土曜日, 4月 20, 2024
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特別支援学校 -検索結果

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特別支援学校の設置基準策定を 7団体が県議会に請願

【山崎実】全国障害者問題研究会茨城支部(寺門宏倫支部長)、NPO茨城の専攻科を考える会(船橋秀彦理事長)など関係7団体は共同で、県議会に「特別支援学校の設置基準の策定を求める意見書提出に関する請願」を提出した。 県立特別支援学校の幼児、児童、生徒数はこの10年間で694人増加、2019年度は3963人(09年度の約1.2倍)となっており、普通教室の不足数は89教室(知的障害校81教室、肢体不自由校8教室)に及んでいるとしている。 中でもつくば特別支援学校は、09年度の児童、生徒数が356人(知的障害242人、肢体不自由114人)で、学級数は100クラスに達する。そこで同校では教室確保のため、一つの教室をパーテーションで分割して使ったりしている。 一方県は「県立特別支援学校教育環境整備計画」(いばとくプラン)を発表し、今後の具体的な取り組み内容を明らかにしているが、例えば「校舎増築」など対症療法的な対策しか示さず、国も小中学校、高校、大学、専門学校などすべての学校に設置基準(学校設置に必要最低限の基準)を設けているのに、特別支援学校には設置基準がない。 このため北海道根室市議会、同余市町議会議長、静岡県沼津市議会など、地方自治体から設置基準の策定を求める意見書の提出が相次いでいる。 全国的な動きに、文科省も「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」を設置。特別支援学校設置基準の策定に前向きな姿勢を見せ始めているという。 請願を提出した関係者は「県議会でも特別支援学校の在り方については議論が交わされており、全国的な動きと相まってぜひとも設置基準の策定を実現させたい。今が最大のチャンスだと思う」と話している。 県立特別支援学校教育環境整備計画(いばとくプラン)の今後の具体的取り組み内容 学校名現状・課題取り組み概要水戸飯富慢性的な教室不足通学区域の一部を内原へ変更内原高等部がない校舎を増築、高等部を設置つくば慢性的な教室不足校舎を増築、学校近隣の用地取得も検討鹿島2021年度末に仮設校舎契約切れ校舎を増築その他教室不足への対応が必要となる可能性がある教室の利用見直し、既存教室の改修 ➡特別支援学校に関する過去記事はこちら

オンラインで沖縄修学旅行 つくば特別支援学校高等部3年生

県立つくば特別支援学校(つくば市玉取)の知的障害教育部門高等部3年生24人が11、12日の2日間にわたり、オンライン修学旅行「めんそーれ沖縄」を満喫している。 当初5月に3泊4日の日程で予定していた沖縄修学旅行がコロナ禍で中止となったため、沖縄を様々な形で体験、学習できるよう計画された。 この日に向けて教員らは、首里城の大きな絵を描いて教室の壁に飾ったり、段ボールで守礼の門を手作りして教室の入り口に設置するなどした。 11日はまず、修学旅行で訪れるはずだった首里城や美ら海水族館などをグーグルストリートビューを使って訪ねた。続いて、沖縄を代表する伝統的染色技法、紅型(びんがた)でバッグに色を付ける体験をした。 昼食は、近隣の沖縄料理店に注文し、沖縄そばや沖縄炊き込みご飯、ラフテー(豚角煮)、紅芋のコロッケ、サーターアンダギーなど8品を実際に堪能した。 午後からは、体長8メートルを超えるジンベエザメがいる沖縄美ら海水族館とライブ中継を結び、オンラインで水族館を訪ねた。「ジンベエザメはどれくらい大きいの」など、水族館スタッフのクイズに答えながら、水槽を泳ぐ魚を見たり、水槽の裏側の様子を見るなどした。スタッフがエサを与えると、ジンベエザメが海水と一緒にオキアミを一気に飲み込む映像を見た生徒たちからは「すごい」など、感嘆の声が出た。 2日目の12日は、沖縄の歴史を学んだり、伝統芸能エイサーを踊ったり、教員らが壁一面ほどの大きさに描いた首里城の絵の前で集合写真を撮るなどする。参加した後藤優和さん(17)は「沖縄だと感じ、結構楽しい。飛行機に乗ったことがなかったので(実際に行ったら)緊張したと思う」などと話していた。 オンライン修学旅行を準備した3年学年主任の赤平雅人教諭(52)は「生徒たちは入学当時から修学旅行を楽しみにしていた。去年の5月からは沖縄の文化や史跡、物産などを事前学習してきたので、沖縄に行けなくても沖縄の雰囲気を味わってもらいたい」と話している。

校舎増築を検討 教室不足のつくば特別支援学校

【山崎実】特別支援学校の過密問題と教室不足対策が県議会などで議論されている。この問題に直面しているのが、人口急増地域に立地するつくば特別支援学校(つくば市玉取)だ。 同校は主に知的障害の子供たちが通う土浦特別支援学校の過密解消と、肢体不自由の子供たちが通う下妻特別支援学校の通学負担軽減を図るため、2007年4月、県内初の知肢併設型特別支援学校として開校した。 しかしその後、少子化傾向の中にあっても、特別支援学校の児童生徒数は増加。特に増加が著しく、過密状態のつくば特別支援学校は、2017年度に28教室が不足した。 2019年4月に石岡特別支援学校が開校したのに併せ通学区域を変更。急場をしのいできたが、しかしそれでも普通教室の不足が生じている。 5年後の2024年度ピーク このため現在、一つの普通教室を仕切って二つに分けて使用したり、実習室などの特別教室を普通教室に転用するなどの措置を講じているが、今後、児童生徒数がピークを迎えると推計される5年後の2024年度には、不足教室が約17教室生じる見込みになるという。 このままではいつまでも問題は解決しない。県は特別支援学校の全県的な抜本的対策の検討に乗り出し、今年2月、県立特別支援学校教育環境整備計画を策定した。つくば特別支援学校は、近隣の用地取得を含め、校舎の増築など施設の拡充を検討するとしている。 つくば特別支援学校の教室不足対策は、整備計画の中でも優先度が高い。そこで県は、「児童生徒にとって学習しやすい環境を最優先に、防災の観点やスクールバスの動線、駐車場の確保など施設の配置を踏まえながら、教室不足の解消に向け校舎の増築を進めていく」(教育庁)方針だ。 増築にかかる必要な土地調査や、具体的な設計はこれからだが、「教育現場の意見を積極的に取り入れ、知的障害、肢体不自由の子どもたちが利用しやすい施設となるよう努力していく」(同)と議会答弁で約束した。

《令和楽学ラボ》4 茨城県立の石岡特別支援学校が開校

【コラム・川上美智子】知的障害のある児童生徒を対象とする特別支援学校(小学部・中学部・高等部)が4月に石岡市下青柳に新設され、11月21日、開校式が挙行されました。この学校は、県内23番目の公立の特別支援学校となり、定員オーバー状態であった県立つくば支援学校の児童生徒ら111名が転入し、新入学の児童生徒と合わせ154名でスタートしました。 小美玉市、石岡市、つくば市(旧筑波町)が通学区域とされ、今までつくば市まで通学を余儀なくされていた子どもたちにとり、とても便利になりました。92名の教職員が配置され、手厚い指導が行われます。 旧八郷南中学校を増改築した校舎は、県産材をふんだんに使い、清々しい木の香りが漂い、明るく広々としています。校舎の窓からは雄大な筑波山や県フラワーパークが眺められ、恵まれた環境の中で子どもたちが伸び伸びと学んでいる姿を見ることができました。児童生徒の素敵な造形作品もたくさん飾られていて、それぞれの個性や才能が感じられました。 自立と社会参加に必要な技能や態度を育成 小学部の「基礎的な力を身に付ける」、中学部の「基本的な力を深め、広げる」を踏まえ、高等部では「卒業後へつながる力を身に付ける」を目標に、自ら考えて行動できる力と、働くことや公共のために役立つことをする心を育て、自立と社会参加に必要な技能や態度を育成していくとしています。 タブレット端末などのICT(情報通信技術)の積極的活用、園芸や木工などの作業学習、歩く会、地域との協働など、「楽しい学び」がしっかり盛り込まれています。 この学びが、児童生徒一人ひとりの自立に結びつき幸せな人生を送れるようにと願い、温かく迎えてくださった教職員や子どもたちに感謝して、晴れやかな気持ちで校舎を後にしました。健常な子どもも、障害のある子どもも、才能を伸ばし、健やかに育つ環境を一つひとつ整備していくことの大切さを再確認させられた学校訪問でした。(茨城キリスト教大学名誉教授) ➡川上美智子さんの過去のコラムはこちら

障害者の工賃アップ目指し不要パソコンを回収 つくばの就労支援施設

「さくら学園」 障害者の工賃をアップさせたいと、つくば市島名の障害者就労支援施設「さくら学園」(NPO明豊会運営、飯島喜代志代表)が、不要になったパソコンの回収と希少金属などのリサイクルに取り組んでいる。 パソコンの情報漏えい対策として、企業や学校などに出向き、記憶媒体装置のHDD(ハードディスクドライブ)を依頼者の目の前でパソコンから抜き取り、工具で傷付けて物理的に破壊してから回収するのが特徴だ。昨年夏、県内の障害者施設として初めてスタートした。 22、23日の2日間、市内の県立つくば特別支援学校に、障害者とスタッフ延べ7人が出張し、廃棄予定の150台のパソコンからHDDを取り出した。ゴーグルと手袋を着用した障害者が、100本の精密ドライバーセットの中から、ねじの太さや形に合ったドライバーを選んで、パソコンのねじをはずしながら解体していく。HDDを取り出すと、作業を見守る同校教員の目の前で、工具で傷付け情報を物理的に破壊する。 HDDを破壊した後はさくら学園に持ち帰り、パソコンを鉄、アルミ、基板、プラスチックなど40種類ほどの部品に分解して分別する。1台のパソコンを解体するのに20種類ほどのドライバーを使いこなし、早い人で1台当たり30分、平均1時間程度で解体することができるという。現在、同学園を利用する35人の障害者のうち、7人がパソコンの解体作業に従事している。 介護福祉士で同学園サービス管理責任者の戸村雅一さん(68)によると「これまで従事した全員がパソコン解体作業を継続することができており、仕事として達成感があると思う」と話す。23日、同特別支援学校でHDDの取り出し作業をした同園を利用する砂長祐季さん(20)は「ねじが固いので大変」と話し、沖山大稀さん(19)は「ねじ回しが楽しい」と話していた。 平均工賃を2倍に 分別した部品は、資源として販売する。特に半導体が載った基板は金や銀など希少金属を含むことから高く販売でき、障害者の工賃アップにつながる。一方プラスチックなど同学園が費用を支払って処分する部品もあるが、95%は再資源化できるという。 同園では現在、障害者に対し、全国平均とほぼ同額の月平均1万6000円ほどの工賃を支払っているが、パソコン回収・解体作業により、従事した本人だけでなく、全体の工賃を2年後に現在の2倍の月平均3万円に上げることを目標にしている。 パソコンの処分を依頼したつくば特別支援学校の上野俊輔教諭(41)は「去年の夏に話があり、HDDの情報漏えい対策をどうするか検討していたところ、年末にさくら学園の方が来校し、処分を依頼することを決めた。さくら学園は卒業生が利用しており、卒業生の仕事が増え、工賃アップにつながれば」と話す。 全国の事業所とネットワーク きっかけは1年半ほど前、障害者施設の仕事量を増やす取り組みをしている茨城県共同受発注センター(水戸市)の担当者から、工賃をアップできる仕事として紹介を受けたこと。すでにパソコン回収作業に取り組んでいた神奈川県平塚市の障害者施設に戸村さんらが見学に行き勉強、さらに全国の障害者施設とネットワークを組んでパソコンの回収と再資源化に取り組んでいる「日本基板ネットワーク」(新潟市)の指導を受けた。 同ネットワークの取り組みは昨年3月、首相が本部長を務めるSDGs推進本部主催の「第6回ジャパンSDGsアワード」で、廃棄物を減らして環境負荷を低減し障害者の賃金向上と自立に寄与しているとして、特別賞を受賞した。現在も3カ月に1度、同ネットワークの指導を受けながら作業のさらなる安全性向上と効率アップに取り組む。 回収するのはパソコンのほか、携帯電話やゲーム機など。企業や団体のほか、個人からも回収し、寄付を受ける形で有価物として無料で引き取る。解体、分別後は、鉄、アルミ、銅は廃棄物回収業者に販売し、希少金属を含む基板などは新潟市の日本基板ネットワークに送り、兵庫県内の溶鉱炉で溶かし、金や銀を取り出す。 戸村さんは「利用者の平均工賃を上げるのが一番の目標」とし「利用者が他の事業所を訪れて作業する機会はあまりないので、出張解体を通して地域の人とつながることもできる」と意義を強調する。さらに「レアメタルは都市鉱山とも言われるが、限られた資源をリサイクルするということもやっていかなくてはらないことだと思う」とし、「県内に一緒にやれる事業所の仲間を増やしたい」と呼び掛ける。現在、パソコン回収に取り組んでいる福祉事業所はさくら学園を含めまだ2カ所のみという。(鈴木宏子) ◆回収するのは、パソコンと、ルーターやケーブルなどの周辺機器、携帯電話、ゲーム機など。コピー機、プリンター、故障した液晶モニターは不可。つくば市内の場合、10台以上は引き取りに行き、土浦市など周辺市町村は20台以上は引き取りに行く。個人の場合、さくら学園に直接持ち込むか、宅配便などで送付すれば引き取り可能。持ち込みや宅配便などの場合、破壊したHDDを写真撮影し解体証明書などと共に後日メールで送付する。さくら学園はつくば市島名2304。詳しくは電話029-875-3517またはメールinfo@sakura-gakuen.orgへ。

もっと“ムダ”なことを つくばで障害者の青春を語り合うトークイベント

9日 障害者週間 知的障害がある若者たちの「青春を楽しみたい、もっと学びたい」という思いを実現させる学びの場「福祉型専攻科シャンティつくば」(つくば市天久保)が、障害者週間(12月3~9日)最終日の9日に、市内でトークイベント「知的障害者の豊かな人生を考える学習会」を開催する。シャンティつくば代表の船橋秀彦さん(68)にイベントへ向けた思いを聞いた。 選択肢が欠如 「普通」の若者のように、仲間とたくさん“ムダ”なことをして青春を楽しみ、夢や希望を見つけてほしいー。そう語るのは、障害のある子を持つ保護者らによって2016年に設立されたシャンティつくば代表の船橋さんだ。 「福祉型専攻科」は主に知的障害や発達障害がある若者が中等教育卒業後、社会生活に欠かせない力を伸ばすための、「就労」「就学」とは異なる「第3の場所」として、近年、全国で拡大している。利用する人は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス「自立訓練(生活訓練)事業」等の制度を活用し、2年から3年間通うことができる。 シャンティつくばでは現在、特別支援学校や高校を卒業した7人が、月曜から金曜の午前9時から午後3時まで、詩作、外国語、パソコン、芸術、性や人権教育の授業を通じて自己表現を学び、地域活動にも参加している。福祉型専攻科の意義を船橋さんは、「社会に出る前の『自分探しの場』」だとし、背景に「障害者の進路選択肢の狭さ」が問題にあると指摘する。 文科省によると2021年、一般高校を卒業した約75%が大学、専門学校等へ進学したのに対し、特別支援学校高等部の卒業生の同進学率は約2%。その中でも知的障害がある人に至っては0.5%と、一般高校卒業生との差は大きく、障害のある若者の90%以上が社会福祉事業所に入所・通所するか一般企業に就職している。障害のある若者には、大学や専門学校で勉強やスポーツに打ち込んだり、仲間と他愛のない時間を過ごす中で将来を選択する時間を得る機会がないのが現状だ。 船橋さんは「(障害のある若者の)進路選択では就職が前提となるため『できる・できない』が重視され、『できない』人だと分けられ傷つく人がいる」とし、「できないことへの劣等感から自信をもてず、自分が何に関心があり、どんな人生を歩みたいか表現するのを怖がる人がいる」と言う。「障害があることで劣等感を持つことなく、『自分は自分でいい』と気づいてほしい」と力を込める。 「できる」ことより「やりたい」思いを 「夢や希望を育てていくことが、豊かな人生を歩む第一歩。友達とワイワイやって、周りがムダだと思うことをたくさんしてほしい。青春期に経験する『ムダ』なことから自分の生き方を見つけられるはず。長い人生を考えると、そんな“ムダ”が人生でぶつかる困難を乗り越える力になる」と船橋さんは話し、「知的障害があっても青年期に楽しく豊かに色々な経験を積むことで自分探しができる。それはアイデンティティの形成に大きな意味を持つ」とし、「自分は自分でいい。そう思ってほしい」と、今回の企画への思いを語る。 9日に開催される「知的障害者の豊かな人生を考える勉強会」では、トークイベントのゲストに、筑波山麓を拠点に知的障害者や精神障害者らが農業やアート活動に取り組む場を作る自然生クラブの柳瀬敬さん、つくば市内で放課後等デーサービスなどを行うにっこりの森の菊池涼代さんらのほか、障害のある子を持つ親たちも登壇する。(柴田大輔) ◆トークイベントの会場はつくば市春日2-36-1、春日交流センター。スタートは午前9時50分から。入場無料、予約不要。問い合わせは福祉型専攻科シャンティつくば(メール、電話029-893-3970)へ。

7/14 インクルーシブ教育講演会 障害児が普通学校で過ごすことの大切さ

インクルーシブ教育講演会 障害児が普通学校で過ごすことの大切さ 日時 2023/7/14(金) 11:00~13:00 会場 イーアスつくば 2階 イーアスホール 対象 保護者、支援者の方、その他どなたでもご参加いただけます。 定員 50名 (申し込み先着順) <内容>障害がある子とない子がともに育つ教育は、ともに暮らしやすい社会につながります。今回は、つくば市内の普通小学校に通い、中学・高校は特別支援学校に通った知的障害のお子さんを持つ親御さんに、普通学校に通った経験や、それが今にどう生きているのかをお聞きすることで、障害児が普通学校に通う意味を考えます。また、障害児が普通学校に通うことは、法律的にどう位置づくのかを、東洋大学の一木玲子先生にお聞きします。重度障害児として普通学校で育った自立生活センターほにゃらのスタッフも、経験を話します。 <講師プロフィール> 佐賀有美(さが なおみ) つくば特別支援 親の会所属。つくば市在住。重度の知的障害を持つ自閉症の息子を持つ。息子は現在21歳。「社会の中で生きていくために、まずは小さな社会である地域の学校へ」との思いから普通幼稚園、小学校に通わせた。息子の学校への付き添いの悩みから、同じ発達に悩みを抱える保護者の方の為の「つくば特別支援 親の会」を立ち上げ、活動している。 一木玲子(いちき れいこ) 東洋大学人間科学総合研究所客員研究員。専門は障害のある子どもと障害のない子どものインクルーシブ教育制度。日本とイタリアを主なフィールドにして、学校調査を基盤に制度研究を行っている。2022年夏の国連障害者権利条約第一回日本審査に際してはNGO団体としてパラレルレポートを提出してロビー活動等に従事した。東京在住。近年の著作は「なぜ、国連は特別支援教育中止を勧告したか」(『季刊福祉労働173号』、現代書館、2022年)、「国連障害者権利条約一般的意見4号におけるインクルーシブ教育の定義」『教育学論集第64集』中央大学教育学研究会(2022)・「障害者権利条約第24条一般的意見4号「わかりやすい版(Plain Vergion)を翻訳!」『福祉労働171号』現代書館(2021) 川端舞(かわばた まい)つくば自立生活センターほにゃら。群馬県出身、つくば市在住。脳性麻痺による運動障害と言語障害があるが、小中学校は介助員をつけて、高校は友人に手伝ってもらいながら、群馬の普通学校・普通学級に通う。小中学校は辛いこともあったが、高校の同級生とは今でも付き合いがあり、自分はちゃんと群馬に帰る場所があるんだと思え、自信になっている。

観客動員数倍増、成長の1年を報告 ロボッツつくば市長表敬訪問

水戸市を中心に茨城県をホームタウンとする、プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツが16日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問した。西村大介社長と多嶋朝飛選手が訪れ、2022-23シーズン終了のあいさつと、観客動員などへの協力に対する謝意を述べた。 ロボッツの今季最終成績は27勝37敗、B1リーグ24チーム中17位。ホームゲームの平均入場者数は3480人で、昨季の1580人から倍増した。「勝ち星は昨季の16勝と比べてしっかりステップアップできた。観客数については、新B1参入(※メモ参照)のためにはどうしても4000人が必要。できるだけその数字に近付けていきたい」と西村社長。成績について多嶋選手は「ゲーム内容、勝敗とも良くなった部分があり、チームとして成長している。一方、接戦で勝ちきれない部分が目立ち、来季への課題だと思っている」と答えた。 多嶋選手個人としては、茨城へ移籍2年目で今季はスターターに定着、59試合出場で401得点など全盛期に並ぶ好成績を挙げ、特に3ポイントシュートの成功率では44.9%とキャリアハイを更新した。「同じシーズンは2度とない。プロとして12年やってきた中で、今年は生活でも練習でも、やろうと決めたことをやり続けることができたシーズンだった。それだけタフではあったが、チームにとってプラスとなる動きができ、今の年齢でステップアップできたことは自信につながる」と振り返った。 コート外での貢献もあった。「多嶋シートプロジェクト」では、自らがプロデュースしたグッズの利益全額により、県内の特別支援学校や児童養護施設の子どもたちを試合に招待。4試合で約150人が恩恵を受けた。西村社長も「施設の子どもたちは試合観戦どころか外へ出る機会も少ない。シーズン中で連戦が続く中、多嶋選手自ら発案、準備してくれてこの企画が実現した。スポーツの力を通して地域や社会の活力となる、Bリーグの理念を体現できた」と評価する。 つくばでゲームのない寂しいシーズン 一方、今季は初めて、つくばでホームゲームが開催されない寂しいシーズンとなった。「今季と来季の2年間は新B1への審査期間なので、観客動員数にはこだわらなくてはいけない。つくばカピオアリーナは収容人員が1500人程度なので申し訳ないが辞退させてもらった。審査期間が終わったら必ずつくばで試合ができるようにしたい」と西村社長。審査期間が続くため、来期以降もつくば開催のないシーズンになりそうだ。 ロボッツは筑波大体育スポーツ局と連携協定を結んでいるほか、筑波大OBと現役学生の2人が在籍している。山口颯斗選手は今季茨城に加入し、すでに中心メンバーに成長。浅井修伍選手は特別指定選手として公式戦への出場は1試合のみだが、ブースターの人気は早くも高まっている。(池田充雄) ※メモ 新B1参入条件2026-27シーズンからスタートする「新Bリーグ」は、競技成績による昇降格を廃し、事業規模によるエクスパンションスタイルへと変更になる。新B1リーグ参入のライセンス条件は、平均入場者数4000人以上、新基準アリーナ(収容5000人以上など)の年間109日確保、売上高12億円以上の3本柱で、競技成績は問われない。

地元で話す 子ども時代の経験 《電動車いすから見た景色》41

【コラム・川端舞】来月、故郷の群馬で、とあるプレゼンテーション大会に登壇し、子ども時代のことを話す。多くの障害児が特別支援学校に通うなか、重度身体障害のある私は小学校から高校まで、障害のない同級生と同じ学校に通った。しかし、特に中学時代は、介助員からトイレ介助を拒否されるなど、つらいことが多かった。 私は中学時代の介助員や、介助員からの虐待に気づかなかった担任教員だけが悪いとは決して思っていない。 どんな障害があっても、健常児と同じ学校に通う権利があると国連は認めている。障害児を含めた全ての子どもが過ごしやすいように、環境を整えるのは学校全体の責任だ。それなのに、障害児には介助員さえ付けておけば、必要な支援はすべて介助員に任せておけばいいと思われていたことが、当時の介助員を孤立させ、虐待に追い込んだ。 学校全体に流れていた「重度障害児はこの学校にいるべきではない」という空気が、虐待に気づかないほど、担任教員の目を曇らせたのだろう。「どんな障害があっても、普通学校に通うのは権利で、それを保障するのは学校の責任だ」と教育全体が思わない限り、おそらく同じ悲劇は繰り返される。 自分のような経験は誰にもさせまいと今までも様々な場所で自分の経験を話してきた。 障害児が同じ教室にいるのは当たり前 しかし、子ども時代の自分を直接知る人も多い群馬で、自分の経験を話すことはないと思っていた。地元の普通学校で育った障害者が、受けてきた教育を否定しているとなれば、「だったら、特別支援学校に行けばよかったのに」と思われ、普通学校から障害児を一層追い出そうとするかもしれない。それが怖かった。 そんな私が子ども時代の経験を故郷で話すことになったのは、高校時代の友人が「川端に群馬で話してほしい」と言ってくれたからだ。私は彼に自分の過去を話した。その話をすると、多くの人は「そんなにつらいのに、なぜ普通学校に行ったのか」と私に問う。だが、友人は「なぜ大人が子どもを守らないのか」と反応した。 どうやら、高校3年間、障害のある私が同じ教室にいるのが日常だった彼にとっては、私が普通学校に通ったのは当たり前のようだ。障害児だった私を「普通の子ども」と捉え、その子が学校で傷つけられたことを、自分のことのように怒ってくれる。常に例外として扱われた私にとって、友人の反応は泣きたくなるほど心地よい。 友人が近くで聞いてくれるなら、群馬でも話せるかもしれない。どんな障害があっても普通学校に通うのが当たり前の社会になることを祈りながら、話してこよう。(障害当事者)

地元で話す 子ども時代の経験 《電動車いすから見た景色》41

【コラム・川端舞】来月、故郷の群馬で、とあるプレゼンテーション大会に登壇し、子ども時代のことを話す。多くの障害児が特別支援学校に通うなか、重度身体障害のある私は小学校から高校まで、障害のない同級生と同じ学校に通った。しかし、特に中学時代は、介助員からトイレ介助を拒否されるなど、つらいことが多かった。 私は中学時代の介助員や、介助員からの虐待に気づかなかった担任教員だけが悪いとは決して思っていない。 どんな障害があっても、健常児と同じ学校に通う権利があると国連は認めている。障害児を含めた全ての子どもが過ごしやすいように、環境を整えるのは学校全体の責任だ。それなのに、障害児には介助員さえ付けておけば、必要な支援はすべて介助員に任せておけばいいと思われていたことが、当時の介助員を孤立させ、虐待に追い込んだ。 学校全体に流れていた「重度障害児はこの学校にいるべきではない」という空気が、虐待に気づかないほど、担任教員の目を曇らせたのだろう。「どんな障害があっても、普通学校に通うのは権利で、それを保障するのは学校の責任だ」と教育全体が思わない限り、おそらく同じ悲劇は繰り返される。 自分のような経験は誰にもさせまいと今までも様々な場所で自分の経験を話してきた。 障害児が同じ教室にいるのは当たり前 しかし、子ども時代の自分を直接知る人も多い群馬で、自分の経験を話すことはないと思っていた。地元の普通学校で育った障害者が、受けてきた教育を否定しているとなれば、「だったら、特別支援学校に行けばよかったのに」と思われ、普通学校から障害児を一層追い出そうとするかもしれない。それが怖かった。 そんな私が子ども時代の経験を故郷で話すことになったのは、高校時代の友人が「川端に群馬で話してほしい」と言ってくれたからだ。私は彼に自分の過去を話した。その話をすると、多くの人は「そんなにつらいのに、なぜ普通学校に行ったのか」と私に問う。だが、友人は「なぜ大人が子どもを守らないのか」と反応した。 どうやら、高校3年間、障害のある私が同じ教室にいるのが日常だった彼にとっては、私が普通学校に通ったのは当たり前のようだ。障害児だった私を「普通の子ども」と捉え、その子が学校で傷つけられたことを、自分のことのように怒ってくれる。常に例外として扱われた私にとって、友人の反応は泣きたくなるほど心地よい。 友人が近くで聞いてくれるなら、群馬でも話せるかもしれない。どんな障害があっても普通学校に通うのが当たり前の社会になることを祈りながら、話してこよう。(障害当事者)

国連は誰のことも否定していないか 《電動車いすから見た景色》38

【コラム・川端舞】昨年9月、「国連が特別支援教育の中止を勧告した」と報道されたとき、特にインターネット上では様々な意見が聞かれた。特別支援学校を卒業した障害当事者や、今、特別支援学校で障害児ひとりひとりと向き合っている教員からすれば、自分の経験を否定されてしまったように感じたかもしれない。 しかし、改めて国連の勧告を読むと、「分離された特別支援教育を中止するために、国家政策などの中で障害児がインクル―シブ教育を受ける権利を認め、全ての障害児が、あらゆるレベルの教育において、必要な支援を受けられるように国家計画を採択すること」とある。 国連は今すぐに特別支援学校などを廃止することは求めておらず、どんな障害があってもインクルーシブ教育を受けられるようにするために、普通学校が障害児の入学を拒否できないようにするなど、普通学校のあり方を変えるように求めているのだ。 現在、特別支援学校でやられている障害児ひとりひとりに合わせた丁寧な指導を国連は否定しているわけではないと、私は思う。 特別支援学校の良さを教えて 私は特別支援学校に通った経験がないため、今の特別支援学校の良さを十分には理解できていないだろう。だから、特別支援学校の先生方や卒業生に、ぜひ特別支援学校の良さを教えてほしい。そして、今の普通学校をどう変えていけば、特別支援学校の良さを普通学校でも実現できるか、一緒に考えてほしい。これは、長年、特別支援学校を経験してきた障害当事者や先生方にしかできないことだ。 全く違う立場で経験してきたことを、お互いに共有し合うのは勇気のいることかもしれない。しかし、異なる経験や意見を持つ人同士がお互いを知っていくことで、どんな障害があっても、その子らしく居られる新しい普通学校の形が見えてくるのかもしれない。(障害当事者)

国連は誰のことも否定していないか 《電動車いすから見た景色》38

【コラム・川端舞】昨年9月、「国連が特別支援教育の中止を勧告した」と報道されたとき、特にインターネット上では様々な意見が聞かれた。特別支援学校を卒業した障害当事者や、今、特別支援学校で障害児ひとりひとりと向き合っている教員からすれば、自分の経験を否定されてしまったように感じたかもしれない。 しかし、改めて国連の勧告を読むと、「分離された特別支援教育を中止するために、国家政策などの中で障害児がインクル―シブ教育を受ける権利を認め、全ての障害児が、あらゆるレベルの教育において、必要な支援を受けられるように国家計画を採択すること」とある。 国連は今すぐに特別支援学校などを廃止することは求めておらず、どんな障害があってもインクルーシブ教育を受けられるようにするために、普通学校が障害児の入学を拒否できないようにするなど、普通学校のあり方を変えるように求めているのだ。 現在、特別支援学校でやられている障害児ひとりひとりに合わせた丁寧な指導を国連は否定しているわけではないと、私は思う。 特別支援学校の良さを教えて 私は特別支援学校に通った経験がないため、今の特別支援学校の良さを十分には理解できていないだろう。だから、特別支援学校の先生方や卒業生に、ぜひ特別支援学校の良さを教えてほしい。そして、今の普通学校をどう変えていけば、特別支援学校の良さを普通学校でも実現できるか、一緒に考えてほしい。これは、長年、特別支援学校を経験してきた障害当事者や先生方にしかできないことだ。 全く違う立場で経験してきたことを、お互いに共有し合うのは勇気のいることかもしれない。しかし、異なる経験や意見を持つ人同士がお互いを知っていくことで、どんな障害があっても、その子らしく居られる新しい普通学校の形が見えてくるのかもしれない。(障害当事者)

ともに過ごすことを前提にする英断を 《電動車いすから見た景色》36

【コラム・川端舞】9月13日の記者会見で、永岡桂子文部科学大臣は「インクルーシブ教育システムの目的は、身体的、精神的能力を可能な限り発達させること」と述べた。では、学校で養うべき力とはなんだろうか? 前回紹介した、永岡大臣にお送りしたお手紙の後半では、私自身が考える、社会で生きていくために必要な力についてお伝えした。先月に引き続き、お手紙の要約を紹介したい。 障害者と健常者が一緒に生きていく力 この社会は、健常者が大多数だ。その社会で障害者が生きていくためには、健常者と関わっていくしかない。特別支援学校でずっと過ごし、障害のない同級生と日常的に関わった経験がない障害児が、社会に出たあと、健常者と対等な関係をつくっていけるだろうか。 私は言語障害があり、明瞭な発音で話せない。小学校時代は言語障害を軽減させるリハビリを受けていたが、効果はほとんどなかった。逆に言語障害への劣等感が強くなり、学校でも同級生とあまり話さなくなった。 一方、高校時代も普通高校に通っていたが、小中学校に比べ、学校の先生や同級生が私に直接話してかけくれるようになった。学校で「話す」という経験を積み重ねるうちに、私は「相手が自分の言葉を聞き取れなかったら、聞き返してもらえばいい」ということがわかってきた。 もし、高校時代、特別支援学校に通い、障害のない同級生と話す機会がなかったら、私は、今のように健常者と対等に話せるようにはならなかったかもしない。 特別支援教育→インクル―シブ教育 初対面の人は、たいてい、言語障害のある私に話しかけるのを躊躇(ちゅうちょ)する。しかし、高校の同級生は卒業後10年以上たった今でも、久しぶりに会うと何の遠慮もなく、私に話しかけてくる。高校3年間、同じ教室で過ごした経験が、障害のある私と障害のない同級生に、互いにコミュニケーションをとる力を身に付けさせたのだ。 もちろん、現状の普通学級に障害のある生徒を入れるだけでは、その生徒に十分な支援を提供できないかもしれない。1つの学級の児童生徒数を減らすなど、普通学級の構造自体を変え、普通学級の中で障害のある生徒が十分な支援を受けられる環境にしていく必要がある。そのような環境では、障害のない生徒も、困った時に教員に助けを求めやすくなるだろう。 障害のある子とない子が学ぶ場を分けることを前提とした現在の特別支援教育から、どんな障害のある子も普通学級で過ごすことを前提にしたインクル―シブ教育へ、舵(かじ)を切る英断を永岡大臣がなさることを期待している。(障害当事者)

ともに過ごすことを前提にする英断を 《電動車いすから見た景色》36

【コラム・川端舞】9月13日の記者会見で、永岡桂子文部科学大臣は「インクルーシブ教育システムの目的は、身体的、精神的能力を可能な限り発達させること」と述べた。では、学校で養うべき力とはなんだろうか? 前回紹介した、永岡大臣にお送りしたお手紙の後半では、私自身が考える、社会で生きていくために必要な力についてお伝えした。先月に引き続き、お手紙の要約を紹介したい。 障害者と健常者が一緒に生きていく力 この社会は、健常者が大多数だ。その社会で障害者が生きていくためには、健常者と関わっていくしかない。特別支援学校でずっと過ごし、障害のない同級生と日常的に関わった経験がない障害児が、社会に出たあと、健常者と対等な関係をつくっていけるだろうか。 私は言語障害があり、明瞭な発音で話せない。小学校時代は言語障害を軽減させるリハビリを受けていたが、効果はほとんどなかった。逆に言語障害への劣等感が強くなり、学校でも同級生とあまり話さなくなった。 一方、高校時代も普通高校に通っていたが、小中学校に比べ、学校の先生や同級生が私に直接話してかけくれるようになった。学校で「話す」という経験を積み重ねるうちに、私は「相手が自分の言葉を聞き取れなかったら、聞き返してもらえばいい」ということがわかってきた。 もし、高校時代、特別支援学校に通い、障害のない同級生と話す機会がなかったら、私は、今のように健常者と対等に話せるようにはならなかったかもしない。 特別支援教育→インクル―シブ教育 初対面の人は、たいてい、言語障害のある私に話しかけるのを躊躇(ちゅうちょ)する。しかし、高校の同級生は卒業後10年以上たった今でも、久しぶりに会うと何の遠慮もなく、私に話しかけてくる。高校3年間、同じ教室で過ごした経験が、障害のある私と障害のない同級生に、互いにコミュニケーションをとる力を身に付けさせたのだ。 もちろん、現状の普通学級に障害のある生徒を入れるだけでは、その生徒に十分な支援を提供できないかもしれない。1つの学級の児童生徒数を減らすなど、普通学級の構造自体を変え、普通学級の中で障害のある生徒が十分な支援を受けられる環境にしていく必要がある。そのような環境では、障害のない生徒も、困った時に教員に助けを求めやすくなるだろう。 障害のある子とない子が学ぶ場を分けることを前提とした現在の特別支援教育から、どんな障害のある子も普通学級で過ごすことを前提にしたインクル―シブ教育へ、舵(かじ)を切る英断を永岡大臣がなさることを期待している。(障害当事者)

文部科学大臣へ送った手紙 《電動車いすから見た景色》35

【コラム・川端舞】9月9日、国連が日本政府に分離教育の中止を勧告したのを受けて、永岡桂子文部科学大臣が13日の記者会見で、「障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と、一人ひとりの教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組む」などとし、「多様な学びの場における特別支援教育の中止は考えていない」と発言した。 これに対し、どうしても永岡大臣に直接お伝えしたいことがあり、お手紙をお送りした。その手紙を要約したものを、2回に分けて紹介する。 「共に過ごす」と「多様な学びの場」は両立しない 私は障害がありながら、小学校から高校まで普通学校の普通学級に通った。小中学校の頃、私はずっと普通学級で過ごしていたが、同じ学校には特別支援学級があり、知的障害のある同級生は学校にいるほとんどの時間を他の同級生とは違う教室で過ごしていた。その様子を見て、当時の私は「自分は勉強ができるから、支援学級にいるあの子たちとは違うのだ」と自分にも障害があるくせに、知的障害のある同級生を見下していた。 学校行事の時は、支援学級の生徒も他の同級生と一緒に参加していたが、いつもほとんど同じ教室にいない同級生を「仲間」だと思えるはずがない。支援学級の生徒とどう話したらいいのかさえ、私を含めた普通学級の生徒は分からず、お客様扱いするしかなかった。 私も支援学級の生徒とほとんど接点はなかったと思っていた。しかし、大人になってから小学校の卒業アルバムを見返すと、修学旅行でその同級生と一緒に班行動をしている写真を見つけ、「同じクラスで、修学旅行の班も一緒だったのか」と驚くとともに、その同級生と話した記憶が一切ない自分にショックを受けた。 障害のある子どもとない子どもが共に過ごすための条件整備と、特別支援学校、特別支援学級などの「多様な学びの場」は両立しない。もし、小中学校時代、支援学級がなく、知的障害のある生徒も、本人が「静かな部屋で休憩したり、自分のペースで勉強したい」と思った時以外は、普通学級で過ごすのが当たり前の環境だったら、他の同級生も彼らを仲間として受け入れることができただろう。 国連も、特定の機能障害に対応するために設計された別の環境で、障害のない生徒から切り離されて行われる教育は「分離」だとして、「インクルージョン」(※編集部注)とは明確に区別している。日本の特別支援学校や特別支援学級は明らかに「分離教育」であり、現在の分離教育を前提とした特別支援教育は見直すべきである。(障害当事者) 【※編集部注】インクルージョン(inclusion) 一般的な日本語訳では「包括、包含」。対語は「エクスクルージョン(exclusion)」で「排除、隔離」といった意味になる。インクルージョンは日本において「インクルーシブ教育」という名で広く知られる。人間の多様性を尊重し、障害のある子どもたちが通常学級で健常児と共に机を並べて学ぶ教育をいう。障害児が一般社会から排除されずに個人の状態に合った合理的配慮の提供を受けられるといった仕組みの整備が求められている。

文部科学大臣へ送った手紙 《電動車いすから見た景色》35

【コラム・川端舞】9月9日、国連が日本政府に分離教育の中止を勧告したのを受けて、永岡桂子文部科学大臣が13日の記者会見で、「障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と、一人ひとりの教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組む」などとし、「多様な学びの場における特別支援教育の中止は考えていない」と発言した。 これに対し、どうしても永岡大臣に直接お伝えしたいことがあり、お手紙をお送りした。その手紙を要約したものを、2回に分けて紹介する。 「共に過ごす」と「多様な学びの場」は両立しない 私は障害がありながら、小学校から高校まで普通学校の普通学級に通った。小中学校の頃、私はずっと普通学級で過ごしていたが、同じ学校には特別支援学級があり、知的障害のある同級生は学校にいるほとんどの時間を他の同級生とは違う教室で過ごしていた。その様子を見て、当時の私は「自分は勉強ができるから、支援学級にいるあの子たちとは違うのだ」と自分にも障害があるくせに、知的障害のある同級生を見下していた。 学校行事の時は、支援学級の生徒も他の同級生と一緒に参加していたが、いつもほとんど同じ教室にいない同級生を「仲間」だと思えるはずがない。支援学級の生徒とどう話したらいいのかさえ、私を含めた普通学級の生徒は分からず、お客様扱いするしかなかった。 私も支援学級の生徒とほとんど接点はなかったと思っていた。しかし、大人になってから小学校の卒業アルバムを見返すと、修学旅行でその同級生と一緒に班行動をしている写真を見つけ、「同じクラスで、修学旅行の班も一緒だったのか」と驚くとともに、その同級生と話した記憶が一切ない自分にショックを受けた。 障害のある子どもとない子どもが共に過ごすための条件整備と、特別支援学校、特別支援学級などの「多様な学びの場」は両立しない。もし、小中学校時代、支援学級がなく、知的障害のある生徒も、本人が「静かな部屋で休憩したり、自分のペースで勉強したい」と思った時以外は、普通学級で過ごすのが当たり前の環境だったら、他の同級生も彼らを仲間として受け入れることができただろう。 国連も、特定の機能障害に対応するために設計された別の環境で、障害のない生徒から切り離されて行われる教育は「分離」だとして、「インクルージョン」(※編集部注)とは明確に区別している。日本の特別支援学校や特別支援学級は明らかに「分離教育」であり、現在の分離教育を前提とした特別支援教育は見直すべきである。(障害当事者) 【※編集部注】インクルージョン(inclusion)一般的な日本語訳では「包括、包含」。対語は「エクスクルージョン(exclusion)」で「排除、隔離」といった意味になる。教育分野では「インクルーシブ教育」という言葉で使われ、特に、障害のある子どもたちが通常学級で健常児と共に学ぶ状態をいう。国連の公式文書によると、インクルーシブ教育には、すべての生徒に最適な学習環境を提供するために、通常学級の教育内容や組織体制を変更する過程が含まれる。

日本政府の恥ずかしい認識《電動車いすから見た景色》34

【コラム・川端舞】8月22~23日、障害者権利条約に対する日本の実施状況を審査する会合が国連ジュネーブ本部でおこなわれ、日本から障害者や家族、支援者など約100人が現地に向かった。審査自体は審査を担う国連の障害者権利委員会と日本政府との対話形式で進められるが、審査に先立ち、国連の委員と日本の障害者団体などが対話する時間が設けられたほか、審査の合い間に会場の外で、障害者たちが日本の現状を委員に直接訴えた。 私も、自分の子ども時代の普通学校での経験を書いたカードを委員に手渡し、障害児が日本の普通学校で学ぶ上で直面する困難を伝えた。私が差し出すカードを笑顔で受け取り、「インクルーシブ教育は日本にとって大きな課題だと思っている」と言ってくれた委員もいた。 実際の審査で「特別支援学校を廃止するために、予算措置を特別支援学校から通常の学校へ移行する予定はあるのか」「通常の学校が障害児を拒否することを禁止する法令を策定する予定があるのか」など、国連からの厳しい質問に、日本政府が回答した内容は、聞いているこちらが恥ずかしくなるようなものだった。 「特に知的障害児は中学・高校と学年が上がるにつれ、障害のない生徒と同じ内容を学ぶのが難しくなり、特別支援学校を選ぶことが多くなる。特別支援学校では知的障害のある生徒もリーダーシップを発揮できる」などの日本政府の回答を聞いていて、「特別支援学校を廃止する方略を聞かれているのに、特別支援学校の意義を主張してどうするのか」とツッコミを入れたくなった。 学習が苦手な生徒を支援する教員を1人多く教室に配置したり、生徒本人が「静かな部屋で集中して学習したい」「少し休憩したい」と思ったときだけ、他の教室で過ごしたり、知的障害のある生徒もどうやったら他の生徒とできるだけ一緒に学べるかを考える過程こそが、権利条約のいうインクルーシブ教育の過程なのに、日本政府の回答はその過程を放棄している。権利条約のいうインクルーシブ教育を全く理解していない。 「分離教育」中止を要請 8月の審査を受け、今月9日に国連が公表した報告書では、障害児を分離する現在の特別支援教育は止めるよう、日本政府に強く要請している。日本の障害者たちが自分と仲間の権利のためにジュネーブまで行った結果だ。現在、通常の学校に通っている障害のあるお子さんとご家族もジュネーブに行き、国連の委員に直接、日本の教育の現状を訴えたのも大きいだろう。 国連の要請にどう答えるのか。政府の反応に注目だ。(障害当事者)

日本政府の恥ずかしい認識《電動車いすから見た景色》34

【コラム・川端舞】8月22~23日、障害者権利条約に対する日本の実施状況を審査する会合が国連ジュネーブ本部でおこなわれ、日本から障害者や家族、支援者など約100人が現地に向かった。審査自体は審査を担う国連の障害者権利委員会と日本政府との対話形式で進められるが、審査に先立ち、国連の委員と日本の障害者団体などが対話する時間が設けられたほか、審査の合い間に会場の外で、障害者たちが日本の現状を委員に直接訴えた。 私も、自分の子ども時代の普通学校での経験を書いたカードを委員に手渡し、障害児が日本の普通学校で学ぶ上で直面する困難を伝えた。私が差し出すカードを笑顔で受け取り、「インクルーシブ教育は日本にとって大きな課題だと思っている」と言ってくれた委員もいた。 実際の審査で「特別支援学校を廃止するために、予算措置を特別支援学校から通常の学校へ移行する予定はあるのか」「通常の学校が障害児を拒否することを禁止する法令を策定する予定があるのか」など、国連からの厳しい質問に、日本政府が回答した内容は、聞いているこちらが恥ずかしくなるようなものだった。 「特に知的障害児は中学・高校と学年が上がるにつれ、障害のない生徒と同じ内容を学ぶのが難しくなり、特別支援学校を選ぶことが多くなる。特別支援学校では知的障害のある生徒もリーダーシップを発揮できる」などの日本政府の回答を聞いていて、「特別支援学校を廃止する方略を聞かれているのに、特別支援学校の意義を主張してどうするのか」とツッコミを入れたくなった。 学習が苦手な生徒を支援する教員を1人多く教室に配置したり、生徒本人が「静かな部屋で集中して学習したい」「少し休憩したい」と思ったときだけ、他の教室で過ごしたり、知的障害のある生徒もどうやったら他の生徒とできるだけ一緒に学べるかを考える過程こそが、権利条約のいうインクルーシブ教育の過程なのに、日本政府の回答はその過程を放棄している。権利条約のいうインクルーシブ教育を全く理解していない。 「分離教育」中止を要請 8月の審査を受け、今月9日に国連が公表した報告書では、障害児を分離する現在の特別支援教育は止めるよう、日本政府に強く要請している。日本の障害者たちが自分と仲間の権利のためにジュネーブまで行った結果だ。現在、通常の学校に通っている障害のあるお子さんとご家族もジュネーブに行き、国連の委員に直接、日本の教育の現状を訴えたのも大きいだろう。 国連の要請にどう答えるのか。政府の反応に注目だ。(障害当事者)

学校生活の悩み話そう 障害児の保護者に向け教育座談会 つくばの当事者団体

25日、自立生活センターで 障害児を持つ保護者を対象に、学校生活の悩みを共有するための座談会「障害があると違う学校に行かなきゃダメなの?先輩の経験談から考えるインクルーシブ教育座談会」が25日、つくば市内で開かれる、障害者の地域生活を支援する当事者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(川島映利奈代表)が主催する。同団体は障害児の将来の自立をサポートする「ほにゃらキッズ」という活動に取り組んでおり、今回の企画はその一環となる。 座談会では、小中学校時代に市内の普通学校に車いすで通い、現在は寮で生活しながら県外の大学に通う子を持つ女性と、小学校から高校まで普通学級で学んだ障害当事者で、ほにゃらメンバーの川端舞さんが登壇し、介助を必要とする子供が学校で直面した課題と向き合い方、その後の歩みについて具体的な事例をもとに話す。後半には参加者からの質疑と座談会が予定される。 共有できる機会少ない ほにゃら代表の川島さんは(40)は開催のきっかけを「学校で適切なサポートを受けられず悩む、普通学校に通う障害児の保護者たちから相談があった」と話す。市内外の保護者から、支援不足から親が学校生活に付き添わなくてはならない、子供が周囲と馴染めず疎外感を覚える、授業についていけない、学校生活に必要な情報不足などが寄せられているという。 「友達と同じ学校に行きたいという子供の思いを受け、通学できるよう頑張るお母さんがいる。でも、いざ学校に通うと、親も子も様々な悩みを抱えてしまう。通いたいはずの学校で傷つく子供の姿に、自分を責めてしまう母親もいる」とし「障害児の母親は学校で少数派。悩みを共有できる機会は少ない」と川島さんは話す。 支援員 足りてない 学校には、食事、排せつ、教室の移動や授業など、個別の支援が必要な児童・生徒を支援する特別教育支援員がいる。つくば市では「教育補助員」として2000年度より小中学校に配置を始めた。市によると5日現在、小学校は29校すべて、中学校は12校中6校、義務教育学校は4校すべてに、計144人が配置されている。 国全体では2006年の学校教育法等改正により、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級だけでなく、普通学級においても障害などにより支援を必要とする子どもに対し適切な教育を行うことが明確化された。しかし「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)の20年調査によると、全44市町村の教育委員会に「支援員が足りているか」と質問したところ、6割超の27市町村が「足りていない」と回答し、保護者が学校に付き添っている自治体は8市町村あった。 一方、16年に施行された障害者差別解消法により、障害児も他の子供たちと対等に学校生活を送れるよう合理的な配慮をすることが公立学校での法的義務となった。教育現場での「合理的配慮」は、日本が14年に批准した障害者権利条約で「障害者が健常者と同様にあらゆる教育を受けられる」権利として定められている。 川島さんは「当事者同士、互いの生の声を聞ける機会を大事にしていきたい」とし、「情報が少ないことで一人で悩む保護者もいる。体験談を聞くことで、一人じゃないと思ってもらいたいし、必要な支援を受け地域で暮らしていくために、何が必要か共に考えていきたい」と話し、「現在困っている方に参加してもらいたい」と呼び掛ける。(柴田大輔) ◆同教育座談会は25日(日)午後1~3時、つくば市天久保2-12-7 アウスレーゼ1階 つくば自立生活センターほにゃら事務所で。対象は普通学校に通っている、または通うことに関心のある障害児童生徒の保護者。参加費無料。定員10人(先着順)。申込締切は18日(日)。申込方法はインターネットから申し込む。問い合わせは電話029-859-0590またはメールcil-tsukuba@cronos.ocn.ne.jp (ほにゃら)で。

「できない」ことは「ダメ」ではない つくばで障害施設ドキュメンタリー上映会

つくば市で17日、知的障害者支援施設・しょうぶ学園(鹿児島市)の日常を描いたドキュメンタリー映画「幸福は日々の中に。」の上映会と、しょうぶ学園の統括施設長、福森伸さんを招いた講演会が開催される。主催者で、知的障害のある子を持つ親として福祉現場に携わる、つくば市在住の福原美紀さん(50)にイベント開催への思いを聞いた。 障害のある人が自由に生きられる場所 緑あふれる敷地に点在するカフェやギャラリー。工房では障害のある人たちが、粘土や木工、壁や床に絵を描くなど、自由に好きなことに打ち込む。職員は、できたものを活かしてバッグなどへと製品化する。互いの特技を活かした協働作業。昨年6月、22歳の息子の入所先を探していた福原さんは、グループホームもあるしょうぶ学園を見学に訪ねた。まるで一つの街のような敷地内の光景に「これだ!」と思ったという。 この日は施設に空きがなく、すぐの入居は叶わなかったが「障害のある人が自分の基準で生きられる街。誰もがありのまま、自由でいていい。貴重な場」だと感じ、「この価値観を多くの人に知らせたい」と上映会を企画した。 しょうぶ学園は、知的障害者更生施設として1973年に鹿児島市で開設。現在、主に知的障害者を対象に、施設入所支援や生活介護、就労支援などの福祉サービスの提供、工芸品や農業など創作活動、敷地内での飲食店やギャラリー、交流スペースを通じた地域交流事業を展開する。アート制作など、ものづくりを軸に、障害の有無によらない互いに協働しあうコミュニティーづくりが注目されている。 成功体験を積み上げられなかった 「学校教育を含め、障害者が健常者側に合わせ『できる』よう指導する場面に違和感を持ってきた」と福原さん。息子に知的障害がわかったのは3歳の時だ。当時は同世代の他の子との違いは小さかったが、成長と共に「できない」ことが増えていく。ただ「普通に育てたい」という思いは強かった。「大変」「怖い」「暴れる」障害へのネガティブなイメージも頭にあった。 小学校は普通学校を選択した。「他の子より遅いが、言葉を覚え、トイレも行ける。いつか差は埋まるはず。諦めたくない」と思った。「自分の息子の障害を認めるのが怖かった。『普通』で行けるはず」という思いも背中を押しした。 小学校では「成功体験がなかった」。授業では計算ができない、時計が読めないことを指摘され、息子の絵には他人の手が加えられた。「他の子供と差が出てしまう」と思った教師の「善意」だった。運動会では一人、ぽつんと地面に絵を描いていた。周囲の子との軋轢もあった。「できない」だけが積み重なり「母も子も自信を失った」。普通学校での生活に限界を感じ、小5の時に特別支援学校に編入した。 支援学校で始まった新生活。保護者への連絡帳に教師がコメントを書く。「積極的に(同じクラスの)重い障害のある子の面倒を見ています」「元気に歌を歌いました」「きちんと挨拶をしています」。できることばかり書いてある。「思わず『先生、これ誰かと間違えてませんか?』って聞いちゃいました」。授業参観では「それまで自信がなくて下ばかり向いてた息子が、クラスのリーダーシップをとっていたんです」息子の新たな一面に「ここに入れてよかった」と思った。 もっと彼らを信頼していい 「一般的に、社会に出ると、障害のある人は余暇を過ごす場所が少ない」と福原さんは話す。生活にサポートが必要なため、自由な行動、出会いの機会が限られる。だから福原さんは健常者と同様に青春期を楽しみ、人生経験を積める場として、障害者総合支援法に基づき2年間利用できる「福祉型専攻科シャンティつくば」や、知的障害のある青年たちのバスケットボールチーム「スマイルバスケットボールクラブ」を作ってきた。それは孤独になりがちな母親たちの交流の場になればとの思いもあった。 「今の社会は障害者を信頼していないんだと思います」。福原さんも、つい息子に「なんでできないの?」と言ってしまう。しかし、バスケや活動を通じ互いに学び合う子供たちに接し「もっと信頼していい。私たちが彼らのルールを理解するのがいい」と実感した。 以前見学した企業を福原さんが振り返る。そこでは健常者の中で、知的障害のある人も得意な作業に従事する。「誰が障害者で、誰が健常者かひと目でわからない」空間が作られていた。「適材適所。みんなに同じことをさせ、できないことを障害のせいにしない。『得意』を見つけ実行すると『障害』がなくなる。『できる』ことをすればイキイキできる。それは健常者も同じですよね」 「障害は決して『ダメ』ではない。今の社会は『できない』ことを『ダメ』だと責める風潮が強い。でも、この映画からは『ありのままでいい』と感じられる。きっと、鑑賞後に世界観が変わるのではないか。健常者にも選択肢が増えたら」と上映会に込める思いを語る。 「障害ってなんだろう?」。以前、栃木県での講演会で福原さんが聞いた、しょうぶ学園・福森さんの言葉だ。「理解してほしいというよりも、少しでも多くの人に障害のある人々や、福祉のことを知ってほしいと思っています」と福原さんは呼びかける。 ◆しょうぶ学園「幸福は日々の中に。」上映会・学園長福森さんお話会 9月17日(土)午後1時〜上映会、午後3時~福森さん講演会。定員30人(事前予約制)。料金(税込み)は上映会のみ・大人1500円、中学生以上の障害者1000円、講演会のみ:大人3000円、中学生以上の障害者1500円、両方参加:大人4000円、中学生以上の障害者2000円。介助者:全て1人まで500円。会場は老人福祉センターとよさと(つくば市遠東639)。問い合わせは、メール:smile-fiona418@sea.plala.or.jp、電話:090-8963-9296(福原)

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