日曜日, 4月 5, 2026

姥捨て楢山節考《ひょうたんの眼》64

【コラム・高橋恵一】映画「楢山節考(ならやまぶしこう)」を再生してみた。山深い貧しい村の因習に従い、年老いた母親を背負って真冬の山奥に捨てに行く物語だ。映画では、白骨の散らばる山奥の岩陰に運ばれた老婆が、置き去りを躊躇(ちゅうちょ)する息子に早く行けと促す悲惨さが描かれる。 長野県の冠着山(かむりきやま)が俗称「姥捨(うばすて)山」と言われているのだが、実際には、そんな因習は無かったという。 姥捨て伝説は、各地にあるようだが、背中に負われた母親が、山道途中の枝を折ったり、白い灰を撒(ま)いたりして、息子の帰路の目印を残し、息子は親の愛の深さに堪(たま)らず、親捨てを止める。 あるいは、姥捨ては領主の命令だが、親を納屋に匿(かくま)っていたところ、領主に難題が持ち上がり、隠れていた老人の知識で解決し、領主が反省して姥捨て命令を廃止した―などと、姥捨て物語では、姥捨てを留(とど)まり、因習を否定しているようだ。 姥捨てや間引きはタブー 戦争中の集団疎開を扱ったドラマに、こんな話があった。疎開児童が増えたので村に食糧不足が起こり、老人たちが村はずれのお堂で自給自足の集団生活をする。それを子ども達が気付き、自分の食事を残して、おにぎりをお堂に届け、大人が反省して老人達を家に戻す。 口減らしは、その恩恵を受ける側にとっても残酷な行為なのだ。現実には、悲惨な状況もあったのかも知れないが、我が国の伝説や規範としては、姥捨てや間引きといった口減らしをタブーとしているのだ。 江戸時代、常陸国(現在の茨城県)南部に岡田寒泉という代官が就任した。彼は領内をくまなく見回ったところ、村々が疲弊していたので、貧困による幼児の間引きを防止するために「産児養育料」を支給し、凶作に備えて稗(ひえ)などの備蓄をさせるとともに、開墾事業の奨励、風紀の粛清など民生の安定に努め、小貝川の氾濫の際には素早く「お救い小屋」を建てて対応したという。 岡田寒泉は、松平定信の寛政の改革に関わった旗本であり、儒学者でもあったのだが、貧困の根幹を是正する統治政策を実践した人でもあった。 岸田政権の悪知恵政策 ところで、岸田政権の「異次元の少子化対策」では、財源の3分の1を、医療保険の掛け金から「支援」させるという。医療・介護保険は、必要な医療介護費用を算出し、保険制度の組合加入者が負担するわけだから、保険金に余裕はない。余裕があるとすれば、保険料を減額するのが筋だ。 その保険金を別の用途に回すとすれば、必要な医療・介護サービスを減らすことになる。学校給食費の納入金の一部を人気取り行事に流用して、給食の回数を減らすか食材の品質を落とすのと同じだ。要するに、「口減らし」だ。日本の老人は、子どものためと言われれば、少ない年金からでも、ひねり出すことは厭(いと)わない。 しかし、そのような、日本の老人の心情に付け込むような悪知恵政策は余りにも卑怯(ひきょう)だ。肝心の日本の子ども達は、子育て政策が老人の命を削る支援金で行われることを聞いたとき、喜ぶのだろうか?(地歴好きの土浦人)

今季開幕7連敗 つくばサンガイア

バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は6日、土浦市大岩田の霞ケ浦文化体育会館で北海道イエロースターズ(本拠地札幌市)と対戦し、セットカウント1-3で敗れた。これでつくばは通算成績0勝7敗、10チーム中最下位。7日は同会場でクボタスピアーズと対戦する。 2023-24 Vリーグ2部男子(1月6日、霞ケ浦文化体育会館)つくば 1-3 北海道YS16-2525-1721-2520-25 つくばは今季開幕直後の昨年11月を6連敗。その後約1カ月のインターバルを経てこの日を迎えた。「新年最初の試合でしかもホームゲーム。必ず今日勝つとチーム全員で誓っていた。悔しいの一言」と加藤俊介監督。 開幕時はけが人がかさんで6対6の練習もできず、コンディションが整わないままシーズンイン。その頃に比べれば選手層も厚みを増し、練習も充実してチーム力も格段に上がっているという。しかし勝利に向けて気持ちを高めてきた中で、ショックな出来事もあった。元日の能登半島地震だ。 つくばのエース、架谷也斗は石川県かほく市の出身。「年明けから震災のことが心のどこかに引っかかって、試合に向かう気持ちがつくれなかった」と明かす。 それがチームにも波及してか、立ち上がりから消極的なプレーが多く、リズムをつかめないまま第1セットを落とす。 第2セットで架谷は「このままではいけない、こんなプレーをしていては地元で応援してくれている人たちに顔向けできない」と気持ちを入れ替える。チームにも思い切りの良いプレーが出始め、セットを取り戻した。「開き直って自分たちのやってきたことを貫ければ、いい戦いができる」と加藤監督。 対戦相手の北海道YSは、サフィルヴァ北海道から今季改名。選手はV1経験者も多く、高さとパワー、緻密さが武器。課題だった守備は昨季までつくばを率いた浜崎勇矢監督を指揮官に招き、底上げを図っている。 第2セットはそんな両者の持ち味も出た。互いにブロックやアタックレシーブを得意とするため長いラリーが続き、裏をかこうとするテクニカルなプレーも多く見られた。第3セットはそこから一転、相手の守備を弾き飛ばそうとする強いスパイクが両チームとも増えた。 ここで差がついたのが攻撃の精度。競り合いの中で出たサーブミスやスパイクミスで相手に流れを渡し、つくばは残り2セットを失う。また攻撃のバリエーションの少なさも相手に対応される一因となった。「今は戦術のオプションを増やしている最中。練習で磨いたものを試合で使えるよう精度を上げていきたい」と加藤監督。 濱田英寿主将は「いつも応援していただいているファンの皆さんには、良い結果をご報告できず申し訳ない。ひとつ勝てばリズムがつかめると思うので、明日も頑張って目の前の1勝をつかみ取りたい」と前を向いた。(池田充雄)

話題は能登地震と羽田事故 土浦で新年賀詞交歓会

土浦市の経済3団体(商工会議所、観光協会、商店街連合会)主催による新年賀詞交歓会が5日夜、市内のホテルマロウド筑波で開かれ、地域の経済人を中心に約300人が参加した。あいさつに立った市長、国会議員、県会議員は、冒頭、年初に起きた能登半島地震と羽田空港航空機衝突事故に触れ、地震被災者にお見舞いを述べ、航空安全の必要性を強調した。 TX延伸、花火大会… 大型新年会は、恒例の土浦鳶職(とびしょく)組合の祝木遣(きやり)唄でスタートした。 3団体を代表して中川喜久治土浦商工会議所会頭があいさつし、地域の交通インフラ充実について「県の活性化や防災対策にも寄与するとして、昨年、TXの土浦方面延伸が決定した。また、常磐高速スマートICの市内設置も、国が調査することになった。これらは、市の20~30年先を見据えて、私たちが要望してきたものであり、大きな喜びだ」と述べた。 また、市長2期目に入った安藤真理子土浦市長も「オール土浦で取り組んだTX土浦延伸の夢が実現に向け一歩踏み出した」と述べたあと、「昨年の全国花火大会はヒヤッとするところもあったが、多くの方に感動を与えた。これからも、先人が培った土浦の文化や宝に磨きをかけ、全国に発信していきたい」と、観光事業の活性化に意欲を示した。 2人の女性議員に注目 議員からは、国光あやの、青山大人衆院議員、上月良祐、加藤明良、小沼巧参院議員、伊沢勝徳、八島功男、高橋直子県議があいさつに立った。 この中で注目されたのは、額に大きな絆創膏(ばんそうこう)を貼った国光議員と、大きなお腹をかかえた高橋県議。医師でもある国光議員は、筑波メディカルセンター病院での夜勤明け、自転車にぶつけられて額にケガをし、同病院に運び込まれたという。また、高橋県議は2月が出産予定で、現役の茨城県議が出産するのは自分が初めてになると話した。 賀詞交歓会は午後8時過ぎまで開かれ、参加者にはお土産に「れんこん焼酎『土浦恋婚』」が配られた。土浦産のレンコンを使い、明利酒類(水戸市)が製造した焼酎は昨年11月に発売された。企画した市は「ほんのり甘く、すっきりした飲み口」とPRしている。(岩田大志) ➡れんこん焼酎の過去記事はこちら

伝統的な街とは?「ゲニウスロキ」《看取り医者は見た!》10

【コラム・平野国美】前回(12月15日掲載)、私の故郷、龍ケ崎市の祭りから「関係人口」を考えました。関係人口とは、定住者とは異なり、地域づくりに流動的に関わる人たちを意味します。さらに分類すると、「行き来する者」「地域内にルーツがある者」「何らかの関わりがある者」などになります。 街づくりの正攻法として「関係人口」を増やすのであれば、2番目の「地域内にルーツがある者」を、いかに引きつけて「関係人口」にするか―うまくいくならば定住者もしくは将来的にUターンさせるか―を考えなくてはなりません。元々無縁の方々を引き込むには、既に何か魅力的な仕掛けが存在するか、あるいは、これから作らなくてはなりません。 昔、公団住宅やニュータウンには文化が生まれないと、何かで読んだ記憶があります。今、調べても見つからないのですが、私は以下のように考えています。 城下町のような伝統的な街並みと昭和30年代以降にできたニュウータウンの街を比較すると、どちらも、人口減少ではありますが、事情が異なるような気がするのです。昔、輝いていた多摩ニュータウンや千里ニュータウン、どちらも、高齢化や過疎化が深刻になっています。 都心部の人口爆発に対応して、その時代のトレンドを取り入れた住宅であったと思うのですが、時代の変化に置き去りにされた感があります。そこに、文化が全く芽生えなかったわけではないのですが、一過性のものとなってしまったのでしょう。 土浦の花火は市民1年のケジメ これに対し、伝統的な街は歴史的な文化や行事が蓄積されています。人口減少問題はありますが、そこで生まれ、そこから離れられない人も多く見かけます。それが文化というものが引力になっているような気もするのです。 その引力的な文化として、今、二つ考えています。一つが「お祭り」、もう一つがソウルフードです。これは私の考えですが、このコラムのコメント欄で、私が鬱(うつ)にならない程度の緩やかなご意見がいただければ、私は修正しますし、あるいは新たな気づきがあると思いますので、よろしくお願いします。 土浦の花火大会を初めて見に行ったとき、ある土浦の旧家に集合してから、桜川の会場に向かいました。この家で胡坐(あぐら)をかいて待っていると、家主が現れた場面を覚えています。当主の言葉は「土浦の花火は土浦市民の1年のケジメであります」と短いものでしたが、その瞬間、我々は正座し、時代劇のように、一同、ひれ伏したのです。土浦市民にとって、花火は夜空だけでなく、心根に響くものなのです。(訪問診療医師)

調査・収集・再発見した宝物60点を披露 土浦市立博物館 6日再オープン

初公開も6点 2022年7月から大規模改修工事により休館していた土浦市立博物館(土浦市中央)が、6日再オープンする。空調施設の更新、照明のLED化のほか、災害時への対応として屋上に非常用発電機が、浸水対策として建物東側の開口部に止水板が取り付けられた。また多目的トイレを車椅子やオストメイト対応に改修し、ワイファイ設備の新設により県のフリーワイファイに接続できるようになった。 6日からは、記念企画として第44回特別展「土浦のたからもの―守り伝える、未来へ―」が開催される。展示されるのは江戸時代に土浦藩主を務めた土屋家伝来の絵画や刀剣をはじめ、初公開の収蔵資料6点を含む地域に由来のある約60点。開館以来、同館が36年間にわたり収集してきた宝物を披露する。 展示は3部で構成される。第1部「名品をあつめる」では、同館が調査・収集してきた土屋家ゆかりの品々を展示する。その中には水戸藩の9代藩主、主徳川斉昭の17男で、土屋家11代挙直が水戸から持参したと伝わる具足(甲冑)、土浦城の櫓(やぐら)に収められていた刀剣や茶器、絵画、幕末に大坂城代を務めた10代寅直が所要した獅子をあしらった印章がある。 第2部「光をあてる」では、同博物館がこれまで調査し展示公開する中で再発見することになった土浦に関する資料にスポットを当てる。県指定文化財の仏像彫刻や東城寺(市内東城寺)の経塚から出土した壺、武田信玄から小田氏に送られた朱印状、現在の牛久市に暮らした画家・小川芋銭の作品が展示される。 第3部「未来へつなぐ」では、収蔵品を次世代へ繋ぐために修復、修理を施した資料を展示するとともに、その技術を知らせる。江戸末期に土浦市内で塾を営んでいた地理学者の沼尻墨僊による、現存する国内最古の木版印刷した地球儀や、昭和初期に土浦幼稚園で所有されていたリードオルガンが展示される。 5日に同館で行われた再開館式典で挨拶に立った土浦市の安藤真理子市長は「郷土の歴史を守ることは先人を敬い地域を思うこと。私たちの宝を次世代に受け継いでいくことは私たちの使命。今後も貴重な資料の展示、収集を通じて土浦の宝を伝えていきたい」と述べた。同館の糸賀茂男館長は「土浦市立博物館は、国宝を展示できる県内3カ所ある『公開承認施設』の一つ。大きな時代の流れを実感できる市民の座標となりつつ、地域の特色を出していきたい」と今後の活動へ力を込めた。(柴田大輔) 8日まで入場無料 ◆同特別展の会期は1月6日から3月17日まで。8日までの3日間は入場無料。通常の入館料は一般200円、障害者手帳所持者と介助者1人、高校生以下は無料。関連イベントとして▽1月8日(月・祝)正午から、江戸時代に土浦城櫓門で刻を告げるために打たれていた、修復された太鼓が実演される▽2月10日(土)午後1時30分と午後3時から、土浦幼稚園旧蔵リードオルガンが演奏される▽2月24日と3月17日の午前11時・午後2時からは学芸員による展示案内会が行われる。詳細は同館のホームページへ。

当事者学生はどう見るか【LGBT法、つくば市議アンケート】下

NEWSつくばがつくば市議に行ったLGBT理解増進法関連施策に関するアンケート調査の結果を当事者はどう見るのか。筑波大生の木原里沙さん、同大学院生の澤田彬良さん、黒原澪さん(活動名)に話を聞いた。木原さんは、自分を男女の枠では認識しない「ノンバイナリー」かつ、性的にひかれることに相手の性のあり方は関係ない「パンセクシュアル(全性愛者)」、澤田さんはゲイである。2人とも、大学内のサークルや所属組織で、LGBT当事者学生や友人が集まる居場所をつくっている。黒原さんもLGBT当事者だ。 ー全議員の回答を見た率直な感想は? 木原 SNSではLGBTに対するヘイトが広がっているけれど、今回、ほとんどの議員が新たな法整備や学校での取り組みが「必要」「どちらかといえば必要」と回答し、何人かの議員は、具体的な施策や取り組みまで書いていて、うれしい。 黒原 パートナーシップ制度と婚姻制度の差を埋める施策について書いている議員は、当事者の具体的な困難に寄り添おうとしてくれていると感じる。今回の調査に書いたことを全部やったら、つくば市が変わると思う。 澤田 川久保皆実議員が「理解増進法をもとに、取り組んでいく」と書いている。理解増進法を、何もできない言い訳にするのではなく、具体的な取り組みをするための根拠として使おうとしてくれている。 ー反対に残念な回答は? 木原 「専門家の意見を聞く」との意見があるけれど、現実に困っている当事者の声は聞こうとは思わないのかな。 澤田 専門家の中でも意見が異なるから、誰を専門家として呼ぶかに既に政治性が強く出ると思う。当事者からも意見を聞かないと、偏った意見になりかねない。 黒原 高校の探求学習の授業に参加したとき、毎回、ジェンダーをテーマに選ぶグループがいくつかあり、子どもたちは大人が思う以上に考えている。今の子どもたちの現状を捉えきれているのか疑問。特に、数人の議員が制服の選択制について触れているが、スカートかスラックスを制度的に選べるからいいのではなく、本来やるべきは、スカートを履きたい生徒が、何の葛藤もなく、自由に選べる状況をつくることだろう。 ー今回、10人の議員が無回答でした。 木原 無回答の人は、議員としての責任を果たしているのだろうか。 黒原 理解しようとしてくれている議員は、深い部分まで考えている一方、最初から回答しない議員がいるのは残念。今は地域によっても、市民や議員の意識に差があるが、国として理解を進める法律ができたので、今後、足並みはそろうと期待したい。 澤田 議員として市民の生活をよくするなら、つくばに住むLGBT当事者の市民のことも考えないといけないはず。「難しいから」と何も回答しないのは、LGBTを市民として見ていないのかと思い、悲しい。 無回答の議員は、ほとんど自民党だ。無回答の議員の中には、本当は個人の意見として書けることがあるのに、政党の方針だからと回答しない人もいるのではないか。どの党派にいても、人権は保障すべきもの。市議会は市民の生活に直接影響するのだから、政党としての意見ではなく、1人の議員として回答してほしい。 ー今回の意識調査は五頭泰誠議長のSNSへの投稿が契機になった。アンケート調査の中で五頭議長は「自分のSNSを読んでほしい」と書いている。五頭議長は昨年2月、自身のX(旧ツイッター)に「LGBTを声高に主張する人。胡散(うさん)臭い」と投稿し、数日後に削除した。5月には、ツイッター投稿に関する釈明文を自身のフェイスブックで公開。五頭議長が読んでほしいと書いたのは、そのフェイスブック上の投稿だと思われる。 黒原 大学院進学を機に引っ越してきたつくばで、様々な国の出身者が自分らしく暮らす様子を見て、今まで自分の何気ない発言で、無自覚に傷つけてしまった人もいるかもしれないと反省した。五頭議長は自分の見たいようにしかLGBTを見ておらず、もっと様々な視点を持ってほしい。 澤田 大学の授業や研究では、今まで自分が持ってきた思い込みを捨てて、新しい考え方を既存の考え方に融合する作業を日常的に行う。自分の主張を持つことは大切なことだが、その主張に検討の余地があるかもしれないと気づいたときは、自分と異なる意見も取り入れて、新しい考え方を自分の中でつくっていく覚悟を、市議の人たちにも持ってほしい。 「声高に主張する人」という表現 澤田 五頭議長は(Xで『胡散臭い』と言及したことに対する)釈明文の中で「『声高に主張する人』は、LGBTの皆さんを利用している人」としている。しかし、LGBT当事者の中にも、自分たちの権利を社会に強く訴える人もいれば、そうでない人もいる。議長は権利主張をしない当事者の存在は認めるけれど、権利主張をする当事者は認めない、としているように思える。実際、釈明文で、法整備に肯定的な当事者の声は執拗なまでに書かれていない。 またX投稿後、当事者から「あまり騒がないでほしい」などの声が寄せられたことを、議長は釈明文の中で、自分への支持として紹介している。しかし、LGBTに対する差別がまだ根強い社会の中で、自分の性を隠さないと生きていけない当事者もいる。LGBTが社会で注目されることで、自分の性が暴かれ、今の立場が脅かされると思っている当事者が「そっとしてほしい」と言っているのだとしたら、その意見は、つくば市が当事者にとって安全ではないことの裏返しであり、議長への支持ではない。 木原 「マイノリティーは声高に主張する」とよく言うけれど、マジョリティーは特に声を上げなくても、比較的安全に暮らせる。マイノリティーは声を上げないと、存在が可視化されないから、声が大きくなるのは当たり前。声高に主張しなければならない当事者の背景を想像してほしい。 性犯罪に結びつけられるトランスジェンダー 澤田 議長は、性自認を女性とする人が女性更衣室で性犯罪等を起こした海外の事件を参照し、法整備により女性や子どもまでが危険にさらされると主張するが、五頭議長も指摘するとおり、トランス女性にもいろいろな人がいる。具体的な海外の事例を挙げるなら、膨大にある事例のうち、どの事例を引用し、その事件の犯人が本当にトランス女性だったのか、トランス女性と偽って犯行に及んだのかまで明記してほしい。 木原 多くのトランス当事者は周囲の人を驚かせないかを気にしながら、トイレを使っている。その中で、疑われるような性別のトイレに堂々と入る当事者がそんなにいるのだろうか。 澤田 性犯罪はトランスジェンダーだけの問題ではなく、多数派とされるシスジェンダー、異性愛者を含む犯罪者の問題。トランスジェンダーの権利を保障しないことで、性犯罪がなくなるわけではない。トランスジェンダーと女性を対峙させるのではなく、トランスジェンダーの権利を保障するのと同時に、性犯罪の取り締まりを強化する議論が必要だろう。社会的な弱者同士を対立させ、どちらかの権利を奪うのではなく、どちらの権利も守るための議論をしてほしい。 黒原 これまでも、女性たちは性犯罪に悩まされてきて、声を上げてきた。その人たちの立場は忘れてはいけないと思う。 澤田 性犯罪はトランスジェンダーだけの問題ではないけれど、LGBTを含めた社会に生きる全ての人の問題だから、LGBT当事者も性犯罪の問題に無関心でいてはいけないと一方で思う。 LGBTを含めた全ての人が生きやすい社会とは 木原 五頭議長は意識調査の中で、「トイレなどは今のまままでよいかと」と回答しているが、トイレは毎日使うので、ストレスが蓄積される。私は男女の枠に当てはまらないノンバイナリーなので、多目的トイレを使う場合もあるが、多目的トイレしか使えない人の迷惑にならないか、心配になる。性別に関係なく使えるトイレが増えれば、生きやすくなる人も増えるし、その変化で悪影響を被る人はいないのでは。 黒原 公衆トイレ以外でも、仕組みを変えることで、当事者の負担を減らせることがあるはず。例えば、今はほとんどの公的書類に性別欄があるが、性別を聞かれることがしんどい人もいる。統計調査など性別の情報が必須の時以外は、性別表記をなくしても誰も困らないと思う。 ー五頭議長の投稿以外でも、現在、SNSではLGBTに対する批判的な発言が飛び交っている。どう感じる? 黒原 SNSでどんな情報が流れてくるかは、人によって変わる。私はSNSでLGBTに肯定的な投稿ばかりに反応するから、似たような投稿しか出てこない。反対に、批判的な投稿ばかり見る人は「みんな、LGBTを批判している」と思ってしまうだろう。 木原 議長の釈明文は、「LGBTを声高に主張する人は胡散臭い」ことを主張するために、X上のいろんな人の投稿をまとめたと感じる。議長の投稿が、攻撃的なことを発信する人たちの後ろ盾になってしまうのは怖い。 澤田 ここ数年、今までLGBTに興味のなかった人たちが、ニュースやSNSで批判的な情報やデマに触れることで、LGBTに批判的な発言をする学生が自分の周囲でも増えた。当事者学生として、大学を含む身近な社会が安全でなくなってきたと感じている。だからこそ、批判的な情報を流してきた人たちも、今度は当事者の生きづらさを解消するための議論をしてほしい。 (川端舞) 終わり

「ガチ中華」と中国ワインはいかが? 《医療通訳のつぶやき》4

【コラム・松永悠】日本で中華料理というと、皆さんはまず何が思い浮かびますか? 麻婆(マーボー)豆腐? それとも青椒肉絲(チンジャオロース)に焼き餃子(ギョーザ)? そして中国のお酒というと、やっぱり紹興酒(しょうこうしゅ)でしょうか? 人生半分以上の歳月を日本で過ごし、全く違和感なくおいしく和食をいただく私ですが、一方で、小さい頃から慣れ親しんだ中華の味も記憶に刻まれているので、食べることが里帰りの楽しみと言えます。これまで毎年のように北京に帰っていたところ、コロナ禍によってこの楽しみが奪われてしまいました。 しかし実を言うと、今、懐かしい味は日本でも味わえるのです。首都圏をはじめとする多くの都市で「ガチ中華」と呼ばれる本格中国料理が増えていることをご存知でしょうか? 「町中華」と違って、そのイメージを一言で言うと、店主もシェフも客もほとんど中国人で、「中国人による中国人のための中国料理」です。 代表的なものとして、日本人になじみの薄い羊料理や麻辣(マーラー)四川料理、さらに、今中国本土ではやっているスタイルや料理をそのまま逆輸入してくる店まで出現しています。食材、調理法、店内の内装など、全面的に「中国色」を出しています。 最初は確か、ほとんどの客は在日の中国人でしたけれど、気がつけば、中国とご縁のある日本人、中国に留学や駐在した経験のある日本人、さらに好奇心あふれる日本人など、日本人客もじわじわと増えています。 東京ディープチャイナ研究会 実は私、2年ほど前から、プライベートで「東京ディープチャイナ研究会」というグループに参加しており、ライターとして店の取材をして記事にしたり、食事会を企画したりしています。この活動を通して、多くのガチ中華好きな日本人とお友達になって、みんなで一緒に飲食する楽しみが増えました。 写真1は秋葉原にある「香福味坊」という店で食べた「羊の丸焼き」です。羊肉料理がだいぶ増えたと言っても、丸焼きが食べられる店はほとんどありません。このようなイベントの参加者のほとんどは日本人で、インパクトのある料理に店内のあちこちから歓声が聞こえてきます。 また、ご存じない方も多いと思いますが、最近、中国ワインがかなり話題になっています。中国には、広大な国土にブドウの栽培に適している地域がある上、近代ドイツ植民地時代からワインの製造が始まった歴史があります。 今、世界の一流ワイン生産者が中国各地にワイナリーを設立して、世界に向けて中国ワインを輸出し、その品質の良さが高く評価され、コンテスト受賞も相次いでいます。写真2は、昨夏、東京・恵比寿にあるワイン専門店で中国ワインの勉強会に参加したときのものです。産地と品種が違えば、こんなにもテイストが変わると、驚きの連続でした。 ガチ中華に中国ワイン。もし機会があれば、一度お試ししてみてはいかがでしょうか?(医療通訳) <参考> 医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。

学校に必要な環境整備は【LGBT法、つくば市議アンケート】中

つくば市議26人へのLGBTに関するアンケート調査。後半は教育環境の整備について、各議員の考えを聞いた。 昨年6月に施行されたLGBT理解増進法では、学校は児童生徒に対し、性の多様性に関する理解を深めるため、啓発や相談体制の整備などに努めるものとされた。アンケート調査では「公立学校などで、性の多様性に関する啓発や相談、教育環境の整備をおこなうことは必要だと思いますか」と質問した。「必要、どちらかといえば必要、どちらかといえば必要でない、必要でない」のいずれかを選んでもらい、その理由と、必要だと思う場合は、その具体的な学校での取り組みの内容を、それぞれ50字程度で書いてもらった。 回答のあった16人のうち、15人が「必要」または「どちらかといえば必要」と回答した。具体的な取り組みについては多岐にわたったが、児童生徒・教員・保護者への「理解啓発」、当事者の児童生徒への「相談体制の整備」、性別に関係なく使えるトイレの設置などの「物理的環境の整備」、制服の選択制や、男女別名簿の廃止など「性別で分ける仕組みの変更」に大きく分けられる。 市学び推進課によると、現在、市内ほとんどの中学校・義務教育学校で、性自認に応じた制服を着用できるほか、必要な場合は多目的トイレや職員用トイレの使用を認めている。また、宿泊を伴う行事の際、部屋割りや入浴をどうするかは、児童生徒本人と話し合いながら決めているという。また、昨年度から4年間かけて、市内の学校の全教員に対しLGBTに関する研修を行うなど、悩みを抱える生徒が担任教員だけでなく、どんな教員にでも相談しやすい環境づくりを進めている。 各議員の回答は以下の通り(敬称略、議席番号順)。 ▽小村政文 必要(理由)家族になかなか打ち明けにくいことでもある。しかし、理解者や相談できる人がいないと、周囲を気にして本当の自分の素直な生き方を押し殺してしまう可能性があるため、教育現場で多少でも支えになる必要がある。(具体策)性別に関係なく、様々な服装が選べるようにする。性別よりも、一人ひとりを個人として尊重した教育ができるように、教職員の負担を減らし、余裕をもって教育に励める環境整備。 ▽川久保皆実 必要(理由)性的少数者の児童生徒が安心して学校に通えるようにするため、及び性的少数者に対する差別の無い社会を実現するために学校教育は重要であるため。なお、LGBT 理解増進法においても努力義務として明記されている。(具体策)性的少数者への理解増進に繋がる授業。教職員に対する研修。性的少数者に関する書籍、レインボーフラッグ、誰でもトイレの設置。制服の選択制または廃止。男女混合名簿。呼称を「さん」で統一。トイレや保健室などでの更衣、プールではラッシュガード(肌の保護)の着用、宿泊学習では個室の利用及び個室内シャワーの利用を認める。健康診断では他の児童生徒から見えないようパーテーションを設置する。学用品や掲示物の性別による色分けの廃止。各種書類の不要な性別欄の削除。 ▽川村直子 必要(理由)SOGI(性的指向や性自認)に起因するいじめ、その他の生きづらさが、不登校や、子どもの自殺にも繋がり、子どもの命に関わる大問題であるため。(具体策)保護者にも打ち明けられない子が多いため、教職員のLGBTQへの理解は、子どもたちの命に直結する。そのため、教職員への研修が必要(現在進行中)。 ▽中村重雄 どちらかといえば必要(理由)LGBTは認知されつつあるが、まだ不十分な所もあると思うので、教育環境の整備も進めると良い。(具体策)性別に関係なくスカートかスラックスを選べるようにする(つくばでも始まっている)。トイレ・更衣室の整備を進める。 ▽あさのえくこ 必要(理由)現在ほとんど保障された環境になく、苦しんでいる生徒が少なからずいると思われるから。(具体策)いつでも相談できる体制の存在を児童生徒に周知する取り組み。当事者の希望を学校に表明できる機会の保障。保護者への啓発活動。 ▽山中真弓 必要(理由)子どもの時からの性の認識、性自認の教育は必要不可欠。相談窓口も各学校につくるべき。(具体策)制服の選択制は、すでに市内で実施している中学校がある。ただし、セーラー服にはスラックスは合わず、履きにくいという意見がある。制服のデザインの見直しも必要。 ▽小森谷さやか 必要(理由)早い子では就学前から自らの性に強く違和感を持つことがあることから、なるべく早いうちに性の多様性について学ぶことが必要。(具体策)授業で扱い、アウティングなど禁止事項も伝える。書類等の性別記入欄、男女別名簿をなくす。だれでもトイレ、更衣室を用意する。中学校で女子はスラックスを選べるが、男子がスカートを選べるようにはなっていないので、選べるようにする。 ▽高野文男   どちらかといえば必要(理由)多感な時期の小中高校生については、いつ頃から多様性に関しての啓発や相談を始めるべきなのかは個人差もあり繊細に対応すべきことだと考える。専門家からの意見等を参考にしていく。(具体策)専門家からの意見等を参考にしていきます。 ▽黒田健祐 どちらかといえば必要でない(理由)つくば市では、教職員への啓発、また県からの通知を受け、各中学校において対応チームを作り個別対応している。まずは教職員が理解を深め、様々個別具体に慎重な対応が求められる。 ▽皆川幸枝 必要(理由)性自認が確立される小中高校生の段階で、当事者は自分のアイデンティティに深く悩む。その段階で、当事者も周りもLGBTQについて学び、理解を進めるべき。(具体策)LGBTQについての授業。カウンセラーの配置。教員へ研修し、子ども達が相談しやすい体制作り。性別に関係なく使えるトイレを設置。制服の選択制。私服で通学可能にする。 ▽五頭泰誠 どちらかといえば必要(理由)上記質問と同じです(私のSNSにて、表記しています。ご一読ください)。         (具体策)トイレなどは今まででよいかと。 ▽木村清隆 必要(理由)LGBTを理解しえある児童生徒の成長過程を創る事が大切。LGBTを思い込みや一部の報道・噂などで得た情報・知識で、児童生徒が成長し良し悪しを判断するのは問題が起きる。(具体策)児童生徒に対して取り組む前に、教職員の研修と保護者への啓発が大切。LGBTに対して、教職員と保護者がバランスの良い判断基準を持たなければ、児童生徒に対する言動(良し悪しの判断)で問題が起きる。児童生徒に対しては、様々な先進事例等を参考に取り組めば良いかと考える。 ▽浜中勝美 どちらかといえば必要(理由)H27年の「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」を確実に実施。(具体策)PTA等での研修会や話し合いの機会を設ける。 ▽橋本佳子 必要(理由)固定観念を持たず、すべての人を認め受け止めるという視点を育てる事は子どもたちのその後の生き方につながっていくから。(具体策)性別に関係なく使えるトイレ。男女分けする教育内容の見直し。 ▽小野泰宏 必要(理由)性の多様性に悩む児童生徒への不安や差別をなくし、有意義な学校生活を送れるようにするため。(具体策)自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める等、従来のルールや扱いについて、「性の多様性」に基づく扱いに改める。 ▽金子和雄 必要(理由)一人ひとりの人権の尊重を守る取り組みの推進。つくば市の男女協働参画推進基本計画でも多く触れられているが、協働の対応で進めたい。(具体策)学校教育を通じて今と将来を一人の人として生きていく教育として必要だから。 (川端舞) 続く

新しい年のために《ことばのおはなし》65

【コラム・山口絹記】さて、新年である。 新年と言っても、一般的に何か新しいことが自然と起こるわけではない。いつも通りに過ごせばいつも通りの日常がやってくる。それでも、ごく一般的な感覚として、日々の生活には何かしらの区切り、のようなものが欲しいものだ。 だから私たちは、新年のあいさつをしたり、特別な料理を食べたりして、その区切りを改めて意識するのだろう。 私は年をまたぐにあたって、いつもやっていることがある。新しい手帳に行く年の総括と、来る年の展望を書くのだ。そこまで特殊な行為ではないと思う。同じようなことをしている人も多いだろう。それでもことばにして書き留めておくのは大切なことだと思っている。 小さい頃から、新しいノートや手帳の使い始めが苦手だ。なんとなく、きれいに使おうとしてしまって、本当に書きたいことが書けなかったりする。放っておくといつまでもきれいなままなので、新年が来る前に“汚して”おくのだ。 書き始めにはずいぶん時間がかかる。誰に見せるわけでもないのに、何か、いいことを書こうとしている。そのたびにあることを思い出す。 新しい手帳を汚す 高校生の頃、何のためらいもなく絵を描く同級生がいた。実際のところはわからないけれど、少なくとも私にはそう見えた。特別大きく息を吸ったりするわけでも、力むわけでもなく、自然体のままで、迷いのない勢いのある線をひいていく。今もあの人は、迷いなく絵を描くことができるのだろうか。 私はといえば、いまだに違う紙に下書きを書いてみたり、ぐるぐると意味もなく丸を書いてみたりしてはうじうじするところから始まる。人の前では迷いのないフリをできるようになったが、自分にはウソをつけない。 そんなうじうじしている自分を、行く年に置いていきたい一心で、新しい手帳を汚す。一度汚しておけば使いやすい。後はどうにでもなれという気持ちになれる。情けないけれど、こればかりは一生克服できない気がしている。 だからこその準備だ。苦手でも自分でやるしかないことは、無理せず万全の準備でカバーすればいい。 今年もすがすがしくいこう。(言語研究者)

理解を増進する必要施策は【LGBT法、つくば市議アンケート】上

性的マイノリティーに関する理解を広める「LGBT理解増進法」が昨年6月施行され、市町村は、地域の実情を踏まえ、性の多様性に関する国民の理解を増進する施策を実施するよう努めるとされた。NEWSつくばでは、つくば市議のLGBTに対する考えを知るべく、昨年、市議26人を対象にアンケート調査を実施した。回答があったのは16人。結果と当事者の声を3回に分けてお伝えする。 「胡散臭い」投稿きっかけ 同市議会の五頭泰誠議長が昨年2月、自身のツイッターに「やはり、LGBTを声高に主張する人。胡散(うさん)臭い」と投稿したことが、記者が調査を実施する契機になった。五頭議長は数日後に自身の投稿を削除。同年4月には、県内のLGBT当事者団体「にじっぺ茨城」(永瀬大紀代表)と懇談し、翌月、投稿に関する釈明文をフェイスブックで公開した。だが、釈明文の中で、トランスジェンダーと「女性」「子ども」の権利が対立するかのように書くなど、特にトランス女性に対する発言に記者は違和感をもった。 その直後、記者は、何人かのLGBT当事者に五頭議長の発言に対する思いを聞き、依然としてLGBTに対する差別が根強い社会だからこそ、公人の差別発言でさえ黙認されてしまうのではないかと問題意識を持った。 研修、事例集、相談窓口 まず「LGBT理解増進法に関連して、つくば市では、どのような施策が必要だと思いますか?」と質問し、50字程度で書いてもらった。 各議員の回答は「市職員への研修の実施」「性的少数者に配慮した対応事例集の作成」「相談窓口の設置」などを挙げる議員が多かった。 市男女共同参画室によると、つくば市では、申請書類の性別記入欄をなくす、または男・女どちらかを選択するのでなく記述式にする取り組みや、LGBT当事者を講師とする理解啓発のための市民向けセミナーを行っているという。市にはLGBTに特化した相談窓口はないが、各行政窓口で性の多様性に配慮した対応をするためのハンドブック作成を検討中だとしている。 市人事課によると、市の全職員を対象に、LGBTの基礎知識や当事者への対応事例を、専門の大学教授から学ぶ研修を22年度から数年かけて実施予定だとしている。22年度からは、市職員が取得できる看護休暇や結婚休暇の対象範囲を、配偶者だけでなく同性パートナーにも広げた。 各議員の回答は以下の通り(敬称略、議席番号順)。 ▽小村政文 当事者の声を反映させた形で、市民全体に対し、多様性の理解を深め、「平等が当たり前」な社会に近づくような施策。具体的なやり方は、当事者と慎重に話し合って決めたい。 ▽川久保皆実 LGBT理解増進法第 5条及び第10条第1項に基づき、学校教育や市民への講座・広報等において性的少数者への理解増進のための取組を実施。性的少数者に寄り添う相談体制の整備。 ▽川村直子 市職員、教職員がLGBTQへの理解を深める研修を受講すること(実際に現在進行中)。非正規職員や、市の業務委託先等である、保健、高齢、障害分野等に関わる施設の方への研修も必要。 ▽中村重雄 性的少数者に配慮した対応事例集を作成する事。 ▽あさのえくこ キレッキレのチラシを作り、全戸配布(「生活保護は権利」のチラシを全戸配布して認知度をあげている自治体を参考に回答)。相談先明記パンフレットを、つくスマアプリで配布。 ▽山中真弓 世田谷区のようなパートナーシップ制度を導入する。東京都もやっている。 ▽小森谷さやか つくば市では、全ての職員・教職員への研修が始まり、「まずは知ること」の第一歩は踏めていると思う。今後は申請書類等の男女別記載の工夫や、学校等公共施設での誰でもトイレ・更衣室設置等でしょうか。当事者の声を聞きながら一緒に考えていきたい。 ▽高野文男 つくば市議会では昨年7月、市民経済委員会が世田谷区の「男女共同参画と多文化共生を推進する取組」を学んだ。市が、LGBTの支援団体と連携し、多様性の理解を深める活動を学びながら、啓発することから始めるべきだ。市が中心市街地等に相談窓口を設置し、運営やイベント企画を当該団体に委託することも必要だろう。 ▽黒田健祐 まずは職員、市民への啓発を促進する事が大切。 ▽皆川幸枝 設問に例示された、埼玉県などの「性の多様性に配慮した地域の企業を評価、公表する」取り組みは、多くの人がLGBTQへの理解を進めていく上で有効だと考える。 ▽五頭泰誠 回答無し ▽木村清隆 LGBTを知りサポートするためのガイドラインを創り、誰もが自分らしく生きることを認め合う社会をめざし研究して、「性の多様性の尊重に関する条例」法整備に取り組む。 ▽浜中勝美 理解増進の意識調査やアンケートの実施。 ▽橋本佳子 パートナーの方々も利用できる行政サービスを見直し、利用できる施策の一覧を公表する。行政窓口等において、性的少数者に配慮した対応事例集を作成する。相談窓口を開設する。パートナーシップ制度の導入。 ▽小野泰宏 自治体職員向けガイドラインの制定と公開。相談窓口の設置と住民に正しい理解を促すための取り組み。 ▽金子和雄 法律が施行され、多様性に関する国民の理解と増進が求められる。特に一人ひとりの人権を守る取り組みの推進です。つくば市の男女共同参画推進基本計画でも多く触れられているが、協働して活動を進めたい。 ほかの法整備「必要」は13人 次に「LGBT理解増進法のほかに、LGBTなどの性的少数者に関する法整備は必要だと思いますか」と質問した。「必要、どちらかといえば必要、どちらかといえば必要でない、必要でない」のいずれかを選んでもらい、その理由と、必要だと思う場合は、その具体的な法整備の内容を、それぞれ50字程度で書いてもらった。 回答のあった16人のうち、13人が「必要」または「どちらかといえば必要」と回答した。具体的な法整備としては、差別を禁止する法律や条例の制定、同性婚を認める民法改正などが挙げられた。一方、3人が「どちらかといえば必要でない」と回答した。理由としては「まずは既存の法律を活用していくべき」などがあった。「必要でない」と回答した議員はいなかった。 ▽小村政文 必要 (理由)同性婚が可能な国にしたいから! (具体策)戸籍法74条における異性婚を前提とした「夫婦」という単語から「両者」などの表記に改める整備。 ▽川久保皆実 必要 (理由)LGBT 理解増進法は、あくまで理解増進のための取組を努力義務とするもので、性的少数者に対する差別解消のための直接的な法的根拠とはならないため。 (具体策)性的少数者のみならず、人種差別、性差別、障がい者差別などを包括的 に禁止する法律の整備。 ▽川村直子 必要 (理由)LGBT理解増進法はマジョリティの視点に立つ内容。少数者であるLGBTQの人権を守り、差別を明確に禁止し、少しでも不利益を解消する法律が必要なため。 (具体策)アウティングの禁止等、個別具体的な取り決めをする「差別禁止法」。希望するすべての人が結婚出来るように、同性婚を認める「民法」などの法改正。性別適合の要件を定める「性同一性障害者特例法」は非人道的な内容であるため、法改正が必要。 ▽中村重雄 どちらかといえば必要 (理由)前提としてLGBTについて広く認知されているのでは? (具体策)差別禁止条例・パートナーシップ条例 ▽あさのえくこ 必要 (理由)これは「理念法」であるので、「正法」を定め、差別解消実施計画等について縛りのある取り決めができるようにすべき。(具体策)権利擁護という点でさまざまあると思うが勉強不足のため今後勉強します。 ▽山中真弓 必要 (理由)法的に認められていなければ、家族と同様の権限が与えられないため。(具体策)同性婚・登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を整えている国と同様な、法整備を行う。差別的な扱いをした人、会社等への罰則制度も作る。 ▽小森谷さやか 必要 (理由)差別禁止法に向けて継続的に働きかけていくことが必要。問題となった「~不当な差別はあってはならない」という表現を一刻も早く削除してもらいたいです。(具体策)「LGBT差別禁止法」をつくること ▽高野文男   必要 (理由)LGBTの方、そうでない方、双方が不安を感じずに生活や仕事が出来るようにする為 (具体策)LGBTの方、そうでない方、双方が不安を感じずに生活や仕事が出来る社会にする為の法整備 ▽黒田健祐 どちらかといえば必要でない (理由)様々な議論を経て出来た現行法の運用をまずは進めるべきと考える。  ▽皆川幸枝 必要 (理由)LGBTQカップルでも婚姻と同等の権利が認められるような法整備をしていくべき。(具体策)今後、調査・研究して参ります。 ▽五頭泰誠   どちらかといえば必要でない (理由)私のSNSにて、表記しています。ご一読ください。  ▽木村清隆 必要 (理由)LGBTに関して様々な立場で、自由でありつつも、理解し合う、守り合う仕組み(法整備)が必要。(具体策)詳細な法整備に至る前に、LGBTを理解しあえる社会を創る事が大切。LGBTを思い込みや一部の報道・噂などで得た情報・知識で、法整備に対して良し悪しを判断するのは問題が起きる。 ▽浜中勝美 どちらかといえば必要でない (理由)まずは、この法や既存の取り組みを活用して様々な運用をしていくことが必要。 ▽橋本佳子 必要 (理由)同法は差別禁止ではなく、あくまでも国民に知らせ基礎的な知識を広げるという目的だから。(具体策)同性婚を認める民法改正。LGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で性的少数者の権利保障と理解促進を図る。 ▽小野泰宏 必要 (理由)誰もが暮らしやすく差別を受けない社会を作るため、特につくば市は多くの海外出身者の方が住んでいるため。(具体策)性的少数者の方々への差別を禁止する条例、パートナーシップやファミリーシップ制度等の施策導入を柱とする計画の策定。 ▽金子和雄 必要 (理由)多くの国民が同じ待遇を受けられない限り、その人に合った利益が地域から活動報告で知ることができる。不便を感じるし、生活にも苦労する。(具体策)提案者と協働で学びながら努めたい。 10人が回答なし なお宮本達也、長塚俊宏、神谷大蔵、小久保貴史、木村修寿、塚本洋二、飯岡宏之、鈴木富士雄、塩田尚、久保谷孝夫議員の10人からは回答が無かった。(川端舞) 続く

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