土浦写真家協会会長のオダギ秀さんの写真展「新たな新地平に向かって2024」が18日から23日まで、つくば市高野台のカフェギャラリーロダンで開かれている。オダギさんの個展は20年前から毎年開かれているが、昨年は準備が整わずに中止されており、2年ぶりになる。
今回は帆引船や亀城公園の写真も
「昨年は突然中断し、そのショックでこの1年間ぼけていたが、改めて決意し『新たな地平に向かって』という新シリーズをスタートさせることにした」
喫茶店に併設された小さな展示スペースには、15点の写真が飾られている。壊れかけた実家の竹垣、庭に咲いた青色の朝顔など日々の生活から切り取ったもの、お地蔵さまや小仏堂など路傍で見掛けたものが中心だが、今回は霞ケ浦の帆引船や亀城公園の城門など土浦市の観光写真として使えるものも加えた。
シャッターを切るいとおしい瞬間
土浦市在住のオダギさんの専門はコマーシャルフォト全般。同時に写真家として写真撮影教室を開き、地域の写真愛好者の指導もしている。2年前には土浦写真家協会を立ち上げた。土浦市観光協会主催の「土浦の写真コンテスト」の審査員もしており、NEWSつくばのコラムニストでもある。
19回目になる今回の写真展については「ポケットの紙切れにメモしたような、通りすがりにチラッと見ただけのような何気ない作品を、目立たぬように少しだけ飾って、行きずりの誰かの心がちょっとざわめくーそんな個展を開いていきたい」と語る。
「写真を撮る瞬間は、ほんの数十分の一秒とか、場合によっては数千秒分の一秒という非常に短い瞬間。ここにある全作品を合わせても、数十分の一ぐらいしかにならない。私の数十年の人生(今年79歳)と比べたら、余りに短い瞬間でしかない。そんな瞬間でも、わざわざシャッターを切った瞬間なのだから、私にはいとおしい瞬間と言える」
写真だけでなく説明の文章も好き
19日午前、写真展を訪れた土浦市在住の夫婦は「10数年前にデジタル一眼レフ講座で写真の撮り方を教えていただいた。それ以来、個展は毎回拝見している。写真も好きだが、写真に付いている文章も好きです」と述べ、15作品を丁寧に見て回った。
タイトル「冬のこずえ」の文を見ると「そろそろ日が暮れるころ、気紛れに遠回りをし、見知らぬ道を帰った。正面に見えた樹が、なぜか自分のようだったので車外に出た。思った以上に冷たい風に驚かされた。群雀が頭上を一瞬よぎったが、戻ってくる気配はない」と、詩のような説明文が掛かっていた。(岩田大志)
◆第19回オダギ秀写真展 5月18日(土)~23日(木)、つくば市高野台3-15-35、カフェギャラリーロダンで開催。開館時間は午前11時~午後4時。入場無料。