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つくば市は9月末まで無料 新型コロナに医療相談アプリLEBER

【相澤冬樹】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅・遠隔医療のAGREE(アグリー、本社・つくば市、伊藤俊一郎社長)が始めた医療相談アプリLEBER(リーバー)による無料相談は、10日のサービス終了が迫るなか、つくば市については9月30日まで無料期間を延長している。 LEBERは、スマホを操作して医師と相談するアプリで、2018年1月にリリースされた。登録ユーザーはチャットスタイルの自動問診で、「痛い」「かゆい」などの症状を伝えると、これを見た医師から最速3分で回答が届き、最寄りの医療機関や適切な市販薬などがアドバイスされる仕組み。24時間365日相談できる。 通常、登録ユーザーは相談1件ごとに120円、360円、600円の3種類から料金を選んで相談するスタイルだが、同社は2月12日、伊藤社長の即断で4月10日までの無料相談を打ち出した。横浜港にクルーズ船、ダイヤモンドプリンセス号が入港した直後の対応だった。 登録ユーザー・医師数とも増加 同社CMO、多賀世納さんによれば「2月中は発熱から新型コロナとの関連を疑うような相談が多かったが3月に入ると病院に行くこと自体のリスクを心配して幅広い医療相談に変わってきた」という。該当診療科の医師による回答となるが、病名を断定して診断をくだすものではなく、「感冒の疑いがあります」「インフルエンザの疑いがあります」などの表現で、病医院での診察や保健所への相談が促される。処方箋を出すこともないが、不安の解消に役立っていると見ている。

圏央道沿線などで産業用地開発へ 県プロジェクト

【山崎実】優良企業の誘致による産業立県を目指して、県が昨年11月に立ち上げた「未来産業基盤強化プロジェクト」が、県議会第1回定例会(2月27日ー3月24日)の論戦に上っている。 県議会で経緯、内容、現状などについて説明を求められたのに対し県執行部は、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)沿線地域への立地ニーズが多いことから、産業用地の新たな開発に乗り出したことを言明した。 プロジェクトは、圏央道のインターチェンジ(IC)周辺などに「産業用地開発区域」を設定。沿線市町村の開発計画などに対し、地域未来投資促進法に基づく税制や農地転用許可の特例措置を積極的に活用することで、事業化決定から造成着手までの期間を通常の3~5年程度から最短1年にまで短縮する。開発計画の検討段階から企業誘致まで、県も部局横断的に市町村を支援していく。 新たに設定するIC周辺の産業開発用地は、圏央道のつくばジャンクション(JC)以西の常総、坂東、境古河、五霞IC周辺や、以南の常磐道・谷和原IC周辺などで、既に市町村の開発構想を調査し回答のあった17市町村の中から、具体的な計画のある9市町村とヒヤリングを行っている段階(県産業基盤課)という。 今後は、事業化の確度の高い市町村計画を第1次の産業用地開発区域として選定し、造成工事の着手前から企業のエントリーを受け付けることでスピード感のある企業誘致を進めていく方針だ。 県産業立地課のまとめによる2019年上期(1~6月)工場立地動向調査によると、前年に続き圏央道沿線の県南、県西地域への県外企業の立地が多く、特に県西地域は2014年から18年までの5年間で181ヘクタール(構成比30%)と最も多く、県南地域の127ヘクタール(同21%)を加えると、50%以上を県南西で占める勢い。 新たなプロジェクトが、圏央道沿線の企業誘致をさらに後押しすることは間違いなく、大井川和彦知事も議会答弁で、「本プロジェクトにより市町村の開発計画を全面的に支援しながら、圏央道周辺地域など企業の立地ニーズが高いエリアで、新たな産業用地の開発を促進していく」と積極的に取り組むことを表明した。 同県議会では総額1兆1632億円余と過去最大の新年度一般会計予算案などを審議している。

県内企業の半数以上「マイナスの影響」 新型コロナで帝国データバンク

【山崎実】民間調査機関、帝国データバンク水戸支店が実施した新型コロナウイルス感染症に対する県内企業の意識調査によると、半数以上の55.3%が「マイナスの影響がある」と回答し、かなり深刻な事態にあることが浮き彫りになった。 調査対象は県内企業359社で、有効回答企業数は150社(回答率41.8%)だった。調査は2月14~29日に実施した。 調査結果をみると、「すでにマイナスの影響がある」が24%、「今後マイナスの影響がある」が31.3%で、合わせると55.3%がマイナスの影響に伴う危機感をもっている。 特に、「マイナスの影響がある」と見込む企業が日を追うごとに顕著に増加しており、国の新型コロナウイルス感染症対策基本方針決定(2月25日)前の2月14日から24日までは47.9%だったが、25日以降は一気に増え、83.9%にまで上昇した。 業界別では「金融」が最も高く、続いて「小売」「製造」が6割台、「卸売」「建設」「運輸・倉庫」が5割台と続く。「小売」「農林水産」では、企業の33.3%にすでにマイナスの影響が出ていた。 同水戸支店は、中国からの輸出入が滞り、幅広い業種に影響が及び始め、「小売」は商品の未入荷や消費マインドの低下などによる悪影響が見込まれ、県内企業はリスクに対するBCP(事業継続計画)の必要に迫られている。 企業には、正確な情報に基づく冷静な対応、政府には情報提供と企業の事業継続に有効な具体的支援策の実行が求められる提言している。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

星野リゾート19日開業 土浦駅ビル セレモニーは実施せず

【鈴木宏子】土浦駅ビル(土浦市有明町)、プレイアトレ土浦3~5階に19日、「星野リゾートBEB5(ベブファイブ)土浦」(宮越俊輔総支配人)が開業する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開業セレモニーやイベントは実施せず静かなオープンとなる。 BEB5土浦は若者をターゲットにしたホテルで、同ブランドの開業は軽井沢に次いで全国で2カ所目。若者の旅行離れが進んでいることを背景に、若者の価値観に合わせた新しい旅のスタイルを提案し、需要掘り起こしにチャレンジするホテルとなる。 ホテルの開業により駅ビルを運営するアトレ(東京都渋谷区)が2017年から取り組んできた「日本最大級のサイクリングリゾート」の形が完成する。 一方、新型コロナウイルスの影響で現在の予約状況は、週末は県内や首都圏から、家族連や自転車愛好者などの予約が入っているものの、ビジネス客を見込んでいた平日は影響が出ているという。 自由なスタイルでルーズに 土浦駅改札口と直結し、改札口向かいがホテルの入り口となる。駅ビル全体と統一されたガレージのような雰囲気のデザインで、自転車に乗ったまま入ることができる。 フロントのロビーには、さまざまな形のテーブルが置かれ、ゆったり座れるいすやソファーが40~50席並ぶ。24時間利用できる「TAMARIBA(たまりば)」で、本やテーブルゲーム、大画面のテレビなどが備えられている。カフェも併設されているが、飲食物を持ち込むことも自由だ。照明は時間帯によって変化し、星野リゾートならではの空間が演出される。 若者にとって旅行は、かしこまって遠くに出掛ける旅ではなく、日常の先のちょっとした旅行であるという独自の市場調査を基に、仲間と集まって、それぞれがルーズに、自由なスタイルで滞在できるよう、居心地の良い場を提案する。スタッフは20~30代が多く、窮屈感やストレスを感じさせないよう私服で対応する。 客室は90室。自転車で入室できる。1人1泊6000円(2人用、税別)から利用でき、全員が29歳以下のグループの場合、3人1室1万2000円(1人4000円、税別)の特別プランも用意ある。 若者のほか、自転車愛好者や、駅直結の立地条件を生かして平日はビジネス客もターゲットとする。 4階には、静かに仕事ができるワークスペースが設置され、平日はビジネス客がリモートワークをしたり、週末は自転車愛好者が自転車を修理したりできる。 状況踏まえ改めてイベント 一方、新型コロナウイルス対策として客室のドアノブやエレベーターのボタン、フロントのチェックインタッチパネルなどの消毒を1日数回、徹底して実施し、安心して過ごしてもらえるようにする。 新型コロナウイルスの状況を踏まえ、改めてイベントなどを開催する予定だという。サイクリングを初めて経験する自転車ビギナーの若者に、県や土浦市、プレイアトレ土浦などと一緒に、自転車に触れてもらう機会やサイクリングの楽しみを提案したり、大学のゼミなどとの協働イベントなども検討しているという。 宮越総支配人(45)は「県内の近距離の方にも仲間と集まる場所として気軽に利用していただければ」と語り、「地域を盛り上げることも使命としているので、地域と取り組めることがあればコラボしたい」などと話している。 ➡土浦駅ビルの過去記事はこちら

【新型コロナ】「自宅待機、賃金は」 連合茨城に切実な声

【山崎実】「4月1日付けで雇用契約解除の通知を受けた。3月上旬からは自宅待機。その間は有給を使うように言われた。賃金はもらえないのか」―。連合茨城(水戸市)が今月4日から7日まで行った新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う緊急労働相談(第1弾)では、生活に直結した切実な声が寄せられた。 相談件数は27件で、相談者は正社員、パート、契約社員各7人など。相談内容は、会社都合の休業に対する賃金補償が9件、学校の休校に伴う賃金・有給休暇が5件、解雇の相談も2件あった。 具体的には「パートでスポーツ施設の清掃作業をしている。会社から『コロナの関係で3月いっぱい休みにする』と言われたが、賃金は補償されるのか」「契約社員としてスポーツジムのインストラクターをしている。ジムから文書で『コロナによる休館中は賃金の支払いはできない』と通告された。これでは生活ができない」 「契約社員として日給でスクールバスの介助員をしている。学校が休みになってしまった。雇用契約書には『休日は学校の休みに準ずる』とあるが、今回の場合は何ももらえないのか」「嘱託でスクールバスの運転手をしている。突然休校になったので仕事がなくなった」 「飲食店でアルバイトをしている。店長からキャンセルが続いているのでしばらく休んでほしいと言われた。生活もあるので困っている」ーなど、ほとんどが切羽詰まった相談ばかりだった。 連合茨城はこれらの実態を背景に、新型コロナウイルスに伴う休業を東日本大震災と同様に不可抗力とみるのか、会社都合なのか早急にはっきりさせることが必要だとし、政府に対し「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」に該当しない労働者に対する直接支給制度や、助成制度の創設を働き掛けるべきだと、県や厚労省茨城労働局に要請する方針だ。 31日まで緊急相談第2弾 連合茨城は31日まで緊急労働相談の第2弾を行う。時間は朝9時から夕方5時30分まで。フリーダイヤル0120-154-052。問い合わせは電話029-231-2020(連合茨城、担当・川城さおりさん)。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

親子2代で県内最大に つくばのナメコ生産者

【大山茂】みそ汁で豆腐と相性バツグンの具材、ナメコに魅せられて、親子2代にわたり栽培を続けている人がつくば市にいる。同市中別府の鈴木きのこ園代表、鈴木繁男さん(41)。気が付けば県内最大規模の生産者になっていた。 ファームは市西部、東光台団地から上郷方面を結ぶアグリロード沿いにある。ファームにお邪魔すると、頑丈な鉄骨組みの建物が目に飛び込む。内部には空調が管理された培養室や作業室がそろう。原木栽培ではなく、菌床を使った施設空調型の栽培ハウスだ。 きのこ園では広葉樹のおがくずを菌床として瓶に詰めて、高温、高圧殺菌する。瓶に詰めたり、殺菌するなどの工程は専用の機械が行う。殺菌後に種菌(たねきん)を植え込み、培養室で一定の温度と湿度を保ちながら管理すると、2カ月で収穫できる。 同園に種菌を納入する宮城県の業者によると、自然林のナメコ菌を育種したもので、ぬめりが強く傘が大きいのが特徴という。 培養室には菌床が詰め込まれた800ccのプラスチックボトルが棚に無数に並べられ、口元からナメコがぎっしりと顔を出している。別室では4、5人のパート従業員たちが、はさみを手に大きく育ったナメコを器用な手つきで切り落としている。処理する数は1日に平均4500個。四季を通じて収穫している。切り落とされたナメコはその場でふるいにかけられ、サイズ別に袋詰めされていく。 出荷先は全国で宅配を展開する生活協同組合パルシステム。出荷量の約8割を占めており、残りを地元の野菜直売所やスーパーの産直コーナーで販売している。パスシステムの話ではナメコはJAつくば市谷田部の倉庫を経由して新治と岩槻(埼玉)、相模原(神奈川)の物流センターに運ばれ、関東一円に宅配されるという。 冬の副業、気付いたら1人 県林政課のデータによれば2018年度のナメコ生産量は163トン。県内には栽培農家が20戸あるが、ほとんどが県北地域で、県南地域は鈴木きのこ園だけ。しかもその県内生産量の9割を占めている。 そもそも、ナメコ栽培は父親の栄さん(66)が40年前に農家の冬期の副業として知人ら数人と始めた。しかし発泡スチロールにオガクズを敷いただけの栽培方法では病気に侵されたり、大きく育たないなど困難に直面。気付いたら栄さん1人になっていた。 パルシステムから契約栽培の話が持ち込まれたのは20年前。設備投資が高額だったことから悩んだが、当時20歳の繁男さんが「一緒にやろう」と背中を押してくれたことで一歩を踏み出した。繁男さんはJA産直部会のエコファーマー認定取得者。「安全でおいしいなめこを今後も食卓に届けていきたい」と話している。

労働組合員数、つくば市が県内トップ

【山崎実】県労働政策課がまとめた2019年の労働組合基礎調査結果によると、県内の労働組合員数20万450人のうち、つくば市が5万446人で全体の25.2%と、44市町村で最も多いことが分かった。 調査は労働組合、組合員の産業、企業規模、加盟上部団体別の分布など、県内の労働組合を対象に毎年6月30日現在で実施している。 調査結果によると、県内の労働組合数は891組合で、前年比39組合減(4.2%減)。組合員数は20万450人で、前年比1471人増(0.7%増)となった。推定組織率は14.1%。 組合員数のうちパートタイム労働者は3万4697人と前年比3195人増(10.1%増)で、全労働組合員数に占める割合は17.3%と2割近くになっている。 産業別では「製造業」が7万1575人(全体の35.7%)と最も多く、次いで「卸売・小売業」の4万9980人(同24.9%)、「公務」の1万5390人(同7.7%)と続く。また企業規模別でみると、1000人以上規模が13万3161人で全体の66.4%を占め圧倒的に多い。 上部団体別では、連合茨城が全体の70.8%(組合員数14万1875人)。茨城労連は3.8%(7708人)となっている。 組合の組織状況を市町村別でみると、水戸市が160組合と最も多く、次いでつくば市の101組合、日立市の58組合、神栖市の48組合、土浦市の47組合と続く。組合員数ではつくば市がトップで5万446人(県内組合員数全体の25.2%)。次いで水戸市の3万757人(同15.3%)、日立市の2万947人(同10.4%)、ひたちなか市の1万637人(同5.3%)、土浦市の1万483人(同5.2%)。労働組合も南高北低の傾向にある。

最先端の利用環境をつくばで提供 電子顕微鏡のシェアリング

【相澤冬樹】電子顕微鏡のシェアリングサービスというユニークな業態のベンチャー企業がつくばで動き出した。ANMIC(アンミック、井上佳寿恵社長)で、サービスは5月にも開始する。高額な電子顕微鏡を複数の企業でシェアしつつ、周辺機器を含む技術の刷新に人材育成を含めて対応する構えでいる。 会員制10社で5月スタート ANMICは、物質・材料研究機構(NIMS)で電子顕微鏡の運用支援に当たっていた井上社長が2019年8月に設立した。電子顕微鏡は半導体、セラミックス、金属のような無機物からプラスチックや生物組織のような有機物まで、電子ビームを当てて材料の微細な構造を観察出来る装置。ナノ(10億分の1)メートルより1ケタ小さい原子レベルまで観察できる分解能を有する。 今回の装置は、日本電子の電子顕微鏡「JEM-F200」。透過型電子顕微鏡(TEM)の高性能機で、最高加速電圧は200キロボルト、分解能と機能の拡張性に優れる。高速なカメラがついており、加熱した時に金属や半導体などが溶けたり、構造が変化する様子をリアルタイム(1秒間に300フレーム)で観察できるという。 同市千現のつくば研究支援センターの1室を新たに借り、レンタルリース会社所有の電子顕微鏡を借り受け運用する。装置の高さが3.5メートルにもなるため、天井高などを改装、据え付けを4月から開始し、機器の調整を経て、5月半ばにもサービスを開始したい考えでいる。 井上社長によれば、NIMSでは最新の電子顕微鏡を使えたが、開発要素を含まない試験や企業からの委託分析ができないなど使途に制限があった。1台が数億円する電子顕微鏡は高額な装置だが、運用にはさらに付属の機器やソフトウエアを使いこなす必要があり、技術の刷新に追いついていかないと1、2年で陳腐化する。 ANMICは、F200に材料解析のための4D-STEMなどのオプションを付加する予定で、それらがどういう原理で、どういうことが出来るのか、実際に解析できた事例などを大学の専門家らに講演してもらったり、メーカーやエンジニアなどに実演や技術講習をしてもらうことにしている。同型機を持つ企業でもシェアリングに参加することで、新たなソフトウエア導入に際し、使い勝手の検証や技術の習得に役立てることもできる。 サービスの利用は会員制。利用目的でプランを分け、メーカーや研究機関が研究開発用途で利用する場合はベーシックプラン(年会費370万円)、受託解析会社などがビジネス用途で利用する場合はビジネスプラン(同780万円)の料金設定が示されている。研究法人を含む10社程度で1台をシェアし、会員は1日単位で予約して装置を利用する。 井上社長「つくばにこだわりたい」 常総市出身で、東京家政学院筑波女子短大(現・筑波学院大学)の秘書課程で学んだ井上社長は結婚・育児後の復職に際し、つくば市の産総研での秘書業務に就き、NIMSに転じた。その経験と研究者らの後押しにより、ANMIC設立に至ったが、「起業場所としてつくばにこだわりたかった」という。常に最先端装置の利用環境を提供するため、今回を1号機として、2号機以降の展開も構想、その視野もつくばに置いている。

通行料を払ってドローンを飛ばす つくばの住宅地で配送実験

【鈴木宏子】ドローン(小型無人機)を使った配送実験が20日、つくば市研究学園の住宅地で行われた。住宅地上空をドローンが飛行できるよう「空の道」をつくるビジネスを展開するベンチャー企業「トルビズオン」(本社・福岡市、増本衛社長)が、つくば市などと取り組んだ。同社によると大規模住宅地での実験は全国初という。 都市部での利活用見据え 航空法の規制で、住宅地など人口集中地区の上空でドローンを飛ばすには国交省の許可がいる。このため、飛行ルートにある住宅地の地権者に通行料を支払って「空域」を確保しようとした。物流や警備、インフラ点検、災害時の救助支援など、2020年代以降、国交省が都市部でのドローンの利活用を本格化させる「空の産業革命」を見据えた実証実験だ。 配送実験は、五十嵐立青市長がスマートフォンのアプリ機能を使って、商業施設イーアスつくば内のカスミに、おにぎりやリンゴ、バナナなどを注文。カスミが店舗近くの公園に設けられた発着場に商品を運び、トルビズオンがドローンに積み込んだ。さらに損保ジャパン日本興亜の関連会社がドローンを運行し、民間の空き地や住宅地の道路上空約50メートルを時速10~15キロで10分程度飛行して、700メートルほど離れた住宅地内の公園で待つ五十嵐市長に無事、商品を届けた。 都市部でのドローンの利活用を視野に、上空で携帯電話の電波を活用し、だれの土地の上空を飛行したかがリアルタイムで分かる位置情報を取得する実験も同時に行われた。送料として1回500円程度を想定し、80%の400円をドローンの運行料、14%を地権者に支払う通行料、6%を損害保険料や利益として見込んでいるという。 五十嵐市長は「物流業界の人手不足や買い物難民などの課題がある中、ドローン配送は大きなインパクトを与える。(ドローンが飛行する住宅地の)地元同意を得て進めており、これからもていねいに住民合意をとって進めていきたい」などと述べた。トルビズオンの増本社長は「住宅地の真ん中に荷物を届けることができた。大規模住宅地でのドローンの実証実験が、空の道の課金システムのために欠かせない」などと話した。

モノ好きたちのメイカーフェア 15、16日 つくばカピオで開催

【相澤冬樹】モノ好きなメイカー(Maker)たちがつくばに集結―好奇心を刺激するサイエンス系のフェア(Faire)が15、16の両日、つくばカピオ・アリーナ(つくば市竹園)で開かれる。Maker Faireは全世界200カ所以上で開かれてきた「ものづくりの祭典」。これまで日本では東京、京都などで開催されており、つくばでは「つくる場=つくば」をキャッチフレーズにして初開催となる。全国各地から集まった総勢151組のメイカーが、ロボット、AI、教育、未来のモビリティーなど、様々なオリジナルの作品を展示して来場者と交流する。 つくばをはじめ全国で活動する研究者や経営者、エンジニアたちがつくばミニメイカーフェア(TMMF)実行委員会(江渡浩一郎委員長)を編成して主催する。「つくる」文化の確立や新たな学術・研究の創出、スタートアップ推進などを目的に掲げており、つくば市などが共催する。 これまでに全プログラムが決まり、総勢151組のメイカーの参加が決まった。子供から大人まで体験できるものづくりコーナーを置く出展者も22組ある。 15日のオープニングでは、江戸時代に活躍したつくばの発明家、飯塚伊賀七が約200年前に作ったからくり和時計の複製を用い特別に実演(15日正午から)する。科学万博つくば85のシンボルロボット「コスモ星丸」を最新の技術を用いてよみがえらせるダンスショー(両日午後1時から)も予定されている。 トークセッションは全8組予定されている。民間企業として初めて宇宙へ到達するロケットの打上げを行ったインターステラテクノロジズ社の稲川貴大社長を招いて、民間・個人による宇宙開発の可能性を語る「宇宙ロケット、作ってみた」は15日午後3時から、つくばを拠点に活躍している古生物の芝原暁彦さん(地球科学可視化技術研究所)、気象の荒木健太郎さん(気象研究所)、動物解剖学の郡司芽久さん(国立科学博物館)による「つくればわかる、かたちの科学」は16日午後3時から開催する。 筑波大学宇宙技術プロジェクト「学生だけで作る超音速ロケットと小型探査機」など研究者や企業によるプレゼンテーションも両日午後にプログラムが組まれている。 事前申込は不要、入場無料。問い合わせはTMMF実行委員会。

バレンタインデー目前 その名は「いばらきチョコレート」

【池田充雄】バレンタインデーを目前に、チョコレート商戦の目玉となりそうな個性的な商品が登場した。その名は「いばらきチョコレート」。インドネシアのカカオとつくば市などの農産物を使い、国際協力と農業振興の一端を担う。現在、スーパー「カスミ」(本社つくば市)の県南地区6店舗で販売中だ。 オールつくばの生産体制 いばらきチョコレート誕生の発端は、業務用チョコレート大手の東京フード(つくば市上大島)とつくば市が一昨年、国際協力機構(JICA)との共同事業でインドネシアのカカオ栽培支援に乗り出したこと。焼畑農業からの転換を進め、森林保全と農家の生計改善につなげる目的だ。現地で生産されたカカオマスを買い取り、つくばの農産物と組み合わせたチョコレート商品を開発することで、事業の周知と理解を図りながら、支援の輪を広げようとしている。 商品化に取り組んだのは、野菜ソムリエやフードコーディネーターとして地域で活動する田野島万由子さん(つくば市横町、オリジネス取締役)。かねてから地場農産物の消費拡大のため、ドライフルーツの開発も進めていた。 昨年1月、カスミ地域商品開発部の協力を得て試作品が完成。市内3店(大穂店、学園店、イーアスつくばスタイル店)で販売し、800個を完売した。その後は商品のブラッシュアップを進めるとともに、共同事業者に社会福祉法人ゆっこらフレッシュグリーン(つくば市谷田部)とニュートラルデザイン(つくば市桜)を迎え、オールつくばの生産体制を敷いた。 地場産フルーツの個性際立つ インドネシアのカカオは、アフリカ産のような酸味やクセは感じられず、日本人の口に合う食べやすさが特徴という。それを東京フードが、カカオならではの苦みや濃厚なコクを生かしたセミスイートチョコに仕立てた。 トッピングのうちブルーベリー、キウイ、温州みかん、福来みかんは市内産。旭村イチゴ(鉾田市)や奥久慈リンゴ(大子町)も使用、ほうじ茶と緑茶は猿島茶(坂東市)だ。果物はドライフルーツ、お茶は粉末にすることで自然の風味が凝縮され、それぞれの個性が強く感じられる。 商品のうち一番人気は「ほうじ茶&福来ミカン」。口にすると福来ミカンの爽やかな香りが立ち、後からほうじ茶の香ばしさやほろ苦さが広がる。福来ミカンは皮の砂糖漬けに果汁も絞り入れることで、いっそう香り高く味も濃厚になったという。 季節品からつくばを代表する商品へ 今年度の生産は5種類で計3000個を予定。昨年末にプルシェつくばキュート店で先行販売を開始した。同店は駅に隣接するため地域商品の需要が高く、帰省シーズンと重なって好調な出足だったという。 1月下旬からは大穂店、学園店、イーアスつくばスタイル店、守谷テラス店、千代田店を加え6店舗で展開中。「昨年販売した店ではお客様が覚えていてくださり、今年もバレンタイン前から問い合わせが相次ぎ、リピーターやまとめ買いの方もおられた」と、カスミ地域商品開発部の神林都さん。 「これをきっかけにバレンタインだけに終わらせず、手みやげやプレゼントなどにも利用していただき、茨城やつくばをアピールできる商品として長期的に育てていきたい」と、田野島さんは展望する。

土浦の雛まつり始まる 立春の城下町が色とりどりに

【伊藤悦子】第16回土浦の雛(ひな)まつり( 土浦市観光協会主催)が立春の4日、同市中央1丁目の土浦まちかど蔵「野村」「大徳」をメーンに市街地の商店や飲食店128軒で開幕した。両会場をはじめ、周辺の店舗のひな人形たちを紹介する。 まちかど蔵「野村」(中央1丁目) まちかど蔵「野村」は、交通安全ひなまつり番所だ。ひな人形たちが「飛び出すな!人も車も自転車も」などと書かれた小さなプラカードを持って、交通安全を呼び掛ける。野村では車の運転に欠かせない反射神経を調べるゲームや、酒酔い疑似体験できるコーナーもある。 野村に飾られた色とりどりのつるしびなを作ったのは、神立史子さん(93)。ひなまつりのために真鍋新町から三輪車タイプの自転車に乗って自作のつるしびなを届けにきた。52歳で小学校教師を退職して以来40年、つるしびなを作り続けている。神立さんは「ひとつずつ本を見ながら作っています。皆さんに喜んでいただければ」と笑顔で話した。 まちかど蔵「大徳」(中央1丁目) まちかど蔵「大徳」1階には江戸時代の人形師、仲秀英(なか・しゅうえい)作の貴重なひな人形が展示されている。犬の狆(ちん)を連れた官女がいるのもおもしろい。 2階には、たくさんお手作りのつるし雛や創作雛が華やかに並ぶ。土浦市出身の大相撲、高安関から寄贈された浴衣で作った珍しい人形もある。人形の作者は土浦市観光協会の川﨑久美子さん。「縁起がいいと聞いたのでたぬきにまつわる人形もたくさん作った」と話す。毎年いろいろな人形を制作しているという。 尾張屋(中央1丁目) 尾張屋は、昭和6年(1931)創業の仏壇や家具制作の木工会社。昭和初期のひな人形や知人から譲り受けたという江戸時代のひな人形が目を引く。緋毛氈(ひもうせん)も江戸時代のものだ。 木工会社らしく、木のひな人形も並ぶ。「木工屋なので木のおひなさまがあってもいいのでは」と、10年前につげの一本彫りのひな人形を作った。「地元の方に喜んでもらいたい」という思いで作ったという。 とりでや化粧品(川口1丁目) とりでや化粧品は創業50年の化粧品屋。昭和の御殿作りのひな人形と、大正時代のひな人形がたくさんの化粧品と一緒に並ぶ。ひな人形はどちらも従業員の実家にあったものだという。見比べると時代によるひな人形の表情の違いもわかる。(組写真下段中央) 中西はきもの店(中央2丁目) 創業100年以上の中西はきもの店。女の子が生まれるたびに親戚や同業者から人形の贈り物があったため、たくさんの人形が残っているそうだ。ショーウインドーには大正時代や明治時代のひな人形がずらり。(組写真右上) 店内には舌きり雀など日本の昔話のワンシーンを再現した人形も並ぶ。日本の昔話を再現した人形たちもある。 お茶のせこ沢(土浦市大和町7丁目) 店内に飾られた色とりどりのつるしびなや手まりなど、すべて知人の手作り。ちりめんの押絵ひな人形は、ちりめんの染色から手掛けたものだという。(組写真左上) 福祉の店ポプラ中央店(中央1丁目) 同店は、社会福祉施設などで障害者が作った作品を販売しているお店。レトロな建物が特徴。1階には、愛媛や兵庫、長野など日本各地のおひなさまが展示(組写真左下)されている。人形好きな人が集めていたものだという。地方による違いを見るのもおもしろい。出身地のひな人形があるかも? カフェ胡桃(中央1丁目) カフェ胡桃は自宅をリフォームした小さな喫茶店。ひな人形はオーナーの実家にあった70年前のもの(組写真右下)。びょうぶに貼られた色紙や短冊はオーナーの亡母が書いたものだそうだ。ぼんぼりの灯りが幻想的な雰囲気だ。 まつりは3月3日まで。時間は午前10時~午後4時。  

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笑顔になるカヌー体験 土浦ラクスマリーナ、土日限定の予約プラン

【田中めぐみ】緊急事態宣言の全面解除を受け、子どもたちに少しでも笑顔になってほしい―と土浦港にあるラクスマリーナ(土浦市川口)がカヌー体験プランの提供を始めた。受付の換気やパーテーション、手指の消毒など感染対策を徹底し、5月から11月までの毎週土曜日と日曜日に実施する。 体験時間は漕ぎ方の練習を含めて1回45分。密集を避けるために1回につき3家族までの完全予約制となる。料金は子ども500円、大人800円(保険料、税込み)。足湯やシャワーもあり無料で利用できる。 ラクスマリーナでは2005年から年に4回「誰でも楽しもう霞ケ浦」(セイラビリティー土浦主催)という乗船体験イベントを開催してきた。障害の有無や年齢にかかわらず霞ケ浦に親しんでもらうことを目的としており、参加者はカヌーやカッターボートなどさまざまな種類の船に試乗できる。親子連れを中心に人気を集め、昨年5月の同イベントには約270人が参加。今年5月にも61回目の開催が予定されていたが、新型コロナの影響で中止せざるを得なくなった。7月、10月に予定されている同イベントも開催できるか見通しがたたないため、代わりとして少人数制のカヌー体験プランを企画したという。 「誰でも楽しもう霞ヶ浦」でカヌーの講習を受ける子どもたち=同 同社の秋元昭臣専務は「子どもたちに少しでも元気になってほしい。カヌーに乗ることで霞ケ浦に興味を持つきっかけになれば。自分たちが飲んでいる水の水源でもあるのだから」と話す。 カヌー体験だけでは物足りない人に、追加料金500円でエンジン付きゴムボートに試乗できるオプションも準備。また、お弁当を持参すれば、体験の前後に施設内の芝生やテーブルを利用してピクニック気分も味わえるという。施設利用料が別途必要となるが、バーベキューやキャンプをしたり、レンタサイクルでりんりんロードを巡ったりするのもお勧めだという。

保育ボランティア89人の個人情報 つくば市が誤送信

つくば市は27日、幼児を対象にした家庭教育学級の保育ボランティア89人の氏名、性別などの個人情報を、誤って国等の18研究機関に電子メールで送信し、個人情報を漏えいしてしまったと発表した。 同市教育局生涯学習推進課によると、研究者が小中学校などで出前授業をする「科学出前レクチャー」について、市内18の研究機関に対し4月10日午後3時ごろ、講師となる研究者がボランティア保険などに加入するための書式を、電子メールで送信したところ、過去に使用した別の事業である家庭教育学級保育ボランティアの情報が、非表示状態で残っていた。 5月26日午前10時ごろ、1研究機関の担当者から「個人情報のデータが入っていた」と電話連絡があり、漏えいが分かった。発覚後、18機関に連絡し削除を依頼した。17機関は個人情報が含まれていたことに気付かなかったという。 漏洩したのは、保育ボランティアを2019年度に実施したうちの89人の氏名と性別。一部についてはメールアドレス、生年月日、郵便番号も記載されていた。同市は27日までに89人に電話連絡し謝罪した。 再発防止対策として市は、今後は、データを送付する際は新規に作成した書式を使用し余分なデータが含まれないようにする、データを送信する際は職員2人以上がチェックするとしている。

《ひょうたんの眼》27 三密を避ける新しい生活とは

【コラム・高橋恵一】新型コロナウイルス感染症の拡大対策のため、小池都知事が隣接県の知事に呼び掛けた。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県による首都圏知事の対策会議である。このニュースに違和感を覚えた。茨城、栃木、群馬が入らないで、山梨が首都圏か? 問題の本質から外れるが、茨城県人としては心穏やかではない。ちなみに、東京駅あるいは皇居を中心に同心円を描くと、一番遠いのが山梨県である。 話を感染対策に戻すと、大都市の隣接県で危険なのは、通勤電車の混雑である。東京一極集中の象徴で、三密の極みであろう。大体、ウイルス感染以前に、ラッシュ時の密着度はもともと異常なのだ。座ることも出来ず、下手すると痴漢のえん罪も受けかねない。輸送態勢の強化・改善、時差出勤の徹底、職場の郊外移転、勤務時間の短縮―。日本人の年間労働時間をヨーロッパ並みにすることだ。 次は、学校だ。1学級の定数を減らす。小学校だと、15人ぐらいが最良だと聞いた。さらに、児童生徒を、過重な受験勉強から解放してあげられないか。小学生がなぜ満員電車やバスで通学しなくてはならないのか。義務教育期間に、児童生徒が身につけなくてはならない学力はどれだけなのか。 受験のためだけの知識・技術は、その後の社会人として必要な知識なのか。絵画や音楽を楽しむことが主体の部活ではいけないのか。スポーツも楽しむ程度ではいけないのか。日本語の豊かさは、スポーツで「勝負」と言わずに「試合」という。金メダルだけが価値があるような風潮は疑問だ。 医療介護体制整備が喫緊の課題 それにしても、三密を避けるのが感染症対策の基本なのだろうか。親子・家族の関係は、会話と接触抜きに成り立たないだろう。友人関係だってある意味三密が無ければ、空々しいものになる。

使いこなしへ踏み出そう 孤立する在宅高齢者の情報化支援 つくば

【池田充雄】新型コロナウイルスの感染拡大で、社会全体がリモートワークに移行する中、取り残されつつあるのが情報弱者である高齢者たちだ。高齢者の社会活動を支援する市民活動団体「UDワーク」(つくば市大角豆)は、シニア支援型オンラインサロンの開設プロジェクトにクラウドファンディングを立ち上げ、26日までに第一目標金額の100万円を達成した。 オンラインサロン体験会を開催 外出自粛が求められ、地域活動などが軒並み中止に追い込まれるなか、特に独居高齢者を取り巻く環境は厳しさを増した。感染リスクを恐れて介護保険サービスなどの利用を控え、家族との行き来も極力減らし、孤立した生活が続いている。このままでは体力や認知機能の低下など、健康を損ねる懸念が大きい。UDワーク代表の前田亮一さん(43)は、スマートォンやタブレットなどの情報端末こそが、孤立しがちな独居高齢者の新しい命綱になると訴える。 「操作が難しい」「費用が高額では」という思い込みから、高齢者はこれらの機器を遠ざけがちだが、はじめの一歩を踏み出さない限り、情報弱者の状況は改善されないと考えている。 一番の難点が初期設定の大変さだ。販売店によるサービスもあるが、見ず知らずの人に教えてもらうのは高齢者にはストレスが大きく、やはり家族や身近な人の手助けが必要になる。家族が遠方にいるとか感染防止のため来られない場合は、普段から交流のあるデイサービス、ホームヘルパー、訪問リハビリ等のスタッフがサポートしたい。「今は災害時と同じ。制限ある中でやれることを考え、動ける人が動くことが重要」と前田さんは提言する。 アプリの設定まで済ませて高齢者に渡し、利用する手軽さや楽しさを味わってもらえれば、後は自然に操作にも親しめるようになるという。