火曜日, 4月 7, 2026

東海第2で画期的な判決 《邑から日本を見る》85

【コラム・先﨑千尋】異常気象か世相のせいかどうかわからないが、桜の開花がこれまでになく早かった。いつもだと20日過ぎに咲く近くの公園の八重桜がもう満開。コロナ禍で人が騒いでいても、桜はいつものように見事な花を見せてくれる。 異常というよりは想定外の判決が3月18日に水戸地裁で出た。日本原子力発電(原電)の東海第2原発の安全性に問題があるとして、県内外の住民らが原電に運転差し止めを求めた訴訟の判決で、前田英子裁判長は「実現可能な避難計画や、実行する体制が整えられているには程遠く、防災体制は極めて不十分」として住民の請求を認め、運転を差し止めるよう言い渡した。 これまでの原発運転をめぐる裁判では、地震や津波、火山の噴火などへの対策が主な争点だったが、今回の判決は、事故が起きた時、避難などで住民の安全を守れるかに注目した。 この判決について、翌日の新聞各紙は大きく報道した。地元紙茨城新聞はもとより、朝日、毎日、東京の在京紙だけでなく、隣の下野新聞や沖縄の琉球新報も1面トップで報じていた。社説や解説でも「実効性のある避難計画を作るのは机上の空論。現実を直視すれば、原発再稼働は極めて困難」(東京新聞)、「判決は首都圏に近い密集地域での立地そのものを疑問視したに等しい。自治体は原発の是非を巡る議論とは別に、住民の生命を守る観点での対策が求められる」(岩手日報)など、判決内容を支持する声が多く見られた。 直接評価を避ける国・県・関係首長 では、当事者の受け止め方はどうか。 原電の村松衛社長は、判決に承服できないとして東京高裁に控訴した。当然と言えば当然のことだ。しかし、避難計画は原子力規制委員会の審査対象にはなっていないし、避難計画を策定する当事者ではないので、高裁での立論をどう組み立てるのかが興味深い。県や市町村も法廷に出るのだろうか。原電はこれまでに東海第2を再稼働すると明言してこなかったが、控訴したことで再稼働するという意思が問わず語りで明確になった。 一方、弁護団共同代表の河合弘之弁護士は、判決後の記者会見で「避難計画が不十分だという分かりやすい理由で勝訴したのはよい意味で想定外。歴史的な判決だ。人口密集地帯で事故を起こしたらどうするのかという主張が裁判所に届いた。他の訴訟にも応用できる理論だ」と喜んでいた。 この判決について、国や、県の大井川知事、関係する首長らは直接の評価は避けているが、今回の判決の中心となった避難計画は県や30キロ圏内の14市町村が策定するので、いわば当事者。他人事ではないはずだ。知事はこれまで、「安全性検証」「実効性のある避難計画策定」「県民への情報提供」の3条件が整ってから県民などの意見を聞き、再稼働の是非を判断する、と言ってきたのだ。 今回の判決は、原発の再稼働そのものではなく、避難計画といういわば土俵外でのこと。また、30キロ圏外の原告は敗訴。避難計画をきちんと作れば運転を認めるとも読める判決なので、高裁での審理に注目していきたい。(元瓜連町長)

なでしこ2部での初戦飾れず つくばFCレディース

プレナスなでしこリーグ2部、つくばFCレディース対バニーズ群馬FCホワイトスターの試合が11日、ひたちなか市新光町の市総合運動公園陸上競技場で開催された。つくばは0-2で敗れ、2部昇格の初陣を飾ることはできなかった。 プレナスなでしこリーグ2部、第1節つくばFCレディース 0-2 バニーズ群馬FCホワイトスター 今季、初のプロリーグ「WEリーグ」が創設されるなどドラスティックな動きを見せている女子サッカー。昨季なでしこチャレンジリーグに属していたつくばFCは、今季から、なでしこ2部に戦いの舞台を移した。 初戦の相手はバニーズ群馬FCホワイトスター。昨季なでしこ2部で活動していたバニーズ京都と、関東女子1部で活動していた群馬FCホワイトスターが一つになって再始動したチームだ。 試合は立ち上がり、互いに相手の出方をうかがう形で始まった。守備はともに4バックながら、群馬はパワーと瞬発力のある兼重紗里を前線に置いた1トップの形。つくばは速さと俊敏性を備えた岸川りな、キープ力がありターンからのシュートを狙う古寺未佳の2トップだ。群馬はロングボールやスルーパスで積極的に兼重を走らせる。つくばは中央からの崩しを狙うが、相手の守備に阻まれ、なかなかボールを前へ運べない。 前半15分、ハーフライン手前から1本のパスを通され、サイドに開いていた兼重がすぐさまロングシュート。不意をつかれた形になってつくばが失点する。 その後つくばは、サイドから短いパスをつないで相手をかわしていく。36分には古寺のキープから藤原のどかがシュートを放つが枠の左。42分には岸川が右サイドで相手DFと入れ替わり、角度のないところから打つがバーの上。前半のシュートはこの2本だけだった。 後半は、両者ともなかなかシュートに持ち込めず、メンバー交代で打開を図ろうとする。だが後半31分、痛恨の2失点目。リフレクションのボールを前でつながれ、スルーパスに小嶋美舞が抜け出す。シュートは一度はGK稲葉寧々が止めたが、拾い直してゴールへ流し込まれた。 つくばは途中出場の荒木ともみ、大坪菜らが果敢にゴールを狙うが得点を奪うことはできず、試合終了。今季からチームを率いる橋野威監督は「前半途中から、ボールを大事にしながらフィニッシュへ向かう自分たちの形は出せたが、もっとゴールに迫る回数を増やしたかった。失点については、攻守の切り替わりのところをもっと整理したい」と話した。 新しい舞台での戦いについて藤井志保主将は「なでしこリーグの名前で皆さんに認知してもらいやすくなった。袖にエンブレムも入って気持ちも上がっている。力のある選手が大勢入り、チーム内競争をしながらいい雰囲気ができている。新しい環境でポジティブにやりたい」と話した。

桜の開花と宇宙天気キャスタ 《食う寝る宇宙》83

【コラム・玉置晋】今年はコロナ禍だったこともあり、お花見は犬の「べんぞうさん」とのお散歩で終わってしまいました。茨城県では3月下旬に満開となり、4月上旬には葉桜になっております。最近の桜の開花は随分早くないですか? 僕が小学校に入学した時(1985年4月)の思い出は、入学式では桜はつぼみ、数日後に教室から見た校庭の満開の桜があまりにきれいで、よく覚えています。 気象庁のデータベースから茨城県水戸市の桜開花日グラフを作成しました。 僕が小学校に入学した1985年、水戸市の桜の開花日は4月7日でした。水戸市の小学校の入学式は4月6~8日となりますので、入学式の桜はつぼみだったという僕の記憶は確からしいことがわかりました。 また、年により開花日にはバラつきがあって、僕の一つ上の学年(1984年入学)は4月20日が開花日で、一つ下の学年(1986年入学)は4月10日が開花日でした。もしかしたら、入学年によって入学式の思い出の風景が異なるのかもしれませんね。 次に大きな特徴として、1990年代以降の桜の開花日は3月に多くなっていることがわかります。茨城県の小学校に入学された、現在35歳以下の方の入学式の思い出は緑の若葉なのではないでしょうか。 月や火星から開花便りが届く? テレビで桜の開花情報を伝えているのは気象キャスタです。開花情報と気象には密接な関係があり、季節の変化など、総合的な気象状況の推移を把握するのに、桜をはじめとした「生物季節観測」が気象庁により行われてきました。 僕が所属しているABLab宇宙天気プロジェクトでは、「宇宙天気キャスタ」の育成について検討しています。まずは、現在すでに気象キャスタとして活躍している方が、地上天気から宇宙の天気まで解説することを想定しています。2025年の太陽活動極大期に向けて、宇宙天気キャスタが生まれていくことでしょう。 そして将来、月や火星から開花の便りが届くことを期待しています。(宇宙天気防災研究者)

全国初 摂食嚥下障害の「特定認定」看護師を養成 県立医療大

茨城県立医療大学(阿見町阿見)は、これまで開講してきた摂食嚥下(えんげ)障害看護分野の認定看護師教育課程を4月から、厚労省認定による「特定行為を組み込んだ新たな認定看護師教育課程」(通称・B課程)に移行させた。 高度かつ専門的な知識、技能が必要とされる行為(特定行為)について、医師の補助を行ことができる「摂食嚥下障害看護分野における特定認定看護師」の育成に乗り出した。 食べ物などが食道でなく、気管に入ってしまうことを誤嚥という。これらの摂食嚥下障害は、脳卒中や神経難病だけでなく、咽頭部のがんをはじめとする疾患、術後などさまざまな病態でみられ、特に高齢者ではこの障害による誤嚥性肺炎が問題になっている。 猛スピードで到来する超高齢社会を想定するとき、この領域の認定看護師に対する期待は、病院だけではなく、在宅療養、在宅看護を行う家族をはじめ、地域社会で水準の高い看護(実践)が求められるようになる。 同大学の資料によると、今年度の受講生は11人。摂食嚥下障害看護分野におけるB課程開講(特定行為を組み込んだ新たな認定看護師教育課程)は全国初。 摂食嚥下障害看護認定看護師には、摂食・嚥下機能の改善のほか、嚥下性肺炎予防、化学療法、放射線治療中の口腔トラブル予防、改善などの役割が期待されている。(山崎実)

学童疎開の思い出 《くずかごの唄》83

【コラム・奥井登美子】私は土浦市立真鍋小学校の学校薬剤師を何年か勤めた。この学校には、校庭のまん真ん中に、昔寺子屋だったときの名残の桜の古木がある。入学式の日は、6年生が新入1年生をおんぶして満開の桜を一周する。 初めてこの光景をみたとき、私はどういうわけか、涙があふれて、あふれて、止まらなくなってしまった。私にとって小学6年生は生涯で一番忘れられない年なのである。 昭和19年の夏休み、私たち小学生は空襲時に備えて、3年生から6年生まで東京から強制疎開しなければならないことになった。縁故のある人は縁故疎開。ない人は学校ごとの学童集団疎開。成績順にクラス分けしていたので、1番組の男の子は3中(今の両国高校)、女の子は7女(今の小松川高校)を目指していた。 仲良しだったクラスメートとバラバラに別れてしまう。そのとき、皆で「3月12日の都立の受験日には帰ってくる」堅い約束をしてしまった。 父も母も京橋生まれで、田舎に親戚のない私と3年生の妹は、集団疎開を選ぶしかなかった。上野駅に送りに来た父は「困ったことがあったら、すぐ連絡してください。迎えに行くから」と言ってくれた。 山形から長野へ再疎開 今考えると、いきなり26万人もの児童が地方に分散するのである。住む所、食べ物など、学校を用意する地方の人たちもさぞかし大変だったに違いない。 山形県湯の浜温泉の旅館に宿泊することになった私たち。はじめは、3食、何とかありつけたが、1か月くらいして食事の量が極端に少なくなり、お腹が空いて我慢ができない。子供なりに、お手玉の中に入っている小豆を取り出して食べたりした。 父に手紙を出して迎えに来てもらい、私たち家族は何とか無事に長野県へ再疎開することができた。 友達との約束の日、私は猛反対されて上京できなかった。約束を守って受験のために帰った友達は、否応なく3月10日の東京大空襲に巻き込まれてしまった。私たちが受験する予定だった東京下町のエリアで、30万人もの人が亡くなったという。(随筆家、薬剤師)

またワースト1 つくば市待機児童数 県全体は減少

県子ども未来課がまとめた昨年10月1日現在の茨城県内の待機児童数で、つくば市は104人、前年同月の116人と比べ12人減少したが、ワースト1の返上はできていない。県全体では前年同月の640人より273人減り、367人と好転した。 市町村別では、つくば市に次いで待機児童数が多いのは水戸市の87人、次いで那珂市の31人、つくばみらい市の30人など。このほか、牛久市、阿見町が各12人、土浦市が11人など、つくば市を含む県南地区の待機児童数は178人に上り、県全体のほぼ半数に達している。 待機児童の年齢別内訳では、0~2歳児が337人(全体の91.8%)と圧倒的に多く、9割以上を占めた。3歳以上は30人(8.2%)だった。 同課では、待機児童の発生要因の分析として、県南地域の人口増加を伏線に、共働きによる女性の就業率の向上による入所希望者の増加と、マンパワー(保育士)不足が原因と指摘している。 今後の対応については、ハード面の対策として国の保育所整備交付金などを活用し、地域の実情に応じた保育所、認定こども園、小規模保育施設の整備や、家庭的保育事業者の増加を図り、受け皿対策の拡大を進めていくとしている。 またソフト面の対策としては「いばらき保育人材バンク」や保育士修学資金貸付制度など、各種施策を積極的に活用、導入、展開し、「保育人材の確保に取り組んでいく」(同課)としている。(山崎実)

救いの歌詞物語② 罪とゆるしとマグダラのマリア 《遊民通信》14

【コラム・田口哲郎】 前略 『新約聖書』にマグダラのマリアという女性がたびたび出てきます。マリアというとイエスの母マリアを思い浮かべます。マグダラのマリアは聖母とは別人で、イエスに付き従った女性グループのひとりだったと言われます。ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』(2003年)などでイエスの妻だったという説も言われますが、詳細は分からない人です。 ですから、マグダラのマリアが聖書に出てくる罪深い女、つまり娼婦と同一視されたり、最後の晩餐でイエスに香油を注いだ娼婦だとされたり、確証はないままに、いつの間にか罪深い女に措定されてしまいました。キリスト教の長い歴史の中で、聖母マリアは純潔の象徴として、マグダラのマリアは罪の象徴として意図的に意味づけられたのではないかというのが現在の定説です。 しかし驚くことに、貶(おとし)められたマグダラのマリアはカトリックでは聖人になっています。罪深いながら回心してイエス・キリストを信じたからです。復活したイエスが最初に現れたのはマグダラのマリアだったとされています。 このマリアが最も感動的に描写されるのは「ルカによる福音書」7・36〜50です。マリアは晩餐の席にいたイエスの髪に香油を塗り、彼の足を自らの髪を涙で濡らして拭きます。イエスはマリアの帰依に「あなたの罪は赦(ゆる)されている」と言います。人間は誰しも罪の意識を負っています。悪事を積極的に行わなくても、いつの間にか犯した罪に苛まれることもある。太宰治の「生まれて、すみません」的な悲しみです。 どうしようもない悲しみはトラウマや良心の呵責(かしゃく)となり自分を苦しめます。マリアはなりふり構わずイエスの足にすがりました。イエスは想像を超える言葉を掛けます。今まで誰がマリアの苦しみに寄り添ってくれたでしょうか。差別や叱責はあっても共感はなかったはずです。孤独で八方塞がりの中でマリアは絶望していたでしょう。 イエスはマリアの罪を背負って赦しました。赦されることで、人は「生まれてよかったんだ」と思うことができます。私は、このときイエスも泣いていたのではないかと思います。乱発される免罪符では効き目はありません。人間はそう簡単に赦せません。赦せるのは神だけなのかもしれません。マグダラのマリアを想い、またひとつの詩が浮かびました。 歌詞「涙(ティアーズ)」 古びた窓から見える場末の街 ひとりよりふたりがいいなんて笑わせるね夜毎変わる恋人はさびしさだけ置いてゆく どうして…… だけど、酒場で遭ったあの人は私のために泣いたんだ 情けの涙に洗われて 初めて心を抱かれたの初めて心を抱かれたの ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

桜川沿いに交流拠点を 24-25日つくば 長屋門の古民家で「市」

江戸末期に建てられた長屋門を構える、つくば市栄地区の塚本康彦さん宅(同市大)で24、25日、地域交流イベント「ICHI 市 in 栄」が開催される。 土浦市から桜川沿いを遡上し筑波山に至るサイクリングコース「つくば霞ケ浦りんりんロード」に沿って、古い街並みや景色の中から、休憩や交流のできる拠点を創出し、コミュニティーを醸成しようと考えられた。今回が最初の試みとなる。 主催は茨城県建築士会筑波支部(長瀨行弘支部長)。「市」の発案は、同支部内で交流しているサイクルスポーツのポタリングから始まった。 有志の一人であるつくば市の茂垣直樹さん(建築設計事務所「m・style」代表)は「将来的には小田地区や北条地区にも同様の拠点と催事を実現し、観光を兼ねて地域の特産品を知り、地元の人々と交流できる機会を創出したい」と趣旨を説明する。 「市」は、同支部の有志が企画する。塚本さん宅の庭先を中心に飲食・物販のマルシェを設営するほか、会として日常進めている耐震・空き家相談会も催す。 約20の出展者が協力し、地元産の食材を使ったランチの提供や農作物の販売が予定されている。筑波支部ではトートバッグづくりなどの行事も準備している。 現地で設営の段取りを進める土浦市の矢口明子さん(建築設計事務所「present」経営)は「栄地区の魅力を食と農と暮らしの視点から発信したい」と意欲を見せる。同地区の歴史や文化を地域の人に話してもらう講座や、染色・草木染め体験、桜川漁業協同組合による桜川に生息するナマズの展示なども予定している。(鴨志田隆之) ◆「ICHI市 in 栄」は24日(土)、25日(日)いずれも午前10時から午後4時まで開催(雨天決行)。両日とも臨時駐車場は近隣の心福寺境内が充てられるが、台数に限りがあるため、支部は乗り合わせや公共交通機関利用を勧めている。詳しくは同会ホームページへ。

シン・住民がやって来る 《映画探偵団》42

【コラム・冠木新市】1993年、「今度つくばに引っ越して来た新住民です」と地元の方に挨拶したら、「新住民は私で、あなたは新新住民ですよ」と訂正された。つくばの歴史を実感させられた瞬間である。だからか、2005年につくばエクスプレスが開通し、移住してきた人を見たとき、「あ、新新新住民だな」と思った。2021年の現在、中心市街地はマンションと住宅の建設ラッシュだ。私は次に来る人たちは、シン・住民なのだと考えている。 シン・住民は、AI中心のスマートシティやスーパーシティを期待する人か、自然中心の自給自足リサイクル社会を志向する人か、気になるところではある。だがそれよりも、シン・住民にとって、センタービルは老朽化した建物に映るか、歴史的文化財アートに映るか、どのように見えるのだろうか。 1983年、世界的注目を集めたつくばセンタービルの住所は、新治郡桜村大字花室字千上前1364番地で、村の中に建っていた。40年ほど前の村人はセンタービルをどう眺めたのだろうか。村の誇りと感じたのか、それとも無関心だったのか。このあたりが調査不足で盲点だった。 三船敏郞主演『七人の侍』 急に『七人の侍』(黒澤明監督)を見る気になったのは、それがきっかけだった。村人の思いを知りたかったからだ。少し見るつもりで見始めたのだが、結局3時間27分全編を一気に見てしまい、改めて世界映画史上の名作だと思った。 『七人の侍』は、戦国の世に百姓たちが侍を雇い、村を襲う野武士の群れと戦う話だ。侍のリーダーは負け戦さ続きの不運な初老の男・勘兵衛(志村喬)。他の6人もしがない浪人暮らしである。この侍たちが金にも名誉にもならない命懸けのボランティア仕事を引き受ける。表向きは侍が主人公だが、物語上は百姓が主人公といえる。侍は戦いのアドバイザーであり、戦いの主体は百姓たち。百姓たちの描写がリアルなため、侍たちの魅力が一層引き立つ仕掛けである。 中盤のクライマックスは、侍の菊千代(三船敏郞)が、百姓たちの隠していた武具を見つけ、勘兵衛に持ってくる場面。侍たちは急に沈痛な面持ちとなる。それらは落武者狩りの戦利品で、侍たちは落武者として追われた経験があった。 侍の1人が「この村の奴らが斬りたくなった」ともらす。すると突然、菊千代が侍たちに向かい、「百姓ほど悪擦(わるず)れした生きものはねーんだぜ。正直面してすぐ嘘をつく! けちでずるくて人殺しだ! だがこんなけだものを作ったのはお前たちなんだよ!」と、涙を流しながらわめきたてて百姓と侍の両者を猛烈に批判するのだ。勘兵衛の目に涙がにじむ。菊千代は百姓出の偽の侍だった。 『つくばセンター研究会』 センタービルのリニューアルを他の人はどう受けとめているのか知りたくて、『つくばセンター研究会』なる場を設けてみた。3月17日に8名集まったが、意見を聞くよりも前にリニューアルの件を初めて知った人が3入もいて驚いた。 4月4日の2回目には10名集まった。「エスカレーター2基はいらない」が私の主張だが、あってもなくてもいいという意見もあった。話題は、まちづくりや県と市の連携などへと広がったが、何よりも問題は話をする場が全然なかったことだなと思った。新型コロナがあったからかもしれないが、それを理由に市民を置いてけぼりにして、ドンドン改造計画を進めることはいかがなものであろうか。 2023年のセンタービル40周年記念に向けて、記録映画製作とつくばセンターツアーを計画中だと話したところ、参加者が「ある美術大学で40周年企画の検討が始まっている」と教えてくれた。今では旧住民となった私だが、これからは菊千代の立場で、やって来るシン・住民のための良きアドバイザーを探すつもりでいる。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

新制服の1期生80人 土浦一高付属中で初めての入学式

茨城県立土浦第一高校(中澤斉校長)に併設された付属中学校で初めての入学式が7日、土浦市真鍋の同校体育館で行われた。1期生は80人、高校全日制への新入生280人とそろって、新制服で緊張の式典に臨んだ。開校宣言で大井川和彦知事は「世界に目を開き、世の中の役に立つ使命感をもって努力してほしい」と励ました。 入学式は中学、高校合同で行われた。制服は今年度からの新デザイン、女子はネクタイ、リボンを採用するなど一新した。式では最前列に新中学生が、次に新高校生がクラスごとに並んで着席し、保護者らに見守られた。大井川知事の開校宣言の後、生徒一人ひとりの名を呼びあげての入学許可、校長式辞、新入生代表の決意表明と続いた。 中澤校長は「主体的・能動的にチャレンジするのが”一高スタイル”。中学生もいち早くこの校風を身につけ、探求心を持って学習プログラムに取り組んでいってほしい」とあいさつした。新中学生では坪井綾南さんが伝統校への入学に身の引き締まる思いを語った。 地域と世界に役立つ人材育成 1897年設立の旧制中学に始まり、創立125年目を迎える県南きっての伝統校にも「教育改革」の波は押し寄せ、併設型中高一貫教育校としての設置となった。県立中高一貫教育校としては今春、水戸一高付属中も開校しており、合わせて10校を数える。土浦一高付属中では特に「東京圏の私学などに流出していた優秀な人材を確保して」(中澤校長)、6年間の計画的・継続的な教育活動によって地域のリーダー、世界に飛び立つ人材の育成を目指すとしている。 初年度にもかかわらず、入学者選抜の志願倍率は3.1倍に達し、地域の進学ニーズをとらえた形になった。思考力や判断力をみる適性検査やグループ面接などにより「狭き門」を突破した80人の内訳は男女各40人、地域的にはつくば、土浦、牛久3市からの入学者が大半を占めた。 一貫校の指揮をとる中澤校長は同高OBで、今春赴任した。国際化を意識した「グローバルラーナーズ(Global Leaners)プロジェクト」は中高通してのテーマ。中学校では珍しい「1時限60分」の時間割を採用、あらゆる教科を通じて英語教育の要素を取り入れていくという。「中学生に60分間の集中力を求めるのは厳しいが、何事につけ早めに身につけていくことが重要になる」と共に挑戦する構えだ。(相澤冬樹)

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