日曜日, 12月 4, 2022
ホーム コラム 地方の企業が絶対にやってはいけないこと 《地方創生を考える》23

地方の企業が絶対にやってはいけないこと 《地方創生を考える》23

【コラム・中尾隆友】先日、つくば市において、近隣の企業経営者や市町村幹部の方々に対して、「2020年代における企業の経営戦略」という題目で講演をさせていただいた。要約すると、以下の通りとなる。

これから、日本には3つの大きな波、すなわち、「人口減少」「デジタル化」「脱炭素化」の波が訪れる。

1つ目の人口減少については、日本の2045年の人口は2015年と比べて16.2パーセント減少するのに対して、茨城県は23.4パーセント減少とかなり大きい。TX(つくばエクスプレス)沿線を中心に人口が増える県南地域と、人口が激減する県北地域の、2極化が進む見通しだ。人口減にどう対応していけばいいのか? 今から考えておく必要がある。

2つ目に、日本では人手不足が進む中で、デジタル化によって効率性を上げなければならない。しかし地方は、大都市圏よりも中小零細企業の割合が多く、デジタル化が遅れがちだ。企業の商品・サービスの商圏を広げる上でも、地方の企業こそ創意工夫をしてデジタル化を進めるべきだ。

3つ目の脱炭素化は、環境にとって必要不可欠だが、企業にとっては大きな負担となる。特に日本は、脱炭素化の国際的ルール作りにうまく関わることができていないので、長期的に見て、国際競争で不利になる可能性が高い。加えて、脱炭素化に関連する法律や商慣習が固まってくるのはまだ先のことで、不確実性が大きい。

自分が成長できるか」「やりがいがあるか」

これら3つの流れを踏まえた上で、経営者が最もやってはいけないのは、根性や気合いといった、マンパワーに依存することだ。従業員が疲弊し、採用ができなくなってしまうからだ。地方ではこの手の経営が多いので注意が必要だ。

とりわけ、今の若者は、仕事に対して「自分が成長できるか」「やりがいがあるか」を重視する。優秀な人材ほど、この傾向が強い。その意味では、若者に仕事の裁量権をある程度与えたうえで、モチベーションを引き上げたり、下からの意見を吸い上げたりする仕組みをつくることが求められる。

近年、野村ホールディングスや電通といった業界最大手の企業でさえ、マンパワー依存の経営に頼り過ぎたために、危機の一歩手前まで追い込まれた。企業の価値は「最後は人」になる。経営者にとって重要なのは、国や自治体のアシストを受けながら、デジタル化が進んでも職を失わない、スキルを持つ人材を育てることだ。(経営アドバイザー)

2 コメント

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

ウクライナの動物支援 愛護団体呼びかけ つくばでチャリティーライブ

戦禍のウクライナの動物を支援する「クリスマス・チャリティー・ジャズライブ」が18日、つくば市春日の積水ハウスつくば支店で開かれる。演奏は、松戸市在住のジャズピアニスト、竜野みち子さんとベース、ドラムのトリオで、クリスマスソングや誰もが知っているジャズの名曲などが披露される。 竜野さんは主に東京、横浜を中心に演奏活動をしているが、カリブ海のハイチやカナダのモントリオールジャズフェスティバルへの参加など、国外での演奏も経験している実力派だ。 ライブを主催するのは、つくば市を拠点に保護猫の譲渡活動やTNR(捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元に戻す)活動を行っている動物愛護団体「Team.(チーム)ホーリーキャット」(2019年7月17日付)。 ロシアによる2月の軍事侵攻以降、ウクライナでは国民はもちろん、多くの動物が窮地に立たされている。国外脱出を余儀なくされた住民たちはペットをなんとか一緒に連れ出そうとしたが、多くの動物が残されているという。 代表の重松聖子さん(74)は東日本大震災が起きた2011年の10月、福島第一原発に近い警戒区域で置き去りにされた猫の救出作業を行った。ウクライナの惨状に、避難指示が出されて住む人のいない家で猫たちのむくろを見たことが思い出された。またウクライナの首都にあるキーウ動物園の餌がないという報道にも心を痛めた。 竜野さんは震災以降、被災地で動物たちの命をつなぐ活動を続けているグループを音楽活動を通して支援している。4年前、自宅近くの神社に住み着いた野良猫たちが地域猫として暮らせるよう、ホーリーキャットにTNR活動を依頼したことで、重松さんたちメンバーと親交を深めた。この出会いがつくばでのチャリティーライブ開催に結びついた。

頑張ろうとすると嫌なことが起こる 《続・気軽にSOS》122

【コラム・浅井和幸】あることがきっかけで、部屋に引きこもるようになった。このままではだめだと思い、がんばって外に出るようにした。あるとき、コンビニで買い物をしていたら、店員に嫌な目つきでにらまれた。もう外には出たくない。 頑張って仕事を始めたら、嫌な客にクレームをつけられた。一念発起してサイクリングを始めたら、自転車がパンクした。バイトを始めたら、体調を崩した。がんばって本を読もうとしたら、道路工事が始まった。 これらは実際に相談に来られた方が話してくれた事柄です。そして共通に言います。「自分は何かを頑張って始めようとすると、必ず邪魔なことが起こる。頑張ると嫌なことが起こるのはどうしてなのか。もうこんな人生嫌だ」 何か行動を起こしても起こさなくても、起こる嫌なこともあります。例えば、道路工事の開始はそれに当たるかもしれません。しかし、ほとんどのことは「頑張るから起こる嫌なこと」なのです。 この場合、「頑張る」とは、行動範囲を広げること、何かに挑戦することです。行動範囲が広がれば、その分、うれしいことも嫌なことも起こる可能性が高くなります。そもそも、頑張れば嫌なことがなくなると思うのが現実的ではないのです。 似たようなことで、能力が上がれば上がるほど、分からないことが増えていくという現象も起こります。能力が低いときは、自分が分からないことが分かっていません。しかし能力が上がり、世界が広がると、知識が増えるのと同時に、自分が知らないこと、分からないことが、より多く実感できるようになります。

初の無投票当選で3現職 県議選土浦市区

任期満了に伴う県議選は2日告示され、土浦市区(定数3)は午後5時までに現職3人以外に立候補の届け出がなく、3人の当選が無投票で確定した。同市区の無投票当選は初めて。 当選が確定したのは▽公明現職で党県本部幹事長の八島功男(66)▽自民現職で歯科医師の高橋直子(38)▽自民現職で県議会議長の伊沢勝徳(52)の3氏。 このうち県議会議長として6期目に挑んだ伊沢氏の陣営では、届け出締め切りの夕方5時に出陣式を繰り下げ、当選確定を待って祝勝会に切り替えて行った。会場の同市内のホテルには国光文乃衆院議員、安藤真理子土浦市長ら来賓と支援者が駆けつけ、「伊沢氏の実績が新しい候補者を寄せ付けなかった」などと口々に称えた。 伊沢氏は「4年間、党の政調会長から副議長、予算委員長、そして議長と役職に恵まれたが、新型コロナ感染症対策をはじめとする県政の課題に速やかな対応を迫られた。(無投票当選の)今回は極めて重い議席をいただいと思う。この信任を受け止め、さらに県勢、市勢の発展に尽くしたい」とあいさつした。 無投票で当選が決まった土浦市区の県議(定数3)

日本財団つくば研究所跡地に来年1月開所 県が臨時の医療施設

新型コロナ第8波に備え 新型コロナの第8波に備えた対策の一つとして県が11月に設置を発表していた臨時の医療施設について、大井川和彦知事は1日の定例記者会見で、つくば市南原に臨時の医療施設を設置すると発表した。日本財団つくば研究所跡地で、同財団から無償で土地の貸与を受ける。 入院規模は200床程度、酸素投与や点滴が必要な人、医療対応と介護が必要な人などが対象になる。併せて1日当たり約300人の新型コロナとインフルエンザの同時検査ができる発熱外来を併設する。年末年始の感染拡大を見据え、来年1月上旬の開所を目指す。トレーラーハウスを連結させた平屋建ての施設で、車いす利用者も対応できるようバリアフリーになる。 医療施設には医師、看護師、介護士を配置する。医師や看護師は主に県外から募集している最中という。現在のコロナ入院患者は大半が高齢者。例えば、のどの痛みで食事がとれないため、酸素投与や点滴が必要だったり、介護が必要な中等症の高齢者などを想定しているという。 第8波は、第7波の2倍以上の新規感染者が出ると予想され、インフルエンザとの同時流行により1日最大1万9000人の感染者が想定されている。県内では第7波の際、病床がひっ迫したことから、臨時の医療施設を新たに設置して備える。 同つくば研究所跡地は、2020年4月、日本財団が9000床の軽症者向け病床を整備すると発表し、地元の五十嵐立青市長が受け入れに難色を示した経緯がある。今回、県が設置する約200床の臨時の医療施設について県感染症対策課は、すでにつくば市や地元関係者には伝えてあるとしている。