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企業経営で意識しておきたい3つの流れ 《地方創生を考える》20

【コラム・中尾隆友】これからの企業経営では、3つの大きな流れを抑えておくことが欠かせない。 1つめは、「人口減少」だ。日本のマーケットは縮小に向かうわけだから、そのことを想定してビジネスを展開しなければならない。たとえば、国や地方自治体が将来の人口推計を公表しているので、自社のビジネスにいつごろ、どのような影響が及ぶ可能性があるかをイメージしてほしい。 2つめは、「デジタル化」だ。AIによる自動化と言い換えてもいいかもしれない。図らずもコロナ禍で注目されて加速することになったが、たとえパンデミックがなかったとしても、国や企業の基本方針として着実に進展していくはずだ。 3つめは、「地球温暖化」だ。世界が脱炭素実現へギアを上げる中、企業も環境保全をはじめとする持続可能性を強く意識した経営が求められる。2030年や2050年の具体的な成果に向けて、国内外のルールや法制度も段階的に刷新されていくだろう。 危機は新ビジネスのチャンス 実は、この内容は過去数年、全国の企業経営者の前で話し続けていることだ。コロナ前でもコロナ後でも、企業経営にとって変わらない本質的な話だ。(今年は茨城県経営者協会でも講演させていただいた) それに加えて、世界的に危機が起こった時は、新しいビジネスが生まれるチャンスでもある。リーマン・ショック時の米国では、Airbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー・テクノロジーズ)など新興テック企業が数多く誕生した。 コロナ禍において、人々のライフスタイルや働き方、価値観などに変化が起きている。新しいビジネスチャンスが広がる中で、茨城の企業経営者が次々と新しいアイデアを生み出すことを期待したい。 また、茨城で起業する若者が増えることにも期待したい。総合的に判断して、茨城は起業するのに最も有利な都道府県の一つだと考えているからだ。そういった意味でも、筑波大学や茨城大学には革新的な取組みを求めたい。(経営アドバイザー)

企業経営で意識しておきたい3つの流れ 《地方創生を考える》20

【コラム・中尾隆友】これからの企業経営では、3つの大きな流れを抑えておくことが欠かせない。 1つめは、「人口減少」だ。日本のマーケットは縮小に向かうわけだから、そのことを想定してビジネスを展開しなければならない。たとえば、国や地方自治体が将来の人口推計を公表しているので、自社のビジネスにいつごろ、どのような影響が及ぶ可能性があるかをイメージしてほしい。 2つめは、「デジタル化」だ。AIによる自動化と言い換えてもいいかもしれない。図らずもコロナ禍で注目されて加速することになったが、たとえパンデミックがなかったとしても、国や企業の基本方針として着実に進展していくはずだ。 3つめは、「地球温暖化」だ。世界が脱炭素実現へギアを上げる中、企業も環境保全をはじめとする持続可能性を強く意識した経営が求められる。2030年や2050年の具体的な成果に向けて、国内外のルールや法制度も段階的に刷新されていくだろう。 危機は新ビジネスのチャンス 実は、この内容は過去数年、全国の企業経営者の前で話し続けていることだ。コロナ前でもコロナ後でも、企業経営にとって変わらない本質的な話だ。(今年は茨城県経営者協会でも講演させていただいた) それに加えて、世界的に危機が起こった時は、新しいビジネスが生まれるチャンスでもある。リーマン・ショック時の米国では、Airbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー・テクノロジーズ)など新興テック企業が数多く誕生した。 コロナ禍において、人々のライフスタイルや働き方、価値観などに変化が起きている。新しいビジネスチャンスが広がる中で、茨城の企業経営者が次々と新しいアイデアを生み出すことを期待したい。 また、茨城で起業する若者が増えることにも期待したい。総合的に判断して、茨城は起業するのに最も有利な都道府県の一つだと考えているからだ。そういった意味でも、筑波大学や茨城大学には革新的な取組みを求めたい。(経営アドバイザー)

一転、つくば市が使用を許可 食材無料提供 25日松見公園で開催

つくば市から公園の使用許可が出ず、開催が危ぶまれていた「学生応援プロジェクト@つくばPEACE(ピース)」(冨山香織代表)の食料支援について、NEWSつくばの取材後、公園を管理する市公園・施設課がつくばPEACEに対し、松見公園の使用を認めたことが分かった。 これを受けつくばPEACEは、無料の食材提供会を25日午前10時から正午まで、同市天久保の松見公園で開催する。人流を抑制するため事前予約制とし、参加時間をそれぞれ指定して実施する。 緊急事態宣言により飲食店などが時短営業や休業を余儀なくされる中、アルバイトが減って困窮する学生や母子家庭などを支援するのが目的。 今月9日、つくばPEACEは市から、緊急事態宣言により公園の使用を許可できないと断られ、翌10日、開催場所未定のまま開催告知をツイッターなどSNSで発信した。 NEWSつくばは14日、市に対し、なぜ公園を貸さないのか電話取材した。その直後、つくばPEACEに対し市から連絡があり、冨山代表が市役所を訪ねたところ、市から「一度断ってしまって申し訳なかった。人流抑制ができる体制であれば開催できる見込みがある」などの回答があり、同日夕方、公園を使用できる旨の連絡があったという。一方、市役所での話し合いの際、冨山代表は公園の使用基準について説明を求めたが、市は明確な基準を設けておらず、それ以上の説明はなかった。 松見公園での開催が決まったことに対し、冨山代表は「初めは相手にされず、話し合う余地もなく断られた。今まで頑張ってきた活動が行政に理解されないことはひじょうに悔しかった」とし、「公園での開催が認められたときは、行政が思い直してくれて本当に安心した。経済状況が悪化する中で、節約のためにわずかな明かりで夜を過ごす学生や、カップ麺に水を注いで食べる学生もいる。今回は取材が入ったおかげで、松見公園での開催決定にこぎつけた。さらなる周知活動が必要だと改めて感じるとともに、引き続き行政への働きかけをしていきたいと思う」と語った。 食料支援の利用者の一人である筑波大学情報学群1年の学生は「市に協力してもらえてよかった。学生を含め、多くの人が利用しやすくなると思う」と話した。(武田唯希)

「公園が借りられない」 つくばの食料支援団体 場所未定のまま開催を告知

「公園が借りられない」。そう話すのはつくば市の食料支援団体「学生応援プロジェクト@つくばPEACE(ピース)」の冨山香織代表(40)だ。コロナ禍、毎月1回程度、食材の配布を行っているが、今、開催の危機にひんしている。 筑波大学近くの松見公園(同市天久保)を中心に活動している。9月は25日または26日に開催する予定を立て、公園を管理する市公園施設課に申し込んだところ「緊急事態宣言の延長により屋外であっても公園は貸せない」と利用を断られた。 やむを得ず、つくばPEACEはツイッターなどのSNSで、25日か26日に必ず開催することを利用者に知らせた。安心してもらうために日付けのみの告知を行ったという。しかし配布日が約10日後に迫っているにも関わらず、いまだ開催場所は決まっていない。 2020年12月に食料支援活動を立ち上げた。コロナ禍でアルバイトが減って困窮する学生や母子家庭などに食材や日用品を無償提供することにより、生活の心配を減らし安心して勉強してもらうための活動を行っている。 猛暑となった夏期も、屋外の炎天下での活動は、食材が傷んでしまったり、利用者の学生やスタッフが熱中症になる危険を避けるため、屋内の公共施設の利用を申し込んだが、いずれもコロナ禍を理由に断られ、場所探しに奔走した経緯がある。 今回、松見公園の利用を許可しなかった市は、取材に対し「緊急事態宣言の延長もあり、すべての団体に(使用できない旨を)一律で伝えている。人流を抑制するためにも不要不急のイベントは控えてもらいたい」と話した。 市は、つくばPEACEに対しても「緊急事態宣言が出でいるから」の一点張りで、利用の基準等について何も説明はなかったという。一方、つくばPEACEは、コロナ禍で困っている人にとって食料支援はライフラインになる場合もあるとし、一律に使用させないのではなく、利用の基準を設けるべきだとする。 冨山代表は「毎月、必ず開催したい。活動を続けてほしいという声も多く聞く。仕送りが減り学業に専念することができない学生や、二つ以上の仕事を掛け持ちするWワークをせざるを得ない人がいる。(第5波の経済的影響が顕著になる)今からが本当に大変な時期になる。だからこそ支援活動を続けていかなきゃいけない」と語った。 食料支援を利用している利用者の一人で筑波大医学群看護学類3年の女子学生は「今、実習中でバイトが禁止されている中、様々なものを支援していただけて本当にありがたい。特に生理用品や即席で作れるレトルトはとても役立っている。コロナ禍でも支援してくださる人の温かさを感じることができてうれしく思う」とし「まだ開催場所が決まってないと聞き心配。早く会場が決まってほしい」と話す。 冨山代表はさらに「支援者の中には、毎月寄付金を送ってくださる方、配布会ごとに毎回、段ボール3箱ほど持ってきてくださる方もいる」とし「寄付は全国各地から集まってきている。また、スタッフの中にもレトルト食品や寄付金を行っている人もいる。活動を続けていくためにもより多くの寄付をお願いしたい」と話す。(武田唯希)

子どもたちのための科学イラスト集 つくばで絵本原画展【秋アート’21④】

茨城県立医療大学(阿見町)の「アイラボキッズ」活動から生まれた絵本の原画による「子どもたちのための科学と医療のイラスト展」が18日から、つくば市天久保のギャラリーYで始まる。同市在住で絵本作家をめざす島本真帆子さん(51)にとって初の個展となる。 科学の巨人、アルキメデス、ガリレオ・ガリレイ、マリー・キューリー、レントゲンらの肖像画をはじめ、動植物や医療器具などを丹念に描いたイラスト多数を展示する。島本さんが長年描きためた長女の成長を追う色鉛筆画のコーナーも設ける予定だ。 島本さんは、東京理科大卒の元薬剤師。「どういうわけか化学だけは得意だった」ため、親の勧めで薬学部に進んだが、薬局勤務は今一つ性に合わなかったそう。「数学と美術はいつも赤点ぎりぎりだった」のに、デザイン専門学校で学び直した経験もある。結婚後、娘が生まれ、その寝姿や仕草をスケッチしているうちに絵の上達に気づいた。 自宅をアトリエに、4コマ漫画を同人誌に投稿するなどしていたが、今は絵本作家としての自立を志す。「10冊ぐらいに出来上がったら出版社に持ち込もうと思っている」という絵本は、最近2年間、医療大学の「アイラボキッズ」活動の中から生まれた作品だ。 小学校に出前授業「アイラボキッズ」 同活動は、地域の小学生対象に医療と科学の体験教室の開催を意図し、20年度から医療大の地域貢献研究費の助成を受けて活動を開始した。大学内にあるシミュレーション教育実習室「あいらぼ」に子供たちを招き、科学実験や観察会を行う予定だったが、新型コロナ感染拡大の影響で、阿見町立君島小(秋山美穂校長)への出前授業としてスタートした。 教室は、医療大放射線技術科学科の鹿野直人准教授がまとめ役になり、毎回テーマを決め体験教室と関係する科学者のお話との2本立てで行う。昨年10月の1回目では「霧箱とレントゲン」と題し、蒸気の凝結作用を用いて荷電粒子を検出するための装置「霧箱」で放射線の飛跡を観察した。島本さんはドイツの物理学者、レントゲンのエピソードなどを紹介する絵本を副読本として制作し、自ら児童に読み聞かせた。 2回目ではガリレオ・ガリレイを取り上げ、3回目は芳賀和夫さん(芳賀サイエンスラボ所長、元筑波大学教授)を特別講師に、折り紙で正五角形作り(オリガミクス)を行った。21年度は5月を休止としたものの、6月と7月は開催。島本さんは毎回体験型の実験を考え、絵本を手作りして開催に臨んでいる。 君原小は全校の児童数が65人。教室で「密」にならないよう、1日3グループに分けて日程を組んでいる。「学校は(20年度に)小規模特認校になったばかりで、体験教室でアピールしたい意向がある。町にはもう2、3校増やしてほしい要望もあるみたい」だそう。ただ、実験装置づくりが大変で、行政からの助成頼みには限界を感じている。 「展覧会はやっぱり子供たちに見てもらいたい。コロナ禍でいっぱい来てねとは言いにくいけど、初めての個展だから、そんなに集まらないですよね」と控えめな期待をふくらませた。(相澤冬樹) ◆島本真帆子「子どもたちのための科学と医療のイラスト展」 18日(土)から26日(日)まで午前11時~午後7時、つくば市天久保1丁目グリーン天久保2階、ギャラリーY(電話029-852-1930)

大規模事業評価スタート つくば市 陸上競技場計画で

つくば市の第1回大規模事業評価委員会が8日市役所で開かれ、10億円以上の大規模事業について必要性や効果などを客観的に評価する大規模事業評価が、陸上競技場の整備計画を対象に始まった。 委員は、東京大学大学院・横張真教授、筑波技術大学・生田目美紀教授、高橋博之公認会計士、筑波大学・藤井さやか准教授、堀賢介弁護士、国立環境研究所・松橋啓介室長の6人。横張教授が委員長、生田目教授が副委員長を務める。任期は今年8月から来年3月末まで。 上郷高校跡地に建設予定の陸上競技場について、必要性、妥当性、優先性、有効性、経済性・効率性、地域への対応の6項目を評価する。 現地視察なども含めて計4回委員会を開催し、11月上旬から中旬に答申をまとめる。答申に基づいて、市は事業を計画通り実施するか、見直すか、撤退するか検討する。 第1回委員会では、市側が事業の必要性など6項目について、委員に説明した。 必要性については、小中学生の公式記録がとれる陸上競技場が市内になく、市PTA連絡協やスポーツ団体から長年にわたる意向がある。妥当性については、未利用地の利活用に資する。優先性については、陸上競技場整備は市民要望の高い長年の課題であるにも関わらず、実現に至ってないため、これ以上先延ばしにすることなく早急に事業に着手することが適切だなどとした。 有効性については、スポーツ推進計画など政策目標が達成され、施設運営や植栽管理など雇用創出が見込まれる。集客に加え、利用者による地域の農産物、特産品の購入や飲食店、公共交通機関の利用が見込まれる、合宿の誘致により宿泊施設の利用が見込まれるなど経済波及効果があるとした。 経済性や効率性については、維持管理費は年間8000万円程度で、民間活力を導入するなどコスト低減を図る。地域への対応については、道路沿いのほとんどが農地であるため渋滞による周辺生活環境への悪影響は少ない、民家が点在するため騒音や光害などに配慮するーなどと説明した。 需要予測は年6回、維持管理費は年8000万円 委員の一人から「需要予想が年6回だとすると他の施設を借りても問題ないことになる。もう少し需要予測が立っていた方がいい」などの意見が出た。 需要予想については、小中学校の記録会や市陸上競技選手権大会の年6回と、そのほか、トラックの内側のインフィールドで、部活動、サッカー、グランドゴルフ、敷地内の園路や多目的広場でジョギングや日常の憩いの空間として活用されると説明された。維持管理費が年8000万円程度で、年6回の開催需要の場合、1回当たりの開催経費は維持管理費分だけで1333万円になってしまう。 陸上競技場の計画概要は、400メートルトラック8レーン、インフィールドは天然芝で投てき競技に対応できるようにし、メーンスタンドは1500席、芝生スタンドは2500席、日本陸上競技連盟の4種公認(整備内容は3種相当)とする。敷地内には多目的広場やジョギングコースなどを整備する、駐車場は400~500台でバス33台分に転用可能。付帯施設としてセミナーハウスを整備する。災害時は避難場所として活用する。 事業費は22億2200万円か22億3600万円。ただしセミナーハウスの整備費、校舎や体育館の解体費、周辺道路の拡張費などは明らかにされなかった。 整備スケジュールは2022年度に基本計画、23年度に基本設計と実施設計を策定し、24~25年度に建設工事、26年度から利用開始となる。 大規模事業評価は、住民投票で白紙撤回になった市総合運動公園事業を教訓に、五十嵐立青市長が2018年9月に要綱を定めた。 一方大規模事業評価をめぐっては、つくばセンタービルのリニューアル事業は10億円を超えるのに、大規模事業評価を行わないのは違法だとして、住民訴訟が起こされている。(鈴木宏子)

少女にみだらな行為 20代男性教諭を懲戒解雇 筑波大

SNSで知り合った当時18歳未満の少女2人にみだらな行為をしたり、わいせつ自撮り画像を送らせたなどとして、筑波大学は30日、産休代替教諭の20代の男を同日付けで懲戒解雇処分にしたと発表した。 同大によると教諭は、同大に採用前の2019年2月、SNSで知り合った当時18歳未満の少女とみだらな行為をし、携帯電話で撮影した。 さらに採用後の今年2月、SNSで知り合った別の18歳未満の少女に、わいせつな画像を自撮りさせ、教諭の携帯電話に送らせたとされる。 今年6月、教諭が愛知県警に逮捕され、発覚した。同大の調べに対し教諭は事実関係を認めているという。 教諭の勤務先や採用期間などは被害者のプライバシー保護などの観点から公表しないとしている。 永田恭介学長は「児童・生徒を教育・指導する立場にある教諭がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾であり、被害者並びに関係者の皆様に心からお詫び申し上げます。今回の事態を真摯に受け止め、学内教職員に対し、再発防止に向けたさらなる啓発活動を行い、児童・生徒及び学生の修学環境の整備、大学の社会的信頼の維持・向上に努める所存です」などとするコメントを発表した。

五輪スイス選手団をコロナ禍サポート 筑波大生たちの「熱い夏」

東京オリンピックを共に戦った筑波大生の「熱い夏」が終わった。事前合宿からスイス選手団のサポートに当たった学生スタッフたちだ。新型コロナの感染対策からソーシャルディスタンス以上の距離を保ちながら、選手とのコミュニケーションを取り続けた。スタッフの一人は「競技に出たい人、サポートをする人がいて初めて実現されたオリンピックであることを身をもって実感した」と振り返った。 「精力善用」「自他共栄」の理念で 筑波大学では7月14日から8月2日の約3週間、オリンピックに出場するスイス選手団の事前合宿のサポートをしてきた。受け入れた競技は、マウンテンバイク、柔道、陸上競技。指導者やトレーナー含めて約50人が筑波大学を訪れ、学生のサポートを受けながら、五輪本番前の最終調整を行った。 スイス柔道チームは、女子52キロ級と男子73キロ級の選手各1人と監督、トレーナー含め、計10人が7月に来日。当初は学生が練習相手を務める想定だったが、新型コロナ感染防止対策から「受け」と呼ばれる稽古相手も一緒に来日していた。大学武道館内の道場や学内ループ、中央体育館のトレーニングジムで汗を流した。 大学側のサポートスタッフは、オリンピック・パラリンピック推進室の職員を中心に学生を加えた計13人だった。7月14日から1週間にわたって、毎日5人ほどで交代しながらサポートを務めた。大学柔道部からは、石本結菜さん(19)とアマンダ・コスタ・ドレッザさん(29)ら3人がスタッフとして選ばれた。感染防止対策でスイス選手団とは常に2メートル以内には近づかず、必ずマスクを着用しなければならなかったが、最低限のコミュニケーションをとる必要から、ドイツ語や英語を話せるスタッフとして加わった。 柔道場には、柔道の父、嘉納治五郎の肖像が唱えた理念「精力善用」「自他共栄」の額と共に掲げられている。大学の前身である高等師範学校の校長で、アジアで初の国際オリンピック委員会委員も務めた。この理念がコロナ禍のサポートにも通じる心得になった。 主なサポートは、道場などの練習場所の消毒と掃除。柔道場ではスイスチームの使用前後に1時間ずつ掃除をした。選手団らが通行可能な道や使用可能なトイレなども限られていたため、道案内なども行った。 選手の飲み物は、基本的にホテルで用意されたものを持ってくるようにしていたが、足りない時などは選手からお金をもらいスタッフが武道館内の自販機に買い出しにいくこともあった。選手たちが飲むスポーツドリンクには好みがあり、一度に3本頼まれたこともあったそうだ。 選手団は毎日、スタッフはサポートの頻度によって毎日から週に1回、PCR検査を行っての事前合宿となった。石本さんによると、そのような厳重な感染対策を講じながらのサポートを受けた選手団の中には、「安心して練習できた一方で、もっと日本の人と交流したかった」ともらす選手もいたそうだ。 きめ細やかなサポートへの感謝の気持ちを表すかのように、選手らはスタッフに対して距離を保ちながらも気さくに話しかけてくれただけではなく、サインまで快くしてくれたそうだ。筑波大での柔道チームの最後の練習日には、道場で集合写真を撮り、スイス選手団からは大学での最終日に、スタッフ全員に傘がプレゼントされた。 アマンダさんは「スタッフに選ばれたときはうれしい反面、不安もあったが、柔道という同じスポーツを通してオリンピック選手やほかのスタッフと関わることができ、将来に活きるいい経験になった」と話した。(武田唯希)

ナラ枯れの脅威! 被害対応奮戦記(下) 《宍塚の里山》80

【コラム・佐々木哲美】ナラ枯れ被害木の対応は何とかなりましたが、次に問題となるのは、ナラ枯れ被害が比較的軽い経過観察木と新たにカシナガの削孔(さっこう)が発見された樹木の対応です。 経過観察の樹木のナラ枯れ対応には、クリアファイルのトラップが有効であると森林総研の升屋主任研究員から教えられ、実施することにしました。このトラップは、トランク・ウインドウ・トラップ(TWT)と呼ぶ静岡県で考案されたもので、市販のA4クリアファイルの1枚と1/4を使って作るため、非常に安価にでき、設置も簡単です。 さっそく、調査の希望者を募ったところ、会員の山口かなえさんが、子どもたちにも挑戦させたいと手を挙げてくれました。山口さんにTWTを100枚ほど作っていただきました。 6月初めに升屋主任研究員に来ていただき、大人5名、子ども10名でナラ枯れ対策のトラップを設置しました。子どもたちも活躍し、楽しく作業ができました。山口さんが、子どもたちにチャレンジさせたいと思ったのは、ナラ枯れ対策を通じて子どもたちが生態系を学ぶいい機会になると考えたからだそうです。 以後、毎週、トラップを子どもたちと巡視して、捕獲状況の確認と石けん水の補充を続けています。また、状況に応じてトラップを増やす、隣接した樹木にもトラップを設置するなどしています。 「ナラ枯れ対策は『試行錯誤』」 ナラ枯れの基礎知識を学ぶために、「ナラ枯れ学習会」を7月17日(土)に開催しました。升屋勇人さんを講師に「カシナガキクイムシによる樹木の枯損」と題して1時間半ほど話してもらい、その後、現地で説明していただきました。参加者は環境教育部会を中心に12名でした。環境部会は、9月に筑波大学生命環境系の学生30名ほどを受け入れますが、野外体験学習に「ナラ枯れ」をテーマに行いたいと考えています。学習会は大変有意義で好評でした。 学習会の最後に、升屋さんから「ナラ枯れ対策手法は確立されておらず、試行錯誤を繰り返している状況である。ただ、熱意をもって、やり方を考えながら取り組んだ地域は成功している。3年ほど頑張らなければ、効果は確認できない」と、継続して取り組む必要性をアドバイスされました。 今後、3年も継続するには、子どもたちに新たな目標を示してやること、地元の小学校や中学校の自然観察や自由研究の題材、高校生や大学生の研究課題として示し、関わるように働きかけていきます。被害木の被覆作業や伐採作業も比較的重労働なこと、資機材の購入費などもあることから、何らかの助成金をいただいての対応も考える必要があります。 対処方法は、火災と同じで初期消火が一番効果あり重要なことですが、ボランティアだけでは対応に厳しいものがあります。現実の問題として見えてくるのは、行政、研究機関、学校、市民などが連携して取り組むことがカギのような気がします。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

ナラ枯れの脅威! 被害対応奮戦記(下) 《宍塚の里山》80

【コラム・佐々木哲美】ナラ枯れ被害木の対応は何とかなりましたが、次に問題となるのは、ナラ枯れ被害が比較的軽い経過観察木と新たにカシナガの削孔(さっこう)が発見された樹木の対応です。 経過観察の樹木のナラ枯れ対応には、クリアファイルのトラップが有効であると森林総研の升屋主任研究員から教えられ、実施することにしました。このトラップは、トランク・ウインドウ・トラップ(TWT)と呼ぶ静岡県で考案されたもので、市販のA4クリアファイルの1枚と1/4を使って作るため、非常に安価にでき、設置も簡単です。 さっそく、調査の希望者を募ったところ、会員の山口かなえさんが、子どもたちにも挑戦させたいと手を挙げてくれました。山口さんにTWTを100枚ほど作っていただきました。 6月初めに升屋主任研究員に来ていただき、大人5名、子ども10名でナラ枯れ対策のトラップを設置しました。子どもたちも活躍し、楽しく作業ができました。山口さんが、子どもたちにチャレンジさせたいと思ったのは、ナラ枯れ対策を通じて子どもたちが生態系を学ぶいい機会になると考えたからだそうです。 以後、毎週、トラップを子どもたちと巡視して、捕獲状況の確認と石けん水の補充を続けています。また、状況に応じてトラップを増やす、隣接した樹木にもトラップを設置するなどしています。 「ナラ枯れ対策は『試行錯誤』」 ナラ枯れの基礎知識を学ぶために、「ナラ枯れ学習会」を7月17日(土)に開催しました。升屋勇人さんを講師に「カシナガキクイムシによる樹木の枯損」と題して1時間半ほど話してもらい、その後、現地で説明していただきました。参加者は環境教育部会を中心に12名でした。環境部会は、9月に筑波大学生命環境系の学生30名ほどを受け入れますが、野外体験学習に「ナラ枯れ」をテーマに行いたいと考えています。学習会は大変有意義で好評でした。 学習会の最後に、升屋さんから「ナラ枯れ対策手法は確立されておらず、試行錯誤を繰り返している状況である。ただ、熱意をもって、やり方を考えながら取り組んだ地域は成功している。3年ほど頑張らなければ、効果は確認できない」と、継続して取り組む必要性をアドバイスされました。 今後、3年も継続するには、子どもたちに新たな目標を示してやること、地元の小学校や中学校の自然観察や自由研究の題材、高校生や大学生の研究課題として示し、関わるように働きかけていきます。被害木の被覆作業や伐採作業も比較的重労働なこと、資機材の購入費などもあることから、何らかの助成金をいただいての対応も考える必要があります。 対処方法は、火災と同じで初期消火が一番効果あり重要なことですが、ボランティアだけでは対応に厳しいものがあります。現実の問題として見えてくるのは、行政、研究機関、学校、市民などが連携して取り組むことがカギのような気がします。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

30日からワクチン職域接種 供給遅れの筑波大に届く

筑波大学(つくば市天王台)で、新型コロナワクチンの職域接種が30日から始まる。現在接種の予約が始まっており、1回目の接種は同日から 9月22日まで、2回目は9月27日から10月20日まで予定される。接種会場は大学会館。学生、教職員、学内で日常的に業務を行う警備、清掃、派遣職員などが対象となる。接種は強制ではなく、あくまでも任意とされている。 職域接種は当初7月下旬の開始が予定されたが、ワクチン供給量の関係から、開始時期の後ろ倒しを余儀なくされていた。大学の担当者は「職域接種申請後に国が新規受付の停止を行い、ワクチン配分の見通しが立たなくなったことにより一時的に供給停止となったことが原因」と話す。 供給の後ろ倒しにより、当初学生に対して発表されていた開始時期も変更せざるを得ない状況となった。6月24日、大学は「7月の下旬」から職域接種を開始する予定だと発表。しかし、7月6日には「厚生労働省より8月9日の週以降」にワクチンの配給が遅れるとの通知があったとし、接種の開始時期を延期。7月30日には「8月23日の週以降」との見通しを示し、今月19日にようやく「8月30日から」と開始日時が確定したと発表した。 職域接種によるワクチンの接種人数について、大学担当者は「具体的な数字の提示は差し控える。厚生労働省には2万2000人で申請を行った。申請してからの間、65歳以下の地域接種が開始されるなど状況が変わった部分がある。そのため、当初の想定よりは少なくなる見込み」という。 ワクチンの配給量については「1回目の接種人数に応じて、2回目のワクチンが配送される仕組み。したがって、ワクチンの配給量は現時点では確定していない」と担当者。使用されるワクチンは「武田/モデルナ社製」で、ワクチン接種の打ち手は「当初の予定より本学内の医療従事者が担当する計画であり、変更はない」という。 接種の予約は大学が用意した特設のページで行われている。予約は23日に開始されたが、ページにアクセスが集中し機能しなくなることを避けるため、学群・研究科ごとに予約の開始時間が別々に設定されている形だ。 授業はオンラインに変更 新型コロナは「第5波」で、つくば市でも感染者数が急増しており、筑波大では夏休み中にもかかわらず課外活動所属学生らのクラスター感染が確認されている。こうした状況を受け20日、同大は授業形態を原則としてオンライン授業に変更すると発表した。サークル活動についても活動可能な形態の基準を厳格化し、原則的な自粛を求めた。 接種について人間学群4年の女子学生は「明るいニュースだと感じた。自分自身も打つつもりではいる」と話す。人間学群の男子学生(23)は「授業は原則オンラインで行われているので、大学の近くに居る意味がない。現在はつくばから離れた場所で暮らしている。そもそも、大学の職域接種の利用はあまり考えていないし、打つつもりもない」と話している。(山口和紀)

改修へ設計を発注 つくばセンタービル 専門家懸念「文化財の資格手放す」

つくば市が計画しているつくばセンタービル(つくば駅前)のリニューアル事業について、同市は、改修に向けた実施設計の入札を9月7日に実施する。 センタービルは、プリツカー賞を受賞した建築家、磯崎新さんが設計し、ポストモダン建築の代表作として世界的に評価されている。市の改修計画に対しては、市民団体から見直しを求める要望書が出され、専門家からも「大がかりな改修をしてしまうと登録文化財の資格すら手放すことになる」など懸念の声が出ている。 リニューアルに向けた実施設計の一般競争入札は、5日に市ホームページで告示された。開札は9月7日に実施する。予定価格は4742万円(消費税抜き)、設計書などの作成期間は来年3月まで。 エスカレーター2基を設置するなどのリニューアル計画のうち、センター広場北側(ホテル側)のエスカレーター1基とV字型階段の改修は、市議会の意見を受けて取り止める。(4月27日付 6月3日付 6月22日付) 一方、西側(クレオ側)のエスカレーターは当初の計画通り新設する。 リニューアル計画の主な内容は、ほかに▽現在の1階ノバホール小ホールや廊下、市民活動センターなどに市民活動総合センターや交流センター、市民窓口をつくる▽ノバホール西側の外階段の半分をスロープにして土浦学園線から車両が出入りできるようにする▽現在の吾妻交流センターの内装を解体するーなど。 これに対し市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)は6月1日、つくば市が進めようとしている計画は文化財としての価値を失うことになるなどとして、エスカレーター2基いずれも設置を取り止めるよう要望していた。(6月1日付) さらに同会が6月27日に開催したシンポジウムでは、筑波大学の鵜沢隆名誉教授が「つくばセンタービルの中央広場は主要な動線から孤立した、閉鎖的な屋外空間であることが広場の大きな特徴であり、広場に降りていくことを目的とした人でないと降りていかない広場なのだから(市が目的に掲げるにぎわい創出などは)エスカレーターを付ければ解決できる問題ではない」「磯崎さんの設計意図は、1階と2階で交わされる視線の交差、視線を介したある種の劇場広場のようなものとしてつくられた」「最も特筆すべき点はフォーラムと呼ばれる中央広場であると評価されている」など建築の特徴を話し、市のリニューアル計画に懸念を表明した。(6月27日付) 神奈川大学の六角美瑠教授はシンポジウムで「つくば市の計画書には、磯崎さんが中央広場を『にわ』と言ったから『シェアガーデンにしよう』と書いてあるが、取り違えている。磯崎さんがいう『にわ』の意味はコスモロジーとしてのセンターであり、ここにしか展開できないようなスケールのものごとを起こせよ、と磯崎さんは言っているだと思う」などと指摘し、疑問を投げ掛けていた。(鈴木宏子)

クレオ3階からオンエア ラヂオつくば「トナリエスタジオ」

つくば市のコミュニティーFM、ラヂオつくば(周波数84.2HMz、堀越智也社長)の「トナリエスタジオ」が、つくば駅前の商業施設トナリエクレオ3階にオープンした。8日から昼と夕方の番組などを生放送している。 新スタジオは面積約66平方メートルで、放送スタジオとイベントスペースに分かれている。生放送中のスタジオの様子を、買い物客が、目の前のイベントスペースで視聴できるのが特徴だ。 クレオなどの商業施設「トナリエつくばスクエア」を運営する日本エスコンから誘いを受け、まちづくりにさらに寄与したいと新たなスタジオを設けた。これまで生放送をしていた、つくばセンタービル2階のサテライトスタジオ・センは、引き続き番組の収録などに使用する。 堀越社長は「皆が気軽に立ち寄って楽しんでいける場にしたい。一方的に発信するのではなく、MC(司会進行者)、ディレクター、市民、通り掛かりの人が、一緒に番組をつくっていけるスタジオにしたい」と抱負を述べる。 夕方5時から7時までの生放送番組「つくば You've got 84.2(発信chu)!(つくば ゆうがたはっしんちゅう)」の月曜日番組ディレクターで、筑波大学情報学群4年の土居未奈さん(23)は「スタジオの外にスピーカーも設置されていて、目の前で番組を心地良く聞いていただけるようになっている。(イベントスペースで視聴する)リスナーとの距離が近いので、リスナーにゲスト出演していただくようなことも今後やっていけたら」と話す。 月曜同番組の司会進行をする有働文子アナウンサー(35)は「例えばスイーツフェスタなどのイベントを開催していれば、担当の方に番組に出ていただいたり、トナリエのお店の方に番組に出ていただいて一緒に番組をつくるなど、地域情報発信の場として活用していけると思う」などと語る。 ◆トナリエスタジオ前で生放送を視聴できる時間帯は以下の通り。月~木曜=午前11時~午後1時、午後5~7時/金曜=午前11時~午後1時、午後5~8時/日曜=午後1~3時

土浦市職員のHPが最優秀賞 イラストと記事で”日本一”の霞ケ浦流域紹介

土浦市職員の若田部哲さん(45)が、個人で制作するホームページ(HP)「日本一の湖のほとりにある街の話」がこのほど、ウェブサイトコンクール「TCDアワード2021」で最優秀賞を受賞した。版画のようなオリジナルのイラストと記事で、霞ケ浦流域のグルメやレジャー、文化などを紹介している。 ウェブデザイン会社「デザインプラス」(大阪市)が主催する賞で、「独特な、味のあるデザインのイラストが目を引く」「コンテンツが充実している。まるで懐かしい絵本のよう」などと評価された。 土浦の老舗グルメ、霞ケ浦流域の祭りやレジャー施設、レンコンや江戸崎カボチャなどの特産品、夕映えスポットなど、若田部さんが実際に行って魅力を感じた霞ケ浦流域の地域文化を、5つのジャンルに分けて紹介している。 特に高い評価を得たイラストは、各作品3色だけを使い、濃淡で表現している。手描きでスケッチを描き、色別に写しとってさらに手描きし、パソコン上で彩色して仕上げる。 ホームページは2019年に開設し、毎週平均2本ずつ記事を紹介しており、現在計約170本が紹介されている。グーグルマップなども取り込み、自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」を走るサイクリストが、ホームページを見ながらグルメを堪能したり、景観スポットを散策できるよう工夫している。 ナンバー1をアピール 霞ケ浦は琵琶湖に次いで2番に大きい湖だが、ホームページのタイトルを「日本一の湖—」とした。面積は第2位だが、西浦、北浦、外浪逆浦などを合わせた霞ケ浦全体の湖岸線の長さは琵琶湖を上回り日本一。魅力をPRするにはナンバー1が重要だとタイトルに付けた。 4年前、滋賀県の琵琶湖のほとりで開催された全国市町村職員研修会に参加したことがきっかけになった。全国各地から集まった市町村職員に霞ケ浦を紹介したところ、全国一の琵琶湖はよく知られていても、2番目の霞ケ浦を知らない職員も多く、悔しい思いをした。 土浦に戻り、何とかアピールする方法はないかと考え、湖岸線は日本一であることを「発見」。湖岸線が日本一なら関係市町村も多く経済圏も大きい、オール霞ケ浦で日本一をアピールできないかという思いが、ホームページ制作の動機になったという。「霞ケ浦のイメージを変え、自分たち自身が霞ケ浦を誇りに思うきっかけになれば」とも話す。 昭和レトロの土浦の老舗紹介も 若田部さんは現在、市勤労青少年ホーム(同市文京町)に勤務する。筑波大学芸術系でデザインを学び、同大学院を修了後、建築設計事務所を経て、土浦市職員になった。これまで古い街並みや老舗が残る土浦の魅力を、「昭和レトロ」というキーワードでアピールし、2015年から常陽新聞にオリジナルのイラストと記事で土浦の老舗を紹介する「土浦画報」「土浦老舗博覧会」を連載した。その後、生活情報誌「月刊ろたす」、茨城新聞などにもイラストと記事を連載、「日本一の湖ー」では、これまで各紙に連載してきたイラストも含め紹介している。 霞ケ浦流域の魅力について若田部さんは「一つのカラーでまとめられない、いろいろ違ったおもしろさがある」とし「広域のつながりをもたせて、日本一をアピールしたい」と話す。将来は、関係団体や企業などとコラボして、サイクリスト向けの紙の地図をつくりたいと語る。(鈴木宏子)

一周忌に「根本健一の世界」展 19日からつくば文化郷

筑波研究学園都市の建設初期から、里山集落の自然と歴史を生かしたサスティナブルな事業展開と文化の創造・発信に取り組んできた、根本健一さんをしのぶ企画展が19日から、つくば市吉瀬の国登録文化財、つくば文化郷で開かれる。 未発送のダイレクトメール 根本さんが66歳で亡くなったのは、昨年8月4日のこと(2020年8月14日付)。その遺品の中から、未発送のダイレクトメールが見つかった。「ルーラル吉瀬アトリエT2のアーティスト展」と題した案内状で、19人の作家名が記されていた。 吉瀬の根本さんの旧宅には、隣接して若い芸術家たちが寄宿していた「アトリエT2」があり、19人は約30年の間に巣立っていった作家たちの名だった。筑波大学名誉教授、蓮見孝さんによれば、「アーティスト・イン・レジデンスの先駆けともいえる活動」と評価できるそう。展覧会の期日も書かれていない案内状こそ、根本さんがやり残した最期のプロジェクトだった。 生前根本さんの周囲に集っていた学者や編集者、クリエーターたちがその遺志をくみたいと実行委員会(井坂敦実委員長)をつくり、遺族の了解のもと一周忌企画展を準備した。文化郷に部屋を借りて活動した斎藤さだむさん(写真)、岩崎真也さん(映像)らも実行委員に加わり、アトリエT2の出身者と連絡を取り合ってきた。 つくば文化郷は根本さんの旧宅で、2015年に国有形文化財に登録された。ここを足場に、根本さんは野良仕事(ブルーベリー園)・手仕事(陶芸舎)・山仕事(フォンテーヌの森)など田園プラン社による事業を展開し、郷土資源である古民家や石倉、風車などを生かした地域起こしに取り組んできた。 斎藤さだむさんは「企画展を準備して改めて根本さんの仕事に向き合ってみると、環境デザイナーというのかな、アーティストとしての姿が見えてきて、アートと仕事とが融合した生き方だったことが分かってくる」と語る。 展示は、井口壽乃(芸術学)、長内夏希(彫刻)、五十殿ひろ美(翻訳)、児玉幸子(メディアアート)、小林努(日本画)、西垣美央(日本画)、比護武司(陶芸)、星加民雄(視覚芸術)、増田聡子(絵画)、山本将之(陶芸)=敬称略=らが出品するアート部門と、つくば文化郷を拠点にした地域づくりなどの足跡をたどる事業活動部門で構成する。 会期は24日まで。21日午後には、山本幸子さん(筑波大学システム情報系)ら3人による講演会、大久保純子さんによるお茶会も企画されている。(相澤冬樹)◆一周忌企画 実現した仕事・果たせなかった夢「根本健一の世界」講演と展覧=19日(木)~24日(火)午前11時~午後5時、つくば文化郷(つくば市吉瀬1679-1)。問い合わせは実行委員会(電話090-2905-5196)

夏休みのヒントを発見する展覧会 つくばで「夏のキッズアート」

子どもたちの夏休みの自由工作を後押しする「夏のキッズアートおうえん展」が8月9日まで、つくば市二の宮のスタジオ'S(関彰商事つくば本社内)で開催中だ。筑波大学芸術学群の学生が考案した工作の実作品や作り方を紹介展示している。入場無料。 学生による工作の展示は6種類。日本画ブースの「風船で和紙のランプシェードをつくろう!」、彫塑ブースの「小麦粉ねんどでオリジナルメダルをつくろう!」など、専攻ごとの特色あふれるものが並んでいる。展示台の高さは子どもの目線に合わせ、各作品の横に設置された小型モニターでは、動画やスライドで作り方も紹介している。 会場では工作の制作キット(主な材料と説明書)も日替わりで配布しており、1日20キット限定で、内容はホームページやSNSで見られる。 7月31日には、セキショウブースが紹介する「カラフル♪アンブレラアート」のキットを配布。さまざまな色のビニール傘に自分で絵を描いて楽しもうという内容で、常総市から来た小学2年生の栗原結衣さんは、傘をもらって「色がきれい。いっぱい描けそう」と喜んでいた。 つくば市内の小学5年と2年の姉妹は、洋画ブースの「小石に絵を描こう!」に興味津々。自分で見付けてきた石の形に合わせて、どんな絵を描こうかと考えるのが楽しそうだという。 スタジオ'Sでは2016年から筑波大学と連携して、毎年夏と冬に「キッズアート体験」を行ってきた。会場で子どもたちが学生に指導してもらい、工作を完成させるというやり方だが、コロナ禍で実施が難しくなった。昨年はホームページで紹介した工作を家庭でつくり、写真に撮って投稿してもらうオンライン方式に変更。そして今年は初の展覧会形式での開催となった。 「実物を見ることでより楽しく、制作の参考にもしていただけるのでは」と、スタジオ'Sの浅野恵さん。来場者の一人は「毎年子どもと参加しており、大学生から教えてもらうのも楽しかったが、今年は作品を見てヒントをもらったり、自分で工夫したりして、できる範囲が広がるかもしれない」と話した。(池田充雄)

五輪スイス選手団「サポートに感謝」 つくば事前キャンプ

開催中の東京オリンピック出場のため、つくば市で事前キャンプを行っているスイス選手団は27日、市、筑波大学と共同でオンライン記者会見を開いた。選手たちは「市民との実際の接点は少ないが、すべての方に感謝を感じている」と語った。 選手団からは、事前キャンプ責任者ピーター・ハ―スさん、陸上競技チームリーダーのフィリップ・バンディさん、女子棒高跳びのアンジェリカ・モーザー選手、男子5000メートルのヨナス・ラエス選手が出席した。 ハ―スさんは、つくば市での事前キャンプについて「市民の皆さま、筑波大学、つくば市、滞在先のホテル、すべての人たちに多大なる感謝を伝えたい。素晴らしい環境のもとで事前キャンプを行うことが出来ている。感染対策も万全」と述べた。市の環境については「静かでクールな街だという印象を持った。どこかスイスを感じさせる環境で、安全に練習をすることが出来ている」という。 モーザー選手は「市民との接点がないのは悲しいが、世話役の皆さんがとても親切にフレンドリーに接してくれている。筑波大の練習場においても、接遇役の方たちがサポートのために見守ってくれている」と感謝した。 「ホテルの窓から見る風景に触れたい」 筑波大学の練習環境について、ラエス選手は「新型コロナウイルスの感染拡大下、ここまでのサポートは受けられないと思っていた。多くの方たちが準備をしてくれ、練習が出来ている。すべての人たちをリスペクトしている」と話す。 新型コロナが無ければつくば市で何をしたかったかという質問に対して、ラエス選手は「市内をたくさん探検して回りたかった。ホテルの窓から外を眺めるとたくさんの美しい自然や建築物を見ることが出来る。そうした場所に行くことが叶わないことを残念に思っている」と答えた。 大会への意気込みについて、ラエス選手は「チームとしての目標は決勝まで残ること。自分自身としての目標は、ゴールラインを切った時に自分自身の頑張りを感じ切ることができるということ」だと話し、モーザー選手は「決勝まで進むことが自分の目標だ」と話した。

「DPATカー」完成 被災地に駆け付け心のケア 筑波大付属病院

被災地にいち早く駆け付け、心のケアをする筑波大学付属病院(つくば市天久保、原晃病院長)災害派遣精神医療チームの特殊緊急車両「DPAT(ディーパット)カー」がこのほど完成し、18日、同病院の春日プラザで完成披露会が催された。県内第1号のDPATカーとなる。 被災者の心のケアは新しい取り組みで、国の予算がまだ十分にないことから、同大医学医療系災害・地域精神医学の太刀川弘和教授を中心にプロジェクトを立ち上げ、2019年にクラウドファンディングで車両購入の支援を募った。目標額750万円に対し、3カ月間で255人から915万円が集まった。一方、新型コロナ感染拡大への対応などで車両の製造や車内の改造などが遅れ、昨年12月に車が完成した。 DPATカーは6人乗りの白いワゴン車で、車体の前方と側面などに青いアルファベットで「DPAT」と書かれている。後部座席を撤去し、被災者の相談に乗ったり、診察や薬の処方などをするスペースに改造した。車内はLED電球を取り付けて明るくした。通信手段の遮断や長時間の停電に備え、衛星電話やサブバッテリーなども備えている。隊員が宿泊しながら活動する基地にもなる。 太刀川教授は「これまで車両がなくレンタカーなどで被災地に行っていた。クラウドファンディングを始めて、当初は支援が集まるだろうかと懸念していたが、被災地で活動を展開しホームページでどんどん報告したところ、温かいメッセージと共に255人から目標額を超える支援が集まった。車両の製造や改造もコロナ対応で遅れ、2020年末に完成したが、感染拡大でお披露目もなかなかできなかった。この日を迎えられて感無量」と話し「今後はDPATカーを使って被災地に出掛けて、被災者の心のケアの支援をしていきたい」などと語った。 DPATは、国や都道府県の要請で被災地に48時間以内に駆け付け、1~2週間滞在して被災者の心のケアをするチーム。精神科医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど5~6人で構成され、避難所などで被災者の診察をしたり、被災した精神科病院の患者の対応などをする。2011年の東日本大震災をきっかけに誕生した。 同大附属病院では2015年にDPATチームが発足し、鬼怒川が決壊した同年の常総水害、16年の熊本地震などの被災地に赴き活動した。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年は横浜港で大型客船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の心のケアなどにも取り組んだ。(鈴木宏子)

スイス選手団13日つくば入り 8月2日まで筑波大などで事前合宿

東京オリンピックに出場するスイス選手団の第1陣が13日深夜、事前合宿地のつくば市に到着する(6月2日付)。8月2日まで、マウンテンバイク、陸上、柔道の選手27人とコーチら計51人が市内のホテルに宿泊しながら、筑波大学陸上競技場や柔道場などで練習する。 市オリンピック・パラリンピック推進室によると、第1陣として13日来日するのは、マウンテンバイクの選手1人とコーチ、運営スタッフ、シェフら計6人。夕方、成田空港に到着し、検疫で新型コロナ陰性を確認後、つくば市に向かう。夜11時ごろ市内のホテルに到着する予定という。選手は14日から練習し、18日につくばを離れ、選手村に入る。 第2陣は、陸上の選手23人とコーチら12人の計35人が、競技種目ごとに16日から順次、来日し、筑波大学陸上競技場などで事前合宿を行う。陸上の選手らは種目ごとに8月2日までに順次、選手村に入る。柔道も選手3人とコーチら計10人が16日来日し、21日まで、大学の柔道場で練習などを行い選手村に向かう。 ホテル公表せず 選手団と、付き添いの筑波大スタッフ、市職員、ホテルスタッフは毎日、PCR検査を実施する。選手団はホテルと練習会場を往復するだけで、外出も買い物もしないという。 宿泊するホテル名は公表しない。ワンフロアを貸し切り、食事はホテル内の専用の調理室でスイス人シェフが調理したものを、専用の部屋でとる。ホテルの出入りは、同行する市職員やホテルスタッフらが、一般の宿泊客と接触しないよう注意を払うという。 部活動と区切り設置 練習会場となる筑波大は、新型コロナ対策のため、事前合宿期間中、構内への入場は関係者のみとする。公開練習なども実施しない。一般学生がスイス選手と接触しないよう、動線や施設使用の区域を分けるなどする。 大学の担当者は取材に対し「春学期の期間中ではあるが体育実技の授業はなく、一般の学生が練習場に入ることはない。また練習場所に区切りを設けることによって、部活動で練習場を使用する学生とも接触を避けるようにしていく」と感染対策を示す。 大学構内での移動についても「選手団は決まった経路のみを利用することにしている。アテンド(付き添い)の者が選手とのソーシャルディスタンスをとりつつ同行し、学生との接触がないよう注意喚起を行う」としている。 「歓迎したいが複雑」 人間学群の男子学生(22)は「スイス選手団が来ることそのものを知らなかった」と話した。比較文化学類の女子学生(20)は「スイス選手団が来る話は聞いたことはあったが、今来るのかと驚いた。オリンピックが目の前に迫っているという感覚が全くない。大変な時期にわざわざ来るのだから歓迎したい気持ちはあるが、なんだか複雑な気持ち」だと話した。 学生とスイス選手団の交流イベントについて大学は「対面でもオンラインでも、今のところ実施の予定がない」と話した。 事前合宿はもともとは6競技の選手らが予定していた。体操、フェンシング、トライアスロンの3競技は事前合宿を取り止め、直接、選手村に入るという。(山口和紀)

「ボーン ディス ウェイ」 《続・平熱日記》89

【コラム・斉藤裕之】「先生、どうやって学校に来てるんですか」「車」。すると隣の男子がすかさず、「軽トラ!」というツッコミ。春先に買った中古の軽トラはその後期待通りの活躍をしているのだが、実はもうひとつの役割があったのだ。「実はねえ、長女が子供を産むためにうちに帰ってきているものだから、いつも乗っている乗用車を娘夫婦に貸しているんだよ。それにしても、なんで私が軽トラで来ているのを知ってるの?」「だって見たもん!」 別に隠すこともないが、冷やかされるのも面倒くさいと思って、生徒たちが大方登校し終わったころを見計らって、軽トラで校門を通過するようにしていたのだが…。しかし、たまたま遅刻気味のこの生徒に目撃されていて、「軽トラ先生!」と冷やかされるはめになった。 高校生だったころ、古典のK先生はセピア色の軽自動車に乗って学校に来ていた。先生のご自宅の近所に住む合田君は、「K先生の家は米屋で、あの軽自動車でよく米を配達するんよ」と教えてくれた。カラカラというやや非力なエンジン音が聞こえると「お、K先生の米屋カーじゃ!」と冷やかしていた。先生はそんなことを気にもなさらず、さっそうとしておられた。余談だが、K先生のご子息が1学年下にいて、確か現役で赤門をくぐられた。 それから、もう1人思い出すのが筑波大学の芸術系のある先生。とてもきさくでユーモアのセンスに富んだ方で、教え子の方々からも厚い信頼を得ておられたようだ。ある日、その先生がやや薄汚れた軽自動車から降りて来られるのを目撃した。地位も名誉もあるのに、メンツや外聞を気にしない。そんな先達のたくましい姿を思い出しつつも、「でもやっぱ、さすがに軽トラはねえな」。なにしろ、私の見てくれは明らかに工事関係者。 チャイルドシートが届いた さて、大きな荷物が届いた。チャイルドシートだ。若い夫婦は早速それを私の車に取り付けた。もうすぐこのシートに乗って赤ん坊が帰ってくる。とにかく元気な子であってほしいと願うばかりだが。 登校時間の校門には生徒を乗せてくる車が次々とやって来る。国産車に交じって、高級な欧州車も少なくない。その間隙をついて、その日も軽トラで校門を通過。梅雨の晴れ間で、朝から気象予報士が「洗濯日和」を連呼していた。午後1時過ぎ。帝王切開にて3700グラムの男児を無事に出産という知らせ。すぐに動画が届いた。元気な産声を上げる立派な赤子と安心したような顔の長女。「でかした!」 待てよ、軽トラにはチャイルドシート付けられないなのかなあ。軽トラのモノラルラヂオから、ややこもり気味にレディ・ガガの曲が流れた。「ボーン ディス ウェイ」。(画家)

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