月曜日, 7月 4, 2022
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中尾隆友

TSMCの拠点設立は大チャンス 《茨城の創生を考える》18

【コラム・中尾隆友】20世紀で最も重要な資源は石油だったが、21世紀ではデータが石油に取って代わるといわれている。人工知能(AI)がビッグデータを分析して、価値ある情報を抽出する仕組みが経済活動の主流となるのだ。 経済・社会のデジタル化が進み、データの価値が各々の国々の競争力を左右する時代では、AIを動かすための半導体の需要が爆発的に増えていくのが間違いない。それと並行して、半導体の絶え間ない性能向上が求められていくだろう。 世界の半導体産業では現在、台湾のTSMCとオランダのASMLが飛び抜けた技術力を持つ。残念ながら、日本でも米国でも両社の技術力に肉薄できる企業は存在しない。半導体企業の関係者によれば、日本企業が両社に技術的に追いつくことは不可能ということだ。 日本の半導体産業を強化するためには、国が潤沢な補助金を支給できる制度をつくらなければならない。米国では今年1月に半導体メーカーを強化する法律が制定され、TSMCがアリゾナ州につくる工場建設に30億ドルを補助することが決まっているのだ。 国・県・市と「ウィンウィン」の関係に 半導体産業を強化するという議論もない、日本の対応は遅すぎる。そのような状況下で、世界最大手のTSMCがつくば市に日本初となる研究開発拠点を設けるという意味は大きい。茨城県とつくば市は国と協力して、早急にTSMCとの向き合い方を考える必要があるだろう。

《地方再生を考える》17 中小企業再編論と忍び寄るリスク

【コラム・中尾隆友】菅政権が日本の生産性を引き上げるために中小企業再編論を掲げている。ただし問題なのは、その手段にある。菅政権は最低賃金の大幅な引き上げを通じて、中小・零細企業を次々と淘汰していく考えを持っているからだ。実際に菅首相は最低賃金の引き上げについて、ことあるごとに「5%程度を目指す必要がある」と述べている。 最低賃金が低いから経営が成り立っているような中小零細企業は淘汰されるべきだ。中小・零細企業の淘汰が進めば、日本の生産性は上がるはずだ。菅政権の中小企業再編論は、そういった論理で成り立っている。 これは少し考えればわかることだが、この考え方では「中小零細企業の経営者がやる気を出せば生産性を高められる」と言っているのと何ら変わりがない。精神論の類に近いといわざるをえず、論理的に破綻している。 たとえば、最低賃金を毎年5%ずつ引き上げていくと、5年で1.28倍に、10年で1.63倍になる。ということは、現在の最低賃金(全国平均902円)は3年後に1000円を突破し、5年目に1100円、10年目に1400円を超える。 その帰結として、地方でアルバイトやパートで成り立っている零細企業の大半は、雇用を保って赤字経営が慢性化するか、雇用を削って縮小均衡を図るか、倒産・廃業をするか―主に3つの選択を迫られることになる。 大半の零細企業は淘汰される可能性が高い。そのときに真っ先に失業に追い込まれるのは、低賃金だからこそ仕事にありつける、特別なスキルを持たない人々だ。最低賃金の無理な引き上げは、最も社会が助けなければならない人々をさらなる窮地に陥らせてしまうわけだ。

《茨城の創生を考える》16 茨城は対外アピール力を磨くべき

【コラム・中尾隆友】昨年、茨城県議会が茨城空港の名称を「北東京空港」に変更することを提案したが、多くの県民がこの名称に疑問を持ったことだろう。非常に浅はかな名称変更案だったと思うのは、名称に茨城の特色が表れていないばかりか、東京への距離の近さだけを謳(うた)ったものだったからだ。 最終的には専門家の意見を聞いたうえで、「茨城空港」の名称を継続することとし、英語名では「東京首都・茨城空港」「東京北空港」「首都茨城空港」などとする折衷案が出されたが、いかにもお粗末なドタバタ劇だったと思う。 県議会には失望している。提案する前に最低限やるべきことをやっていないからだ。マーケティングでデータを揃えてから、茨城の強みは何かを考えるという発想があった方がよかった。 県や各自治体のPR能力が問われる 東京への近さをアピールしたかったのは、魅力度ランキングで全国最下位だというコンプレックスから来ているのかもしれない。以前も申し上げたように、茨城県の魅力度が低い理由として、経済性や居住性が優れているため、魅力度を磨く必要性に迫られていなかったという点が挙げられる。 人々はさしたる定義がないなかで「魅力度」と問われると、まず自分が観光地として行きたいところはどこか、といったことを思い浮かべる。茨城にも牛久大仏や袋田の滝といった観光スポットは存在するが、これらは茨城のイメージを決定づけるほどの強いイメージを持っていない。

《茨城の創生を考える》15 新型コロナを機に企業も変わるべき

【コラム・中尾隆友】新型コロナウィルスの感染拡大について、様々なメディアが心の暗くなるような報道ばかりをしている。しかし私は、茨城の企業が今回の出来事をバネにして、大きなチャンスをものにするように願っている。というのも、「テレワーク」という働き方が本格的に普及する環境になってきているからだ。 テレワークは日本の生産性を大幅に引き上げるポテンシャルを秘めている。日本の会社員にとって毎日の「通勤」は「痛勤」と揶揄(やゆ)されるほど肉体的または時間的な負担が大きいので、その負担をなくせるだけでも効果が大きいはずだからだ。 東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県と呼ばれるエリアの会社員は、毎日、満員電車や満員バスに押し込まれ、往復の長い移動だけで疲弊してしまっているが、茨城でも常磐線やTXで東京や千葉に通勤している会社員がいるし、圧倒的に多い車による通勤も決して楽ではない。 ところが、テレワークが一般的な働き方となった場合、毎日の通勤で体力を消耗することもなく、最初から仕事に集中できるようになる。仕事にあたる集中力を高めることができれば、業務の効率性は想定を超えて上がり、だらだらと長時間労働をする必要もなくなっていく。 これまで毎日の通勤にあてている体力と時間をすべて仕事に振り向けることができれば、どれだけの効果がもたらされるのか、想像してみてほしい。 テレワーク拡充で生産性をアップ

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TX延伸論議に見る つくば市の狭い視野 《吾妻カガミ》136

【コラム・坂本栄】茨城県がTX県内延伸の4方向案(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)を示したことで、その線上・目標に位置する自治体が自分たちの所へと誘致に乗り出し、地元の政治家も加わって騒々しくなっています。しかし筑波山を抱えるつくば市は、TXの終始点であることに満足しているのか、特に動いておりません。 ポイントはどこで常磐線にクロスさせるか 茨城空港、水戸、土浦の各方向誘致については、「TX石岡延伸推進協議会」、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」、「TX土浦延伸を実現する会」が立ち上がりました。土浦の様子は記事「TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗」(6月12日掲載)をご覧ください。 茨城空港、水戸、土浦への延伸ラインはもちろん別々です。しかし、石岡、水戸、土浦の主張は「空港まで延ばせ」と言っている点では共通しています。水戸の場合、まず空港まで延ばし、さらに空港→水戸を要求していますが、石岡と土浦は「うちの市内で常磐線と交差させ、空港まで延ばせ」と言っているからです。 水戸が、空港→水戸は後回しにし、常磐線で交差する駅→水戸駅(TXの一部JR乗り入れ、残りは茨城空港直通)を受け入れれば、ポイントは「どこでJR常磐線にクロスさせるか(つくば駅と空港を直線で結ぶと高浜駅のちょっと北=石岡市内=で交差)」になります。 TX県内延伸=研究学園と茨城空港の連結

斎藤さだむさんのつくばセンタービル地肌空間など 3年ぶり「写真工房」写真展

つくば市を拠点に活動する写真サークル「写真工房」(太原雍彦会長)の「2022写真工房写真展vol.19+(プラス)」が、同市吾妻のつくば市民ギャラリーで開かれている。 顧問を務める同市在住の写真家、斎藤さだむさん(73)が、つくばセンタービル1階改修工事の過程で露わになった地肌空間を撮影した写真15点を展示するなど、会員ら11人が思い思いのテーマで撮影した写真計約110点が展示されている。新型コロナの影響で3年ぶりの開催となった。 写真工房は、同市主催の写真講座に参加した有志が2002年に結成し、20年になる。会員は約15人で、毎月1回例会を開いているほか、年2回撮影会に出掛けるなどしている。 斎藤さんのつくばセンタービル地肌空間は「史(ふみ)のあかし」と題した作品だ。第3セクター「つくばまちなかデザイン」による改修過程で、骨組みの状態に戻ったつくばセンタービルの、曲線を描く天井のコンクリート地肌や、象形文字が記されているのかと見まごう太い円柱の柱の地肌などを撮影している。「地肌空間を行き来し、40年という時間に思いをはせながら撮影した」という。 写真工房の写真展の様子 会員の藤澤裕子さんは、自宅の庭に咲くヒルザキツキミソウの花や、セミの抜け殻、カブトムシの幼虫などを撮影し、写真を重ねたり、反転させたりした作品10点を展示している。「日常見る庭の植物や昆虫を、非日常的な植物や昆虫として作品化した」。

ウクライナのニュース 《くずかごの唄》111

【コラム・奥井登美子】 「毎日、ウクライナのニュースを見ていると、僕はどういうわけか、丸木さんがあのニュースを見て何を言われるか、知りたいと痛切に思うようになってしまった」 「ご夫婦で原発の絵を担いで、世界中を行脚して回っていらしたわね。ウクライナはいらしたのかしら?」 「さあわからない…。2人とも、人類の悲劇を実際に見て、絵にしたんだもの、すごい人だよ。昔、位里さんと俊さんが、2人でうちへ来てくれた日のことも、つい、昨日のように思い出してしまう」 土浦市の奥井薬局の2階で、「丸木位里(いり)・俊(とし)展」をやったことがあった。250人もの人が駆けつけてくれて、盛況だった。お2人は我が家に泊まって、おしゃべりして、家のふすまが白いのを見て、刷毛(はけ)と墨汁(ぼくじゅう)を使って、大きな絵を描いてくださった。 生前葬やったの、覚えている?

臭いやアルコール対策示すも反発の声相次ぐ つくば洞峰公園事業で県の説明会

つくば市二の宮にある茨城県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)で進められるリニューアル計画で、県は2日、同市竹園のつくば国際会議場で説明会を開いた。県と事業者による初の説明会。つくば市から懸念の声が出ていたグランピング施設とバーベキュー(BBQ)施設の臭いやアルコール対策について、県と事業者から対策が示されたが、参加した市民からは「洞峰公園を変える必要はない」など反発の声が相次いだ。つくば市民を中心に約150人が詰めかけ、県の説明に対し、会場からは厳しい反応が相次いだ。 臭いやアルコール対策について、パークPFI事業者「洞峰わくわく創造グループ」代表の長大が計画の一部見直し案を示した。①BBQ施設を当初計画していた冒険広場から、グランピング施設を整備する野球場中央に移す②炭焼きBBQは取り止め、煙が出ないガスグリルに変更する③深夜は管理人がおらず無人になる計画だったが、グランピングエリアの管理棟に24時間、管理人を常駐させる④夜9時以降はサイレントタイムとし騒いでいる人がいたら管理人が対応する⑤グランピング施設の周囲に目隠しとなる木製の柵を設け、景観に配慮する⑥南側駐車場の拡張(127台分)は、駐車台数を減らすことも含め、樹木をなるべく伐採しないよう計画を再検討するーなど。 一方、県は、公園全体が変わってしまうわけではないこと、パークPFI事業によって県が支出している指定管理料を年間6000万円削減でき、年平均8000万円かかる体育館やプールの大規模修繕を計画的に行える見通しが立ことなどを強調した。 収支計画の開示要求に答えず これに対し参加した市民からは、グランピング施設を収益事業の柱と位置付ける計画について、収支計画の開示を要求する意見が複数出された。長大が「民間事業者として、ノウハウも含めて収支計画は出すことができない」と答えると、会場から「これでは市民は計画の妥当性を判断できないではないか」など非難の声が投げかけられた。今回の目的の一つである、老朽化する体育館やプールの改修計画についても、収支計画を公開するよう求める声が出た。これに対し、県が公開時期を明確にできなかったことから、怒声が飛び交った。 絶滅危惧種など希少動植物が生息していることが市民から指摘された問題について県は、市民の意見を踏まえつつ、今後の対応を検討したいと答えるにとどまった。