洞峰公園の薔薇とイギリス文化の香り《遊民通信》33
【コラム・田口哲郎】前略
初夏のころ、つくば市にある洞峰公園のプール棟前には薔薇(バラ)の花が溢(あふ)れます。ローズガーデンさながらの種類と本数です。この薔薇園を特に入場料を払わずに鑑賞できるのは、とてもありがたいと思います。色とりどり、鮮やかさなど、さまざま楽しめるのはもちろん、香りがとてもよいのです。あまり強くなく、かすかですが、ふわっと心地よく、非日常に連れていってくれるような匂い。デパートに売っている高級な香水を思わせます。
さて、私は夢中で写真を撮ったのですが、ある写真を見返して思わずつぶやきました。「こりゃ、イングリッシュだな」と。マリーナという品種が、プール棟のレンガ風外壁とガラス屋根を背景に濃いオレンジ色に咲きほこっています。
西洋の伝統を感じさせるレンガと近代を物語るガラスに薔薇とくれば、水戸偕楽園の好文亭に梅林といったおもむき。イングリッシュの本体もそばにありました。クィーン・エリザベス。「われらが女王陛下のために」と、どこかで聞いたことがある言葉が思い浮かぶほど、その薔薇は我こそ薔薇なりと言わんばかりに堂々と咲いていました。
クィーン・エリザベスで思い浮かんだ言葉は、シャーロック・ホームズのセリフだった気がします。19世紀、大英帝国華やかなりし時代の物語です。シャーロックは犯罪者を推理のすえ、いよいよ追いつめようと、相棒のワトスン君とベーカー街の部屋を飛び出すときにそう言います。そういえば、NHK BSでイギリスのグラナダテレビジョン制作の「シャーロック・ホームズの冒険」が絶賛再放送中です。
大西洋の島国と太平洋の島国の文化
主演は大手菓子メーカー、キャドバリー社の御曹司ジェレミー・ブレット。イギリス紳士を演じさせたら右に出る者はいないハマリ役です。テレビドラマを含めてシャーロック・ホームズ好きは、シャーロキアンと呼ばれて日本全国に大勢いるのはご存知の通り。ホームズが人気があるのは、推理小説としての面白さもさることながら、その背後にあるイギリス文化をぷんぷん匂わせているからでしょう。
思えば、イギリス文化は日本に絶えることなく入ってきますね。ザ・ビートルズをはじめとするロック・ポップスから、レ・ミゼラブルのようなミュージカル、シェイクスピア演劇、ブロンテ姉妹、ジェーン・オースティンの小説、モンティ・パイソン、ミスター・ビーンのようなコメディまで、数えればきりがないです。
慶應義塾の政治思想の講義で、イギリスは島国で、文化がゆっくり独自の特徴を持つようになった、それは島国の日本も似ている、と聞いたことがあります。派手ではなくとも渋くて味のある文化が、洋の東西に位置する島国に蓄積しているのは愉快です。ヨーロッパ文明の波はますます押し寄せます。
今さらですが、英国から学ぶことは多いでしょう。そして日本もあちらに文化を大いに輸出するべきです。ごきげんよう。
草々(散歩好きの文明批評家)
雪の降った日に 《続・平熱日記》102
【コラム・斉藤裕之】新年早々降り始めた雪。たまたま初売りで買った長靴がこんなに早い出番を迎えるとは…。犬のハクは散歩が待ちきれない様子。歌にあるように、犬は雪の中でテンションが上がることは間違いない。ただ喜んでいるのかどうかは分からない。とにかく白い雪の中を狂ったように走り回る。
白い犬だからハクという名前なのだが、真っ白い雪の中にいると白くもなんともない。むしろ小汚くさえ見える。
白という色を初めて意識したのは…。自分の才能も顧みず、親や先生の忠告を無視して絵を描こうと決めた高3の夏。門をたたいた絵画教室で私を待ち受けていたのは、石膏(せこう)像と呼ばれる白い胸像たち。そもそも、黒い木炭で白い物を描くという時点でお手上げなのだが、朝から日没までひたすら石膏像を描く日々。
そして、絵を褒められることはついぞなかったが、「斉藤はがんばっちょる」という先生の一言で夏は終わった。
それからどのくらいたったのだろうか。白い石膏像が美しいと思えたのは、黒い木炭が影を自在に描く道具だと分かり、しかもその影は暗いのではなく仄(ほの)明るいと分かったとき。石膏像は柔らかな白だと分かったとき。なるほど「日」と「白」という漢字は関係があるような気がする。
群れてしまうと灰色になる?
それから、アトリエを少しだけ模様替えした。少しだけというのは、そもそも半分以上は物置のようなものだから、部屋全体に手を付けるにはそれなりに覚悟しなければならないからだ。何年分かのガラクタ?ゴミ?
いや、かつてはモチーフだったものや、描こうと思ってほったらかしたものたち。ハチの巣、鉄の部品、磁石、松ぼっくり、ハスの実、削りかけのさじ、抜けた歯…。どれもホコリまみれ。ホコリは、もともと様々な色の繊維などが集まっているものが光学的にグレーに見えるらしい。
子供のころ、パレットに余った絵具を混ぜるとなんだか汚い色になった、あれと同じ理屈だ。いろんな色を持った人も、群れてしまうとグレーになってしまう?のかな。
都会で知ったスノッブな白
さて机の位置も変えたし、新鮮な気持ちで描き初め。まずはお水取り。何年も使っている半分にカットしたペットボトルに水を入れる。それから新しいパレットを用意。これはもう長いこと牛乳パックを半分に切ったものを使用。牛乳パックの白は色がよく分かるし小さな絵を描くのにはちょうどいい。
日本海側では記録的な大雪らしい。物質の三態から言えば、水、水蒸気、氷。そうすると、雪はなに? 空から降ってくる不思議な白いもの。
「ねえ、ハクは少しずつ茶色くなってない?」と、カミさん。言われてみればそんな気もする。「これって何色って言ったらいいの?」「……」。そうだ、オフホワイト! 都会で知ったスノッブな白。私には似合わない白。(画家)
カエル像36体の物語 つくばテクノパーク桜 住民ら絵本づくり
つくば市桜のまちづくり団体、テクノパーク桜まちづくりを考える会(水谷浩子代表)がこのほど、地区内のあちこちに36体あるカエルの石像を主人公に、絵本『36ぴきのかえるちゃん』(A4判、20ページ)を制作、発行した。同会の古場容史子(よしこ)さんが朗読を担当し、YouTubeでも読み聞かせ動画を配信している。
36体のカエルの石像が会議をし、音楽のあるまちづくりをしていく物語。代表の水谷さんを中心に会員らが考え、筑波大学卒業生の高橋理恵子さんが絵本のイラストを描いた。
テクノパーク桜は1997年に、土地区画整理事業により完成した。筑波大学の東に隣接し、商業施設や住宅、研究施設が立ち並ぶ。同会は2009年に地域の良好な環境を守り、まちの活性と交流を目指すことを理念として発足。桜まつりや街角音楽会などさまざまなイベントを実施してきた。
地区内には事業の完了時点で、さまざまなポーズの36体のカエル像が設置されていた。腕を組んだり、ほおづえをついたり、一体一体ポーズが異なる。
代表の水谷さんは1998年からテクノパーク桜に住んでいる。当時はカエル像を気に留めていなかったが、ある時、数を数えたら36体あることが分かり、また1体ずつポーズが違っていることから興味を持ち始めたという。絵本の制作について「コロナ禍で会の活動がなかなかできなかったので、カエルの本を作ってお店に置いてもらったら街のことを知ってもらえるのではないかと思った」そう。
当時、石像を製作したのは桜川市に住む岩瀬照夫さん(72)だ。岩瀬さんは「ずいぶん前のことで記憶があいまいだが、注文を受けて制作した。カエルのデザインについては一任されていた」と話す。両国国技館(東京・墨田区)前に設置する四つに組んだ力士の像を手掛け、その制作のすぐ後にテクノパーク桜のカエル制作を始めたため、力士の姿をしたカエル像を思いついたという。
同会ではカエル像を皆に知ってもらい、地域の宝にしたいと、2019年に「カエルまっぷ」を制作した。一体ずつポーズの異なる像を「まねきカエル」「かたつむりカエル」「まんぷくカエル」などと名付けた。相撲のまわしを付けてポーズをとるカエル像は「はっけよいカエル」と名付けて、イラストを付けて36体をマップで紹介した。イラストは絵本と同じ高橋さんが描いた。
36体のカエル像をモチーフにした、マップに続く第2弾の取り組みとなる。カエル像は歩道に車が入ってこないようにする車止めの役割を果たしているものもあるが、36体作られた理由や配置については謎のまま残された。
「テクノパーク桜は新しい街なので伝統がないけれど、ここで育つ子どもたちが絵本を見てふるさとを思い出せるよう、ふるさとへの愛着を持てるようにしたい。テクノパーク桜にあるお店の人たちにも愛着を持ってもらいたい」と水谷さん。
絵本は500冊制作し、地区内の商店に置いてもらうほか、保育園などの施設にも配布するという。
動画の朗読を担当した古場さんは「絵本を見ることで、こんなカエルがあるんだよとみなさんに知ってもらいたい。春になって暖かくなったらみんなでカエルを巡り散歩して、楽しみながら興味を持ってもらえたら。とにかくカエルちゃんのしぐさがいい。カエルは他の場所にはない貴重な存在」と話している。(田中めぐみ)
YouTube『36ぴきのかえるちゃん』読み聞かせはこちら
サツマ苗などの自家育成が許諾必要に 《邑から日本を見る》104
【コラム・先﨑千尋】茨城の冬の風物詩はなんといっても干し芋づくりだ。寒風にさらされ、日の光を浴びた干し芋をこたつでお茶を飲みながら口にする。のどかな感じがする。もっとも最近では、天日乾燥は少なく、ほとんどが機械による人工乾燥になっているので、昔ながらの風景は少なくなっている。
今月13、14日には、ひたちなか市で2年ぶりの干し芋品評会が開かれ、干し芋ファンの人気を呼んでいる。その干し芋、最近は見た目がきれいで、軟らかめが好まれ、昔からの作り手は「これは干し芋ではない」と不満たらたらだ。
その干し芋の原料であるサツマイモは、3月になれば畑にイモを伏せるなど今年の準備に取りかかる。大体は、昨年収穫したイモから良質のものを選び種イモとするが、今年は今までと大きく事情が違う。
それは、昨年の国会で種苗法が改正され、つくば市にある農研機構などが育成し、登録した品種を対象に、農家が作ったものの一部を育てる自家増殖を原則禁止することになったからだ。この改正は、登録品種の海外への流出を防止するのがねらいだと国は説明している。
背景には、ぶどうのシャインマスカットやサクランボの紅秀峰(べにしゅうほう)などが大量に中国、韓国、オーストラリアなどに流出していることがある。サツマイモでは、人気が高い干し芋用の紅はるかが同じように海外に流出している。中国でのシャインマスカットの生産は、国のデータでは、栽培面積が日本の30倍以上、韓国でも日本の栽培面積よりも多い(2018~2020年)。
この種苗法の改正によって、生産農家が自家で苗を採る時にどうすればいいのか。これまでだったら、手続きは要らないし、カネもかからない。
農家にとっては一大事なのに…
4月からは、稲や麦類、大豆、ソバなどは許諾の手続きは要らない。サツマイモ、イチゴ、バレイショ、茶は無償だが、手続きが必要となり、ブドウ、柑橘類、柿、クリ、リンゴなどの果樹類は有償で手続きが必要となる。
サツマイモでみれば、紅あずまや泉13号などの古い品種は手続きが不要だが、紅はるかやクイックスイートなどは該当する。許諾の場合、第三者に譲渡しない、海外に持ち出さないなどの条件が付く。許諾が必要な上に、直売所などで苗を売ることもできなくなる。種苗店で買えば、当然高くなる。
こうした動きは農家にとっては一大事なのだが、何人かの干し芋生産者にこの話をしたら、そういうことは知らないと言っていた。行政やひたちなか市の干し芋対策協議会、農協からは何の情報も流されていないようだ。
農研機構は国の機関だ。育種などは当然税金で行われてきた。それを、いまさら許諾申請、有償などとはおかしな話、ふざけた話ではないか。海外流出が問題だというなら、それはそれらの国で品種登録すれば済むことだ。問題のすり替えでしかない。違反すれば刑事罰ということも聞いているが、それなら農家に周知徹底をしなければなるまい。
それなのに、大部分の農家はそのことを知らないでいる。この国のやることとは思えないのんびりした話だ。4月からの農村での混乱が目に見えるようだ。(元瓜連町長)
【訂正(26日付)】第6段落「(これまでは苗を)他人にあげたり、売ったりしても構わなかった」の部分を削除しました。種苗法改正前も登録品種の苗を意図的に他人にあげたり販売することは禁じられていました。お詫びし訂正します。
花粉症に新型コロナが紛れ込むリスク《土着通信部》50
【コラム・相澤冬樹】杉木立を歩く。花粉症の気が多少はあるみたいだが、そうそうひどい症状に悩まされたことはなく、森の中にも平気に入っていける。今ごろの時期になると、飛散のタイミングをうかがっているのだろう、スギの雄花がたっぷりと花粉をまとって、枝葉が重たげだ。
立ち止まって見上げていると、鼻の奥に引っかかるものがある。出そうで出ない、くしゃみ。不意に疑問が浮かんだ。
新型コロナの感染拡大が初めて伝えられたのは2年前、ちょうど今頃の時期だった。あの時、風邪の諸症状のなかで、熱や咳や倦怠感にコロナを疑っても、くしゃみと鼻水だけならまず大丈夫、と聞いて安心したように思う。感染症怖さに、軽度の花粉症ぐらいでは医者に行きたくない気分が支配的だった。
2年経って、今度はオミクロン株である。一般に重症化のリスクは低いといい、無症状の感染者が多いとの報告もある。それこそ風邪の諸症状どころか花粉症と見分けがつかないとしたら、逆に厄介だ。今度ばかりは、くしゃみも気にかけた方がいいのだろうか。
そうそう、くしゃみが出そうになるとマスクを外したくなる。くしゃみの飛沫のかかったマスクは使い続ける気にならないから、つい外そうとするのだが、飛沫をおびただしいほど周囲にばら撒く行為で感染対策上、好ましいことではない。
花粉症患者の中に、新型コロナが紛れ込む可能性とリスクが高まっている。常識的にはマスクをきちんと装着し、うがい・手洗いの励行、不安を覚えたらかかりつけ医師に相談をということだろう。
例年「並」なら多く飛ぶ?
この春、花粉(スギ、ヒノキ)の飛散はどうなのだろう。この1、2年コロナ禍に押されるように、メディアもすっかり花粉症の動向を取り上げなくなった。
環境省が昨年暮れに発表した「スギ雄花花芽調査」では、2021年6月から7月の日照時間が前年より大幅に増加した東北南部から北陸、関東でスギ雄花は前年よりかなり多くなっていたと報告した。猛暑の翌年には、春の花粉飛散量が増えるのが相場だから、気になる報告だった。
日本気象協会の2022年春の花粉飛散予測は、第3報(1月20日)まで出ている。「花粉シーズンは2月上旬に九州や四国、中国、東海、関東の一部からスタートする見込みで、1月のうちから花粉対策が必要となりそうです。飛散量は東海や北陸、関東甲信、北海道で前シーズンより多いでしょう」とある。茨城県についての飛散量は例年比、前年比とも「並」としている。
「並」なら、やっぱり多く飛ぶってことだよね。ううむ、鼻の奥がすっきりしない。不意に――ックション。
くっさめ、くさめ 誰か噂をしている。(ブロガー)
AIが通院や受診を支援 高齢者ら参加しつくばで実証実験
つくば市内で、AI(人工知能)などの先端技術を使って、高齢者や障害者の通院や受診を支援する「つくば医療MaaS(マース)」という実証実験が17日から実施されている。
スマートフォンの専用アプリで自宅に乗り合いタクシーを呼び出し、同じ方面に向かう人同士が乗り合わせて最短ルートで病院に向かったり、タクシーの車内で顔認証により病院の受け付けを済ませたり、病院の玄関から自動運転の車いすに乗って受診する診療科まで連れて行ってもらうなどだ。
国交省の事業に採択され、茨城県、つくば市、筑波大、民間企業など74者が参加する「つくばスマートシティ協議会」(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組んでいる。
高齢化率が高い小田と宝陽台の2地区を中心に、筑波大付属病院や筑波学園病院など市内6病院を結ぶ経路上にある98地区から参加者を募って、2月14日まで約1カ月間実施している。
対象地区の住民なら、専用アプリを自分のスマートフォンにダウンロードして登録すれば、だれでも実証実験に参加することができる。実証実験に参加しているタクシーは2台。期間中に98地区から6病院までを行き来するタクシーの乗車料は無料。22日時点で約180人が登録し、44人が実際に送迎などを利用したという。
AIによる乗り合いタクシーの通院ルート最適化が公共交通政策に反映できるかや、顔認証による受け付けで患者の待ち時間や病院の事務がどのくらい軽減するか、自動運転車いすが患者や付き添い者の負担をどのくらい軽減できるかを検証などする。ほかに病院内の防犯カメラの映像を使って、個人情報を除いた上で院内の人の流れの解析などをしている。
22日、五十嵐市長らが参加して筑波大付属病院で実証実験のデモンストレーションが催された。乗り合いタクシーと自動運転車いすに乗った五十嵐市長は「何の迷いもなく安心感をもって乗ることができた。ひじょうにスムーズ」と感想を話した。
同協議会幹事の鈴木健嗣筑波大教授は「病院にどうやって行ったらいいかとか、採血室はどこだろうとかなど、患者の不安を少しでも軽減できたら」と述べ、西山博之同病院副院長は「付属病院の1日の外来患者2000人のうち、杖をついていたり、荷物を持っていたりして補助が必要なケースが1日5~10件ある。(自動運転車いすなどで)自動化されれば(介添えなどの)マンパワーを他のところに充てることができる」と実用化の期待を話し「自動化された未来の病院像の設計を考えていくためにも実証実験は重要になる」などと語った。
◆実証実験の参加方法はつくば市ホームページへ。
まん延防止重点措置の適用を国に要請 知事
新型コロナウイルスの新規感染者が急増しているとして、大井川和彦知事は21日、国にまん延防止等重点措置の適用を申請したと発表した。
対象地域は1週間当たりの新規感染者数が人口1万人当たり1.5人以上の市町村で、21日時点で44市町村のうち、つくば、土浦市を含む41市町村が対象となる。対象地域は状況を見ながら柔軟に変えていく。
オミクロン株が主流の今回は、医療崩壊の危険までまだ余裕があるが、新規陽性者の急増の度合いが第5波の3倍の速さで拡大し、社会経済活動が危機にさらされる恐れがあるとして、従来より早めの申請をしたとしている。
学校の対策を強化
特に20代以下の感染がひじょうに増え過半数を占めているとして、学校の対策を強化する。重点措置が適用となった場合、対象市町村の学校は、部活動の練習試合は県内の学校同士2チーム以内、県内大会は原則、延期または中止、関東大会や全国大会などは全参加者の陰性を確認した上で実施するよう要請する。合宿など宿泊を伴う活動は自粛、修学旅行は、旅行先が重点措置の対象地域であった場合は延期または中止を要請する。
適用されれば、飲食店に対しても再び営業時間の短縮を要請する。ただし今回は①酒類を提供せず午後8時以降、営業自粛とするか、または②酒類を提供し午後9時以降、営業自粛とするか、どちらかを選んでもらう。協力金はどちらを選ぶかによって異なり、①酒類を提供せず午後8時以降の営業自粛の場合は中小企業は1店舗1日当たり売上高に応じて3~10万円②酒類を提供し午後9時以降の営業自粛の場合は2万5000円~7万5000円となる。大企業の飲食店も算定方法は別だが協力金の支給対象となる。
ただし会食は、同一テーブルでの飲食は4人まで、イベント開催は感染防止安全計画を策定した場合に限り2万人までとするよう要請する。
県民に対しては、第5波までは不要不急の外出自粛を要請していたが、今回は、リスクの高い場所への外出や移動の自粛、移動先でのリスクの高い行動を避けてもらうよう要請する。
県民を対象に県内旅行費用の一部を補助する「いば旅あんしん割事業」は、新規予約を22日で停止する。既存の予約分については、ワクチン接種証明ではなく検査の陰性証明を条件に割引をそのまま使うことができるようにする。
2月中に高齢者の3回目ワクチン接種を完了へ
一方、3回目のワクチン接種率は現在、県内の病院の医療従事者が64%、福祉施設従事者と入所者が15%にとどまっている。県は、全力で前倒し接種の働き掛けをしていくほか、一般の接種も前倒しして加速させ、高齢者の接種を2月中に完了させ、64歳以下についても順次、前倒しで接種を開始したいとしている。
21日時点の県内の感染状況は、1日当たりの新規感染者数は1週間平均で363.7人と、県独自の判断指標で「感染爆発・医療崩壊のリスクが高い」のステージ4の状況、一方、県内の病床稼働率は132床で「感染が概ね抑制できている」ステージ2、重症者は2床と「感染が抑制できている」ステージ1の状況。総合的には現在、ステージ2の状況となっている。
新規感染者数の年齢は、20代が29%と最も多く、次いで10代が15%、30代が14%、40代が13%。10歳未満も9%あり、20代以下が過半数を占める。一方、60代以上は10%だが、入院患者は70歳以上が過半数を占めている。
今後は、ピークとなるとみられる2月上旬くらいに1日当たりの新規陽性者数が2000人を超え、病床稼働数は500床を超える可能性があると推計されるという。
「しゅぅ〜ぅ〜シャッ」 《写真だいすき》4
【コラム・オダギ秀】「今日はチャチャ」かな。「しゅぅ〜ぅシャ」かな。仕事に行く前には、こんな会話がされていた。これ、なに? 昔、カメラは暗箱なんて言い方をしていたが、そんな時代のこと。
昔、カメラのレンズの前には、ソルントンシャッターというようなシャッターを取り付けた。外付けだ。
ネジが付いていて、巻くとシャッター幕という黒い布がレンズに入る光を遮った。それにはゴムの管と球が付いていて、ゴム球を握ると黒い布は光を通し、ゴム球の握りを離すと、また黒い布が、レンズに入る光を遮る仕掛けになっていた。
つまり、カメラのレンズから入る光を入れたり閉じたりした。それがシャッターだったのだ。
年配の方なら覚えがあるだろう。学校で記念写真を撮るときなど、写真屋さんは「はあい、撮りますよう」とか言って、手に何かを持って握っていたことを。あの持っていたのが、シャッターを開け閉めするゴム球だ。
今のカメラは、そのシャッターを、電子機構などによって、カメラに光を入れる時間を数百分の一秒とか数千分の一秒とかにコントロールしている。カメラやフィルムの感度も、比較にならぬほど高くなった。
ところが、この昔のシャッターの時代には、数百分の一秒なんて、短い時間のシャッターは切れなかった。そんな仕組みは出来ていなかったから、当初の、「チャチャ」になるのだ。
どういうことかと言うと、シャッター速度、つまりカメラに光を入れる時間は、撮影者の手の動きで決めたのだ。空を仰いで、今日は晴れているから、チャっと開けてチャっと閉めるか。チャチャだ。
今日は天気が悪くて少し暗いから、しゅぅ〜ぅと開けていて、シャッと閉めるか、ということなのだ。師匠からは、この口癖のようなシャッターと明るさの関係を仕込まれた。何分の一なんて、キザなことは教わらなかった。「しゅぅ〜ぅシャッ」なんて、呪文のようなことを覚えさせられた。
木製・金属のカメラ三脚の使い方
カメラは木製だった。見事な細工だった。三脚も軽い木製。持ち歩きには便利だった。それがいいとか、味があるとか、そんなことは言わない。そんな時代だったのだ。
だが、木で作られたそんな三脚は役に立った。今はマナーなどまったく気にしない者が多いが、撮影にいい場所取りをするときなど、いい場所を確保した順番は絶対に守らなければならないマナーだった。
自分のカメラの前に後から来たマナーを守らぬ者が出ようものなら、周囲の皆で懲らしめた。そんなときに、木製三脚は木刀になり、渡り合う道具にできたのだ。金属三脚では、懲らしめ過ぎて、大けがしたのがいたなあ。(写真家、土浦写真家協会会長)
当初、口外禁止を条件に和解提案 名誉棄損訴訟で五十嵐つくば市長
訴えられた亀山元市議が会見
五十嵐立青つくば市長が、前回の市長選前に新聞折り込みで配布されたチラシ「つくば市民の声新聞」を発行した「つくば市民オンブズマン」代表の亀山大二郎元市議を相手取って、市長選直後の2020年11月、名誉や社会的評価を著しく棄損されたなどとして慰謝料と謝罪を求める訴訟を起こし、今年1月に取り下げた問題で、訴えられた亀山さん(80)が21日、記者会見を開いた。
非公開で行われた21年5月から12月まで計6回の弁論準備手続きの経緯を説明し、五十嵐市長側が当初、訴訟内容を第三者に口外したり、論評しないことを条件に訴訟を取り下げてもよいと、亀山さん側に和解を提案していたことを明らかにした。2回目の弁論準備手続きが開かれた6月に五十嵐市長側から提案があった。亀山さん側は、名誉棄損の訴えに対し全面的に争うとして答弁書と準備書面を出していたが、その際、五十嵐市長側からの反論はなかった。
亀山さんは「けんかを仕掛け、記者会見など公の場で(亀山さんを)非難しておきながら、分が悪くなったら、訴訟を取り下げてやるから、その代わり論評や批判を一切するなというのはあまりにも身勝手で傲慢な提案だとして、取り下げに同意することを拒否した」としている。
すると五十嵐市長側は、9月の第4回弁論準備手続きで、公選法の虚偽事項公表罪に該当すると訴えを追加した。これに対し亀山さん側が再び全面的に争う内容の準備書面を出すと、五十嵐市長側から反論がないまま、昨年12月に、これ以上、立証活動を行い、主張を維持することは困難だなどとして、取り下げが提案された。今回、取り下げの条件は一切なかった。
亀山さんは「この訴訟で最も傷つけられたのは亀山であり、和解案に謝罪の一言があってしかるべきだった」と話し、訴訟の間、発行を休んでいた市民の声新聞を近く発行して、今回の訴訟の詳細な内容を市民に知らせ、さらに2期目の五十嵐市政を厳しくチェックしていきたいと強調した。
「言い訳としか思えない」
五十嵐市長が20日、訴訟の取り下げを公表したフェイスブック(FB)の投稿に対しては「(五十嵐市長は)自分がやったことは正しいけれど、法制度に照らし合わせると訴訟に負けるから取り下げましたと言っており、言い訳をしているしか思えない」と指摘した。五十嵐市長が「提訴時点で検討が不十分であったことは反省している。亀山氏に応訴の負担をお掛けしたことについても申し訳なく思っている」と陳謝していることに対しても、「本当に謝罪したとは思えない」と批判した。
FBで五十嵐市長がまず、市民の声新聞の記述が事実と違うと主張していることに対して亀山さんは、答弁書や準備書面で反論してきたとし、一部の枝葉の表現に誤りがあったが「市役所に比べて一市民は情報収集能力が低いので、可能な範囲で調査を行った結果、得られた情報が最新のものでなかった」「故意に虚偽事実を流布した認識はない」などと主張してきたとしている。
さらに亀山さんは「政策に対する市民からの批判に対して市長は、言論で対抗したり、市民との対話によって釈明、理解を求めていくのが通常の在り方」であり、「市長が訴訟を起こして市民に負担を強いることは、市長の政策と実績を検証・批判する者に対し、今後、同様の検証・批判・意見の表明を封じようとする圧力以外の何ものでもなく、民主主義を揺るがしかねない表現の自由に対する侵害であって、権力者による弾圧」だなどと主張してきたが、これに対する五十嵐市長側の反論はなかったとしている。(鈴木宏子)
真壁のイシ会と日仏の医師会 《くずかごの唄》101
【コラム・奥井登美子】床屋さんの看板で青と赤がぐるぐる回っている。フランスのアンブロワーズ・パレは、床屋から医者になり、4代の王様の主治医になった歴史的人物。私も薬史学会の見学会に参加し、パレがいたオテルデュ病院(パリ)に行ったことがある。赤は動脈、青は静脈の象徴である。
日仏薬学会は、日仏医学会とも昵懇(じっこん)の間柄であった。1990年、仏医学会の希望があり、日仏医学会で「アンブロワーズ・パレ生誕400年祭」を記念して、日本外科学会から日本の古代型石灯篭を送ることになったらしい。
日本の王様、天皇陛下に歴史上初めて手術をなさった手術医は森岡恭彦先生。その先生がある日、奥井薬局に飛び込んで来られた。
「石灯籠の製作は真壁町だそうです。行ってみたいのでよろしくお願いします」
パレに捧げる記念品を、日本の王様の主治医が真剣に探している。五所駒瀧神社(ごしょこまがたきじんじゃ、桜川市真壁町)の櫻井崇さんが石工の加藤征一さんを紹介してくださった。
「そちらが医師会ならこちらもイシ(石)会です。同じイシ会としてぜひ協力させてください」
浄瑠璃寺(じょうるりじ、京都府木津川市)の古代燈籠と同じ形の、手づくりの見事な石灯籠が出来上がった。
パレ生誕400年祭に石灯籠
1991年1月19日 石にはその土地の魂が宿っているので、日本の伝統的な行事で送り出してほしいという仏大使館の要望で、五所駒瀧神社で禊(みそ)ぎを行うことになった。
出席者は、東大教授森岡恭彦氏、仏大使館グルギエール氏、仏薬剤師会テメム氏、慶応医学部教授大村敏郎氏、埼玉医大教授加賀美尚氏、東大医学部佐野武氏、千葉大一外科教授奥井勝二、日仏薬学会事務長奥井清、石工加藤征一氏、画家新居田郁夫氏。
千年の歴史がある神社。神官装束の櫻井氏の気品とパレの伝記を読み込んだ祝詞の上品な声。かやぶき屋根の社と、背景の古木の森にこだまして、荘厳な神事であった。たくさんの人が協力して、日本の古代式手づくり石灯籠を、パレ生誕地の公園に設置することができた。(随筆家、薬剤師)
