【山崎実】茨城の経済をけん引する産業の育成、強化を目指す県は「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げた。宇宙ビジネスへの企業の新規参入、事業創出の積極支援に向け動き出している。
同プロジェクト初の支援事業(補助制度)として10月末に4社の採択が決まり、順調な滑り出しをみせている。12月18日にはつくば市で「いばらき宇宙ビジネスサミット」が開催されるなど、宇宙産業集積への布石が着々と進んでいる。
人工衛星製造の民営化や、衛星データの活用による新ビジネスの創造など、いわゆる宇宙産業市場は民需を中心に拡大傾向にある。成長産業と捉えた県は、全国に先駆けていち早く名乗りを上げた。
プロジェクトの支援事業は、宇宙ビジネス参入企業に試験設備の利用料、販路開拓費用、衛星データを活用した開発費等を補助するもの。
初の募集、審査の結果、今橋製作所(日立市)▽ワープスペース(つくば市、筑波大発ベンチャー)▽Yspace(石岡市)▽リモート・センシング技術センター(つくば市)の4社に決まった。このうち、ワープスペースは、自社で開発した低価格の移動式衛星管制地上局をブータン王国内(政府機関等)に設置する販路開拓を目指している。リモート・センシング技術センターは、光学衛星データを用いて、サツマイモのデンプン含量を推計するモデルと、ほ場別診断シートと出荷適期をマップ表示するソフトウエアを開発した。
宇宙ビジネスの相談にエキスパートが対応
また宇宙ビジネスに特化した企業・個人の各種相談にワンストップでサービスを提供する「いばらき宇宙ビジネス創造プラットホーム」が、つくば市千現の県産業戦略部いばらきサロン内(つくば研究支援センター1階)に設置された。衛星の設計や軌道計算、地球観測衛星データの利活用等、宇宙関連に関わる各分野の5人のエキスパートが、宇宙ビジネスコーディネーターとして、アイデア段階から起業まで対応、相談に応じている。
プロジェクトの一大イベントとして実施されるのが、12月18日、つくば市吾妻、オークラフロンティアホテルつくばで開催される「いばらき宇宙ビジネスサミット」だ。民需を中心に年々拡大するビジネス市場の先駆的役割を果たすことを目的に、内閣府、経産省等と共同で開く。
当日は大井川和彦知事のほか、支援事業を受けたワープスペースの亀田敏弘CEO、Yspaceの日高萌子代表らが出席し、パネルディスカッションが行われる。同時に、会場では専門家への個別相談会も開かれる予定。
宇宙ビジネスの立ち上げについて県は「企業の関心は確実に高まってきている。本県を代表するリーディング産業として育成、支援していきたい」(科学技術振興課)と期待している。
問い合わせは同課国際戦略総合特区推進室(電話029ー301ー2515)。