て、初代館長に大妻女子大学教授だった池内輝雄さんを迎え、スタートした施設です。 1992年に大藤さんは同館の副館長に、1996年には深沢紅子野の花美術館の館長に就任しました。そして2023年には、池内輝雄氏、中村真一郎氏、加賀乙彦氏らが歴任してきた軽井沢高原文庫の館長に就任されました。 大藤さんは30年ほど前から一般向けの文学散歩なども継続的に行っています。2023年には、軽井沢町制施行100年および堀辰雄来軽100年を記念して、堀辰雄文学記念館で「堀辰雄と歩く軽井沢」が開催されました。これに関連する緑陰講座では講師として招かれ、「堀辰雄と軽井沢」と題し、『不器用な天使』から『大和路・信濃路』までの数多くの作品の初版本を紹介するとともに、堀辰雄が所有していた蓄音機を使用して『ブランデンブルク協奏曲』を鑑賞するなど、貴重な体験ができる講座が開催されました。 2024年には、田端文士村記念館で、「室生犀星・芥川龍之介・堀辰雄の交友と文学~軽井沢を中心に~」と題した講演会の講師も務めました。この講演では、田端で親交を深めた室生犀星、芥川龍之介、堀辰雄の3人が、1925ごろ軽井沢で共に過ごし、交友を深めた話や、彼らの友情と創作について講演されました。 生誕100年 辻邦生展-軽井沢と物語の美- 軽井沢高原文庫では今年、「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美―」が開催されます。人間精神の高貴さを物語性の中で追求した作家・辻邦生(1925~1999)は、今年生誕100年を迎えます。『安土往還記』『嵯峨野明月記』『背教者ユリアヌス』『春の戴冠』『西行花伝』などの歴史小説は今も多くの読者に愛されています。山荘のあった軽井沢の地で、自筆原稿、創作メモ、スケッチ、書簡、蔵書、遺愛の品などの多彩な資料約250点を通して、辻邦生の生涯と仕事を知ることができます。 今回の展示で特別協力してくださる学習院大学史料館(霞会館記念学習院ミュージアム)では、辻邦生より寄贈された自筆原稿、創作ノート、書簡など、多数の資料が収蔵されています。学習院大学史料館の協力により、辻邦生ゆかりの地で生誕100年を記念した展示が行われます。各館それぞれのテーマに合わせて、学習院大学史料館の資料が出品される予定です。(ブックセンター・キャンパス店主) 軽井沢高原文庫「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美-」展:7月19日(土)~10月13日(月・祝)
ジェンダーバランス改善目指す 女性限定、教員20人募集 筑波大
2025年6月28日
筑波大学(つくば市天王台)の永田恭介学長は26日の定例会見で、女性に限定し20人の教員を募集すると発表した。同大の女性教員の割合は現在20.7%。女性の割合が少ない状況の改善を目指し、男女雇用機会均等法に基づく「ポジティブ‧アクション」(積極的是正措置)として取り組む。 永田学長は「(女性教員が)まだ少ない。50対50にするには時間がかかるが、思い切って女性の雇用を増やそうと考えた。筑波大として女性に限らず、多様な人材が活躍することが大学のさらなる発展になる」と話した。 20人のうち14人は准教授と助教で、学内全ての研究分野を対象に一括で募集を行う。大学のホームページで11日に公表しており、7月31日まで募集を受け付ける。ほかの6人は生存ダイナミクス研究センター、生命環境系ですでに募集が始まっている。人文社会系、数理物質系、システム情報系、体育系はそれぞれ準備が整い次第、募集を始める。 これまでに出産や育児、介護、病気などを理由に研究活動が中断されたり、遅延した期間がある場合には、選考の際。考慮するとしている。 同大では女性教員の仕事との両立支援として、年間最大15万円の研究費助成、学内保育所「ゆりのき保育所」の利用、ベビーシッター利用料補助、学内の育児・休憩スペースの設置、家族の看護や介護などに対する特別休暇制度を用意している。同大の全教員数は現在1777人、そのうち女性教員は368人。(柴田大輔)
塚本一也氏が立候補表明 県議補選つくば市区
2025年6月27日
知事選と同日、9月7日投開票 知事選と同日の9月7日投開票で行われる県議補選つくば市区(欠員1、告示は8月29日)に、元県議でタクシー会社社長の塚本一也氏(60)が27日、記者会見を開き、自民党公認で立候補すると表明した。同補選に立候補を表明したのは塚本氏が初めて。 塚本氏は「県とつくばの橋渡しの役目を担う」と立候補への思いを語り、国や県との連携を重視する中で、つくばの産業育成を掲げる。 つくば市の課題としては「(市内にある研究施設による)研究成果が産業に結びついていない」ことを挙げ、「つくばに生産拠点がほしい。それに付随して産業がつくばに集まってくるし、お金を(地域に)落とす仕組みができるはず」だとし、「県が主導し仲介することで、国や世界的な企業を誘致できる」と語った。また、教育環境の改善については、「学校の統廃合により通学距離が長くなり通えない子どもたちがいる。(通学手段を確保するためにも)県立高校のスクールバスに県がもっと関わった方がいい」と話す。 塚本氏はつくば市出身。県立土浦一高、東北大学工学部建築学科を卒業後、筑波大学大学院環境科学研究科修了。1991年にJR東日本に入社し、2006年には大曽根タクシー社長に就任。18年から県議一期を務めた。現在は同社社長のほか、茨城県ハイヤー・タクシー協会会長などを務める。(柴田大輔)
筑波大も受け入れ表明 米ハーバード大の留学生資格取り消し受け
2025年6月27日
米トランプ政権がハーバード大の留学生受け入れ資格認定を取り消したことを受けて、筑波大学(つくば市天王台)の永田恭介学長は26日、ハーバード大を含む米国の大学で学業を続けられなくなった留学生らを受け入れると表明した。同日の定例会見で永田学長は「(学生にとって)研究ができなくなることは極めて大きな問題。米国留学を予定している日本人とその他の国の人に、アカデミアの仲間として学べる環境を提供したいと考えた」と述べた。 受け入れの対象となるのは、米国の大学に正規生として在籍している学生、または入学許可書がある入学予定者。日本のビザ申請の手続きを必要としない学生に対しては、9月、10月入学に間に合うよう、希望者と日程調整をした上で書類選考、面接等で選抜を行い、受け入れを始めていくとしている。筆記試験は行わない。学位取得を希望する正規生のほか、学位取得を希望しない科目履修生や研究生も受け入れる。入学に際しては入学金、授業料は必要になるが、試験を受けるための検定料は徴収しない方針だ。希望者は宿舎の入居も可能。 文科省は5月27日、日本国内全ての大学に対してハーバート大の留学生受け入れなど支援策を検討するよう求める事務連絡を出した。日本学生支援機構によると6月26日現在、国公立大76校を含む121の大学が学生受け入れを表明している。 米トランプ政権は今年に入り、学生の取り締まり強化などをハーバード大に要求、これを拒否した大学側に対して助成金の一部凍結を決定した。5月22日にはハーバード大に対して留学生の受け入れ資格認定の取り消しを通告すると、ハーバード大は政権を提訴し、連邦地裁が認定取り消しに対する差し止め命令を出していた。6月4日にはトランプ大統領が、ハーバード大の留学生ビザ発行を禁止する大統領令に署名したことを受け、大学側は違憲だとして提訴し、連邦地裁は23日、この大統領令に対して差し止め命令を出している。(柴田大輔)
「性の悩み、ひとりで抱えないで」筑波大専門医が若者向け相談イベント
2025年6月18日
21日 薬局の待合スペース 自身の体や性に悩みを抱える若者たちの力になろうと、筑波大学附属病院の産婦人科医と同大の医学生らが協力し、10代や20代の若者を対象とした性に関する理解啓発活動に取り組んでいる。17日、企画の発起人である産婦人科医の天神林友梨さんと西田恵子さんがつくば市役所を訪れ、五十嵐青立市長に活動を報告した。 ポップにかわいく もっと気軽に婦人科を受診してほしい− そんな願いを込めて天神林さんと西田さんが始めたのが「ふらっと、さんふじんか」だ。2023年、周囲の医師や学生らに声を掛けて筑波大の学園祭で2日間ブースを構えたのが始まり。 正しい避妊の仕方、性感染症や子宮頸がんのこと、どんなときに、どんな準備をして産婦人科を受診すればいいのかなど、知ってほしい情報をたくさんのイラストを用いたポスターにまとめて展示した。ほかに、つくば市や近隣地域の産婦人科を、関係者が実際に取材し各医院ごとの「イチ押しポイント」と共にまとめた地図や、専門医による相談ブースなどを用意した。来場者には、用意した生理用ナプキンや企画に賛同する企業から寄せられたコンドームを無料で配布。2日間で約600人が訪れた。 2年目となった昨年の学園祭では学生を中心に1000人を超える参加者があった。男性に向けた展示も用意したところ約300人の男性が足を運んだ。「彼女の生理が重くて…」、そんな相談をする男子学生もいた。設営時に気をつけたのは「ポップにかわいく」することだ。明るい雰囲気を演出することで、1人でも多くの人が気軽に足を止めてもらえるよう気を配った。 もっと日常に近いところで 日頃、外来患者に対応する中で、天神林さんと西田さんが感じてきたのが「自分たちが思うよりも多くの人が、産婦人科の受診に高いハードルを感じている」ことだった。誰にも悩みを打ち明けられずに性の問題に悩み、症状が重くなってから受診する多くの若者たちと出会ってきた。「こんなに来づらいところなのか。院内にいると、気づかなかった」と、西田さんは言う。 「知識不足から望まない妊娠をしてしまう女性もいた。学校を休まなければいけないほど辛い生理に何年も悩んでいる学生もいた。生理はコントロールできるもの。もっと早く受診してくれたらと思う女性たちがいた」と話す。「知っておくべき正しい情報が伝わっていない。もっと日常生活に近いところで彼女たちに伝えたいと思った」のが活動のきっかけだった。 2人は昨年5月、先進的な取り組みを知ろうと、無料または低予算で性に関する悩みを相談でき専門医と繋がることができる欧州の「ユースクリニック」を視察した。スウェーデンでは世界最大規模の公営ユースクリニックを訪ね、デンマークでは積極的に行政の協力を得ながら若年妊娠に応じるクリニックを視察した。 「新生児を遺棄してしまうニュースなどに触れ、どうにかできないかと思うことがあった。外来に来てくれる方の相談には乗ることができるが、病院に来てもらえないと会えない。私たちは病院にいるだけでいいのか。病院に来られない人も助けたい。活動では、気軽に相談できる窓口を用意し、知っておくべき正しい情報を提供し、自分の体について考えるきっかけにしてもらいたい。そして、産婦人科を受診するハードルを下げることに繋げていきたい」と西田さんが思いを語る。 大学の外で初めて 21日には、筑波大学附属病院の向かいにあるクオール薬局つくば桐の葉モール店(つくば市天久保)の待合スペースにブースを構える。パネルを展示するとともに、天神林さんと西田さんを含めて3人の女性医師が待機し相談に応じる予定だ。「大学の外で初めての開催。中・高・大学生くらいの若者が来てくれたら嬉しい。いきなり産婦人科は受診のハードルが高いと思うので、勉強の合間などでもふらっときて、生理や避妊などの悩みについても話してもらえたら。男性も是非来てください」 訪問を受けた五十嵐市長は「つくば市でも5月から、(保健師や助産師などの専門家が相談に応じる)『青のカフェ』を大穂保健センターで始めた。親や先生、友達にも相談できない状況にある子どもが、ひとりで気軽に相談できる場所が必要だと考えて始めた取り組み。『ふらっと、さんふじんか』は、厳しい状況にある若者たちの救いになる活動だと思う。ひとりでも多くの若者の救いになれるよう、連携を模索していきたい」と語った。(柴田大輔) ◆「ふらっと、さんふじんか」は6月21日(土)午後1時から午後4時まで、つくば市天久保2-1-1 アメニティモール1階 クオール薬局つくば桐の葉モール店で開催。参加費は無料。問い合わせはメール(flat.sanfujinka.tsukuba@gmail.com)で筑波大学産婦人科「ふらっと」担当者へ。
コメが集まらない…家庭に協力呼び掛け 21日 松見公園で学生食料支援 つくば
2025年6月16日
コメや野菜が高騰し物価高が続く中、筑波大学近くのつくば市天久保、松見公園で21日に予定されている「学生食料支援」にコメや野菜が集まらず、主催者の「民主青年同盟茨城県委員会」(吉田翔代表代理)がコメや野菜の提供を呼び掛けている。 約200人の大学生らを対象にコメを2キロずつ無償提供する予定で、400キロを目標に集めているが、16日時点でまだ70キロほどしか集まっていない。野菜なども十分な量が集まっておらず、主催団体は「各家庭にあるコメ2キロを1袋にしてご協力をお願いいただけないか」「知り合いの農家に野菜の提供をお願いしていただけないか」など協力を呼び掛けている。 コメや野菜の配布はこれまで県南地域の約20戸の農家が無償で協力してきた。コメの高騰が続く中、協力農家の倉庫にもコメが減り、提供が難しい状況になっているという。野菜も協力農家がネギ、レタス、キャベツなどを軽トラック1台分持ってきてくれていたが、今回は収穫時期と合わないなどから提供が難しい。 コロナ禍に始まる 松見公園での学生食料支援はコロナ禍の2020年12月に始まった。農家などから無償で提供を受けたコメや野菜を無償で配布してきたほか、市民からのカンパで、スパゲティー、レトルトカレー、缶詰などの食材のほか、生理用品、トイレットペーパーなどの日用品を市内のスーパーで購入し、大学生らに無償配布してきた。コロナ禍、アルバイトが減り生活が苦しくなった大学生らを支援しようと市民団体「学生応援プロジェクト@つくば-PEACE(ピース)」が開始、計10回実施され22年6月に終了した。 その後、物価高が続いていることから、仕送りが減ったり、アルバイトで大変な一人暮らしの大学生らを支援しようと、2023年11月に民主青年同盟県委員会が主催して学生食料支援を再開、コロナ禍に松見公園で食料配布を手伝った「学生応援プロジェクトPEACE」のメンバーだった市民らも手伝っている。 主催者が変わって2回目の今年4月26日実施の食料支援には約250人の筑波大生らが列をつくった。コメは130人分260キロしか用意できず、他の食料などもわずか1時間で無くなった。途中、カップ麺などを追加で購入して約20人に配布することができたが、約100人は何も受け取ることができず帰った。このままでは申し訳ないと、21日に3回目の食料支援を実施する。 同県委員会の稲葉英樹さんは「いろいろ手を尽くしているが、まだまだ物資が足りておらず、皆様のお力が頼り。ご連絡をいただければ受け取りに伺いますし、ぜひご協力をお願いします」と呼び掛けている。(鈴木宏子) ◆学生食料支援は21日(土)午前10~12時、つくば市天久保1-4、松見公園で開催。雨天の場合は公園の建物内で実施する。物資提供の協力はメールhide.flhtc@gmail.com、電話080-4462-0118(稲葉さん)へ。 ➡松見公園での食料支援の過去記事はこちら
難民支える自治体ネットワークに加入 つくば市 全国19番目
2025年5月19日
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が進める国際キャンペーン「難民を支える自治体ネットワーク」に18日、つくば市が加入した。自治体が難民への連帯と貢献を表明することを通して難民支援の輪を広げていく取り組みで、国内では東京都、広島市、札幌市などに続いて19番目、北関東の自治体では初の加入となる。世界では59カ国309自治体目。 同日、つくば駅前のつくばセンター広場などで開かれた科学と国際交流のイベント「つくばフェスティバル2025」会場で同ネットワークの加入署名式が催され、五十嵐立青つくば市長と桒原(くわはら)妙子UNHCR駐日首席副代表代行が同ネットワークの賛同表明文に署名した。 五十嵐市長は「世界に難民は1億2000万人いる。日本の人口と同じ。(難民の)状況は厳しくなっている。ウクライナ、ガザ、世界各地で大変なことが起きていて、奪われてはいけない命が奪われている。つくばにも避難してこられたり移ってこられた方がいる。だからこそ我々自治体は、連帯し国際社会の一員として支えていく責務がある。我々に何ができるか、まずは知ること。その先に何ができるか、皆さんと共に歩みを進めたい」と話した。「分断が進んでいる社会で、自治体としてメッセージを出していこうという意思表示」だという。 桒原代表代行は「つくば市が北関東で初めて参加してくださることは本当に心強い。つくば市はSDGs(国連の持続可能な開発目標)など地球規模の課題に積極的に取り組んでいる全国でも先進的な自治体。つくば市ならではの柔軟で創造的な取り組みを通じて、難民支援の輪が地域から自分ごととして広がっていくことに期待したい」と述べた。 2023年10月、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が、ウクライナから避難してきた学生や留学生などと意見交換するため筑波大学やつくば市役所を訪れたことがきっかけになった(23年10月20日付)。つくば市がSDGsに積極的に取り組んでいたり、不平等や格差是正に取り組むOECDの先進的市長(チャンピオンメイヤー)に選ばれていることなどから、UNHCR駐日事務所が同市に自治体ネットワークへの加入を呼び掛けた。 加入にあたって同市は「いろいろな機会をとらえてまず知っていただくことが一歩」(五十嵐市長)だとして、17、18日の2日間つくば駅周辺で開かれたつくばフェスティバルで、UNHCRの難民支援の仕事などを紹介するブーズを出展した。市中央図書館では1日から30日まで、UNHCR駐日事務所の協力で平和、共生、多様性などに関する同館所蔵図書を紹介する「難民のものがたり展」を開催している。 つくば市では現在、147の国と地域出身の外国人1万4251人が暮らしている。そのうち難民や戦争などからの避難者が何人いるかは不明。 他の加入自治体の取り組みとしては、UNHCR駐日事務所と連携して、難民問題を知るための独自イベントの開催や学校などでの出張授業、難民支援のための寄付の呼び掛け、大学の奨学金制度の導入や企業の雇用支援、母国を離れ難民キャンプなどで生活している難民を第三国が受け入れる「第三国定住」などを通じた難民の受け入れなどが行われているという。(鈴木宏子)
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