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2024
賛成多数、4月から30%引き上げ決まる つくば市議報酬
2024年3月22日
つくば市議の報酬を今年4月から約30%引き上げる条例改正案(2月13日付)について、同市議会3月議会最終日の22日、採決が行われ、22対2の賛成多数で引き上げが決まった。 賛成した会派はつくば自民党・創生クラブ(黒田健祐代表)、自民党政清クラブ(飯岡宏之代表)、つくば・市民ネットワーク(皆川幸枝代表)、公明党つくば(小野泰宏代表)、新社会党つくば(金子和雄代表)、清郷会(木村清隆代表)、新緑会(中村重雄代表)、つくばチェンジチャレンジ(川久保皆実代表)の22人。 反対した会派は共産党市議団(橋本佳子代表)の2人だけだった。山中八策の会の塩田尚市議は退席した。 採決に当たって市民ネットの4人が、引き上げ率を約18%に圧縮し、引き上げ時期を改選後とする修正案を提案し、皆川市議が「ある程度の引き上げは必要だが、一方で市民からの批判の声もある」などと提案理由を述べた。 これに対し「(引き上げの答申を出した)市特別職報酬審議会で慎重な審議を重ねた」(神谷大蔵市議=創生クラブ=)などの反対意見が出て、修正案は賛成少数で否決となった。 続いて4月から約30%引き上げる市長提案の条例改正案について採決が行われた。「十分な(報酬の)見直しが長期間行われなかったため仕事の重さに対し報酬が低かった」(小野泰宏市議)などの賛成意見が出された一方、反対意見として「今般の物価高で市民生活はひっ迫している。年200万円以上の報酬引き上げは市民感覚からかけ離れており、市民の理解が得られるとは思えない」(橋本佳子市議)などが出されたが、採決の結果、22対2で市長提案通り引き上げが決まった。 可決により、議長の報酬は現在の月額54万7000円から27.6%増の69万8000円、副議長は48万円から30.4%増の62万6000円、議員は44万7000円から30.6%増の58万4000円になる。 期末手当などを含む年間支給額は、議長が1102万4910円、副議長が988万7670円、議員が922万4280円になり、県内の市で水戸市に次いで2番目に高い額となる。つくば市議の報酬の引き上げは1994年以来30年ぶり。(鈴木宏子)
近くに、二所ノ関部屋ができて《遊民通信》85
2024年3月22日
【コラム・田口哲郎】 前略 大相撲が盛り上がっていますね。2022年6月に阿見町にできた二所ノ関部屋所属の大の里の活躍も楽しみのひとつです。大の里関は石川県出身ということで、ますます応援したくなります。 二所ノ関部屋は阿見町にありながら、最寄り駅は常磐線の「ひたち野うしく駅」です。部屋ができてから、ひたち野うしく地区では力士など部屋の関係者に街でたびたび遭遇するようになりました。 力士は鬢(びん)付け油をつけているので、すれ違ったら、椿油のよい匂いがします。たまに、力士の姿は見えないのに、椿油の香りがして、お相撲さんが通ったのだろうな、と思うこともあります。 力士が行き交い、華やぐ街 いまは三月場所で、大阪でみなさん頑張っていますが、場所が終われば帰ってくるので、また、ひたち野うしくではお相撲さんを見ることができるでしょう。 相撲部屋ができることで、こんなに街の雰囲気が良くなるものかと思います。若い力士が歩いていたり、自転車で通り過ぎるだけで、街が華やぎます。阿見町と牛久市の境目にあり、新興住宅地であるひたち野うしくの端にある部屋は、ともすれば新しさと整然としたきれいさはあるけれども、どこか味気なかったひたち野うしくに、思わぬ魅力を与えてくれたと思います。 部屋ができたのはコロナ禍の真っ最中でしたので、コロナ禍が一応の収束をみたこれからは、部屋の見学や部屋と住民との交流が行われるものと期待したいと思います。 お相撲さんが行き交う街は華やぎ、いろいろな人が集まり、にぎやかになるとよいですね。部屋が長く続いてゆけば、たとえば部屋出身の元力士がちゃんこ鍋屋さんを開いたりすることもあるのでは…とか、楽しい想像がふくらみます。 二所ノ関部屋応援しています! ごきげんよう。 草々 (散歩好きの文明批評家)
空飛ぶクルマ つくばにテストフィールド
2024年3月21日
次世代の移動手段として注目される「空飛ぶクルマ」の技術実証をするテストフィールドが、つくば市上境のつくばヘリポートに開設された。21日には関係者を招きテープカットの後、県内では初公開となる電動自律型無人航空機のデモフライトが行われた。 施設は次世代エアモビリティーのインフラ構築をめざすAirX(エアーエックス、東京都千代田区、手塚究社長)がヘリポート運営のつくば航空(つくば市上境、中田俊之社長)と共同で設置した。無人航空機「EH216-S」は中国の旅客ドローンメーカーEHang(イーハン、コナー・ヤンCFO)による機体で、中国で型式認証を得ている。同ヘリポートに駐機して、国内での商用運行に向け操縦や修理などの技術開発が進められる。 機体は約4メートル四方のサイズで重さ約400キロのドローンの一種。8対16枚の回転翼により最大220キロの貨物を積んで運べる。人が乗り込めるよう座席はついているが、操縦はできない。運転は外部からのコントロールとオートパイロット機能による。 AirX社の手塚社長によれば、「空飛ぶクルマ」は都市域を超えた形での流通や生活を支えていくインフラとなるはずで、テストフィールドは飛行安全の検証、操縦や整備技術者の育成などに役立てる拠点を目指す。当面は1機のみの運用だが25年あたりから順次新機体を投入する予定という。 つくばヘリポートは県の防災ヘリコプター「つくば」の基地になっており、施設自体は22年に県営からつくば航空に譲渡された。敷地面積約3.1ヘクタールの中に長さ35メートル、幅30メートルの滑走路と大型機、小型機の2バースが備わっており、施設全体がテストフィールドとなる。 AirX社では、VTOL機と呼ばれる垂直離着陸機能を有する航空機の発着や地上移動のための区域である「パーティポート」として整備、空飛ぶクルマの関東地域の拠点と位置付ける。つくば航空では、機体整備の基盤を整えつつ、ライセンス取得に向けたスクールの開設もめざしたいとしている。セレモニーに出席した五十風市長は「市はサイエンスシティーに取り組んでいるものの、市民の間では依然『科学の街』の実感に乏しい。ヘリポートから機体の発着する姿が日常化すれば、社会実装が市民の目に見える形になってくる」と歓迎した。(相澤冬樹) https://youtu.be/mWowcypGD4k
人工知能で新しいつくばの地図を表現 大学院生 稲田和巳さんが個展
2024年3月21日
慣れ親しんだつくばの地図を、人間の活動をもとに人工知能を駆使して書き換える作品作りに、アーティストで筑波大大学院生の稲田和巳さん(26)が取り組んでいる。その作品展が20日からつくば市吾妻、つくば市民ギャラリーで始まった。作品は、スクリーンに投影される映像作品を含む3点。 「春日1丁目」から「研究学園6丁目」にかけて、地図上を青い線が何本も重なり合う。開発が進むつくばエクスプレス(TX)沿線上のつくば駅と研究学園駅を結ぶ「新都市中央通り」と重なる地域だ。青い線は、仮想空間を移動した人工知能の足跡で、線の濃さはそれが行き来した回数の多さを表している。稲田さんは、人工知能が移動した分だけ仮想空間上の地面が削られできた高低差を、まるで水流が侵食し生まれた「谷」のようなに地図上に等高線で描き出す。その結果、実際の地図とは異なる地形が現れる。その地図は人の活動を可視化したものになるのだという。 人工知能の行動のもとになるのが人間の活動だ。作品制作は「人間を演じてください」という唯一の指示を人工知能に出すことから始まる。次につくばの地図を読み込ませ、経緯度を打ち込み仮想空間上の現在地を指定する。その位置から現実世界で見えるであろう周囲の情報を入力すると、平均的な人間が選ぶ行き先を人工知能が選び取り、地図上の道を歩き出す。分岐に差し掛かると立ち止まるので、また周辺情報を入力して歩かせる。スタート地点を変えながら、何度も一連の作業を繰り返す。 「人工知能が出す回答は、様々な人間の考えを平均化したもの。その特性により、人間の典型的な振る舞いも表現できるのではと考えた」と稲田さんは話す。行き先の選択も、周囲の情報の中から最も一般的な人が選ぶであろう道順が選ばれるはず。その結果、人工知能が何度も行き来し仮想空間を侵食してできた高低差を伴う地形は、人間の平均的な活動を可視化したものになるという。 主観を排した世界を見たい 稲田さんが作品を通じて表現したいのは「主観を徹底的に排除したときに見える風景」だ。稲田さん自身、意見が異なる相手と向き合ったとき「自分が正しい」という自我から抜け出し相手の正しさを認める寛容さを持つことの難しさを感じるという。「自分が見ている世界から、それまでの経験などからくる『バイアス(先入観)』を取り除くことは難しい。コンピューターでプログラムを書くと、自分の思考がコンピューター内で肉体を離れて勝手に動きだし、圧倒的な客観性を得られるのではと考えた。 それを試すために色々な作品を作ってきた。コンピューターを使えば自分では見られない世界が見えるのでは」。「自分の肉体では絶対に得られない視点」への思いが作品作りにつながったと話す。過去にはX(旧ツイッター)のデータをリアルタイムで抜き出して、ネットの社会を可視化する作品を作ったこともある。 未来的だが老朽化 重層的構造を可視化へ 稲田さんが、地元の大阪からつくばに来たのは2017年。筑波大への進学がきっかけだ。小学生からプログラミングに親しみ、芸術と工学に興味を持っていた。筑波大進学は「どっちも取れる」のが動機だった。現在、同大情報学学位プログラム博士後期課程グラフィックスデザイン研究室に在籍する。 「つくばはサイエンスシティ、先進的、未来的というイメージだったが、住み始めると他の面に気づく。実際の研究学園都市は50年経って古くなり、大学も老朽化している。センター地区の中心部がスポッと抜けて研究学園地区に移り、新しく開発される地域がある。住んだことで解像度が上がった自分の感覚を実際の状況と確かめたい思いもあった」。 1970年代から開発された筑波研究学園都市、85年に科学万博が開かれ、2005年のTX開業とその後の活発な都市開発。稲田さんの作品は、つくばがたどった歴史的な経過が生み出す重層的な街の構造を、仮想空間に表現した「地形」で、人間の活動をもとに可視化したいという試みでもある。 「地域性の強い作品。普段見ている世界と違う世界が見えるというのが面白いと思っている。ぜひ、地元の方に見ていただきたい」と話す。 つくばに住んで8年が経つ。「つくばは便利で居心地がいいまち」だという。自然が好きで宝篋山によく行っている。(柴田大輔) ◆「稲田和巳 潮 重なり隣り合う世界」は24日(日)まで、つくば市吾妻2-7-5 中央公園レストハウス内 つくば市民ギャラリーで開催。開館時間は正午から午後5時まで。最終日は午後3時。入場無料。問い合わせはメールで。
土浦港のラクスマリーナ《ご近所スケッチ》9
2024年3月21日
【コラム・川浪せつ子】桜の開花が近づいてきましたね。一昨年、友人から「土浦の桜川を船で桜見ながらのクルーズに行ってきたよ。すごく良かったから来年行って」と聞いたものの、昨年はうっかり忘れ、桜の季節が過ぎてしまいました。 今年は取材を兼ね、絶対、桜川クルーズ(土浦港のラクスマリーナ=土浦市川口=が運航)に行きたい! その前に、下見に土浦港まで行ってみよう。スケッチ出来たらもうけもん。 初めて土浦港に行ったのは、思い起こせば20年前。元旦の「日の出クルーズ」というのを見つけて。連れ合いと3番目の息子は「そんな寒い時期に、朝早く起きて、日の出なんて! それも船で?」。でも、長男と次男が付き合ってくれました。 船には、結構な人が乗っていましたが、なんせ真冬の湖の上。風もあるし、「寒いのなんの」でした。ですが船内には、暖かい麦茶と甘酒などが用意されていました。空にはお月さま、そして筑波山。初日の出もよく見えました。 そろそろ桜川の桜クルーズ そのときの感動が20年過ぎても心に残っていて、まずは港の船をたくさんスケッチ。その後、日にちを代えて乗船。10月から翌年3月まで、カモメが遊覧船に群がってくる時期でした。 今回、3月なのに水辺の絵?と思いましたが、やはりこの時期ということが重要かな。このコラムが出るころ、まだカモメもいるそうです。船からパンの耳を投げる餌付け。襲ってくるようなことはないですが、「鳥」という映画を思い出しました。 桜川の桜クルーズも、そろそろ申込みしないとね。クルーズ船から見る桜も楽しいですが、桜並木の下を船が行き交う風情を絵にしたいと思います。(イラストレーター)
八田知家の「筑後氏」名乗り説は誤り《ひょうたんの眼》66
2024年3月20日
【コラム・高橋恵一】土浦市立博物館が2022年春の特別展で、常陸国守護・八田知家は「筑後」に名字(名乗り)を変えたと解釈したことを、私はコラム47 とコラム58で誤りではないかと指摘しました。それから2年経ちましたが、博物館は依然として訂正する気配がありません。小田氏は、初代知家が守護になってから約70年間、3代にわたって小田(現つくば市)を本拠地にできず、小鶴荘(笠間市)や小田保(宮城県涌谷町)を彷徨(さまよ)っていたことになっています。 茨城県史(1986年、執筆分担・網野義彦)では、知家が常陸国守護となって小田に築館し、小田を名字の地にしたとしています。知家が小田を本拠地としたことは、小田の居舘址や知家が建立した極楽寺跡からの発掘品からも明らかですし、知家が極楽寺に寄贈した銅鍾のことも知られています。系図にも、2代目は知重「号小田」となっています。 特別展「…常陸小田氏」で披露 小田氏が本拠地を置けず、名字を「筑後」と名乗ったとする説は、博物館長の糸賀茂男氏の論考(茨城県史研究61、1988年)から広まっているようです。①小田の地は、先に失脚して滅びた常陸平氏本宗・多気氏の影響力が強く、知家は多気(つくば市)に近い地域に入れなかった、②小田に本拠があったのならば、「筑後」と名乗らずに「小田」と名乗ったはずだ―という説は多気氏を贔屓(ひいき)する糸賀氏の思い込みです。 知家が「筑後」に名乗りを変えたという説は、特別展「八田知家と名門常陸小田氏」で大々的に披露されました。知家が「筑後守」に昇任したのを喜び、「八田氏」から「筑後氏」に名乗りを変えた―という解釈です。糸賀氏は、「吾妻鑑(あずまかがみ)」では知家の子供たちも「筑後」を名乗るようになったと記されている―としていますが、これは「吾妻鑑」の読み違いです。 漢文の吾妻鑑は読解が容易ではありませんが、近年、読み下し訳(監修・永原慶二)と現代語訳(編著・五味文彦、本郷和人ら)が発行され、専門家以外にも理解できるようになりました。同歴史書には人名記載のルールがあり、「名字+官位(官位のない場合は太郎などの通称)+実名」で記載され、位階が五位以上の者については、名字、通称を省略し、その子息は「親の官職の略称+子息の官位または通称」で記載されています。 NHK大河ドラマの主役・北条義時は任官後、「相模守あるいは相州」と記され、北条泰時(義時の嫡男)の場合、父義時が相模守に任官した後は「相模太郎あるいは相州太郎」と記されています。いずれも、吾妻鑑編纂者がルール通りに記載しているのであって、子供が「相模」と名乗った訳ではありません。当然、北条氏が名字を「相模氏」に変えた訳でもありません。 糸賀氏は、「八田氏」が名字を「筑後氏」に変えたと読んだとき、知家以外の高位の官職を得た御家人について、人名表記がどのような扱いになっているのか検証しなかったのでしょうか? 大江広元(大官令)や結城朝光(上野介)などの御家人は多数おり、すべて義時と同様に記載されています。類似例の検証はあらゆる研究の基本です。そうしていれば、「筑後」を名字(名乗り)と解釈する誤りもなかったでしょう。 刊行物や展示物は訂正が必要 ところで糸賀氏は、前述の論考発表のころから、市町村史や中世史本に積極的に関り、守護職の知家が小田に本拠を持てず、小鶴荘(笠間市)や小田保(宮城県)に拠点を求める説を展開しています。名字(名乗り)を「筑後」とする誤読を論拠として、間違った説を広めているわけです。 市町村史や自治体の刊行物、博物館の展示内容は、市民が最も信頼する情報です。郷土の歴史に関心を持つ子供たちは、こういった自治体史などから学習します。糸賀氏は、既刊の自治体の刊行物や博物館の展示内容を訂正すべきでしょう。(地歴好きの土浦人)
魂を打ち込む 土浦の能面師集団が作品展
2024年3月19日
土浦市の能面師、山口義法さん(68)が主宰する能面制作集団「法面会 能面工房」(土浦市並木)による作品展が、4月2日から土浦駅西口前の土浦市民ギャラリーで開かれる。同会で活動する作家6人と、山口さんが師事した故・菅原法房さんによる作品34点が展示される。 全身全霊で、自分の思いや魂をノミの先から木材に打ち込む−。能面制作で大切なことを山口さんはそう表現する。自宅に構える工房には、自身のこれまでの作品が壁に並ぶ。能の舞台では、それを身につけ演じる能楽師が、異なる表情の面を用いることなく、一つの面で全ての感情を表現する。ある演目では戦いの場面の後に、再会する我が子に向ける慈愛へと、同じ舞台の中で変化する表情を表現する。 「能楽師は、左右対称の面は舞台で使えないと言う。きれいな面が必ずしも舞台で力を持つわけでもない。だから作る時は、実際に舞台の距離まで離れて(面の)顔つきを見る。10メートル先に置いた時に本当に力が出るか確認しながら制作する。曲を学び、能楽師から意見も聞く。能楽師と面が一致した時、ものすごく良い舞台になる」。 土浦市出身の山口さんが能面制作を始めたのは約30年前。会社員として赴任していた宮城県で出合った能面がきっかけだった。仕事の合間に家族と訪ねた同県栗原市の公民館に展示されていた作品だった。吸い込まれるような気持ちで見つめていると、「面が好きなんですね」と声を掛けられた。声の主は、後に師となる制作者の菅原法房さんだった。菅原さんは、大正から昭和にかけて活躍した能面師・入江美法に師事した同市の旧金成町出身の能面師だ。山口さんはその後、会社員として働きながら菅原さんの元を訪ねて技術を学んだ。菅原さんは山口さんに「この仕事は職人仕事。決まったことをコツコツやるのが大事」だと伝えた。 50歳で脱サラ 転勤が多い仕事だったため、途中から、学齢期を迎えた子どもと妻が地元の土浦に戻り、単身赴任をしながら制作を続けた。50歳を迎えた2005年に退職を決意。土浦で能面師としての活動に専念する。退職前に知人からの声掛けで始めた市民講座や、毎年開催を重ねてきた個展を通じて地域とのつながりもつくってきた。地元団体から神楽に使う面の修理を請け負うこともある。退職前の03年に、個展の来場者や教室の受講生らと開いたのが「法面会 能面工房」だ。現在は、土浦や周辺に住む70歳代を中心とした7人が所属し、都合の合う日に工房に集まり、作品制作にいそしんでいる。 形だけでなく、情熱を作品に込める 「稚拙でも、魂のこもったものが力を発揮すると、私は思っている」と山口さんは話す。最近は、AIが作る面の精巧さが能面師同士の議論に上がることもあるというが、「大切なのは、想像力。心の世界」だという。「小学生が初めてザリガニを見た時の感動で描いた絵や、失恋した人が気持ちを込めて歌うカラオケの歌に心を打たれることがある。形だけを写したものは感動しない。自分の思いを打ち込めば、見る人に伝わると信じている」と力を込める。 今回、作品を展示するメンバーは、それぞれ5年、10年、15年と制作に打ち込んできた作家たち。「人が集まることでより良いものができると思っている。私が教えるのではなく、一緒にやりましょうという思い。作ろうという情熱があれば誰にでも作ることができる。伝統文化は守っていかなければいけないもの。若い人にも是非、伝えていきたい」という。 ◆「法面会 能面展」は4月2日(火)~7日(日)まで、土浦市大和町1-1、アルカス土浦1階、土浦市民ギャラリー内オープンギャラリー1で開催。開館時間は午前10時~午後6時。初日は正午から、最終日は午後4時まで。入場無料。
地域を「計画・提案」する《デザインについて考える》6
2024年3月19日
【コラム・三橋俊雄】今回のテーマは「地域をデザインする」です。私は長年、地域を元気にするための活動を、福島、新潟、青森県、京都府などの過疎化・高齢化が進む町や村で行ってきました。それらの地域で、多くの方々から話を伺い、その地で出合った様々な魅力を肌で感じ、あるいは地域の課題を探りながら、その町や村の「これから」についてデザイン(計画・提案)させていただきました。 そうした地域づくりの基本姿勢として、地域が主人公になれるための「内発的」というベクトルを堅持してきたつもりです。 コラム4「南北問題と適正技術」 では、先進国による発展途上国への一方的な援助が、結果として当該地域の問題解決につながらず、そうした中からダグハマーショルド財団の「Que Faire ?(何をなすべきか)」により、「内発的」という概念が提唱されたことをお伝えしました。 日本でも、1900年代後半の過疎化・高齢化対策において、工場誘致や企業誘致などに頼る「外発的」な地域振興策が多くとられてきた中で、果たして住民や地域の自然、社会、文化などが主人公になれる「内発的」地域づくりにつながるのだろうかという疑念を持ちました。 そのような時期に出合ったのが、上のイラストに示した「JRの中吊りポスター」でした。 「内発的」な地域づくりを志向 ポスターには新幹線とホテルやスキー場で楽しむ都会の若者たちの姿が描かれ、キャッチコピーには「例えば新幹線とドッキングしたスキー場の開発」とありました。このポスターからは、目立った産業のない雪国に対して、スキー場を整備して新幹線とつながるリゾートホテルを誘致することで、都会から若者たちが集まり、経済的波及効果によって地域の活性化が図られるという、地域開発のシナリオが読みとれました。 しかし、このような手法によって、自然、歴史、生活文化が生かされ、住民が生き生きと働くことのできる社会を実現することができるでしょうか? 大切な森林が伐採され、若者はスキー場の管理人やホテルの従業員として雇用されるだけという結果にならないでしょうか? スキー場とホテルの完成によって、住民の地域に対する「誇り」や「生きがい」を生み出すことができるでしょうか? 人間は尊厳をもって一個の人格を形成し、自己のアイデンティティーを確立させていきます。同様に、地域づくりの過程においても、「地域格」を形成し、地域のアイデンティティーを確立させていくことが大切であると考えます。そのためには、いかに地域が主人公になり得るかが「鍵」となってきます。 その意味で、「地域をデザインする」というシナリオには、「内発的」な地域づくりを志向するデザイナーの姿勢が不可欠であると考えます。(ソーシャルデザイナー)
望月学長「何度も立ち上がりやり直す生き方こそ指針に」 筑波学院大で卒業式
2024年3月18日
筑波学院大学(つくば市吾妻、望月義人学長)の2023年度卒業式が18日に催された。ビジネスデザイン学科の145人がスーツやはかまに身を包み、晴れやかな表情で式に臨んだ。卒業生代表の堀江紅音さんが望月義人学長から卒業証書を受け取った。 望月学長は、南米ウルグアイの前大統領ホセ・ムヒカ氏を尊敬する人物として挙げ、同氏が述べた言葉を引用し「(ホセ・ムヒカ氏の)貧しいけれども清い生き方は国内外の人々に共感を与えてきた。何度も立ち上がりやり直すという生き方こそ、これから社会の荒波に飛び込む皆さんの生き方の一つの指針となる。人生の価値はどれだけの富や地位を得たかではない。常に自らを磨くために努力を続け進化を遂げていく人の姿はまぶしく映る」と話して激励した。 橋本綱夫理事長は、卒業生が新型コロナウイルス感染拡大の時期に入学したことに触れ、さまざまな制約があったにもかかわらず、我慢して努力し卒業を迎えたことをねぎらった。また「卒業で学びは終わりではない。自分自身で学びたいことを見つけていくことが必要になる。主体的な学びの姿勢は重要で、ぜひ学び続けていってほしい。今の社会は変化に満ちており、さまざまな困難や課題から逃げないで取り組んでいくことが大切」とあいさつした。 卒業生代表として答辞を述べた飯島瑞樹さんは「大学に入学した最初の頃は新型コロナウイルスの影響によって友だちを作ることができず、孤独を感じながら授業を受けていたが、たくさんの友人や先輩と出会い一生の宝物となった。このような多くの友人との出会いによって、これまでの私であれば決してありえなかった経験をすることができた」と振り返り、支えてくれた友人や教職員、家族への感謝の気持ちを述べた。 ビジネスマネジメントコースで中国出身のリュウ・ニヘイさんは「6年日本で暮らしたが、時間が短く感じる。卒業後は中国に帰る。まだ何をするか決めていないが、事業を起こしたい」と話した。情報デザインコースの斉藤優希奈さんは「卒業の日を迎えてうれしい。プログラミングやウェブデザインを学ぶことができた。卒業後は県内の製造業で働く」と笑顔を見せた。 同大は来年度から大学名を日本国際学園大学に変更し、仙台キャンパスが開学。つくばと仙台の2キャンパス体制となる。グループである東北外語学園(仙台市)の教育メソッドを取り入れ、語学教育に力を入れていく。(田中めぐみ) ◆日本国際学園大学のホームページはこちら
つくば市長の主公約 陸上競技場始末《吾妻カガミ》179
2024年3月18日
【コラム・坂本栄】つくば市の陸上競技場設計作業が来年度から始まります。3月議会に出された基本計画は2年前とほぼ同じで、人口や予算規模で水戸市に肩を並べる県内2番目の市の施設としては、他の県内施設に比べて見劣りするのが気になります。 県内の他施設に比べ地味 上郷高廃校跡に造られる陸上競技場(全天候型舗装8レーンの400メートルトラック)は、▼走路=第4種公認、▼観客席=2900(うち芝生席2000)、▼駐車場=700台(うちバス25台分)―といった計画です。 他の県内競技場を見ると、▼県営笠松:第1種、2万2000席、2700台、▼水戸市営:第2種、1万2200席、2000台、▼日立市営:第3種、8500席、1500台、▼ひたちなか市営:第3種、1万5000席、3000台、▼古河市営:第2種、3700席、1200台、▼龍ケ崎市営:第3種、2600席、174台、▼石岡市営:第3種、2500席、650台―となっています。 これら施設は記録公認に必要な種別が第1種~第3種なのに、つくば市営は第4種と「格落ち」です。これで市民のプライドは保てるでしょうか? 使い勝手を左右する観客席数や駐車台数も、他の施設に比べるとかなり控えめです。 市長は政治的判断を優先 どういった競技場を造るか議論されていたころ、私はコラム99「つくば市の2大案件」(2021年2月1日掲載)で、「県に掛け合って高規格(第1~2種)の競技場をつくば市内に造らせ、県南の各市にも建設費を分担してもらったらどうか」と提案しました。少なくとも水戸市営並み、できれば県営笠松並みを想定していたからです。 どこに造るかについては、「上郷高校跡(7ヘクタール)と総合運動公園計画(メーンは陸上競技場)用地跡(45ヘクタール)が候補に挙げられます。市は前者に誘導したいようですが、アクセス路の利便性や拡張の可能性などは明らかに後者が上です」と指摘、狭い市道に囲まれた上郷高跡よりも国道408号に近い運動公園用地跡を推しました。 しかし、市原前市長が策定した運動公園計画を市民運動で葬った五十嵐市長には、最初から運動公園用地跡を使う選択肢はなかったようです。しっかりした施設をアクセス性がよい場所に造るという判断よりも、前市長の計画を否定する政治的な判断を優先したと言え、行政が政治に引っ張られた形です。 市史に残る「歪んだ選択」 五十嵐市長にとって運動公園用地返還と陸上競技場建設は1期目の主要な公約でした。ところがUR都市整備への用地返還は失敗し、扱いに困って倉庫業者に売り飛ばしました。陸上競技場を造る場所の方は、政治的な思惑から運動公園用地跡を外して、規格、規模、利便性で劣後する上郷高跡を選択しました。政治的な思惑が施策を歪めた事例として市史に残るでしょう。(経済ジャーナリスト)
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