食料求める長蛇の列に支援情報提供 つくばの無料配布会
【崎山勝功】生活に困窮する大学生やひとり親家庭などを応援する食料の無料配布会が21日、つくば市天久保の松見公園で開かれた。昨年12月から始まり今回で4回目、回を重ねるごとに食料を求める参加者が増え、コロナ禍に伴う困窮の度が極まってきた。主催の学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)は、会場内に相談コーナーを開設、各種支援制度の情報を提供するなどした。
午前11時の配布開始前から、学生や子ども連れを中心に長蛇の列ができ、正午過ぎまで途切れることなく約270人が訪れ食料を受け取った。主催団体によると「途中で帰った人を含めると、実際には400人近く並んだ」という。
相談コーナーは、前回の無料配布会で学生たちから「休業支援金を受け取っていない」という声が相次いだことから開設した。新型コロナによる時短営業で勤務時間を減らされた場合、アルバイトや派遣労働にも休業手当ては支給されるが、制度の周知不足は顕著だった。会場内には休業支援金・給付金の申請用紙を設置。休業支援金や大学等修学支援制度、緊急小口資金などを紹介するチラシ作成し配布した。
飲食店でアルバイトをしている筑波大の女子学生(1年)は「部活動をしているため、(午後8時までの)時短営業の影響を受けてバイトに入れる時間が減った」という。時短営業前は、部活動と時間が重ならないように時間を調整してアルバイトをしていた。また「部活動以外がオンラインのため、部活外でのつながりができない」と人間関係での悩みも抱えている。
「足のケガで膝に水が溜まっている」という男子学生の一人は、「アルバイトのシフトを減らされ、お金が足りない。そのためMRIなどによるケガの精密検査を受けられない」という。
会場には外国人も姿を見せ、ボランティアスタッフらが英語で対応に当たった。男子留学生は、奨学金や親からの仕送りで生活しているが、「母国で仕事に就けたら退学も考えている」と退学を視野に入れている。
ツイッターで配布会を知った、つくば市内の会社員女性(47)は、中学1年生の男子(13)と一緒に食料を受け取りに来た。女性は「勤務時間が減って残業が無くなった分収入が減った。食料があると助かる」と感謝していた。
同団体の冨山香織代表(39)は「(配布会を)やればやるほど切実な声が出てくる。学生さんが孤立しているので、少しでも豊かになってくれれば」と語った。
会場で食料配布ボランティアに従事した高校3年生男子(18)は「コロナ(感染)が始まって1年経つのに、未だに大変な人がいると身に染みて感じた」と話した。高校生は4月から大学に進学するが「せっかく大学に入ったのに、リモート授業ばかりで直接授業を受けられないのが不安」と不安をのぞかせた。
◆土浦でも3月6日に食料配布会
コロナ禍で生活が困窮している大学生やひとり親家庭の生活支援のため、3月6日午前10時から土浦市中村南の三中地区公民館駐車場で「学生・ひとり親支援 食料・日用品無料配布会」が行われる。昨年12月26日に同市東真鍋で開催したのに続き2回目。
主催する「コロナに負けるな!つちうら食料支援プロジェクト」の担当者によると「荒川沖方面にも困っている人がいる」として、今回は同公民館での開催となった。前回は、ひとり親家庭など約50人が来場し、食料を受け取ったという。
配布会の会場では、食料や日用品を無料で配布するほか、生活に困窮するひとり親家庭を念頭に、生活や労働、子育て、介護などの無料相談会も開く。
問い合わせは、事務局の土浦母親大会連絡会(電話029-824-8949)。
手作りおみくじに受験生応援メッセージ JR土浦駅 社員が企画
【伊藤悦子】駅を利用する受験生を励まそう-とJR土浦駅(土浦市有明町)が設置した「おみくじ」が好評だ。「頑張れ!!受験生! 土浦駅みくじ」で、手書きで感謝や応援のメッセージがつづられている。3月上旬まで設置する。
切符売り場脇に「頑張れ!!受験生! 土浦駅みくじ」と書かれた架台を設け、上に置かれた透明プラスチックケースに、色とりどりのおみくじを折りたたみ入れている。受験生だけでなく、資格試験などを受ける社会人、家族や友人に受験生がいる人など誰でも引くことができる。新型コロナ感染予防のためアルコール消毒薬も用意してある。
「土浦駅みくじ」を企画したのは、JR東日本社員で同駅勤務の山脇遥さん(26)と遠藤夏美さん(26)。「土浦駅は学生の利用が多い。合格切符を作るなど、受験生応援企画は毎年実施していたが、今年は社員から感謝の気持ちを直接伝えたいという思いから企画した」と話す。
2月11日に設置を始め、最初は200枚のおみくじを入れたが、予想以上に引いていく人が多く、合い間をみては補充しているという。これまでに約100枚を補充した。
おみくじを書いているのは、みどりの窓口や改札を担当する社員たちだ。縦29センチ、横3.5センチの短冊状の色紙に、手書きのメッセージが書かれている。内容は一枚一枚異なる。どんな内容が書いてあるかは、引いてからのお楽しみにしてほしいという。
「おみくじは持ち帰っていただき不安なときなどに読み返してほしい。いつも応援している人がいるということを思い出してもらえたら」と山脇さん。
遠藤さんは「コロナ対策として、駅も電車もしっかり消毒しているので安心して利用してほしい」とし、「受験シーズンは電車に乗り慣れていない人も多い。困っていることがあったらいつでも気軽に相談して」と呼び掛けた。
石岡市から土浦市内の高校に通う男子生徒(3年生)は、「コロナ禍で大変なときに、駅の人におみくじで応援してもらってうれしい。励まされる」と感想を語った。
《沃野一望》24 正岡子規『水戸紀行』追歩(4)
【コラム・広田文世】灯火(ともしび)のもとに夜な夜な来たれ鬼我(わが)ひめ歌の限りきかせむ とて
正岡子規の『水戸紀行』を追歩する令和版テクテク珍道中(子規は自身の水戸行きを東海道中膝栗毛になぞらえている。「僕が野暮次で君が多駄八、これからは弥次、喜多よりは一段上の洒落人となりて一九をくやしがらせるとは妙々思案じゃな」とある)、牛久沼のほとりまでやってきた。沼の水面(みなも)を遠望する。
白鳥が一羽、のんびりと泳いでいる。年末のあわただしい時節、悠然と水面をすべる姿は優雅の極み。年末は、こうして過ごすのですよと諭される。
牛久沼(沼全体は、行政的には竜ケ崎市)を過ぎ、最後の鰻(うなぎ)屋を見送り、行政上の牛久市に入る。
すこしの寄り道で牛久駅にたどり着き、コンコース上にベンチを見つけ、本日二度目の休憩とする。座ったベンチの脇に、東南アジア系の若者グループが無遠慮に数人寄ってくる。理解できない言語で声高に話しあっている。彼らも、年末年始の休暇なのだろうか。子規の時代には、出会うことのなかったであろう若者たち。せかせかと煙草をすい、ザワザワと立ち去っていった。日本での年末年始休暇が、いかほどの残像を残すのだろうか。
若者グループが消え、静けさをとりもどしたベンチでたっぷり休み、ふたたび出発。子規は、藤代から土浦あたりまで、風景描写をいっさい残していない。
「雨は次第に勢を増してうたゝ寒さに堪へず少しふるへながら」歩いたので、景色どころではなかったようだ。「声をはりあげて放歌吟声を始めぬ」とある。何者が通るのだと、明治20年代の街道筋の人たちは、あきれながら見送ったことだろう。
スーパーひたち 圏央道 蜃気楼の街並
令和版は上天気。快調に土浦を目指す。小野川の橋を渡ったところで右手から、JR常磐線の線路が接近する。背後に轟(ごう)音を感じて振り返ると、スーパーひたちが寒風を切り裂き、一瞬に迫り、あっという間に去ってゆく。速い。速い、が、それが何ほどの意味なのか。子規は三日がかりで水戸へたどりついた。一方、現代のスーパーひたちは、上野から一時間半余りで水戸へ着く。スーパーひたちの轟音からこぼれおちるのは、つむじ風だけだろうか。
小野川を渡るあたりは、圏央道とのクロス地点ともなっている。高架の高速道路上を、年末のせわしない自動車の列が、ここでも時間と競争している。子規先生、スーパーひたちや高速道路の狂騒疾駆をあおいだら、何を詠嘆しただろう。
さらに歩き続ける。
やがて、ひたち野うしく駅。古い記憶ではこのあたり、一面の畑だった。科学万博見学用の臨時駅として畑のなかに突如出現したのち、「ひたち野うしく駅」として定常営業をはじめ、それにともない、駅周辺に忽然とビル群が湧きあがった。まだまだ地に足のつかない蜃気楼(しんきろう)の街並。
駅には寄らずに、そのまま国道を進む。このあたりでも子規先生、放歌吟声なされたか。当時は周辺に、民家さえなかったはず。(作家)
ごみ袋値下げ、スマートIC、コミバス運行などに着手 土浦市新年度予算案
【鈴木宏子】土浦市の安藤真理子市長は19日、2021年度当初予算案を発表した。就任2年目となる21年度は、市指定ごみ袋の値下げ、スマートインターチェンジ(IC)設置に向けた調査、コミュニティバスの試験運行、新治運動公園多目的グラウンドの人工芝化、公立の認定こども園として土浦幼稚園存続など、公約の具体化に着手する。3月2日開会予定の3月議会に提案する。
一般会計は前年度当初比1.9%減の約497億2000万円、特別会計を含めた総額は同1.8%減の約908億円となる。新型コロナの影響で、市税収入が前年度当初比約19億円(同8.1%減)落ち込むと見込む。特に法人市民税の落ち込みが大きいとし、同46%減を見込む。一般会計が500億円を下回るのは2012年度当初予算以来、9年ぶり。
安藤市長は予算方針について「市税の大幅な減や、大規模事業に伴う公債費(市の借金)増など大変厳しい財政状況だが、ウィズコロナ、ポストコロナの新しい時代に対応できるよう、夢のある、元気のある土浦の実現を図っていく」と話す。
10月1日からごみ袋値下げ
市指定ごみ袋は、県内一高いと批判があった1枚50円(燃やせるごみ、45リットル)を、10月1日から30円に値下げする。15リットルの袋は15円から10円、30リットルは30円から20円とする。2018年10月から家庭ごみ処理有料化を開始し、計画通りのごみ減量化を達成したことから、家計の負担を減らすため値下げする。21年度は指定ごみ袋製造委託料やごみ減量化の広報啓発などに約1億3900万円を計上する。
スマートICは、約1390万円で、候補地の交通量調査や将来推計など設置可能性調査を実施する。ICを活用した地域経済活性化としてはほかに、約4000万円で、土浦北IC周辺地区に新たな産業用地をつくるための基本構想策定や立地企業が行うインフラ整備費用の一部助成などをする。
コミュニティバスは、第1号として、路線バスが廃線となり公共交通不便地域となっている同市中村西根地区で、市地域公共交通活性化協議会が運行主体となり、10月から試験運行する。21年度の事業費は約2400万円で、試験運行のほか、検証などを実施する。
新治運動公園では、約2100万円を計上し、多目的グラウンドの人工芝生化と駐車場を増設する実施設計を行う。22年度に工事着工し、23年度の利用開始を目指す。
土浦幼稚園(同市文京町)は、老朽化している園舎をリニューアルして、東崎保育所と統合し、市内初の公立の認定こども園として存続させる。新名称は「認定こども園土浦幼稚園」(定員100人程度)。21年度は約2000万円で園舎改修の実施設計をする。
ほかに、上大津地区に統合小学校を建設するため約800万円で整備基本計画の策定などを実施する。
霞ケ浦の土浦港とりんりんポート土浦に隣接する市有地に観光拠点を整備するため、約430万円で民間事業者の公募などを実施する。
予算編成後、市の貯金である基金残高は21年度末見込みで、前年度と比べ3.2%減の118億2700万円になる見込み。一方、市の借金である市債残高は同3.4%減の949億2200万円となる。
アレルギー性鼻炎治療は「見える化」から 筑波大研究チームが無料アプリ公開
【相澤冬樹】スギ花粉症が勢いづくシーズン、筑波大学医学医療系の野口恵美子教授を中心とした研究チーム開発による無料アプリ「アレルギー性鼻炎レコード」が19日、公開された。症状と服薬状況を手軽に記録するiPhone向けアプリで、症状の「見える化」を通じて、患者と医療者のコミュニケーション改善を図るとともに、アレルギー性鼻炎に関連するデータの集積と解析を進めていく。
アレルギー性鼻炎は国民の約4割が発症しているといわれる。国民病といえるほどだが、命にかかわることがあまりないため、定期的に通院・治療を受けている患者は少ないと見られている。新型コロナの影響で、診療に向かう足はさらに遠のいている。
「症状の適切なコントロールのためには、日常的な症状や薬の使用状況を記録し、医療者とのコミュニケーションの改善を図ることが重要」と野口教授。従来は、症状日記として患者に紙で記録してもらうことが行われてきたが、利便性を欠くなどの課題があった。
そこで、アレルギー性鼻炎の患者向けに開発したのが、症状と薬の使用状況を記録するアプリ「アレルギー性鼻炎レコード」。利用初回に、症状や服用中の薬などについて回答してもらう。病院でもらう薬だけでなく、市販薬も一覧から選んで登録できる。その後は、日々の症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ)と薬の使用状況について記録していく。入力は1日1回、2~3分で済む。
入力内容は、症状の変化が見やすいようにグラフ化するなどし、メール送信することができる。この「見える化」により、情報を医師と共有したり、患者自身がどんな時期に調子が悪いのか、どんな薬を過去に使用していたのかを振り返ったりできる。
アプリでは、利用者の同意を得て情報を収集するが、個人を特定できるような情報の取り方はしない。ただ患者が診察時にデータを持参し、医師の治療法や処方の最適化に役立てることはできる。
研究チームにとっては全国的、経時的にアレルギー性鼻炎に関連する症状や服薬状況を収集・解析することにより、より良い治療法の提案につなげていきたいとの考えがある。
アプリのURLはこちら(アンドロイドには対応していない)。
研究グループはサイト「アレルギーレコード」を運営し、専門家の監修によるアレルギー性鼻炎や花粉の飛散情報を発信している。
《続・気軽にSOS》79 成功体験のみの危険性
【コラム・浅井和幸】人は、苦しい思いが続いたり、失敗し続けたり、人にばかにされてばかりだと、余裕や自信をなくしていきます。そうすると心がくじけて、身動きできなくなっていくものです。
ここのところ、仕事でうまくいかないことが多いなと感じている人は、だんだんと暗くなり、新しいことに挑戦しづらくなっていきますよね。幼少期からずっと暴力を受け続けると、人とコミュニケーションをとることも怖くなってしまいます。
そのような悪循環に陥っている人に対し、支援者は成功体験をさせてあげるとよいと考えます。自由に動けなくなっているのは、自信がないからだ。だから自信を持つためには、成功体験をすることが必要だと考えるのです。
もちろん、その考え方に私は賛成です。ただし、それのみでは偏った考えで、とても危険だと考えます。成功体験があったほうがよいことは、ほとんどの人は反対しないでしょう。しかし、それのみであると、失敗を恐れすぎてしまう状態に陥る可能性があります。
失敗体験から立ち直る体験
だから、成功体験と同じぐらい、失敗体験から立ち直る体験も必要なのです。ミスをしてもフォローできる感覚、けがをしても傷が治る感覚はとても大切なことなのです。成功できるという自信と、失敗しても何とかなるという余裕の両方があるときに、人は一歩を踏み出しやすいものなのです。
私が失敗から学べることもたくさんあるよと言うことがあります。コミュニケーションが苦手なある青年から質問されたことがあります。「うまく話ができずに相手を傷つけるのが怖い。もし相手が怒ったらどうすればよいですか」と。
私は答えます。「謝ればいいんじゃないかな。気を使いすぎるぐらいの君が、取り返しがつかないほど人を傷つける可能性はとても低いと思うよ。そして、そのイメージをしている相手は、取り返しがつかないほどの傷つき方をする人かな」と。
どんなに完璧にふるまったとしても、どんなに立派な素晴らしい人格や技術の持ち主でも、失敗は必ずするものです。そして、そこから学べることもたくさんあります。このような状況で、このようなやり方をすると失敗するという経験は、大きな学びのある成功体験ともいえるかもしれません。
支援者は、「どこまでの失敗ならば自分がフォローしてあげられるか」という視点も持つことが大切だと思います。今、何かに苦しみ、余裕がなくなっている人に伝えたいです。「自分や他人から、失敗や負けること、苦労することでの学びを奪わないでほしい」と。一つの枠組みでの失敗は、次の枠組みでの成功のカギになります。
とてもまずい肉ジャガを作ったとき、それで自分や誰かを責めたり悔んだりするところにとどまらずに、何が失敗の原因だったかを考えて、次においしい肉ジャガを作る知識として取り入れられるとよいでしょう。ときには、カレー粉を入れてしまって、おいしいカレーにしちゃえばよいかもしれませんよね。(精神保健福祉士)
市長の手法に異議相次ぐ 防災拠点案でつくば市議会 総合運動公園問題
【鈴木宏子】つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)の利活用について検討する市議会特別委員会(浜中勝美委員長)が19日開かれ、五十嵐立青市長が、一部を防災拠点として公共利用する案を改めて説明した。一方、議会からは、市長がテレビ番組などで突然、防災拠点案を表明したことなど、市長の手法に対し、異議が相次いだ。
南側13ヘクタールに28億円で整備
五十嵐市長が説明した案によると、防災拠点は、同用地南側の約13ヘクタールに整備する。一方、東大通りや高エネ研に面した32ヘクタールは民間活用する。3割を公共利用、7割を民間活用する案だ。
防災拠点には、防災倉庫、ヘリポートを備えた広場、災害時がれき仮置き場、井戸、トイレなどを整備し、災害物資を備蓄したり、避難者が車中泊できる駐車場を設けたり、仮設住宅建設用地などにする。平常時は筑波山観光の駐車場として活用したり、屋外イベントを開いたり、多目的広場として活用する。造成費は約13億円、防災拠点の建設費は約15億円で整備費は計28億円とした。
一方、民間活用するとした32ヘクタールについては、再度、企業などから意見や提案を集める市場調査を実施するとした。
一部を防災拠点とする理由については、議会から公的利活用を求める意見が多かったこと、市財政に大きな負担とならないこと、2017年に実施した市役所内の公的利活用調査で唯一、危機管理課から多目的防災備蓄倉庫や駐車場、ヘリポートなどの提案があったことなどを考慮したとした。
これに対し議会からは、特別委員会で利活用を検討しているさなか、五十嵐市長がテレビ番組や記者会見などで防災拠点案を表明したことに対し、異議が相次いだ。
五十嵐市長は「決めるのは議会」と述べ、釈明に追われる形となった。
一方、終了後、報道陣の取材に対し五十嵐市長は、民間活用の32ヘクタールについて、企業の意向を聞くサウンディング調査を実施し、議論の材料として議会に示したいとした。
議会特別委の今後の進め方について浜中委員長は、各会派で構成する作業部会を設置し、市長の防災拠点案も含め、改めて利活用方針を調査検討するとしている。
「話のもっていき方、納得いかない」
19日の議会特別委員会でのやり取りの概要は以下の通り。敬称略。
塩田尚市議 ヘリポートは何機ぐらい利活用できるのか。
五十嵐立青市長 離発着は1機だが、待機できる。防災ヘリ自体、県に1機しかない。
塩田 台湾の大手IT企業がつくばに立地する。このような企業にこの場所を取得していただきたい。
市長 台湾のTSMCは世界をリードしている企業。いろいろな可能性があると思うが正式な話としては聞いていない。
塩田 茨城県が20年間凍結していた工業団地をつくばみらい市に造成する。県に買っていただいて、県が工業団地をつくる可能性もあると思う。
山本美和市議 防災拠点は立派だし、公明党は10年前から関東の防災拠点をつくろうと主張してきた。が、(五十嵐市長の)話の持っていき方は納得がいかない。(議会の)委員会で(陸上競技場案を含め)検討しているさなかに(市の)陸上競技場検討会議が立ち上がって、(上郷高校跡地と旧総合運動公園用地を)天秤にかけて結論を出すのはいかがなものか。市長は(市議会の)委員会の意見を聞くと言っていたが、差異がある。(検討会議が陸上競技場の候補地と決定した)上郷高校跡は、造成が済んでいるのですぐに着手できるという前提だが、体育館は使えない、給排水設備を設置しなくてはならない、周辺道路を整備しなくてはならないなど(考慮に入れないで)、この状態で比較していることに疑問を感じる。見える形で、市民のために一番いいものを選択しなくてはならない。
市長 陸上競技場は学校跡地で検討した際に上郷高校跡が最も適しているとされた。議会で高エネ南側未用地(旧総合運動公園用地)も検討すべきという意見があったので、考えを反映させて比較を行った。(上郷高校跡地が候補地というのは)あくまでも検討会議の位置づけなので、議会、市民から意見をいただいて、最終的に市として決定したい。(検討会議を設置した)プロセスに齟齬(そご)があったとは考えていない。
山本 (旧総合運動公園用地の一部を防災拠点にする案について)特別委員会から意見が出たからという話だが、委員会として結論を出していない。1人や数人の委員の意見が議会全体の意見だととらえること自体が間違い。(市議会の)改選があり、特別委員会を開けない中で(検討会議が陸上競技場候補地の)検討をしたことは遺憾だ。
小森谷さやか市議 ヘリポートと仮設住宅は一緒にできるものか。上郷高校体育館の倉庫はどうなるのか。
市長 ヘリが頻繁に動くのは発災直後。仮設住宅と少し時間軸にずれがある。上郷高校の体育館は耐震面が十分ではない。
橋本佳子市議 (五十嵐市長が市議会に)説明したと言っているのは、そもそも(市議会から)要望がある中で説明してきたということ。事前に積極的に(市長から説明したいという)働き掛けがあった記憶はない。報道を見て「えっ」って知り、議会に説明が不足する中で、どんどん市長とずれが生じている。丁寧な説明を考えてほしい。サウンディング調査をすると民間活用に流れていって、そこを進めて、それがまた(市議会の)委員会とずれが出ることを危惧する。とりわけ(総合運動公園用地は)現在、研究・教育施設用地と位置付けられており、研究学園都市の成り立ち、将来性を見すえて足並みをそろえていただかないと、今後も議会とずれが生じてしまう。市長として丁寧なやりとりをどう考えているのか。
市長 今まで以上に丁寧に説明したい。不十分だという指摘は甘んじて受ける。これまでもできる限り丁寧な説明をしてきたつもりだが、すべての議員とコミュニケーションができているかというと、足りないところがある。今後、今まで以上にできるようにしたい。
橋本 (防災拠点とする案は)一市長の考えとして発言したということだが、市長が話すということと、一市民が話すこととは全く意味が異なる。「一市長として発言する」と言うところからして、ずれている。しっかりと連携をとっていかないと、(特別委員会が)無駄な労力になっては困る。
市長 何をするにも決めるのは議会。そのための材料をきちんと提供したい。
山本 市長がいくら一市長の意見だと言っても、市民は、これ(防災拠点案)が市としての(利活用の)イメージだと受け止める。
市長 個人の思い付きでしゃべっているのではなく、市を代表してしゃべっている。市を代表するもう一方は議会。(防災拠点案の)資料ができたので真っ先に議会にお示した。不十分であることについては、もっといろいろな機会をとらえて説明し、今後もより丁寧にやっていきたい。
小村政文市議 防災拠点を整備する位置はなぜ南側なのか。
市長 南側が一番活用しにくいため。
中村重雄市議 (市長から出た防災拠点案は)今まで出た案の一つと考えてよいのか。
浜中委員長 今後の進め方は皆に諮っていきたい。
山中真弓市議 上郷高校跡地に(陸上競技場と共に)防災拠点をつくる案もある。離れていていいのか、いろいろな施設を考える必要がある。陸上競技場の場所が今後、変更になる可能性はあるのか。
市長 最終的に決めるのは議会だが、12月の全員協議会で陸上競技場の説明をした。高エネ研南側(旧総合運動公園用地)を使うべきという話は一つも出てない。質問が出ていないことを踏まえて、上郷高校跡がふさわしいと考えている。
山中 陸上競技場の検討はもともと学校跡地だけで検討した。高エネ研南側未利用地(旧総合運動公園用地)を検討に入れなかったことが分からなかった。今回の防災拠点案にも不信感がある。(五十嵐市長は公約のスローガンで)「共につくる」と言っているのだから、特別委員会と足並みをそろえて検討してくことを要望したい。
鈴木富士雄市議 (総合運動公園用地の利活用について)一般質問してきたが、議会の意見を聞いて進めていくと答弁があった。防災拠点案に特別反対しないが、議会と密にしながら進めていくべき。遅い気がする。
市長 遅いということだが、さっきは早いと怒られた。議会としてどうしてほしいのか、具体的にはっきり出していただければ事業を進めていける。この委員会ではっきり出していただきたい。
鈴木 遅いというのは、議会に説明するのが遅いという意味。一般質問したときは(五十嵐市長は)自分の考えを述べないで、特別委員会に任せているとすり抜けてきた。市長のもっているもの(考え)を出していただきたい。
塚本洋二市議 検討会議でも検討されたように、防災施設を備えた陸上競技場は全国にある。(市議会の)委員会でいろいろなところ見に行っている。陸上競技場や体育館に防災機能を備えた施設があった。そういった(旧総合運動公園用地に防災拠点を併設した陸上競技場をつくるという)イメージ(案)を出していただきたい。(防災拠点を整備するとした同用地の)南側が活用しにくい理由は何か。
市長 アクセス面で、南側は進入路が確保しずらい要素が一番大きい。
塚本 南側の道路は車同士がすれ違うことができないくらい(道幅が狭い)。進入路の活用がしにくい。防災拠点として使った方がいいかというとちょっとずれがある。
市長 (進入路も含めて)精査したい。
鈴木 (避難者が)宿泊できる施設は考えているのか。
市長 防災倉庫に併設することは可能だが、動線を設けたり、費用がかかる。(議会で)議論していただきたい。
久保谷孝夫市議 いろいろあるでしょうけど、作業部会をつくって、しみじみやった方がいい。
コロナ禍、美術で現実と仮想を問う 筑波大4年 松田ハルさん 都内で個展
【山口和紀】筑波大学4年の松田ハルさん(22)が、個展「VIRTUAL ABSTRACTION(バーチャル・アブストラクション、仮想抽象)」を20日から3月14日まで都内で開催する。松田さんは芸術専門学群美術専攻版画領域に在籍している。老朽化し使われなくなった学生宿舎に作品を展示した「平砂アートムーヴメント」にも参加し、現代アーティストとして活躍している。会場は東京都墨田区のアートスペース「DOGO」。
版画とVRを融合
昨年から、新型コロナ感染対策のために人の動きが大きく制限されるようになり、美術館などではオンライン展示が当たり前のように行われるようになった。松田さんは「(自身の)卒業制作の展示会も、方法が二転三転し、いまのところ作品の画像をオンラインで見られるようにするという話になっている。そういう状況のなかで、美術鑑賞にとって(現実に対する)『仮想』とは何か」ということを問う必要があると思った」と話す。
展示は「版画」と「VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)」を融合させた異色の作品。同一モチーフが「版画」と「VR」の両方にまたがって表現される。まず「版画」が鑑賞者の目に入るようになっており、続いてヘッドマウントディスプレイ(頭部に装着するタイプのディスプレイ)を用いて、鑑賞者がVRの世界に入っていく。VR空間には、版画と同一のモチーフの3Dモデルが設置される。
展示のキーワードは「現実」と「複製」だ。「版画がもともと絵画の複製品であり、VRは現実を複製するもの。鑑賞者はまず版画を鑑賞し、続いてVRによって現実にある版画の複製の世界に入る。そこには、現実と複製の二重性があるが、どちらにも現実と複製が混在している。それゆえに鑑賞者はその二重性に揺さぶられる」と松田さんはコンセプトを話す。
個展の名前に使われている「バーチャル・アブストラクション」はそうした二重性が獲得した新たな抽象性のことを指す松田さんの造語だ。「『真実と虚構』『現実と仮想』などのさまざまな二項対立が融解していく過程を意味するという。
「芸術専門学群という場所は東京のアートシーンからは切り離されているような感覚がある。それゆえに、多くの学生がある種のコンプレックスみたいなもの持っていて。そういう環境だからすごく自分の独自性を意識していて。それがこういう形を作っていると思う」と松田さん。
異色の展示会場
作品だけでなく展覧会場も異色だ。DOGOは、世界最小と銘打ったアートコンプレックス「文華連邦」に入居するアートスペースの一つ。わずか4坪の空間に8つのアートスペースが同居し、それらが入れ代わり立ち代わり展覧会を開いている。それぞれのアートスペースにオーナーがおり「一つが展示を行っているときは、他のスペースはお休みしている」という。
「DOGO」オーナーの番場悠介さん(21)は、松田さんとの出会いについて「2019年の『平砂アートムーブメント』に興味をもって、企画した筑波大の学生とつながった。その学生から『面白い人がいるから』ということで紹介されたのが松田さん」と振り返る。
松田さんの個展を開く経緯については「自分の出身が茨城県なので、地元のアーティストの作品をディレクションできないかと考えていた。松田さんが活動の場をさらに広げるきっかけになれば」と話す。
◆個展は2月20日(土)から3月14日(日)まで。開館は月金土日曜のみで時間は午後3時から8時。祝日は火水木でも開館。会場のDOGOは東京都墨田区文花1-12-101-103 文華連邦内。
自宅からバス停までの移動手段模索 電動キックボードで実証実験
【山口和紀】電動キックボードは近い将来、自宅からバス停までのラストワンマイル(最後の1区間)の移動手段を担うことができるのかー。土浦市真鍋の自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」で18日、電動キックボードの走行実験が行われた。同市で実証実験が行われている、複数の公共機関やモビリティを組み合わせ、検索・予約・決済等を一元化する「つちうらMaaS」の目玉の一つだ。
実験に使われたのは常総市のベンチャー企業「KINTONE(キントーン)」の電動キックボード「モデルワン」だ。家庭用コンセントから簡単に充電することができ、一度の充電で13~18キロ走行が可能。最高時速は25キロ。孫悟空の「筋斗雲(きんとうん)に乗っているかのように移動できる」という。
今回行われた実証実験では、すれ違い、追い抜き、並走などの様々な状況を、徒歩や車いす、自転車などが通行している状況を想定し実験し、安全性や活用の可能性を探った。
現在、電動キックボードは条件を満たせば原動機付き自転車として公道を走ることができるが、自転車道を走ることは認められていない。一方、欧米ではシェアリングサービスが進むなど一般に普及している。QRコードを読み込むなどの簡単な方法で、街中のステーションから電動キックボードを借りていくことが出来るという。
同社の担当者は「欧米では、新しいことはまずやってみて、そのあと調整して法制度を作っていく。日本は安全性や活用法をきちんと確かめてから法制化という流れ。実際に自転車道を走ることができるのは、早くてもあと5年はかかると考えている」と語った。
実験を行っている関東鉄道の担当者は「バスや電動キックボードのようなモビリティを様々に組み合わせて、より良い交通システムを模索していきたい。」と話した。
《電動車いすから見た景色》15 私の中にある無意識の差別
【コラム・川端舞】「自分はどんな人も差別しない」。そう断言できる人はどのくらいいるだろうか。私にはそんな自信はないし、「もしかしたら無意識に誰かを差別しているかもしれない」と自分を省みることができる人間でいたいと思う。
障害者差別をなくすために、障害者と健常者の関係はどうあればいいのか。健常者の立場から差別について考える研修会が、2月上旬、障害者支援団体「つくば自立生活センターほにゃら」の内部職員向けに開催された(2月16日付)。
研修会では、部落差別を中心とした差別問題を研究する、筑波大名誉教授の千本秀樹さん(71)により、部落差別の基本命題が紹介された。これは、かつて、部落差別をなくすことを目指す運動団体「部落解放同盟」が提唱したものだ。
基本命題の1つは、「社会意識としての差別観念」だ。意識的に差別している自覚のない人であっても、部落差別が蔓延(はびこ)っている社会の中で暮らしていると、無意識のうちに「自分は被差別部落出身でなくてよかった」という差別的考えを持たされてしまう。そして、この考え方がさらに被差別部落と一般大衆の距離を広げる。
車椅子利用者を排除するアパート
身近な例で考えてみる。以前、私が別のアパートに引っ越そうと思い、物件探しをしたとき、ほとんどのアパートは外観を見ただけで候補から外れた。不思議なくらい、どのアパートの玄関にも段差がある。アパートを建てた人は、障害者差別をしているつもりは全くないのだろうが、結果として入居者から車いすユーザーを排除してしまっている。
車いすで入れない場所が当然のようにあちこちにある社会では、「歩けない障害者が悪い」「自分は障害者でなくてよかった」と無意識に思わされる。本当は、車いすで生活することを想定していない社会に問題があるのだが。
このような社会に暮らしている私たち一人一人の中に、無意識のうちに障害者差別が芽生えてしまうのは仕方ない。普段は差別される側になることが多い私でも、もしかしたら特定の属性を持つ人たちを無意識に差別しているかもしれない。人間は自分の知っている範囲でしか、物事を考えられないからだ。
「ほにゃら」の研修会で千本さんも言っていたが、自分の中の無意識の差別に気づくためには、様々な立場の人と対話し、もし自分が相手に対し差別的な言動をしてしまった場合は、相手から率直に指摘してもらう。そして、その指摘を素直に受け取り、相手が自分の言動をどう感じたのかを、直接教えてもらう。それを一人一人が繰り返すことでしか、差別はなくならないのではないか。(つくば自立生活センターほにゃらメンバー)
