火曜日, 7月 8, 2025

つくば駅前で23日からワングーフェス アーティスト、筑波よさこい連らが出演

【谷島英里子】TXつくば駅前のつくばセンター広場で23~25日に、ワンダーコーポレーション(本社つくば市)が創業30周年を記念したフリーライブ「ワングーフェス」を開催する。アーティストの倉木麻衣さんや加藤ミリヤさん、BOOWY(ボウイ)のドラマーとして知られる高橋まことさんなど総勢65組が登場し、駅前を音楽で盛り上げる。 フェスではつくばセンター広場に2カ所のステージを設置。ワンダーコーポレーションに関わりのあるアーティストのほか、地元で活動する筑波大学生や「筑波よさこい連&筑波和弘」「関隆浩from NEVER SAY NEVER」なども出演する。出演アーティストの対象商品を購入した人にはステージ前方の優先エリアの入場券を限定販売する。 このほか会場周辺で、家族連れでも楽しめるようにアニメ「ポケットモンスター」のピカチュウとイーブイが登場するイベントや、約100店舗の食と物販が出店する。フェスを担当する管理本部の石井達也さんは「豪華アーティストが無料で見られます。ご家族みんなんで楽しめるイベントもありますので、ぜひ3連休はワングーフェスにお越しください」と話している。 同社は1988年に設立。エンターテインメント複合専門店のWonderGOOや音楽・映像ソフト専門店の新星堂、総合リユース専門店のWonderREX、音楽・映像ソフトレンタル専門店のTSUTAYAなどの事業を展開している。 詳しくはワングーフェスのホームページで。

「車が自宅に来るので助かる」と好評 高齢者の買い物支援始まる 土浦

【谷島英里子】交通手段が乏しく買い物が困難な高齢者を無料で送迎する「買い物支援サービス」=10月30日付け=の利用が21日、土浦市内で始まった。市内34の福祉施設で構成する土浦市民間社会福祉施設協議会の取り組みで、利用者からは「車で安全に行けるので助かる」と好評だ。 利用したのは、同市南部の土浦三中地区にそれぞれ1人で暮らす98歳と82歳の女性2人。98歳の女性は、野菜は宅配サービス、肉は近くの精肉店を利用するが、魚屋が近くになくて困っていた。自転車で近くの店まで行っていたが、体力が衰え、別居の子どもに心配されていたという。回覧板でサービスを知り、自ら申し込んだ。 午後1時30分すぎ、買い物を支援する特別養護老人ホーム「もりの家」のワゴン車が各家に到着すると、「ありがたいですね、待っていました」と一言。車には市社会福祉協議会ボランティアの櫻井忠男さん(77)が添乗し、スーパーで何を購入したいかを話すなど和やかな雰囲気となった。約1㌔離れたスーパーに到着すると、軽快な足取りで約30分間、買い物を楽しんだ。 利用した2人は「車が自宅に来るので安全で助かる。また利用したい」「初めて行ったスーパーだったのでどこに商品があるのか戸惑ったが、他の店と違うお薦め商品を見つける楽しさにつながる」と満足した様子だった。 市社協によると、11月に入り回覧板でチラシを配布したところ、数件の問い合わせがあった。今後は、各中学校区にある公民館の市社協職員(地域ケアコーディネーター)や地域の民生委の協力で高齢者に利用を呼びかけていく。

新規就農者 県南で増加が顕著 400人目標 県が就農支援態勢強化

【山崎実】新たに農業で生計を立てる新規就農者数が県南地域で増加していることが県の調査で分かった。12月15日にはつくば市で「農場見学&就農相談会in県南」が開かれる予定で、「新規就農者の確保は茨城県農業の維持、発展に不可欠な施策」(農業経営課)と、県は就農支援態勢を強化していく考えだ。 調査結果によると、昨年度の県全体の新規就農者(16~44歳)は、前年度比18人増の346人。うち新規学卒・Uターンなど主に後継者は122人。県内に807組織がある農業法人の雇用就農は163人、新規参入(就農)は61人だった。特に新規参入では県南地域が30人と全体の半数を占め、しかもここ数年は右肩上がりの傾向にある。 なぜ県南地域なのか。同課によると、就農者は脱サラ、IT系企業からの離職者などが含まれ、地理的に消費地に近いことや、首都圏からの交通の利便性が高いことなどが要因になっているのではと、背景を分析する。 脱サラし、7年前からつくば市自由が丘の農園約3㌶で年間50品目の野菜をつくる中村淳さん(35)は「都内のレストランや直売所に卸しているので、東京に近いつくばはメリットがある」と話す。 さらに就農時の年齢が45歳未満で、独立・自営農業などの条件はあるが、国の就農支援制度で年間最大150万円が生活保障として最長5年間交付されることも後押ししている。 経営類型の新規就農者数では、野菜が圧倒的に多く、県全体で346人中、222人と6割以上を占めている。「水稲などの普通作と異なり、野菜は初期投資が少なくて済む分、入りやすいのではないか」(同課)という。 2020年度に県全体で新規就農者数400人を確保するのが目標だが、雇用情勢が好調なことから他業種への流出が考えられ、新規学卒の参入減少も懸念される。それだけに、担い手確保は喫緊の課題で、同課は「支援は惜しまない。県南の動きが全県的な波及効果につながれば」と期待している。 ◆「農場見学&就農相談会in県南」は12月15日(土)午前9時、JAつくば市桜支店集合(古来1630)。2014年に新規就農しネギの周年栽培をしている吉沼宏幸さんの農場などを見学するほか、就農就職に関する個別相談も行われる。問い合わせは同課・農業参入等支援センター(電話029ー301ー3846)。

土浦市立図書館開館1年 入館者60万人に 21日から18の催し

【鈴木宏子】土浦市立図書館(同市大和町、入沢弘子館長)が昨年11月27日、同駅西口前のアルカス土浦に移転・開館して1周年を迎える。1年間の来館者数は約60万人になると見込まれ、県内トップクラスとなる見通しだ。1周年を記念して、21日から27日まで「図書館フェス」が催され、6日間で18のイベントが繰り広げられる。 同館によると、18日までの来館者数は58万660人。1日平均1821人が来館し、年間来館者数は目標だった40万人の1.5倍となる見込みだ。昨年度、県内の図書館で最も入館者数が多かったのはつくば市立中央図書館の51万5000人。つくばを上回るとみられる。 1日当たりの平均貸出者数は587人、貸出冊数は1969冊。一人当たりの貸出冊数は移転前の旧館(文京町)と比べ2.2倍に増えた。年齢別では16~18歳の貸出冊数が旧館と比べ6倍、19~22歳が4倍と若い世代の利用が急増したのが特徴という。 来館者の内訳は、利用者アンケートに回答した792件を分析すると、高校生など10代の学生が40%を占める。利用頻度は全体で週に1~2回通う人が最も多く34%に上った。 同館は駅前のにぎわいを創出するというもう一つの役割を負う。市都市計画課が11月上旬に実施した1日交通量調査では、駅ビル西口前地点の人通りは市役所が駅前に移転してきた2015年と比べ、休日が1.32倍の8722人、平日が1.17倍の9913人に増え、通行量増加が数字で示された。 できることはすぐ改善 館内の利用環境は、利用者アンケートをもとに改善が図られてきた。開館当初は「持ち込んだ自分のパソコンをどの席で使えるか分からない」「近くの人の話し声がうるさい」などの意見があったという。意見をもとに、パソコンを使う席、高校生が勉強する席、図書館の資料を閲覧する席などに分けて、より利用しやすい環境を整えた。「いすを引く音がうるさい」という声には、いすの脚にクッションを付けるなどして対応した。 入沢館長は「アンケートはスタッフ全員に毎日、回覧している。改善できることはすぐやってきたのことが満足度につながっているのではないか」と話す。「『いい図書館。これからも頑張って』『受け付けの対応が良い』など励ましも寄せられるので、スタッフのモチベーションも上がる」という。 2年目を迎えるのを前に入沢館長は「引き続き図書館に来ていただけるよう努力し、まだ図書館に来てない市民の方もおられるので足を運んでいただけるよう工夫したい」と話す。21日からの「図書館フェス」ではカフェ、映画、コンサートなど図書館としては異色のイベントを開く。「まだ来館したことのない人に足を運んでもらうきっかけにしてもらい、駅前のにぎわいをつくれれば」と話す。 図書館フェスのイベントは以下の通り。 ▽高野史緒講演会「図書館の天使たち—図書館で夢と出会う方法」=23日(金・祝)午後2時30分~4階研修室。土浦市出身で江戸川乱歩賞を受賞したSF作家。10月16日に発行された土浦を舞台にした作品「グラーフ・ツェッペリン夏の飛行」についても話を聞けるという。 ▽映画鑑賞会「生誕100年—いわさきちひろ~27歳の巣立ち」=27日(火)午後1時30分~、4階研修室。日本を代表する絵本画家の知られざる人生に迫ったドキュメンタリー映画を上映。 ▽渡辺大輔フォルクローレライブ「晩秋に楽しむフォルクローレの世界」=25日(日)午後1時30分~1階ラウンジ。かすみがうら市出身で元土浦市職員でもあるケーナ奏者。 ▽リサイクルブックマーケット=25日(日)午前10時~4階研修室。図書館で不用となった雑誌などを無料で譲渡する。1人10冊まで。当日整理券を配布し入替制。 ▽1日限定!図書館カフェ=23日(金・祝)午前11時~2階ヨムカフェラウンジ。図書館でバリスタのいれたコーヒー(250円)を楽しむ。 ▽おとなのための朗読会=22日(木)午後1時30分~4階研修室で、土浦朗読の会による朗読会。 ▽ちいさなおはなし会=21日(水)午前11時~2階おはなしのへや。0~3歳児と保護者向けおはなし会。 ▽おはなし会=25日(日)午前11時~2階おはなしのへや。幼児~小学生対象のお話し会。 ▽こども映画会「チップとデール」=23日(金・祝)午後1時~2階おはなしのへや。 ▽腹話術&マジックショー=23日(金・祝)午前11時~2階おはなしのへや。けんちゃんとゆかいな仲間たちによるショー。 ▽学校対抗!ビブリオバトル=24日(土)午前10時30分~1階プラザ、市内高校生がお勧めの本を紹介し観戦者の投票でチャンプ本を決める学校対抗書評合戦。学祭土浦とコラボ企画。 ▽「貸出0回本」=21日~12月15日、2階展示棚。開館以来1年間、1回も貸し出されていない本を展示。 ▽小林じん子展関連図書展示=1日~12月28日、2階情報ステーション。土浦市出身の漫画家、小林じん子さんが影響を受けた本を展示。市内で開催中の「小林じん子展」との連携企画。 ▽親力アップ講座「こどものケンカ!その時親は!?」=21日(水)午前10時15分~2階おはなしのへや。乳幼児と保護者が対象。 ▽本の通帳サービス=市内小中学生を対象に図書館で借りた本の履歴を銀行の通帳形式の手帳に印字できるサービスを23日(金)からスタート。 ほかに1階広場で▽ビバマルシェ=23日▽キッチンカー大集合=24日▽あおぞらマルシェが開催される。

県民先行エントリー 21日午前10時開始 かすみがうらマラソン

【谷島英里子】来年4月14日に土浦市などで開催される「かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン2019」(土浦市、かすみがうら市など主催)の県民先行エントリーが21日午前10時から始まる。 一般エントリーが12月5日から始まるのを前に、県民の出場申し込みを先行して受け付ける。同事務局によると、県民先行は昨年から始めた。県民ランナーを増やし、同マラソンをさらに盛り上げようという狙いがあるという。 来年で29回を数え、昨年は全体で1万6509人が出走した。川口運動公園周辺(土浦市川口2丁目)をスタート地点とし、フルマラソンはかすみがうら市歴史博物館先を中間点として、同公園をゴールとする湖岸周回コース。 種目と参加費は▽一般の部=フルマラソン7000円、10マイル5500円、5㌔3500円▽5㌔チーム対抗レース=1万円。特典として東京マラソン2020年フルマラソンへの出走枠寄与(抽選で3人)のほか、つくばマラソン2019フルマラソン・10㌔の出走権付与(フル・10マイルの県内男女各1位)、完走した人から抽選で豪華賞品贈呈がある。 申し込みはインターネットの「大会公式ホームページ専用エントリー」で。期間は21日午前10時から30日午後5時まで。問い合わせは、かすみがうらマラソン大会事務局(電話03・6869・1096)まで。

貴重な野生ラン、最新の園芸品種など500点公開 世界有数 筑波実験植物園で企画展

【鈴木萬里子】世界有数の野生ラン保全施設として知られる国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)で18日から「つくば蘭展」が開かれている。温室では、同園が収集した品種の中から、開花中の世界の珍しい野生ラン約200点が公開されている。ほかに協力団体の会員が育てた最新の園芸品種や貴重な古典品種など約300点、計約500点が展示されている。 昨年同園は、絶海の秘境、南硫黄島で自然環境調査を実施し、約80年前に絶滅したと思われていたシマクモキリソウとムニンキヌランを再発見した。発見の経過や南硫黄島のランの最新研究の成果などがポスター展示されている。花茎が2㍍以上伸びる巨大なニューギニアのランも今回、国内で初めて公開された。 初日の18日は朝から来場者がひっきりなしに訪れ、にぎわった。蘭展は「きのこ展」と並び同園で最大の人気を誇り、毎回シニア世代を中心に4000人近い来場者があるという。 世界の貴重な野生ランが公開されている温室で、展示を熱心に見ていた下妻市の70代の女性2人は「こんな貴重なランを知ることが出来て良かった。研究者の皆さんの努力の結果ですね」と感心した様子で話した。 つくば洋蘭会と水戸市植物公園蘭科協会の会員が丹精込めて育てた、最新の園芸品種や失われつつある貴重な古典品種なども展示されている。入り口では福田初枝さんが栽培した色鮮やかなカトリアンセの花が出迎える。温室内は色とりどりのランが咲き誇り、その艶やかな色彩と香りでむせ返るほど。龍ケ崎市の50代の夫妻は「友達に勧められて初めて来たが、こんなにたくさんのランがあって驚いた。これから栽培を始めてみたい」と話し、1点1点丁寧に見て回っていた。 ◆会期は25日(日)まで、開館時間は午前9時~午後4時30分。会期中は毎日開園。会期中、イベントが多数用意されている。入園料は一般310円、高校生以下と65歳以上は無料。問い合わせは同園(電話029・851・5159) 主な関連イベントは次の通り。▽多目的温室では「らん蘭ガイド」(平日午後3時より30分間)が開かれ、つくばコレクションの中から「世界に1つだけの花」をめぐる物語を聞くことが出来る。予約不要▽20日(火)と21日(水)はランを使ったテーブルディスプレイを参加者と一緒に作る「テーブルディスプレイを楽しむ」が催される。事前予約必要。材料費500円▽講演会「クモキリソウの仲間を徹底分析」が23日(金・祝)午後1時30分から(事前予約必要)、「南硫黄島の自然とラン」が24日(土)午後1時30分から(予約不要)、いずれも研修展示館3階セミナー室で開かれる▽つくば洋蘭会(斉藤正博会長)は会期中の土日祝日にデスクを設け栽培相談を受け付ける▽香りの専門家が展示品を使ってランの香りの魅力を紹介する「ランの香りを感じるツアー」が24日(土)午前11時から多目的温室で催される。事前予約必要▽ランを木や岩に付けて野生の姿で育てるノウハウを紹介する「ナチュラルスタイルでランを楽しむ」が25日(日)午前10時30分から開かれる。予約不要など。

24万球の光で別世界へ 霞ケ浦総合公園でイルミネーション

【谷島英里子】土浦市大岩田の霞ケ浦総合公園で17日、光がつくる"Art"水郷桜イルミネーションが点灯した。来年2月中旬まで毎夜ともされる。 約24万球のLEDライトで公園のシンボルとなる高さ25㍍、羽直径20㍍の「オランダ型風車」を中心に、土浦の地域資源である桜、霞ケ浦、花火、ハス田、帆引き船、筑波山、桜川をモチーフに演出された。恒例の手作り「竹あかり」のほか、会場入り口に霞ケ浦に浮かぶ虹をイメージした「水と虹のアーチ」が設置された。 午後5時から点灯式があり、中川清市長や子どもたちがカウントダウン。電飾が浮かび上がると、花火が打ち上がり、大勢の市民らが幻想的な雰囲気を楽しんだ。 主催は市民・企業有志で組織される水郷イルミネーション推進委員会。今年で7回を迎えた。代表の広瀬英敏さんは「回る風車や光る羽などを楽しんでほしいです」と話していた。 期間は2019年2月17日まで、点灯時間は午後5時から9時。入場無料。問い合わせは市産業文化事業団(電話029・823・4811)まで。 ▽イルミネーション点灯のようす https://youtu.be/cU98kfoJuIs

つくば市職員が酒気帯び運転で検挙 停職5カ月の懲戒処分

【鈴木宏子】つくば市は16日、酒気帯びで乗用車を運転したとして、こども部幼児保育課主事の男性職員(24)を、同日付けで停職5カ月の懲戒処分にしたと発表した。 市人事課によると、男性職員は今月2日、同課の新入職員歓迎会に出席し、その後有志6人による2次会に参加、お開きになった午後11時30分ごろ、市役所の職員駐車場に停めてあった自家用車で1~2時間、仮眠をとった。 目が覚め、自家用車を運転して帰宅しようとしたところ、3日午前1時28分、同市天久保2丁目の天久保公園近くで、巡回中のパトカーに停止を求められ、酒気帯び運転で検挙された。 職員は1次会でビールやハイボール計4杯ほどを飲んだ。2次会ではハイボールに口を付けた程度だったという。市の調査に対し、職員は「仮眠をとり気分がすっきりしたと思い込んだ」などと話し、酒気帯び運転を認めているという。 1次会には課長らが出席していたが、2次会は管理職は参加しなかった。 市は、管理監督責任があったとして、こども部長と同次長を口頭で厳重注意、幼児保育課長と同課長補佐を文書による厳重注意処分とした。 ほかに、7月31日午後10時10分ごろ、同市上横場の県道で、市生活環境部次長の男性職員(56)が、飲食店駐車場から片側3車線の道路に右折で出る際、右から来たバイクと衝突した事故で、相手方が全治3カ月以上の重傷となっていることから、市は16日付けで、同次長を給料1カ月分に付き減給10分の1の処分とした。 五十嵐立青市長は「市の職員が市民の信頼を裏切り、多大なる迷惑を掛け、心からお詫びします。今後、再発防止に万全を期し、市民の不信を招く行為を厳に慎むよう、綱紀の保持を徹底させます」とするコメントを発表した。

農業テーマパーク、芸術活動拠点など提案 筑波地区の廃校利活用 つくば市

【鈴木宏子】廃校になったつくば市筑波地区の小中学校跡地10校の利活用について、地域住民と市担当課の意見交換会が14日から18日まで同地区9カ所で開かれている。具体的な利活用案について市側から、旧筑波東中学校(北条)跡地にファーマーズビレッジの誘致とジオパーク拠点施設設置、旧田水山小(水守)跡地に文化芸術活動拠点施設整備、旧小田小(小田)跡地を文化財収蔵施設として利用する案などの提案があった。 10校のうち9校は今年4月、7小学校と2中学校が統廃合され、市立秀峰筑波義務教育学校(同市北条)が開校したのに伴って廃校となった。すでに2013年3月に廃校となった1校を含め計10校の利活用について今年度から市の検討が始まっている。今回は市役所内の各課と市民、民間事業者から要望や意見を集め、実現可能性などを検討した結果について、地域住民に示された。 旧東中のファーマーズビレッジは、民間事業者を誘致して、イノシシなど野生動物の食肉や地場産物を食材にしたレストラン、スイーツやワインを提供するカフェ、農産物加工施設、体験型施設などつくり、農業のテーマパークにしようという構想。併せて教室棟の一部を利用し、筑波山地域ジオパークに関する情報を提供して各ジオサイト巡りの拠点となるジオパーク拠点施設を設置する案が示された。 旧田水山小の文化芸術活動拠点施設は、教室や体育館、グラウンドなど廃校全体を活用して、アトリエ、スタジオなどをつくり、作家と市民が芸術活動に親しむ拠点にしようという構想。芸術家が滞在しながら創作活動をしたり、プロを目指す芸術家の卵を応援したり、市の収蔵作品を展示したり、芸術文化に関する講座を開くなどを計画しているという。 旧小田小の文化財収蔵施設は、現在、市内各所に分散して収蔵されている、市内で出土した土器片などの埋蔵文化財や、寄贈された民具などの民俗文化財を集約して収蔵しようという構想。 14、15日に5カ所で実施された意見交換会では、住民から「地域には公民館が無い。公民館や交流センター的な利用と避難所とするのが一番いい」「自然や歴史、農業体験ができる場にしてほしい」「高齢者が健康づくりを施設にしてほしい」などさまざまな意見が出た。市の提案と地域のニーズとに隔たりがある地区もあった。 市の方針として、廃校を地域の集会所にすることについては「区会等に補助金を出して整備することになっているため新たな集会施設は必要ない」「学校の財産区分を今後、教育財産から普通財産に変更すると、使用料が有料になる場合がある」などの説明があり、住民からは不満の声が出た。廃校になってから現在も、各校とも警備や保安、草刈りなどに年間各300万円程度の維持管理費が掛かっているという。 一方、校舎や体育館などが耐震基準を満たしていないため使用を続けられない廃校があったり、市から目立った利活用提案がない廃校もあった。 民間事業者からは、広域通信制高校、消防車など特殊車両組立工場、ペット終末期ケアセンター、日本語学校兼寄宿舎、イチゴ工場、インターナショナルスクール、ベンチャー企業立地支援施設などを整備する提案があったことなども紹介された。 市は引き続き地域住民と協議を重ね、半年とか、地区によっては数年掛けて方向性を決めたいとしている。利用者の優先順位としては、まず市の方針を優先し、さらに地域の要望を取り入れ、市も地域も利用提案がない場合は民間の利活用を検討するという。 ◆筑波地区学校跡地の利活用提案に関する意見交換会の日程は以下の通り。 14日(水)▽午前10時~筑波小学校(会場は同小校舎)▽同午後2時~菅間小(同校舎)▽同6時30分~小田小(同校舎) 15日(木)▽午前10時~田水山小(同校舎)▽午後2時~山口小(同校舎) 16日(金)▽午前10時~田井小(同校舎)▽午後2時~作岡小(同校舎)▽午後6時30分~北条小(同校舎) 18日(日)▽午前10時~全校対象(筑波交流センター2階多目的室) 筑波地区廃校跡地10校の主な利活用提案 市の提案 地域の提案 筑波東中 民間事業者によるファーマーズビレッジの誘致/教室棟の一部にジオパーク拠点施設/体育館・武道場は市民に貸し出し/グラウンドは秀峰筑波義務教育学校のイベント時駐車場として利用など 北条小 プール用地に北条保育所の職員駐車場整備/敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 北条まちづくり振興会が生活芸術体感施設として活用(文化・芸術に関するギャラリー、ネット販売を主とした店舗、創作活動のアトリエ、カルチャースクール、イベントの利用)など 小田小 教室棟の一部を文化財収蔵施設として利用 まちづくり勉強会を通して今後、利活用策を検討 山口小 高齢者の体操教室開催など区会が地域交流の場として利用中/一般財団法人が2教室を会議室として利用要望 田井小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 地域住民が運営する放課後児童の居場所「里山わんぱく館」の整備(体育館、グラウンドと隣接する民有地の里山の一角を借りて冒険遊び場「プレイパーク」を整備するほか、子連れの親子や高齢者の居場所を併設し相互交流する地域拠点として整備 筑波小 筑波西中 体育館・柔剣道場を一般市民に貸し出しなど 田水山小 文化芸術活動拠点施設など 菅間小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 作岡小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など ※ほかに場所は未定だが、市が1校に教室を利用した認知症カフェを月1回程度設置など

元数学教師と美術教師 油絵2人展 つくば

【鈴木万里子】つくば市二の宮の洞峰公園筑波新都市記念館で、千葉県柏市在住の毛利敏雄さん(89)とつくばみらい市在住の沼尻正芳さん(67)とによる「第4回絵画二人展」が、開かれている。毛利さんの油彩画26点と沼尻さんの油彩画46点、計72点が展示されている。 2人は同じ公立中学校の教員だった。数学教師だった毛利さんと美術教師だった沼尻さん。教科は違うがウマが合った。毛利さんが退職後、子ども向けに数学を解説した本を出版し沼尻さんが表紙とさし絵を描いた。その後毛利さんが独学で絵を描くようになり、今回4回目となる2人展を開いた。 毛利さんは「来年は卒寿を迎えるが、描こうという気持ちは衰えないし、皆さんに観てもらえる幸せがあるから絵が描ける」と話した。出展した26点中18点はこの1年間に描いた作品だという。日光や会津などの風景画が多く、緻密な作風にファンも多い。千葉県流山市と埼玉県所沢市から訪れた2人は「丁寧に描き込む作風が好きです。つくばは遠いけど毛利さんの新作を観るのが楽しみ」と作品に見入っていた。 筑波山、筆を加えて進化 沼尻さんも自然を描写した作品で四季折々の筑波山を描いた9点が目を引く。「5、6年前から筑波山を描いてきた。同じ絵でも筆を加えて進化させている。楽しんで観てもらえればうれしい」と話した。7点あるヤマユリの絵は、自宅や付近の林の中に点在して咲くヤマユリを描いたもの。自生して咲く、力強い花の生命力を感じさせる。 展示作品の中でも迫力ある「雪の日(不動院)」は、沼尻さんの地元に鎮座する板橋不動尊を描いた作品。柏から訪れた60代と80代の女性2人は「初めてつくばに遊びに来て、偶然この絵画展に出合ってラッキーだった」「寺が雪化粧されていて故郷の北海道を思わせる。冷たい風景なのに、なぜか暖かさが感じられる絵で不思議です」と感想を話した。 ◆同展は21日(水)まで。入場無料。開館時間は午前10時~午後5時(最終日は午後3時)。問い合わせは毛利さん(電話04・7143・5754)、沼尻さん(電話090・7277・2328)まで。

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