火曜日, 7月 8, 2025

県議選告示 つくばに4人超の9人、土浦に1人超の4人が届け出

【鈴木宏子】任期満了に伴う県議選が30日告示された。人口増に伴って定数が1増えるつくば市区(定数5)は4人超の9人、土浦市区(3)は1人超の4人が立候補を届け出た。有権者数は、選挙権年齢が18歳以上となったことにより、つくば市区が4年前より約1万5000人増えて18万2082人、土浦市区が約3000人増えて11万8986人(29日現在)。 立候補者(届け出順)は以下の通り。 ◇つくば市区(定数5ー9) 野口修 63 団体職員 立憲民主 新 【略歴】東京電気大附属高中退。ジャズライブハウス経営。つくば市議2期。つくばみらい市筒戸。 【公約】①情報を公開し市民参加で基本政策をつくる②温暖化対策など環境問題を最優先に③芸術・文化を育み生かす茨城に④東海第2原発を廃炉に 田村けい子 64 政党役員 公明 現③ 【略歴】神戸市外国語大卒。ファッション、流通企業勤務。マーケティングプランナー。党県本部副代表。沼田。 【公約】①子育て世代包括支援センター設置②つくば発の世界をリードする産業創出③東海第2原発の再稼働に反対し再生可能エネルギーの導入促進 塚本一也 53 大曾根タクシー社長 無所属 新 【略歴】東北大学工学部建築学科卒。筑波大学大学院環境科学研究科修了。JR東日本社員。一級建築士。花畑。 【公約】①TXの茨城空港や羽田空港延伸②つくばに新たな産業を生み出す③少子化時代に対応したつくばの特色を生かした教育環境の構築 飯岡英之 58 飯岡建設社員 無所属 元④ 【略歴】日本大学生産工学部卒。中堅ゼネコン・村本建設社員。つくば市桜地区防犯連絡員協議会会長。流星台。 【公約】①世界トップレベルの学力と規範意識を持つ子供たちをつくばに育む②農業を守り所得を安定させる③福祉・医療の複合拠点を設置 鈴木将 46 県議 自民 現② 【略歴】米国サフォーク大中退。元県議秘書、元つくば市長秘書。寺具自衛消防団団長。寺具 【公約】①結婚・妊娠・出産・育児・教育への切れ目ない支援②TXの北部、東京臨海延伸③道徳心を高め地域でも海外でも活躍する国際人を育てる教育 山中たい子 67 政党役員 共産 現③ 【略歴】日本大学二部卒。旧桜村議1期・つくば市議4期。まつぼっくり保育園後援会長。倉掛。 【公約】①危険な東海第2原発の運転延長ストップ②暮らし第一の県政に転換し、国保・介護の負担軽減、県水道料金引き下げ、待機児童ゼロ 後藤吾郎 39 理学療法士 無所属 新 【略歴】県立医療大理学療法学科卒、筑波大大学院フロンティア医科学専攻終了。元筑波記念病院勤務。梅園。 【公約】①女性、若者、子育て世代が働きやすい環境づくり②茨城型地域包括ケアシステム構築③病気やけがでも変わらず生活できる仕組みづくり 星田弘司 44 星田建設工業社員 自民 現② 【略歴】東海大卒、英国シェフィールド・ハラム大学院修士修了。つくば市議2期。党県連青年局長。西大沼。 【公約】①茨城やつくばの情報発信を強化しイメージアップ②横断歩道、信号機設置など通学路の安全対策③マル福対象年齢拡充など子育て環境改善と支援 八代克彦 61 作家 無所属 新【略歴】筑波大学体育専門学群中退。警備会社社員。小説「反さとり」を自費出版。上横場。 【公約】①茨城県の魅力度ランキングを上昇させる②首都をつくばに移転する③日本標準時間を明石からつくばに変更する ◇土浦市区(定数3ー4) 伊沢勝徳 48 県議 自民 現④ 【略歴】明治大学大学院修了。参院議員・狩野安秘書。県剣道道場連盟顧問、常総学院評議員。真鍋。 【公約】①出産・子育てに希望の持てる環境の整備②陸・海・空の交通ネットワーク整備・利活用③魅力とやりがいがあり儲かる農林水産業の確立 安藤真理子 58 社会福祉法人俊真会理事 自民 現① 【略歴】成城短期大学卒。総合介護福祉施設「プラザマアム」会長。土浦商工会議所女性会会長。大町。 【公約】①健康寿命日本一など健康・医療・福祉の充実②子育て支援など男女共同参画推進③生産日本一のレンコンなど農水産物のブランド力強化 柏村忠志 75 無職 無所属 新 【略歴】日本大学法学部卒。水郷土浦をつくる会代表。土浦市議5期。2015年市長選に出馬し敗退。中高津。 【公約】①自公の3議席独占によるマンネリ政治を変える②霞ケ浦を汽水湖に戻し天然ウナギ・ヤマトシジミを復活③東海第2原発の再稼働中止 八島功男 62 政党役員 公明 現② 【略歴】創価大学法学部卒。常陽銀行土浦ローンプラザセンター長、筑波支店長。党県本部副幹事長。永国。 【公約】①18歳までの医療費無料に②防災アプリで緊急時情報を発信し最善の行動を支援③医療・介護・生活支援・住まいが一体のケアシステムづくり

【シルバー団地の挑戦】9 老朽化課題も再生困難 スーパー・商店街撤退(下)

【橋立多美】住宅団地の中心からスーパー・商店街が撤退した後のつくば市茎崎地区、森の里では、空き家になった長屋式集合タイプの商店街の老朽化問題が浮上している。 1階を商店、2階を住居とする「げた履き住宅」の商店街がシャッター街となっておよそ15年。シャッターやひさしが壊れたり、軒先が腐食するなど老朽化が著しい。店を畳んだオーナーたちは空き家にしたまま新天地で開店したり、2階の住居部分を貸したりしている。 空き店舗のままなのには訳がある。壁一枚で隣り合う長屋式の店舗兼住宅の一部を売却するのが難しく、所有者全ての合意が必要になるからだという。また、高齢化で地域が衰退し新たな店舗が出店することは期待できず、居抜き譲渡されたケースは皆無だ。 森の里自治会の倉本茂樹会長は「以前、生協や市シルバー人材センターが注文品配送センターや弁当配送の拠点として利用できないかと検討され、私も相談に乗ったりしたが、2階部分に入居者が居ること等が障壁となって実現しなかった」と振り返る。 「腐食した建物の一部が強風で吹き飛ばされて災害になる可能性があり、市の空き家対策室に対応を要請しているが、所有者に連絡がつかないのか、ついても所有者が対応しないのか、未だに解決していない」とも。 今年7月に異例の進路をたどった台風12号接近に備え、危険防止のために朽ち果てて強風で吹き飛ばされそうなシャッターの一部を撤去したり、土のうを積んだりしたそうだ。「他人の所有物を破壊するのは違法行為で、責任をとる覚悟だった」と、その時の心情を語った。 店舗の所有者と粘り強く交渉して空き店舗の解消を図る必要に迫られているが、所有者も高齢化し所有権が他の人に渡るとさらに交渉が難しくなるのは必至だ。「所有者の行方が分からないと聞く元店舗もあるし、自治会としては現に2階に人が住み、その人達が会員であることを考えると対応は極めて難しいのが現実」と倉本さんは苦渋の表情を浮かべる。 シャッター通り商店街は閑散として猫1匹通らない。スーパーは取り壊され、100台を収容する駐車場に変わった。(おわり)

【シルバー団地の挑戦】8 運営は主婦から出店者に スーパー・商店街が撤退(中)

【橋立多美】つくば市茎崎地区の住宅団地、森の里では、スーパー・商店撤退後、主婦が始めた定期市がスタートから6年目に存続の危機を迎えた。 発起人の主婦3人のうち2人が引退。また魚屋の店主が高齢のために出店を取りやめた。発起人で1人残った田辺くるみさん(69)が踏ん張り、定期市を続けた。 引退した1人は夫婦で定期市運営に取り組み、夫君がフリーマーケットの商品を移動したり、コーヒーショップの中心的役割を担っていた。この夫君が病にかかって介護のために引退。もう1人は元々足が悪く、毎週の活動で足への負担が大きくなったことが原因で引退した。 田辺さんは「軌道に乗っていたしボランティアもいて続けることにしましたが、二本の柱を失い、フリマとコーヒーショップをやめるなど、規模を縮小せざるを得ませんでした」と淡々と話してくれた。 2013年3月には同市から委託を受けた食品スーパーカスミの移動販売が始まり、不便な生活解消という役目を終えたと解散することになった。 しかし、出店者側から「利用客から続けてほしいという要望があってやめられない」の声が挙がり、「里の市」オープンから12年経った14年春、出店者の希望で定期市は継続されることになった。 名称を「土曜朝市」と改め、運営は主婦たちから出店者に移った。開催日時は里の市と変わらず毎週土曜の午前10時から。里の市の発起人だった田辺くるみさんと松浦悦子さん(70)、松元栄子さん(同)がボランティアで世話係を務めている。 待ってくれている客がいる間は続ける 朝市に並ぶのは肉と和菓子、野菜の3品目。1320平方㍍の畑を借りて野菜と落花生を育てている団地住民の土屋達夫さん(66)は「にぎわいの一つになればと思って出店している。売上500円の日もあるが種と肥料代の足しになればいい」。 定期市のスタート時点から出店している土浦市の精肉店店主の村山勉さん(73)は「客は少なくなって今は多くて15人ほど。もうけを考えたらやっていけない。待っていている人とのつながりは切れないし、客が一人でもいるうちは続ける」と話す。暮れには和菓子店が正月用の餅を、精肉店がハムやすき焼き用牛肉などを販売するという。(つづく)

国は全面的に争う姿勢 鬼怒川水害国賠訴訟 裁判始まる

【鈴木宏子】常総市に甚大な被害をもたらした2015年9月の鬼怒川氾濫で、水害が発生したのは国交省の河川管理に瑕疵(かし)があったためだとして、住民32人と企業1社が国を相手取って総額約3億4400万円の損害賠償を求めた国家賠償訴訟=8月7日付け=で、第1回口頭弁論が28日、水戸地裁下妻支部(伊藤一夫裁判長)で開かれた。国側は訴えの棄却を求め、全面的に争う姿勢を見せた。ただしどのような主張を展開して争うかについては、次回以降の準備書面で明らかにするとした。 この日の裁判は傍聴者の抽選が行われ、法廷は住民や支援者らで満席となった。法廷では住民側弁護団がプロジェクターを使い、法廷に設置されたスクリーンに、水害が発生した原因や国の河川管理の問題点などを大写しにして、国の責任を改めて追及した。 続いて原告住民2人が意見陳述をした。常総市の赤羽武義さん(78)は水害の翌年2月、妻を災害関連死で亡くした経緯を話し、時折言葉を詰まらせながら「水害が無かったならば私の妻は死ななくてすんだ。水害は防ぐことができた」と話した。 花き園芸会社を経営する同市の高橋敏明さん(64)は、水害で花や観葉植物など10万株を失ったと話し「国は責任から逃げている」などと訴えた。 訴状によると鬼怒川水害の原因は、国が若宮戸地区の無堤防状態を放置し河川区域に指定しなかったことから規制が及ばず、ソーラーパネル事業者によって自然堤防の砂丘林が削られたこと、堤防が決壊した上三坂地区は、地盤沈下が進み堤防の高さが年々低くなっていたが国は改修を後回しにしたこと、市中心部の水海道地区は、排水河川である八間堀川の排水機場の運転再開が操作規則に違反して遅れたことなど国の管理に瑕疵があったためだなどと主張している。 次回第2回口頭弁論は2019年3月20日午後3時から行われる。

【シルバー団地の挑戦】7 シャッター通りで続く定期市 スーパー・商店街が撤退(上)

【橋立多美】つくば市茎崎地区の大型住宅団地、森の里(1300世帯)では、団地内のスーパーや商店街が近隣にできた商業施設に客を奪われて撤退・廃業した後も、主婦3人が始めた定期市が規模を縮小しながらも続けられ、「買い物難民」化に歯止めをかけている。 同団地は筑波学園都市建設に伴って建設された。1979年に入居が始まり、入居者がそろって高齢化している。入居当初、活気があった団地内のスーパーは駐車場になり、商店街は現在1店舗だけが営業している。 秋晴れの11月17日午前10時、元商店街で「土曜朝市」が始まった。60代の主婦が、ざるに並べられた一皿100円の朝採り野菜の中からジャガイモに目をとめた。「おいしそう。どれにしようかな」。店主の土屋達夫さんが「どの皿も同じ数だけど、こっちがいいかな」。 ジャガイモと葉物を入れたビニール袋を下げて、隣のテーブルの和菓子をのぞきながら肉販売のコーナーへ。ラッピングして値付けされた豚や鶏肉などが保冷車から下ろされると待ちかねたように次々に売れていく。一人で数パック買う人もいて、ボランティアの田辺くるみさんらが電卓で合計金額を出したり袋詰めをする。 両手にビニール袋を下げて帰っていく人もいれば、日なたにしつらえたテーブルと椅子で茶飲み話に花を咲かせる人もいる。70代の主婦は「買い物してからここでおしゃべりするのが楽しみ」と笑顔で話した。 3人の主婦が定期市を発足させた かつて団地の中心には大型スーパーと電器、肉、薬局、玩具、美容室、飲食店など15の店舗があった。同地区の住民も訪れ、暮れには正月用品を買い求める人の車で商店街周辺の道路が渋滞した。ところが牛久駅前に商業施設が開業したころから陰りが見え始め、2002年春に商店街の核だったスーパーが撤退。店舗も次々にシャッターを下ろした。 こうした状況では、高齢者が食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれる「買い物難民」になりかねない。同年9月、不便な生活を解消し活気を取り戻そうと、3人の主婦が発起人となって毎土曜開催の「里の市」をスタートさせた。 場所は現在と同じ元商店街の一角。市には3人が奔走して出店をとりつけた乾物、魚、肉、パン、野菜の5業種がそろった。ボランティアがフリーマーケットやコーヒーショップを運営し、毎週数十人の団地住民でにぎわった。露店のため天候に振り回されつつも豪雨以外は休みなく続けられた。 しかし6年目の08年、3人の発起人のうち2人が健康上の理由で引退。開催規模の縮小を余儀なくされた。(つづく)

最弱武将落城の跡か 小田城で焼け跡発見 つくば市発掘調査

【鈴木宏子】「戦国最弱の武将」としてNHKの歴史番組で紹介され人気となっている、つくば市小田、小田城の戦国武将、小田氏治(うじはる)が、戦乱に見舞われ、大規模火災に遭ったとみられる焼け跡の一部が、つくば市の発掘調査で発見された。12月1日の現地説明会で一般公開される。 焼け跡は焼土や炭を大量に含む層で、本丸外側の北側出入り口前の調査区画で見つかった。16世紀半ば、上杉謙信連合軍に攻められた際にあった大規模火災跡とみられるという。火災跡は本丸の調査でもすでに確認されており、今回は本丸の外側で見つかった。 火災に見舞われた後、焼け跡では大規模改修が行われ、新しい堀と土塁が造られたことも新たに分かった。城の出入り口を守るため三方を土塁で囲み「馬出(うまだし)」と呼ばれる区画に造り替えたという。市文化財課は「小田城が度重なる戦乱に見舞われ、落城と奪還が繰り返された末、城が作り替えられていった歴史を反映するもの」と説明している。 小田城の土塁の存在が新たに確認された 今回の調査は、1997年度から21年間にわたって続けられた発掘調査の最終年度になるという。今年度は、焼け跡が見つかった本丸北側など本丸外側の3カ所計約400㍍で発掘が行われた。 本丸西側では、江戸時代末期の絵図に描かれ、これまで存在が確認されてなかった内堀外側に幅約10㍍の土塁があったことが新たに確認された。小田城で堀の両側に土塁が築かれていたことが分かったのは今回が初めてで、本丸西側が唯一の場所という。 さらに西側の中堀を調査した結果、堀の底の深さに段差があることも分かった。初めに造られた堀が、その後、拡張された跡とみられるという。中堀跡からは当時の下駄や漆椀の一部など珍しい木製品も出土した。 市文化財課の山本賢一郎課長は「20年以上にわたる発掘調査で、鎌倉時代から戦国時代まで約300年間、何度も造り替えられた小田城の変遷が明らかになった。現地に来て、小田城跡歴史ひろばで開催中の『小田氏治と戦国時代の城館』展=10月4日付けを併せて見ていただき、400年前の歴史に触れていただきたい」と話している。 ◆発掘調査の現地説明会は12月1日(土)午前10時30分からと午後1時30分からの2回、つくば市小田2377、小田城跡で催される。焼け跡など発掘現場が公開されるのは今回が最後になる。参加費無料。事前申し込み不要。問い合わせは電話029ー883ー1111(つくば市教育局文化財課)。当時の問い合わせは電話029ー867ー4070(小田城跡歴史ひろば案内所)。同日は国指定史跡「真壁城」(桜川市真壁町古城)の発掘調査現地説明会も行われる。 ※メモ 【小田城跡】鎌倉時代から戦国時代に県南部で勢力を持った小田氏の居城跡。1935年に国指定史跡となった。1997年から城跡保存のための発掘調査が始まり、2016年4月、成果をもとに「小田城跡歴史ひろば」として復元された。史跡の広さは21.7㌶。

宇宙ビジネス創出 県が後押し つくばでサミット

【山崎実】茨城の経済をけん引する産業の育成、強化を目指す県は「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げた。宇宙ビジネスへの企業の新規参入、事業創出の積極支援に向け動き出している。 同プロジェクト初の支援事業(補助制度)として10月末に4社の採択が決まり、順調な滑り出しをみせている。12月18日にはつくば市で「いばらき宇宙ビジネスサミット」が開催されるなど、宇宙産業集積への布石が着々と進んでいる。 人工衛星製造の民営化や、衛星データの活用による新ビジネスの創造など、いわゆる宇宙産業市場は民需を中心に拡大傾向にある。成長産業と捉えた県は、全国に先駆けていち早く名乗りを上げた。 プロジェクトの支援事業は、宇宙ビジネス参入企業に試験設備の利用料、販路開拓費用、衛星データを活用した開発費等を補助するもの。 初の募集、審査の結果、今橋製作所(日立市)▽ワープスペース(つくば市、筑波大発ベンチャー)▽Yspace(石岡市)▽リモート・センシング技術センター(つくば市)の4社に決まった。このうち、ワープスペースは、自社で開発した低価格の移動式衛星管制地上局をブータン王国内(政府機関等)に設置する販路開拓を目指している。リモート・センシング技術センターは、光学衛星データを用いて、サツマイモのデンプン含量を推計するモデルと、ほ場別診断シートと出荷適期をマップ表示するソフトウエアを開発した。 宇宙ビジネスの相談にエキスパートが対応 また宇宙ビジネスに特化した企業・個人の各種相談にワンストップでサービスを提供する「いばらき宇宙ビジネス創造プラットホーム」が、つくば市千現の県産業戦略部いばらきサロン内(つくば研究支援センター1階)に設置された。衛星の設計や軌道計算、地球観測衛星データの利活用等、宇宙関連に関わる各分野の5人のエキスパートが、宇宙ビジネスコーディネーターとして、アイデア段階から起業まで対応、相談に応じている。 プロジェクトの一大イベントとして実施されるのが、12月18日、つくば市吾妻、オークラフロンティアホテルつくばで開催される「いばらき宇宙ビジネスサミット」だ。民需を中心に年々拡大するビジネス市場の先駆的役割を果たすことを目的に、内閣府、経産省等と共同で開く。 当日は大井川和彦知事のほか、支援事業を受けたワープスペースの亀田敏弘CEO、Yspaceの日高萌子代表らが出席し、パネルディスカッションが行われる。同時に、会場では専門家への個別相談会も開かれる予定。 宇宙ビジネスの立ち上げについて県は「企業の関心は確実に高まってきている。本県を代表するリーディング産業として育成、支援していきたい」(科学技術振興課)と期待している。 問い合わせは同課国際戦略総合特区推進室(電話029ー301ー2515)。

アートの力で「ほうき」の魅力発信 筑波大生 27日から「つくろう展」

【鈴木萬里子】「大穂のほうき」=メモ=として知られる、つくばの伝統工芸ほうき作りを、素材作りから制作過程まで紹介する展覧会「ほうきをつくろう展」が筑波大学の学生らにより、27日から、同市吾妻、つくば市民ギャラリーで開かれる。 ほうき作りは、筑波大芸術専門学群クラフト領域、宮原克人准教授のプロジェクトとして取り組まれている。アート・デザインの力による東日本大震災の復興支援として始まり、昨年から、アート・デザインが地域にどのように貢献できるか、様々な実践をする創造的復興プロジェクトの一環として、「ほうきをつくろうプロジェクト」活動が展開されている。 ほうきは主にホウキモロコシ(ほうき草)とコキアから作られる。授業では、つくば市大穂でほうき工房を構える酒井豊四郎さんの畑を借り、酒井さんの指導のもと、学生らがホウキモロコシの種まきから収穫まで取り組んだ。コキアは坂東市の県農業大学校で育ててもらった。 さらに全国各地でほうき作りのワークショップを開いてきた。岐阜県白川郷にも出掛け、主婦グループと白川郷のカヤでほうきを作り土産にするアイデアを話し合った。「昨年は各地でワークショップを開き、たくさんの人にほうき作りを知ってもらった。今年はほうき作りを根付かせることを目標にしている」とメンバーの一人、芸術専門学群4年生の速水一樹(22)さんは話す。ほうきの作り方も研究を重ね、簡単に作れて丈夫、使いやすいほうきを紹介している。自然の素材を使った、自分だけの道具作りをする楽しさがあるという。 展覧会は昨年に続き2年目。今展のテーマは「ほうきづくりの過程を知ってもらおう」。ホウキモロコシやコキアのほうき約50点のほか、ほうき作りの材料や道具を展示する。来場者が体験する「ほうきづくりワークショップ」も開かれる。速水さんは「手間暇をかけて自分の手で一から作り上げると、愛着がわいて使うのが楽しみになる」と話し、多くの人の来場を呼び掛けている。 ◆会期は12月2日(日)まで。開館時間は午前10時~午後5時(初日は午後1時開館、最終日は午後1時閉館)。ほうきづくりワークショップは12月1日(土)午後1時~3時(受付午後12時30分~1時)。問い合わせは宮原さん(電話029・853・2843、メールmiyahara@geijutsu.tsukuba.ac.jp) ※メモ 【大穂のほうき】つくば市大穂地区で作られているほうき。県の郷土工芸品に指定されている。明治時代後期、栃木県鹿沼で奉公をしていた中島武平が、ホウキモロコシの種を持ち帰り、栽培と生産が始まった。大正から昭和には全国に出荷されていたが、電気掃除機の普及で需要が大きく減少した。

読書の履歴「通帳」に記録して 土浦市立図書館でスタート

【谷島英里子】小中学生が、自分が図書館で読んだ本の履歴を、銀行の通帳のような手帳に記録できる「本の通帳」を土浦市立図書館が23日から導入した。専用機を使って通帳に印字する仕組みで、子どもの読書の意欲を高めることが狙い。 開館1周年記念事業の一環。対象は市内在住か在学の小・中学生と義務教育学校生で、同館の利用カードを持っていること。通帳は5000冊作成した。 使い方は、初めに通帳を窓口で発行してもらう。通帳を専用機に入れ、本のバーコードを読み込むと通帳に印字される仕組み。通帳には本を借りた年月日、書名、作者名、出版社が印字され、銀行や郵便局の預貯金通帳にそっくりだ。通帳1冊で366冊の本が印字できる。 23日は祝日ということもあり、開始の午前10時30分から10人ほどの列ができた。同館によると午後5時ごろまでに86人が利用し、子どもたちから「うれしい」「どんどん読みたくなる」と喜ぶ声が聞かれたという。 通帳の制作費と記帳機の購入費用の合計120万円は、常陽銀行、筑波銀行、水戸証券、めぶきリースが協賛企業として協力した。 同館は「子どもたちの中で本の通帳が話題になって、図書館に来たくなるきっかけになれば」と話している。

「日本の風景 感動共有したい」 土浦の異色画家 洞峰公園で油彩画展

【鈴木萬里子】定年を迎えた10年前に絵を描き始めた土浦市在住の異色の画家、加賀宏義さん(78)の油彩画展がつくば市二の宮の洞峰公園筑波新都市記念館で開かれている。県内など近隣の自然美を追い求めた作品を中心に、50号の大作3点を含む57点が展示されている。 洞峰公園の紅葉を描いた作品などが、激しい色彩や、たおやかな色使いで描かれている。入口正面に飾られた50号の大作「茅葺き(かやぶき)農家」「怒涛(どとう)の海」の2作は特に圧巻だ。会場中央の40号「せせらぎの音」は森の中から流れ出る水を、幾重にも広がる緑を背景に描いた。 加賀さんは独学で絵を描き始めたが、3年後の2011年に初めて新極美会の公募展に30号「廃墟」を出品した。「その作品で新人賞を得たことで自信がつき、今につながっていると思う」と話す。 東京で勤めの傍ら、絵画展や銀座のギャラリー巡りを趣味にして、画家の筆使いを熱心に観察したのが、今の土台となっているという。いとこが著名な日本画家、信太金昌(しだ・きんしょう=故人)なのも画家を志すのに影響した。 これまでに個展やグループ展などを多数開き、精力的に絵を描く姿勢が評価されている。今展について「日本の美しい風景、感動する風景を自分なりに描いている。観た人と感動を共有したい」と話した。 来場したつくば市の60代男性は「見ている人の心をわしづかみする絵だと思う。大胆なのに、きめ細やかさ、色の出し方など、すべてを極めていて作者の感性のすごさを感じる」と話した。 ◆会期は28日(水)まで。入場無料。開館時間は午前9時~午後5時(最終日は午後3時)問い合わせは加賀さん(電話080・2066・8567)。

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