入り口はスマホアプリ「つくスマ」【スーパーシティって何@つくば】3
今年4月、つくば市役所のお知らせを発信する無料のスマートフォンアプリ「つくスマ(つくばスマートシティアプリ)」の配信が開始された。住んでいる地区、年代、家族構成などを登録し、個々人の登録内容に基づいて適切な情報を通知するというアプリだ。
市スマートシティ戦略課によると、7月25日時点の登録者は市人口の3%の約8400件。つくスマ同様、自動的に市役所等のお知らせを配信するプッシュ通知型のアプリは、守谷市、福島県会津若松市、東京都渋谷区や港区などですでに導入されている。他自治体のダウンロード数は数%か15%程度だが、つくば市は2024年度に20%を目指すという。
市議会6月議会一般質問では、せっかく機能があるなら、年代、性別、家族構成、住まい等、登録者の属性に応じて配信する内容を変えてはどうかという質問があり、五十嵐立青市長も前向きな答弁をした。
しかしまだ、市長の答弁通りとはいかないようだ。市スマートシティ戦略課は「つくスマのプッシュ通知は現在、部署ごとに配信している」とし、登録者の属性に応じて配信内容を変えているかについては「実際にそのような運用をしているかまでは把握してない。導入初期段階でもあるため、あまり条件を絞り過ぎると配信対象者数が少なくなるため、あらかじめ配信対象者数を確認の上、配信するようにしている」とする。
現在の配信本数は「職員がまだ慣れてないこともあり平均的な件数を挙げることはできないが、最近では多い時は1日5本程度」と同課。
さまざまなサービスを連動
つくスマは、単に行政情報を通知するだけににとどまらない。スーパーシティ構想では、さまざまなサービスをつくスマに連動させ、将来さまざまなサービスを、「つくスマ」を起点に市民が利用できるようになることを目指している。市民にとってはスーパーシティの入り口の扉が「つくスマ」になる。インターネット投票も「つくスマ」から行えるようにする。
アプリは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)のメンバーである凸版印刷(東京都台東区)、アスコエパートナーズ(東京都港区)とつくば市の3者によるプロジェクトチームが、約1600万円で開発した。市民の利用料は無料だが、市はライセンス料としてダウンロード数にかかわらず年間500万円を凸版印刷に支払う。
マイナンバーで紐づけ
スーパーシティは、行政や企業、個人などがもつさまざまな情報を複数の分野で共有してサービスを行う。事業者にとっては本人確認、住民にとっては個人情報保護がしっかりなされているかが重要になる。つくば市の場合、本人確認をマイナンバーカードとデジタルIDによって実施する予定だ。
具体的には、本人の同意を得ることを前提に、住民異動届、医療Maas、医療・健康事業でマイナンバーの利用拡大が構想されている。例えば医療・健康事業では、企業や行政、個人などが分散して保有する診療履歴、服薬履歴、食品購入履歴、運動情報などの情報をマイナンバーで紐づけして一元的に管理し、食生活を改善したり生活習慣病を予防するサービスを展開するなどだ。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「毎回(つくスマの画面に)マイナンバーカードをかざさずに、スマホだけで利用することが可能になる」と説明する。
民間ではマイナンバーを利用しなくてもすでに様々なサービスが展開されているのに、つくば市はなぜマイナンバーを利用するのか。同課は、マイナンバーカードは本人確認がすでになされているため、一番確実であるとし、特段利用者のハードルが高いとは考えてないとする。
ただし現在の法律では、マイナンバーを利用できる分野は社会保障・税・災害対策の3分野に限定され、利用方法も罰則付きで厳しく制限されている。民間企業がマイナンバーを利用してサービスを展開することはできない。マイナンバーは国民全員に割り当てられた12ケタの背番号で、さまざまな分野に紐づけられると監視社会につながるという懸念があるからだ。
つくば市では今後、条例をつくるなど、スーパーシティのサービスでマイナンバーを利用できるよう法整備をすることが必要になる。法整備の内容や時期について同課は、今後、国家戦略特区の枠組みを活用して国と協議していく予定だが、具体的な時期は未定だとする。(鈴木宏子)
ムシたちにも過酷な夏 《くずかごの唄》113
【コラム・奥井登美子】
「今年の夏はゴキブリが台所に出なかったの、お宅はどうですか?」
「ゴキブリ? そういえばいつもの年より少ないかなあ」
コロナで、図書館でも、スーパーでも、どこへ出かけても体温を測っているけれど、その体温よりも気温が高いなどということは今まであまりなかった。
6月末から7月初め、気温が、人間の体温よりも高い日が何日かあった。我が家の庭の山椒(さんしょ)の木に、毎年たくさんイモムシが発生するが、今年は1匹もいなかった。昆虫の世界も、酷暑で、何か変化しているらしい。
熱中症を起こして救急車で運ばれる人が、がぜん多くなってしまった。我が家では居間にクーラーがなかった。クーラーの大嫌いな亭主が許可してくれなかったのだ。しかし、今年はクーラーがないと熱中症になってしまいそうで、とうとうクーラーをつけてしまった。
何か異変が起こっている
どんぐり山の昆虫観察会は、毎年1回、10数回以上続いている。救急係の私は、2~3日前に、刺されたり、かみつかれたら困る、マムシ君とヤマカガシ君とハチなどの下調査に行く。
昨年はコロナの影響で観察会は急きょ中止になってしまった。今年はコロナの心配をしながらも、断固決行することになった。
下調査でヘビはいなかったけれど、ハチの数がいつもの年よりも少なかった。森に住む黄金虫(ゴキブリの仲間たち)も見かけなかったが、あまり深く考えなかった。
観察会の当日は、たくさんの子供たちが来てくれてうれしかった。山に入る前にムシ刺されの注意はするが、毎回、何人かの人がムシに刺されてしまう。今年はどういうわけか、刺された人が1人もいなかった。虫たちも少なくて、しかも、何か元気がなかった。
憧れの国蝶(ちょう)オオムラサキもいなかった。人間は虫たちにも無視されてしまった。酷暑の地獄。人間の世界にも、虫の世界にも、何か異変が起こっている。(随筆家、薬剤師)
原告住民21人が控訴 常総水害訴訟
2015年9月の鬼怒川水害で、住民が甚大な浸水被害に遭ったのは国交省の河川管理に落ち度があったためだとして常総市などの住民が国を相手取って損害賠償を求めた裁判で、原告住民21人が4日、一審の水戸地裁判決を不服として、控訴した。
7月22日に水戸地裁で出された一審判決(7月22日付)は、常総市若宮戸地区の鬼怒川河川敷で、砂丘林による自然堤防が掘削され太陽光発電パネルが設置された場所から水があふれ出たことに対し、国が砂丘林を河川区域に指定することを怠ったのは、国の河川管理の落ち度だと認定し、住民側の主張を認め、同地区住民10人の家屋や家財などの被害に対し約3900万円の損害賠償を認めた。
一方、堤防が決壊した下流の同市上三坂地区については、堤防の高さが他地区に比べて低かったことは認めたものの、他地区に優先して堤防を改修しなかったことは、国の改修計画が格別不合理だとはいえないなどとして、国の落ち度を認めず、住民22人の損害賠償を認めなかった。
4日は、原告住民32人のうち21人が、約2億3300万円の損害賠償を求めて控訴した。
原告団共同代表の片倉一美さん(69)は控訴状提出後、水戸市内で記者会見し「(一審は)一部勝訴だったが、国を擁護する裁判所の体質は全く変わってない。水害は現実として堤防の低いところから水が浸水して決壊する。(上三坂地区で国の落ち度を認めない理由とされた堤防の計算方法の)スライドダウンは架空の経済的評価であり、まだまだ意見を言いたい」と控訴理由を話した。さらに「原告からは、水に色が付いている訳ではないので、若宮戸からの水による被害と、上三坂の決壊による被害がそれぞれどの程度だったか分からないという声がある」とし、「市民として国民として常識的に考えておかしいでしょう、ということを訴えていきたい。水害訴訟は日本全国で起きており、国の非常識を皆で訴えることで司法の考え方が変わっていけばと思っている」と語った。
国も同日、控訴した。控訴審は東京高裁で行われる。(鈴木宏子)
吾妻70街区に近未来都市?【スーパーシティって何@つくば】2
「ここはスーパーシティの中で、グリーンフィードという、ある意味まっさらにしてそこから新しい街を立ち上げていく実証実験の場所」ー。来年度以降、売りに出されるつくば駅近くの国家公務員宿舎跡地、吾妻2丁目の通称70(ななまる)街区(約6ヘクタール)について五十嵐立青市長は、今年4月開かれた市民説明会で参加者の質問に答え、こう説明した。
グリーンフィールは、ブラウンフィールドと並ぶ、スーパーシティの用語。グリーンフィールドはこれから新たに街をつくるまっさらな土地、ブラウンフィールドは既存の市街地などすでに建物が建っている土地をいう。グリーンフィールドにはまだ住民が住んでない。スーパーシティでは、これから新たにグリーンフィールドに入居する住民に、例えば行動履歴や購買履歴などのデータを事業者に提供したり活用することなどを入居の条件にすることにより、街全体をデジタル化できることがメリットとされている。
ドローン、自動運転車行き交う
吾妻70街区では、どのような街の姿が描かれているのか。4月の市民説明会で五十嵐市長は「市としてまだイメージ図を描いているわけではない。いろんな企業からさまざまな提案をいただいたが、詳細は企業の皆さんからまだ言わないようにと、そういう制約もあったりする」とした上で、近未来の姿をこう話す。
「70街区には住宅地もないと民間企業が参入できないので、例えばマンションや商業施設、イノベーション拠点、クリニックなどがあって、マンションに住む方は、商業施設のものはスマホで注文ができ、敷地内ならドローンでベランダまで運んでくれるというようなサービスや、このエリアの中は完全自動運転でモビリティが動いて、移動が不自由な方でも自動運転で移動していけるというようなサービスをできるだけ詰め込んでいく。例えば、健康状況とか心拍なども提供すると自分に合った食事メニューが届くなども。そういうことを複合的にやる場所にしたい。事業の採算性もあるので、その辺含めて詰めていきたい」。
1年前の2021年5月に開催された国のスーパーシティ国家戦略特区ワーキンググループのヒヤリングでも五十嵐市長は70街区について「このグリーンフィールドに入居する住民は、原則としてサービスに参加する。ショッピングエリア等も考えているが、すべてマイナンバーカード等で様々なサービス提供を受けられるようにする。当然お店にもすべてキャッシュレス対応をしてもらい、現金は扱わないでもらう。あらゆるサービスをドローンで運んでいくということもあったり、医療のサービス等も考えられる。最初から住民側にかなり高い要求というか、期待値をもっていただいて、本当にゼロからつくり上げていくような場所にしていく。そこで成功事例をつくって、市内の他のフィールドに広げていくような役割分担もしたい」と説明している。同じヒヤリングで森祐介市政策イノベーション部長(当時)は「金融機関がこの開発に強い関心というか、やる気をもっており、単なる出資とか、融資の枠組みを超えて、自ら不動産業を営むような形で運営していきたいということまでおっしゃっていただいている」とも述べる。
来年度にも売り出し
吾妻70街区については、9割の5.4ヘクタールを所有する財務省関東財務局と、残りの0.6ヘクタールを所有するつくば市が共同で昨年、民間事業者を対象にサウンディング型市場調査を実施した(21年10月26日付)。結果は、建設業者や不動産業者など7事業者からマンション、戸建て住宅、商業施設などの提案があった。つくば市が掲げるイノベーション拠点の誘導に対しては「理念より現状を正確に把握した上で市民にニーズのあるものを整備することが最優先」「行政の補助が必要」などの意見が出され、市場のニーズと市の方針に乖離(かいり)があった(22年3月22日付)。
市は今年4月と5月に市民説明会と意見募集を実施。それらを踏まえて国と協議調整し、今年度中に活用方針を検討したり、必要に応じて都市計画の変更を行う。今後については「一つのスケジュールとして来年度、二段階入札で売却をして」いくと五十嵐市長は市民説明会で述べている。
実際、どのような街になるのかは、現時点でまだ決まっていない。市スマートシティ推進課は「70街区の開発事業者は今後、土地所有者である財務省が公募で選定していく」「今後、開発事業者と相談しながら、スーパーシティで検討している先端的サービスをどのように導入できるのか相談していく」としている。
一方、市民の意向はどうか。市が今年4月下旬から5月末まで実施した意見募集には47人が回答した。市が掲げるスーパーシティの構想に賛成する意見はわずかで、「マンション開発に歯止めをかけてほしい」「緑を残してほしい」などの声が目立った。県立高校、スポーツ施設、子供の数が急増している学校施設の充実など公共施設のほか、商業施設の誘致を求める意見もあった。「駅前の一等地をスタートアップ企業やリノベーション事業の誘致に用いても、その利点が還元されるのは関係者のみで、市民にとっては何の価値もない」など厳しい意見あった。(鈴木宏子)
痛みのおはなし《ことばのおはなし》48
【コラム・山口絹記】この1年と半年ほど、しつこい肩こりに悩まされている。「痛い」のかと問われると、痛いというよりは、重いとかだるい、という方が近い。「耐えられないほどなのか」と問われると、まぁそれほどではない。思い返せば、母はひどい肩こり持ちで、肩こりからくる頭痛で寝込んでいることもあった。そんなものに比べれば、私の肩こりなどきっと軽いものなのだろう。
とはいえ、つらいものはつらい。痛みや苦しみなどというものは、どこまでも主観的なものなので、他人の痛みと比べて自分の痛みが軽いから楽になれる、なんてことは当然ないし、自分がどれだけ苦しんでいても、それを見た他者の苦しみが軽くなることもない。だから、むやみに苦しみを訴えないようにしている。
一方で、もともと、肩こりとは無縁の人生だったこともあり、肩こりに悩む人に出会っても、「ああ、大変だなぁ」程度にしか感じてこなかった私も、すっかり共感できるようになった。なってしまった。一緒になって「つらいよね」と言い合っても、肩こりがやわらぐことはないのだけど、ふとした拍子に寄り添えるというのは、これはこれで悪いことではないように思う。まったく難しいなあ、と思う。
苦痛を正確に伝えられない
2カ月ほど前から、ついに鍼灸(しんきゅう)院に通うようになった。自分的には最後の手段、という感じである。つらさは一進一退だが、それでも毎回親身になってくれる鍼灸師さんと、痛みの原因について話し合いながら、日々の生活を改善するようになった。
それにしても、痛みをことばで伝えるというのはなんと難しいことだろう。今までも、海外生活のなかで、自分の痛みや病気などの症状を第2言語で伝えることの難しさは味わったことはある。しかし、もっともっと繊細な意味で、そもそも「重い」とか、「だるい」というのはどういうことなのかと改めて考えてみると、「重いもんは重い」「だるいと言ったらだるい」以上の説明ができなかったりするのだ。
鍼灸師さんもプロなので、自分の感じる苦痛を正確に伝えられなかったとしても、治療に大きな影響はないのだろう。それでも、なんとなく通じてないな、と感じるときに覚えるのは孤独感で、つまるところ痛みというのは自分だけのものなのだなあと、しみじみ感じ入ってしまうのだ。(言語研究者)
「次の市長選、市議選は必ずインターネット投票を」【スーパーシティって何@つくば】1
つくば市が今年4月の閣議で「スーパーシティ」型国家戦略特区に指定された。7月15、16日には市内の商業施設、イーアスつくばで、市によるキックオフイベントが開かれた(7月15日付)。国に対し、つくば市がアピールした看板事業はインターネット投票だ。スーパーシティって何だろうか。
「3年後(2024年)の市長、市議会議員選挙で、必ずネット投票を導入したい」ー。2021年5月、オンラインで実施された内閣府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングで、五十嵐立青市長は国の委員らにこうアピールした。
国がホームページで公開している議事録によると、「昨年(2020年)市長、市議選が行われたが、投票率は過去最低の51%。20代前半が3割を切っている。70代に向かって投票率が上がっていくが、80代以上が急落して40%を割り込む。市内で高齢化率トップの地域の役員さんにいろいろ話を聞いたところ、投票所まで行けないというのが非常に多い。インターネット投票があれば助かるという声もいただいた。筑波大での調査でも約9割がネット投票を使いたいということだった」と五十嵐市長。
続けて、市内の学校の生徒会選挙で行われたインターネット投票の実証実験の実績を強調し、「スーパーシティ基本構想の住民投票でも、必ず(インターネット投票を)活用したい」とも述べる。
特区の委員は期待、総務省は難色
つくば市をスーパーシティに選んだ、内閣府国家戦略特区の専門調査会が、同市に最も期待するのもインターネット投票の実現だ。国の委員からは「このインターネット投票をぜひできるように、そうすれば非常に大きな目玉になる」(竹中平蔵慶応義塾大名誉教授)、「つくばに関してはインターネット投票、これは何とか実現しないといけない」(原英史WG座長代理)と口々に期待を語る。
ただし公選法を所管する総務省は現時点で、インターネット投票の実施を認めていない。「選挙の公正確保の観点から課題があり、選挙制度の根幹に関わる問題であるため、各党各会派における議論が必要であり、特区として実験的に行うべきものではない」という立場だ。
投票の秘密、買収や強要に懸念
投票所以外の、どんな場所からも投票できるインターネット投票に対しては、投票の秘密が守られる環境が確保できるのかや、買収や強要などの事態が横行するのではないかという懸念がある。
国の委員の高橋滋法政大学教授は解決策として「例えば公選法を改正して、条例によって、選挙事務所で投票のために端末が利用されないよう配慮する義務を選挙責任者に課すことができるようにする、かつ、選挙責任者の違反に対しては連座制を本人に適用する、そして特定の候補者について運動した者については、有権者に対してスマホやパソコンを用いた投票の動作の確認を求め、あるいは確認してはならないとする禁止規定を罰則で設ける等の提案をする、さらには、何人も有権者に対して、スマホ、パソコンを用いた投票の動作の確認を求め、確認してはならないとする規定を設ける等、柔軟な発想、対処方法を示しつつ働き掛けをすべきではないか」などとアドバイスする。
金品をばらまいて票を買うなど金権選挙の摘発が全国各地で無くならない中、買収や強要などの懸念は払しょくできるのだろうか。
つくば市の森祐介部長(当時)は6月議会の一般質問で、なりすましや強要などへの懸念に対し、「技術的に解決できるか検討する」などと答弁。市スマートシティ戦略課はその後の取材に対し、買収の懸念について「買収された本人の意思によって投票しているため、技術的に防止するのは難しい。こうした場合は、罰則を設けるなど法令で対応する方法が考えられる」とし、強要の懸念に対しては「強要は本人の意思によらずに投票を強制されているので、上書き投票(再投票)を可能とするなど技術的に解決する方法が考えられる」とする。
ただし、上書き投票を可能にするためには、1回目にだれがだれに投票したのかを判別できることが前提になる。選挙の基本原則である、だれがだれに投票したか分からないよう秘密を守るという「投票の秘密」を侵すことになってしまう。これに対し同課は「秘密投票との関係もあるので、慎重に検討していく必要がある」とする。(鈴木宏子)
「カスイチ」ショートコースを走った 《夢実行人》11
【コラム・秋元昭臣】最近、「カスイチ」(霞ケ浦一周サイクリングコース、130キロ)のショートコース(霞ケ浦大橋で横断、90キロ)を左廻りで走ってきました。午前6時、JR土浦駅に近い霞ケ浦・土浦港区域にある「りんりんポート土浦」(サイクリスト向けの駐車場や自転車メンテナンス場が整備されている)を出発。
余談ですが、JR常磐線の土浦駅ビルには、サイクリスト向けショップのほか、自転車持ち込みOKの喫茶店やホテルがあります。また、駅東口(霞ケ浦口)の「サイクルステーション」には、自転車組み立て用の場所も用意されています。
走路上に描かれた矢羽根に誘導され、間もなく「霞ケ浦総合公園」に。この公園には温浴施設、淡水魚博物館、霞ケ浦を一望できる風車などがあり、ここからの出発もOK。阿見坂下信号を左折。施設を迂回して湖岸道路に入ると、「予科練平和記念館」。少し先の「旧鹿島海軍航空隊大山スロープ」はウインドサーフィンのメッカです。
江戸崎入り江の「古渡橋コンビニ」を通過して、次の休憩所は浮島。昔は、遠浅の水泳場にバンガローが並び、霞ケ浦の遊覧船「さつき丸」で遊びに来る子どもたちでにぎわいました。今は、春に開かれる「チューリップ祭り」が人気。
「自転車も乗れる」遊覧船・アイリス号
稲敷大橋を越えて左折。一般道を横断して潮来大橋を渡ると、JR鹿島線潮来駅に。近くにある「潮来観光協会」では、レンタルしてきた自転車の乗り捨てもOK。日曜日、駅前では、地場の野菜や果物を販売する朝市が開かれます。
潮来駅から川沿いに戻り、「北斎遊学館」を通過。北利根橋をくぐり、10キロほど走ると、「麻生温泉白帆の湯」。近くの「天王崎交流センター」には売店や喫茶室も。湖岸の養魚場からは、コイ、フナ、ウナギ、ナマズ、金魚などが出荷されます。
霞ケ浦大橋手前の「霞ケ浦ふれあいランド」には地元・行方市の土産品も。大橋で湖を横断すると、間もなく「歩崎公園」。一画には「かすみがうら交流センター」があり、近くには「水族館」や「歴史博物館」も。多目的浮桟橋からは「自転車も乗れる」遊覧船・アイリス号が発着します。
土浦に向かうコースの右方高台にあるのは「茨城県霞ケ浦環境科学センター」。終点目前の新港橋を渡り、「りんりんポート土浦」に戻りました。(元ラクスマリーナ専務)
街中に涼しさを表現 「大型タペストリー展」開催
つくば駅前の商業施設トナリエMOG(同市吾妻)1階にあるプラザ・パフォーマンス・ギャラリーで1日、筑波学院大学とつくば都市交通センターが主催する「大型タペストリー展」の授賞式が行われ、優秀作品に選ばれたタペストリーの展示が始まった。
作品は、同大メディアデザインコース3年生が制作した。7月12日から19日にかけて、トナリエクレオ3階のスペースに同コースの学生25人の作品が展示され、買い物客など来場者による投票と、それを踏まえた審査員の選考会によって、優秀賞2作品が決定した。受賞作品は倉田舞さん(21)の「かき氷」と、相川奈月さん(20)の「夏の庭」。投票は、オンラインと手書きを合わせて115票が集まった。
倉内さんの作品は、かき氷にかかったイチゴとレモン、サイダーをモチーフにした爽やかな色使いが特徴的。特に、サイダーの「シュワシュワ感」がポイントだと倉内さんは話す。「かき氷は、子どもから大人まで誰が見ても楽しめる、伝わりやすい作品になったと思う。たくさんの人の心に残ることができたらうれしいと」喜びを話した。
相川さんの作品は、縁側から見た庭の景色を表現した。障子をイメージした白地に赤い金魚があしらわれ、5本のタペストリーの中央には、障子越しにのぞく夏の庭の風景を、淡い緑のグラデーションで表した。相川さん「受賞はとても良い経験になった。将来は、伝わりやすく、楽しんでもらえる作品を作っていきたい」と思いを語った。
同展は2015年にスタートし、今年9回目を迎えた。展示期間は、倉内さんの「かき氷」が8月1日(月)〜22日(月)、相川さんの「夏の庭」は8月22日(月)~9月12日(月)の期間、プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで展示される。入場無料。(柴田大輔)
夏休みは科学の街つくばが熱い!
科学の街つくばの夏休みは、子どもたちを夢中にさせる企画が今年も目白押しだ。JAXA筑波宇宙センターなど市内6カ所の研究施設を巡回するつくばサイエンスツアーバス(茨城県科学技術振興財団運行)は「夏バス」として特別便を増便し、夏休み特別企画・謎解きゲーム、実験や工作イベントが開催される。つくば市による「つくばちびっ子博士2022」では、市内36の研究・文化施設を結ぶクイズラリーが開催。一定の正解数を越えると「最優秀ちびっ子博士」号が贈られる。
夏バス、週6日運行
「夏休みの自由研究にお薦めです」と力を込めるのは、夏バスを運行する茨城県科学技術振興財団スタッフの海原麗子さん。夏休み期間の7月23日から8月28日まで、月曜を除く週6日、市内6つの研究施設を循環する。乗り降り自由の1日乗車券で、好みの施設を見学できる。スタッフガイドの詳しい解説がつく同行コースも9回ある。各日募集定員19人でウェブで要予約だ。各施設を巡ることで、地震や宇宙など、さまざまなテーマを多角的な視点で知ることができるのも見どころだ。
海原さんのいち押しが、特別企画「謎解きサイエンスミステリー『暗号だらけの招待状』」。夏バス1日乗車券を購入するともらえる「招待状」を手に、6つの施設に散りばめられた「暗号」を解読する。
つくばサイエンスバスツアー「夏バス」は、つくばセンター発着の「北回り」「南回り」の2ルート。停車地は、国土地理院、つくば実験植物園、つくばエキスポセンター、産業技術総合研究所(地質標本館、サイエンス・スクエア)、筑波宇宙センター。大人500円、小学生250円、幼児無料(保護者同伴)。
スタッフガイド同行コースは各日19名、要ウェブ予約。1日コースは 8月6日(土)、20日(土)の2日間で、地図と測量の科学館、筑波実験植物園、サイエンス・スクエアつくば、地質標本館、筑波宇宙センターの3カ所を回る。午前北回りコースは8月2日(火)、4日(木)、9日(火)、12日(金)、24日(水)。見学施設は地図と測量の科学館、筑波実験植物園。
つくばサイエンスツアーオフィス(茨城県科学技術振興財団)は電話029-863-6868 ウェブサイトはこちら
夏の工作実験イベント開催
期間中、研究機関の見学訪問と、実験や工作を楽しめるイベントがセットになったツアーも開催される。
8月17日(水)と25日には、チョウの翅(はね)にある鱗粉を紙に写し取り、それをもとにポストカードをつくる工作実験教室が開催される。実験教室のほかに、地質標本館とJAXA筑波宇宙センターを見学する。小学生とその保護者が対象。実験材料として300円のほか、サイエンスツアーバス運賃(大人500円、小学生250円)がかかる。
8月21日(日)は、霞ケ浦環境化学センターで、植物のタネが飛散する仕組みを理解するための工作講座が行われる。その他に、地図と測量の科学館、筑波実験植物園を見学する。小学生以上が参加できる(小学生は保護者同伴)。サイエンスツアーバス運賃(大人500円、小学生250円)のほか、筑波実験植物園入園料(一般320円、小学生、65歳以上は無料)がかかる。
各ツアーとも、定員を設けた事前予約制。詳細・申し込みはつくばサイエンスツアーオフィスのホームページで受け付けている。
クイズに答えて「ちびっ子博士」
つくば市による「つくばちびっ子博士2022」では、市内36カ所の研究施設や、歴史・文化施設を結んだクイズラリーを開催する。期間は7月23日から9月30日まで。現地を見学したり、オンラインイベントなどを通じて出されるクイズに答える。
対象施設は、つくばエキスポセンター、ゆかりの森昆虫館などの博物館、高エネルギー加速器研究機構(KEK)などの研究施設のほか、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも関連する小田城跡歴史ひろばといった歴史・文化施設など多岐にわたる。新型コロナ感染対策としてオンライン企画を充実させ、現地見学の混雑緩和のために期間を9月末まで延長した。
各施設の動画は特設サイトから視聴できる。さらに同サイト上には、感じた疑問を25の参加機関にぶつけられる『つくばSTEAMコンパス「なぜなぜなぜ」スペシャル!』が実施される。質問の期限は8月7日まで。
クイズラリーの参加に必要な「パスポート」は、つくば市役所、市内の地域交流センター・窓口センター、総合インフォメーションセンター交流サロン(BiViつくば2階)で配布する。クイズの正解数に応じて、「最優秀つくばちびっ子博士」号、「優秀ちびっ子博士」号、「つくばちびっ子博士」号が認定され、それぞれに参加賞が贈られる。
イベントの詳細は、市の特設ページ「つくばちびっ子博士2022」、参加機関の情報は「つくばちびっ子博士2022 参加機関情報」で確認できる。(柴田大輔)
情報戦争とオシント 《雑記録》38
【コラム・瀧田薫】7月16日付の毎日新聞に、「本社オシント新時代取材班がPEP・ジャーナリズム大賞を受賞」との記事が掲載された。「PEP」とは、「Policy Entrepreneur’s Platform」の略称で、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブが立ち上げた日本発の政策起業家コミュニティーである。
そのホームページには、専門性、現場知、新視点をもって課題を発掘・検証する活動を支援し、公共政策プロセスへの国民1人1人の参画を促し、政策本位の政治熟議を生み出すことを目指すとある。
「オシント新時代取材班」の受賞理由は、オシントの技術を駆使して、報道内容の精度を高めたことと、フェイク・ニュースの欺瞞(ぎまん)性を積極的に暴こうとする「報道姿勢」にある。たとえば、ロシアと中国におけるサプライチェーンの動態を取材した「隠れ株主『中国』を可視化せよ AI駆使し10次取引先までチェック」(2021年12月)や「ロシア政府系メディア、ヤフー・コメント改ざん転載か 専門家工作の一環」(2022年1月)といった特集記事が高く評価された。
ところで、オシントとは「open-source intelligence」の略語であり、公開情報を検証する情報分析手法である。
2013年に、シリア政府軍による化学兵器使用疑惑が持ち上がったとき、1人のネットウォッチャーが攻撃の日に撮影された映像や画像をネット上で収集・検証し、どのような兵器がどこから来たかを突き止めた。兵器の正体は神経ガス・サリンを搭載できるソ連製M14型ロケットであること、さらに、ロケットがシリア軍の施設の方角から発射されたことまで明らかにした。これがオシントの事実上のデビューである。
「ベリングキャット」の衝撃
その後、このネットウォッチャーが立ち上げた独立系調査グループ「ベリングキャット」はウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空17便の事故を解明するなど実績を積み、最近はオシントの講座を開くなどの普及活動も展開している。
今回表彰された毎日新聞「オシント新時代取材班」のキャップ・八田浩輔氏もこの講習に参加し、そのときの体験を新聞紙上で紹介している(「ベリングキャットの衝撃」毎日新聞2020年2月6日付)。また、ベリングキャットの創始者E・ヒギンズ氏自身もオシントの現状を紹介している(『ウクライナ危機後の世界』宝島社新書)。
この書によると、ベリングキャットはロシアのウクライナ侵攻を調査中で、すでに多くの証拠がアーカイブ化されているという。将来、これがウクライナ紛争のアカウンタビリティ(説明責任)を果たすことになるだろう。
今後、AIを導入するなどして、オシントの存在感がさらに高まっていくものと期待される。旧来のジャーナリズムがオシントを取り込んで自らをどのように変えていくのか、また変えていけるのかどうか、見極める段階に来ているように思う。(茨城キリスト教大学名誉教授)
