月曜日, 4月 6, 2026

91歳 和子さんの絵を描く《続・平熱日記》103

【コラム・斉藤裕之】和子さんは91歳。今も東京で1人で暮らしている。和子さんは長女の嫁いだ先のおばあちゃんで、つまり私の孫からすればひいおばあちゃんということになる。その和子さんの絵を描いてほしいという。たまたま私の描いた孫の絵の画像をご覧になった、和子さんご自身が望まれたそうだ。 ちゃんとキャンバスに描いた方がいいのかな?とも思ったが、いつも描いている素材がいいということで、遠慮なくそうさせていただいた。人を描くのは嫌いじゃない。なぜかというと、ひとつには余計なことを考えなくていいから。人という単体を描けばいいから。そして、その人「らしさ」が描けるのが面白い。 やがて、ご家族が選んだ写真がメールで送られてきた。集合写真の中から、和子さんを拡大しながらよさそうなのを探すのだが、写真写りがいいのと、絵に向いているのとは若干違う。お若いときの写真もある。迷った末に、1枚の写真に決めて描くことにした。 人を描くのが好きだとは言ったが、うまいとは言っていない。だいたい、最初の描き出しからしばらくは調子がいい。ところが、しばらく描いているうちに、何となく雲行きが怪しくなってくる。 描いているときには、比例、奥行き、明暗、質、立体感、固有色…など、様々なことを瞬時に考えながら筆先を動かしているのだが、人の顔を描くと、どうしても目鼻口などに気を取られて、知らず知らずのうちに、芯のないペラペラな絵になっている。 例えば、日本の地図がいかに正確に描けていても、丸さが描けていなければ地球には見えない。一見複雑に見えるものにでも、必ず軸がある。その軸に対して構造があり、秩序があり、バランスがある。天体にも走る犬にも人の顔にもある。 はからずも前回の逸話の続きになってしまうのだが、それを最初に教えてもらったのが高3の夏。ひたすら石膏(せっこう)像を描いたアトリエだ。先生は初めて木炭を持つ私に、このことだけをしつこく言われ続けた。あれから何10年も経っているのに…。「斉藤! やり直し! 」 戦争を経験した母と同じ世代 選んだ写真は数年前のものだったが、お年の割に皴(しわ)もなく、年寄じみた感じがしない。和子さんのことはほとんど知らないのだが、絵を描きながら、勝手にお人柄などを想像しながら筆を進める。送ってもらった写真のほとんどは何かのお祝いでご家族が集まったときのものだった。 和子さんは一族の母親としていつも中心にいらっしゃる。もしかすると、数年前に亡くなった母と同い年かもしれないとも思った。 戦争を経験した母の世代。生前の母の姿や言葉なども思い出された。もしも生きていたら…ひ孫を抱く姿も容易に想像できた。私が母の絵を描くことはなかったが、母が私に書いた手紙が額に入れて残してある。字を書くのが好きだった母が、我が家の新築を祝って寄こした手紙。 改めて読んでみると、母の気持ちが素直に書かれていて、和紙に少し薄めの墨の色も美しい。あれ?おかあちゃん、カナコの漢字が違っちょるよ! さて、小さな絵を描き始めて何日目かの朝、私が勝手に想像する「和子さんらしさ」が何となく感じられてきた。出来上がった絵を手製の額におさめた。(画家)

つくば市長の市民提訴 その顛末を検証する 《吾妻カガミ》126

【コラム・坂本栄】ミニ紙に市政を批判され、ウソが多いと発行人の市民を訴えた市長。ところが裁判に勝てないと気付き、取り下げを図ったものの、条件付きの和解を拒否され、逆に「追訴」で裁判を補強した市長。それでもダメと分かり、無条件取り下げをのんでもらい、自ら裁判の幕を引いた市長。つくば市長の市民提訴の顛末(てんまつ)はこんな流れでした。 原告・市長の取り下げ声明(1月20日)は記事「名誉毀損訴訟を取り下げ 五十嵐つくば市長、FBで公表」(1月20日掲載)で、被告・市民(亀山元市議)の記者会見(同1月21日)は記事「当初、口外禁止を条件に和解案 …つくば市長」(1月21日掲載)で、ご覧ください。五十嵐さんの1人芝居に終わった感がある裁判のあらましが分かります。 よく調べずに高齢市民を提訴 発信力がある市長が80歳の高齢市民を提訴(2020年11月、被告が知るのは2021年1月)するという、このユニークな裁判沙汰については本欄でも5回取り上げました。今回はその続きです。 五十嵐さんの当初の主張は、亀山さんが発行する「つくば市民の声新聞」の市政批判記事は虚偽が多く、市長としての名誉を傷付けられた、だからその損害を賠償せよ―というものでした。ところが、記事は市長個人を批判したものでなく、市政の不出来を批判したものだから、民法の名誉毀損にならないことが分かった―これが取り下げの理由、その1です。 途中で補強した主張(2021年9月)は、市長選挙前、ミニ紙は市政について虚偽の記事を載せ、事実をゆがめたから、公職選挙法の虚偽事実公表罪に当たる―というものでした。ところが、それを立証できなかった―これが取り下げの理由、その2です。 よく調べないで裁判に持ち込んだあと、両者の弁護士と裁判官による審理の過程で、ミニ紙の記事は名誉毀損に当たらない、公選法上の問題も立証できない―ことが分かったというのです。実にお粗末です。 ネット上のフエイスブック(FB)に、「提訴の時点で検討が不十分であったことについては反省しております。亀山氏に応訴の負担をおかけしたことについても申し訳なく思っております」(取り下げ声明)と書き込んで済む話ではありません。亀山さんに直接会い、弁護士費用は負担しますと、謝罪するのが大人の作法でしょう。 市長としての適格性に疑問符 亀山さんによると、五十嵐さんが最初(2021年6月)に取り下げを図ったとき、その和解案には「和解により(裁判が)終了したことを除き、正当な理由なく第三者に口外しないことを相互に確約する」「本件訴えの提起や和解内容に関して、論評しないことを相互に確約する」との条件が付けられていたそうです。 分かりやすく言えば、提訴をコッソリ取り下げたいので、その経緯はメディアなどに喋らないでほしい―ということです。取り下げの詳細を市民に知られたくなかったのでしょう。 法律をよく調べないで市民を訴える(市長の適格性に疑問符)。市民への謝罪をネットで済ませる(大人の社会常識が不足)。取り下げの実相を市民に隠す(正しい情報発信とは真逆)。市民の市政批判を萎縮させる(民主政治の基本「言論の自由」を軽視)。今回の一件を検証して、五十嵐さんのこんな行状が明らかになりました。 (経済ジャーナリスト) <名誉毀損提訴を取り上げたコラム>▽101「…名誉毀損提訴を笑う」(2021年3月1日掲載)▽103「…提訴を検証する」(2021年4月5日掲載)▽105「…近く裁判開始」(2021年5月3日掲載)▽111「…提訴を取り下げ?」(2021年7月19日掲載)▽120「…批判封じに新手」(2021年11月15日掲載)

海軍のまち土浦は元祖パンのまち 《ポタリング日記》5

【コラム・入沢弘子】「霞ケ浦海軍航空隊にパンを納めていた」と話すパン屋さんが、幼少期に住んだ土浦の家の近所にありました。以前から土浦にはパン屋さんが多かったと思い出し、土浦駅周辺の店11軒を訪ねました。駅ビルやスーパーの店舗内にもあるのですが、今回は地元の独立店でパンを焼いているお店から、昔ながらの味「あんパン」を選びました。 霞ケ浦総合公園のオランダ型風車の展望台から湖の景色を堪能し、駐車場でトランクの「BROMPTON(ブロンプトン)」を組み立てて出発。高校の購買部でもお馴染みの「栄パン」は霞ケ浦文化体育会館横を通過し国道を渡るとすぐ。工場併設の売店があります。 次の「コパン」は栄パン横のなだらかな坂の上。お店前の信号から住宅街を進み、大通りを渡って土浦日大高校の前を通過。先の常磐線線路を跨ぐ歩行者専用橋を渡ります。坂を下って駅方向に進むと「プレジール」。 この先は土浦第二小学校横の道を線路に向かいます。県道を渡り線路沿い道を行くと、突き当りに「鈴家パン」。工場横の厚い木の扉を開けると、パンの世界が広がっています。鈴家パンも高校の購買部の思い出のある方も多いでしょう。 城下町の街並みに溶け込むパン屋さん この後は少し離れたお店へ。桜川橋を渡り左岸を上流にひた走り。土浦橋を過ぎた自転車専用道の手前を下ります。桜川保育園の先の「パン工房T-LAMP」は、市内の別の場所から移転してきました。 お店の隣のヨークベニマル前で県道を渡り住宅地を進み、洋菓子屋さん手前を右折直進。旧6号(国道354号)を越すと、道は染谷石材店で直角にカーブ。ここは土浦城の南門跡。屈曲した道は城の防御拠点の馬出があった場所です。 右手に可愛い四角い建物の「小林パン店」。子ども時代に等覚寺の墓地横を通って来たお店です。土浦宿の面影が残る中城通りを抜け、駅前通りを渡ると土浦宿本陣跡の商工会議所に至ります。向かいに昭和のたたずまいを残す「木村屋パン店」。お店の先を左折直進し、駅前通りを亀城公園方面に進むと右手に「フランドル」。赤い店舗テントが目印です。 筑波銀行本店前を左折し瀧泉寺前を進むと、旧町名・鷹匠町の石碑が建つ道にぶつかります。左折しすぐ右折すると「猪俣パン店」。路地を抜けて町の空気を感じられるのが土浦散策の醍醐味(だいごみ)。小回りのきく自転車は最適です。 あとの2軒は駅方向。完成直後の亀城モールを通ります。ここは霞ケ浦へ続く川口川のあった場所。同じく川口川跡のモール505横に「千勝堂本店」。最後は駅前から伸びる八間通りの一つ目の信号先の左手に「中村屋」。れんこんサブレ―が置かれた棚から、あんパンを選びました。 城下町の街並みに溶け込む土浦のパン屋さん。昭和初期から続く店もあり、人々の生活に寄り添うように続いてきました。ふんわりとした生地のパンは、老若男女に愛される、やさしく親しみやすい味。海軍のまち・土浦は、カレーも有名。次の買い歩きはカレーパンにしようかな。(広報コンサルタント)

3年ぶり開催へ準備継続 かすみがうらマラソン

かすみがうらマラソン大会事務局(会長・安藤真理子土浦市長)は4日、4月17日に予定される「第32回かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2022」開催に向け、引き続き準備を進めていくことを公式サイトで発表した。一方で、オミクロン株による感染拡大など「今後の状況によっては開催中止もありうる」とした。 イベント開催要件の範囲内 かすみがうらマラソンは、2020年以降、新型コロナ感染拡大により、2大会連続で中止となった。今年開催されれば3年ぶりとなる。 今回、中止の判断を回避した理由として大会事務局の土浦市スポーツ振興課は、新型コロナ感染が拡大しているものの、地域の医療状況のひっ迫度と専門家の判断を踏まえ、国、県、市等が定めるコロナ禍でのイベント開催要件の範囲内であることから判断したと説明した。今後は、自治体の開催要件、日本陸連が提示するガイダンスを踏まえながら、専門家と協議しつつ開催の可否について総合的に判断していくとした。 時間差でスタート 今大会の特色として、スタート時のランナー同士の「密」を回避するため、ランナーを複数のグループに分け時間差でスタートさせる「ウェーブスタート」を実施する。 感染対策としてほかに、今大会の参加条件として、ランナー、運営スタッフ・ボランティアの大会関係者、マスコミ関係者は、開催1週間前から専用アプリを通じた体調管理チェックと結果の提出が必須となる。アプリは後日、大会公式サイトからダウンロードできるようにする。また、アプリ使用環境を持たない場合は、同サイトからチェックシートを入手することが可能だ。大会参加に際して、現段階でPCR検査や抗原検査による陰性証明は求めてないが、今後の状況次第で参加条件に加える可能性があるとした。 ランナーは、レース中以外、マスク着用を必須とし、使用後のマスクや給水所での紙コップなどのごみに関しては、持ち帰りを基本とする。捨てる場合も指定の場所に捨てるよう要請する。 ランナー用の更衣室は、2019年大会と同規模のものを用意する。ただし使用に際しては、換気・消毒を徹底した上で、マスク着用を必須とする。視覚障害者によるマッサージのコーナーは、感染対策の観点から中止する。 沿道での感染対策については、自粛を求める指針はないとした上で、大声は控え、ランナーとのハイタッチを控えるよう、今後、折込チラシや公式サイトを通じて告知するとした。 参加申込者8000人減 今大会の参加申込者の総数は、2019年大会から約8000人減の1万1690人。全種目で定員割れとなったため抽選は行わない。今後、大会が中止になった場合の参加料の返金については、3月17日までは20%が返金され、それ以降の返金はない。参加賞は、中止の有無に関わらず、参加申込者全員に発送する。 同事務局の担当者は「過去2年中止になり、開催を待ち望むランナーの声も届いている。ランナーだけでなく、地域やボランティアへのリスクも考えつつ、安心・安全な大会開催へ向けて今後の状況を注視したい」と述べた。(柴田大輔)

レストラン中台のレトルト5品 カレーオブザイヤー特別賞 土浦

土浦カレーフェスティバルで6年連続優勝を果たし、殿堂入りしている、レストラン中台(土浦市桜町)のレトルトカレー「つちうらカレー物語」5品が「カレーオブザイヤー2022」特別賞を受賞した。昨年発売された「弓豚スペアリブのスープカレー」「幻の飯村牛キーマカレー」「弓豚のプレミアムカレー」「土浦ホワイトレンコンカレー」「クリーミートマトカレー」の5品だ。 カレーオブザイヤー2022は、カレー総合研究所(井上岳久社長、東京都渋谷区)が運営する「カレー大學」が、革新的、画期的だがまだ世間に知られていないカレーに、1月22日のカレーの日に合わせて賞を授与しているもので、2017年から毎年名品カレーを選出している。 オーナーシェフの中台義浩さんによると、新商品のレトルトカレー5品は、佃煮加工の小松屋食品(土浦市大和町)の煮釜の1つをカレー加工専用にしてもらい製造した自信作だ。レシピだけを監修したのではなく、シェフ自身が味を確認し調整しながら作っているこだわりのレトルトカレーだという。 「コロナ禍の一昨年はお客さんが来なくなり従業員も呼べない状況だった。仕事がしたくてもできず、レトルトの新商品を作ろうと思い開発した。特に『幻の飯村牛キーマカレー』と『弓豚のスープカレー』は完璧な出来上がり。ぜひ食べてみてほしい」と話す。 材料にもこだわった。飯村牛や弓豚といった希少な銘柄肉のほか、野菜はなるべく地元産のものを使用。土浦、阿見などの契約農家と提携し新鮮なものを仕入れている。土浦特産のレンコンを使用しているのも特徴だ。 レストラン中台ではこれまで「幻の飯村牛ビーフシチューカレー」と「幻の飯村牛牛すじカレー」を発売しており、レトルトカレーは新商品を加え全7種類となる。同店のほか、スーパーマーケット「カスミ」やJA直売所各店、オンラインでも購入することができる。 今年で創業83年目となる老舗。今後の目標は霞ケ浦のテナガエビを使用したカレーを開発することだという。「テナガエビはまだあまり注目を浴びておらず、地元の漁師さんからもっとテナガエビを売りたいという声を聞いている。土浦や阿見の名産カレーとして商品化できたら」と中台さん。また、アスリート向けにタンパク質を増やし、カロリー計算した「奇跡のKOカレー」の商品化も目指している。冷凍食品も開発中で、店の味を完全再現したカレーやハヤシライスを試作中だ。(田中めぐみ)

嫌いな人に嫌われても構わない 《続・気軽にSOS》102

【コラム・浅井和幸】毎日の生活の中で嫌なことが重なり疲れてくると、せっかくの休日なのに、学校や職場での嫌なことばかりを考えてしまうものです。苦しく余裕がなくなると嫌なものに過敏になるのは、生物の長所でもあるのでしょう。危険を避けるためには必要な特徴です。 ですが、まるで恋焦がれるように、嫌なクラスメートや授業、嫌いな同僚や上司、仕事などを、ずっと考え続けることはお勧めできません。次の月曜日に試すために、対策を練るのであればよいのですが、ずっと「嫌だな、嫌だな」と繰り返すのは、疲労をため込むだけになってしまいます。 この習慣を続けると、良い友達、面白い授業、尊敬する上司、意義を感じられる仕事があったとしても、それらをないがしろにし始めます。そして、嫌なことばかりを繰り返し考えるのです。 自分にとって好ましい人、尊敬できる人の価値観を軽く見て、自分が嫌いな人、尊敬できないとの価値観を大切にしようとしている状態になっていることに気づきにくくなります。嫌いな人に嫌われることを恐れます。 好きな人に悪い態度をとる なので、人の悪口を言いたくないと思っていても、人の悪口を言う嫌な人に嫌われたくないので、自分が嫌いな人と一緒になって誰かの悪口を言う毎日。能力のない上司に気に入られるために無駄なことをする、性格の悪い同僚のご機嫌を取るために性格の悪い言動を繰り返す。 好きな人や尊敬できる人は、自分を攻撃してこないので、無視してもよい人間となります。場合によっては、少々、八つ当たりしても優しく受け止めてくれるので、厳しく当たってしまいます。 これはとても疲れることですよね。好きな人に悪い態度をとり、嫌いな人に良い態度をとる。だんだん、自分が望まない、自分が嫌いな人間になる努力をしているようなものです。そうはいっても、嫌いなクラスメートや上司を無視してよいかとなれば、そう簡単なものではないですよね(せめて離れているときは無視してもよいと思いますが)。 そこは、どれぐらい最小限の付き合いができるかを考えつつ、もっと大切な、自分が好きだったり尊敬できたりする人との関係をどのように大切にできるかを考えましょう。極端に言えば、嫌いな人に嫌われることを甘んじて受け入れて、尊敬できる人に尊敬されるような、好きな人に好かれるような人間を目指すと考えてみましょう。 そして、それに近づくために現実的に自分に何ができるかを考えて試します。余裕がないときはその考えが浮かばず、「絶対無理」とか「~するしかない」という考えしか浮かばないと思います。そんなときは、尊敬できる人に何かしらのアイデアを分けてもらいに行動に移してみてください。(精神保健福祉士)

一般会計1千億円突破 4年連続で過去最大更新 つくば市22年度当初予算案

つくば市の五十嵐立青市長は3日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比13.2%増の1015億3200万円となり、初めて1000億円を突破し、4年連続で過去最大を更新する。特別会計などを加えた総額も同比8.5%増の1622億6700万円となり、こちらも4年連続過去最大となる。 BMXコース、スケボーパークなど整備 児童生徒数の急増により、研究学園小中学校(44億9200万円)、香取台地区小学校(22億7300万円)、みどりの南小中学校(22億5000万円)の3校の建設を進めるのが主な要因。さらにみどりの地区に屋内温水プールを建設し24年4月のオープンを目指す(11億1900万円)。給食センターも2020年に谷田部地区に新設したばかりが、足りなくなる見通しであることから、新桜学校給食センターを新設するための設計を実施する(3800万円)。 主な新規事業は、廃校となった旧筑波東中学校にBMX(自転車のモトクロス競技)コースなど自転車拠点(2億2300万円)と、ジオパーク中核拠点(1億5000万円)を整備する。さくら運動公園北側の流星台に2023年4月オープンを目指しスケートボードパークを整備する(5400万円)。 さらに筑波山ふれあいの里を魅力あるアウトドア体験施設とするためキャンプ場改修の設計を実施する(1500万円)ほか、市北部の廃校を文化芸術創造拠点とするため基本計画策定や改修を実施する(1300万円)。 課題となっている最終処分場は、焼却灰などの最終処分を委託している下妻市内の民間最終処分場が満杯になり受け入れができなくなることから、4月から山形県米沢市に加え、新たに青森、秋田県内の最終処分場に処分を委託する。これにより最終処分費が前年度と比べ8600万円増え、4億1100万円になる。一方、ごみ減量のため生ごみ処理容器購入補助金を3倍に増やし500万円を計上する。 コミュニティバス「つくバス」(4億1200万円)は、実証実験を行っていた茎崎地区の路線バスをつくバス路線とするほか、上郷シャトルを増便する。筑波地区の支線型バス(4900万円)は4コースのうち3コースを廃止し1コースのみで本格的に運行する。新たな実証実験として、学園の森を経由する石下-土浦路線と松代地区の路線バスに2路線に負担金(760万円)を出す実証実験を行う。 昨年12月、計画を大幅に見直したつくばセンタービルの改修は、市民活動拠点の整備工事などに2億6700万円を計上する。エスカレーター2基の設置などが無くなったが、全体事業費は9億円で、当初より約8000万円安くなるにとどまるという。 コロナ対策としては、昨年暮れ、子育て世帯臨時特別給付金10万円の給付を受けることができなかった離婚家庭の子供などに市独自に10万円を給付する(給付金2400万円)。中小企業の販路拡大補助や雇用促進支援など経済支援を継続し1億3800万円を計上する。 ほかに、市民に正しい情報を発信するためとして、市政情報を深く知ってもらうための「かわら版」の発行回数を増やすほか、動画によるかわら版チャンネルを制作・配信などする(6400万円)。 一方、歳入のうち市税収入は、人口増加に伴う個人市民税や固定資産税の増加により前年度当初比5.5%増の約484億7500万円を見込む。前年度当初はコロナ禍により税収が減ると見込んでいたが、給与所得者が多い人口構成のため、全体として大きな影響はなかったとして新年度は増加を見込んだとしている。 借金である市債は同比71.5%増の105億2500万円を発行し、一般会計の市債残高は今年3月末の567億5900万円より43億円増え、22年度末は611億2400万円になる見込み。(鈴木宏子)

今年も開幕延期 筑波山梅まつり

筑波山の中腹、筑波山梅林(つくば市筑波)で12日から開催を予定していた「筑波山梅まつり」について、主催者の筑波山梅まつり実行委員会(委員長・五十嵐立青つくば市長)は1日、まん延防止等重点措置の茨城県への適用に伴い、開幕を延期すると発表した。12日から3月13日まで開催の予定だった。新型コロナの感染拡大が始まった一昨年は会期途中で中断、昨年は県独自の緊急事態宣言により約2週間遅らせての開幕となっていた。 開催可否は、状況を見て判断 今年の延期措置について市観光推進課は、市内で感染が拡大している状況をみた上での判断だったと説明し、今後についてはまん延防止等重点措置の解除後の開催に向けた準備をしつつ、重点措置の期限である20日を目安に「県外を含めた周辺地域の状況を踏まえ開催の可否を判断していく」とした。開催に関する情報は、「筑波山梅まつり」のオフィシャルサイト、市のホームページ、プレスリリースなどで発表する。 3日現在の開花状況は、早咲きの紅梅が5分咲き、白梅はまだつぼみだ。両方が咲きそろう見頃は、2月下旬から3月初旬にかけてと見込まれているが、見頃までに開幕できるか否かは現時点で未定だ。  ただし園内を散策することはできる。筑波山梅林一帯を含む林道沼田新田酒寄線(梅まつり会場~酒寄丁字路)は、梅まつり予定期間である12日-3月13日の間、午前9時から午後4時まで車を通行止めとし、歩行者専用にする。同実行委員会は、梅を鑑賞する際にはマスクなど感染対策をした上で、「密」を避けるよう呼び掛けている。 つくば市臼井の会社員・鮏川拡さん(41)は「難しい状況ですよね。この時期は毎年地域がにぎわっていたので、中止になるとしたら残念です」と地元住民としての複雑な思いを話した。 政府によるまん延防止等重点措置は、1月27日から2月20日まで県全域に適用されている。 筑波山梅林は標高約250メートル付近に位置し、広さは約4.5ヘクタール。約30種約1000本の白梅、紅梅が植えられ、紅梅が2割、白梅が8割を占める。園内の最上部にある「展望あずまや」からは眼下に梅林や山麓の田園風景、好天日は遠く首都圏のビル群や富士山を望むことができる。園内には筑波石と呼ばれる斑れい岩の巨石があちこちにあり、筑波山地域ジオパークのジオサイトの一つになっている。(柴田大輔) 【3月8日追加】筑波山梅まつり実行委員会市は8日、茨城県のまん延防止等重点措置が21日まで再延長されたことに伴い、開幕を延期していた今年の第49回筑波山梅まつりを中止すると発表した。梅林内は散策できる。

義務教育で「キャリア」を考えさせよ 《地方創生を考える》21

【コラム・中尾隆友】現在の小学校から高校までのカリキュラムでは、児童や生徒は自分がどのような仕事に向いているのか、考えさせられる機会が全くと言っていいほど与えられていない。私の経験からも、高校の時は大学に入るのが大きな目標だったし、大学に入学後も自分が本当に何をしたいのか、よく分かっていなかった。 本稿をご覧になっている多くの人々が私と同じような経験をしているとは思うが、いまの先生方はとにかく忙しく、キャリア教育にまでが手が及ばない状況だ。 保護者対応や事務作業、部活だけでなく、新教科(英語・道徳)やプログラミング必修化への対応にも追われ、児童や生徒の将来の方向性について一緒に話し合ったり考えたりする余裕がないのだ。 しかしながら、これからのデジタル化の時代では、しっかりとしたキャリア教育の体系を確立していく必要がある。そのためにも、初等教育(小学校)から中等教育(中学校・高校)の受け持つ役割は、決して軽視できるものではない。 「自分は何に向いているのか」 そういった意味では、自分が何に興味があるのか、自分が何に向いているのか、児童や生徒は教師とコミュニケーションを取りながら、自らも自問自答する機会を与えられる教育が求められているように思う。 個人個人がそういった過程を経ながら、中学生か高校生のうちに得意分野や適性を伸ばす教育に変えていかなければ、大学生になって自分が本当に何をしたいのかと考えても、なかなか答えは見つからないだろう。 通常であれば中学生から、遅くとも高校生から、生徒が自分で自分のキャリアについて夢を持って考える機会を育んでいく必要がある。 企業と学生の不幸なミスマッチを減らすようにするためにも、学生が大学を卒業する時に「自分はこういう仕事がしたいから、大学でこの専門を選んで勉強をしてきたのだ」と言えるような教育にしてほしい。 つくば市など教育で先進的な取り組みをする自治体では、義務教育でこういったキャリア教育の導入をしてみてはどうだろうか。(経営アドバイザー)

子孫が土浦市に寄付「一色家住宅」 観光や文化振興に活用へ

江戸時代末期の武家住宅の面影を残す、土浦市西真鍋町の登録有形文化財「一色家住宅」の土地と建物が昨年12月、土浦市に寄付された。所有者で牛久市在住の彫刻家、一色邦彦さん(86)が寄付した。市では壊れた部分の補修を行い、観光や文化振興に活用していく予定だ。 一色家住宅は、土浦藩年寄格で、1878(明治11)年に県内初の国立銀行「第五十国立銀行」(常陽銀行の前身の一つ)を創設した一色範疇(はんちゅう)の居宅だった。茅葺屋根の主屋(面積201平方メートル)は2001年に国登録有形文化財となっている。 主屋は、江戸時代末期につくられた土浦藩士、西川右近家の主屋を、範疇が明治時代に移築したと伝えられている。内部は8畳間が4室、田の字型に配された書院造で、正面側と庭園側は縁側になっている。主屋の北側には築山と池のある日本庭園がある。1989年に南側に離れが増築されている。 市内で唯一、武家住宅の面影をとどめる建物で歴史的価値が高い。2019年まで和食店として使われていた。現在、内部は非公開となっている。 寄付は一色邦彦さんが市に申し出て実現した。邦彦さんの父で彫刻家の五郎さんは一色家住宅で生まれ育った。 邦彦さんは東京生まれ。戦時中に空襲を逃れて土浦市に移り住んだ。現在は牛久市にアトリエを持ち、彫刻家として活躍を続けている。邦彦さんは「国の登録文化財であり、雰囲気がよく、心を癒す場所。価値ある建物なので市民の癒しの場として活用してほしい」と話す。 市文化振興課は、文化財である主屋部分に壊れているところがあるため、補修を進めていくという。今後どのように活用していくかは未定だが、自転車道のつくば霞ケ浦りんりんロードから500メートルほどの位置にあり、サイクリストが立ち寄りやすい立地であるため、土浦の歴史と文化を伝える観光スポットとしての活用も検討する考え。補修後は限定的に内部を公開することも検討中としている。(田中めぐみ)

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