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2023
ハウスメーカーよりも低い原発の耐震基準 《邑から日本を見る》136
2023年5月22日
【コラム・先﨑千尋】「被告は大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。ひとたび深刻な事故が起きれば、多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、…安全性と高度の信頼性が求められて然るべき」 2014年5月の福井地裁大飯原発運転差止め訴訟の判決の冒頭の文だ。判決文を書いた樋口英明さんは、その後積極的に講演に歩いている。また、「原発を止めた裁判長-そして原発を止める農家たち」という映画にもなり、昨年9月から公開されている。 「三井ホームは5115ガル、住友林業は3406ガル。それに対して原発は620から1209ガル。原発の耐震基準は一般住宅よりも低い。とてつもなく危ない」。これでは、怖くて原発を動かせないではないか。私は5月13日に東京で開かれた「脱原発をめざす首長会議」の総会に合わせて開かれた講演会で樋口さんの話を聞いて、背筋が寒くなった。 樋口さんが原発の再稼働を止めるべきだとしている根拠の最も大事なことは、日本は地震大国であるのに原発の耐震性が極めて低いことだという。東京電力福島第1原発事故の時の震度は6強、800ガルだった。ガルは原発の耐震設計基準(基準地震動)に用いられる単位であり、地震観測でも震度以上に重要な単位とされている。 樋口さんの集めたデータでは、2000年以降でも1000ガル以上の地震は17回起きており、被害が大きかった熊本地震は1740ガルだった。私たちの近くにある東海第2原発は現在1009ガルに設定されている。 「原発は自国に向けられた核兵器」 樋口さんはさらに、日本の原発は岩盤の上に建っているから安全だという原発推進派の主張に真っ向から反論する。東海第2もそうだが、日本の原発の半分は岩盤の上に建っていない。さらに、岩盤上の揺れが地表上の揺れよりも大きい場合があった、と指摘する。 「地震は、観測も実験もできない。資料もない。要するに、地震のことは専門家にも分からないのだ。それなのに、原発の敷地に限っては強い地震は来ないというのが原発推進派の言い分だ。この主張を認めるかどうかが原発差止め訴訟の本質だ」。 「老朽原発は、老朽家電でも老朽自動車でもない。老朽大型飛行機に似て、コントロール不能になってしまう。想定外の事故が想定できる。日本には、青森県六ヶ所村の核燃料サイクルが破綻していることで分かるように、高い技術力も能力もない。原発は自国に向けられた核兵器だ」。 樋口さんの語りは、ゆっくりで淡々、理路整然としている。パワーポイントで示されるので分かりやすい。 最後に、「無知は罪、無口はもっと罪」という言葉を引いて、私たちに「原発の本当の危険性を知ってしまった以上、それを多くの人に伝えるのが自分の責任だ。私の話を聞き、本を読んだ人も、自ら考え、自分ができることを実行してほしい」と静かに話した。私の心に響いてきた。(元瓜連町長) <追記> 樋口英明『私が原発を止めた理由』(旬報社)も参考にした。
新設校の残土で廃校に造成 旧筑波東中にBMXコース現る
2023年5月21日
2018年に廃校になった筑波山麓にある、つくば市北条、旧筑波東中学校校庭に、計約6000立方メートルの土砂が運び込まれ、起伏のあるコースを走って順位を競う自転車競技の一つ、BMX(バイシクルモトクロス)コースが姿を現した。今年4月、つくばエクスプレス(TX)研究学園駅近くの同市研究学園に開校した市立研究学園小中学校の建設工事で発生した残土を搬入し造成した。 BMXコースは、自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」に近くに位置する廃校を、自転車と筑波山地域ジオパークの拠点にしようと、同市が今年秋のオープンを目指して整備している施設の一つ(21年6月25日付、22年7月6日付)。研究学園小中学校建設時に校庭の地下に雨水の貯留浸透施設を埋めたことから発生した多量の残土を再利用した。同量の残土を購入すると概算で約1530万円かかるという。 同市サイクルコミュニティ推進室によると、お目見えしたBMXコースは上級者用で、全長約380メートル、スタート台の築山は高さ5メートル超、きついカーブを描く3つのコーナーと約40カ所のでこぼこがあり、起伏の高低差は最大で1.8メートル。コースの表面は、グラウンドなどの舗装材として利用される石灰ダストで舗装され、コーナーはアスファルトで舗装されている。 人気漫画「弱虫ペダル」の作者、渡辺航さんが監督を務める自転車チーム「弱虫ペダルサイクリングチーム」(本拠地つくば市)の運営会社がコースを設計し工事を監修した。起伏の勾配や高低差は危険がないよう、プロのBMXライダーが1カ所1カ所点検しながらつくり、今年3月末に完成した。 今後さらに初心者や子供向けの初級者用コースを、上級者用の隣に造成する。オープン後の管理運営は2023年度は市直営で実施する。来年度以降どうするかは現在、検討中という。 「筑波山ゲートパーク」に 自転車とジオパーク拠点が整備される旧筑波東中は、昨年11月から今年1月まで、施設全体の名称の公募が実施され「筑波山ゲートパーク」と名付けられた。筑波山の魅力を発見するゲート(入り口)となることが期待されている。 校舎は、東側1、2階に自転車を修理・点検するスペースや、ロッカー・シャワー室などが整備される。西側の1、2階はジオパーク中核拠点施設として展示スペース、ライブスタジオ、実験スペースなどが整備される。 昨年開かれた地元説明会で、五十嵐立青市長は「ジオパーク事業は有意義なものなのだけれど、集客という意味では難しい。自転車の事業とマッチングすることにより相乗効果を生んで活性化を図りたい」と語っている。 地元にある写真館のカメラマンで、フェイスブックのグループ「筑波地区廃校後の利用について考える」をつくり、地元の意見を引き出す活動をしてきた矢島祐介さん(42)は「出来上がった後の運用が大事。施設が外の人にも使いやすいものなっていくよう期待したい。地域と、新しい施設が一緒に出来るイベントがあったら良い。この施設がきっかけとなって、地元にも自転車に乗る文化が出来たら」と話している。(榎田智司)
東北花火紀行2023春/大曲~陸前高田 《見上げてごらん!》14
2023年5月21日
【コラム・小泉裕司】 大曲の花火~春の章~4.29 大会プログラムの一つ、45歳以下20人の花火師による「新作花火コレクション」に出品した山﨑煙火製造所(つくば市)の佐々木恵(けい)さんは、10号玉芯入割物の部で見事初優勝(大会結果)。作品名は「昇曲導付三重芯菊先銀点滅」(筆者撮影)。 筒から打ち出された花火は、「曲」と呼ばれる小さな花を開きながら上昇し、最高点で星が尾を引きながら4つの同心円(外側の円は芯に数えない)を描く菊型花火。消え際に銀色の煌(きら)めきを発する。 山﨑煙火は、昨年の土浦10号玉の部「五重芯銀点滅」で優勝、本年、創業120周年の節目を迎える老舗中の老舗。今や名実ともに不動の地位を確立した現会長の山﨑芳男氏の十八番(おはこ)は、脈々と弟子達に受け継がれ、「多重芯の山﨑」「銀点滅の山﨑」と言われるほど。 その完成度の高さ・安定度では、国内、野村花火工業(水戸市)と双璧をなす。本日、11月4日に土浦全国花火競技大会開催決定との報。茨城勢は今シーズンも盤石の予感。 陸前高田~三陸花火大会~4.30 「春の三陸 奇跡と軌跡」。大会翌日の某全国紙は、「奇跡の一本松」のモニュメントと彩り豊かな花火を重ねた写真を掲載し、再生が進んだ花火会場周辺をこう表した。 2014年、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市を訪れた。近くの山を切り崩した岩や土を被災地域に運ぶベルトコンベアが、はるか高いところを石油パイプラインのように縦横に走る光景に圧倒された。 あれから9年、広大でフラットな海岸沿いは、大きな復興工事が終了し、津波被害を伝える「津波伝承館」や新商店街が整備されるなど、変容した高台からの眺めは、感慨深く、想念を巡らした。 2012年3月、土浦市立真鍋小学校、土浦第二中学校の児童・生徒はじめ40人近くが陸前高田市を訪れ、桜の植樹に参加し、地元住民と交流。真鍋の桜保存会は、県の天然記念物「真鍋の桜」のクローン苗1株を寄贈した。当時の桜は、2年後の2014年に根付いたのを、そして今回、緑の葉が幾重にも生い茂り、順調に育っているのを確認し、ほっとした次第。 大手食品スーパーのカスミ(つくば市)は、小浜裕正前会長のご縁をきっかけに、2011年から復興支援カレンダー「明日暦(あしたごよみ)」による募金活動をスタート。翌年からは、地域を越えた交流活動「陸前高田七夕まつり体験学習」など、陸前高田の復興支援に取り組んできた。 筆者は、暦を初編から複数部入手。職場の壁面に掲示し、月ごと、地元の皆さんの笑顔とメッセージコピーから届く逆エールに励まされたことを思い出す。 「三陸花火」は、こうした被災地支援活動の一つとして、2020年10月から始まった。土浦と大曲両大会で内閣総理大臣賞を受賞した㈱マルゴー(山梨県)が打ち上げを担当。年2回春・秋に開催。今回もコズミック(宇宙)系といわれる得意の時差式花火(筆者撮影)満載のプログラム。 次回は、今年の10月8日、「大曲の花火~秋の章~」の翌日に開催予定。東北花火紀行は、秋の編に続く。 「雨雲が近づいているようです」。大曲の会場入口で遭遇した花火鑑賞士仲間の情報は、冷雨で体の芯まで凍えながら見た1年前を想起。昨年、実行委員会本部長が参拝し、無事終了した土浦の実績(昨年11月20日掲載コラム)を踏まえ、天気の神様「気象神社」(東京高円寺)のお守りを持参したのだが、不用意にもホテルに忘れたことを後悔した。 結果は、風向きによる多少の煙待ちはあったにせよ、打ち止めのアナウンスまで、8000発の打ち上げをコンプリート。「天気よければ、すべて良し」。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
人のせいにすると言う生き方《続・気軽にSOS》133
2023年5月20日
【コラム・浅井和幸】私たちは、出来事や物の一つ一つに対して「良い」「悪い」とラベル張りをする癖があります。そして、「悪い」ものがあるから悪いことが起こると勘違いして生きています。 例えば、塩や油は「悪い」、ゴマや発酵食品は「良い」と決めつけて生活しています。そして、それら「悪い」物を食べたら不健康になり、「良い」物を食べたら健康になると思い込んで生きている。 ここまで読めば、食べ物と健康の良し悪しは、そう単純ではないと考えられる人がほとんどではないかと思います。それでも振り返ると、誰もが(と言ってよいでしょう)、このように決めつけて過ごしていることに気づくでしょう。 なので、「人に優しくすることは良いことですよね?」「直観に頼ることは良いことですよね?」とか、「ゲームは良くないですよね?」とかと質問されても、「良いこともあるし悪いこともある。目的と程度問題と思いますよ」と答える浅井は、「優柔不断で、つまんない奴」と思われがちなのです。 特に人は、自分が認められていない、褒められていない状況が続くと、不安が大きくなり、「あなたは悪くない」と言ってくれる人を探し、確認を繰り返します。その段階では、現実問題の改善ではなく、心理的な落ち着きのためにカウンセラーや周りの人の共感が必要なのは事実です。 共感と同感は別物で、同感や是認を繰り返しすぎると、強迫性障害などへの悪影響がありますが、それはまた別の話です。 「悪いのは自分でなく社会の方だ」 不安が大きくなると、「自分は何も悪くない。悪いのは社会の方だ。自分を生んだ親が悪いのだ。日本が間違っている」と、今の不安や辛さは何か「悪い」ことがあるからで、原因を探す日々を過ごします。とても辛いことです。 もちろん、社会や日本が変わるまで、じっと何十年も待つという方法もあるでしょう。しかし、それら「悪い」ものにアプローチすることや、自分の目的に向かう自分自身の言動や受け止め方へのアプローチも一つの方法です。 物事の良し悪しは、程度問題と目的に合った手段を取れるか取れないかです。傘をさすこと自体は、良い事でも悪い事でもありません。ですが、雨をよけるには有効な手段ですし、人や物が密集しているところで傘をさしたら邪魔になるかもしれません。 雨が降って濡れることが嫌である場合、なんでこの地球には雲が発生するんだ、雨がすべて悪いと考え続けて苦しむか、傘をさすか、着替えるか、予定を変更するかなど、自分が対応して未来を変える方法を探ることもできます。 自分の目的を達成するために、自分が動くことで未来が変わったことを実感できる―。それで、生きている喜びにつながり、不安がなくなるという状況に毎日の生活が変化することに気づく人が増えるよう願っています。(精神保健福祉士)
つくばはじめ愛好家22軒参加 緑をつなぐオープンガーデン
2023年5月19日
バラやチドリソウの花々が見頃を迎える5月、ガーデニング愛好家が自宅の庭を公開するチャリティーイベント「つくばオープンガーデン2023」が20日と21日に開かれる。今年で22回目を迎えるイベントには、つくば市の11軒をはじめ、土浦、牛久、つくばみらい、常総、美浦など8市町村から22軒が参加する。期間中に集められた協力金や、苗や手作り品の売り上げは、例年通り、福島震災復興義援金として寄付する。 「立体的な庭になるよう工夫しました」と話すのは、つくば市春日の田澤貴子さん(58)。小ぶりで赤い「紅玉」というバラで作ったアーチが心地よい日陰を庭に作っている。隣に咲くベルフィニュームの鮮やかな青色も庭のアクセント。田澤さんがイベントに参加するのは今年が初めて。昨年、公開された園庭を訪ねた際に、主催者から声かけられたのがきっかけになった。一年前から丁寧に手を入れて準備を進めてきた。「優しい庭にしたいと思って手を入れてきました。見ていただけることで私自身の励みにもなります。皆さんに楽しんでいただければ嬉しいです」と明るく話す。 つくば市作谷の木村久美さん(65)も、初めてイベントに参加する。大谷石であしらった手製の花壇には白やピンクのバラ、赤く色づくハマナスの花などが、入り口付近にはカルフォルニアポピーやアグロステンマが鮮やかに咲き誇っている。「この地域は自然が豊かで静かなところ。庭も自然の景観を意識しました。風を感じたり、鳥の声を聞いたりしながら皆さんと交流できれば」と来場を呼びかける。 オープンガーデンの起源は20世紀初頭のイギリスで、看護師の育成と引退後の生活支援への寄付を募ったのが始まりだとされている。つくばでは2002年に、同市松代の田中公子さんがバラ好きの仲間らと3人で始めた。年々、愛好家の輪が広がり、来場者は昨年1000人を超えるまでになった。 つくば版「イエローブック」も作成 昨年からは「より多くの人にも楽しんでもらいたい」と田中さんの息子さんたちが中心になり事務局を開設、ウェブ制作など普段の仕事を生かし、メディア対応やSNSでの告知などを通じて活動をバックアップしている。 「20年間、活動を間近で見てきた」という長男の田中裕之さん(32)は「ガーデニング愛好家のみなさんは、素敵な空間で過ごしたいという気持ちで、個人で頑張っていた。それを公開してみると、共通の趣味を持つ人同士の出会いが生まれた」と言い、「庭園の愛好家同士が繋がる楽しさと、チャリティーとしての社会貢献。市民の中に気持ちのいい循環が生まれているんだと思います」と話す。 今年は、活動を後押しする試みとして、本場イギリスで発行されているオープンガーデンに参加する園庭の場所と公開日時を記した「イエローブック」のつくば版を作成した。「初めての試みですが、黄色い本を持っていたら『今年もオープンガーデンの季節だな』って思ってもらえたら素敵ですよね」と、今後の広がりに期待を込める。 「これまでに庭づくりを楽しんできたシニア層だけでなく、ガーデニングを始めたばかりの方やこれから始めようと思っている方には、是非、気軽に話を聞きにきていただければと思います。みなさん庭が好きなので、『それはこうやるといいですよ』など、いろいろアドバイスもあると思います。ガーデニングに関心を持つきっかけしていただければうれしい」 参加する園庭には、外からわかるところに大きい黄色いリボンが設置され、目印になっている。訪ねたイエローブックは一冊500円。当日、田中邸か篠原邸で購入できる。インスタグラムやTwitterのメッセージから取り置きの予約も可能。 20日には、つくば市松代の松代公園内と篠原昭子さんの庭で、ガーデンマーケット「ハンドメードと蚤の市」を開催し、篠原さんら作家による手製のカゴや小物、アクセサリーなどを販売する。売り上げの一部はチャリティーに寄付する。(柴田大輔) ◆時間、場所、予約方法などはつくばオープンガーデン2023のホームページへ。
友よ、一緒に社会を変えていこう 《電動車いすから見た景色》42
2023年5月19日
【コラム・川端舞】前回のコラムで書いたように、先日、故郷の群馬で開催されたプレゼンテーション大会で、重度身体障害がありながら、障害のない同級生と同じ学校に通った経験を話した。「ぜひ群馬で川端の経験を話してほしい」と、その大会に私を推薦してくれたのは高校時代の友人。友人は、生まれたときに割り当てられた性別は女性だが、今は男性として生きているトランスジェンダー当事者だ。 多くの建物の入り口には段差があり、車いすで入れない。言語障害のある者が話すと、多くの人は困った顔をし、本人と直接話すことを諦める。今の社会は障害者にとって生きづらい。しかし、それは障害者が悪いわけではなく、障害者の存在を前提につくられていない社会の問題だ。この考え方を「障害の社会モデル」と言い、国連の障害者権利条約もこの考え方を取り入れている。 一方、友人と話すうちに、就職面接など、人生において重要な場面ほど、性別を聞かれ、制服やトイレなど、あらゆるものが男女別に分けられる社会はトランスジェンダーにとっても過ごしづらい環境なのだと気づいた。それはトランスジェンダーが悪いわけではなく、トランスジェンダーがいることを前提に社会がつくられていないのが問題だ。 もちろん、男女別の制服や施設が心地よい人もいるだろう。その人たちの意見は決して否定しない。だから、トランスジェンダー当事者にとって、心地よい制服や施設のあり方はどのようなものかも直接聞いてほしい。それぞれが心地よくいられる、全く新しい制服や施設のあり方が見つかるかもしれない。そうすることで、多様な人が過ごしやすい社会に変えていける。 高校3年分の絆 1年ほど前から、頻繁に友人と連絡を取るようになり、互いの子ども時代のことも聞き合った。その過程で、「障害者もトランスジェンダーも生きづらいのは社会の問題である」という共通認識を持て、いつしか「一緒に社会を変えていこう」と話すようになった。全く初対面の障害者とトランスジェンダーが、ここまで仲間意識を持つのは難しいかもしれない。 しかし、友人と私は、高校3年分の楽しかったこともしんどかったことも共有できる。改めて、多様な背景を持つ子どもたちが同じ教室で育つ大切さを、彼との関係から学んでいる。互いの周囲にも影響を与えながら、ともに暮らしやすい社会に変えていこう。(障害当事者)
魔女のフェスタ、石岡へ里帰り 「岩戸開き」テーマに27日
2023年5月18日
つくば市国松の旧筑波小学校跡で開かれていた「魔女のフェスタ」が27日の第6回開催で、発祥の地、石岡市柴内の朝日里山学校に里帰りする。主催するいしざき緑子(魔女の学校主宰者)さんによれば、今回は「魔女の岩戸開き」がテーマで、心を閉ざした人々に、多くの人との関わり持ってもらいたいとの願いをこめたという。 魔女のフェスタは「魔女の学校」(2021年2月17日付)の生徒たちを中心に、小学校跡の教室にタロット、工芸品、占い、オーガニックなどの模擬店を設け、校庭にキッチンカーやテントの飲食ブースを展開するマルシェ。子供からお年寄りまでの一般参加者が加わり、ダンス、手作り太鼓のワークショップなどでにぎわい、近県からも広く参加者を集めるようになった。 今回は特別に「岩戸開き」のイベントが加わる。天の岩戸の神話は、弟スサノオの乱行に嘆き悲しんだアマテラスが岩屋の奥にひきこもってしまい、世は闇夜に包まれた。困った八百万(やおよろすの)神は岩戸の周囲に集い、大騒ぎし、女神アマノウズメが髪を振り乱しおどけて踊りだすと、アマテラスが「何事か」と岩戸を開き、覗き見たことにちなむ、再生の物語だ。 アマテラス、スサノオの両親であるイザナギ、イザナミこそは男女二柱の祖神を祀(まつ)る筑波山の神。こうした縁起にちなみ、今回は歌舞音曲の企画を充実させた。ミュージシャンの奈良大介は「魔女音頭」を披露するという。 いしざきさんは山麓地区のつくば市国松に2020年から住み始め、地元の人との交流の中で筑波山への信仰がいかに地域に溶け込んでいるかを知っていく中で、今回のテーマに至ったそう。「豊かさとは、お金、地位、名誉だと思っていた人が、心が邪魔になり、心を閉ざして生きるようになってきた。立場主義を否定することによって、心を開いていける、そのことが人とつながる。楽しにあふれているので是非とも仮装して遊びに来て欲しい」と語る。 「魔女のフェスタ」は2019年4月開催の1回目の会場が朝日里山学校だった。2004年に廃校した元石岡市立朝日小の跡地利用により、里山体験ができる田舎体験施設としてさまざまなイベントが行われている。土浦市小野の朝日トンネルを抜けて数百メートルの場所にある。 第2回から第5回を開いた旧筑波小跡は今年、インターナショナルスクールの開設が決まった(3月3日付)ことから、今回の里帰りになった。朝日里山学校は平屋で全体のスペースが小さくなり、出店者数は前回の100から70に縮小される。いしざきさんは「旧筑波小跡は駐車場確保が大変だったが、今回は200台完備されており、楽になった」という。(榎田智司)
雑草の美学 デザイナーとしての牧野富太郎 《くずかごの唄》127
2023年5月18日
【コラム・奥井登美子】手元にある「薬用植物大事典」をぱらぱらと開けてみる。シとセの所だけでも、シャリンバイ、オオショーガ、ベニショーガ、センキュー、センダン…などの植物名の後ろに、MAKINOとある。皆、牧野富太郎先生が命名した薬用植物たちである。 植物名の判定は、国際的にも、学問的にも、いろいろな判定基準があって難しい。先生が最初に植物学の知識を学んだのは明治13年(1880)。「本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)」(1803 - 1805年刊、小野蘭山著)という薬用植物の本であったらしい。 牧野冨太郎が大事典を発刊するまで、日本には植物図鑑に相当するような本がなかった。明治時代は、この本が植物名の検索に欠かせないものだったのであろう。 私の学生時代、牧野先生の家に行ったとき、どこが玄関か入口なのかわからないくらい、雑草と雑木が生い茂っていて、どこから入って行けばいいのか困ってしまった。 「雑草と言ってはいけません」。先生にとって、雑草こそが大事な大事な「恋人」の一部だったのだ。 野の草は無駄を一切排除している 私もささやかな家庭菜園をつくって、昆虫の観察と、野菜らしくない野菜の栽培を楽しんでいる。小さな畑ながら、目的もの以外は抜くしかない。 「ごめんね。抜くしかないけれど、あなたヒメジオン? ハルジオン? どちらなの? 花びらの幅が広いのと狭いのと、どちらがお姫様だったっけ?」 抜きながらお姫様に語りかけて、形を鑑賞する。小さな花なのに、花粉の形や花びらの位置が完璧なまでに見事に完成している。 雑草と呼ばれている野の草は、どの草も子孫を残して生き延びるための知恵として、無駄なものを一切排除しているから美しいのだ。 野の草の美学。牧野富太郎先生は草のデザイナーとしてすごい才能を持っていたと思う。牧野植物図鑑に描かれた絵の緻密で無駄のない美しさは、雑草の美学なのだ。(随筆家、薬剤師)
「軍拡より生活を」女性ら30人が呼び掛け 20日つくばで設立集会
2023年5月17日
岸田政権の軍拡の動きに危機感を持ったつくば、土浦市など県内約30人の女性らが、「軍拡より生活 いのちを守ろう」と呼び掛け、20日つくば市内で「軍拡NO! 女たちの会・茨城」の設立集会を開催する。 法政大学前総長の田中優子さん、東京大学名誉教授の上野千鶴子さんらが今年1月、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」を結成。2月に都内で「軍事費GDP2%を撤回し、女性や子ども、若者や社会的弱者の目線に立った政策を進める」などを求める声明を出し、7万5000人の署名を添えて与野党などに要求した。併せて日本各地に女たちの会を設立するよう呼び掛けた。 新聞報道などで動きを知ったつくば市の長田満江筑波学院大学名誉教授(87)が友人らに声を掛け、3月に約10人の女性らで準備会をつくった。計7回の打ち合わせを重ね、設立する。大阪、鹿児島、北海道などでもすでに「女たちの会」が結成されているという。 長田さんは「女たちは、物価が上がって生活をどうするかや、子どもたちが戦争に巻き込まれてしまうのではないかと心配しビビットに反応している。今こそ生命を育み生活を守る女性目線の政治が必要。女たちの会をつくって広げていきたい」と話し、呼び掛け人の一人で土浦市の彫刻家、小張佐恵子さん(70)は「先の戦争では女性たちに投票権がなかった。今は投票権がある。前のような戦前にしないために女性たちが発言しなくてはいけないと思う」と述べ参加を呼び掛ける。 設立集会では「女たちの会・茨城」の決意表明を発表するほか、反貧困ネットワーク世話人で作家の雨宮処凛さんが「コロナ禍、困窮者支援の現場から『軍拡より生活』の重要性について語る」をテーマに講演などする、 今後は「県内各地で勉強会などを開いて、呼び掛け人らが中心となり、各市町村などで女たちの会をつくっていければ」と長田さんはいう。(鈴木宏子) ◆「軍拡NO! 女たちの会・茨城」設立集会 20日(土)午後1時30分~4時、バーク(BARK)スタジオ(つくば市天久保1-7-18)。三上智恵監督による映画「沖縄、再び戦場(いくさば)へ」のスピンオフ作品も上映する。参加費500円。定員70人。zoomでも配信する。参加申し込み・問い合わせは電話090-7845-6599(長田さん)、メールosada3220@nifty.com(同)。ホームページ(HP)はいのちを守ろうHPへ。
子守唄が国境を超える日《映画探偵団》64
2023年5月17日
【コラム・冠木新市】「歌は国境を超える」とは分かっているつもりだったが、7月1日に開催する『第1回 世界のつくばで子守唄/海のシルクロード・ツアー 2023』の準備を進めるなかで、改めて再認識させられた。 ミャンマーの歌い手は、戦後2度ヒットした『この歌が終わる前に』が今回の企画まではミャンマーの歌だと信じていた。中国の歌い手は、大ヒットした『祈り』は中国の歌だと思っていたが、実は1970年代に台湾のTVドラマ『愛の旋風』の主題歌が海を渡り広がったものだと教えてくれた。 ところが、この2つの元歌は、なんと日本の『竹田の子守唄』なのである。日本では差別を意味する歌としてあまり歌われなくなったが、歌詞や意味が変わり、他国で歌われている。しかも、自国の歌のように。 『サウンド・オブ・ミュ一ジック』 昔、学校の映画鑑賞会で米国映画『サウンド・オブ・ミュ一ジック』(1965)を劇場に見に行った。3時間近い作品を夢中になった記憶がある。鑑賞会後の同級生の熱狂ぶりはすさまじかった。何度も劇場に通ったり、レコードを購入し、ジュリ一・アンドリュースの歌を披露していた姿を覚えている。 私が気になったのは、ミュ一ジックナンバーよりも、トラップ一家がナチス・ドイツから逃れ、山を越えスイスに向かうラストシーンであった。トラップ一家はその後どうなったのかが気になった。当時は情報も少なく、ブロードウェイの舞台を映画化したものとしか分からなかった。 何十年も過ぎ、ビデオ店で西独映画『菩提樹』(1956)を見つけ納得がいく。原作は、オ一ストリア・ザルツブルクのマリア・フォン・トラップの自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』(1949)を映画化したものである。第1作公開の2年後に製作された『続・菩提樹』(1958)では、米国に渡ったトラップ一家の経済的苦労やシヨ一ビジネス界との葛藤が描かれていた。『サウンド・オブ・ミュ一ジック』は、この作品の前篇のリメイクだった。 空前の大ヒットになったのに、この映画の続篇が作られなかったのが謎だった。しかし『続・菩提樹』を見て理解できた。オ一ストリア篇の華やかな世界に比較すると、米国篇は世帯じみたお話になって地味だからだ。今にして思えば、『サウンド・オブ・ミュ一ジック』は、裕福なトラップ一家が難民になる話を描いていたわけである。 『世界のつくばで子守唄』 5月13日、『世界のつくばで子守唄』実行委員会を開いた。バングラデシュ、インドネシア、中国の歌い手も参加して、次々にアイデアが出る。今回の目的は「子守唄で世界の人々との交流する場をつくる」ことにある。コンサートに向けて実行委員と歌い手、さらに参加者との交流を大事にしている。 同じ日と14日、『つくばフェスティバル』がセンター広場で開かれていた。初日は雨、翌日は曇り~晴れとなった。『世界のつくばで子守歌』に出演する歌い手が出店したり、ステージに関係していた。故郷の食べ物を懸命に作って売り、昔と今の民族音楽や舞踊を披露する姿を見て、『サウンド・オブ・ミュ一ジック』の続篇に近い世界がつくばにあると思った。 「歌が国境を超える」のではなく、「人が国境を超え、歌を伝える」のだ。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)
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