日曜日, 4月 5, 2026

手と耳と鼻で楽しむ里山《宍塚の里山》96

【コラム・北村まさみ】風もなく、紅葉が美しい12月10日土曜日。目の不自由な方を含む『馬場村塾』の方たち7人が、宍塚に来てくれました。会員でもあり、2017年6月に実施した月例観察会「手と耳と鼻で楽しむ観察会」の講師、全盲の大川和彦さんが塾長を務める『馬場村塾』は、視覚障害関連の団体や施設が集まる高田馬場で、松下村塾のような、様々な人や情報との出会いの場、学び合う場として開かれています。 今回は里山歩き企画として訪れました。私たちの会からは6人が参加し、里山の案内と同行ガイドをしました。 大通りから宍塚の里山に入ると、コジュケイなど鳥の声がよく聞こえます。ふれあい農園のガッチャンポンプの井戸体験、脱穀作業で表に出ていた足踏み脱穀機と唐箕(とうみ)を、安全を確保しながら触っていただきました。クルミの木のごつごつした幹と枝先のかわいい冬芽、ふわふわのガガイモの種の綿毛、朽木に生える固いキノコ、むっちりしたカブトムシの幼虫など、冬の里山ならではのものを手で触れて観察。 また、草むらに埋もれて、目では見つけにくいクルミの実を足裏の感覚で探したり、モグラがごそっと持ち上げたモグラ塚、落ち葉のじゅうたんが敷かれた観察路など、足の感覚もフル稼働します。モグラの簡易はく製も用意し、ビロードのような毛並みとスコップのような手足も観察しました。 カモたちの鳴き声でにぎやかな大池を通り、こんもりしたゲンベー山を登り、中学生が竹の皆伐作業を進めた子パンダの森では、人が手入れをすることで保たれてきた里山を、一つのまとまり、生態系として保全することを目指していることなど、お伝えしました。  感覚をフルに使って感じる 大川さんからは「久しぶりに宍塚の自然に戻り、心身、元気になりました。私は宍塚から届いたお米をおいしく頂いています。昔ながらの機器にも触れさせていただき、一粒一粒のありがたさを感じます」と、感想をいただきました。  目の不自由な方に伝えたいと、目の前の物をいつもよりよく観察する、言語化することでよく認識する、感覚をフルに使って感じる…。ご一緒に歩くと、私たちが頂くものがたくさんあり、共有できた喜びも合わせて、とても楽しいです。  馬場村塾では、活動をyou tubeで発信しているそうで、私たちの会の活動について取材も受けました。You tubeの「馬場村塾」で検索してみてください。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

公共施設への電気供給ストップ ごみ焼却施設で設備故障 つくば市

つくば市のごみ焼却施設、つくばサステナスクエア(同市水守)で今月12日、電気設備が故障し、ごみを燃やして発電し市の公共施設に電気を供給する「自己託送」(10月7日付)や売電が、同日からストップしていることが分かった。同施設によると、現時点で自己託送事業の再開がいつになるか分からないとしている。 電気設備の故障により、ごみ焼却自体も12日から20日まで9日間停止した。この間、収集した可燃ごみを一時的にためておくごみピット(容量約3800トン)に1800トン以上がたまったが、仮設の発電機を設置して20日に1炉が稼働し、焼却を再開した。もう1炉も27日に稼働できる予定だ。 年末年始はごみの量が増える。同施設では他のごみ焼却施設に処理を委託することも検討していたが、委託しなくても、しのげる見通しだという。 一方、電気設備の故障の原因はまだ分かっておらず、現在、原因を調査している。原因が分かり次第、部品を調達するなどして修理する予定だが、特殊な部品なのですぐに調達できるかどうか分からず、自己託送や売電がいつ再開できるかは未定だとしている。 自己託送は、電気料金の削減と温室効果ガスの排出削減などを目的に今年10月1日から同市で始まったばかり。市役所本庁舎など市内41施設にごみ焼却施設で発電した電気を供給し、年間約6890万円の電気料金を削減でき、年間1900トンの温室効果ガス排出を減らすことができるとしていた。今回の故障による影響について市環境政策課は「(現時点では)答えられない」などとしている。代わりの電気は12日から、新電力のアーバンエナジーから購入している。 プールと温浴施設は25日再開予定 ごみ焼却施設の停止により蒸気の供給も停止したことから、隣接のつくばウエルネスパークの温水プールと温浴施設も12日から営業を休止している。20日にごみ焼却炉1炉が稼働再開したことから、プールと温浴施設への蒸気の供給が再開した。ウエルネスパークによると現在、設備の点検と、水の温度を上げる昇温を行っており、25日にも再開できる見通しだとしている。 サステナスクエアのごみ焼却施設には焼却炉が3炉あり、1炉当たりの1日処理能力は約100トン。常時2炉が稼働し、1日200トン程度を焼却している。敷地内にはリサイクルセンターやし尿処理施設もあるが、電気系統が異なるため通常通り稼働している。(鈴木宏子) 【訂正:23日午後5時20分】つくばウエルネスパークのプールと温浴施設の再開が1日早まり、26日再開を25日再開に訂正しました。

可処分時間でYouTubeを楽しむ 《遊民通信》55

【コラム・田口哲郎】 前略 テレビの視聴習慣がなくなりつつあると言われ始めて、ずいぶんたちます。いまは個人が自由に使える時間を可処分時間というそうで、動画コンテンツのサブスクサービス、たとえばAmazonビデオとかネットフリックスがその可処分時間を獲得する激しい競争が起きているそうです。 むかしは可処分というと所得で、個人がお金をどう使うか、企業は市場調査に余念がなかったのですが、時間までも企業が虎視眈々(こしたんたん)と狙っているとなると、文明もゆくところまできたなという感があります。 さて、その可処分時間の話です。ローカルテレビ番組が好きで、テレビをつけているときはほぼテレビ神奈川かJ:COMチャンネルをつけている私のような者でも、動画サブスクを見るようになっています。私の場合はYouTubeです。 テレビ局もYouTube人気はしっかり把握していて、一部の番組はYouTube配信を行っています。でも、YouTubeのおもしろさはユーチューバーの番組でしょう。 私が見ているYouTube番組 私は鉄道が好きなので、鉄道系ユーチューバー、スーツさんの動画をよく見ます。かなり多くのコンテンツを紹介するスーツさんの才能はすごいと思います。そのスーツさんに影響を受けてユーチューバーになったという、ぼっち大学生のパーカーさんの番組も見ていて楽しいです。孤独な大学生の何気ない日常をありのままに見せる趣向が共感を呼ぶのでしょう。 こうしたユーチューバーの番組はついつい見てしまい、可処分時間を費やしてしまいます。新しいコンテンツが次々とあげられるので、視聴が習慣的になります。 さて、こうした人気ユーチューバーの番組もよいのですが、私がこのごろ見ているのは、「舞原学【アニメの美学】」です。東大文学部の美学芸術学専攻の学生さんが、趣味のアニメについて語るというシンプルなもの。アニメにまったく通じてない私は、語られているアニメ作品について予備知識なく動画を見ます。 でも、舞原さんの見方や切り口がとてもおもしろいので、アニメを見てみようという気持ちになります。少々哲学的なテーマでアニメを見る楽しさは、一般向けの番組とはひと味違ったものがあります。アニメはいまや日本文化の大きな柱です。紙の本を読むのも楽しいですが、アニメを精神の涵養(かんよう)のために見る時代が来ているのですね。 メディアは受け手の好奇心や探究心を刺激することで、生活を豊かにするものだと思います。その意味で、このごろのメディアの多様化はいろいろな問題がありつつも、人間社会にとって有益なのかもしれません。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

旧「社教センター」半世紀でお役ご免 土浦市公共施設の再編・再配置計画で俎上に

生涯学習の先駆けである「社会教育」を土浦地方に根付かせた旧土浦・石岡地方社会教育センター(土浦市文京町)が開設から50年、その役割を終える見通しになった。同市が現在パブリックコメントを実施中の市公共施設等再編・再配置計画で、現在の生涯学習館について「機能移転」との方針を示した。同一敷地にある勤労青少年ホームは「閉館」となる。 近隣市町村との一部事務組合運営で1973年に開設された。施設は4階建て延床面積2606平方メートル。事務組合は09年度で解散し、10年に市生涯学習館となった。研修室、和室、会議室、視聴覚室、工作室などの部屋があり、主に同好会の活動や講習に利用されてきた。 併設されていた市立図書館が18年に土浦駅前アルカスへ移転、利用者数は11年度の3万8367人から20年度には1万6336人と減少傾向にある。利用者アンケートでも70代以上が78.4%、60代が14.5%で、土浦市外が26.9%を占めるなど、旧センター時代からの名残りが見られる施設となっていた。 策定中の市公共施設等再編・再配置計画で、同館については「築50年近く経過して建物が老朽化しており、耐震性もない。4階建てにもかかわらずエレベーターが無く、利用状況に対して施設が大きすぎる、市内の他施設で受け入れが可能な利用者数であることなどから、施設を閉館し、近隣施設に機能を移転することが妥当」との考えが示された。 同市によれば、「機能移転」とは閉館を前提に、現在の利用者が亀城プラザ(中央)や一中地区公民館(大手町)など近隣の施設で受け入れられるよう調整する措置。今年度末の再編・再配置計画の策定を待っての作業となり、来年4月で即座に利用を中止することはないという。閉館の時期や跡地利用などは決まっていない。 10施設を選定しパブコメ 昭和40年代、50年代に整備され、老朽化のため更新時期を迎えている同市の公共施設については、21年度に市公共施設等総合管理計画が策定され、適切な改修・更新等を推進していく一方で、財政状況を踏まえつつ、施設配置や運営適正化を進めるとした。再編・再配置計画を策定する委員会(委員長・藤川昌樹筑波大学教授)は今年度、市の公共施設に分類される188施設のうち、施設の方向性を早急に決定する必要がある10施設を選定し、利用状況などを調査、それぞれの方針を定める判定作業を行った。別途跡地利用の検討が行われている旧市役所本庁舎(下高津)などは10施設に含まれない。 勤労青少年ホームは1971年建設、2階建て延床面積1014平方メートルの観光・交流施設。中小企業に働く青少年(15~35歳)の健全育成と福祉の増進のための施設とされ、会議室、集会室、和室、音楽室、体育室、調理実習室、陶芸室などがある。 再編・再配置計画案では「当初の設置根拠が失われていることや、施設の利用者数が少なく、市内の他施設で受け入れが可能な人数であること、また、建物の老朽化状況、体育館に耐震性が無いことを踏まえ、施設の閉館が妥当」と判定された。 ほかに青少年の家(乙戸)の閉館、上大津支所(手野町)の閉所、四中地区公民館(国分町)の改修などが方向づけられている。これら計画案は年明け1月11日まで実施のパブリックコメントで公開され、意見を受け付ける。(相澤冬樹) ◆土浦市が現在実施中のパブリック・コメント案件は以下のとおり。(カッコ内は提出先、=募集締め切り日)▽市手話言語の普及の促進に関する条例(障害福祉課)=1月5日まで ▽市公共施設等再編・再配置計画(行革デジタル推進課)▽第5次市生涯学習推進計画(教育委員会生涯学習課)▽市文化財保存活用地域計画(教育委員会文化振興課)▽第3次市立図書館サービス計画(市立図書館)=以上、1月11日まで ▽市国土強靭化地域計画改定(防災危機管理課)▽第2期市空家等対策計画(生活安全課)▽第4次市地域福祉計画(社会福祉課)=以上、1月13日まで ▽市自転車のまちづくり構想(市政策企画課)▽市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画(行革デジタル推進課)=以上、1月16日まで。

ゆきおんなの話 《短いおはなし》10

【ノベル・伊東葎花】 あら、お客さん? 泊めて欲しいって? こまったねえ。もう民宿はやってないのよ。 2年前に夫を亡くしてね、私ひとりじゃどうにもならなくてねえ。 ちょっと先にペンションがあるから、そちらに連絡してあげましょうか。 どうしてもここに泊まりたいって? まあ、女性ひとりくらいなら何とかなるかね。 大したもてなしは出来ないけど、それでもよかったらどうぞ。 お客さん、寒くない? こっちで火に当たりなさいよ。 「だいじょうぶ」 あらそう。 珍しいねえ。女の一人旅? しかもこんな雪山に。 顔色悪いけど、まさか自殺とか考えてないよね。 ダメだよ。生きたくても生きられない人だっているんだからね。 夕飯は? 食べないの? じゃあ、何かお話ししようか。 雪女の話とか、どう? 「ゆきおんな」 そう、雪女。夫がね、雪山で会ったのよ。 怖かったらしいよ~。 つり上がった眼をして、氷みたいに冷たい息を吐いて、人間を凍らせるんだって。 だけどね、夫のことは殺さずに助けてくれたんだ。 どうしてだろうね。夫が色男だったからかね。ふふふ。 もう40年も前の話だけどね。 「よんじゅうねんも、まえ」 そうだよ。 夫はね、普段は無口だったけど、酔うとおしゃべりになってね、民宿の客によく雪女の話をしていたよ。 その話は雪女伝説なんて言われて、すっかり評判になってね、晩年はよく語り部なんかもしていたよ。 夫が話す雪女の話は、本当に怖かったよ。 何しろ自分の体験だからね、雪女の恐ろしさが手に取るようにわかったよ。 真っ白な顔に、目は血が滲(にじ)んだような赤、長い黒髪をたらりと夫の首にからませて、地の底を這うような低い声で言ったそうだよ。 「わたしのことを、だれかにはなしたら、ころす」 そうそう。お客さん、よく知ってるね。夫の話を聞いたことあるの? うまいねえ。本物みたいだ。夫の後を継いで、語り部やる? 夏の夜なんか、怪談話でひっぱりだこだよ。 「なつは、むり」 あはは、お客さん、暑さに弱いのかい? さては北国生まれだね。 あれ、お客さんどうしたの? 泣いてるの? 「あのひと、しんだのか」 あの人? 夫のこと? お客さん、夫を知っているの? 「わたしが、ころしたかった」 (作家)

災害弱者となって気付いたこと【防災介助士ってどんな仕事?】下

つくば市在住の防災介助士、金栗聡さんのホームページ「やさしい防災」の冒頭でつづられていることだが、金栗さんは脊髄に障がいのある車椅子生活者の一人だ。地質調査の仕事をしていた金栗さんは勤務中の事故で重傷を負い、日常が一変した。 「2014年にけがをしまして、下半身の自由がなくなりました。そのような自分に何が出来るだろうかと考え、もともと持っている地質学の知識と、防災を結び付けることを思い付いたのです」 それは過去の地震記録や地域の地下に存在する、あるいは存在するかもしれない活断層の情報といった、防災上の必須項目だ。地震に限らず気象災害として生じる河川氾濫なども、地形や地質から読み解くことが出来る。 ただ、金栗さんの場合、災害時の対応を前提としながらも、むしろそのような知識を学びながら、家庭内に閉じこもらずレクリエーションや観光の機会を作ってほしいと、災害弱者とその介助・介護の人々にメッセージを発信している。 防災を楽しく身近に知ってもらうために 「インターネットを調べると、筑波山登山でケーブルカーに乗られた車椅子の人のブログを見つけました。おそらく介助の人々は大変な苦労をされたと思います。でも車椅子でも山に登れたという実感は、とても楽しい記憶になったはずです。それならば、事前に、どこまでなら行ける、どういった現地状況か、何を備えておけばいいかを、情報として提供できるだろうと考えました」 森の里に住む金栗さんは、公共交通機関を使って筑波山に何度も赴き、乗り継ぎの経路上にどんな斜面や道筋があるかを調べている。市内の公共空間も併せて、雨天でなければ毎日のように出かけていくという。つくば市の生涯教育指導者(社会・自然・科学)にも登録され、生涯学習推進課を介して依頼があれば、指導講座を開催する。 「健常者でない以上、行けるところの限界はあります。それでも行ける範囲を示すことが出来れば、行ってみようかというポジティブな気持ちにもつながるのではないか」 筑波山地域のジオスポットを紹介 金栗さんは障がい者や高齢者の暮らしにも楽しみや潤いがあるべきと考え、あえて筑波山登山という目標へと誘導する。 「筑波山には『筑波山地域ジオパーク』という自然科学の学びの場がジオスポットとして存在します。時にはそれらの場所から土砂災害などのメカニズムを知ることもできます。そこへ積極的に遊びや観光で出かけていただきたい。そのためには安全か危険かの認識に、健常者とは異なる視点も必要です。これは私個人の活動ですが、『防災』というと取っつきにくいイメージもありますから、防災の視点も持ちながら、筑波の地質や自然に接していただくきっかけを情報提供したいのです」 金栗さんのにこやかな表情を見ると、孤軍奮闘という言葉は似つかわしくないと感じるが、他の防災介助士との連携や交流があるかをうかがうと、金栗さん自身も「特に横のつながりはありません」と苦笑する。現在のコミュニティは障がい者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)や有志で活動する「筑波山地域ジオパークユニバーサルデザイン検討会(仮称)」への協力にとどまる。 「防災介助士は国家資格ではありませんが、いつかやってくる災害への対応や、進行する高齢社会という情勢下で、これから横のつながりも大事になるでしょう。この資格を有することでの、地域社会とのかかわりも重要さが増していくと思います」 金栗さんの活動は、災害に対する「備え」だ。備えることはまさしく防災であり、備え方次第で災害弱者の生活に新しい気概を生み出すことが期待される。(鴨志田隆之) ◆「やさしい防災」のホームページはこちら 終わり

元行員が高齢者の預金4700万円着服 筑波銀行

筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)は20日、40代の元男性行員(死亡退職)が、2018年5月から今年9月までの4年5カ月間にわたり、同行水戸営業部(水戸市泉町)に口座がある高齢者の預金から、4746万5000円を着服していたと発表した。 同行によると、今年9月、高齢者の親族から問い合わせがあり、発覚した。 元行員は水戸営業部勤務時に担当した高齢者から、筑波銀行や他行のキャッシュカード計3枚を預かり、ATM(現金自動預払機)で、高齢者の預金を計186回にわたり総額6746万5000円引き出し、そのうち4746万5000円を着服したとされる。一部は高齢者に届けていた。 元行員は数年で他部署に異動したが、異動後も引き続きキャッシュカードを預かっていたとみられる。同行は、行員が業務上、顧客のキャッシュカードを預かることは原則としてないとしている。 発覚後、元行員は着服を認めず死亡した。死因は非公表。同行の調べによると、元行員は着服した預金を投機資金や債務返済に充てていたという。 同行は被害に遭った高齢者の親族に対し、事実関係を説明の上、謝罪し、被害額すべてを同行が弁済したとした。 元行員に対しては、死亡したが、懲戒解雇に相当する厳正な対応を行ったほか、同行の経営責任、管理・監督責任について厳正に処分した。さらに警察に通報し相談している。 一方、調査の結果、現時点で、今回被害に遭った高齢者以外の被害は確認されてないとしている。 同行は「信用を第一とし、高い倫理観が求められる金融機関として、痛恨の極みであり、役職員一同、厳粛に受け止め深く反省しています。被害に遭われたお客様を始め、皆様に多大なご迷惑をお掛けしたことを深くお詫びします」とし「今後、不祥事を決して発生させないという強い決意の下、再発防止に向けた内部管理態勢のより一層の強化・充実を図り、健全な業務運営に努めます」などとするコメントを発表した。

ふるさと納税の顛末記 ② 《文京町便り》11

【コラム・原田博夫】ふるさと納税制度は2008年5月からスタートしたが、当初それほど浸透しなかった。確かに、菅義偉前首相が総務大臣当時(2006年9月~07年9月)に創設を表明した制度だが、そもそもこの制度の普及・情報公開には総務省もそれほど熱心でなく、全国的な情報集約は(言い出しっぺの西川一誠・福井県知事=2003年~19年=のこだわりを反映して)福井県HPから閲覧する状況が、数年間続いた。 ふるさと納税の利用は、初年度(2008)の寄附受入5.4万件、受入額81.4億円で、09年度の住民税控除額は18.9億円、控除適用者は3.3万人に過ぎない。2011年3月の東日本大震災の際、この制度を利用して被災地への支援を行いたいという(当初の想定を超えた)動きが生まれたため、2012年度の住民税控除額は210.2億円、控除適用者は74.2万人に急増した。しかし翌年度には減少し、こうした支援意欲もなかなか持続しないと噛(か)みしめた。 寄附控除での自己負担分が(2011年以降)5000円から2000円に引き下げられたが、利用は漸増だった。それが、あるタイミングで変化した。2014年度の受入191.3万件、受入額388億5000万円、2015年度の住民税控除額184.2億円、控除適用者は43.6万人に急増。これには、トラストバンク(社長・須永珠代、2012年4月創設)が開設したポータルサイト「ふるさとチョイス」(2012年9月)が貢献している。これ以降、ふるさと納税はネット通販と化した。 さらに「ふるさと納税ワンストップ特例制度」(2015年4月)で利便性が高まり、2015年度の受入726万件、受入額1652.9億円、16年度の住民税控除額は1001.9億円、控除適用者は129.9万人に急増。直近の2021年度は、受入4447.3万件、受入額8302.4億円、22年度の住民税控除額5672.4億円、控除適用者740.8万人に達している。 返礼品をめぐるトラブル こうして大化けしたふるさと納税だが、いくつかの問題がある。たとえば、返礼品をめぐるトラブルあるいは騒動である。 この制度利用者の大半が(とはいえ、利用者は全納税義務者中の約12%)、実は返礼品目当てである。こうした過熱ぶりに総務省は、2019年5月、制度の趣旨を逸脱した返礼品で過度の寄附を集めたとして、大阪府泉佐野市を含む4市町を、この制度から除外すると決めた。泉佐野市はこの決定を不服として、国地方係争処理委員会に審査を申し立てた。 その後、この争いは高裁、最高裁まで及び、結局は国(総務省)が敗訴し、総務省は2020年7月に、泉佐野市などの本制度への復帰を認めた。しかしその後も、泉佐野市と国(総務省)との間では、特別交付税の減額をめぐって訴訟が続いている。 私見では、多額の返礼品に制限をかける総務省のスタンス(現在は寄附額の3割が上限)は、その通知をどのタイミングで発したかという手続き上の疑問・瑕疵(かし)はあるにせよ、基本的には妥当と考える。(専修大学名誉教授) ➡ふるさと納税の顛末記 ①(11月27日付)はこちら

全国1600人の一人として【防災介助士ってどんな仕事?】上

防災介助士という職種がある。NPO法人日本防災士機構が認定する防災士とは異なり、公益財団法人日本ケアフィット共育機構(東京都千代田区・畑中稔代表)が育成、資格登録する検定ビジネスの一環で2011年12月に生まれた。防災士は災害時に所属団体・企業や地域の要請を受け避難、救助・救命、避難所の運営を行う。介助士はその活動を支援しつつ、障がい者や高齢者といった「災害弱者」の安全を守る。 同機構が認定しているサービス介助士を防災専門に特化させたものだが、サービス介助士が全国で10万人を超える中、まだ認定資格者は1657人(11月時点)という新しい分野だ。 つくば市在住で防災士・防災危機管理者の資格を持つ金栗聡さん(55)は、防災介助士としても活動している。防災介助士とはどんな仕事なのか、金栗さんを訪ねた。 防災士とは異なる災害弱者への支援 「防災介助士は、災害について理解し、どのように備えるか、平常時の啓発、災害が起きた時にどのように避難し、行動するのかを学び、災害時に実践することを委ねられています。例を挙げると防災対策・訓練でハンディキャップのある、災害基本法が示す要配慮者や避難行動要支援者への応対があります。高齢者、障がい者が、起こりうる災害にどんな助けを必要とするか。災害の状況は刻々と変化しますから、初動の避難誘導、避難所での安否確認と救護、健康維持支援などを通して地域の人々の支えになることが職務です」 防災介助士は、防災・災害におけるバリアフリー・ユニバーサルデザイン化にも知見を発揮するという。バリアフリー・ユニバーサルデザインが備えられた地域社会であるかどうかは、災害弱者にとって重要なだけではなく、災害時に負傷した健常者にもかかわってくるインフラであり、ライフラインとなる。 「介助と応急手当と搬送は、その場にいる誰かが行わなくてはならない。災害時、平常時にそのノウハウをお伝えし、或いは実践的に行動することが防災介助士の役目ですが、災害に対する法制度が逆に妨げとなる場合もあります。そのときどう判断すれば被害をいかに軽減できるかという知識も、防災介助士は学んでいます」 街のユニバーサルデザインを情報発信 金栗さんは、2018年に資格を取得し、自身の行動半径として、つくば市内の公共空間にどんな施設があり、そこが被災時にどんな規模の避難所機能を持つか。同時に避難経路の考え方や、施設に付帯している公衆トイレやエレベーターの設備内容を調査し、自らホームページ「やさしい防災」において紹介している。 このサイトでは、つくばエクスプレス(TX)の車両編成ごとにどこに車椅子対応スペースがあるか、つくば駅のホーム側ではどのホームドアが対応しているか、点字誘導や誘導鈴・誘導チャイムの種類に至るまで、実地調査や鉄道サイトからの引用できめ細かに解説しており、さらにつくば駅のバスターミナルから筑波山に出かける際の案内へと連載が続く。 注目すべきは、バリアフリー・ユニバーサルデザインの視点で調査紹介する内容が、車椅子生活者とその介助者に向けた情報発信であることだ。公共空間に埋め込まれた、社会的弱者のための記号や具体的な設備インフラは、統合して紹介されている場が少ない。点字経路に従うとしても、地下からどのエレベーターでどの出口に向かえば良いかは、車椅子生活の人々の身になって考えると、予備知識無しでの移動は困難だと感じる。 「私の書く文章がわかりやすいかどうかという問題も検証する必要がありますが、街なかの些細な情報も一つずつ、多くの人に知ってもらいたいのです」 金栗さんがなぜ防災介助士となり、こうした活動に従事しているのか。そこには金栗さん自身の体験が動機となって背中を押している。(鴨志田隆之)

収穫最盛期のハス田に結氷 レンコン今年は豊作 霞ケ浦湖畔

正月料理に欠かせないレンコンの収穫が霞ケ浦湖畔で最盛期を迎えている。土浦市田村の湖岸では、ハス田に結氷が見られた19日も朝から、ゴム長を履いた生産者が胸まで水に浸かり、丸まると太ったレンコンを掘り出す作業に追われていた。 輪切りにすると丸い穴の向こうが良く見通せることから、レンコンは正月の縁起ものとして、需要が高まる。茨城県は全国一の生産量を誇り、なかでも土浦市は約500ヘクタール(市外の農地を含む)規模で展開する最大の生産地。同市木田余から手野、田村、沖宿にかけての霞ケ浦北岸には一面のハス田が広がる。 師走の書き入れ時とはいえ、水に浸かっての作業は寒さがこたえる。19日朝の最低気温は土浦でマイナス2度(日本気象協会)、ハス田には氷が張った。作業中の生産者に話を聞くと、「12月に氷が張った記憶はあまりない。暖冬気味だったのに、ここ1日、2日、氷が張るほど急に冷え込んだ」という。 ここ数年、霞ケ浦周辺のハス田は、年内掘りでは「パワー」と「ひたちたから」が主力の品種になっている。県農業総合センターなどが選抜をした優良系統で、白さとシャキシャキ感で売っていた「金澄」種の系統から、コロコロと丸く太った品種への転換が進む。嵩(かさ)が稼げ、贈答用の箱詰めに見栄えがする。 県の土浦地域農業改良普及センターなどによれば、今年の作況は「豊作」。ただし、その分「価格的には苦戦している」そう。肥料や梱包資材などの値上げの影響も大きく、農家にはやりくりが大変な年の瀬になっている。 JA水郷つくばレンコン課の山口崇一課長は「昨年はひどい不作だったが、今季は天候にも恵まれおいしいレンコンができた。ぜひお正月の食卓に載せてほしい」と語っている。(相澤冬樹)

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