コロナ禍耐えた公衆衛生従事者ら 市民と「第九」合唱し ねぎらいと感謝を
11月1日、つくば
コロナ禍、第一線で尽力した保健所職員など公衆衛生関係者と試練に耐えた市民らが、共に苦労を分かち合い、たたえ合おうと11月1日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で、ベートーベンの「第九」を合唱する。10月31日から11月2日まで同会議場で開かれる第82回日本公衆衛生学会(学会長・田宮菜奈子筑波大教授)総会に併せて公演する。
保健師、医師、研究者など公衆衛生に従事する同学会の有志約40人と、医療関係者や市民ら計約90人が合唱団を結成し、プロオーケストラの演奏やオペラ歌手のソリストらと共に、「第九」を歌い上げる。指揮は同学会会員で、つくばフィルハーモニー合唱団の代表として合唱を指導する指揮者兼声楽家の佐藤宏之さん。
同学会で、公衆衛生や医療関係者と市民が「第九」を合唱するのは初の試みとなる。コロナ禍では市民や医療関係者だけでなく、裏方として公衆衛生の第一線で活躍した保健所関係者も苦労を強いられてきた。全ての公衆衛生関係者にねぎらいと感謝の気持ちを表現する。
同学会の学会長で筑波大医学医療系の田宮菜奈子教授が、学生時代に市民合唱団員として「第九」を合唱した経験があること、昨年10月、同大大学院生に合唱の実現を後押しされたことが重なり、計画が始動した。活動の一つとして今年5月に始めたクラウドファンディングは、約1カ月半後に目標額の370万円を超える408万円を達成し、合唱団員の募集と練習を開始。合唱とピアノ講師の指導のもと、土浦市や都内の練習会場で、合唱練習をドイツ語で行なってきた。
当日は、同会議場1階、メーンエントランスの大階段に合唱団が並び、オーケストラは1階部分で演奏する。聴衆は演奏者や合唱団を囲む形で、2、3、4階から立ち見で鑑賞する。天井が高く、開放感があるため音が響きやすく、演奏者と聴衆が一体となる空間を作り出すことが狙いだ。
同学会「第九」合唱事務局の中野寛也副事務局長は「理想を掲げた歌である第九を、分断と対立の現代に合唱することに意味がある。みんなで歌い、共に前に進んでいければ」と話す。同じく、白井千香副事務局長は「合唱は一人ではできない。大勢で力を合わせてこそできるもの。今回の合唱でみんなが共に手に取り合ったという記憶を今後につなげたい」と述べる。
田宮学会長は「今回の合唱に、学生時代の仲間や一緒に歌を歌ってきた仲間が参加してくれる。様々な人に支えられて実現する第九を通して、生み出される力を、みんなで分かち合いたい」と語る。
同学会総会は、ポストコロナのDX時代に向けたさまざまな取り組みを中心に、海外も含め、3日間で1400を超える発表が行われる。「第九特別演奏会」は、11月1日の同学会総会後の午後5時から開演する。(上田侑子)
◆第82回日本公衆衛生学会総会記念「第九」特別演奏会は、11月1日(水)午後5時から、つくば市竹園2-20-3、つくば国際会議場1階メーンエントランスで開催。公演は「第九」第3、第4楽章。一般の鑑賞希望者は先着100人まで事前申込により無料鑑賞可。同学会参加者は申込不要。演奏会の様子は、ZOOMウェビナーでライブ配信する。詳しくは同学会ホームページ(HP)または同クラウドファンディングのHPへ。
おばけカボチャ《短いおはなし》20
【ノベル・伊東葎花】
秋の日はつるべ落とし。
おばあさんは夕食の支度の手を止めて、カーテンを閉めようと窓辺に寄った。
「おや?」
庭に、おばけカボチャが立っていた。
いつもなら、ギャーと叫んで失神するところだが、おばあさんは驚かない。
なぜなら今日はハロウィンだから。
「あらあら、おばけカボチャに仮装しているのね。どこの子供かしら。ええっと、お菓子をもらいに来たのよね。たしかクッキーがあったわ。ちょっと待ってね。おばけカボチャさん」
おばあさんはキッチンの戸棚からクッキーの缶を取り出した。
「あったわ」
振り向くと、おばけカボチャが、おばあさんのすぐ後ろにピタリとついていた。
「ああ驚いた。なあに。待ちきれなかったの? はい、クッキーよ」
おばあさんがクッキーを差し出しても、おばけカボチャは受け取らない。
「いらないの? これしかないのよ。困ったねえ」
おばけカボチャは何も言わない。じっとおばあさんを見ている。
「そろそろおじいさんが寄り合いから帰ってくるわ。夕飯の支度を急がなきゃ」
おばあさんはスーパーの袋から大きなかぼちゃを取り出した。
それをまな板の上に置くと、流しの下から出刃包丁を取り出し「えいやあ」と振り下ろした。
「ひいっ!」
叫んだのは、おばけカボチャだ。
「おやまあ、あんた、どうしたの?」
振り向いたおばあさんの手には、よく研がれた包丁が握られている。
「うわあああああ」
おばけカボチャは、一目散に走り去った。
「あらまあ、お菓子いらないのかしら。変な子ね」
夜、寄り合いから戻ったおじいさんは、大好物のかぼちゃの煮物に舌鼓を打った。
「うまいかぼちゃだ」
「おじいさん、そういえばね、今日、おばけカボチャが来たのよ」
「なんじゃ、それは?」
「ハロウィンの仮装よ。どこかの子供がおばけカボチャに仮装してきたのよ」
「子供? ここは老人専用の集合住宅だぞ。子供なんかいないだろう」
「あら、そういえばそうね。じゃあ、あれ、本物のおばけだったりして」
おばあさんは、かぼちゃの天ぷらを食べながら首をひねった。
* * *
そのころ、おばけカボチャは、こっぴどく叱られていた。
「人間を驚かせるのがおまえの仕事なのに、逆に脅されてどうする」
「すみません。でも、あのばあさん、まるで山姥(やまんば)ですよ。包丁で真っ二つにされるところでした」
「ハロウィンと重なってしまったのが失敗だった。次こそ頑張れ。リベンジの日は12月22日だ」
「はい。今度こそ、しっかり驚かせます」
* * * *
「ねえ、おじいさん、西洋ではカボチャと言えばハロウィンだけど、日本はやっぱり、カボチャと言えば冬至ね」
「そうだな。ばあさん、おいしいカボチャを頼むよ」
「包丁、研いでおかなくちゃ」
冬至は、12月22日です。(作家)
いちはら病院の新棟が完成 手術やリハビリ部門が充実
つくば市北部に位置する医療法人健佑会「いちはら病院」(同市大曽根)の増築工事が終わり、29日午前、知事や衆参議員などが参加して竣工式が催された。新棟(東棟)には外来部門や手術室などが移り、これまで外来部門などが入っていた旧棟(西棟と中央棟)はリハビリテーション(回復期)部門、医療検査部門などとして使われる。
ネット環境の進化にも対応
新棟の1階フロアーで開かれた竣工式で、健佑会の市原健一理事長は「この棟の裏手にある旧棟は建ててから35年経ち、老朽化が進んだこともあり、新棟を建てた。35年前には考えられなかったネット環境の整備も必要になった。手術数も昨年は1300件にもなり、前の手術室では対応できなくなりつつある。折からの材料費や人件費の上昇で、建築費は想定より50~60%アップしたが、なんとか完成した」と述べた。
大井川和彦県知事は「いちはら病院はつくば医療圏の中核病院であり、新棟の完成によって、地域医療に一層貢献いただけると思う」と祝辞を述べた。また、国光あやの衆院議員(茨城6区)は国会議員を代表して「議員になる前、この病院で医師として当直をやり、学ばせてもらった。いちはら病院はリハビリ病床が120もあり、県内ナンバーワンだ。リハビリは地域医療の要でもあり、国もこれを推進している」と、回復期医療の重要性を指摘した。
17の医療・福祉施設を運営
新しい東棟は、旧棟を東大通り方向に延ばす形で建てられた。この棟には、総合受付・外来部門(1階)、手術部門(4階)、病室(2~3階)が入る。これまでこれらの部門が入っていた旧棟には、リハビリ部門(西棟1階)、大浴場(同4階)、病室(同2~3階)、検査部門・売店(中央棟1階)、病室(同3階)が入る。これまで3つだった手術室は4つになるという。
市原理事長は医療法人「健佑会」のほか、社会福祉法人「健誠会」も統率している。医療法人が運営するのは、いちはら病院、老人保険施設など6施設。社会福祉法人は、特別養護老人施設など10の施設を運営している。このほか、有限会社が経営する有料老人ホームも病院の隣接地にある。いちはら病院はこれら「いちはらメディカルグループ」の中核になる。(岩田大志)
ファッションで自由を表現 デザイナー墳崎嵩史さん つくばで作品展
「ファッションには自分を自由にしてくれる力がある」。そんな思いを込めて衣服を作るファッションレーベル・デザインオフィス「Design lab "Lights"(デザイン ラボ ライツ)」代表で、デザイナーの墳崎嵩史(つかざき・たかふみ)さん(38)の作品展が、28日からつくば市天久保のギャラリーYで始まった。
稲敷市出身の墳崎さんは、2014年に地元で同社を立ち上げ、以来、様々な素材を組み合わせて作る衣服によって独自の世界を表現してきた。「真っ白な空間に自分のやりたいことを表現できる」と語る同ギャラリーでの展示は5回目を数える。会期は11月5日まで。
今回のテーマは、螺旋(らせん)を意味する『スパイラル』と、寄せ集めて自分で作るという『ブリコラージュ』。前者には、迷いながらも少しずつ階段を上る墳崎さん自身の思いを、後者には、「世界にまだない新しいものを、すでに手元にあるものの中から作り出す」という強い思いを込めたと話す。
テーマ設定の背景には、アパレル業界で加速度的に広がる大量生産・大量消費の問題があると、墳崎さんは指摘する。「新作の衣服がすぐに廃棄されるか中古市場に回される」状況に直面し、「自分は何のために服を作っているのか、どこに向かっているのか」と、服作りへの疑問が膨らんでいたという。こうした中で思い至ったのが「少量でも納得できる一着を作る。無駄なものは作らない」ことだった。そんな、自身が抱く思いを表現したのが、余った素材や既存の服を活用し制作した今回の作品群だ。
シャツに開けた穴や裂け目から見えるよう裏地にビンテージ生地をあてがう、縫い合わせに伸縮の大きい糸を利用しシャツにしわをよせる、組み合わせた複数の襟をシャツの半身に縫い付けるなど、通常なら「失敗」と捉えられることを積極的に取り入れた。すでにある素材を利用し新しい価値を生み出すことで、素材の「再利用」に留まらない「ブリコラージュ」の世界を表現した。
自身が中学生の頃から好きだったという服の魅力について墳崎さんは「全部が正解であり、間違いがない」ところだと語る。「裏返しで着ても、穴が空いていてもいい。自分がいいと思った着方ができる。そんな、常識にとらわれない服に出会った時に、ふわっと心が軽くなった。自分を自由にしてくれるもの、それがファッションだと思っている」
地方に拠点、ロールモデルの一つに
東京でファッションを学んだ墳崎さんは28歳のときに地元の稲敷市で現在の会社を立ち上げた。間もなく10年を迎える。都市部が主となる業界で、拠点を地方に置くのはまだ珍しかった。「当初は若さもあって、周囲から『面白いね』と持ち上げられた。それも今は、プロとしてのサービスを評価されるようになってきた。これからも自分の感覚を信じて、周りの意見に左右されずに精一杯サービスを提供していきたい。地域ごとに、いろいろな働き方が増えるといい。自分もそんなロールモデルの一つになれたら」と思いを語る。
実務としてファッション、デザインに携わる一方で、作品展は2018年から毎年開催してきた。展示への思いを「周囲に楽しみにしてくれる人もいるし、自分のための展示でもある」と語ると共に、「僕にとって作品作りは自由への、人生を通じての挑戦。ファッションは自由への入り口ですから」と強調。「自分から何かを打ち出していくことは、自分の人生をデザインしていくこと。積極的に人生を生きることで、自分が感じている楽しさやワクワク感で周りにいい影響を与えていけたらうれしい」「会場には毎日いるので、いろいろ聞いてもらえたら」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔)
◆墳崎嵩史さんの作品展「 “SPIRAL” bricolage(スパイラル ブリコラージュ)」は10月28日(土)から11月5日(日)まで、つくば市天久保1-8-6 グリーン天久保201、ギャラリーYで開催。開館時間は午後1時から午後7時。最終日は午後5時閉館。入場無料。詳しくはギャラリーYのホームページへ。
放射線治療装置をリニューアル《メディカル知恵袋》1
【コラム・大城佳子】筑波メディカルセンター病院(つくば市天久保)の医療従事者がこのコラムを担当することになりました。少し難しいかもしれませんが、皆さまのご参考になればと思っています。
放射線治療とは
放射線治療は手術や薬物療法と並び、がんの治療の中で重要な役割を果たしています。放射線治療はその名前の通り放射線をがんに照射します。放射線が当たったがん細胞はDNAに損傷を受け、死滅していきます。陽子線や重粒子線も放射線治療の一つです。当院では最も一般的なX線を使った治療を行っています。
X線はレントゲンやCT検査に用いられています。レントゲン検査の際に何の刺激も感じることなく、すぐに終わってしまうのと同様に、放射線治療も痛みや熱を感じることなく、短時間で終了します。体への負担が少ないことが放射線治療の最大の利点です。
そして放射線治療は「病気を治す」という根治目的以外にも、症状を良くする緩和照射、例えば、がんの痛み止めや麻痺の予防、止血などにも効果を発揮します。ですから、放射線治療はがん治療において幅広い効果を期待できます。
一般的にがん細胞は正常細胞に比べて放射線に対して弱いため、毎日少しずつ照射をすることにより、正常な細胞を回復させながら、がん細胞だけを死滅させることができます(図1)。そのため、放射線治療では一般的に平日毎日の通院が必要です。
新しくなった放射線治療
近年、より高精度で効果的、そしてより副作用が少ない治療を目指して、放射線治療技術は目覚ましい進歩を遂げています。
当院では2015年以降、強度変調放射線治療(Intensity modulated radiotherapy : IMRT)を導入しています。これは「機械から出てくるビームの強さを変えて、避けたい臓器の線量を下げて、目的の腫瘍(しゅよう)にたくさん放射線を当てる」という治療です。当初は前立腺がんの治療にのみ利用されていましたが、最近は肺や骨盤など、様々な部位の照射に応用しています。
これにより、これまで治療が難しかった症例が治療できるようになったり、より副作用を少なく治療できるようになったりしています。
今回(2023年10月)、新しい放射線治療の機器(リニアック)が稼働します(写真)。通常の放射線治療に加えて、より高精度な治療に特化した仕様となっています。
小さな脳転移に対しては定位照射が適応となることが多いです。定位照射とはピンポイント照射ともいわれる治療です。小さな腫瘍に対して、大きな線量の放射線を少ない回数で照射することにより、強い効果を発揮します。これまで、複数個の転移に対して定位照射を行う場合は、一個ずつ治療する必要がありましたが、新リニアックでは一度に複数個の転移を治療することができるため、治療期間を短縮することができます(図2)。
また、近年では背骨(脊椎)の転移に対しても、定位照射を行うとより進行を抑えることができ、高い効果が期待できることが報告されています。しかしながら、背骨の中には太い神経の束である脊髄があり、たくさんの放射線が脊髄に照射されてしまうと副作用により麻痺が生じてしまいます。そのため、定位照射は非常に難しく、再照射も困難でした。
しかし、新リニアックには背骨の定位照射に特化したソフトが導入されたため、これまでに比べて定位照射のハードルが下がり、再照射が可能になる機会も多くなります。
最近の放射線治療
日本では歴史的背景から一般的に放射線に良い印象は持たれていません。しかしながら、医療で用いる放射線はその安全性が確立されています。また、一昔前は放射線治療=治らないという時代もありました。しかし、わずか10年前と比べても、現在の放射線治療の技術は格段に進歩し、より効果が高く、より安全になっています。
放射線治療の方法は様々です。ここにご紹介した高精度照射ではなく、古典的で簡単な放射線治療が最適な場合もあります。茨城県は通常のX線治療のみならず、筑波大学に陽子線治療、つくばセントラル病院にサイバーナイフを有しており、非常に放射線治療機器に恵まれています。
当院では、必要があればこれらの近隣施設をご紹介し、それぞれの特性を生かしながら、地域全体で、できるだけ速やかに、最適な治療を提供していきたいと考えています。(筑波メディカルセンター病院 放射線治療科診療科長)
【注】この記事は筑波メディカルセンター病院広報誌「アプローチ89号」でもご覧いただけます。
コロナ禍経て次は自販機で逸品を発信 つくばの飲食店主ら
駅前で冷凍食品販売
つくば駅前のつくばセンター広場(つくば市吾妻)2階ペデストリアンデッキに、県内の飲食店や食品加工会社自慢の加工食品を冷凍で販売する自動販売機が設置されている。コロナ禍、フェイスブック上で県内の飲食店のテイクアウト情報などの発信を続けた「旨がっぺTSUKUBA」(2020年4月10日付)が、同市中心市街地のまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)と立ち上げたプロジェクトだ。
つくば市竹園のうなぎ専門店「とよ長」を経営する豊嶋英之さん(46歳)が発起人となり、県内の飲食店有志数店舗と「旨がっぺTSUKUBA実行委員会」(川根せりな代表)をつくり運営する。今年の8月初めから販売を開始し、徐々に認知度も高まって販売数も増加しているという。
現在、自動販売機では、豊嶋さんのうなぎ店の豚なんこつの角煮、つくば市東新井のスペイン料理店「Spanish Bar Bonito(スパニッシュ・バル・ボニート)」のラムチョップグリルなどのほか、もつ煮、焼きサバずし、チャーシュー丼、ラーメンなど5店舗の6商品が販売されている。食品は電子レンジや湯せんで温めるなど簡単な調理ですぐに食べることができる。販売食品の種類は半年に1回程度、入れ替える予定だ。
プロジェクトの目的について豊嶋さんは「売り上げを上げるということよりも、茨城県のおいしい食材、食品を気軽に手に取っていただき、店舗に還元することで、地域を盛り上げていくことを目指している」と話す。コロナ禍のダメージ続く
コロナ禍、飲食店は休業を余儀なくされるなど利用が制限されることも多かった。豊嶋さんらのフェイスブック「旨がっぺTSUKUBA」は、飲食店が個々に情報を発信するのではなく、一定のまとまりの中で地域に情報を届ける役割を果たした。
今回、新たに自動販売機での販売に着手した経緯について「やはりコロナで飲食店はダメージを受けている。そのような中、人の往来が多いつくばの中心部で、県内の飲食店などの商品を販売することは、お客様に喜んでいただけるだけでなく飲食店を元気づけ、勇気づける効果がある」と豊嶋さん。
つくばまちなかデザインと共同でプロジェクトを実施することについては「まちなかデザインとは理念が合致している部分も多い。センター広場では日々、人の集まるイベントが行われており、そうした場でプロジェクトを行うことは意義がある」と話す。
実行委員長を務めるつくば市在住の川根せりなさん(26)は「コロナ禍をきっかけに始まったプロジェクト。新しい商品の企画などで飲食店と協力させてもらっている。よりよいプロジェクトをつくっていきたい」と話す。
「自動販売機への出品店舗は広く募集している」と豊嶋さん。自動販売機を通した販売にあたって、各飲食店は、基本的な利用料を支払う。商品が売れ、利益が上がった場合は、出店店舗側の利益となる。自動販売機の運営には、自動販売機本体のレンタル費用、商品の入れ替えや釣銭の管理にかかる運用費用、電気代などがかかっており、これらについては出店店舗が支払う基本的な利用料の中から支払いを行っている。(山口和紀)
◆問い合わせ窓口はつくばまちなかデザイン(電話029-869-7229)へ。
ボランティアで荒れ地を整備 河川敷が憩いの広場に【桜川と共に】10
つくば市栗原、桜川に架かる桜橋上流の河川敷に芝生の広場がある。県有地で広さは約3ヘクタール。筑波山や宝篋山を見渡せ、桜川の自然を満喫できる憩いの場だ。週末には市内外からピクニックやキャンプに訪れた人々が思い思いにのどかな環境を楽しんでいる。
月1回 18年間草刈りやごみ拾い
憩いの広場は、住民団体「桜川ふるさと自然再生の会」(宮本健次会長、会員11人)が、毎月1回、ボランティアで草刈りやごみ拾いなどの整備を行っている。会員は地元住民や桜川漁協組合員など。元は農地だったが、竹林や雑木林となり、不法投棄のごみで荒れていた場所だった。
元会長の宮本正夫さん(故人)がその様子を見て心を痛め、子どもの頃のように桜川に親しめる場をよみがえらせたいと、2005年7月に同会を立ち上げた。
当初は30人の会員で整備をスタートした。ごみの搬出や竹林の伐採を行い、07年には市の助成金を受け、重機を借りて整地を進めた。つくばブランドの芝生を張って、荒地は美しく生まれ変わり、以来18年間、月1回の整備を続けて広場の景観を維持している。21年からは県土木事務所から河川愛護団体の認定を受け、草刈り機の燃料や飲料水といった整備作業に必要な物品の現物支給を受けて活動するようになった。
原風景よみがえらせたい
会員の大里茂則さんは「子どもの頃は水辺の草を刈って家畜のえさにしたり、川から砂利を取ったりと川に行くことが多かった。県外に働きに出て、戻ってきたら全く様子が変わって川に入れなくなっていた」と話す。かつては川に行く用事があったので、川への道が自然と手入れされていた。しかし川に行く人が少なくなって、やぶになる所が多くなっていった。会員は皆、親しめる桜川の原風景をよみがえらせ、多くの人に親しんでほしいという思いから活動を続けているという。
「自分たちが草刈りをやらなければ、若い人はやらないんじゃないか」と話すのは前会長の楢戸和夫さんだ。現在、最高齢の会員は83歳。現会長の宮本健次さん(70)は「会員が減少し、高齢化している。30人いた会員が今は11人となった。ボランティアを募集している」と言う。
週末、広場を訪れていたスリランカ出身で市内在住のテンナコーン・スメダさんは、ほぼ毎週末、同郷の仲間たちでこの場に集まって交流をしている。「とても良い所で気に入っている。今日はお昼から子どもたちも入れて20人くらいで集まろうと思っている。広いので子どもが遊ぶのにいい」。市内から来たソロキャンパーの男性は「お気に入りの場所で、時々来ている。あまり人に教えたくない所かも」。週末の広場には市内外のナンバーの車が停まり、テントを張ってコーヒーを入れたり、風景を眺めたりして静かに過ごす人々が見られた。
芝生の広場は30日から来年3月15日まで、桜川の川幅を広げる工事のため一般の利用ができなくなる。工事は、国の「防災・減災、国土強じん化のための5カ年加速化対策」事業を活用して実施される河川掘削工事で、工期は今年8月から来年3月まで。土浦市田土部とつくば市栗原の桜川で工事が行われている。川の流れをよくするため1万平方メートルにわたって掘削するもので、事業費は約6000万円。(田中めぐみ)
◆桜川ふるさと自然再生の会の次回草刈り作業日は11月18日(土)。参加申し込み、問い合わせは出電話029-857-6147(宮本健次会長)へ。
➡「桜川と共に」の過去記事はこちら
横瀬夜雨の小貝川堤《写真だいすき》25
【コラム・オダギ秀】横瀬夜雨の小貝川堤。悲しみを託して詠(うた)った詩が、その悲しみゆえに世間に称賛され、どんなにもてはやされたとしても、その悲しみが癒やされるわけでは、決してない。下妻市横根。筑波山を仰ぐこの地をぬい、小貝川が流れている。川堤には、草木に覆われて、うずくまるように詩碑がひとつ立っている。
花なる人の恋しとて
月に泣いたは夢なるもの
破れ太鼓は叩けどならぬ
落つる涙を知るや君
「やれだいこ」と題されたこの詩の作者は、横瀬夜雨(よこせやう、1878~1934)といい、茨城の3大詩人のひとりと言われている。
夜雨の家は近在に知られた豪農だったが、彼は、3歳の時、くる病に罹(かか)り、2年遅れて小学校に入学、成績は常に一番であったという。だが4年の時に骨身にしみる屈辱感を味わい、以来登校せず、自宅にこもって読書独学し、詩作を始めた。そんな中、夜雨は、近隣の美少女 琴に思いを寄せたが、彼女は間もなく嫁いでしまった。
叩けど鳴らぬ破れ太鼓
詩碑の「やれだいこ」は、くる病と、進学もできなかった劣等感を負った夜雨が、初恋と失恋の中で月に泣き、自らを、叩けど鳴らぬ破れ太鼓と自嘲した詩なのであった。が、夜雨の悲しみを詠った心とは裏腹に、彼の詩の評価は彼の成長とともに高まった。
夜雨の詩に惹(ひ)かれた文学少女が、夜雨を訪ねて来たことも再三あったという。だが、薄暗い部屋にうずくまる彼の姿を見て、逃げるように帰って行った者も少なくはなかったと伝えられている。
異性へのあこがれと孤独とを胸に抱きながら青春時代を過ごした夜雨は、ちょうど川堤の詩碑のあたりに腰を下ろし、筑波を望むのが常であったらしい。筑波山の朝夕の色の移り変わりを眺めて、心を満たしていたのだろうか。(写真家、日本写真家協会会員、土浦写真家協会会長)
市職員2504人の住民税4890万円を滞納 つくば市
つくば市は27日、市役所職員2504人の9月分の住民税計4886万8500円を、納付期限までに職員が居住する各市区町村に納めるのを怠ってしまったと発表した。
市職員の住民税は給与から天引きし、翌月10日の期限までに、事業主の市役所が、各職員が居住する計48の市区町村に納めることになっている。市は、インターネットを使って納税を行う「eLTAX(エルタックス)」という地方税電子納付システムを利用して納付手続きを行っている。
市人事課によると、給与から控除した金額をeLTAXに紐づく登録口座に移動させる際、パソコン画面上で手動で行う事務処理を怠ったのが原因という。この作業は毎月、人事課職員が行っているが、9月分については漏れてしまったとしている。
26日に笠間市から問い合わせがあり発覚した。調査したところ、市職員ほぼ全員の9月分の住民税が、納付期限を過ぎているのに納付されていなかった。
市は、納付先の48市区町村に電話して謝罪、27日に全額を納付した。一方、同一市区町村に納付者が100人以上いるつくば、土浦、牛久、つくばみらいの4市については延滞金が計約4万8000円生じる見込み。
再発防止策として同課は、納付の事務手続きを再確認し、複数職員によるチェックシートを用いた確認を徹底することで再発防止を図りたいとしている。
子供たちが仮装しハロウィンイベント つくば、土浦で今年も
31日のハロウィンを前に、つくば、土浦で住民団体によるハロウィンイベントが週末の28、29日に開催される。子供たちが仮装して街を歩く。
ごみを拾いながら つくば
つくば市では、研究学園駅周辺地区で活動する「けんがくまちづくり実行委員会」(島田由美子代表)が29日、同駅周辺と近くの学園の杜公園で「けんがくハロウィン2023」を開催する。昨年初めて開催し(2022年10月19日付)、今年2回目。仮装した子供たちが、ハロウィンかぼちゃと同じオレンジ色のごみ袋を持ってごみ拾いをしながら、駅周辺の店舗を回りお菓子をもらう。
駅前の不動産会社、ホテル、飲食店など、昨年より3店舗多い約26店舗が子供たちにお菓子を配る。ほかに、オレンジ色のごみ袋に色紙を貼ってハロウィンかぼちゃの顔を描いたり、賞品が当たる仮装コンテストなども催す。今年は新たに、かぼちゃをデザインした袋でランタンを作り、学園の杜公園に150個つるし、雰囲気を盛り上げる。
現在約2万人が住む研究学園駅周辺の開発地区は、市内外から新たに転居してきた住民がほとんど。代表の島田さんによると、同地区では多様な住民団体がさまざまな活動をしているが、住民同士や住民団体同士の交流が少ない、地元商店などとの関わりが少ない、駅前飲食店街はごみのポイ捨てがあるなどの課題がある。
島田さんは「新しくできた街はコミュニティが熟成されるのに時間がかかる。(研究学園駅周辺の)けんがく地区には課題やテーマごとに活動している住民団体のコミュニティがある。多様な団体が連携し、強み、得意を生かすことで、街の成長につながっていくのではないか」と話す。
ハロウィンイベントは、同駅周辺でごみ拾いをしている住民団体「研究学園グリーンネックレス タウンの会」(島田代表)の活動から発生した。ごみ拾いに協力した子供たちに、駅前の商店が詰め合わせのお菓子などを店頭でプレゼントしたことが始まりという。
第1回の昨年は地域住民約600人がハロウィンに参加。イベントを主催した同実行委は、イベントを通して住民団体同士の緩やかな関係や地元商店との協力関係を構築し、にぎわいを生み、ごみ拾いにより美しいまちづくりにも貢献したなどとして2022年度の「つくばSDGsアワード」を受賞した。
島田さんは、今年はさらに参加者が増えると期待しており、昨年4月から始まった「研究学園さくらまつり」(22年3月30日付)と併せて、「けんがくハロウィン」を春と秋の二大イベントとして定着させたいという。
◆つくば市の「けんがくハロウィン2023」は29日(日)午後2時~4時45分、同市研究学園5丁目の学園の杜公園に集合。参加は事前予約不要。駅周辺の店舗でお菓子をもらえる「トリック・オア・トリート」の対象は中学生以下の先着300人。ほかに仮装コンテスト、ハロィンゴミ拾い、ハロウィンクラフトなど。詳しくは同実行委のインスタグラムへ。
スタンプラリーで街歩き 土浦
「土浦ハロウィン」は、コミュニティバス「キララちゃんバス」を運行するNPOまちづくり活性化土浦が、28日午後1時30分から、土浦駅前の「アルカス土浦ひろば」などで開催する。「ゴイスーな仮装で大賞をGET!」「土浦の街をスタンプラリーで歩いてお菓子をもらおう」などの企画がある。昨年を上回る150人の参加者があり、すでに定員に達している。(榎田智司)
