生涯学習の先駆けである「社会教育」を土浦地方に根付かせた旧土浦・石岡地方社会教育センター(土浦市文京町)が開設から50年、その役割を終える見通しになった。同市が現在パブリックコメントを実施中の市公共施設等再編・再配置計画で、現在の生涯学習館について「機能移転」との方針を示した。同一敷地にある勤労青少年ホームは「閉館」となる。
近隣市町村との一部事務組合運営で1973年に開設された。施設は4階建て延床面積2606平方メートル。事務組合は09年度で解散し、10年に市生涯学習館となった。研修室、和室、会議室、視聴覚室、工作室などの部屋があり、主に同好会の活動や講習に利用されてきた。
併設されていた市立図書館が18年に土浦駅前アルカスへ移転、利用者数は11年度の3万8367人から20年度には1万6336人と減少傾向にある。利用者アンケートでも70代以上が78.4%、60代が14.5%で、土浦市外が26.9%を占めるなど、旧センター時代からの名残りが見られる施設となっていた。
策定中の市公共施設等再編・再配置計画で、同館については「築50年近く経過して建物が老朽化しており、耐震性もない。4階建てにもかかわらずエレベーターが無く、利用状況に対して施設が大きすぎる、市内の他施設で受け入れが可能な利用者数であることなどから、施設を閉館し、近隣施設に機能を移転することが妥当」との考えが示された。
同市によれば、「機能移転」とは閉館を前提に、現在の利用者が亀城プラザ(中央)や一中地区公民館(大手町)など近隣の施設で受け入れられるよう調整する措置。今年度末の再編・再配置計画の策定を待っての作業となり、来年4月で即座に利用を中止することはないという。閉館の時期や跡地利用などは決まっていない。
10施設を選定しパブコメ
昭和40年代、50年代に整備され、老朽化のため更新時期を迎えている同市の公共施設については、21年度に市公共施設等総合管理計画が策定され、適切な改修・更新等を推進していく一方で、財政状況を踏まえつつ、施設配置や運営適正化を進めるとした。再編・再配置計画を策定する委員会(委員長・藤川昌樹筑波大学教授)は今年度、市の公共施設に分類される188施設のうち、施設の方向性を早急に決定する必要がある10施設を選定し、利用状況などを調査、それぞれの方針を定める判定作業を行った。別途跡地利用の検討が行われている旧市役所本庁舎(下高津)などは10施設に含まれない。
勤労青少年ホームは1971年建設、2階建て延床面積1014平方メートルの観光・交流施設。中小企業に働く青少年(15~35歳)の健全育成と福祉の増進のための施設とされ、会議室、集会室、和室、音楽室、体育室、調理実習室、陶芸室などがある。
再編・再配置計画案では「当初の設置根拠が失われていることや、施設の利用者数が少なく、市内の他施設で受け入れが可能な人数であること、また、建物の老朽化状況、体育館に耐震性が無いことを踏まえ、施設の閉館が妥当」と判定された。
ほかに青少年の家(乙戸)の閉館、上大津支所(手野町)の閉所、四中地区公民館(国分町)の改修などが方向づけられている。これら計画案は年明け1月11日まで実施のパブリックコメントで公開され、意見を受け付ける。(相澤冬樹)
◆土浦市が現在実施中のパブリック・コメント案件は以下のとおり。(カッコ内は提出先、=募集締め切り日)▽市手話言語の普及の促進に関する条例(障害福祉課)=1月5日まで ▽市公共施設等再編・再配置計画(行革デジタル推進課)▽第5次市生涯学習推進計画(教育委員会生涯学習課)▽市文化財保存活用地域計画(教育委員会文化振興課)▽第3次市立図書館サービス計画(市立図書館)=以上、1月11日まで ▽市国土強靭化地域計画改定(防災危機管理課)▽第2期市空家等対策計画(生活安全課)▽第4次市地域福祉計画(社会福祉課)=以上、1月13日まで ▽市自転車のまちづくり構想(市政策企画課)▽市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画(行革デジタル推進課)=以上、1月16日まで。