つくばFCが連勝 最終節を前に3位確定
関東サッカーリーグ1部第17節、ジョイフル本田つくばFC対ヴェルフェ矢板(本拠地・栃木県矢板市)の試合が22日、つくば市山木のセキショウ・チャレンジスタジアムで開催され、つくばが2-1で勝利した。つくばはこれで7勝5分5敗、勝ち点を26に伸ばし3位をキープ。次の最終節は10月6日、セキショウ・チャレンジスタジアムで桐蔭横浜大学FCと対戦する。
第58回関東サッカーリーグ1部 第17節(9月22日、セキショウ・チャレンジスタジアム)ジョイフル本田つくばFC 2-1 ヴェルフェ矢板前半1-1後半1-0
今節を終えて、つくばは5戦負けなしで2連勝と好調を維持。4位の南葛SCに対し勝ち点5差をつける一方、上位では首位のボンズ市原FCが勝ち点43、2位の東京23FCが同39に伸ばしており、つくばは3位が確定。JFL(日本サッカーリーグ)昇格の望みもすでに断たれた。敗れた矢板は勝ち点13で最下位を脱することができず、6年ぶりの関東1部で苦戦中だ。
試合は前半5分につくばが先制。左サイドから仕掛けて相手守備を引き寄せたところで大きく右へ展開、MF河島雪大とのパス交換でDF石原大樹が抜け出し、ゴールライン際からマイナスのクロス。これをFW宮本英明が頭で叩き込んだ。
「石原ならあそこに出してくれるという共通理解があった。だからわざと入り過ぎず止まって待ち、思った通りのボールが来た。2人で1年間積み上げてきた形が出せた」と宮本。昨季はけがに悩まされたが、今季は良いコンディションを維持し、「自分の中で一番いいパフォーマンスを出せている」という。
この辺りの攻防について、左MFの郡司侑弥は「自分が中間ポジションを取ることで相手DFを中に寄せ、外にサイドバックが上がれるスペースを作るプランだった。だが相手は自分のサイドに蓋をしてきたので、右へ展開する形をとった」と解説。「相手の中央の守備が緩いときは、縦のドリブル突破やクロスなど、自分の持ち味も出すことができた」とも話す。
その後もつくばはチャンスを作るが追加点は得られず、34分に同点ゴールを奪われる。後がない矢板は球際をタイトにし、スピードに乗った攻撃で襲いかかってきた。「守備で相手にスペースを与えてしまい、失点場面ではパスの出し手へのプレッシャーが甘くなった」と副島秀治監督は悔やむ。
後半は全体をコンパクトにし、相手にスペースを与えない形に修正。守備の背後を突いてロングボールに河島が飛び出すなど、攻撃のバリエーションも増やした。すると12分、つくばに勝ち越しゴールが生まれる。コーナーキックの流れからDF高橋琉偉が中央でシュートを放ち、相手GKがこぼしたボールをDF今井涼成が左足で決めた。今井は今季移籍し初ゴール。「セットプレーでの得点は僕の役割。常に狙っている。目の前にいいボールが来たので流し込んだだけ。うまく反応できてよかった」との振り返り。
「もう少し点を取れるゲームだったが、相手も必死にプレーしてきた。隙を見せるとカウンターやセットプレーがあるので粘り強く守りながら、最後まで崩せるシーンをつくれた」と副島監督。「ホームの声援が後押しとなり、一人一人の積み重ねがゴールという結果になって表れた」という今日のようなゲームを、次の最終節でも期待したい。(池田充雄)
食料の確保は安全保障の1丁目1番地《邑から日本を見る》168
【コラム・先﨑千尋】今、国民の話題、関心事は米だ。スーパーで最近まで棚に安売りの米が並んでいた。しかしそれが様変わり。品薄に加えて、南海トラフ地震臨時情報を受けた買いだめなどで欠品が起こり、「1家族1袋限り」という表示が貼ってある。テレビでは、2時間かけて東京都心部から千葉県の「道の駅」まで買いに行く人や、米生産農家の携帯にひっきりなしに注文が入る情景などが映し出されている。
しかし、自民党の総裁選や立憲民主党の代表選を見ていると、米不足問題を正面からとらえ、解決策を提唱する人はいないようだ。
岸田首相も坂本農水大臣も「端境期だから仕方がない。そのうち新米が出てくれば落ち着く。民間業者には、持っている在庫を民間同士で融通し合うよう要請している。米の作況は平年並みなので、政府が保有している備蓄米を出す状況にはない」と、能天気なことを言うのみ。大阪府の吉村知事が備蓄米の放出を国に要請したくらいだ。「令和の米騒動」と言われているが、消費者もおとなしくしているので「騒動」にはなっていない。
では、なぜ米が足りないのか。米の消費量が生産量を上回っているからだ。昨年の生産量は661万トン。それに対して消費量は702万トンだから、差し引き約40万トン足りない計算になる。新米が出そろう10月になれば店頭での米不足は解消されるだろうが、早食いしているので、来年のこの時期にも同じ現象が起きることが目に見えている。
わが国は「瑞穂の国」と言われた。白いご飯を腹いっぱい食べることが庶民の夢だった。日本全体の水田をフルに使えば1400万トンは生産できると言われている。しかし、1970年から始まった米の生産調整(減反)政策によって、政府の予測以上に農家は米を作らなくなった。それでも政府は現在、減反ではなく、水田をつぶし、畑に転換する減田政策を進めている。
それだけではない。農水省の統計によれば、一昨年の米生産農家の時給はたったの10円にしかならない。これもすべての農家の平均なので、わが家のような5反歩しか作らない零細農家は赤字になっている。それでも続けているのは、先祖からの田んぼを荒らすわけにはいかない、子どもや親戚に自分の作った米を食べてもらいたい、などの理由による。だが、そう考えるのは我々の世代でおしまいのようだ。誰が1時間10円で働くか。
つい最近、農協の関係者に聞いたら、茨城県の農協が農家に渡す概算金(仮渡金)を、8月に決めた玄米60キロ当たり1万8000円(前年より5300円アップ)をさらに5000円足し、2万3000円にしたとか。これでやっと1990年代の水準に戻ったのだが、集荷業者の攻勢が強く、予定通り集まるか心配だと言う。農協の直売所で見たら玄米5キロで3500円と、随分高くなった。しかし、これでも茶碗1杯分が約40円。カップ麺が1個200円、菓子パンが1個140円などと比べると、米はまだまだ安い。
防衛力強化より食料の確保を
ではこれからどうするか。
国産米を将来にわたって確保するには、持続可能な稲作経営を国と国民(消費者)が保障することが最優先。生産者の労働コスト10円を、せめて労働者の最低賃金(時給1000円)並みにすることだ。労働コストを米価にまるまる転嫁すると消費者に与える影響が大きいので、諸外国で取り入れている農家の所得補償政策に舵(かじ)を切ることも必要になろう。さらに備蓄米を増やす。
「食料安保」と口では言うけれど、1カ月半分の備蓄米しかない日本。国は防衛力強化のために43兆円を使うと言っているが、国民の命を守るためなら、その1割でも食料に回せばいいではないか。食料の確保は安全保障の1丁目1番地である。(元瓜連町長)
利根川大花火大会を観覧して《見上げてごらん!》31
【コラム・小泉裕司】「花火な旅2024」の前半戦が終了。台風の迷走やゲリラ雷雨など、今まで経験のない気象変化との戦いが続いた。9月から後半戦に突入、11月2日(土)の「土浦」まで、怒濤(どとう)のごとく「いばらきの秋花火」が続く。
ということで、今回は、秋花火開幕戦、9月14日(土)に境町の利根川河川敷で開催された第37回利根川大花火大会の所感を連ねたい。
秋の夜空に、スターマインや尺玉など迫力ある約3万発の花火が打ち上げられ、30万人の観客を魅了した。 土浦と大曲の両競技大会で内閣総理大臣賞の受賞歴を誇る野村花火工業(水戸市)、山崎煙火製造所(つくば市)、紅屋青木煙火店(長野県)、マルゴー(山梨県)の「4大花火師」が匠(たくみ)の技を披露。音楽は安室奈美恵さんの「ヒーロー」などで知られる作曲家、今井了介さんがすべてのプログラムを音楽プロデュースした。
通常、花火師が選曲も打ち上げもプログラムするが、いわば分業制を採用。今井さんが、スターマインや10号玉(尺玉)の競演すべてを選曲、各花火師はそれに合わせて打ち上げをプログラミングした。大会初の試みに、まずは敬意を表しよう。
駐車場予約システムの効果
花火大会主催者への取材で聞こえてくるのは、異常な混雑の中、安全を確保するための警備体制の強化など、人的にも費用的にも苦労が大きいというということ。花火会場のキャパシティは限界を超えており、これ以上観客が増えることは、正直、勘弁してほしいという。
特に地方の場合、移動は車中心となるため、会場への少ないアクセス道路に車が集中し、早い時間から渋滞が発生。打ち上げ開始までに会場に着けないとか、帰路は駐車場から出られないとか、出場後も渋滞で深夜着といった状況が各大会で発生している。
境町も、都市基盤や公共交通の脆弱(ぜいじゃく)さから、同様の状況があったという。これらの課題を打開するため、他の花火大会で実績を残す軒先(株)と駐車場シェアサービスを共同開発・実践した成果が認められ、今年度、第1回全国シェアリングシティ大賞2024(シェアリングエコノミー協会主催)の大賞を受賞した。
会場周辺の駐車場は、民間も公設もすべてネットからの事前予約制で有料。合計約4000台を収容する駐車場は、1台1万円以上と高額でも、会場近くから満車になったという。
私は今回も、渋滞に巻き込まれながらも空き駐車場を探して彷徨(ほうこう)することなく、予約した駐車場に到着した。不正駐車も見当たらないのは予約システムの効果だろう。同時に、主催者側のコスト削減と運営スタッフの負担軽減にも効果が生じているに違いない。
観覧席の高額化
観覧席は、近隣の大会に比較し、超高額な価格設定にもかかわらず、早期に完売。転売防止策とのことだが、今年も転売サイトはにぎやかだった。本大会初のラグジュアリー席は、打上現場の真っ正面最前列に2人用のリクライニングシートを設置、価格は8万円。それでも即時完売。こうした「境価格」は、他の大会からも注目されている。
マナー知らずの浴衣美女
観客の目の前で、打ち上がる花火を背に、時にはライトをつけて記念撮影に及ぶ迷惑集団が出現。何度もポーズを変えて、さらに交代して、最後は、みんなで集合写真に及ぶ。ここ数年の現象だが、やめるよう注意するのは私だけではない。周辺の観客や係員も参戦する。この行動自体がストレス、しかも二度と見られない花火作品を見逃すことになる。
今回も私の前のテーブルは、浴衣を着た外国語を話す男女4人が着席。とにかく落ち着きがなく、自撮りはもとより、男女のふれあいを繰り返す。我慢の限界が来たところで、遅れて到着した予約客に席の間違いを指摘され、目の前から消えた。
美しい花火を見ると、喜びや感動、興奮などの上向きな感情が喚起され、ポジティブな気分や心の開放が促進されると言われるが、こうして原稿を書いている最中も、思い出してイライラ感が募るばかり。この上は、ラグジュアリー席の購入しかないようだ。本日は、この辺で「打ち留めー」。「シュルシュルシュル どどーん」(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
子どもたちに多様な選択肢を 不登校支援団体が第3回合同説明会 23日つくば
1カ所増え県内3カ所で
不登校など学校に悩みを抱える子どもや保護者と、フリースクールや各自治体の教育相談室などの支援団体をつなぐイベントが、23日につくば市の市立桜総合体育館、10月19日に筑西市の県県西生涯学習センター、11月23日にひたちなか市のスポーツ&カルチャーしおかぜみなとで開かれる。
県内で活動する支援団体や保護者などでつくる「不登校・多様な学びネットワーク」が主催する。3回目の開催となる今年は、600人余りが来場した昨年より会場が1カ所増え、県内3カ所での開催となる。参加するのは、フリースクール、通信制学校など民間の支援団体75団体と、つくば市や土浦市など県内9市の教育相談機関で、それぞれ相談ブースを構えたり、資料を置いたりする。
ひとりで悩まないで
同ネットワークの県南エリアリーダーで、子どもが中学生のころ不登校を体験したつくば市の松崎貴志さん(44)は「ひとりで悩まないでほしい。身近に寄り添える場所があることを多くの方に伝えたい」と思いを述べる。自身の子どもに対しては、学校に行けない間も一緒に食卓を囲み、買い物など外出を共にするなど、無理をさせずに寄り添っていたという。
松崎さんは「みんな学校に行っている中で、学校に行けない自分は他の人とは違ってしまったと、子どもが苦しんでいた」と当時を振り返り、「子どもは、親や周りに迷惑をかけてしまっているのではと思ってしまったのかもしれない。不安の中で自分を苦しめていた」と語る。
そんな中で助けになったのが周囲のアドバイスだった。勧められた通信制の高校に進学し、そこで自分に合った学び方を選択し、現在は専門学校の卒業を控えて内定を得た企業への就職が決まり、社会に羽ばたこうとしている。松崎さんは「親である私は周りに伝えることで自分の気持ちが楽になった。家族だけで抱え込まずに誰かに相談してもらいたい」と話す。
参加団体の中には、感覚が繊細で刺激が苦手な子や発達・学習障害児などに対する支援団体、性的マイノリティの当事者団体など専門分野に特化した団体も複数参加している。専門家による講演会のほか、つくば会場では不登校の子を持つ保護者らによる座談会も予定されている。フリースクールに通う子どもたちによる手作りのゲームやグッズの販売、キッチンカーの出店など誰もが楽しめる企画も用意している。
松崎さんは「不登校に限らず、子育てに悩んでいる方にも来ていただきたい。行政の相談窓口もあるし、ほかにも寄り添い相談を受けてくれる団体がたくさんある。『これを聞いたら恥ずかしい?』と思わずに、困った時にはここに相談すれば少しは楽になるかなというところを見つけにきていただきたい」と言い、「不登校は決してダメではない。不登校だから学べないわけではなく、多様な学び方がある。それがイベントのキーワード。子ども達の選択肢を増やしてもらいたい。そのためにいろいろな人とつながってほしい」と話す。
◆「第3回不登校・多様な学びーつながる“縁”日」は▷9月23日(月・祝)=つくば市金田1608の桜総合体育館で午前10時から午後4時まで▷10月19日(土)=筑西市野殿1371の県政生涯学習センターで午前11時から午後4時まで▷11月23日(土)=ひたちなか市牛久保1-10-18のスポーツ&カルチャーしおかぜみなとで午前11時から午後4時まで。それぞれ入場無料。詳しくは特設サイトへ。
バードウォッチングにこと寄せて《文京町便り》32
【コラム・原田博夫】今回は、私が米国および英国で経験した軽微な(体力勝負でない)アウトドア活動についてです。2度目の米国滞在中(1993年、ワシントンDC近くのバージニア州フェアファックス)、バードウォッチングの会に何度か参加しました。
土曜日の早朝(日の出直後)、大西洋岸の河口あるいは(バージニア州西部の)シェナンドー・バレー麓などの適当な駐車場に15名程度が集合した後、リーダーの誘導で、防水対応のシューズと携帯双眼鏡を片手に、森林、灌木(かんほく)や草地に静かに分け入るのです。
この経験で私が得たポイントは、鳥を探すにはむやみに辺りに目を向けるのではなく、さえずりや羽音のする方向に体と視線と双眼鏡を向ける、ということでした。
ベテランになれば、鳥のさえずりでその鳥の姿と名前を当てることができます。私も、カセットテープを入手して、車の運転中、語学テープをヒヤリングする要領でチャレンジし、帰国後も少し続けてみましたが、残念ながら、とてもその域には達しませんでした。要するに、鳥のさえずりは聞き分けられませんでした。
米国のバードウォッチングでは、もう一つ得難い体験をしました。熱心な会員の中には、自宅を野鳥の住み家にしつらえている方が少なくない、ということです。
そうした会員のお誘いで、ご自宅に案内されたとき、そのご自宅はさほど広いわけではないものの、家屋内部も庭もきちんと手入れされているだけでなく、いたるところに巣箱と水辺が配置されていて、野鳥がこれらを目指して絶えず飛来するのです。当家の方は日ごろからそれを眺め、かつ1年を通じた変化を楽しんでいるのです。
しかも、同好者に自分たちの「作品」を披露することで、それぞれの満足感・好奇心を高めているのです。
自宅を限定的に開放する試み
自宅を限定的ながらも開放するという試みは、英国でも、ガーデニングやフラワーアレンジメントの会で体験しました。
元々、かつての領主の館や庭園などはナショナルトラスト運動の対象になっていることもあり、広大でかなり解放されているのですが、それほどの由緒・来歴を持たない一般庶民のささやかな家屋や庭でも、こうした公開対象になっているのです。それは、自然およびその移ろいを楽しんでいる自分たちの「作品」を、同好者に見てもらいたいという気持ちの発露でもあります。
したがって、維持管理が行き届かなくなり、基準に達せずユニークさに欠けると判断されると、公開リストから外されてしまいます。
日本でも、野鳥の会、盆栽、菊づくりなど、歴史と伝統を誇る文化的なアウトドア活動は数多くあります。茶の湯の野点なども、そうした趣向かも知れません。古民家をカフェ・レストラン・宿泊施設などに改修し、こうした歴史的文化遺産の管理・説明を地元ボランティアが交代で担当することなども、地域資源や人材の再生・掘り起しにつながり、有意義でしょう。
しかし、それぞれの自宅などをいわば「作品」として(日にち・時間・対象者を)限定しながらも開放するという静謐(せいひつ)な試みも、地域再生という観点からももう少し普及してもいいのかもしれません。(専修大学名誉教授)
慶応大の学生10人 土浦・阿見の博物館など巡り 歴史語り継ぐ方法を調査
土浦市立博物館(同市中央)や予科練平和記念館(阿見町廻戸)などを巡り、歴史を語り継ぐ方法を調査しようと、18日から、慶応義塾大学の学生10人が土浦を訪れている。土浦市内に20日まで滞在し、街歩きをしながら史跡を見たり、地元の人にインタビューするなどしてフィールドワークの手法を学ぶ。最終日には同市中央のギャラリー、がばんクリエイティブルームで作業をし、体験したことをまとめる予定だ。
社会学者の清水亮さん企画
訪れたのは同大環境情報学部と総合政策学部の1~3年生10人。土浦や阿見町の戦中・戦後史をまとめた「『軍都』を生きる 霞ケ浦の生活史1919-1968」(岩波書店)=23年3月22日付=の著者である同大専任講師の清水亮さんが教育活動の一環として合宿を企画した。社会学を専門とする清水さんのゼミ生や、フィールドワーク法の授業を受講する学生など、調査手法を学びたい学生たちが参加した。清水さんは学生時代から自身も幾度となく土浦を訪れ、近現代史の調査を続けている(24年8月3日付)。
調査1日目となる18日には、明治、大正、昭和の調剤道具などが展示されている「奥井薬局」や、1929年に飛来した際の写真や資料が展示されている「ツェッペリン伯号記念館」、江戸時代後期の商家を活用した観光拠点「まちかど蔵」などを学生たちが巡って、街中にある小さな展示を見学。手作りの展示に取り組む人々に聞き取りをするなどし、土浦の街全体を博物館に見立てる「フィールドミュージアム」の可能性を探った。
午後には市立博物館を訪れ、歴史や文化を伝える資料を見学した。学生たちは一つ一つに足を止め、メモを取ったり写真撮影をしたりしながら、熱心に見入っていた。見学後は同館学芸員の野田礼子さんに展示の工夫や課題についてインタビューした。2日目となる19日には予科練平和記念館などを訪れ、学芸員の山下裕美子さんや、予科練戦没者の遺書や遺品などの資料を保存・収集する「海原会」の行方滋子さんにも話を聞いた。
災害、地方創生…それぞれの興味から
参加した3年生の福島優希さんは桜川市の出身で、防災教育に関心があり普段は全国各地で調査を行っている。地元の茨城についてもっと深く知りたいと考え、この合宿に参加した。調査で土浦を訪れるのは2回目だ。「土浦は水運の街。今は水害を避けて川辺には住まないことが多いが、土浦の昔の富裕層は川辺に住んでいたのが興味深く、もっと調べたいと思った」と災害の観点から着目し、関心を深めていた。
同じく3年生で静岡県出身の高久快さんは地方創生や地方の経済活性に関心を持っているという。土浦を訪れるのは初めてで「昔の街並みが残りつつ、昔と今とが融合している。『昭和レトロ』な雰囲気がいい」と話す。戦後、軍用地がどのように利用されてきたかに興味を持っており、調べたいという。
1年生の中沢遥花さんは図書館や、サードプレイスと呼ばれる自宅や学校、職場でもない第3の居場所に関心があり、合宿に参加した。「土浦は昔の雰囲気が残っており、歴史を感じられる街」と土浦の印象を語った。
五感で「生きた歴史」見つけて
同大の清水専任講師は「博物館などの展示は、それを作る人の努力と工夫があってできている。リスペクトの気持ちを持ってほしい」と活動の目的を話す。歴史をどのように語り継いでいくか、若い世代の視点で考えてほしいとし、「フィールドワークのノウハウやスキルというよりも、人との出会いを大切にし、そこに生きた歴史があることを学生たちに伝えたい。街中も、風景や地形など実際に歩いて分かることがある。教室での勉強や、書物を紐解いていく勉強とは違い、空間の中で五感を使って体験することを大事にしてほしい」と思いを語り、フィールドワークの楽しさを説く。(田中めぐみ)
◆社会学者の清水亮さんは、29日(日)午後1~3時、土浦市民ギャラリー(同市大和町、アルカス土浦1階)で開かれるトークセッション「ツェッペリン伯号と湖都・土浦を語る」に出演し、小説家の高野史緒さんと対談する。トークイベントに先立って24日(火)~29日(日)、同ギャラリーで「霞月楼所蔵品展」が開かれる。開館時間は午前10時から午後6時(初日は午後1時から開場)。いずれも入場無料。
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「愛」と「生命」を込める 筑波大大学院の姉弟2人展 つくば スタジオ’S
小松原佳織さん(25)と小松原優作さん(23)による二人展「いつものところ」が20日からつくば市二の宮のギャラリー、スタジオ’S(関彰商事つくば本社内)で始まった。2人は静岡県掛川市出身の姉弟で、それぞれ筑波大学芸術専門学群を卒業後、同大大学院に進学し絵画を研究している。佳織さんは「愛」を、優作さんは「生命」を、自然の中に見る光や色と共に作品に描き込む。油絵やアクリル画、手芸品など佳織さんが15点、優作さんが8点の作品を展示する。30日まで。
佳織さんがベージュ色の布製手提げバッグに描くのは、夕日に照らされるように赤やオレンジ、黄色に彩られた雲。部分的に盛り込まれた青や緑が色彩の鮮やかさを引き立てる。バッグの反対面には毛糸で表現した雲を縫い込んだ。「雲は、光の加減で見える色が変わっていく。人が感じる愛、心が動く瞬間を表現したい」と作品への思いを語る。「信仰」という作品では、ある作家の展覧会で見た、大型作品に引き込まれるように集まる観客を、無機質な四角形とそこに漂い集まる雲で表現した。
優作さんが描くのは「生命から感じる喜び、感謝、美しさ」。世界で続く戦争や貧困、差別を意識しながら日々の暮らしで感じる喜怒哀楽に心を寄せる。「生活の中で感じる命の大切さを作品に込めたい」と言う。よく足を運ぶというつくば市内の筑波実験植物園でみた光を描いたのが「植物園」。湿気がこもる温室に夕陽が差し込み、拡散する柔らかい光に包まれる植物に感じた生命の力強さを表現した。その他に、実家の台所で料理する母親の後ろ姿や、故郷に広がる田園風景に目を向ける父親を描いた作品が展示される。両親への感謝を込めたと話す。
姉弟で先に絵を始めたのは、姉の佳織さん。漫画などの絵を書き写すことが好きだったという小学生のときに近所の絵画教室に通い始めた。後を追うように、2歳違いの優作さんも小学1年で同じ教室で絵を始めた。その後は姉の後を追うように、同じ高校、大学、大学院へと進学し、互いに刺激し合いながら絵を探究してきた。
佳織さんは絵を描くことの魅力を「悩んだときや自然を見たときに絵を描くことが多い。気持ちを消化できる。描き始めると、周りの音が聞こえなくなるほど集中する」と言い、優作さんは「描いていく中で、自分が好きなものや嫌いなものがわかっていく。自己理解が進むのが絵の魅力」だと話す。
市内の義務教育学校で非常勤講師として美術を教えたこともある佳織さんは「将来は教員になる予定。子どもたちの吸収力のすごさに驚くし、どうすればよりわかりやすく教えられるか考えるのも楽しい。いろいろな教材を生徒に提供できるよう、布染めや金継ぎなどにも挑戦したい」と言い、優作さんは、「今回の作品には、おがくずを絵の具に混ぜて凹凸を表現したものがある。今後はアクリル絵の具を多く使ったり、千代紙を主体的に使うなど表現方法を広げていきたい。将来は作品を販売していきたい」と意気込みを語る。
壁面に「愛」を貼って
会期中29日まで、鑑賞者が自由に手を加えられる作品制作コーナーをギャラリー内の6メートルほどの壁面に設置する。壁に貼り付けられた無地の大型模造紙に、来場者がそれぞれ「愛」を感じる場面や瞬間を書いた付箋を貼り付けていくと、最後に「何か」が浮かび上がる。「人が人へ持つ愛、感じる愛が私の作品作りの大きなテーマ。皆さんが感じる『愛』を一緒に貼り付けながら、一つの作品として展示を一緒に盛り上げていきたい。ぜひ、参加していただけたら」と佳織さんが呼びかける。(柴田大輔)
◆「小松原佳織・小松原優作 二人展『いつものところ』」は、9月20日(金)から30日(月)、つくば市二の宮1-23-6 関彰商事つくば本社内、スタジオ'Sで開催。開館は午前11時から午後5時まで。29(日)は午前10時から、作家によるギャラリートークが予定されている。入場無料。詳しくはスタジオ'Sのイベントホームページへ。
私を信頼し、私と話せ《電動車いすから見た景色》58
【コラム・川端舞】時々、一本電話をかけるだけで疲弊することがある。それは、電話の相手が私の言葉を聞き取れなかった時ではなく、私の言葉を聞こうとしなかった時だ。
私が初めての場所に電話する時は、相手が言語障害の人とのコミュニケーションに慣れていない場合を考え、事前にできるだけ話したい内容を紙に書いておく。そして、もし相手が私の言葉を聞き取れなかったら、どのタイミングで通訳を入れてもらうかを、そばにいる介助者と打ち合わせてから電話をかける。
私が電話をかけると、たいてい相手は一瞬、沈黙する。困った表情を浮かべているのが、電話口からもよく分かる。その反応には慣れているので、私の言ったことを介助者に通訳してもらう。多くの場合は、介助者の通訳を入れることで、私と相手の会話が成立する。これが私なりの電話をかける方法だ。
しかし、時々、この方法が通用しない時がある。電話の相手が、私にではなく、介助者に話しかけてしまうのだ。そんな時は、電話のスピーカーで介助者も一緒に聞いているから、私に直接話してもらえばいいことを説明するのだが、ごくたまに、「では、ご本人ではなく、介助者に電話を代わってください」と言われてしまうことがある。
私が話したいことがあるから電話をかけているのに、介助者と話してどうするのだろう。私の言いたいことを介助者が全部把握している訳でもないのに。私を信頼してもらえていないようで、すごく悔しい。
障害者の生きた経験をなめるな
初めて私と話す人に、私の言葉を全て聞き取れとは言わない。ただ、私が「話したい」と言っているのだから、まずは私と話せ。あなたは言語障害のある人と初めて話すのかもしれないが、私は30年以上、言語障害と付き合っていて、どのタイミングで介助者の通訳を入れるのが効果的なのかも、あなたより熟知している。この社会の大半の人間は、言語障害のある者と話すのに慣れていないことも、私は嫌というほど知っている。
だから、介助者が隣にいる時に、あなたに電話をかけるのだ。言語障害のある者と話すことに慣れていて、聞き取れなかったら聞き返してくれると見込んだ相手に電話をかける時は、介助者と打ち合わせてから電話をかけるなどという、面倒なことはしない。
私は、自分に言語障害があることも、その時々でどのコミュニケーション方法が自分に一番合っているのかも、この社会で一番よく知っている。その上で、あなたに電話をかけているのだ。障害者をもっと信頼してほしい。(障害当事者)
霞ケ浦湖畔で音楽フェス 5年ぶり野外開催
21、22日 土浦
土浦で最大規模の野外音楽フェスティバル「霞ケ浦KOHANロック2024」(同実行委員会主催)が、21、22日、土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園で開催される。コロナ禍で21年は開催中止、20年と22、23年は市内のライブハウスなど屋内で開催した。野外開催としては5年ぶりとなる。
ロックやジャズ、フォークなど多彩なジャンルのプロやアマチュア32組が出演し、2日間、湖畔の芝生広場で音楽を奏でる。入場無料。
21日は日本の伝統的な民俗音楽である民謡を世界の音楽でアレンジして演奏する「民謡クルセイダーズ」、22日は俳優でトロンボーン奏者としても活躍する浜野謙太を中心としたファンクバンド「在日ファンク」が出演するなど、ビッグなアーティストも出演する。
第9回となる今年のスローガンは「土着」と「反骨」。日本人のDNAにある民族的なもの、ロックの持つ反発するエネルギーを言葉にした。
同公園内にある入浴施設「霞浦の湯」近くの芝生広場を「グランドレインボウステージ」とし、人工砂浜がある水辺広場を「水際熱風ステージ」として二つのステージを設置する。そのほか郷土芸能などを披露するアートパフォーマンスエリア、飲食村エリア、マルシェエリアも充実し、音楽以外でも楽しめるようにする。
入場無料にこだわる
地元の観光資源である霞ケ浦を全国の人に知ってもらいたいと、10年前の2015年、つくば市在住の会社員、山田径子さんが音楽フェスを始めた。山田さんは20年以上にわたり湖畔で開催されてきた親子向けイベントに参加、広々とした湖畔の緑地で野外ライブを開いたら、たくさんの人に来てもらえて、かつての臭くて近寄りがたい霞ケ浦のイメージを払拭でき、霞ケ浦に目を向けてもらえるのではないかと考えていたという。当初は市内のライブハウスが会場だったが、湖畔での開催が実現し、19年は50組が出演し約1000人が来場するなど最大規模となった。
老若男女誰もが湖畔の素晴らしい環境を楽しんでほしいと、入場無料にこだわる。開催資金調達のため、クラウドファンディングも活用、オリジナルTシャツや缶バッチの販売にも力を入れる。
主催者の山田径子さんは「一般的な野外フェスは入場料が高く、子供連れなどでは行けない。このフェスはペットも連れて聞きに行ける。Tシャツなどのグッズを買った人は優先的に前の方で見られる仕組みをつくっている」と話し「初めて来る人も常連の人も、湖畔の環境の中で素晴らしい音楽を楽しんでもらえればうれしい」と来場を呼び掛ける。(榎田智司)
◆雨天決行。当日のプログラムなど詳しくはこちら。
茗溪学園中2年 石井美空さん 国内最高峰のジュニアテニス大会で3位に
地元土浦市長に報告
国内最高峰のジュニアテニス大会「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2024」の14歳以下女子ダブルスで、土浦市に住む茗溪学園中学2年の石井美空さんが3位となり、18日、地元の土浦市役所を訪れ、安藤真理子市長を表敬訪問した。
大会は8月26日から9月6日まで都内の有明テニスの森公園テニスコ-トで催された。石井さんは同じ中学2年でつくば市に住む色川渚月さんとペアを組み、順調に勝ち進み3位となった。7月に開かれた第98回関東ジュニアテニス選手権は優勝している。
石井さんは土浦小学校から茗渓学園に進み、土浦市内のテニススクール「ABCテニスアカデミー」でテニスを学んでいる。
表敬訪問には石井さんと母親の和香さん、市からは安藤市長、小林勉副市長、入野浩美教育長が出席し和やかに話が進んだ。
石井さんは「レベルの高い大会で大変だった。負けた時は悔しかったが、楽しく終わることができた」とあいさつ。安藤市長は「おめでとうございます。こんなに華奢(きゃしゃ)な娘さんが快挙を成し遂げたことは驚き。今後オリンピックで活躍する日も来るかも知れないとわくわくしている」と健闘をたたえた。
ペアを組んだ色川さんとは時間を合わせる余裕もなく、ほとんど一緒に練習をしないで成し遂げた快挙だということで、出席者全員が驚いていた。母親の和香さんから、2年前、入野教育長から絵画の表彰を受けたという話題も出た。(榎田智司)
