日曜日, 4月 5, 2026

建設工事費1.5倍の41億円 つくば市が陸上競技場基本計画案を策定

つくば市は22日、同市上郷、旧上郷高校跡地(約7ヘクタール)に計画している陸上競技場整備事業の基本計画を発表した。概算の建設工事費は校舎解体費も含め計約41億4100万円で、2021年4月策定の基本構想の工事費27億3600万円と比べ1.5倍にふくらむ。年間維持管理費は基本構想が8000万円だったのに対し1.1倍の8850万円。市議会12月定例会閉会後に開かれた全員協議会で報告した。 わずか2年半で工事費が1.5倍になる理由について市スポーツ施設課は、資材費の高騰のほか、バックスタンドに屋根を付けるためなどとしている。基本構想については、市大規模事業評価委員会が事業費も含めて検証し、22年3月に「概ね妥当」との答申を出している。 今後のスケジュールは、パブリックコメントと説明会を実施して23年度末までに基本計画を策定し、24年度に基本設計と実施設計に着手、25年度に現在の校舎や体育館などをすべて解体し、26、27年度に建設工事を実施、27年度末に完成予定という。 メーンスタンドを縮小 21年策定の基本構想と比べ基本計画は、メーンスタンドの規模を縮小し観客席を1500席から600席にする。一方、バックスタンドに300席の屋根付き観客席を新たに設置する。芝生スタンドなどを含めた施設全体の観客席は、基本構想は4000席だったが、基本計画は2900席に減らす。市は、利用を想定している小中学校などから意見を聞き、経費を抑えたと説明する。 ほかに基本構想では付帯施設として、会議室や研修室などがあるセミナーハウスを建設し、地域交流や物販、避難所や備蓄倉庫などとして利用する計画だったが、セミナーハウスは建設せず、代わりにメーンスタンド脇に分棟として地域の交流拠点や多目的集会所を新設する。さらに付帯の多目的広場には屋根付きの80メートル雨天走路を5レーン設置する。 上郷高校の新体育館は、基本構想では解体せず残して活用する計画だったが、高校の施設はすべて解体し、併設の体育館はなくなる。 一方、競技場内は基本構想と同じで、トラックは400メートル8レーン、サッカーなどの利用を想定している内側のインフィールドは天然芝で、日本陸上競技連盟の施設基準で第3種公認相当規模の整備をし、4種公認とする。 年間利用者数は4万5000人程度とした。想定される利用者を積み上げて算出したものではなく、3種公認の龍ケ崎市陸上競技場と同程度と想定したという。 議会からは「小中学校の陸上競技大会は各学校にゆだねられており、先生方の働き方改革で縮小されている、現在、各学校で行われている大会を陸上競技場で行うことが決まっているところはあるのか」などの質問があり、市は「具体的に(利用が)決まっている学校はないが広めていきたい。小中学生が利用すれば年間利用者は4万人より多い」などと答えた。(鈴木宏子) ◆同基本計画案の説明会は①24日(日)午後1時~茎崎交流センター②同午後4時~豊里交流センター➂26日(火)午後2時~大穂交流センター④同午後5時~つくば市役所で開催される。パブリックコメントは18日から来年1月19日まで実施中。 ➡陸上競技場の過去記事はこちら

洞峰公園の無償譲渡 可決 つくば市議会 費用負担問題くすぶったまま

つくば市議会12月定例会最終日の22日、市が県から無償譲渡を受ける方針の洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について条例改正案と補正予算案の採決が行われ、いずれも17対8の賛成多数で可決した。県議会でも同日、洞峰公園を県の公園から削除する条例改正案が可決され、来年2月1日を目標に同公園は県から市に移管される。 一方、園内にある体育館やプール、新都市記念館の大規模改修費や長寿命化費用など、移管により市が新たに負担することになる費用がいくらになるのかは示されず、くすぶったままとなった。 採決にあたっては、飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)と山中真弓市議(共産)から反対討論があった。飯岡市議は、市の新たな費用負担について「(体育館・プール、新都市記念館などの)施設の更新費が資材費高騰により(県が2016年に健全度調査で算定した来年度以降の更新費である)34億円の1.5倍の50億円かかる」とし、「(築80年まで)80年間使用するため(維持管理費、補修費なども合わせて)あと37年間で、計約120億円の新たな費用負担が市にかかる」などと指摘した。山中市議は「時期尚早」だとし、五十嵐立青市長のこの間の対応について「知事と一度も正式な話し合いをせず、後手後手の対応となった」などと述べた。 一方、浜中勝美市議(公明)と皆川幸枝市議(市民ネット)から賛成討論があり、浜中市議は「(市が移管を受けることは)すばらしい公園環境を守る」とした。皆川市議は「(条例改正案と補正予算案に)反対の議員もグランピングに反対だということは分かったが、グランピングを止めるためには市が管理運営するしかなかった。(市と県は)市長だけでなく担当者間で協議している」などと反論し、採決の結果、賛成多数で可決となった。 五十嵐市長は議会閉会後、記者団の質問に答え「いろいろな場面で知事と話し、担当者同士でかなり時間をかけて県と協議してきた」とし、無償譲渡を受けた後の公園の維持管理方法については「協議会を設置して、いい形になるよう努力していきたい」と繰り返した。費用負担についても「利用料をどうするのか、収入を増やしていくのか、支出を減らしていくかも含めて協議会で議論したい」とした。(鈴木宏子)

サンタがプレゼント、今年も継続 スタッフ不足乗り越え

コロナ禍影響 ボランティアがサンタクロースにふんして子供たちにプレゼントを届ける活動が今年もクリスマスイブの24日、つくば市で実施される。コロナ禍を経た今年は、支部の運営スタッフが確保できず、継続できるか不透明な時期もあった。「クリスマスを祝うことも難しいような経済的に困難な家庭の子供たちに、思い出を届けたい」というスタッフの熱意で継続できることになった。 NPOチャリティーサンタ(東京都千代田区)つくば支部による活動だ(2020年11月27日付)。事前に応募があった家庭にサンタ姿のボランティアが、保護者があらかじめ購入したプレゼントを届けに行く。子供たちにはサプライズでサンタが自宅にやってくる。経済的に困難を抱える家庭の子供たちには無料でプレゼントを手渡す。その費用は、他の家庭の寄付金でまかなわれる。  つくば支部が立ち上がったのは2017年で今年7年目になる。現在、支部の代表を務めるつくば市在住の会沢和敏さん(59)は、20年度の活動でも代表を務めた(20年11月10日付)。「今年度は運営の中心を担う代表者が5月頃まで決まっていなかった。ここで活動が休止になってしまっては、サンタが来る街をつくば市から広げていくという夢もかなわなくなってしまうと考え、代表に立候補した」と話す。会沢さんは20年度に続き、2度目の代表を務める。 「クリスマスを祝うことも難しいような経済的に困難なご家庭もある。そうした子ども達にとって、サンタが家に来て祝ってくれることは一瞬のことかもしれないが、未来まで明るくするものでもあるように感じる。小学校低学年のときに訪問した子どもが、中学校に上がっても毎年のようにサンタが来た思い出を話しているということも聞いた」と会沢さんは語る。 スタッフ不足の原因として「コロナ禍の影響も少なくなかった」と指摘する。21年、22年も、人と人との接触を極力避けることが求められる中で、サンタ活動を継続していくことは難しい場面もあったと振り返る。 今年は運営を担うスタッフが会沢さんを含めて4人、当日のボランティアは10人ほどが参加する。当日ボランティアは事前の講習会を通してチャリティーサンタとしての活動内容や注意点などを学び臨む。 筑波大学医学類の山田夏鈴さんも運営スタッフの一人だ。「子どもの年齢や性格に合わせて対応することを心掛けている。子どもたちや両親の笑顔を見ると、こちらも素敵なプレゼントをもらった気持ちになる」と活動を継続することの意義を話す。(山口和紀) ◆チャリティーサンタつくばはX(旧ツイッター)で情報を発信している。NPO法人チャリティーサンタのホームページはこちら。つくば支部では今年の当日ボランティアの募集は締め切っているが、来年度に向けての運営スタッフを募集している。来年の当日スタッフは10月頃に募集を行う予定だ。

メリー・クリスト・マス。クリスマスの意味を知る《遊民通信》79

【コラム・田口哲郎】 前略 クリスマスが近づき、街はクリスマス一色…ともこのごろは言えないようです。私が子供のころ、クリスマスはまさに冬の一大イベントでした。でも、いまやクリスマスはハロウィンに食われ気味ですね。ブラックフライデーなるものもアマゾンのおかげで一般的になりつつあり、アメリカの感謝祭がそのうち普及するのではないかという勢いです。そのおかげでクリスマスのイベントとしての地位もずいぶん落ちた感じがします。 クリスマスもハロウィンも感謝祭も、もともと宗教行事だったのが、消費社会の進展で、お祭りになったもので、とくに日本に輸入されると宗教性は脱色されるのはよく言われていることですね。 クリスマスはクリスト・マス、キリストのミサという意味で、キリスト=救世主がこの世に誕生したことを祝う祭儀ということです。キリスト教の開祖イエスは、いまのパレスチナあたりで生まれました。意外と知られていないのは、イエスがユダヤ教徒だったことです。イエスの母マリアも父ヨセフもユダヤ教徒でしたから、イエスも当然ユダヤ教を信仰していました。 しかし、青年になるとイエスは正統派のユダヤ教とは異なるいわば革新的なユダヤ教の教えを唱え始めます。この革新的な教えがキリスト教の教義の核になっているのですが、当時のユダヤ教指導者層には危険に映ったのでしょう。イエスは無実の罪で十字架にかけられ処刑されます。 しかし、3日目に復活し、弟子たちの前に現れ、天に昇ります。イエスの誕生、教え、死、そして復活を「信じる」ことは、イエスをキリスト=救世主と「信じること」です。パレスチナのいち民族の宗教だったユダヤ教徒から独立するかたちで、キリスト教は信者を全世界に増やし、今や信徒数は23億人を越える大きな宗教に発展しました。 ひと味違うお祝いができる このキリスト教の始まり、イエス=キリストの誕生を祝おうというクリスマス。日本のキリスト教の信徒数は200万人弱で総人口の1パーセントにすぎません。クリスマスがキリスト降誕を祝う目的だけのお祝いならば、日本でこんなにクリスマスがもてはやされるわけはありません。だからといって、いまさら、宗教的意義のないクリスマスは無意味だと言うつもりはありません。 ただし、クリスマスの本来の意味を意識しないで「メリークリスマス!」と乾杯するよりは、その意義を知ってお祝いするほうが良いのではないかとは思います。キリスト教では、イエス=キリストは十字架の上で、人類の身代わりとして死んで罪を引き受けた。そして、死を打ち破り、復活して、生き物が避けられない死をも乗り越える希望を人類に与えたと教えます。 こうした、いわば英雄の誕生日だと思えば、乾杯もより楽しくなるのではないでしょうか。ごきげんよう。 草々 (散歩好きの文明批評家)

つくば駅前が華やかに T.S BUILでイルミネーション

来年1月21日まで つくば駅前のオフィスビル「T.S BUIL」(同市吾妻、旧ライトオンビル)が、今月1日からイルミネーションで彩られ、道行く人たちの目を楽しませている。昨年同ビルを取得し本社を移転した不動産業の都市開発(塚田純夫社長)が駅前を明るくしたいと飾り付けた。 同ビル1階ショーケース内とペデストリアンデッキに面する2階のガラス張りの壁面はLEDのイルミネーションライトで装飾され、自動ドアの中にはサンタクロースや雪だるま、モミの木のクリスマスツリーなどの飾りが展示されている。通りがかった人は華やかな飾りに足を止めて見入ったり、撮影したりしていた。クリスマスシーズンが過ぎた後はお正月用のディスプレイを予定しているそうで、イルミネーションは来年1月21日まで点灯する。 同イルミネーションをスマートフォンで撮影していた市内に住む大学生は「前にライトオンのビルだった時にもここのイルミネーションを友人と見ていた。通りが明るくなってきれい」と話した。 同社は同ビルに本社を移転した昨年からイルミネーションを点灯している。昨年は同社が専門業者に依頼し、大小のボールの飾りやツリーをフロア内に設置した。今年は設置から点灯まですべてを同社の社員で行い、ボールの他にツリー、サンタクロースや雪だるまなどの飾りも加えた。どの角度から見ても彩りが豊かに見えるよう工夫して設置したという。 同社の塚田純夫社長は「昨年からイルミネーションを飾っている。旧ライトオンビルから4年ぶりに明かりが灯り、通りがかった子どもたちには大変好評だったと思う。今年もイルミネーションをクリスマスから新年まで飾る。より良い街づくりを目指していきたい」と話している。(田中めぐみ)

さわって、遊んで! 「歯車」を知る展示会 つくばエキスポセンター

冬休みに楽しんで 歯車にスポットを当てた企画展「すごいぞ!歯車!!くるくる回っていっぱいお仕事」が、つくば市吾妻、つくばエキスポセンターで来年1月28日まで開催されている。歯車を用いた作品など36点が展示されている。つくば市在住で、国内外で活躍する木工作家のつちやあゆみさんによる「歯車のオルゴール」や「歯車の遊園地」などの作品もある。 おもちゃや時計、自動車、エレベーターといった身近なものから、人工衛星やロケットなど、あらゆるものを動かすことに欠かせないのが「歯車」だ。回転する複数が組み合わさることで動力を伝える。普段は機械の中に隠れてあまり目にすることがないが、人の暮らしを縁の下で支える無くてはならないもの。 会場となる2階の多目的ホールは3つのパートに分かれる。まず初めが、木製のおもちゃなどを製作するムクスタジオ(Muku-studio、埼玉県飯能市、野出正和社長)による作品。木製の大型カラクリ装置のほか、赤、黄、青など色や形、大きさの異なる様々な木製歯車を組み合わせ、平行軸の一方から他方へ回転を伝えるために用いられる「ヒラ歯車」、回転運動を直線運動に変換する「ベルクランクとピン円盤」、回転する円運動を上下運動に変換する「ハートカム」など、実際にレバーを回して多様な動きを楽しむことができる作品を展示している。 その奥には、つちやあゆみさんによる作品が並ぶ。そのひとつ「歯車のオルゴール」は、平行に組み合う大小の歯車が、複数、平行に組み合わされて、手前に置かれたハンドルを回すことで回転する歯車の下に据え付けられた木球が鍵盤にぶつかり、クリスマスにちなんだ「聖者の行進」が鳴り響く。その隣に置かれた、同じくつちやさんによる作品「歯車の遊園地 No.10」は、3つのスタート台から色とりどりの木球を木製のレールに滑らせ、ゆっくり回転する歯車など、複数のルートを通りその先のゴールへの順番を競うアトラクション。木と木がぶつかる柔らかな音も楽しめる仕組みになっている。 最後は、1935(昭和10)年の創業以来、一貫して歯車を作り続ける小原歯車工業(埼玉県川口市、小原敏治社長)。実際の工業製品だけでなく、同社の技術を活かして作られた二輪駆動の自転車などが展示されている。 車・バイク好きの大人も 企画を担当した同センターの松岡安希子さんは「オルゴールやコーヒーミルなど、私たちの身近なところに常にあるものの、普段なかなか見る機会が少ないのが歯車」と話し「今回の企画では、実際に触れることで、暮らしを支えてくれている歯車の魅力を知ってもらうことを意図した」と説明する。「11月に企画がスタートして以来、来場したたくさんのお子さんたちが、実際に歯車に触れて、その動きや奏でる音を楽しんでくれている。またプラモデルや車、バイクを趣味にする大人の方たちも関心を持って来場していただいている」とし、「この冬休み、ぜひ、多くの方に来場していただきたい」と呼びかける。(柴田大輔) ◆企画展「すごいぞ!歯車!!くるくる回って いっぱいお仕事」は、2024年1月28日まで。開館時間は午前9時50分から午後5時。休館日は毎週月曜(12月25日、1月8日は除く)、ほかに12月29日から1月3日、1月9日から11日は休館。入館料は大人500円、子どもは250円。問い合わせはイベントの公式ホームページ、またはつくばエキスポセンター(電話029-858-1100)へ。

つくば温泉 喜楽里 別邸《ご飯は世界を救う》59

【コラム・川浪せつ子】「魔女の一撃」という言葉をご存知でしょうか? ドイツでは、ぎっくり腰のことだそうです。さっきまで元気だったのに、突然やってくる激痛は「魔女のしわざ」だと。それが、2回目の到来。1年半前は、つくば美術館の展示が終わった後。今回は「つくば水彩画会」が終わってから、1週間ほど後。 1回目は、起き上がるどころか、寝返りすらできない。1年半前はコロナの真っただ中。でも、病院で痛み止めをもらい、コルセットをつけて2週間後には、フイットネスに行けました。 ところが今回は、そこそこ動けるのに良くなりません。この秋から冬にかけ気温差が大きいため、ぎっくり腰の方が4倍とか。この1カ月少し、毎日、朝の歯磨きですらギック! 1日の中で何回も。これにはメンタルも少々やられ、「もう絵を描くのは、展覧会やるのは、止めてしまおうか…才能ないんだ…」 石は磨いて玉に そのころある出会いがありました。たまたま行った展覧会。受付の女性とお話。私より少し年上の方かなと思ったら、「82才になります。絵は60才から初めて、7年前に主人を突然亡くしたときも、絵があったので乗り越えることができました」。 年齢にそぐわない若々しさ。肌つやも良く、背筋もシャン。「あなたね、絵を描きなさい」。そんなお言葉をいただきました。この方のように年齢を重ねていけたらいいなぁ~。 でも、まだ毎日、整骨院さんで治療。「あぁ~」の日々でした。ある日、整骨院さんの駐車場でラジオから聞こえてきた言葉。「石は磨きて玉(ぎょく)となり」。ただの石でも、何があっても諦めず磨きなさい―そう神様が言ってくださった? 「玉」などにならずとも、せめて泥のついた石からは脱却してみよう。どこまで磨けるかわからないけど、少しずつチャレンジしてみよう。そんな風に思えるようになってきたら、体の方も少しずつ改善してきました。 近くの日帰り温泉 今回の絵は、体をいたわるために行った日帰り温泉「つくば温泉 喜楽里 別邸」(つくば市西大橋)のお食事です。(イラストレーター)

世界最大の花、結実・種子発芽に成功 筑波実験植物園

国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)は20日、世界最大級の花を咲かせる絶滅危惧種ショクダイオオコンニャクの結実と種子発芽に国内で初めて成功したと発表した。 京都府立植物園から譲り受けた個体と、東京大学小石川植物園から譲り受けた個体が今年5月、筑波実験植物で連続して開花。2個体のうち、先に咲いた個体から花粉を採取し、次に咲いた個体に人工授粉したところ、実がなり、11月上旬、実が赤く柔らかくなった。実から種を採取。同10日に種をまき、12月12日に発芽した。栽培下でショクダイオオコンニャクが実をつけ、種子が得られるのは日本で初めて。実は全部で736個でき、実の中には長さ2~3センチの種が0~3個できたという。 ショクダイオオコンニャクは、インドネシア・スマトラ島の限られた場所に生えるサトイモ科の絶滅危惧種で、花は高さ3メートル、直径 1メートルになるものもあり、世界で最も大きな花の一つとされる。開花時は独特の強烈な悪臭を放つ。花は同じ個体に雄花と雌花が咲くが、同一個体では受精しない。今回、2つの個体を連続して開花させ、先に開花した個体の花粉を保管することによって、人工授粉が可能となった。 同園植物研究部多様性解析・保全グループ研究員の堤千絵さん(46)は「種子の発芽までの命をつなぐ作業に100人の研究者が日々努力をしてきたので、報われてとてもうれしい。また筑波実験植物園と、小石川植物園、京都府立植物園が連携することで高い栽培技術が生まれ成果につながった。これまでは(葉をとって発芽させる)葉挿しによりクローンの株を増やしてきたが、受粉により、遺伝組成の異なる種子が出来たため、種を保全することにつながる」と意義を話す。 温室担当の小林弘美さん(51)は「絶滅危惧種でもあるショクダイオオコンニャクの育成は温度管理などかなり気をつかう仕事だった。種の保存、命をつなげる仕事をこれからも続けていきたい。何より植物の不思議を伝えていきたい」と語った。(榎田智司)

つくば市が開発許可 旧総合運動公園用地

つくば市土地開発公社が外資系デベロッパー、グッドマンジャパンつくば特定目的会社(東京都渋谷区)に売却した同市大穂、旧総合運動公園用地約46ヘクタールについて、同市は18日付で同社に、都市計画法に基づく開発行為の許可を出した。 対面で開催されていない住民説明会について市開発指導課は、事業者は近隣にちらしを配布して周知し住民から質問を受け付けるなどしたとし、市開発許可の手引きに定められている「開発区画の周辺おおむね100メートル以内の住民と土地所有者」に対する住民説明会は書面で開催されたとしている。 同用地では今月7日までに地上部分の樹木の伐採が始まった。市から開発許可が出されたことで事業者は、樹木の根っこを抜き取る伐根に着手するとみられる。今回始まった1期工事で伐採される面積は不明だが、北側の高エネ研に隣接する東大通り沿いの物流倉庫建設予定地の伐採を実施しているとみられる。 同用地の開発登録簿によると、工区は10工区に分かれ、東大通り側の3工区に物流倉庫ができる。物流の3工区合わせた面積は全体の約47%の計約21.3ヘクタール、物流倉庫は、5階建て高さ約37.1メートルが1工区に、4階建て高さ30.9メートルが2工区に建設される予定。 西側は4工区にデータセンターが建設予定で、4工区合わせた面積は全体の約39%の計約17.7ヘクタール、施設は3~5階建て、高さは最大で46.5メートルとなっている。 五十嵐立青市長が売却目的の一つとして掲げた防災拠点は南側に建設予定で面積は全体の約10%の約4.6ヘクタール。施設は2階建て、高さは約16メートル。ほかに道路部分が2工区ある。 同用地は、住民投票で総合運動公園計画が白紙撤回となった後、住民投票の勢いに乗って市長になった五十嵐立青氏が、2期目当選直後に民間への売却を表明し、グッドマンジャパンが110億円で購入した。(鈴木宏子) ➡関連記事はこちら(12月8日付)

根岸寛一の終わりの始まり《映画探偵団》71

【コラム・冠木新市】今年は、旧筑波郡小田村出身で戦前の名映画プロデューサ一根岸寛一(本コラム51で登場)の没後60年だった。イベントをやるつもりでいたのだが、時間的に余裕がなく開催することができなかった。 東映映画の礎を築いた根岸寛一は、人生の終わりを前にして、次の時代を見すえていた。亡くなる1、2年前、根岸の病床に東映撮影所長・岡田茂が訪ねる。岡田はギャング映画路線のヒットを報告しにやって来た。すると根岸は「次の路線はなんだ」と問いかける。何も考えていなかった岡田は答えに窮してしまう。すると根岸は「次はヤクザ映画だよ。ヤクザ映画は時代劇の変形だ。東映が向かうべきは任侠映画だよ。『人生劇場』だよ」と予言したそうだ。 根岸が亡くなった年、『人生劇場 飛車角』(1963)が主演・鶴田浩二で公開され、大ヒット。東京オリンピックの年にも『日本侠客伝』(1964)が主演・高倉健で大ヒット。さらに翌年には『網走番外地』(1965)、『昭和残侠伝』(1965)などが次々と大ヒットし、シリーズ化され、団塊世代の支持で任侠映画ブ一ムは約10年間続いた。根岸の時代の流れを見る目は確かだった。 『仁義なきヤクザ映画史』 『日本侠客伝』シリーズは、脚本家・笠原和夫がメインライターをつとめ、監督は名匠・マキノ雅弘らで、全11作ある。主人公など設定は毎回変わるが、堅気で昔ながらの正業を持つ主人公たちが、近代化を進める企業家の手先となったヤクザたちと戦う『忠臣蔵』を原型にした話となっている。 そしてシリーズを俯瞰すると、教科書には書かれていない大正時代の庶民史が浮び上がる工夫がほどこされている。現在に重ねれば、AI時代のスマート社会にほんろうされる市民の話とでも言えようか。 『日本侠客伝』シリーズを見直しながら、『仁義なきヤクザ映画史』(伊藤彰彦著、文藝春秋)を読んだ。1910年から2023年の約100年間のヤクザ映画の分析と、脚本家や監督や制作者のインタビュー。そして、映画界とヤクザ社会との関係を語り、それだけにとどまらず、日本の差別社会の仕組みにまでメスを入れた映画本の枠を超える名著となっている。 『劇場版  荒野に希望の灯をともす』 その中で、世界中に知られた医師中村哲のドキュメンタリー映画『劇場版  荒野に希望の灯をともす』(2022)が紹介されている。中村は医療よりも水が大切だと気付いてから、パキスタンとアフガニスタンで、黙々と井戸や用水路の建設に挑んだ。その中村の原点になっているのは祖母マンの教えだった。 祖父母は、玉井金五郎とマン。なんと、作家・火野葦平の小説『花と龍』のモデルなのだ。下層労働者のために、巨大資本の手先ヤクザと闘う玉井金五郎とその妻の物語。日活、松竹、東映で8回映画化された任侠映画『花と龍』の世界が、医師の中村につながっていると知り驚いた。 私は、中村哲を語る文化人が映画『花と龍』を見たら、どんな感想を抱くのかを聞いてみたいと思った。 2024年は根岸寛一生誕130周年である。来年こそ、イベントを開催するつもりだ。問題があっても長いものには巻かれろと、無視をきめ込む風潮がまん延する時代にあって、任侠映画が形を変えてよみがえってくると予感するからでもある。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

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