テイクアウトのモバイルオーダーをスタート 百香亭
店内飲食もスマホから注文可能に
県南を中心に全8店舗を展開している中国家庭料理の店「百香亭」(ひゃっこうてい、本店・つくば市東平塚)が2月から、待たずに持ち帰りができるテイクアウト予約のモバイルオーダーシステムをスタートさせた。コロナ禍、昨年から同店は、弁当や一品メニューの持ち帰り販売に力を入れている。
スマートフォンでQRコードを読み取って注文する形式で、受け取りの時間を10分刻みで指定できる。現在、筑波大学店(つくば市天久保)では初回から3回目までの注文が割り引きになるテイクアウト専用割引券を配布中で、今後さらにテイクアウト利用客を増やしていきたい考えだ。テイクアウトで人気なのは500円(消費税込み)のワンコイン弁当のほか、店内飲食でも人気の看板メニュー黒酢豚に、炒飯や焼きそばだという。
店内飲食での感染リスクも減らそうと、店内でのモバイルオーダーもスタートした。席に着いた客が自分のスマートフォンで店内にあるQRコードを読み込み、メニューを選ぶと店側の端末に注文が届いて配膳される仕組み。伝票も必要なく、スマートフォンの画面をレジで提示して会計を行う。紙のメニューの消毒がしづらいことなどからメニューを触る必要なく衛生的と導入を決めた。アプリケーションのダウンロードが必要なく簡単で、若い客だけでなく、50代、60代にも好評だという。
統括マネージャーの許徳生(きょとくせい)さんは「お客さんは(テイクアウト用の)チラシをもらってもなくしてしまうし、注文したい時にどのようなメニューがあるか、そのメニューが持ち帰りできるのかどうかも分からない。感染リスクを抑えて安全に注文しやすい方法をと考え、モバイルオーダーシステムを導入した」と話す。
歓送迎会の予約はゼロ
一昨年はコロナ禍で売り上げが半分に減少。その後回復したものの店舗全体での売り上げはコロナ禍以前の7割ほどとなっている。昨年4月にデリバリー部門を新設してから1日50食ほどの弁当を主に官公庁に配達しており、売り上げ全体のおよそ3割をテイクアウトとデリバリーが占めている。
筑波大学の学生や教職員などの利用が多い筑波大学店では、コロナ禍以前、歓送迎会のある3月、4月には月の売り上げが1000万円ほどあった。しかし今年は歓送迎会の予約はゼロ。新システムの導入でテイクアウト部門を強化し、店舗への客足も増やしたい狙いがある。
モバイルオーダーシステムはコミュニケーションアプリLINEを利用したもので、「百香亭筑波学園店」はLINE公式アカウントから店舗情報などを随時配信している。同店のシステム担当者は「(百香亭筑波学園店が)公式アカウントを開設してから1週間で300人のフォロワーが付き驚いた」と話す。現在は2100人以上のフォロワーがおり、今後の集客効果に期待を寄せている。
「百香亭」は医食同源をコンセプトにした中国家庭料理の店として2001年にオープン。特につくば本店、筑波大学店はつくば市民を中心に親しまれている。牛久など合わせて7店舗があり、いずれの店舗もテイクアウトサービスを実施している。(田中めぐみ)
◆筑波大学店のテイクアウトについて詳しくは電話029-858-4360(百香亭筑波大学店)
2週間程度の再延長を要請 茨城県 まん延防止等重点措置
6日を期限とする新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置について、大井川和彦知事は1日、県内全域を対象にさらに2週間程度、再延長するよう国に要請したと発表した。延長されれば、すべての飲食店に引き続き営業時間の短縮などを要請する。
新規感染者数は2月上旬にピークを打ったが、2月末は週平均で1日当たり1200人を超えているなど減少傾向が下げ止まっていること、入院患者数が高止まっていることなどのためとした。
その上で、オミクロン株による今回の第6波の感染状況について、県内の一昨年からこれまでの累計感染者数約7万3000人に対し、2月の1カ月間だけでほぼ半数の3万7000人を占めていることを明らかにした。
現在の入院患者は60歳以上がほぼ9割で、そのうち80歳以上が過半数を占めているという。さらに入院患者の9割以上が3回目のワクチン未接種者だったとした。感染が確認された場合、60歳以上が入院に至るケースは15%、60歳未満は1%だった。
一方、2月27日時点の3回目のワクチン接種率は県人口の22%、2回目接種から6カ月を経過した高齢者は72%という。大井川知事は、2月末に8割の高齢者の3回目の接種を終えたいと思っていたが、届かなかったとした。つくば市の3回目の接種率は全人口の19%で県内44市町村中33位、6カ月を経過した高齢者の接種率は83%で同14位、土浦市は全人口の19%で30位、高齢者は66%で31位。
まん延防止等重点措置が延長された場合の対応策については、すべての飲食店に対し7日以降も夜8時以降、または9時以降の営業自粛や酒類の提供自粛などを要請する。協力金の支払いも延長される。金額は中小企業の場合、1店舗1日当たり売上高に応じて2万5000円~10万円。
県民に対しては、会食は4人までとし、混雑していたり感染対策が徹底されてないなど感染リスクの高い場所への外出や移動の自粛を引き続き要請する。
事故物件でもかまわない 《ことばのおはなし》43
【コラム・山口 絹記】よく、「事故物件」という単語を耳にする。
前居住者が亡くなった物件には安く住めるらしいが、私は実際にそういった賃貸情報を目にしたことがない。この事故物件という用語は定義が少し曖昧らしく、科学的根拠がなくとも場合によっては該当してしまうらしいのだ。興味深い単語である。
個人的には、そこで過去に凄惨(せいさん)な事件が起こって今も地元で有名であるとか、テレビ画面から時折人が出てくるため視聴に著しい問題があるとか、夜ごと枕もとで落ち武者が金打(かねうち)していてうるさく眠れないとかでなければ、私は気にしない。
私は特に信心深いわけでもなく、どちらかと言うと「信心浅い」のだが、自宅に霊や妖(あやかし)が出るとて、今はもう気にすることはないと思っている。
夜中にトイレに行くのを怖がる娘にも、「賃貸だし、本質的に私の所有物ではないから、邪魔でなければ許してあげなさい」と言い聞かせている。夏は暑く冬は寒いし、なにぶん狭い家だが、それでもよろしければ、といったところ。
おはなしがだいぶ脇道にそれてしまった。
実は、私の実家の部屋は、母方の祖父がこの世で最後の時間を過ごした部屋だ。祖父は最期を家族の皆に看(み)取られたわけで、不審死でもなければ遺体が損壊したわけでもなく、これは当然、事故物件には当たらない。
亡き祖父の部屋にある数千冊の蔵書
だが、この物件に今、問題が発生している。
母や叔父が、この家を近い将来に手放して引っ越そうとしているのだ。幸い、相続トラブルのような事態にはなっていないのだが、一つ私にも関わる問題がある。祖父の部屋には数千冊の蔵書があるのだ。これは蔵書の一部であり、別の部屋にも段ボールに入ったものがある。
そして、これの処理は私の担当なのだ。書物に興味のない人間であれば、すべて処分してしまえばよいのだろう。お金はかかるがそれだけのおはなしだ。
しかし私は書物と、そこで紡がれることばを愛していて、これらを手放すのは身を切るような行為なのだ。問題は深刻であり、ごく個人的な精神的負担は相当なものである。
私の部屋にはすでに1300冊程度(ええ、また増えましたとも)の蔵書があり、現状、実家の書物を引き取る余裕もない。とはいえ、捨てたくない。よって、精神的に血を流しながらも徹底的に整理しなくてはならない。あまり泣き言は言いたくないが、有り体に言って内心パニック状態である。
私は幽霊など信じていないが、正直言って祖父の霊が出てきてくれることを心から願っている。そして書物の整理を手伝ってほしい。死人を鞭(むち)打つなどという残虐な行為に及びたくはないが、今は幽霊の手も借りたい。賃金は出せないが、住み込み可。司書資格歓迎。
法律には詳しくないが、労基法は労働者の生存権を保証するためのものだったはず。死後の人間には適用されないだろう。昼夜問わずテレビ画面から出入りしても構わないし、夜中に多少うるさくすることにもこの際、目をつぶろうではないか。(言語研究者)
5人の元首相の書簡が波紋を呼ぶ 《邑から日本を見る》106
【コラム・先﨑千尋】東京電力福島第1原発の事故から11年たつ。事故を起こした原発は、放射能が高く、本体にはいまだに手が付けられないでいる。また、原発周辺の住民は避難先から戻れないでいる。その原発事故がもたらしたものの一つに汚染水の処理問題があり、もう一つが子どもの甲状腺がんの多発がある。今回は後者をテーマに取り上げる。
2月27日付コラムでも取り上げられたが、1月27日、小泉純一郎、菅直人、細川護熙、鳩山由紀夫、村山富市の首相経験者5氏が、欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会に「東京電力福島第1原発事故で、多くの子どもたちが甲状腺がんで苦しめられている」と書簡を送った。
それに対して、山口環境相は2月1日、「福島県での甲状腺がんは、同県や国連の専門家会議などにより、現時点では放射能の影響とは考えにくいという評価がなされている。『多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ』という表現は、差別や偏見につながるおそれがあるので、適切ではない」と抗議文を5人に出した。
また、西銘復興相は2月4日の記者会見で、「5人の書簡は誤った情報を広め、いわれのない差別や偏見につながる」と批判。内堀福島県知事は「科学的知見に基づき正確に情報発信するように」と要請した。さらに、自民党の高市政調会長は「誤った情報で、風評被害が広がる」と非難の声をあげている。
こういった国や県、自民党の批判に対して、2月4日には、東電を提訴している甲状腺がん患者の弁護団が「200人あまりの子どもが手術を受けており、苦しんでいる」と抗議声明を出した。
また、抗議を受けた5人の元首相は、脱原発運動に取り組む市民団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」を通じて逆抗議し、「この10年で266人に甲状腺がんが発症し、222人が手術している。一般には、子どもの甲状腺がんは100万人に2人程度。福島では事故前の70倍にもなっている。国や県が、この原因が原発事故由来でないと言うなら、増えた原因は何だと主張・立証するのか」と質問している。
環境省は2月10日、「福島県の甲状腺がんは、国内外の専門家会議により、現時点では放射能の影響とは考えにくいという評価がされている」と答えているが、質問に直接答えてはいない
「科学的知見」は何か?
両者のやり取りを見て、それでは、国や県が言う「科学的知見」とは何だろうかと考えた。
コロナ禍でもそうだが、国はしばしば専門家を持ち出す。しかし、専門家といっても、考え方、手法はさまざまだ。原発一つをとっても、「原子力むら」の研究者の意見と、それに真っ向から対峙する研究者とは全く違う。どちらを信用するか。その人の生き方、暮らし方によって皆違う。専門家が言う「科学的知見」は、皆が納得するものでなければ、それを信用しろと言われても無理な話だ。
今回の問題に戻すと、多発している福島の甲状腺がんは原発事故によるものではないというのなら、それならばどうしてなのかという因果関係を説明するのが「科学的」なことではないのか。汚染水の海洋放出についても同じことが言える。国や東電は「環境に影響がある」という主張を否定する根拠を示さなければなるまい。(元瓜連町長)
ツェッペリンカレーを無償提供 7つの子ども食堂に
土浦市食のまちづくり推進協
土浦市食のまちづくり推進協議会(事務局・土浦商工会議所内)つちうらカリー物語事業者部会(藤澤一志部会長)は、「カレーのまち土浦」をPRし子供たちの食育を推進しようと、市内で活動する7つの子ども食堂に「ツェッペリンカレー」を定期的に無償提供していく。第1弾として27日、都和公民館の「ひよこ食堂」に300食が提供された。
土浦とカレーの歴史知って
市独自の食の歴史・文化を生かし、個性的なまちづくりを進める「食のまちづくり事業」の一環。ツェッペリンカレーの由来は1929年にドイツの大型飛行船ツェッペリン伯号が、史上初の世界一周飛行の旅程で土浦近郊に降り立ち、地元で乗組員の労をねぎらうためカレーを振る舞った史実に基づいている。
同部会は2007年から毎年11月に土浦カレーフェスティバルを開催するほか、市内小学校の給食に「カレーの日」を作ってもらうなど普及に務めてきた。だがコロナ禍でこれらの事業も中止が相次ぎ、新たな活動の場を模索していた。
「今日はサプライズ」
ツェッペリンカレーは、地元産のレンコンと県の銘柄豚ローズポークを使ってじっくり煮込んだぜいたくなカレーをいう。ターメリックライスに、ゆでたオクラも欠かせない。食材は推進協議会が提供した。27日はゆで卵とシーフードフライも寄付によりトッピングされた。
公民館の調理実習室で、調理や盛り付けの作業をするのは「ひよこ食堂」のスタッフ約10人。でき上がったそばから、電子レンジにもかけられる紙製の弁当箱に詰められ、手渡されていく。密を避けるため利用者は事前予約制で、決められた時間に会場を訪れる。出口ではマスクや野菜類、子ども向けの袋菓子などの配布もある。マスクは寄付金で購入した。野菜は市民農園や有機農園の規格外品などだそうだ。
「子どもたちはカレーが大好きなのでありがたい。コロナ前の食堂形式のときはよくカレーを作っていたが今の弁当方式だと難しい。今日はサプライズとして喜んでもらえたと思う」と話すのは、2019年から都和公民館で「ひよこ食堂」を運営するNPO法人「地域コミュニティワーカーズコレクティブみんなのたまご」代表の荒井敦子さん。
同食堂の弁当は、地域の一人暮らしの高齢者の家にも区長や民生委員の有志の手によって届けられている。これからも必要な人にはなるべくピンポイントの支援ができるよう考えていきたいと、荒井さんは話す。
推進協議会の小島俊光さんは「今はどの子ども食堂もテイクアウト方式だが、コロナが落ち着いて食堂形式が復活したら、そこで写真展や紙芝居などを開催し、ツェッペリン伯号と土浦のカレーの歴史についても理解を深めてもらいたい」と話している。(池田充雄)
◆今後のツェッペリンカレー提供予定は以下の通り。・こども食堂たんぽぽ:3月6日(日)、たんぽぽ作業所(旧宍塚小学校前)・ほぺたん食堂:3月26日(土)、一中地区公民館・土浦ひまわり食堂:3月27日(日)、三中地区公民館・ふれあい食堂かみもり:3月27日(日)、神立地区コミュニティセンター・ロック応援弁当:3月27日(日)、六中地区公民館※各所ともテイクアウト制。利用方法や申し込み方法、代金などはそれぞれ異なる。提供数には限りがある。問い合わせは電話029-821-5995(市社会福祉協議会・福祉のまちづくり係)へ。
昭和な世界の競り台に立つ紅一点 佐野聖美さん【ひと】
土浦生花市場
卸売市場はかなり独特な世界だ。隠語が飛び交い符丁で交渉する。競(せ)りをさばく競り人は、商品とお金のやり取りを瞬時に決する仕切り役だから、いわば「切った張ったの世界」に属する。世の中が男女共同参画、ジェンダーフリーと声を上げても容易には届かない、男の仕事だった。令和になって、つくば市花室にある土浦生花市場(齊藤巌社長)の競り台に初めて現れた女性競り人が、好感を持って受け入れられようとしている。
20年9月から競り台に立つのは、土浦市在住の佐野聖美さん(40)。株式会社組織である同社の花き流通部主任、市場にいる競り人3人の中の紅一点、海外から輸入の切り花、鉢物などを主力に扱っている。
流れを止めないとっさの判断力
将来の夢に「ケーキ屋さん」「花屋さん」をあげるようなタイプではなく、花好きというより緊張感ある職場に惹かれる女子だったという。アルバイトに来たとき、その素養を見抜き、正社員採用したのが齊藤社長。2015年ごろの話だ。「これからを考えたら女性を積極的に活用していかなければ」と経営判断、最初から競り人に育てるつもりで採用した。
同社は1974年創設。県内には水戸、土浦の両公設市場にある花き市場をはじめ、日本花き卸売市場協会の会員企業が5社5市場あるが「現時点で女性競り人は1人だけ。おそらく過去にもいなかったろう」(齊藤社長)という。
日本で最大の花市場がある東京・大田市場などでは、競り人になるには試験を受け、資格を得る必要がある。男女に等しく門戸が開かれ、女性の姿が珍しくなくなってきているが、「茨城県内では特に資格試験はなく、水戸公設(水産、青果、花き市場がある)でも競り台に立つ女性はいない」(県農林水産部)そうだ。
大手の卸売市場では近年、透明性確保から電光掲示板に取引価格が即座に表示されるようになっている。競りで、卸業者などが値段を暗に示す符丁の使用を禁ずるところも出てきているが、土浦生花市場は「まだ昭和が色濃く残る世界」。符丁をしっかり覚えるのが競り台に立つための第一歩だ。
ツラ(1)、ブリ(2)などと数えていくが、青果市場のような威勢のいい掛け声とも違う。競り人とひな壇に並ぶ買参人(ばいさんにん)たちとのやりとりはぶつくさ言い合う形で、部外者にはほとんど聞き取れない。チョンガは1と5の並びをいうが、それが15なのか150なのか即座に判断しなくてはならない。1本だったり、1束だったり、1箱だったり扱う単位も一定していないのだ。
「流れを止めないとっさの判断力を問われる仕事」と佐野さん。同時に声が上がった時、どちらが高いか、どちらが早いか即座に判定しないと、買参人になめられたり、怒鳴られたりしてしまう。「お互い真剣勝負だから、なかなか女性には務まりにくかった」
花産業受難のコロナ禍に業績伸ばす
土浦生花市場では常時30人ほどの買参人がひな壇に並ぶ。多くが生花店のバイヤーだ。土浦で切り花販売をしている古参の赤根孝さんは「30年通って初めての女性。どうなることかと思っていたが、きっぷがよくてねえ。評判はいい」という。
「1年半やってきて、ひな壇にも女性の姿が次第に増えてきた。やっぱりコロナの影響かしら。冠婚葬祭の需要が減って花き産業が大変になったのは確かだけど、売り上げを増やしている生花店さんだってある。自宅時間が増えた分、家に飾る花に販路を見出したりしてね」と佐野さん。ドライフラワー向けのアレンジがしやすいオランダアジサイの入荷を増やすなどした。
これらの花は自ら2トン車を運転して、東京・葛西の東京フラワーポートなどに仕入れに行く。競りは毎週月・水・金の3回、午前9時から2時間ほどだが、佐野さんが市場に入るのは午前6時。前日までに仕入れを確認して、相場価格をチェック、競りの戦略を練りながら、運び入れて競りに臨む。
齊藤社長もその仕事ぶりを頼もしく見ている。市場の直近の取扱量は年5億円ほど、コロナ禍にあっても一応の右肩上がりを確保した。春になれば、市場に入ってくる花の数も増えてくる。(相澤冬樹)
ウクライナ情勢が急展開 《雑記録》33
【コラム・瀧田薫】2月24日、ロシア軍は首都キエフをはじめとするウクライナの主要都市周辺の軍事施設に空からの攻撃を開始した。今回のウクライナ攻撃が「力による一方的な現状変更を禁じた国際法」に違反することは明白であり、日本政府がロシアに対する非難声明を発表したのは当然のことである。今後、ロシア制裁について、政府はG7メンバー国と同一歩調を取ることになるだろう。
米欧側はロシア軍のウクライナ侵攻を抑止できず、今後、大規模な経済制裁を発動するにしても、手詰まり感は否めない。米軍あるいはNATO軍の軍事介入は、ロシアとの核戦争を覚悟しなければできないオプションであり、米欧にできるウクライナへの軍事支援としては、最大限、武器・弾薬と情報の提供ぐらいだろう。
一方、ウクライナ政府は「非常事態宣言」を発し、ロシア軍への反撃を国民に呼びかけている。しかし、彼我の戦力差は大きく、ロシア軍に対する組織的抵抗を長期間続けるには無理がある。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、親ロ派やロシアが送り込んだ工作員によるクーデターやテロの可能性にもおびえなければならない―それが実態と思われる。
他方、プーチン大統領は、ウクライナ侵攻を事前の計画どおりに進めており、現時点で戦争の主導権は完全に彼の手中にある。しかし、プーチン大統領にも不安材料はある。
彼の最終目的は「強国ロシアの復権」であり、そのための条件として、この戦争の後、ウクライナ、ベラルーシそしてロシアとの間で強力な同盟もしくは国家統合を形成する必要がある。この戦争でウクライナを徹底的に破壊してしまえば元も子もない。
そこで、可及的速やかにウクライナの現政権を無力化し、新政府(ロシアの傀儡政権)を誕生させることが、プーチン大統領の最優先課題となる。首都キエフの制圧に手間取って、ロシアとウクライナ双方に甚大な人的・物的損害が出るような事態になれば、プーチン大統領は、たとえ戦争に勝利したとしても、ロシア国民の支持を失うだろう。
旧い国家観のプーチン戦略
ところで、ウクライナ情勢がプーチン大統領の思惑どおりに展開したとして、最終目標の「強国ロシア」の復権は実現するだろうか。
国家を「強国たらしめる要素」は軍事力だけではない。経済力、外交力、文化的影響力など諸要素が相まって、また国内外からの評価もあって、初めて強国たり得るのである。その観点からすれば、プーチン大統領の今回の試みは、ソ連崩壊以来30年、衰退の一途をたどってきたロシアの国力を、軍事力だけで回復せんとするものであり、20世紀前半の旧い国家観にとらわれた戦略でしかない。
今後のロシアが、国際的に孤立するなかで、頼れるのは軍事力だけだとすれば、ロシアが「20世紀に取り残された国家」の枠を超えるのは、プーチン以後を待たねばならないだろう。(茨城キリスト教大学名誉教授)
土浦で1年越しの成人式 コロナ禍 2回延期
新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっていた2021年の土浦市成人式が27日、1年越しで同市東真鍋町、クラフトシビックホール土浦(土浦市民会館)で執り行われた。当初は昨年9月19日に延期する予定だったが、緊急事態宣言を受けて再び延期していた。
感染防止対策のため参加者は、市に事前申し込みをして抗原検査キットを送ってもらうか、自費でPCR検査を受けるなどし、受け付けで検査結果を示して会場に入った。会場にも当日用の抗原検査キットが用意され、来場者に備えた。
式典は8つの出身中学校を午前と午後の2部に分け、それぞれ30分間に短縮して開催された。
式典の中で安藤真理子市長は「この約2年間のコロナでたくさんのことが激変した。会社での仕事がオンラインになったり、自宅で仕事をしたり、学校に長く行くことができなかった。そんな時代を皆さんはご苦労されたのではないかと思っている。大きなピンチを皆さんの力でチャンスに変えていただきたい。ご苦労された両親や先生、これまで自分に関わってくれた方々に大きな感謝をし、自分自身の可能性を信じて大きく羽ばたいてください。夢は強く願えば、必ずかないます」と言葉を贈った。
成人式運営委員の小澤典皓さんは、成人代表謝辞として自身の塾講師のアルバイト経験を話し、「私たちは多くの人の手助けがあって現在に至る。コロナ禍で人とのつながりが薄れたように感じた人もいるかもしれない。しかし、人とのつながりを再認識し、感謝を伝えていくことで、社会人として旅立つ私たちにとってかけがえのない一日になる」などと述べた。
式典後、参加者は会場の大ホールから退場するよう促されたが、会場前では友人たちとおしゃべりする姿が見られた。
現在都内の大学に通う飯村駿介さんは「一年越しの成人式でみんな楽しみにしていたのでうれしい。コロナ禍でこのような式典を開いてくれることに感謝している。大学卒業後は小学校の先生になることを目指していて、今年茨城県の採用試験を受ける予定。小学校も中学校も土浦市だった。自分が育ったところで今度は自分が子どもたちを教える側になりたい」と意気込みを語った。
土浦市田中に実家がある塩田拓実さんは「両親には今日まで育ててくれてありがとうとシンプルに伝えた。今日は皆で集まることができてうれしい。今後の目標はもっと大人っぽくジェントルマンになりたい」とはにかみながらもマスク越しに晴れやかな笑顔を見せた。
対象となったのは昨年1月に成人式を行うはずだった1491人で、うち男性730人、女性761人。成人式には例年800人ほどが参加している。(田中めぐみ)
原発事故の「風評」被害とは 《文京町便り》1
【コラム・原田博夫】2011年の東日本大震災による福島原子力発電所事故により、原発の稼働率が大きく落ち込み、20年の電源構成に占める原発の割合は4.3%に低下しています。一方で、太陽光発電も8.5%、水力発電も7.9%、バイオマス発電も3.2%にとどまっています。
こうした状況を打破するために、脱原子力発電・再生可能エネルギー推進を目指して、2017年、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連、電事連ではありません)が立ち上げられました。会長に吉原毅・元城南信用金庫理事長、顧問に元首相の小泉純一郎氏と細川護熙氏が就き、私は賛同人の1人です。
茨城県内でも数回、小泉氏の「脱原発講演会」が開かれ、多くの聴衆に感銘を与えました。
原自連はこうした啓蒙活動のほか、今年1月27日、フォン・デア・ライエンEU(欧州連合)委員長に、「脱炭素・脱原発は可能です―EUタクソノミー(持続可能な気候変動対策の事業分類)から原発の除外を」と題する文書を、歴代5首相(小泉純一郎、細川護熙、村山富市、菅直人、鳩山由紀夫)名で送りました。
福島県知事、環境大臣、自民政調会長からクレーム
ところが、その中で「…福島第1原子力発電所の事故で、多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ…」と指摘していることについて、内堀雅雄福島県知事と山口壮環境大臣から、風評被害を引き起こすので異議アリ―とのクレームが届きました。高市早苗自民党政調会長も同じ不満を述べています。
この文書を発出したのは、昨年夏以降、EUにおいて、持続可能な気候変動対策(CO2削減)事業に原子力を入れる方向性が明らかになってきたことから、これを阻止すべく、国際世論を喚起するためのものでした。
「…多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ…」のくだりは、文書の中核ではなく、あくまでも、原子力被害の一例としての言及でした。福島県における子供たちの甲状腺がんの高い発生状況は、県が実施している県民健康調査でも明らかで、そのこと自体は厳然たる事実です。
それなのに、「風評被害を引き起こすので言及すべきではない」といった言説こそ、隠蔽工作ととられかねません。
東電福島第1廃炉については、汚染水の海洋放出やデブリの保管施設など、中長期的に取り組まなくてはならない課題が山積しています。地元福島だけでなく、日本国民、韓国や中国など近隣諸国に対しても、科学的な情報を公開することなくしては、この巨大かつ深刻な課題を克服できないでしょう。(専修大学名誉教授)
【はらだ・ひろお】土浦一高卒、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。専修大学経済学部教授を経て、2019年4月から名誉教授。米スタンフォード大などに留学。公共選択学会会長、政治社会学会理事長などを歴任。著作(編著)に『人と時代と経済学-現代を根源的に考える-』(専修大学出版局、2005年)、『身近な経済学-小田急沿線の生活風景-』(同、2009年)など。現在、土浦ロータリークラブ会員。1948年土浦市生まれ、土浦市文京町在住。
「幸せな空気」にグランプリ つくばショートムービーコンペ
つくばからの文化発信と次世代の才能発掘を目指す短編映画祭「つくばショートムービーコンペティション2022」(つくば市など主催)のノミネート作品上映会が26日、つくば市吾妻のつくばエキスポセンタープラネタリウムホールで開かれ、鹿野洋平さん制作の「幸せな空気」がグランプリを獲得した。コロナ禍の影響で上映会の開催は3年ぶり。今年度の応募作品総数は172本、全国24都道府県と海外からも寄せられ、年齢は9歳から77歳までと幅広かった。
増幅する不協和音の面白さ
グランプリに輝いた「幸せな空気」は、うだるような夏の昼下がり、エアコンを修理中のアパートの一室で、若いカップルの別れ話が突然浮上し、不穏な空気が流れ始めるという物語。
「気まずい状況やどうしようもなさを、どうやったら面白く描けるだろうかと工夫した」と鹿野さん。「エアコン屋のおっさんという第三者により視点が逆転し、目の前に起きている世界へ狙わずに一発で観客を引き込んだ。映画をよく知っているからこそでき、よほど映画が好きなんだろうなと伝わってくる」と審査員長で映画監督の中村義洋さんの講評。
審査員の一人、五十嵐立青つくば市長は総評として、いま俳優のショーン・ペンさんが、ウクライナの首都キエフでロシアによる侵攻のドキュメンタリー映画を撮影中であることに触れ「世界が平和やほかの尊い何かを考える材料になる」と述べた上で、「今回の応募作品にもちょっとした間や一瞬の表情など、微細に作られているから伝わる、言葉や文章にならない何かがある。それが映像の力だと思う」とコメントした。
中村監督は今回、グランプリを争った作品がもう一つあったと明かした。マンガの中と現実がシームレスにつながる構造の「マンガガールズ」(大門嵩・祁答院雄貴/ケドモン)。「途中から実写になると思ってなく不意打ちをくらった。タイミングやキャスティングもすごく良く、これからもすごい作品を撮ると思う」との講評。この作品は市民審査員賞およびWITスタジオアニメーション賞を受賞した。
その他の受賞作は以下の通り。つくば市長賞「シブキ」(横山拓巳・Tparty / Nuink.)、つくばエキスポセンター賞「move」(冨田龍雅)、3分以内のショートショート部門賞「瞬間移動ウォッチの悲劇」(笑うポーカーフェイス)。佳作には▽「おどりなき夏」(内藤 諭/鯨岡 弘識)▽「マッチポンプの少女」(高岡尚司)▽「ハロウィンの偽者たち」(川井和)▽「ひとりじゃない」(山口マサカズ/梅花女子大学情報メディア学科山口ゼミ&劇団蒼天)▽「つばさをください」(菜々すうじ)▽「卓上フェス」(ヤマダダイキ)▽「ギャラクシー・レンジャー」(山岡一樹)▽「エイ」(大橋真理子)―の8作品が選ばれた。(池田充雄)
