木曜日, 3月 28, 2024
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茗渓の学園運営に磨き TX駅南移転は29年 《吾妻カガミ》170

【コラム・坂本栄】日本自動車研究所(JARI)の未利用地(TX研究学園駅南側)売却は、売り手=JARI、買い手=大和ハウス工業、主な活用者=茗渓学園学校の3者にとって好ましい、WIN-WIN-WINの形になりました。今やつくば市の中心区になった研究学園駅周辺は、北側の商業ゾーンに加え、南側の開発も進むことで、一層にぎわいそうです。 人材育成と中高一貫が一致 記事「…自動車研用地に茗渓学園が移転へ …研究学園駅南側、大和ハウスが開発」(10月20日掲載)にもあるように、広い土地の売却は「公募型プロポーザル」で行われました。取得希望企業の提示価格(配点500)と事業計画(配点500)を採点し、合計点が一番高い企業に売却する方式です。JARIは、「高く売りたい」だけでなく、「どう使われるか」も重視したわけです。 公募要領には「環境配慮、産業発展、人材育成…を意識した取り組み…」と記載し、応募企業に学園都市にマッチする事業計画を提出するよう求めました。結果は、計画に「中高一貫校」を盛り込んだ大和ハウスが897点と、805点の2位企業、783点の3位企業を大きく引き離しました。JARIと同社の考え方が合致したと言え、WIN-WINです。 話があったのは今年の3月 大和ハウスの計画では、取得用地の30%弱が「中高一貫校」に割り当てられ、「人材育成」が事業計画の目玉になっています。同社は、その学校として私立の茗渓学園(つくば市稲荷前、学生数1526人、1979年創立)に狙いを定め、水面下で話を進めてきました。 茗渓学園の宮崎淳校長・理事によると、この件が大和ハウスから提案されたのは今年3月でした。「それまでは、創立70周年に向け、現在地に新しい施設を造り、体育館に冷暖房を入れるといった、長期計画を立てていた」。思わぬ話に上層部は驚いたそうですが、今では「茗渓にとって駅南移転は大きなプラス」とのコンセンサスができています。 大和ハウスのスケジュールでは、売買契約=2023年11月、受け渡し=23年12月、商業施設完成=26年夏、マンション完成=28年初、中高一貫校完成=28年初となっていますから、28年4月のTX駅南開校(学園移転)が可能です。しかし、今の中学1年生の通学先が途中で変わらないよう、駅南開校=29年(創立50周年)春を考えているそうです。 強力な筑波大&経済界人脈 茗渓学園は、筑波大学とその前身の東京教育大学のOB会「茗渓会」によって設立されました。14人の理事の中には筑波大の現・元教授が3人います。経済界との関係も強く、現理事長は中川喜久治氏(中川ヒューム管工業社長、土浦商工会議所会頭)です。理事には関正樹氏(つくば市に本社機能がある関彰商事の社長)も名を連ねています。前理事長は常陽銀行頭取を務めた西野虎之介氏(東教大OB、故人)でした。 こういった強力な筑波大&経済界人脈を背景に、茗渓学園は駅南移転を機に大化けし、3者中1番のWINNERになるかもしれません。 現在の生徒概要は、▼県外から32%/県内から68%(つくば市内39%)▼帰国子女約300人▼留学生約40人▼寄宿舎利用者約230人▼海外大合格者約120人(累計)―ですが、TX駅南への移転によって首都圏からの生徒が増え、「入口も出口も海外」(宮崎校長)という学園の特性に磨きがかかると予想されるからです。(経済ジャーナリスト) <駅南開発模型の説明> ▽左の模型:斜めに通る道路の左上はマンション区。道路の右上が中高一貫校区。道路の下は商業施設区と研究施設区。一番下は物流倉庫区。 ▽右の模型:中高一貫校区を拡大。ブルーは学校棟や寄宿舎など建物。グリーンはラグビー場など校庭。

茗渓の学園運営に磨き TX駅南移転は29年《吾妻カガミ》170

【コラム・坂本栄】日本自動車研究所(JARI)の未利用地(TX研究学園駅南側)売却は、売り手=JARI、買い手=大和ハウス工業、主な活用者=茗渓学園学校の3者にとって好ましい、WIN-WIN-WINの形になりました。今やつくば市の中心区になった研究学園駅周辺は、北側の商業ゾーンに加え、南側の開発も進むことで、一層にぎわいそうです。 人材育成と中高一貫が一致 記事「…自動車研用地に茗渓学園が移転へ …研究学園駅南側、大和ハウスが開発」(10月20日掲載)にもあるように、広い土地の売却は「公募型プロポーザル」で行われました。取得希望企業の提示価格(配点500)と事業計画(配点500)を採点し、合計点が一番高い企業に売却する方式です。JARIは、「高く売りたい」だけでなく、「どう使われるか」も重視したわけです。 公募要領には「環境配慮、産業発展、人材育成…を意識した取り組み…」と記載し、応募企業に学園都市にマッチする事業計画を提出するよう求めました。結果は、計画に「中高一貫校」を盛り込んだ大和ハウスが897点と、805点の2位企業、783点の3位企業を大きく引き離しました。JARIと同社の考え方が合致したと言え、WIN-WINです。 話があったのは今年の3月 大和ハウスの計画では、取得用地の30%弱が「中高一貫校」に割り当てられ、「人材育成」が事業計画の目玉になっています。同社は、その学校として私立の茗渓学園(つくば市稲荷前、学生数1526人、1979年創立)に狙いを定め、水面下で話を進めてきました。 茗渓学園の宮崎淳校長・理事によると、この件が大和ハウスから提案されたのは今年3月でした。「それまでは、創立70周年に向け、現在地に新しい施設を造り、体育館に冷暖房を入れるといった、長期計画を立てていた」。思わぬ話に上層部は驚いたそうですが、今では「茗渓にとって駅南移転は大きなプラス」とのコンセンサスができています。 大和ハウスのスケジュールでは、売買契約=2023年11月、受け渡し=23年12月、商業施設完成=26年夏、マンション完成=28年初、中高一貫校完成=28年初となっていますから、28年4月のTX駅南開校(学園移転)が可能です。しかし、今の中学1年生の通学先が途中で変わらないよう、駅南開校=29年(創立50周年)春を考えているそうです。 強力な筑波大&経済界人脈 茗渓学園は、筑波大学とその前身の東京教育大学のOB会「茗渓会」によって設立されました。14人の理事の中には筑波大の現・元教授が3人います。経済界との関係も強く、現理事長は中川喜久治氏(中川ヒューム管工業社長、土浦商工会議所会頭)です。理事には関正樹氏(つくば市に本社機能がある関彰商事の社長)も名を連ねています。前理事長は常陽銀行頭取を務めた西野虎之介氏(東教大OB、故人)でした。 こういった強力な筑波大&経済界人脈を背景に、茗渓学園は駅南移転を機に大化けし、3者中1番のWINNERになるかもしれません。 現在の生徒概要は、▼県外から32%/県内から68%(つくば市内39%)▼帰国子女約300人▼留学生約40人▼寄宿舎利用者約230人▼海外大合格者約120人(累計)―ですが、TX駅南への移転によって首都圏からの生徒が増え、「入口も出口も海外」(宮崎校長)という学園の特性に磨きがかかると予想されるからです。(経済ジャーナリスト) <駅南開発模型の説明> ▽左の模型:斜めに通る道路の左上はマンション区。道路の右上が中高一貫校区。道路の下は商業施設区と研究施設区。一番下は物流倉庫区。 ▽右の模型:中高一貫校区を拡大。ブルーは学校棟や寄宿舎など建物。グリーンはラグビー場など校庭。

つくば自動車研用地に茗渓学園が移転へ TX研究学園駅南側、大和ハウスが開発

日本自動車研究所(JARI)がTX研究学園駅南側に保有している未利用地(つくば市学園南2丁目、15.5ヘクタール)の売却先が決まった(4月19日付)。公募型プロポーザル(事業提案による入札)で選ばれたのは、つくば市内で多角的に事業展開する大和ハウス工業(本社大阪市)。同社はこの一等地に茗渓学園学校(つくば市稲荷前)を誘致するほか、マンション、商業施設、研究施設などを建設する。 未利用地の取得価格は142億円 JARIが20日、公募に応じた3企業グループから提案された事業計画の審査結果を公表した。それによると、取得価格や提案計画などを総合的に審査した結果、大和ハウス・グループが1位だった。JARIが提示していた最低価格92億4000万円に対し、同社は142億円の取得価格を提示した。11月に売買契約が結ばれ、未利用地は12月に引き渡される。 JARIはTX研究学園駅の南側に80ヘクタールの土地を保有している。今回売却されるのは、敷地のほぼ中央を縦断する市道5-1711号線の右側にある未利用地。TX鉄道とエキスポ大通りに挟まれた場所にあり、どこがどう開発するか注目されていた。 中高学校+マンション+商業施設… 大和ハウスによると、開発のコンセプトは「活発」「学術」「加速」。具体的には、マンションで構成される居住区画、スーパーマーケットなどで構成される商業区画、中高一貫高などで構成される学術区画、先端研究施設などで構成される産業区画を設ける。総投資額は明らかにしていないが、用地取得代も含めると300~400億円になりそうだ。 土地の造成などを経て、2024年秋に建物の建設に入り、スーパーや運動ジムなどが入る商業施設は26年夏、中高層マンションは28年初の完成を目指す。用地の北・左側から南・右側に走る道路も計画されている。 TX駅前は便利で魅力的=茗渓学園 開発では「中高一貫校」が目玉になる。計画書に学校名は明記されていないが、中高一貫校の茗渓学園(現在の生徒数は1526人)を誘致する方向で話が進んでいる。 大和ハウスは、全体用地15.5ヘクタールの28%に相当する4.3ヘクタールを茗渓学園用に確保している。茗渓学園側も、TX駅側に移れば東京都や千葉県からの通学が容易になり、駅から徒歩で通えるのも魅力的と判断している。大和ハウスが用地を確保したことを踏まえ、近く、移転の可否を理事会と評議員会に諮る。 現在の茗渓学園は赤塚公園の西側、気象研究所の南側に位置し、開校は1979年4月。事務局によると、開校から45年ということもあり、建て替えも検討していたところ、大和ハウスからこの話が舞い込んだ。移転すると敷地は少し狭くなるが、学校棟の高層化により、寄宿舎やラグビー場などから成る施設は十分確保できそうだ。(岩田大志)

TX土浦駅接続計画 空港延長も再議論《吾妻カガミ》162

【コラム・坂本栄】茨城県の大井川和彦知事は6月下旬、現在つくば駅止まりのTXをJR常磐線土浦駅まで延ばしてもらい、これが実現した後、同駅から茨城空港につなぐことを議論してもらうという計画を発表しました。この中には土浦駅延伸に向けた3フェーズ(段階)も記載され、土浦駅接続&空港延長(?)が県の計画に位置付けられました。 延伸実現に向けた3段階の作戦 発表文TX県内延伸に係る方面決定についての結論部(いわば戦略目標と作戦要綱)を整理すると以下のようなことです。 ▼目標:常磐線土浦駅への接続を実現→その後に茨城空港延伸を議論 ▼フェーズ1(たたき台の作成):沿線開発による需要拡大策・費用削減方策、採算性が確保できるルート・事業のスキームなどを検討→関係機関との調整に向けて県の素案を策定 ▼フェーズ2(調整と磨き上げ):関係者との調整と追加調査→国交省・交通政策審議会答申に盛り込み ▼フェーズ3(計画の総仕上げ):関係都県や関係者と調整→路線計画・建設計画・事業計画を決定→TX運行会社などと共同して事業許可を取得 沿線開発→乗客増という好循環 私はコラム155「…土浦駅延伸 次の焦点は…」(4月17日掲載)や147「…延伸実現へのシナリオ」(2022年12月19日掲載)などで、茨城空港の首都圏第3国際空港化、研究学園都市の米ボストン化を想定して、TXを空港まで延ばすよう主張してきました。こういった声が県に届いたのか、戦略目標には空港延伸が余韻として残りました。 また155で「(第三者委員会の提言には)実現可能性が優先され地域開発の夢が見えない」(地元経済人)との声を紹介しましたが、フェーズ1に「沿線開発による需要拡大策・費用削減方策を検討」が入りました。記事「…『祝賀集会』…」(7月2日掲載)でも言及されているように、つくば駅―土浦駅間には新駅が2~3設置されるようですから、沿線開発→乗客増加という好循環が起き、県が心配する採算性はクリアされるでしょう。 延伸沿線開発では、現TX敷設の際に県土地開発公社とUR都市機構が沿線土地を分担して先行取得した先例に倣(なら)い、県、つくば市、土浦市の土地公社による土地取得も検討課題になります。 知事任期と微妙に重なる時間表 記事「土浦駅に決定…」(6月24日掲載)によると、知事はフェーズ2の交通政策審議会答申を2028年と想定しています。この中に、土浦駅← 現TX(つくば駅―秋葉原駅)→東京駅の両方向延伸を入れさせ、総経費を東京、埼玉、千葉、茨城で分担する形に持ち込む(茨城の負担を抑える)―これが知事の基本作戦ですから、同年が決戦の年になります。 面白いことに、大井川知事の任期(現2期目は2021年夏~2025年夏、出馬当選すれば3期目は2025年夏~2029年夏)と作戦要綱のタイムテーブル(実現可能な県の素案を作るフェーズ1は2期目後半、1都2県と中央政府に諸工作するフェーズ2は3期目前半、計画を具体化するフェーズ3は3期目後半)がほぼ重なります。延伸作戦は政治作戦でもあるわけです。(経済ジャーナリスト)

TX土浦駅接続計画 空港延長も再議論《吾妻カガミ》162

【コラム・坂本栄】茨城県の大井川和彦知事は6月下旬、現在つくば駅止まりのTXをJR常磐線土浦駅まで延ばしてもらい、これが実現した後、同駅から茨城空港につなぐことを議論してもらうという計画を発表しました。この中には土浦駅延伸に向けた3フェーズ(段階)も記載され、土浦駅接続&空港延長(?)が県の計画に位置付けられました。 延伸実現に向けた3段階の作戦 発表文TX県内延伸に係る方面決定についての結論部(いわば戦略目標と作戦要綱)を整理すると以下のようなことです。 ▼目標:常磐線土浦駅への接続を実現→その後に茨城空港延伸を議論 ▼フェーズ1(たたき台の作成):沿線開発による需要拡大策・費用削減方策、採算性が確保できるルート・事業のスキームなどを検討→関係機関との調整に向けて県の素案を策定 ▼フェーズ2(調整と磨き上げ):関係者との調整と追加調査→国交省・交通政策審議会答申に盛り込み ▼フェーズ3(計画の総仕上げ):関係都県や関係者と調整→路線計画・建設計画・事業計画を決定→TX運行会社などと共同して事業許可を取得 沿線開発→乗客増という好循環 私はコラム155「…土浦駅延伸 次の焦点は…」(4月17日掲載)や147「…延伸実現へのシナリオ」(2022年12月19日掲載)などで、茨城空港の首都圏第3国際空港化、研究学園都市の米ボストン化を想定して、TXを空港まで延ばすよう主張してきました。こういった声が県に届いたのか、戦略目標には空港延伸が余韻として残りました。 また155で「(第三者委員会の提言には)実現可能性が優先され地域開発の夢が見えない」(地元経済人)との声を紹介しましたが、フェーズ1に「沿線開発による需要拡大策・費用削減方策を検討」が入りました。記事「…『祝賀集会』…」(7月2日掲載)でも言及されているように、つくば駅―土浦駅間には新駅が2~3設置されるようですから、沿線開発→乗客増加という好循環が起き、県が心配する採算性はクリアされるでしょう。 延伸沿線開発では、現TX敷設の際に県土地開発公社とUR都市機構が沿線土地を分担して先行取得した先例に倣(なら)い、県、つくば市、土浦市の土地公社による土地取得も検討課題になります。 知事任期と微妙に重なる時間表 記事「土浦駅に決定…」(6月24日掲載)によると、知事はフェーズ2の交通政策審議会答申を2028年と想定しています。この中に、土浦駅← 現TX(つくば駅―秋葉原駅)→東京駅の両方向延伸を入れさせ、総経費を東京、埼玉、千葉、茨城で分担する形に持ち込む(茨城の負担を抑える)―これが知事の基本作戦ですから、同年が決戦の年になります。 面白いことに、大井川知事の任期(現2期目は2021年夏~2025年夏、出馬当選すれば3期目は2025年夏~2029年夏)と作戦要綱のタイムテーブル(実現可能な県の素案を作るフェーズ1は2期目後半、1都2県と中央政府に諸工作するフェーズ2は3期目前半、計画を具体化するフェーズ3は3期目後半)がほぼ重なります。延伸作戦は政治作戦でもあるわけです。(経済ジャーナリスト)

県の発表受け「祝賀集会」 TX土浦延伸を実現する会

茨城県がつくばエクスプレス(TX)の県内延伸先を土浦方向に絞り込み、JR常磐線と土浦駅で交差させる構想を決定したことを受け、TX土浦延伸を実現する会(会長=安藤真理子土浦市長)は2日、クラフトシビックホール土浦(市民会館)で活動報告会を開いた。集会には、多くの市民のほか、土浦を選挙区に持つ国会・県会議員も参加、土浦駅接続に向けて活動を続けることを確認した。 大井川和彦知事は6月23日の記者会見で、学者らで構成される第3者グループの提言と、提言に対するパブリックコメント(意見公募)を踏まえ、昨年示した4候補(筑波山、水戸、土浦、茨城空港)から延伸先を土浦駅に絞り込んだと発表した。土浦延伸を実現する会の報告会はこの決定を受けたもので、あいさつ者からは土浦延伸のメリットと実現に向けての課題について発言があった。 「TXのTを土浦と読み替えたら」 安藤市長は「土浦延伸決定は私たちの熱く強い思いが実を結んだもので喜ばしい。皆さまが描いた夢が現実へと大きく動いたものと実感している。ただ、今やっとスタートラインに立ったということだ」と述べ、クリアーしなければならない課題が多い延伸に向けて気を引き締めた。 出席議員からは「つくば市から国会へTXで通っているが、TXで街が変わることを実感している。土浦にとってこの素晴らしい恵みの実現に向けサポートしていく」(国光あやの衆院議員)、「今、私が属する委員会では国土形成計画を審議しているが、これが終わったら広域地方計画をまとめる。この中にTX土浦延伸を盛り込みたい」(青山大和衆院議員)、「集会の名称『活動報告会』は控えめであり、『お祝い会』ではないか。この際、TXのTを土浦と読み替えたらよい」(八島功男県議)などの発言があった。 つくば―土浦に2~3の駅を整備? 最後に土浦商工会議所の中川喜久治会頭がこの日採択する宣言内容を説明。「実現する会のこれまでのスローガンは『TXを土浦へ』だったが、これからは『TXが土浦に』になる」とし、「常磐線とTXの接続により、筑波山・霞ケ浦などの県南観光地のみならず、茨城空港や県内全域の観光地へのアクセス向上が図られる」と、観光ビジネスの活性化に期待を示した。 報告会に先立ち、土浦延伸を実現する会の技術アドバイザーに就任した塚本一也氏(元JR東職員、元県議、大曽根タクシー社長)が講演。土浦方面決定の論点、現TX成功の原因、延伸ルートの決め方、新たな沿線開発―などを説明する中で、「総延長54キロの現TXには駅が20あり、単純に割ると2.8キロに一つ。TXつくば駅とJR土浦駅の間は約10キロだから、2~3の新駅が造られると予想される」と述べた。 さらに、土浦延伸実現に向けての課題として、①新たな利用者の確保②これまでの沿線開発を補完する都市機能の整備③JR常磐線と共存できる接続プラン④1都2県(千葉、埼玉)の理解を得られる延伸計画―などを挙げた。(岩田大志)

土浦駅に決定 TX県内延伸先 県

つくばエクスプレス(TX)の県内延伸先を検討してきた県は23日、第3者委員会からの提言(3月31日付)と5月に実施したパブリックコメント(意見募集)の結果を踏まえ、延伸先を土浦方面に決定したと発表した。 JR常磐線と接続する駅は土浦駅とし、今後は県内延伸構想の具体化に向けた検討を進める。さらに土浦駅延伸が実現後、自衛隊との共用空港である茨城空港の着陸制限の緩和など空港を取り巻く状況が変化した場合、改めて茨城空港延伸について議論するとした。 5月1~30日に実施したパブリックコメントは個人と団体計283人(団体)から意見が寄せられ、県内延伸に賛成は82%、反対は12%だった。 延伸先については土浦方面が最も多く全体の44%で、理由としては「4方面の中で費用がかからず実現可能性が高い」「事故・災害時の代替交通の確保につながる」などの意見があった。 延伸先を茨城空港方面とする意見も全体の25%あったほか、水戸方面は7%、筑波山方面は5%あった。反対意見の中には「採算性に乏しく赤字となる延伸は必要ない」などの意見があった。 意見を寄せた283人(団体)の内訳は、土浦市在住者が25%と最も多く、次いで小美玉市が22%、つくば市が17%の順。年代別は50代が20%と最も多く、次いで40代が18%、60代が17%の順。 「採算性の懸念共有している」 意見募集の結果について県は、土浦や茨城空港も含めて、延伸に賛成する意見が圧倒的に多く大きな期待が確認できたとした。土浦と決定した理由について大井川和彦知事は23日の記者会見で「実現可能性のある延伸先であることがまず最も重要」だとした。 一方で大井川知事は「反対の主な理由が採算性に対する懸念で、延伸したはいいが、赤字をずっと出し続けるのであれば最終的には県財政の負担につながるだけ、というような趣旨だった。我々も懸念は共有している」と述べ、「今後、単なる運賃収入だけじゃなくて、周辺開発なども含め事業採算性をいかに向上させていくかの方策を練ることが、反対意見の不安を払拭する最大の答えになる」と述べた。 県は3月に、土浦駅に延伸する場合の概算事業費や需要予測について、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人と見込まれ、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測される、鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しを示している。 東京延伸と同時、28年の答申目指す 今後の進め方については第1段階として、土浦駅であっても赤字であることから、沿線開発なども含めてどうやって採算性を確保していくかを調査検討し、県としての叩き台(素案)をつくっていく。 第2段階として素案をもとに、国や、TX出資者の東京都、埼玉、千葉県、TXを運行する首都圏新都市鉄道などの事業者と調整をし、2028年の国の交通政策審議会の答申に位置付けていくことが大きなステップになるとした。最終の第3段階では路線計画、建設計画、事業資金などを決めていく。 大井川知事は事業費1400億円の負担について「県内延伸は茨城県が全部やれ、という竹内知事時代の覚書があって(20年12月22日付)、それを1回チャラにしてもらって、各都県に協力もいただいた上で、県内延伸と東京延伸を同時にやりましょうという構図に持っていきたい。マイナスですけれどもお願いします、は多分通らない。是が非でも知恵を絞らなきゃいけない」と述べた。 事業費負担の理解を得る見通しについては「一にも二にも採算性。採算性がマイナスの時点で周辺近隣都県に理解を求めることは非常に難しい。これからの検討において、いかに採算の見込みを向上させていくかということが次の鍵になる」と強調した。理解を得る鍵として「(土浦延伸により)首都圏を中心とした経済圏をバックアップする後背地が大きく広がることの経済的メリットと、首都直下型地震などの大きな災害時に、常磐線とTXがつながることによって交通の代替性が確保されること」の二つを挙げた。

TX、3年ぶり黒字 22年度 乗客数は一定程度回復

つくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道(柚木浩一社長、東京都千代田区)は29日、2022年度(22年4月-23年3月)の営業実績を発表した。コロナ禍で落ち込んだ乗客人員は一定程度回復し、営業利益、経常利益、当期純利益いずれも黒字を計上した。黒字は19年度以来3年ぶり。ただしコロナ前の19年度のレベルまでは回復しなかった。 22年度の1日当たりの平均乗客人員は前年度比14.3%増の約34万9000人と一定程度回復した。一方、コロナ禍前の19年度の約39万5000人に比べ12%減にとどまった。 決算は、運賃収入など本業で稼いだ営業収益は前年度比17.3%増の約408億6800万円となった。ただし19年度と比べると12.6%減の水準にとどまった。本業にかかった経費である営業費は、燃料費単価の上昇により動力・水道光熱費が約11億2100万円増加したが、減価償却費が約10億4200万円減少し、同比1%減の約366億200万円となった。 この結果、本業で稼いだ営業利益は約42億6500万円の黒字、通常業務で得た経常利益は約19億5900万円の黒字、当期純利益は約21億4100万円といずれも黒字となった。前年の21年度はいずれも赤字で、営業利益が約21億7900万円の損失、経常利益は約43億2300万円の損失、当期純利益は約43億3100万円の損失だった。 コロナ禍で20年度と21年度は2年連続損失を計上し、22年度当初の残高は約5億9800万円の赤字だったのに対し、22年度は当期純利益が約21億4100万円になったことから、利益剰余金残高は約15億4300万円となった。

「土浦方面・土浦駅接続」で意見を募集 TX延伸で茨城県

つくばエクスプレス(TX)県内延伸について、茨城県のTX県内延伸第三者委員会が3月31日、延伸先は土浦方面が最善だとする提言書を大井川和彦知事に提出した(3月31日付)のを受けて、県は1日、延伸先を「土浦方面とし、JR常磐線と接続する駅は土浦駅として、県内延伸構想の具体化に向けた検討を進めていく」とする県の方針案をまとめ、同日からパブリックコメント(意見募集)を開始した。30日まで広く県民の意見を募集し、6月下旬ごろ県の方針を決定する。 土浦駅に延伸する場合、約1400億円の事業費がかかり、つくば駅-土浦駅間(8.4キロ)の1日当たりの乗車人数は約8600人で、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測され、第三者委から、需要の呼び起こしや事業スキームのさらなる検討が課題だと指摘されたことなどから、県方針案は今後の進め方について①関係機関との調整に向けて県としての素案を策定する②国の交通政策審議会答申での位置づけを目指す③事業主体となる鉄道事業者と共同して延伸事業の許可取得を目指すーの3段階に分けて進めていくとした。 第1段階の素案策定時期について県交通政策課は、2025年度に県の総合計画が改定されることから、改定に間に合うよう国やTX沿線都県、延伸市の土浦、つくば市などと調整を進め、素案策定を目指すとし、その後、第2段階として、国の審議会答申で位置付けられることを目指すとしている。 ほかに意見募集では新たに、年間運営費として経費や人件費に計22億円かかる一方、運賃収入などは19億円にとどまるなど年間3億円の赤字になる根拠となる数字や、1以上が望ましいとされる費用便益比が0.6にとどまるとされた算出データについて、30年間の合計を現在の価値で評価すると、総費用が718億円なのに対し、時間短縮や費用節減、混雑緩和、環境改善などの便益は415億円にとどまるなどのデータも公表されている。 ◆パブリックコメントの詳細は県交通政策課のホームページへ。方針案に対する意見は郵送、ファクス、電子メールなどで提出することができる。

TX土浦駅延伸 次の焦点は工事費分担 《吾妻カガミ》155

【コラム・坂本栄】茨城県の第三者委員会がTX延伸先をJR土浦駅に絞り込みました。識者の提言通りTXがJRと土浦駅で交われば、両ラインの使い勝手はよくなります。提言を超要約すると、「土浦駅につなぐのが一番安上がりで開通後の採算性も一番よい」ということですが、「実現可能性が優先され地域開発の夢が見えない」(土浦の経済人)といった声も聞こえます。 実現性に重きを置いた絞り込み 3月末公表された知事への提言書と補足書「TX県内延伸調査の結果」は県のホームページにアップされています。検討視点やデータが載っており、とても勉強になります。その概要は本サイトの記事「TX…は土浦方面…知事に提言」(3月31日掲載)をご覧ください。 延伸先を4候補(土浦、茨城空港、水戸、筑波山)から絞り込む作業で、第三者委は▽延伸実現の可能性▽県ビジョンとの調和▽将来を見据えたまちづくり▽公共交通の利用促進―を念頭に置いたそうですが、どうやら「延伸実現の可能性」が重視されたようです。 補足書にある事業費概算は、土浦=1400億円(直線距離8.4キロ)、茨城空港=2400億円(同28.5キロ)、水戸=4800億円(同45.5キロ)、筑波山=1400億円(同13.5キロ)―となっています。これらに予想運行収支(土浦=年3億円の赤字、茨城空港=年50億円の赤字、水戸=年58億円の赤字、筑波山=年22億円の赤字)を重ねると、延伸先は土浦駅方向しかなかったでしょう。 土浦の経済人が「夢が見えない」と嘆いているのは、JRとの共存や実現性が優先された結果、鉄道敷設が周辺開発を促すというTX沿線(茨城県内では守谷市、つくばみらい市、つくば市)の「成功体験」があまり期待できない、ということです。 全工事費地元負担というプラン 第三者委の絞り込みは、147「TX…延伸…シナリオ」(2022年12月19日掲載)でも指摘したように、県が進める「延伸工事費を県外自治体にも負担してもらう」作戦の準備作業です。国土交通省の関係審議会で土浦駅延伸を東京駅延伸とセットで決めてもらい、東京都、埼玉県、千葉県はもちろん、できれば国にも工事費を分担すると約束してもらわないと、県内延伸は難しいと考えているからです。 事情通によると、現TXが計画されたときの竹内藤男知事(故人)は、TXをつくば市まで引っ張ってくるため(当初計画は千葉県止まり)、延伸する場合は地元で工事費用を負担する旨の文書を1都2県に差し出したそうです。3知事がこの念書を大井川知事の前でヒラヒラさせるような流れになると、県の費用分散作戦(プランA)は行き詰まります。 その場合、現在価格1400億円の工事費を茨城県と通過2市(土浦市内とつくば市内はほぼ同距離)が負担し、年3億円の区間収支赤字を土浦市が補てんすれば(費用地元負担=プランB)、第三者委の提言は即実現します。例えば工事費は、県50%、土浦25%、つくば25%といった割合に。 第三者委提言は、1都2県にはチャーミングさに欠けるように思います。JRとの交差で終わっているからです。プランBでなくプランAで行くには、県は提言を踏まえた計画策定で、第1期=つくば駅~土浦駅、第2期=土浦駅~茨城空港、第3期=茨城空港~水戸駅―と範囲を広げるなど、1都2県が振り向くような計画にする必要があるでしょう。(経済ジャーナリスト)

TX土浦駅延伸 次の焦点は工事費分担 《吾妻カガミ》155

【コラム・坂本栄】茨城県の第三者委員会がTX延伸先をJR土浦駅に絞り込みました。識者の提言通りTXがJRと土浦駅で交われば、両ラインの使い勝手はよくなります。提言を超要約すると、「土浦駅につなぐのが一番安上がりで開通後の採算性も一番よい」ということですが、「実現可能性が優先され地域開発の夢が見えない」(土浦の経済人)といった声も聞こえます。 実現性に重きを置いた絞り込み 3月末公表された知事への提言書と補足書「TX県内延伸調査の結果」は県のホームページにアップされています。検討視点やデータが載っており、とても勉強になります。その概要は本サイトの記事「TX…は土浦方面…知事に提言」(3月31日掲載)をご覧ください。 延伸先を4候補(土浦、茨城空港、水戸、筑波山)から絞り込む作業で、第三者委は▽延伸実現の可能性▽県ビジョンとの調和▽将来を見据えたまちづくり▽公共交通の利用促進―を念頭に置いたそうですが、どうやら「延伸実現の可能性」が重視されたようです。 補足書にある事業費概算は、土浦=1400億円(直線距離8.4キロ)、茨城空港=2400億円(同28.5キロ)、水戸=4800億円(同45.5キロ)、筑波山=1400億円(同13.5キロ)―となっています。これらに予想運行収支(土浦=年3億円の赤字、茨城空港=年50億円の赤字、水戸=年58億円の赤字、筑波山=年22億円の赤字)を重ねると、延伸先は土浦駅方向しかなかったでしょう。 土浦の経済人が「夢が見えない」と嘆いているのは、JRとの共存や実現性が優先された結果、鉄道敷設が周辺開発を促すというTX沿線(茨城県内では守谷市、つくばみらい市、つくば市)の「成功体験」があまり期待できない、ということです。 全工事費地元負担というプラン 第三者委の絞り込みは、147「TX…延伸…シナリオ」(2022年12月19日掲載)でも指摘したように、県が進める「延伸工事費を県外自治体にも負担してもらう」作戦の準備作業です。国土交通省の関係審議会で土浦駅延伸を東京駅延伸とセットで決めてもらい、東京都、埼玉県、千葉県はもちろん、できれば国にも工事費を分担すると約束してもらわないと、県内延伸は難しいと考えているからです。 事情通によると、現TXが計画されたときの竹内藤男知事(故人)は、TXをつくば市まで引っ張ってくるため(当初計画は千葉県止まり)、延伸する場合は地元で工事費用を負担する旨の文書を1都2県に差し出したそうです。3知事がこの念書を大井川知事の前でヒラヒラさせるような流れになると、県の費用分散作戦(プランA)は行き詰まります。 その場合、現在価格1400億円の工事費を茨城県と通過2市(土浦市内とつくば市内はほぼ同距離)が負担し、年3億円の区間収支赤字を土浦市が補てんすれば(費用地元負担=プランB)、第三者委の提言は即実現します。例えば工事費は、県50%、土浦25%、つくば25%といった割合に。 第三者委提言は、1都2県にはチャーミングさに欠けるように思います。JRとの交差で終わっているからです。プランBでなくプランAで行くには、県は提言を踏まえた計画策定で、第1期=つくば駅~土浦駅、第2期=土浦駅~茨城空港、第3期=茨城空港~水戸駅―と範囲を広げるなど、1都2県が振り向くような計画にする必要があるでしょう。(経済ジャーナリスト)

TX県内延伸先は土浦方面 第三者委が知事に提言

接続は土浦駅が優位 つくばエクスプレス(TX)県内延伸先の絞り込みについて検討してきた県TX県内延伸第三者委員会(委員長・岡本直久筑波大社会工学域教授)は31日、第4回委員会を開き、効果と費用のバランスなどから延伸先を土浦方面とする提言をまとめ、同日、岡本委員長が大井川和彦知事に提言書を手渡した。 併せてTXつくば駅からJR常磐線に接続する駅について、土浦駅か神立駅かを検討し、需要予測や採算性などから、土浦駅に接続する方が優位性が認められるとした。 コスト最小も事業費1400億円 第三者委は昨年12月から計4回の会合を開き、新たな人の流れの創出、県全体の発展可能性、実現可能性など5つの判断基準を元に、土浦、茨城空港、水戸、筑波山の4つの方面から1方面への絞り込みを検討してきた。 まず筑波山方面は、つくばと水戸の交流拡大やJR常磐線の事故や災害時などの代理機能に寄与するとは言えず効果は限定的だとして退けた。水戸方面は影響が極めて大きいが、常磐線経由であってもつくばと水戸の交流拡大に一定の効果が得られるとし、土浦方面で接続されれば茨城空港方面や水戸方面への延伸に期待される効果が一定程度得られるとした。茨城空港方面は各自治体からの要望も多く将来性は考慮すべきだが、期待される将来の姿と現況とのギャップが大きく実現可能性があるとは言い切れないとした。 その上で土浦方面について、常磐線への接続が直線距離で8.4キロと最短でコストも最小となり、特急も停車するなどから、土浦方面以外での接続は現実的ではないとした。 第三者委はさらに接続駅についても土浦駅か神立駅かを検討し、土浦駅は神立駅に比べて駅前の市街地が発達し難工事が想定され、概算事業費は土浦駅よりも神立駅の方が低い一方、採算性や費用対効果は土浦駅の方が高いとし、土浦駅に接続する方が実現可能性は高いとした。 県は同日、土浦方面の概算事業費や需要予測を明らかにし、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人で、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測されるとした。鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しが示された。 1400億円の算出根拠としたルートについては、つくば駅から土浦駅方面に向けて、台地部は地下、その後地上に出て桜川をまたぎ南側から土浦駅に入るルートで算出したという。 東京延伸などとパッケージで働き掛けを 第三者委員会の提言はさらに、実現に向けた課題についても踏み込んだ。土浦方面に延伸しても費用便益比は1.0を下回り、事業採算性も赤字が見込まれるとして、従来通りの沿線開発にとどまらず、さらなる需要増加と費用削減の方策を検討する必要があるとした。国の交通政策審議会の答申にも位置付けられているTX東京延伸や都心部・臨海地下鉄構想などの動向に留意し、一体的なパッケージとして国などに働き掛けていく必要があるとした。 提言を受け取った大井川和彦知事は「延伸実現による県内経済の発展、社会的な利便性の向上などさまざまなメリットはつくばの発展をみても実証されている。提言をしっかり受け止めて、課題についても、提言を踏まえた形で一歩一歩克服していきたい。方面を最終決定した上で国に対してもアプローチしていきたい」と話した。 第三者委の岡本委員長は「費用対効果の数字(費用便益比)が基準に達しておらず、実現に向けてはさらなる公共交通志向の生活スタイルが浸透していく必要がある」とし、将来、茨城空港方面や水戸方面についても改めて議論すべきだとした。 提言を受けて安藤真理子土浦市長は「TXの土浦延伸は長年にわたる私たちの悲願。正式決定はまだ先だが、私たちの熱い思いが実を結んだもので大変喜ばしい。土浦延伸は今やっとスタートラインに立ったところ。今後も茨城県を始め、各関係機関との十分な協力・連携を図ってまいりたい」などとするコメントを発表した。 6月目途に決定 県は今後、提言についてパブリックコメントを実施し、県民の意見を聞いた上で、6月を目途に方面を決定する。県はさらに2023年度、当初予算に2600万円を計上し、延伸ルートや事業の枠組みなどを検討する。土浦市は、沿線を中心に土地開発が活発化すると見込まれるなどから、330万円を計上し、効果を最大限に発揮させるため様々な波及効果を検討、調査する。(鈴木宏子) 【TX県内延伸をめぐるこれまでの動き】▽2017年8月 知事選で橋本昌前知事と大井川和彦現知事が共に公約に県内延伸を掲げる▽2017年12月 初当選した大井川知事が「新しい茨城づくり政策ビジョン」に「TXの県内延伸に向け検討を進める」と明記▽2018年5月 TXをつくば駅から茨城空港(小美玉市)まで延伸しようと、つくば、土浦、かすみがうら、石岡、小美玉、鉾田、行方7市の市議会議長がTX茨城空港延伸議会期成同盟会を設立▽2018年11月 県総合計画「新しい茨城への挑戦」に2050年頃の将来像として、TX延伸ルートの一つに〝茨城空港ルートを描く▽2022年2月 県が22年度当初予算にTX県内延伸の調査費を初めて盛り込み、22年度内に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込む方針を掲げる▽2022年12月 県がTX県内延伸第三者委員会を設置

TX研究学園駅前公園の桜 《ご近所スケッチ》3

【コラム・川浪せつ子】桜の花の開花を心待ちにする日々です。桜の名所はたくさんありますが、名所とまではいかない穴場スポットがけっこうあります。「研究学園駅前公園」もその一つ。染井吉野はたった1本だけなのですが、古民家「つくばスタイル館」とマッチして、独特の雰囲気をかもしだしています。 つくばエクスプレス(TX)が開通。そして市庁舎が研究学園駅に移転してから、この周辺は急激に人口が増えた所です。その地域で、街の活性化を行っている団体があります。通称「けんがく」。研究学園(けんきゅうがくえん)の略だそうです。「研究学園駅周辺」を「見学しながら」盛り上げていく?なんていうのが、私の勝手な解釈。 その「けんがく」グループが3月25日、この研究学園駅前公園で「さくらまつり」を開催するそうです。どこかな?って、「ラーメン祭り」イベントなどをやっているあの場所です。時間は午前11時から午後3時まで。初春のひと時を、楽しみにお出かけください。 今回は、昨年に引き続き2回目とか。昨年より進化したイベントになっていて、「つくばスタイル館」(古民家)では、私も桜の絵を出展させて頂くことになりました。 出展を勧めてくださったSさんとは、つくば市主催の「ショートムービーコンペディション」で9年前に知り合いました。地域のつながりを深めるため、尽力されている方です。今回、このようなイベントの成り立ちや団体のお話などを、たくさん伺いました。地域の方々が自分に合った活動ができるよう、いろいろな団体があるそうです。 タウンの会、花壇・グリーンの会… その趣旨は、研究学園駅周辺は、移住してきた方=新住民が多いため、地域のつながりがないので、いろいろ協力をして、地域を盛り上げていこうというですね。例えば「グリーンネックレス」の会の中には、「タウンの会」「花壇・グリーンの会」などがあり、ゴミ拾いや駅前周辺の花壇の手入れを、「街の広場」は定期的に広報誌も出しているとか。 お聞きして、私も研究学園駅に住みたくなってしまいました。ゴミ拾いには、多い時で、子供から大人まで60人も集合なさるとか。結束の強さを感じました。 駅から数分の大型ショッピングセンター向かいの「学園の杜公園」の桜並木は圧巻です。横が住宅地ということもあり、家族連れが多く、軽いスポーツを楽しんでいます。研究学園駅方面は新規店舗も多く、便利で魅力的ですね。小中学校も新しく出来たのに、まだまだ人口が増え、新しい小中学校も建てられるそうです。 私は40年前に転居した新住民ですが、いまや「新新住民」の方々が多くなり、うれしい限りです。(イラストレーター)

TX研究学園駅前公園の桜 《ご近所スケッチ》3

【コラム・川浪せつ子】桜の花の開花を心待ちにする日々です。桜の名所はたくさんありますが、名所とまではいかない穴場スポットがけっこうあります。「研究学園駅前公園」もその一つ。染井吉野はたった1本だけなのですが、古民家「つくばスタイル館」とマッチして、独特の雰囲気をかもしだしています。 つくばエクスプレス(TX)が開通。そして市庁舎が研究学園駅に移転してから、この周辺は急激に人口が増えた所です。その地域で、街の活性化を行っている団体があります。通称「けんがく」。研究学園(けんきゅうがくえん)の略だそうです。「研究学園駅周辺」を「見学しながら」盛り上げていく?なんていうのが、私の勝手な解釈。 その「けんがく」グループが3月25日、この研究学園駅前公園で「さくらまつり」を開催するそうです。どこかな?って、「ラーメン祭り」イベントなどをやっているあの場所です。時間は午前11時から午後3時まで。初春のひと時を、楽しみにお出かけください。 今回は、昨年に引き続き2回目とか。昨年より進化したイベントになっていて、「つくばスタイル館」(古民家)では、私も桜の絵を出展させて頂くことになりました。 出展を勧めてくださったSさんとは、つくば市主催の「ショートムービーコンペディション」で9年前に知り合いました。地域のつながりを深めるため、尽力されている方です。今回、このようなイベントの成り立ちや団体のお話などを、たくさん伺いました。地域の方々が自分に合った活動ができるよう、いろいろな団体があるそうです。 タウンの会、花壇・グリーンの会… その趣旨は、研究学園駅周辺は、移住してきた方=新住民が多いため、地域のつながりがないので、いろいろ協力をして、地域を盛り上げていこうというですね。例えば「グリーンネックレス」の会の中には、「タウンの会」「花壇・グリーンの会」などがあり、ゴミ拾いや駅前周辺の花壇の手入れを、「街の広場」は定期的に広報誌も出しているとか。 お聞きして、私も研究学園駅に住みたくなってしまいました。ゴミ拾いには、多い時で、子供から大人まで60人も集合なさるとか。結束の強さを感じました。 駅から数分の大型ショッピングセンター向かいの「学園の杜公園」の桜並木は圧巻です。横が住宅地ということもあり、家族連れが多く、軽いスポーツを楽しんでいます。研究学園駅方面は新規店舗も多く、便利で魅力的ですね。小中学校も新しく出来たのに、まだまだ人口が増え、新しい小中学校も建てられるそうです。 私は40年前に転居した新住民ですが、いまや「新新住民」の方々が多くなり、うれしい限りです。(イラストレーター)

政治判断より技術的判断を TX県内延伸で塚本元県議

土浦商工会議所青年部主催のTX県内延伸討論会が17日夜、土浦市内で開かれた。パネル討論に先立ち基調講演した塚本一也氏(大曽根タクシー社長、元県議)は、延伸先候補地域の誘致活動が過熱化していることを念頭に置き、「延伸ルートは、政治判断よりも技術的判断を優先すべきだ」と述べ、選定作業を進めている茨城県に対しクールな判断を求めた。 県の選定委員会は現在、4候補(水戸市、土浦市、筑波山、茨城空港)の中から延伸先を1つに絞り込む作業を進めている。県のスケジュールでは、2月9日に選定委から答申をもらい、広く県民の声を聞いた後、3月末までに決定する段取りになっている。 JRとの交差=都心への選択肢 JRに15年勤務(専門は駅舎設計)しTXに関する著作もある塚本氏は、鉄道についての豊富な知識を駆使、①現在の最速運転は毎時130キロだが、なだらかな線形から同160キロの運転が可能、②高架と地下で構成され、踏切がない鉄道なので輸送障害が少ない、③自動列車運転装置(ATO)により、安全で効率的な運行ができる―などの強みを列挙、こういった特性を生かされる延伸ルートが好ましいと強調した。 また、現TX(秋葉原―つくば市)については、①JR常磐線の混雑緩和、②沿線に住宅を供給し、首都圏住宅問題の解決―を目的にしていたと指摘。TX延伸ルートが常磐線と交わることによって、当初の建設目的がより充実することが望ましいとの視点を提供した。 この関連で、土浦が延伸先になる利点として、①土浦には、公的機関、教育施設、娯楽施設などが充実しており、既存のTX沿線地域にはない都市機能が整っている、②JR駅も複数あり、利用者は都心へのアクセス手段を選択できる、③JRに事故があった際、振り替え輸送が可能になる、④東京へのルートが違うため、JRとの共存が可能になる―などを挙げた。 土浦通過=ずばり経済効果が大 討論会では、「TXが土浦を通過すれば、ずばり経済効果が大きい。それは(既存沿線の)守谷市、つくば市を見ればわかる」(中川喜久治・土浦商工会議所会頭)、「(公開されている)選定委員会の討議資料を見て、土浦延伸を確信している」(小坂博・土浦市議会議長)、「土浦になれば、定住人口、交流人口が増え、会議所会員の仕事の幅が広がる」(池田雄一・土浦商工会議所青年部会長)などの発言があった。 TX土浦延伸を盛り上げる講演・討論会は、青年部の新春交歓会の目玉としてセットされた。討論会の後、会議所の若手会員は3年振りの懇親会に移った。(岩田大志)

主な話題はTX延伸 土浦市で新年賀詞交歓会

土浦市の経済3団体(商工会議所、観光協会、商店街連合会)主催による新年賀詞交歓会が6日夜、市内のホテルマロウド筑波で開かれた。コロナ禍が収まっていないこともあり、出席者はコロナ前の約300人に比べると抑えられ、約180人が参加。市長、国会議員、県会議員ら来賓のあいさつを聞いたあと、2段重ね弁当の食事を交えながらの懇親を楽しんだ。 「普通に考えたら土浦延伸」情報 土浦恒例の大型新年会は、土浦鳶職(とびしょく)組合の祝木遣(きやり)唄でスタート。 3団体を代表して中川喜久治土浦商工会議所会頭があいさつ、「10年、20年先を見据えた市の発展には、常磐線のさらなる利便性の向上、つくばエクスプレス(TX)の土浦延伸、常磐高速道のスマートIC設置(桜土浦ICと土浦北ICの間)などのインフラ整備が重要だ」とし、県によるTX延伸先選定が進んでいることを挙げ、「これは昨年の最大のニュースだった」と述べた。 この発言を受け、安藤真理子土浦市長は「オール土浦でTX土浦延伸を(県に)働きかけている。署名活動をしていて、若い人がこの問題に関心が強いことがわかった。土浦延伸は土浦市にとって最大の悲願であり、実現に向け最後まで活動を進めたい」と、力が入った。 また、国会議員で最初にあいさつした国光あやの衆院議員(茨城6区、小選挙区)は「県は2月にも延伸先を決めるが、県幹部から『普通に考えたら、まあ、土浦なのだ』との言質を得ている。(県内延伸は)国の審議会にかけられるので、(工事費用を)国もしっかり分担することになる」と、土浦延伸の可能性を強く示唆した。 市議、次の選挙で3分の1交替? ほかの国会議員は、青山大人衆院議員(茨城6区、比例)、上月良祐参院議員(茨城区)、小沼巧参院議員(同)、加藤明良参院議員(同)、堂込麻紀子参院議員(同)があいさつ。続いて、昨年12月の茨城県議選で無投票再選された土浦市区の伊沢勝徳県議、八島功男県議、高橋直子県議がお礼の言葉を述べた。 土浦市では、今春に市議選挙、今秋には市長選挙がある。安藤現市長、24現市議は次の選挙にどう臨むのかまだ明らかにしていないが、挑戦者のうわさも含め、あちこちで情報交換が盛んに行われた。市政情報に強い現市議、元市議の話によると、現市議の3分の1ぐらいは立候補を見送る可能性が強く、市議会は高齢市議を中心に世代交代が進みそうだ。 つくば市と市商工会、筑波大など6団体・法人主催によるつくば市の賀詞交歓会はコロナ禍を心配して中止された。来賓として出席した桜井姚つくば市商工会会長に現在の関心事を聞いたところ、「土浦学園線沿いの警察署があった所に商工会会館をつくってほしいと、つくば市長に言っているのだが、反応が鈍い」と、市政に不満を述べた。(岩田大志)

TX茨城県内延伸 実現へのシナリオ 《吾妻カガミ》147

【コラム・坂本栄】つくば市が終点始発になっているTXの延伸に関心が集まっています。茨城県が今年度中に延伸先を絞り込む作業を進めていることもあり、延伸先4候補(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)の関係地域では、つくば市を除き、誘致活動が活発になっています。今年最後の本欄はTX延伸問題のあれこれです。 県内延伸と東京駅延伸はセットで なぜ県は年度内に延伸先を決めたいのでしょうか? 県政通によると、来年度か再来年度、国土交通省の関係審議会で、TXの東京駅延伸が決まるそうです。県は、東京駅延伸とセットで県内延伸を決めてもらう作戦を立て、それには今年度中に延伸先を絞っておく必要があると考えたわけです。 なぜセット決定を狙っているのでしょうか? 現TX(秋葉原-つくば)計画が策定された際、当時の竹内知事(故人)は、つくばより先に延ばす場合、その費用は茨城県が負担すると、東京都、埼玉県、千葉県に約束しています。単独負担を避けるため、東京駅延伸と県内延伸をセットで決めてもらい、県内延伸費用を他自治体にも分担してもらう、それには延伸先を国の審議会前に決めておく必要がある―これが絞り込みを急ぐ理由のようです。 つまり、県の絞り込み作業は、国の鉄道建設手順を踏まえ、工事費負担の分散・軽減を図るという、知事の深慮遠謀によるものだそうです。ということは、県内延伸先←現TX区間→東京駅がパッケージで決定されないと、県内延伸は難しくなるでしょう。この両方向延長に、都が策定中の臨海地下鉄(東京駅→東京湾岸)がリンクすれば、壮大な計画になります。 国際空港と学園都市を結ぶ鉄道? 県内延伸先はどこになるのでしょうか? 私は茨城空港と予想しています。136「TX延伸論議…つくば市の狭い視野」(7月4日掲載)で指摘したように、関係地域(水戸市、土浦市、石岡市、小美玉市など)は、自分の市を経由して(水戸は空港から自市まで延伸してもらおうと)空港まで延ばせと主張しているからです。県内延伸=つくば駅→茨城空港の政治的な包囲網が出来上がっています。 TX沿線市(守谷、つくばみらい、つくば)の人たちは、このプロジェクトにあまり関心がありません。延伸=東京駅延伸であり、県内延伸はピンと来ないようです。これら地域は東京通勤圏(茨城都民)ですから、県内延伸に想像力が働かないのは仕方ありません。 茨城空港まで延ばす必要性は何でしょうか? 先のコラム136では、▽10~20年先、首都圏の羽田空港と成田空港が満杯になり、茨城空港を第3国際空港として使わざるを得ない、▽それには、空港にアクセスできる鉄道が必須になる、▽つくばを世界レベルの研究学園都市に育てるには、茨城国際空港と学園都市を鉄道で結ぶ必要がある―と述べました。県内延伸は、学園都市の広域化を実現するテコにもなります。 高度な分担比率政治工作が必要 県内延伸にはいくらかかるのでしょうか? 1兆円に近い数千億円は必要でしょう。知事が県内延伸と東京駅延伸(東京湾岸延伸?)をセット決定に持ち込もうとしているのは、茨城単独ではこの額は無理と思っているからでしょう。 先に、首都圏第3空港化に触れたのは、そうすれば延伸費用を国から引き出せると考えるからです。単なる茨城空港延伸でなく、第3国際空港延伸とし、国=3分の1、茨城=3分の1、東京・埼玉・千葉=各9分の1といった分担比率ができれば、延伸は現実性を持ちます。こういった理屈付けと分担比率決定には高度な政治工作が必要です。(経済ジャーナリスト)

TX茨城県内延伸 実現へのシナリオ 《吾妻カガミ》147

【コラム・坂本栄】つくば市が終点始発になっているTXの延伸に関心が集まっています。茨城県が今年度中に延伸先を絞り込む作業を進めていることもあり、延伸先4候補(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)の関係地域では、つくば市を除き、誘致活動が活発になっています。今年最後の本欄はTX延伸問題のあれこれです。 県内延伸と東京駅延伸はセットで なぜ県は年度内に延伸先を決めたいのでしょうか? 県政通によると、来年度か再来年度、国土交通省の関係審議会で、TXの東京駅延伸が決まるそうです。県は、東京駅延伸とセットで県内延伸を決めてもらう作戦を立て、それには今年度中に延伸先を絞っておく必要があると考えたわけです。 なぜセット決定を狙っているのでしょうか? 現TX(秋葉原-つくば)計画が策定された際、当時の竹内知事(故人)は、つくばより先に延ばす場合、その費用は茨城県が負担すると、東京都、埼玉県、千葉県に約束しています。単独負担を避けるため、東京駅延伸と県内延伸をセットで決めてもらい、県内延伸費用を他自治体にも分担してもらう、それには延伸先を国の審議会前に決めておく必要がある―これが絞り込みを急ぐ理由のようです。 つまり、県の絞り込み作業は、国の鉄道建設手順を踏まえ、工事費負担の分散・軽減を図るという、知事の深慮遠謀によるものだそうです。ということは、県内延伸先←現TX区間→東京駅がパッケージで決定されないと、県内延伸は難しくなるでしょう。この両方向延長に、都が策定中の臨海地下鉄(東京駅→東京湾岸)がリンクすれば、壮大な計画になります。 国際空港と学園都市を結ぶ鉄道? 県内延伸先はどこになるのでしょうか? 私は茨城空港と予想しています。136「TX延伸論議…つくば市の狭い視野」(7月4日掲載)で指摘したように、関係地域(水戸市、土浦市、石岡市、小美玉市など)は、自分の市を経由して(水戸は空港から自市まで延伸してもらおうと)空港まで延ばせと主張しているからです。県内延伸=つくば駅→茨城空港の政治的な包囲網が出来上がっています。 TX沿線市(守谷、つくばみらい、つくば)の人たちは、このプロジェクトにあまり関心がありません。延伸=東京駅延伸であり、県内延伸はピンと来ないようです。これら地域は東京通勤圏(茨城都民)ですから、県内延伸に想像力が働かないのは仕方ありません。 茨城空港まで延ばす必要性は何でしょうか? 先のコラム136では、▽10~20年先、首都圏の羽田空港と成田空港が満杯になり、茨城空港を第3国際空港として使わざるを得ない、▽それには、空港にアクセスできる鉄道が必須になる、▽つくばを世界レベルの研究学園都市に育てるには、茨城国際空港と学園都市を鉄道で結ぶ必要がある―と述べました。県内延伸は、学園都市の広域化を実現するテコにもなります。 高度な分担比率政治工作が必要 県内延伸にはいくらかかるのでしょうか? 1兆円に近い数千億円は必要でしょう。知事が県内延伸と東京駅延伸(東京湾岸延伸?)をセット決定に持ち込もうとしているのは、茨城単独ではこの額は無理と思っているからでしょう。 先に、首都圏第3空港化に触れたのは、そうすれば延伸費用を国から引き出せると考えるからです。単なる茨城空港延伸でなく、第3国際空港延伸とし、国=3分の1、茨城=3分の1、東京・埼玉・千葉=各9分の1といった分担比率ができれば、延伸は現実性を持ちます。こういった理屈付けと分担比率決定には高度な政治工作が必要です。(経済ジャーナリスト)

TX県内延伸に賛成?反対?【県議選’22つくば候補者アンケート】3

県議選候補者アンケート最終回は、つくばエクスプレス(TX)県内延伸構想の是非と、旧統一教会と接点をもったことはあるかについて、つくば市区の立候補者8人に聞いた。 TX東京延伸については11月25日、東京都が「都心部・臨海地域地下鉄構想」の事業計画案を発表。まず臨海地下鉄を単独で整備し、将来的に、TX東京延伸(秋葉原-東京)との接続や、羽田空港との接続を今後検討すると発表したばかり。 一方、県内延伸をめぐっては、県が今年度、初めて調査費を計上し、今年度中に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込むと発表し、県内各地で誘致合戦が繰り広げられた。延伸に必要な事業費、需要予測、費用対効果も調査が行われている。一方つくば市は東京延伸を優先するとし、県内延伸の誘致合戦には加わらなかった。 NEWSつくばは告示前、8候補者に対し「TX県内延伸ルートを絞り込む調査費を県が計上し、県内延伸を求める運動がつくば市以外で盛り上がっています。県内延伸計画に賛成ですか、反対ですか」と質問した。賛成、反対、どちらでもないの3つのいずれかに〇を付けてもらい、50字程度で理由を書いてもらった。 各候補者の回答は以下の通り。 ▽佐々木里加氏 賛成「県内延伸には反対しないが、土浦ではなく、本来はつくばエクスプレスの名の通り筑波山を経由し県庁のある水戸へ、あるいは空の玄関茨城空港を経由し水戸へ伸ばすべき」 ▽宇野信子氏 どちらでもない「TX県内延伸は県南と県央、県北をつなぐ効果はあるが、沿線開発によりさらに市街地が分散する弊害もある。完成時期や費用負担等の調査結果を示して住民の声を聴くべき」 ▽ヘイズ・ジョン氏 賛成「持続可能な社会実現のため賛成。電車はエネルギー効率が高い公共交通機関であり、公共交通整備はSDGsの観点からも国連から推奨されている。TXが他の交通機関と連結し相乗効果を得ることはコストベネフィットが高い」 ▽塚本一也氏 賛成「つくばエクスプレスの成功を県内経済活性化のために活用すべきである」 ▽山本美和氏 どちらでもない「県内延伸に関する議論について勉強不足のため」 ▽鈴木将氏 賛成「今回公表された東京都の臨海部への地下鉄事業計画案と連動し、県内以北への通勤・通学・交流圏を広げ、更なる県土発展を推し進めていくべき」 ▽山中たい子氏 反対「高い料金の引き下げと、現在生じている混雑の緩和を先行させるべき」 ▽星田弘司氏 賛成「TXを県内延伸していくことは、以前から進められている東京延伸とともに重要。整備費用確保の課題解決が一番の課題」 旧統一教会は8人全員が接点なし 旧統一教会との接点についても候補者8人に質問した。 「これまで旧統一教会や関連団体と接点をもったことはありますか」と質問し、①祝電やメッセージを送ったことがあるか②広報誌などのインタビューを受けたことがあるか③関連団体の会合であいさつをしたことがあるか④教団主催の会合に出席したことがあるか⑤教団や関連団体に会費類を支出したことがあるか⑥寄付を受けたりパーティー券などを購入してもらったことがあるか⑦選挙でボランティアによる支援を受けたことがあるか⑧選挙で組織的支援や動員などを受け入れたことがあるかーの8点について、ある、ない、のどちらかに〇を付けてもらった。 回答は、候補者8人全員が、8項目いずれも「ない」と回答した。 終わり

列車内の無線Wi-Fiサービス 23日で終了 TX

つくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、柚木紘一社長)は、列車内での無線Wi-Fiサービスを23日で終了する予定だと発表した。駅構内での無料Wi-Fiサービスは継続する。NTTドコモのd Wi-Fiサービスの終了に伴うものという。 TXは、駅構内や改札付近だけでなく、列車内でも無料通信が利用できる体制を開業当初から早期に整えた先駆的な公共交通だ。列車内の無線Wi-Fiは、通勤ラッシュ時などは接続しにくくなっていた時もあるなど、利用者は少なくないとみられる。個人の端末通信を使用すればスマートフォンやパソコン通信は引き続き利用できる。 同社によると、これまで列車内では2つの無料Wi-Fiが提供されていた。エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(東京都千代田区)が運営し、TXの利用者全員を対象として提供されていたTX Free Wi-Fi(ティーエックスフリーワイファイ)と、NTTドコモ(東京都千代田区)が運営し、同社のdポイントクラブの会員向けに無料で提供されていたd Wi-Fi(ディーワイファイ)だ。どちらも23日に終了し、列車内での無料Wi-Fiの提供は無くなる。 同社は「d WiFiを提供するNTTドコモから、d Wi-Fiサービスの終了に伴って、つくばエクスプレスでも運営を終了したいとの申し出があった。それを受けて、TX FREE Wi-Fiも同時に終了することが決まった」と経緯を説明する。 一方、構内のWi-Fiサービスの提供は継続される。列車内と同じく、駅構内で提供されている無料Wi-Fiサービスは、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームの運営するTX Free Wi-Fiと、NTTドコモが提供するd Wi-Fiの2つがある。23日にNTTドコモのd Wi-Fiは終了するが、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームのTX Free Wi-Fiは継続される。 TXのこれまでの利用者数累計や、サービスの維持管理にかかるコストについては非公表となっているが、TX Free Wi-Fiは通勤ラッシュの時間帯などに接続がしにくくなるなど、利用者は少なくなかったとみられる。今後の見通しとして首都圏新都市鉄道は「列車内における無料Wi-Fiサービス提供を今後なんらかの形で再開する予定は現時点ではない。駅構内のTX Free Wi-Fiは、今後も継続の見通し」としている。 鉄道の無料Wi-Fi 相次ぎ終了 今年6月には東京地下鉄が東京メトロのWi-Fiサービスを一部終了している。TXと同様に、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームの運営するMetro_Free Wi-Fiと、NTTドコモが提供するd Wi-Fiの提供が、契約期間満了によって終了している。東武鉄道でも今年、一部無料Wi-Fiサービスが終了したなど、鉄道の無料Wi-Fi終了が相次いでいる。 理由について、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームは「国内の鉄道事業で無料Wi-Fiサービスが相次いで終了している背景は3つある。1つ目は、訪日外国人観光客の利用を想定し、東京オリンピックの開催などに合わせて広がってきたが、コロナ禍でそうした外国人観光客の利用が著しく減っていること。2つ目は、コロナ禍の鉄道利用者数の減少に伴って、鉄道会社は収益性が低下し、コストカットを強いられていること。3つ目は、国内の『5G』に代表される高速通信サービスの進歩と『格安シム』と呼ばれるような安価なサービスの登場によって個々人の端末の通信は高速化し、Wi-Fiサービスそのものの需要が少なくなりつつあること。こうした背景から無料Wi-Fiサービスの提供を終了する企業が増えてきている」としている。(山口和紀)

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