月曜日, 4月 6, 2026

最優秀賞につくばの上野雅洋さん 土浦の写真コンテスト

土浦の景観や催事を美しくとらえた作品を公募した「第18回土浦の写真コンテスト」の表彰式が27日、同市大岩田、国民宿舎「水郷」霞浦の湯で開かれ、最優秀賞に手野のハス田の風景を撮影したつくば市、上野雅洋さん(52)さんの「幾何学模様」が選ばれた。主催は同市観光協会(中川喜久治会長)。 美しい自然、貴重な文化遺産、伝統芸能など土浦の風景や催事を再発見し広く紹介することを目的に、おおむね5年以内に本人が撮影という条件で、昨年10月に公募が実施された。県内外の67人から計226点の応募があり、審査の結果、最優秀賞に上野さんの作品、優秀賞に田井俊夫さん(かすみがうら市在住)の「亀城の春」、平堅次さん(土浦市)の「収穫」、北見隆久さん(土浦市)の「通い慣れた坂道」の3作品が選ばれたほか、16作品が入選した。表彰式には16人が出席し、表彰を受けた。 上野さんの「幾何学模様」は、夕闇が迫る中、あかね色に染まる空に、葉を落とし裸になったレンコンの茎や花弁が、無限の幾何学模様のように浮かび上がる瞬間をとらえた。 最優秀賞と同時に茨城県知事賞を受賞した上野さんは「レンコンは有名だが、どこで作られているか知らない人も多く、紹介したという思いでレンコン畑の写真を撮った。幾何学模様というタイトルはカメラを構えた瞬間思いついた。受賞は大変うれしくこれからも茨城県の良いところを撮り続けていきたい」と語った。 審査員を務めた土浦写真協会会長のオダギ秀さん(77)は「昨年に比べても良い作品が増えてきた。何をどう撮るか、カメラを使って作品を作るという思いが必要だと思う。カメラの性能が上がっても、気持ちの問題は変わらないので、これからも良い作品を撮り続けて欲しい」と述べた。 受賞・入選作品20点の展示会は28日から3月31日まで同市中央、土浦まちかど蔵で開催される。20点はさらに土浦の魅力を紹介するため、市国際交流協会を通じて、姉妹都市の米国パロアルト市と友好都市の独フリードリッヒスハーフェン市に送られる。作品は土浦市観光協会のホームページに掲載されている。(榎田智司)

ロボット連携で建物を管理 つくば研究支援センター「ベンチャーアワード」大賞に

労働力不足補う 茨城県などが出資する第3セクター、つくば研究支援センター(TCI、つくば市千現、箕輪浩德社長)は26日、つくば発の優秀なスタートアップ企業を表彰する「第4回TCIベンチャーアワード」で、ロボットと建物設備の管理を連携させるシステムを提供するOcta Robotics(オクタ・ロボティクス、さいたま市)のサービスを大賞に選んだ。同社は、つくば市内につくばオフィスと実証フィールドの2研究拠点を置き、ロボット・建物設備連携インターフェースサービス(LCI)の製品化を進めている。特に高層建築物における管理や警備、清掃などの労働力不足を補うのに有効なシステムとされ、ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)の定める環境規格に準じた拡張性の高さなどが選定理由とされた。スタートアップ企業とはいえ、すでに大手デベロッパーの採用実績を上げていることも評価された。表彰式で、前川幸士取締役は「労働力不足が深刻化する今後、ロボットとの連携はさらに求められる。新たなサービスを組み合わせたフレンドリーなショーケース展開をつくばエリアで行っていきたい」とした。同アワードは、高い技術力と独自の事業プランを有する「つくば発ベンチャー」を表彰し、さらなる成長促進と次世代の起業意欲を喚起することを目的に2020年度に始まった。26日は最終審査会が行われ、7社がファイナリストプレゼンに臨んだ。先進性・独自性や実現可能性、成長性などから大賞(副賞100万円)、優秀賞(同30万円)が選ばれた。 今年度はさらに、事業化前の研究・技術シーズを表彰対象とする優秀賞が新設され、2者が選ばれている。審査委員長を務めたTCI箕輪社長は「労働力不足が叫ばれる今日、これに対応した技術のニーズ・シーズが共に高まっている」と講評した。各賞受賞企業は次のとおり。▼大賞 Octa Robotics(本社・さいたま市、鍋嶌厚太代表取締役)「ロボット・建物設備連携インターフェースサービス(LCI)」▼優秀賞 メルフロンティア(東京都文京区、北川全社長)「日本初マグネシウム合金を用いた生体吸収性埋め込み型医療機器の開発・事業化」▽エイゾス(つくば市、沼尻理恵子社長)「ノーコードクラウドAI解析ソフトによるデジタル実験で研究開発の労力100%削減」▼シーズ部門優秀賞 理化学研究所バイオリソース研究センター(つくば市、林洋平チームリーダー)「次世代リプログラミング因子によるiPS細胞の作製」▽筑波大学(つくば市、武安光太郎数理物質系助教)「低価格・高耐久な白金フリー燃料電池触媒」 (相澤冬樹)

焼け跡の銀座風景《くずかごの唄》135

【コラム・奥井登美子】震災にあった石川県の中学生が、高校受験に備えて集団で移住するニュースを見たとき、私たちが6年生のときに強制疎開させられたことを想い出し、涙が出そうになってしまった。 「小学3年生から6年生まで全員、東京にいてはいけない。疎開しなければならない」 「来年3月の中学受験、僕は都立しか受けたくない」 「私も、都立を受験したいわ」 「皆、方々に疎開してバラバラになってしまうけれど、受験の日には逢えるね」 「受験の日に逢いましょう」 6年生のクラスメート全員、受験の日に逢うという堅い約束をして別れたのだった。 受験日は3月12日。運命の日、東京大空襲が3月10日。約束を守って、東京へ帰ってきた人は、東京大空襲に巻き込まれてしまった。約束を守れない私は、疎開先の長野県飯田の県立女学校を受験して無事だった。 有楽町駅のものすごい臭い 1946年の冬休み。父は「あなたに見せておきたいものがある。今から東京へ帰るから、一緒に行こう」。 父の会社「尚榮精機株式会社」は銀座西8-1にあった。米国から電気冷蔵庫など、日本にはない電気器具を輸入して売っていたが、米国との戦争で輸入どころではなくなってしまって、江戸川区の平井に工場を造って、戦争中は電気器具の修理などをしていた。 父の銀座の会社は、幸い焼け残っていたので、私はそこへ泊って、新橋、有楽町あたりを毎日見て回った。 焼け野原になってしまった東京。残った建物も、爆弾の熱風でカラスが吹き飛んでしまい、どのビルも窓に新聞紙が張りつけられていた。爆風と一緒に吹いてきたガラスの破片が体に突き刺さって、出血多量で亡くなった人も多かったらしい。 私がびっくりしたのは有楽町駅の臭いである。この駅は銀座の繁華街に近いので、特別厚いコンクリ―工事が施されていたという。空襲のとき、頑丈なコンクリートの駅舎にたくさんの人が詰めかけたらしい。そのまま全員蒸し焼きになってしまった。 敗戦の夏。暑さの中で、その人たちの、コンクリートに染み込んだ脂肪や血液が発酵・蒸発し、駅全体が表現の仕様がないような、ものすごい臭いになってしまっていた。 私は、臭いが怖くて有楽町駅に行けなくなってしまった。小学校の同級生は一体何人生き残ったのだろうか?(随筆家、薬剤師) 

移動投票車で高齢者が模擬投票 ロボットが立会人に つくば市

投票箱を積んだワゴン車が高齢者や障害者などの自宅前まで出向いて、住民に車内で模擬投票をしてもらう実証実験が23日から27日までの5日間、高齢化率が高い筑波山麓のつくば市筑波地区と臼井地区で実施されている。ワゴン車は実際の選挙で「移動期日前投票所」となる。市は今年秋の市長選・市議選で導入を目指している。 今回の実証実験は、内閣府の先端的サービスの開発・構築に関する調査事業に採択された。市は東京海上日動火災保険、KDDIなどと共に、今年秋の選挙での実現に向け技術的検証に取り組む。 26日は、同市臼井・六所地区区長の柳原敏明さん(68)の自宅前に移動投票車のワゴン車が来て、柳原さんは車内で模擬投票を行った。車内には投票箱が設置され、公職選挙法で定められた投票立会人については、1人が立ち会ったほか、分身ロボット「オリヒメ」が立会人に加わった。オリヒメは本投票所とつながっていて、カメラを通じて遠隔から投票の様子を見守る。また移動投票車は、車いすの障害者や高齢者が後方ドアから車内に入ることが可能なつくりになっている。 両地区住民には今月9日、封書が届き、模擬投票の参加者はそれぞれ、スマートフォンや電話で予約をしていた。①自宅まで移動投票車が来るサービスと➁自宅から移動投票所までの送迎するサービスと2つの実証実験が用意され、車が駐車できるスペースがある住民の自宅前にはワゴン車が出向いた。自宅前に車が停められない人には送迎車が準備され、送迎車を利用しての模擬投票も行われた。 柳原さんらの模擬投票に先立って26日は、記者向け説明会が実施された。五十嵐立青市長があいさつした後、市政策イノベーション部科学技術戦略課の前島吉亮課長が概略を説明。運営にあたるスパイラルの甲木空さん、KDDIの阿部英孝さんが詳細を説明した。国家戦略特区のスーパーシティを担当する内閣府地方創生推進事務局の菅原晋也参事官と、東京都荒川区の選挙管理委員会も視察に訪れていた。 市科学技術戦略課の前島課長は「スーパーサイエンスシティ構想の中に、インターネット投票というのがあり、本来はそれを目指したいが、まだ実現に至っていない。今回、住民サービスの一環として、誰一人取り残さない社会の実現を目指しており、市内でも人口減少が続き、高齢化率の高い筑波・臼井地区での実証を行うことになった」と話した。 模擬投票をした区長の柳原さんは「高齢化が進む地域なので新しい試みは歓迎したい。ただスマートフォンなど高齢者はあまり慣れていなかったりするので、参加の方法はもっと検討してもらいたい」と述べた。送迎車を使った模擬投票に参加した臼井地区の木村嘉一郎さん(94)は「選挙には家族に送迎してもらって行っていたが、自宅まで来てもらえればありがたい。秋の選挙には使えるようになれば良い」と語った。 同市は、2024年の市長選・市議選でインターネット投票を導入することを看板に掲げ、22年にスーパーシティに認定された。しかしネット投票に対しては、なりすましや強要などの課題が指摘される中、今年秋の選挙では実施できない。代わって市は、ネット投票導入につながるステップだと位置づけ、秋の選挙で移動期日前投票所を導入したい意向だ。これに対し公職選挙法を所管する総務省は、昨年7月の国家戦略特区ワーキンググループのヒヤリングで、今回の実証実験について「(ネット投票と)切り離して議論していく必要がある」という認識を示している。(榎田智司)

男性中心社会、オールド・ボーイズ・ネットワーク《遊民通信》81

【コラム・田口哲郎】 前略 オールド・ボーイズ・ネットワークという言葉をご存知でしょうか? ウィキペディアによると「男性中心の組織文化や人間関係などを表す用語である。オールド・ボーイズ・ネットワークが強固な組織では、男性中心の独特の閉鎖性・排他性によって多様性が失われ、女性の活躍やイノベーションが阻害される。そのため、日本では2020年頃から見直す機運が高まっている」ということで、いわゆる男性中心社会を表す言葉です。 先日、元日本IBM取締役の内永ゆか子氏の講演を聞く機会があり、そこで初めて知りました。 内永氏がおっしゃるには、オールド・ボーイズ・ネットワークは、同じ経歴、同じ成功体験、同じ失敗体験、つまり同じ価値観を生きてきた男性の集まりのことだそうです。つまり男性のみの学閥や派閥などいわゆるエリート集団です。いままでその知的優位と結束力の強さで、資本主義経済を主導し、近代社会の経済的繁栄を築いてきました。 そもそもこの組織は欧米で生まれ、明治以降に日本に入ってきて、いまや日本はこのネットワークが欧米に比べて強固だそうです。日本社会を眺めてみると、このオールド・ボーイズ・ネットワークに支配されている組織やシステムが多いことに気づかされます。 一枚岩が切り崩される現状 さて、現在、世界はグローバリゼーションが席巻し、今までの価値観が覆される事態になっています。その激変の時代にあって、オールド・ボーイズ・ネットワークへの風当たりは強いようです。 価値観を変えるのは簡単ではありません。価値観が一枚岩みたいにみんな同じだと、多様な考え方の波に対応するのはほぼ不可能でしょう。しかも、いまは一枚岩ばかりが一流で頑丈なのではなく、多様なベンチャーでも大岩を切り崩せる時代です。要するに、ひと握りの男だけの集団が世界を牛耳り、価値観を押し付ける社会が終わろうとしています。それは弱者が抑圧から解放される良いことなのです。 しかし、いままで社会の隅々までをがんじがらめにしていた枠組みが外れるのですから、不安や衝突が生じるでしょう。個々人が自由に生きなければならないアフター・コロナの時代に人びとの心を支える価値観をどうつくってゆくのか、考える時がきているのかもしれませんね。 イエ制度や地域コミュニティが崩壊した現在、人々が安心するために緩やかにつながれる、いわば共通の新しいイエが求められているように思えます。ごきげんよう。 草々 (散歩好きの文明批評家)

自分の責任で自由に過ごせる居場所を!《けんがくひろば》2

【コラム・吉田絵里子】私たちは、TX研究学園駅前公園の林内に「きつつきプレイパーク」を設けています。きつつきも訪れる外遊びの場所です。毎月1回、放課後に開催して今年で6年目になります。 「きつつきプレイパーク」って? 「プレイパーク」ってどんな場所なのでしょう? 「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーに、出来る限り禁止事項を減らした「何をしても、何もしなくても、いい」ところと、私たちは考えています。その対象は子どもたちだけではありません。赤ちゃんからシニアの方まで、すべての人にとって「遊び(心)」や「居場所」は必要だと考えるからです。 「遊び(心)」の無い日々は人を窮屈にさせます。また、世界のどこかに一つでも「自分の居場所」があるという実感によって人は幸せを感じるのではないでしょうか。ささやかな日常の喜び、思い出、つながりが、思いがけずあなたを支えてくれた、救ってくれたことはありませんか? 落とし穴を掘る。たき火で焼きイモをつくる。お湯を沸かしてラーメンをつくる。コーヒーを入れておしゃべりをする。木登りをする。ロープを木にひっかけてブランコやジップスライダーをつくる。思いっきり大声をだして叫ぶ。物置の上から飛び降りる。泥んこになって暗くなるまで遊ぶ。異年齢で遊ぶ。集まる。つながる。 「きつつきプレイパークって何がおもしろい?」と聞くと、「特別な遠い場所じゃなくて、すぐ近くで普段できない特別なことが出来ること」。そんな答えが返ってきました。 「やってみたい」「挑戦してみたい」 普段できない特別なことって、昔なら出来ていたことがたくさんあります。今では怒られたり止めさせられてしまう、出来る環境がそもそも無い。「やってみたい」「挑戦してみたい」「夢中になって没頭したい」が出来ない、苦しい時代になっています。 私たちは「あたりまえにやっていいこと」=権利なのではと思うのです。子どもの権利は、昨年施行された「こども基本法」で保障されています。この法律は1989年に国連総会で採択された「国連児童の権利条約(子どもの権利条約)」を受けた国内法で、大人の都合が優先されるのではなく「子どものため」の法律です。 自分には権利がある、「大きな人」に従うだけの存在じゃない―これは大人になっても大切な考えです。どんな状況でも人生の主権は自分にあると。「きつつきプレイパーク」もそれを保障したいのです。人生を「自分の責任で自由に遊ぶ」ために。もちろん「何をしても、しなくても」。(つくばdeプレイパークひろめ隊 代表) <きつつきプレイパーク>▽毎月第4月曜日の午後3~5時開催(冬季は日没まで)。次回は2月26日▽予約不要・参加費無料。未就学児は要保護者同伴▽詳しくは、フェイスブックまたはインスタグラム▽問い合わせは、SNSダイレクトメッセージまたはメールへ

障害者の工賃アップ目指し不要パソコンを回収 つくばの就労支援施設

「さくら学園」 障害者の工賃をアップさせたいと、つくば市島名の障害者就労支援施設「さくら学園」(NPO明豊会運営、飯島喜代志代表)が、不要になったパソコンの回収と希少金属などのリサイクルに取り組んでいる。 パソコンの情報漏えい対策として、企業や学校などに出向き、記憶媒体装置のHDD(ハードディスクドライブ)を依頼者の目の前でパソコンから抜き取り、工具で傷付けて物理的に破壊してから回収するのが特徴だ。昨年夏、県内の障害者施設として初めてスタートした。 22、23日の2日間、市内の県立つくば特別支援学校に、障害者とスタッフ延べ7人が出張し、廃棄予定の150台のパソコンからHDDを取り出した。ゴーグルと手袋を着用した障害者が、100本の精密ドライバーセットの中から、ねじの太さや形に合ったドライバーを選んで、パソコンのねじをはずしながら解体していく。HDDを取り出すと、作業を見守る同校教員の目の前で、工具で傷付け情報を物理的に破壊する。 HDDを破壊した後はさくら学園に持ち帰り、パソコンを鉄、アルミ、基板、プラスチックなど40種類ほどの部品に分解して分別する。1台のパソコンを解体するのに20種類ほどのドライバーを使いこなし、早い人で1台当たり30分、平均1時間程度で解体することができるという。現在、同学園を利用する35人の障害者のうち、7人がパソコンの解体作業に従事している。 介護福祉士で同学園サービス管理責任者の戸村雅一さん(68)によると「これまで従事した全員がパソコン解体作業を継続することができており、仕事として達成感があると思う」と話す。23日、同特別支援学校でHDDの取り出し作業をした同園を利用する砂長祐季さん(20)は「ねじが固いので大変」と話し、沖山大稀さん(19)は「ねじ回しが楽しい」と話していた。 平均工賃を2倍に 分別した部品は、資源として販売する。特に半導体が載った基板は金や銀など希少金属を含むことから高く販売でき、障害者の工賃アップにつながる。一方プラスチックなど同学園が費用を支払って処分する部品もあるが、95%は再資源化できるという。 同園では現在、障害者に対し、全国平均とほぼ同額の月平均1万6000円ほどの工賃を支払っているが、パソコン回収・解体作業により、従事した本人だけでなく、全体の工賃を2年後に現在の2倍の月平均3万円に上げることを目標にしている。 パソコンの処分を依頼したつくば特別支援学校の上野俊輔教諭(41)は「去年の夏に話があり、HDDの情報漏えい対策をどうするか検討していたところ、年末にさくら学園の方が来校し、処分を依頼することを決めた。さくら学園は卒業生が利用しており、卒業生の仕事が増え、工賃アップにつながれば」と話す。 全国の事業所とネットワーク きっかけは1年半ほど前、障害者施設の仕事量を増やす取り組みをしている茨城県共同受発注センター(水戸市)の担当者から、工賃をアップできる仕事として紹介を受けたこと。すでにパソコン回収作業に取り組んでいた神奈川県平塚市の障害者施設に戸村さんらが見学に行き勉強、さらに全国の障害者施設とネットワークを組んでパソコンの回収と再資源化に取り組んでいる「日本基板ネットワーク」(新潟市)の指導を受けた。 同ネットワークの取り組みは昨年3月、首相が本部長を務めるSDGs推進本部主催の「第6回ジャパンSDGsアワード」で、廃棄物を減らして環境負荷を低減し障害者の賃金向上と自立に寄与しているとして、特別賞を受賞した。現在も3カ月に1度、同ネットワークの指導を受けながら作業のさらなる安全性向上と効率アップに取り組む。 回収するのはパソコンのほか、携帯電話やゲーム機など。企業や団体のほか、個人からも回収し、寄付を受ける形で有価物として無料で引き取る。解体、分別後は、鉄、アルミ、銅は廃棄物回収業者に販売し、希少金属を含む基板などは新潟市の日本基板ネットワークに送り、兵庫県内の溶鉱炉で溶かし、金や銀を取り出す。 戸村さんは「利用者の平均工賃を上げるのが一番の目標」とし「利用者が他の事業所を訪れて作業する機会はあまりないので、出張解体を通して地域の人とつながることもできる」と意義を強調する。さらに「レアメタルは都市鉱山とも言われるが、限られた資源をリサイクルするということもやっていかなくてはらないことだと思う」とし、「県内に一緒にやれる事業所の仲間を増やしたい」と呼び掛ける。現在、パソコン回収に取り組んでいる福祉事業所はさくら学園を含めまだ2カ所のみという。(鈴木宏子) ◆回収するのは、パソコンと、ルーターやケーブルなどの周辺機器、携帯電話、ゲーム機など。コピー機、プリンター、故障した液晶モニターは不可。つくば市内の場合、10台以上は引き取りに行き、土浦市など周辺市町村は20台以上は引き取りに行く。個人の場合、さくら学園に直接持ち込むか、宅配便などで送付すれば引き取り可能。持ち込みや宅配便などの場合、破壊したHDDを写真撮影し解体証明書などと共に後日メールで送付する。さくら学園はつくば市島名2304。詳しくは電話029-875-3517またはメールinfo@sakura-gakuen.orgへ。

朝寝坊さん《短いおはなし》23

【ノベル・伊東葎花】 子どもの頃から、枕元に「朝寝坊さん」がいます。夜になるとやってきて、優しい声で子守唄を歌うのです。毎晩ぐっすり眠ります。目覚まし時計をこっそり止めるのも「朝寝坊さん」の仕業です。だから私は、毎日寝坊をします。 「起きなさい、何度言ったら起きるのよ。まったくあなたは」 母の声は、なんて耳障りでしょう。私は目を閉じて、「朝寝坊さん」の歌声に酔いしれます。5回くらい起こされて渋々起き上がると、「朝寝坊さん」の歌はゆっくりフェイドアウトして、やがて風のように、どこか遠くへ行ってしまうのです。 おかげで私は、ほぼ毎日遅刻です。 「こら、おまえ、また遅刻か」 先生に毎日怒られます。友達もあきれています。だけど平気です。「朝寝坊さん」の歌声が、私にとって一番なのです。 「学生のうちはいいけど、社会人になったらどうするの? あなたを一生起こしてあげることなんか出来ないのよ」 母は朝からガミガミうるさいです。耳をふさいでやりすごします。私は起きられないのではありません。起きないのです。「朝寝坊さん」と離れたくないのです。「朝寝坊さん」は、昼間はどこにいるのでしょう。梅の花がもうすぐ咲きそうなことに、気がついているかしら。 翌日、いつものように寝坊をした私は、陽が高くなっていることに気づきました。いつまでたっても母が起こしに来ないから、お昼になってしまったのです。遅刻のレベルを超えています。いつものガミガミが聞こえないのも不便なものです。 「お母さん?」 リビングにもキッチンにも母はいません。部屋へ行ってみると、布団を被って寝ているのです。 「お母さん、何で起こしてくれないの? もうお昼だよ」 母は、布団をもぞもぞさせながら、しゃがれた声で言いました。 「起きる必要ないだろう。だってあんた、仕事もせずに寝ているだけじゃないか。これ以上あたしの年金を当てにしないでちょうだい」 そう言って布団から顔を出した母を見て、私は腰が抜けるほど驚きました。母の髪は真っ白で、顔はしわくちゃのおばあさんでした。そして鏡を見たら、私自身も驚くほど年を取っていたのです。 「お母さん、私、どうしちゃったの! ねえ、お母さん。起きてよ」 母は起きません。母の枕元で「朝寝坊さん」が不気味に笑っていました。「朝寝坊さん」が、私たちの時間を奪ってしまったのです。気持ちよく眠っている間に、数十年もの時間を失ってしまったのです。私は耳を塞ぎました。「朝寝坊さん」の歌は、まるでレクイエムのようでした。    *  *目覚まし時計が鳴りました。ハッとして起きると、いつもの朝でした。私は、元の中学生に戻っていました。 「あら珍しく早起きね。雪でも降らなきゃいいけど」 母は、ちゃんと太った黒髪の、いつもの母でした。 それっきり「朝寝坊さん」は姿を消しました。他の誰かの心に住み着いたのかもしれません。うららかな春が、やがてやってきます。どうかご用心を。 (作家)

妙に懐かれた教え子の結婚式《続・平熱日記》150

【コラム・斉藤裕之】恐らく、後にも先にも教え子の結婚式に出るのはこの一度きりだろう。記憶に残っている限り、一番てこずった「問題児」が多かった年。だからよく覚えている。新郎は、中学校1年生から3年生まで美術の授業を担当し、高校1年の選択授業も受け持った。 これまで何千という生徒を教えてきたが、いまだに交流のあるのはこの子を含めて男3人だけ。なにせ日雇い先生だし、授業が終わればさっさと帰るし、それ以上の付き合いをすることもなかった。でも、なぜかこの3人には妙に懐かれてしまって、休みには薪(まき)割の手伝いに来てくれ、私の関わった美術イベントにも参加してくれた。 1月吉日。都内某所で、式、披露宴は賑々(にぎにぎ)しく開かれた。宴もたけなわになった頃、ご両親が私の座るテーブルに回ってこられた。 実は、新郎は高校に入って間もなく、些細(ささい)なことで学校をやめてしまっていた。詳しい事情は聞かないでいたが、その後、別の高校に入り直して上智大学を卒業し、在学中にバイトをしていた会社の仕事から起業に至り、今は社長。 やや向こう見ずなところもあるが、目標に向かう前進力には感心する。しかし、在学中よりも卒業してから絵を学びたいなどと言い出して、うちのアトリエやお絵かき講座にデッサンをしに来ていた時期があった。それから、個展会場にひょっこり現れて絵を買ってくれたりもするようになった。 ご両親は、新郎がことあるごとに私に随分と助けられたという意味のお礼を述べられた。短い会話ではあったが、そのご苦労をお察しするのに難くはなく、それゆえに今日のよき日を格別に喜んでおられることが伝わってきた。 余談だが、私の座ったテーブルには3人の中学同級生がいて、そのうち2人は中途退学した生徒だった。でも、とてもちゃんとした大人になっていて、1人は見目麗しいパートナーを同伴していた。先生、恩師として呼ばれたのは、多分私ひとりだったと思う。 忌野清志郎「僕の好きな先生」 余談だが、同じテーブルに座っていたもう1人は、新郎と共によく私の元を訪れていた同級生。宴もお開きとなって、彼とクロークに上着を受け取りに行った。「この上着に見覚えがあるか」と彼に聞いた。「もちろん。よく持っておられましたね」。キョトンとする彼。 これは、かれこれ10年近く前、彼が北海道の大学から帰ってきたときに着ていたダウンジャケット。就職が決まった春休み、薪割りを手伝ってもらった折に、もう十分着てくたびれてしまったので捨ててくださいと言って、置いていった。見ればそれほど汚れてもいなかったので、私がもらって今日もこうして着させてもらっているのだった。 帰りの電車で、忌野清志郎の「僕の好きな先生」という歌が頭の中を流れ始めた。私としては、何か特別なことを教えたつもりもないし…。 考えてみると、新郎はもちろん絵が好きだったということはあったにせよ、美術の授業や絵を描くことに、何というか、救われていたのかもしれないと思った。ということで、新年に向けて、改めてテキトーに授業をしていこうと思った。(画家)

マンホールカードのリンク先に誤り つくば市が配布を中止

つくば市は22日、同市が市役所窓口で配布している「下水道マンホールカード」の裏面に記載された2次元バーコードのリンク先に誤りがあることが分かり、同日からカードの配布を中止したと発表した。今後修正し、改めて配布する予定。配布再開の時期は現時点で未定という。 市下水道総務課によると、二次元バーコードのリンク先が、2018年に3月31日に終了した市プロモーションサイトのURLになっていた。このリンク先は現在、つくば市とは関係ないサイトになっているという。市職員が誤りに気付いた。今後印刷をやり直し、リンク先を現在の市公式ホームページのトップページに変更する。 マンホールカードは、下水道事業をPRするため、市が年間を通して市役所1階水道お客様センターの窓口で無料配布している。表面にはマンホール蓋がデザインされ、裏面にはデザインの由来などが記されている。同市のカードは、宇宙船や筑波山などが描かれており、2016年8月から配布が始まり、翌17年4月からは英語版の配布が始まった。 配布枚数は、日本語版、英語版併せてここ数年は年間2000~5300枚程度。ほかに受験シーズンには合格祈願のお守りとして同カードと缶バッジなどをセットにして毎年1000枚配布している。 日本語版、英語版、合格祈願セットいずれも、リンク先が間違っていた。二次元バーコードは配布開始当初から変更しておらず、リンク先のサイトが終了した後も、同じリンク先のままだったのが原因。 一方、配布を受けた市民などから、リンク先が間違っているなどの問い合わせや、被害などはこれまで報告されてないという。 同課は、リンク先を修正したカードが出来次第、同窓口で配布を再開するほか、誤ったリンク先のカードについては同窓口に持参すれば交換するとしている。配布再開時期は、市ホームページで改めて告知する。市はさらに、誤ったリンク先にはアクセスしないよう呼び掛けている。

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