日曜日, 7月 6, 2025
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つくば市の小中学生の高校進学を考える会 -検索結果

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県「学級増必要な状況でない」 竹園高2学級増求め つくば市議長、意見書手渡す 

つくば市議会が6月定例会議で、県立竹園高校の募集定員を8学級から10学級に増やすことを知事に求める意見書を全会一致で可決したことを受けて(6月27日付)、黒田健祐市議会議長らは4日、県庁を訪れ、庄司一裕県教育庁学校教育部長に意見書を手渡した。これに対し県高校教育課高校教育改革推進室の片見徳太郎室長は「学級増が必要といえる状況ではない」と話し、竹園高の学級増に否定的な見解を示した。 片見室長は「県全体で5年後までに中学卒業者が2000人減少し、10年後までに5600人を超える減少が見込まれている。つくば市は2030年まで生徒数増が見込まれていることを承知しているが、県立高校改革プランを策定した際、子供たちにどのくらいの通学時間なら大丈夫かと聞いたところ、一番多かったのが1時間程度だった。つくば市周辺地域では、つくば市の増加分以上に生徒数が減少すると推計している(24年10月24日付)。今年度はつくばサイエンス高校に普通科を設置し大学進学を打ち出して、志をもった中学生にたくさん入ってきていただいたが、サイエンス高校と筑波高校併せてまだ117人の欠員がある。県としてはサイエンス高校と筑波高校の欠員解消を中心に取り組んでおり、学級増が必要といえる状況ではない)と話した。 「落としどころ見いだしたい」 4日は、つくば市議会の意見書提出と併せて、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表が、同じ竹園高校の2学級増を求める要望書を手渡した。ほかに、篠塚英司つくば市副市長、つくば市選出の鈴木将、山本美和、うののぶこ、ヘイズ・ジョン県議4人らが同席した。 黒田議長は「(2013年に県立並木高校が閉校し並木中等教育学校に移行した後の)10年ほど前から『ちょうどいい県立高校の受け皿がない』といった声が出て、ここ最近、切実な声が大きくなっている。つくば市の県立高校は(中学卒業者数で比較し)水戸市の3分の1しかないというデータもある。市内には小中学校がたくさん新設されているが高校はそのまま。教育環境の充実は重要なこと」だなどと話し、理解を求めた。 これに対し県の庄司部長は「貴重なご意見としてお受けさせていただきたい」などと答えるにとどまった。 意見交換の席で、考える会の片岡代表は「(中高一貫により)土浦一高が(高校入試の募集枠が)8学級から4学級になって1年目の2024年は、県立高校志願者の波が土浦二高と竹園高に行き、両校とも志願者が100人以上オーバーした。2年目の25年は牛久栄進高校の志願者が137人オーバーになった。この波は2026年にどこに向かうのか。受け皿はあるのか」と迫り「県立高校改革プランに沿って学級増をやってほしい。オールつくばの願いを受け止めてほしい」と要望した。 同席した県議からは「子供たちのために何ができるか、ぶつかり合いながらも落としどころを見いだしていきたい」(山本県議)などの意見が出された。(鈴木宏子)

竹園高の学級増求める意見書、つくば市議会が全会一致で可決

人口増加が続くつくば市に県立高校が少ない問題で、つくば市議会は6月定例会議最終日の27日、県立竹園高校(つくば市竹園)の募集定員を8学級から10学級に増やすことを知事に求める意見書を全体一致で可決した。近く大井川和彦知事宛て提出する。小村政文市議ら5人が提案した。 意見書は、つくば市を含むTX沿線エリアは県内で唯一、2030年度まで生徒数が増加することが示されており、高校進学の受け皿確保は喫緊の課題であるとし、受験生への公平な進学機会の確保や隣接エリアへの影響を回避するために、つくばTX沿線エリア内で着実かつ戦略的な定数増が不可欠であるとしている。 さらに、これまで市内や近隣の県立高では、つくばサイエンス高の2学級増と普通科への再編、牛久栄進高の1学級増、筑波高校への進学コース設置など改革が図られてきたことから、続く竹園高の定員増は、地域の中学生の進学先として高い需要があり、定員増により近隣エリアでも公平な進学機会を確保できるなど波及効果も見込まれるなどとしている。 つくば市の県立高校不足問題に取り組んでいる市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表は「意見書可決は、県立高校が不足しているため進路選択に困難を感じている生徒や保護者の大きな励ましになる。県には今年の受験生のために竹園高校の募集定員増を行うことを求めたい」としている。 来春の2026年度入試は、県立高校の適正規模や適正配置などの方向性を示した県策定の県立高校改革プラン(2020-26年度)の最終年に当たる。片岡代表は「改革プランで県は、つくばエリアの県立高校の学級数を57学級から2学級増やすとしているが、現在は58学級しかない。増えた1学級も付属中学から進学する枠の1学級増で、中学から受験する高校入試の枠は53学級と増加していない。26年度入試でつくばエリアを2学級増加することは県の計画からも必要」だとしている。 竹園高の学級増について五十嵐立青市長は昨年10月の市長選で、増設分の校舎の建築費は市が負担するなどと表明している。(鈴木宏子)

自家用車送迎や県外も 交付対象を拡大 高校生の通学支援金 つくば市

自転車も一律年3万円に つくば市が市内に住む高校生を対象に、2024年度から実施している遠距離通学支援金について(24年2月1日付)、同市は今年度から、交通手段と学校所在地の要件をいずれも撤廃すると発表した。家族の自家用車送迎を受けて通学する生徒や、県外の高校に通学する生徒なども交付対象になる。交付金額は昨年度は自転車通学は年間1万円、バスや鉄道は3万円だったが、今年度からは自転車通学も含め年間一律3万円とする。 つくば市は人口が増加している一方、県立高校が少なく、市外の高校に通学している生徒が多いことから、保護者らの要望を受けて、片道6キロ以上離れた高校に通う生徒を対象に市が昨年度から支援を始めた。通学距離が片道6キロ以上という要件は昨年度と変わらない。 通学手段についてはこれまで、鉄道、バス、スクールバスなど公共交通機関で通学している高校生のうち年間の通学定期代が10万円以上の生徒を対象に年3万円を交付していた。今年度からは公共交通の定期券を購入していなくても、家族の自家用車送迎を受けていたり、自転車などで通学している生徒も一律年3万円を交付する。 学校所在地についてはこれまで、県南地域やつくば市に隣接する18市町村に立地する高校に通学する生徒を対象としていたが、今年度からは学校の所在地要件を無くし、県外の高校に通学している生徒も年3万円を交付する。 市教育局教育総務課によると、片道だけバスで通学し、片道は家族の自家用車送迎を受けて通学している生徒の保護者などから、定期券ではなくバスの回数券を購入して通学しているので支援制度を利用できないなどの意見が出ていた。制度を利用できなかった保護者らの意見を聞き、要件の見直しを実施した。 通学支援金は、初年度の2024年度は2832人から申請があり、2740人が支援金を受けた。交付金額は年6260万円だった。二つの要件撤廃により2025度は利用者が約2000人増えて約4800人となり、交付額は総額1億4400万円になると想定されている。 2025年度の交付申請は7月1日から来年1月末まで、市ホームページなどから受け付ける。 つくば市に県立高校が不足している問題に取り組んでいる市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表は「これまでは自家用車での送迎などが支援対象にならず、制度が始まった当初からいろいろな声が出ていたので(今年度の要件撤廃は)前進だと思う」と話している。(鈴木宏子)

つくば市内県立高の説明会で生まれた希望《竹林亭日乗》29

【コラム・片岡英明】5月18日、つくば市役所コミュニテイー棟で行われた「第6回高校進学を考える市民の集い」(つくば市の小中学生の高校進学を考える会主催、つくば市・市教育委員会後援)には会場いっぱいの120人が参加した。第1部のつくば市内4つの県立高校の校長先生による自校の魅力紹介が圧巻だった。その説明を聞きながら、生徒や保護者に高校説明会の開催に強い希望があると感じた。 この集いでは、初めに篠塚英司つくば市副市長があいさつし、五十嵐立青市長のビデオメッセージがあった。続いて、4人の校長先生がそれぞれの学校の魅力を力強く語った。 今年着任した竹園高校の桜井良種校長は進路状況を説明した後、自分が撮った生徒の主体的な学びの様子を映しながら、学園風景を新鮮に語った。 筑波高校の鈴木恒一校長は映像を用いて、3学級の高校での細やかな指導と地元とつながる「つくばね学」を通した生徒の伸びる可能性を丁寧に語った。 つくばサイエンス高校の石塚照美校長は、科学技術科と普通科の2学科制の可能性、設備が充実した教育環境、生徒の活躍の姿を豊かに語った。 茎崎高校は担当教諭が3部制フレックス高校の7つの特徴を説明の後、𠮷田真弘校長が手厚い教育的取り組みと地域に開かれた高校の魅力を熱く語った。 校長先生の説明はライブ感いっぱいで、多くの参加者の学校理解が進み、感動していた。そして学校説明会で地元高校を知ることは、高校が地域に根づく懸け橋にもなった。 以前は、中学校ごとに生徒と保護者向けに、卒業生の進学者が多い県立・私立高校を呼んで高校説明会が行われていた。受験する可能性のある高校の話を幅広く聞き、比較対照しながら、生徒は自分の受験校を絞った。 最近、その高校説明会はなくなり、各自が夏休みに高校の説明会に参加する形になった。そのため、受験校の全体をとらえずに個別学校の説明会に参加している。夏休み前に受験校がある程度絞られていない生徒にとっては、不安が高まる高校研究の流れである。 高校が一堂に会する「場」に期待 確かに、つくば国際会議場などでも、いくつかの団体などが企画する高校説明会はある。しかし、これらは個別対応で、人気校には長い行列ができ説明が聞けない状況だ。生徒が各校の個別研究に入る一歩前の全体の学校説明の段階が必要である。 今回の説明会は、生徒と保護者が必要な基本的情報を直接入手し、受験生の学習スタートにもなると分かった。 中学3年の6月には部活動がほぼ終わり、保護者や教員は生徒が受験モードに入ることを期待するが、実際は切り替えできない生徒が多い。そのような生徒のためにも、高校説明会という「場」が必要である。 受験生を励まし、学びのスタートを切るためにも、今回の集いで行った県立高校の試験問題の解説や学習法と組み合わせた高校説明会を、ぜひ中学や地域などで夏休み前に開いてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

つくばの県立高4校が魅力を紹介 18日、市民団体が「高校進学を考える集い」

学校選択テーマ 人口増加が続くつくば市で県立高校が不足している問題を県などに訴えてきた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が18日、同市役所コミュニティ棟で「第6回つくばの高校進学を考える市民の集い」を開催する。今回は学校選択をテーマに、市内の県立高校4校の校長が各校の魅力をそれぞれ紹介するほか、片岡代表が今春の入試問題をもとに県立中学や県立高校入試にどう構えたらいいかなどを話す。 これまでの市民の集いとは趣向を変える。これまで年1回開催してきた集いは、県立高校の募集定員不足問題を考える場とし、参加者から出された意見などをもとに県教育庁に要望活動をしてきた。県議や市などと連携し牛久栄進高の学級増やつくばサイエンス高の普通科新設などを少しずつ実現してきた。一方生徒や保護者からは、募集定員不足の問題にとどまらず、「実際の高校の話を聞きたい」「中学受験をどう考えればいいのか」「通学の費用が大変」など幅広い声が出ているなどから、今回は学校選択を考える。 集いは2部構成で、第1部は高校進学説明会を開催する。筑波高、つくばサイエンス高、竹園高、茎崎高の市内4校の校長が一堂に会し、各校の魅力をぞれぞれ説明するほか、牛久栄進高が資料を配布する。 第2部は、伝統校が中高一貫校になり中学受験の波が押し寄せていることから、入試への構えのほか、伝統校の中高一貫校化によって学校選択に波紋の広がり、特に土浦一高の定数削減で受験生に何が起きているのかなどについて、元高校教員でもある片岡代表が話す。 片岡代表は「県立高校が不足しているところに土浦一高の定員削減という状況が起こり、(同校の)定員削減1年目に土浦二高と竹園高に、2年目に牛久栄進高に受験生の波が向かった。3年目の来年の入試でどこに向かうのが心配」だとし「つくばサイエンス高と筑波高校の魅力アップは地域の発展にとっても重要」とする。さらに「県は2019年の県立高校改革プランでつくばエリアの10校を26年までに2学級増やすと発表したが、実際は県立中が増えただけ。県平均の県立高校収容率で試算するとつくばエリアには30年までに12学級増が必要になり、いろいろな人の意見を出してもらって県と対話したい」と話し参加を呼び掛ける。 ◆つくば市の小中学生の高校進学を考える会は18日(日)午前10~12時、つくば市研究学園1-1-1、つくば市役所コミュニティ棟1階会議室1・2で開催。資料代300円。詳しくは電話029-852-4118(新日本婦人の会つくば支部内)へ。

土浦一高附属中受験 地元生徒数が減少《竹林亭日乗》28

【コラム・片岡英明】2024年から土浦一高の募集学級が4クラスになり、昨年の土浦市内8中学からの入学者が18人に減少したのには驚いた。土浦一高には附属中(2021年設置、定員80人)から内進生も入るので、今年の市内小学校から附属中に合格する人数に注目していた。 今年の市内小学生の土浦一高附属中への受験者は初年の21年(71人)と比べ3割減の48人、合格者は初年(25人)比5割減の12人となった。市内16小学校で12人だから、1校1人以下である。これは土浦市と土浦一高にとって大きな問題と言える。 地元の受験者減は地域にとって同高が遠い存在となり、学習目標から外れたことになる。それは、土浦一高側にとって新たな魅力発信が必要になったことを意味する。 中高一貫は教師づくりが鍵 茨城県は21年から地域の伝統高校10校に付属中を設置。一方、並木中等、古河中等に加え、勝田高を中高一貫に移行させた。その結果、県内には県立中が13校もある「中高日本一」の県となった。それに見合う教員と施設は十分だろうか。 中高一貫で成果を上げている私立校は、まず教師の個性を認め、個性豊かな教師たちがチームを組み、6年間を見通して指導を行う。卒業生を出すと担任を1年間外れ、次に新しい学年のチームをつくるサイクルがある。だから、自然に20年以上、3サイクルを体験した教師が学年の中核として育つ。 つまり、中高一貫は教師づくりが鍵だ。中高一貫を成功させるには、中心的な教師集団を育て、20年以上同一校に勤務する人事制度が必要である。学校側の安定した指導が地域に見えれば、地元との距離は近くなる。 中学校舎と体育館は必須 付属中が学年1・2学級でも、中学時代は中学の仲間と共に育つ場所が必要だ。同じフロアーに中高同居は安上がりだが、中学用の校舎と体育館は必須である。県内の市立中学では、学年が1・2学級規模でも体育館をはじめ多くの教育施設がある。 付属中を設置しても教室は増やさず、その分の高校定員を削減して調整するという構えでは、受験者減と受験生の苦労につながる。 高校を4学級から6学級に 付属中設置から5年が経ち、土浦一高・附属中の課題が少し見えてきた。「教育は百年の計」であり、始めたものを止めるわけにはいかない。ならば、受験者減の意味を受けとめ、教師の力量を高め、施設の充実をお願いしたい。 すると、県立中の環境改善は少数生徒への配慮であり、公教育としてはどうかという疑問が発生する。そこで、多くの地元の生徒のために、土浦一高の定員を4学級から6学級に戻してはどうか。 定員を増やし、教育環境を改善すれば、地域での魅力は高まる。そうすれば、多くの地元生徒が土浦一高を目標校に定めると考える。(元高校教員、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

残念だった県教育長の3月議会答弁《竹林亭日乗》27

【コラム・片岡英明】3月18日、茨城県議会の予算特別委員会で、山本美和議員(つくば市区)の県立高校定員に関する質問の様子を中継で見た(現在も視聴可)。 2022年11月議会で、当時の森作教育長が「進路選択に影響が出ないように県立高の募集定員の計画を示す」と答弁。その後、牛久栄進高の学級増、筑波高の進学クラス設置、つくばサイエンス高の普通科設置などの改善があったので、3月議会での県側答弁に期待していた。 つくば市の高校の特殊性 柳橋教育長はこの中で、①2019年改革プラン策定以降、県内各エリアの生徒数に応じて県立高募集定員の調整を行う方針である、②つくばエリアでは生徒数が増加する-この基本点を説明した。 また、つくば市からの入学者が多い土浦・牛久・下妻を加えた「拡大つくばエリア」で考えた場合、定員増は必要ないとも答弁した。つくばエリアは生徒増が見込まれるのに、エリアでの定員増は必要ないとの言葉は残念であった。山本県議の質問の背景には子どもたちの願いがある。その声に耳を傾けてほしかった。 なぜ、つくば市の多くの生徒がエリア外の隣接3市に通学するのか? つくば市内に県立高が少ないからである。今でも8学級募集の並木高(今は中高一貫)があれば、これほどの問題にはなっていない。TX開通によって生徒が増えたことで問題が顕在化した。 「拡大つくばエリア」という飛躍 柳橋教育長による説明の組み立ても気になった。まず、つくばエリアの生徒増を語り、次に「つくば市」のつくばエリア外への通学状況を説明し、そこから「拡大つくばエリア」の設定へと飛躍した。 「つくば市」を語るのであれば、構造的に県立高が不足しているつくば市の必要学級数(県平均水準)を計算してほしい。県立高を2校新設する必要性が判明する。 さらに、「拡大つくばエリア」を設定するのであれば、県全体の12エリアについても再試算する必要がある。私たちの会の試算では「土浦を除いた元の土浦エリア」で、新たに定員不足が発生する。 生徒が増えているつくばエリアに、生徒が減っている隣接3市を加え、「学級増必要なし」との試算には疑問がある。私たちは計算ではなく、現実から出発している。これからも、つくばエリアの受験生の願いを教育長に届けたい。 地域にとって魅力ある県立高を 生徒が増えるつくばエリアに学級増は必要ないと、ブランコで言えば「いったん限界まで振り切った」答弁は我々を驚かせたが、これはつくばエリアの定員を考える契機にもなった。 現状は、TX沿線に県立高新設が必要なのは明らかである。受験生の小さな声に耳を傾けると、振り切ったブランコはしかるべきところに落ち着くような気がする。 多くの生徒の関心は、募集定員だけではなく、各県立高の魅力や通学方法にも広がっている。県教育庁は、つくばの定員問題を早期に解決して、地域にとっての魅力ある県立高づくりに力を注いでほしい。(元高校教員、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

牛久栄進高の志願増と竹園高の学級増《竹林亭日乗》26

【コラム・片岡英明】つくば市内の県立高校不足に土浦一高の定員削減が重なり、つくばの受験生と保護者の不安が高まっている。つくば市からの進学者が多い土浦一高、竹園高、土浦二高、牛久栄進高への志願数を調べた。 牛久栄進の志願者が激増 今年は土浦一高4学級化の2年目。高校入試で何が起きているかを、2024年と25年の志願先変更前の志願者数で調べてみる。 削減1年目の昨年、土浦一高への志願者は222人(定員160)となり、志願先変更で208人(前年比75人減)となった。この土浦一高の定員削減のあおりを受け、土浦二高志願者が430人(定員320)、竹園高435人(定員320人)と、両校に100人以上オーバーの波がきた。 2年目の今年はどうか。土浦二高と竹園高は昨年の100人以上オーバーで難校化、今年の受験生は牛久栄進高に497人(定員360)の波となって現れた。志願先変更で466人となったが、106人の定員オーバーである。 31人という志願先変更の多さには心が痛む。多くの方に、これら生徒、保護者、教師の苦労を感じてほしい。 心配なのは、削減1年目に土浦二高と竹園高、2年目に牛久栄進高に向かった受験生の波が、3年目はどこに向かうのかだ。その受け皿として、改革が始まったつくばサイエンス高校と筑波高校に期待している。つくば市内の両高の魅力アップは地域の発展にも重要で、私たちも応援したい。 しかし、中卒生が激増し、6人に1人しか市内の県立高校に入学していないつくば市で、それだけでは不十分である。 24年からの受験生の大波は、つくばエリアの県立高校不足と土浦一高の定員削減によって生まれた波と考えている。その波の性格に注目し、大人は受験生が安心して学べる入試環境を用意する必要がある。 竹園高に2学級増を TX沿線開発で人口と子どもが増えているつくばエリアに、県立高校新設が必要なのは明らかである。県も牛久栄進高1学級増や市内3校のうち2校で対応(サイエンス高の普通科設置、筑波高の進学クラス設置)しているが、生徒増に追いつかない。そのため、生徒と保護者の期待は竹園高に向かっている。 県は2019年の高校改革プランで、当時のつくばエリアの57学級(中等4学級を含む)を、26年までに59学級にすると発表した。 25年入試では58学級だが、その1学級増は水海道一高付属中からの内進枠である。一般の高校受験枠は改革プラン実施後も53学級のままで、増加していない。この点でも学級増の必要性は高い。県はTX沿線への高校新設を検討しつつ、26年から竹園高に2学級増やし、昨年から起きた受験生の波を受けとめてほしい。 つくば市も、竹園高学級増のために校舎建設の協力を表明している。1月の県教育委員会との懇談では、県も独自の調査で校舎増設が可能であると述べた。条件は整ったと思う。今年の受験生の波を受け止め、竹園高の学級増で小中学生と保護者の希望に応えてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

つくばの県立高問題は動く? その2《吾妻カガミ》202

【コラム・坂本栄】今回は201「知事選の年、つくばの県立高問題は動く?」(2月3日掲載)の続きになります。茨城県全体としては県立高校が余っているのにつくば市では足りないというこの問題、もう少し検証する必要があると思うからです。 県、クラス増と広域通学で対応 前回の要点は、①県内12エリアで県立高が足りないのはTX沿線エリアだけである、②県はこのエリアに県立高を新設して中卒者と保護者の不安を解消すべきと私は考える、③ところが県は既存高のクラス増と近隣市高への通学勧奨で対処している、④知事はこういった場当たり策でなく抜本策を示すべきではないか―といったものでした。 その際、県がまとめた「県立高等学校の今後の募集学級数・募集定員の見込み試算」(2024年10月発表)に掲載された表(エリア別過不足一覧)と図(つくばエリア県立高一覧)を使わせてもらいました。この試算には上記③の正しさを立証しようとする表(今後8年の見込み、下に掲載)も載っています。 上の表を踏まえ、県は「(つくばエリア)7市(つくば、常総、つくばみらい、守谷、土浦、牛久、下妻)の中卒者が最大になるのは2028年であり、24年に比べると180人増える」「24年の筑波高校とつくばサイエンス高校の欠員は合計で194人」とし、今後増える中卒者は両高の余裕で吸収できるから「現行の募集定員で足りる」との結論を出しています。 つまり、サイエンス高の2学級=80人増(23年実施)、牛久栄進高の1学級=40人増(24年実施)、筑波高の進学コース設置(普通科3学級中の1学級、24年実施)、サイエンス高の普通科設置(科学技術科6学級中の3学級、25年実施)によって、つくばエリア県立高の量と質の問題は解決できるということです。 「下り坂の県」と「上り坂の市」 前回書いたように、県の見込みと不足解消策に対し「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡代表)と五十嵐つくば市長は異を唱えています。そして、TXつくば駅に近い進学校・竹園高校のクラスも増やすべきだと主張、市長は校舎増築費を市が負担してもよいと先の選挙で公約しました。県立高のキャパシティとそのコンセプトについて市と県が対立する構図です。 県全体を見ている県としてはTX沿線エリアを特別扱いできません。そこで、広域(つくばエリア7市)で問題に対処すると同時に既存高に少し手を加えるという策を立案しました。しかし、こういった場当たり策では成長エリア・つくば圏の魅力が損なわれるでしょう。 2年半前、洞峰公園問題と県立高問題を扱った139「上り坂の市と下り坂の県のおはなし」(2022年8月15日掲載)で、私は「県立高問題は、県を当てにせずに市立高をつくり、つくば市が自分で解決したらどうか」「県と市が置かれている状況と方向が違うのだから、市は県から『独立』したらどうか」と提案しました。 状況の違いとは、人口が減少し財政も楽でなくなった「下り坂の県」と、人口が増加して地域に活力がある「上り坂の市」ということです。こういった社会経済構造上の変化が県立高問題の根っこにあるような気がします。 「独立」の大風呂敷案としては、「上り坂」のつくば市を中核とする人口50万以上の政令指定都市を設け、「下り坂」の県から「独立」するアプローチが考えられます。神奈川県における横浜市のイメージです。県が示した「つくばエリア」7市の人口は合計約70万ですから50万要件はOKです。(経済ジャーナリスト)

高校受験~学校選びから学校参加へ《竹林亭日乗》25

【コラム・片岡英明】2月6日から県立高校の出願が始まる。中学生には悩みから決断のときだ。学校での面談が済み、願書提出後も悩み続ける生徒もいる。悩む時間は人生の中で貴重な体験であり無駄ではない。 学校選びで悩むのは当然である。それが止むのは、生徒自身が学校選びから学校参加に舵(かじ)を切れたときだ。高校受験は貴重な学びのチャンスで、その山や谷の中で人間が一周り大きくなる。 霞ケ浦高校に勤めていたとき、大学受験用模試の学校別成績分布の山を時々生徒に紹介した。すると多くの生徒が驚く。分布の形は各学校によって違いはあるが、トップ高も含めて多くの学校の山が重なり合っているのだ。 偏差値によって輪切りにされ、成績は重ならないと思い込んでいたが、実際は相当重なっている。「やればできるかも」と、そんな気になる。高校入試で学力など判定できない。学びは高校入学がスタートで偏差値は参考資料だ。 入学後、自分流の学習スイッチが入れば、中学の学習内容は3カ月ほどで回復できる。それまでの学習や、どの高校かなどはほとんど関係ない。入学後の学習で、各高校の成績分布も大いに変化し重なり合うのだ。 どの高校を選んでも、いや、どの高校に参加しようと決めても、学校には学ぼうとする生徒を支え応援する先生が必ずいる。安心して、高校選びから高校参加への道を進んでほしい。 筑波高・サイエンス高を支援 受験生を地元や行政も支援している。昨年12月、つくば市長との懇談の場で、市も地元高校への応援姿勢を示してほしいと、筑波高校とつくばサイエンス高校への通学支援を要請した。市長をはじめ市の職員の方々も熱心に受けとめてくれた。 市長との懇談の際、事前に高校にも話を聞き、利用者の多い「つくバス」の運行改善を要望した。つくバスや道路整備の担当課とも話し合いを持つことができた。筑波高・サイエンス高の校長先生も、独自につくバスの運行改善を市に要望した。 サイエンス高への通学路改善では、現地の聞き取り調査も行った。市長との懇談では、道路整備は地元区会の要望書も必要と指摘があった。すぐに谷田部地区の区長会の会長と懇談し、地元区会に要請した。その中で、地元区会のサイエンス高への応援の姿勢を感じた。 サイエンス高校は今年から普通科3学級が併設され、新しい「学び」を提案している。生徒の進学希望にも応えるこの学びに地元も期待している。また、筑波高では地域とつながり、地区のお祭りにも参加している。筑波高は北条地区の街づくりの核で、地域の支援や期待も高い。 高校受験生への応援活動 1月29日、私たちの会は、県に土浦一高の高入6学級体制と竹園高2学級増などを求め、教育委員会の担当者と懇談した。加えて、私たちは、つくばエリアの県立高定員枠改善のため、筑波高4学級、サイエンス高普通科5学級も視野に入れ、受験生を応援している。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

「足りてないこと数字で示したい」県試算につくば市長 県立高校不足問題

児童生徒数が増加しているつくば市で県立高校が不足している問題で、県教育庁が昨年10月「県立高校の今後の募集学級数・募集定員の見込みを試算」と題する資料を示し、「つくばエリア」(つくば、つくばみらい、守谷、常総市など)について「現時点では定員増が必要との判断に至ってない」とする方針を明らかにしたことについて(24年10月24日付、25年1月12日付)、つくば市の五十嵐立青市長は14日の定例記者会見で「(県立高校が)足りてないことを(県に対し)数字で示したい」と述べ、市としてつくば市やつくばエリアの県立高校の学級増を引き続き県に要望し協議を続けていく姿勢を示した。 五十嵐市長が昨年12月23日、つくば市の県立高校の学級増などを求めている市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)と懇談したことに関し、記者の質問に答えて、改めて市の姿勢を示した。 同市の県立高校不足問題について五十嵐市長はこれまで、昨年9月に実施した2025年度の県予算編成にあたっての要望活動の際、大井川和彦知事に対し、市内にある県立竹園高校の定員を1学年2学級80人分、3学年で6学級分増やすための校舎増築費用4~5億円を市が負担すると提案したとしているほか、翌10月に実施された市長選で、市建設費負担による竹園高校の学級増を公約に掲げた。 14日の会見で五十嵐市長は、昨年10月の県試算資料で記されたつくばエリアの状況分析について「実際にそもそも1時間というものが(通学時間の)基準として定められているが、(生徒の)通学時間をまず正確に把握し、正確なデータをもとに議論をすることが必要だと思っているので、それを市民団体と連携しながら進めていきたい」と話した。 その上で「(竹園高校の学級増という)私の公約は(増築校舎の)建設を県に提案したということだが、県としては『足りている』という認識が急に(昨年10月に)出てきたので、それに対し、足りていないということを数字できちんと示すことは大事だろうと思っている。これから実際の数字について(県と)お話をしていきたいと思っている」とした。 さらに「併せて県として今、定員割れしているところ(つくばサイエンス高と筑波高)は増員を進めているという話があったので、それについては今年の出願状況等をみてまた議論しましょうと知事と話をしているので、そういったことを継続して行っていきたい」と述べた。 この問題で市民団体は近く、県教育庁と懇談を予定している。(鈴木宏子) ➡昨年10月の県資料「県立高校の今後の募集学級数・募集定員の見込みを試算」はこちら

つくばエリアの県立高、本来8学級増《竹林亭日乗》24

【コラム・片岡英明】茨城県教育委員会は昨年10月、2030年までの「県立高校の今後の募集学級数・募集定員の見込みを試算」を発表した。その試算1によると、30年の県全体の中学卒業生は24年に比べ2141人減少する。この中卒者減に対応して、県立高の定員を1480人(37学級分)減らすとしている。 今回の試算では、中卒者減に対する県立高の定員削減率は69.1%。減少する中卒者の7割に相当する県立高定員を減らすことになる。 県の試算は3学級増 県教育庁は県内を12エリアに分け、エリアごとの学級増減も示している。これによると、県全体では県立高定員が削減されるが、つくばエリアの中卒者は逆に477人増えることから、現在58の学級数を61にする。 つくばエリアの中卒者増に対する定員増加率は25.2%となっているが、県全体の中卒者減に対する定員削減率が69.1%であるならば、つくばエリアの県立高定員増加率も同様にすべきではないか。 つくばエリアの中卒者が477人増える(24年~30年)と推計すると、その中卒者増に見合う定員増は330人(中卒者増の69.1%)になる。ということは、本来8学級増を示すべきではないか。 本来8学級増なのに、なぜ3学級増なのか? 生徒が急増しているつくば市内には県立高が少なく、3学級しか増やせないと判断したのであろう。 竹園高には2学級増を 県教育庁が2019年に発表した「改革プラン」では、つくばエリアの中卒生は440人増加する(18年~26年)と推計していた。今回試算と同様に考えると、440人増には7学級増が必要だが、当時の学級数に2学級プラスした59学級に抑えられていた。 18年~30年、つくばエリアの中卒者は747人増える。この生徒増に合わせるには12学級増が必要となる。ところがその後、つくばエリアの学級は1学級しか増えていない(57学級→58学級)。改革プランと今回試算を合わせても、4学級増(57学級→61学級)に抑えられている。このことが、多くの小中学生の高校進学の悩みの元になっている。 この2年間、牛久栄進高の1学級増、筑波高の進学コース設置、サイエンス高の普通科設置など、県立高の定員問題は改善されている。しかし、中卒者増に学級増が追いついていない。つくばエリアの中卒生増に対応するために、2026年度には県立竹園高の学級を2つ増やしてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表) ➡「県立高校の今後の募集学級数・募集定員の見込みを試算」はこちら

2025入試と筑波高の可能性《竹林亭日乗》23

【コラム・片岡英明】12月になり、受験生も学習に熱が入ってきたころだが、今回は今年度に進学コースを設置した筑波高校を中心に、来年度の県立高校入試について考えたい。 受験生の中間層が私学に流れ、県立高校の2極化現象が起きていたが、県は県立高の魅力アップを図っている。それが、つくばサイエンス高校普通科と筑波高に進学コースを設置する動きである。筑波高の魅力アップは県の県立高づくりの新しい流れといえる。 物価高と私学の高学費のために県立志向が強まり、地元の県立高がそれにどう応えるかが問われている。私学に勤めていた私は、私学助成の増額で保護者負担を軽減し、公私が学費でなく教育内容で選ばれる時代の到来を期待している。 来春、下妻一高の募集定員は1学級減の5学級となる。削られた学級分の生徒はどこへ行くのだろうか? 下妻二高への流れ起き、それに明野高の募集停止が加わり、受験生の間に大きな波が広がるのではないか? その受け皿に、進学コースを設置した筑波高がなるのか? この点がつくばの25年入試のひとつのポイントだ。 この高校の新しい芽 11月28日、筑波高を訪問して校長・教頭先生と懇談し、主に学び・青春・進路の3つの点でお話を伺った。 (1)学校の現状:ここ3年間で在校生が201→212→231と増加。今年は1年生が89人で、進学コースは11人だが、ビジネスコースの志願者が募集定員を越えた。昨年は入学4人以上の中学は5校だったが、今年は秀峰筑波18人、大穂18人、桜8人、下妻東部8人、新治6人、豊里5人、谷田部東4人、竹園東4人―と、8校に増加。125号線沿線を中心に入学地域が広がった。 (2)学習の工夫:ビジネスコースは週30時間、進学コースは火曜・木曜7時間の32時間授業。注目したのは、ビジネスコースも小規模校の特徴を生かして国数英で分割授業やTT(ティーム・ティーチング、複数教員による協力的指導)を行っている点だ。また、全教員が関わる学び直しの時間(TSI)が1年~3年に設定され、ていねいな個別指導を通して学習スイッチが入り、生徒から分かった・楽しいという声が聞かれるという。  (3)盛んな課外活動:ホームページにたくさんの楽しい写真が載っているが、文化祭や他の行事、そして「つくばね学」で地域に出て、地域の方との交流する姿に笑顔があふれている。北条の祭りへの参加やガマ口上などもユニークな体験である。来年は入学者が増え、部活や行事も豊富になると思った。 (4)進路の可能性:少人数と個別指導の充実で成績も伸びているが、つくばね学の探求が筑波高生の進路を切り開いている。最近、大学も総合型選抜が増えている。これは「自己推薦書に何を書くか」が重要で、失敗も含めて豊かな自分づくりや学びの体験があるかが問われる。地域とつながる体験は、そこでの問いを深めることを通して進路を開く可能性を持っている。 北条の街との絆 筑波高に行くと、いつも北条の街づくりとの絆を感じる。筑波高が地域にとって必要な学校となり、幅広く生徒を受け入れ、現在の定員3学級が4学級になる日は近いと感じた。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

来年の高校受験 100点アップのこつ《竹林亭日乗》22

【コラム・片岡英明】現在、中学校では志望県立高について三者面談が行われている。しかし、志望校を決めても学習はなかなか進まないものだ。そこで今回は、今年の入試問題を解説して受験生の勉強を応援したい。 2024年県立入試 24年は、受験者1万6395人、平均287.52点。科目平均は、国語66.71点、社会57.55点、数学57.57点、理科55.61点、英語50.08点。最後に発表のあった20年の標準偏差99.0を参考に標準偏差を100とする。受験偏差値は平均を50とし、偏差値1は標準偏差の1/10なので、10点である。 500点満点で、偏差値50が287点、偏差値60が387点、偏差値40が187点となる。一般的に40~60が中間層と言われ、全体の2/3を占める。偏差値には±5の誤差があるから、偏差値1点に悩む必要はない。280点の生徒はすでに330点を取る可能性があるのだ。 入試問題の特徴 茨城県は18年から、新指導要領を先取りし記述を増やした。すると、21年に「採点ミス」が発生し、県は教員1000人以上を処分した。そこで、22年から採点ミス防止のため一転して記号問題になり、24年は3年目。 大学共通テストも長文化しているが、茨城の高校入試は長文化と記号化の2つの特徴がある。最近の入試問題は長文化だけでなく図表やグラフも多い。保護者の時代と違って意地悪をしているようにも見えるが、そうではない。問題文の読みを、従来の読解から情報読みへ切り替えるよう求めている。 つまり、なぜ著者がこう書いたかという「読解」よりも、設問に関係する部分を、本文や図表からすばやく探す=「情報読み」で答えるのだ。問題を解くとは問題作成者の意図を読み取ることなので、問いの言葉が重要である。選択肢を読むとなぜか混乱するという人は、選択肢を分析し、問題作成者の工夫を見てほしい。 問題のポイント 例えば、国語で選択肢を4つ作るには、本文にA、B、2つの要素を持つ部分を探し、次のように選択肢を作る。①A〇B〇、②A〇B✕、③A✕ B〇、④A✕ B✕。受験者側はこの選択肢を2つの要素に分離し、本文に沿って正誤を判断する。その判断は自分の思いでなく、あくまでも本文による点が鍵だ。 英語は記号化した22年から難化し、24年の平均は50点台と、英語が一番低い。これは問題6の生徒を悩ませる不要語入りの並べ替え問題のためで、ここは改善が必要だ。 さて、英語は長文が山なので、長文問題の5を例に説明する。毎年、この本文の展開は同じ形で、「以前の状況-出来事-自分の変化」という感想文の形。まず、この展開を押さえる。 設問に関係する部分の探し方は、①段落に番号をつける、②固有名詞と数字をマークしながらあっさり読む、③設問に関係する部分を、マークを目印に見つける―ことが大事だ。 頑張れ!受験生 情報読みだけでは疲れてしまい、学習は深まらない。授業や自主学習では「なぜ、著者はこう書いたか」と時々立ち止まり、いわゆる「著者との対話」の時間を持ってほしい。 普段は著者の意図を深める読解を行い、試験では長文化と記号化の特徴をふまえ、今回のコラムのヒントを参考に情報読みを行えば、3カ月で100点アップは可能である。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

受験競争さらに激化も県「定員増必要ない」 県立高校不足【アングルつくば市長選’24】中

今つくば市の最大の課題の一つが、県立高校が不足している問題だ。人口が増え、子育て世帯が増加し、義務教育の小中学校などは市内のTX沿線地区に新たに7校が開校したにもかかわらず、市内の全日制県立高校の定員は中学卒業者数の6人に1人の枠しかない。市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)の調査によると、つくばの募集枠は水戸市の3分の1だ。 つくばに県立高校が不足している問題は、市民団体が2021年の市議会9月議会に出した請願をきっかけに顕在化した。以来3年間、市民団体と市選出県議、市などが一丸となって県に対し要望活動を続けてきた。にもかかわらず高校受験を控える中学3年生の受験環境は、3年前よりますます激化している。 これまでの県に対する要望活動の成果として、つくばサイエンス高校の定員が2学級80人増加、牛久栄進高校が1学級40人増加した。一方で、旧制一高に付属中が新設されたことで土浦一高の定員が2学級80人減、水海道一高が1学級40人減、下妻一高が1学級40人減となった。片や県の試算によると、つくば市の中学生は2024年から28年までに254人増え、24年から30年までに380人増える。 前提の算定方法を変更 来年度の県立高校募集定員の発表を前に、県教育庁は今月17日「県立高校の今後の募集学級数・募集定員の見込みを試算」と題する資料を明らかにした。その中で「中学校卒業者数の増加がみられるつくばエリアの状況」という項目を設け、「現時点では定員増が必要との判断には至ってない」とする方針を示した。 同資料によると、つくば市からの主な通学圏は、つくば市内の県立高校のほか、概ね片道1時間未満で通学ができる周辺市の県立高校となっている。このためつくば市の中学校卒業者数増加については、県内を12エリアに分けた「つくばTX沿線エリア」(つくば、つくばみらい、守谷、常総市、牛久市の一部など)とは別に、隣接している土浦市などの「県南北部エリア」の一部、下妻市などの「県西北東部エリア」の一部、牛久市などの「県南南部エリア」の一部を含めた7市17校(筑波、竹園、つくばサイエンス、並木中等、石下紫峰、水海道一、水海道二、伊奈、守谷、土浦一、土浦二、土浦三、土浦工業、牛久、牛久栄進、下妻一、下妻二)の入学状況を踏まえて検討するとした、 さらに、現在の推計では7市の中学校卒業者数が最大7043人となるのは2028年で、24年から180人増加する見込みだが。今年度の筑波高校、つくばサイエンス高校の欠員数の合計は194人で、中学校卒業者数だけで比較すれば現行の募集定員で足りる。魅力づくりにより筑波高とつくばサイエンス高の欠員が解消していくことを前提として28年の対象17校の入学見込みを推計したところ、2024年の募集定員の4120人に収まっている、その後は7市の中学卒業者数は減少が見込まれていることから、現時点では定員増が必要ではないーとの判断だ。背景には県全体で中学生が減少し続けていることがある。 県立高校の適正配置を考える前提として県は、県内を12エリアに分け、エリアごとに検討してきた。今回示された判断は、これまで前提としてきた県内12エリアとは別に、隣接市を含めた7市という新たなエリアを設けており、前提条件を変えるものだ。 これについて県教育庁高校教育改革推進室は「(今回示した判断は)12エリアを原則としベースとするが、エリアの実情を踏まえたもの」だとする。 校舎増築費負担提案に「費用の問題ではない」 つくば市が毎年行っている県に対する来年度予算編成要望が今年は9月5日に行われた。つくば市長は自身のSNSで、9月の予算要望の際「つくば市が既存の県立高校の校舎増築分の費用を市で負担することを提案した。例えば竹園高校を1学年2学級80名分増やすと、3学年で6学級分の建設費をつくば市で持つ」などと発信した。 市の新たな提案に対して県は「提案はあったが、そもそも費用の問題ではなく、現時点で実質的に定員増は必要ないという判断」だと、市の提案を一蹴する。 「事態は深刻に」 市民団体の片岡代表は「(県立高校が不足していることから)つくばでは県立中学を受験するために小学3、4年から塾に行くという状況になっており、その状況が今、土浦市などにも広がっている。事態は深刻になっている」と数字を示して指摘する。「この状況は社会的につくられたもの。個人の努力の問題ではない。社会が、県が、対応しなくてはならない」と話す。 県立高校が不足している問題をどうすべきなのか。▽市長選に立候補している五十嵐立青氏は「既存校の定員増を県に要望し、増設分の校舎の建設費は市で負担する提案をした。県立・私立高の誘致と県立高の定員増に向けた働き掛けをしていく」とする。▽星田弘司氏は「短期的には県立高校の募集定員増を県と交渉し、公立高校の誘致、県立高校の新設、市立高校の設置検討などあらゆる可能性を排除せずしっかり取り組む」とする。(鈴木宏子) 県立高校不足問題をめぐる最近の動き2021年4月 県立土浦一高に付属中併設、定員減2021年10月 市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」が市議会に出した県立高校新設や既存校の定員増などを求める意見書採択を求める請願が全会一致で採択2022年4月 水海道一高、下妻一高に付属中新設、定員減2022年12月 大井川和彦知事が県総合教育会議で「つくば市立高校をつくってはどうか」と発言2022年12月 つくば市などへの県立高校の新設や既存校の定員増などを求める県議会請願が継続審査に2023年4月 つくばサイエンス高を2学級増2024年4月 牛久栄進高を1学級増、筑波高校に進学対応コースを1学級新設2024年4月 つくば市が高校生に通学費補助など開始2025年4月 つくばサイエンス高に普通科を3学級新設

レスリングの大沢友博さんを悼む《竹林亭日乗》21

【コラム・片岡英明】9月12日、霞ケ浦高校でレスリング部の監督をしていた大沢友博さんが69歳で亡くなった。日本レスリング協会はすぐに「高校レスリング界に不滅の金字塔~大沢友博氏が死去」とHPに掲載。告別式には教え子の樋口黎さん(2014年卒)のパリでの金メダルを胸にかけた写真が飾られた。大沢さんの努力がパリまで届いたなと感じた。 世間では「高校レスリング界の名匠」(レスリング協会のHP)と称されていたが、今回コラムでは大沢友博さんを悼むとともに、彼のレスリング部での出発点を紹介し、若手教師を励ましたい。 体育館の片隅のマット2枚から 大沢さんは1977年、霞ケ浦高校の教諭となった。私も同期で、共に定年まで勤めた。1980年の最初の卒業生は、彼が3組、私は4組の担任。テストの採点をしながら、遅くまで職員室で語り合った。 最初は柔道部顧問だったが、彼はすぐにレスリング部づくりを始めた。八丈島出身で、東京の正則高校から日本体育大学に進んだ彼は、八丈島のレスリング道場で体験した厳しさの中にある楽しさを、部活を通して生徒に伝えようとしていた。 最初の年の夏前には、体育館の隅に体操用マット2枚を広げ、担任に「この生徒を私が面倒みます」と、3人ほど集めて練習を開始。すると部員たちが大きく成長し、大沢さんの指導力を皆が認めた。 部活の伝統校などでは、すでに道があるところを歩む教師が多い。また、部活の顧問から練習条件が悪いと「これでは練習できない」との愚痴も聞く。しかし、彼は部活がないところで、体育館のマット2枚からレスリング部を始め、部員も一人ひとりに声をかけ、自分で集めた。 「やってみなはれ!」の精神 現在、文科省は探求心や創造性を生徒・教師に求めている。創造性を求めるとは「やってみなはれ!」の精神で教師のチャレンジを学校が受けとめるということだ。それならば、愚痴のひとつも言いたい学校の中でも、今こそ教師自身の創造性を発揮するときではないか。 多忙な毎日と管理疲れを癒すには、問いかけに始まる対話を通して生徒の願いをつかむことにある。大沢さんのように、どこか一点からでもチャレンジし、目の前の授業や部活で個性的な実践に取り組んでほしい。生徒・保護者はそれを待っている。「やってみなはれ!」 2年目には、シューズやウエアも整え、レスリングのマットシートも用意された。その後、武道館ができて旧柔道場がレスリング道場となった。その古い木造の道場から大沢レスリング部は10年目の1986年インターハイで優勝した。 悪条件の中でも、いつも生徒と汗を流し、応援する教職員を増やした。そうして、レスリングの自分の原点を次の世代につなげようと、体育館の片隅のマット2枚からパリの金メダルまで突き抜けたのだ。 葬儀で息子さんが「レスリングの生徒はどこかいいところがあるんだよ」との言葉を紹介した。その言葉には、生徒へのぬくもりや可能性への深い信頼が現れているような気がした。大沢友博さん、ありがとう。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

つくば・土浦地区トップ2高の学級増を《竹林亭日乗》20

【コラム・片岡英明】前回(8月13日掲載)は、今年の土浦市立8中学から土浦一高への入学者が18人に激減したと書いた。つくば市の高校受験も、牛久栄進高の学級増や市内のサイエンス高の普通科併設などで改善はしたものの、受験者の増加に追い付かず、状況はさらに深刻といえる。 まず、竹園高校を例に解決策を考えたい。つくば市内中学生の県立高校への入学者を、上位4校について見ると、以下のようになる。      22年  23年  24年竹園高校 222   200   185牛久栄進 127   129   150土浦一高  92   88   70(募集学級 6    6    4)土浦二高  89   113   124 土浦一高の募集減のため、市外からの竹園高への入学者が増え、今年の市内入学者は3年前に比べ37人減った。今年から1学級増えた牛久栄進高へは前年より21人増えた。募集学級が減った土浦一高へは3年前より22人減り、土浦二高へは35人増えた。結果、つくば市からトップ2高(土浦一高と竹園高)への入学者は59人減った。 竹園高への市外入学増と土浦一高の定員削減の両挟みに遭い、進学の悩みが土浦一高・竹園高受験者だけでなく、中学生全体に広がっていると言える。この推移を過去5年について見ると以下のようになる。      20年 21年 22年 23年 24年竹園高校 185  188  222  200  185牛久栄進 129  127  127  129  150土浦一高 109  119  92  88  70(募集学級  8   7   ...

土浦一高は地元中学生に遠い存在?《竹林亭日乗》19

【コラム・片岡英明】土浦の中学生は市内に全日制県立高校が5校あり、高校受験には恵まれていた。それが、土浦一高の付属中設置以降大きく変わった。今回はその現状と受験生への応援策を考えたい。ただし、附属中設置の是非については論じない。 2024年の高校受験では、土浦市立中学8校の卒業生1103人のうち、426人(全卒業生の38.6%)が市内の5県立高校に入学。その人数と比率は、つくば市の市立中卒業生2174人が市内の県立高3校に入った人数302人(同13.9%)に比べると、土浦の比率はつくばの約3倍になる。 土浦の中卒生が進学した県立高を多い順に見ると、①土浦三高115人、②土浦湖北110人、③土浦工業99人、④土浦二高84人、⑤石岡一高・二高各35人、⑥土浦一高(定時)28人、⑦牛久栄進25人、⑧土浦一高18人、⑨竹園高16人―となる。 土浦一高は20年まで8学級を募集していたが、附属中学設置に伴い、21年には7学級、22年、23年には6学級になり、24年からは4学級に減った。地域の伝統校として学習面で成果を上げていた土浦一高は、今や土浦の中学生にとってはランク8位の遠い存在となった。 県は近年、地域の伝統校の定員を削減し、受験生を悩ませている。23年で見ると、土浦の中卒生の土浦一高入学はたった37名だった。 そこで我々は、24年の高校募集を4学級にすると、地元土浦からの入学者が20名ぐらいになると心配し、6学級体制を維持するよう県に求めた。しかし、付属中を併設しても中学用の校舎は建てないとの理由で、中学+高校=24学級体制は変えないとして、高校は4学級に削減された。 上の3パラグラフで示したように、今年、土浦の市立中から土浦一高に進んだ生徒が18人とは、ある意味ショックである。 土浦在住者の高校受験の悩み 土浦一高に入学する市町村別出身者(24年)は、つくば70人、牛久27人、土浦18人、かすみがうら11人、取手8人、阿見・守谷各6人―などとなっている。高校4学級移行を受け、土浦の受験生は土浦一高を敬遠し、牛久よりも入学数が少なかった。県は、土浦の受験生の悩みを汲み取ってほしい。 24年、土浦一高附属中Ⅰ期生80人が内部進学した。土浦一高への高入生に附属中からの内進生を加えると、つくばが高入生70人+内進生29人=99人、牛久が同27人+同10人=37人、土浦が同18人+同26人=44人と、土浦は牛久よりも多い。 土浦一高入学後3年間の学習で十分間に合うのに、土浦の中学生には定員が削減された土浦一高を避ける傾向が生まれているのだろうか? 受験生は伝統校の学びをもっと信頼してほしい。 しかし、「高校からでも大丈夫」との励ましも、土浦一高が内進生に焦点を当てた教育をするならば、高入生の学びは不安になる。今後、①高校を6学級に戻す、②附属中校舎を建て、教育環境を改善する、③入学後は内進生・高入生全員に青春・学び・進路に配慮した教育をする―ことを検討してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

つくばサイエンス高校訪問記《竹林亭日乗》18

【コラム・片岡英明】県立つくばサイエンス高校はつくば市内の生徒割合が近年増加している。来年からの普通科設置で多くの生徒の受験対象校となり、地元での存在価値が問われる高校となったといえる。 同校のつくば市内の生徒割合は以下の通りである。 年  度 2020 2021 2022 2023 2024定  員  160  160  160  240  240入  学  157  150  134  88  77つくば市  76  80  73  53  53割  合 48.4 53.3 54.4 60.2 68.3 私たちは、5月23日、それから6月14日と27日、サイエンス高を訪問し、先生方と懇談した。今回は、この懇談を通して感じた同高校の可能性や魅力について考えたい。 サイエンス高の良さと課題 訪問前は、パンフレットから硬いイメージを持っていた。まず、私たちは昨年1期生の88人がどう学び、何人が2年生に進級したかに注目した。受験者全員合格なので、多様な生徒が入学し、教育的な苦労を想像していたからだ。 しかし、2年の在籍者は84人。退学や進路変更者も少なく、生徒がそれぞれ楽しく学び、教師と生徒の対話、生徒同士の語り合いの場があることが分かった。全体的として、生徒をていねいに教えていた。少人数の学級が功を奏し、入学後の生徒の満足度も高いことが分った。 このような入学後の生徒たちの学ぶ姿を、ぜひ地域へ発信してほしいと思う。 パンフレットなどでは受験生に高い意欲を求めているので、それが受験減につながるのではないかと少し心配していた。しかし、高いハードルを越えて、2年間、70~80人の科学技術に意欲のあるコアな生徒が入学した。これは今後の土台になる新設高校の準備期間を含めた成果といえる。 今後、学校全体の魅力をハードからソフトへ、コアからその周辺に広げる視点を持てば、科学技術科120人の定員確保は2025年度入試からでも可能であると思う。気になる点は、科学技術科は当初から週34時間(週4回7時間)設定だが、普通科はどのような教育課程なのかである。 2学科制発足の学校案内では「4年制大学進学重視単位制高校」と高らかにうたっている。オープンスクールでも、この具体的な説明が要のひとつとなる。 オープンスクールで魅力発信を 懇談では、新設の普通科も週34時間体制との説明を受けた。これは週31時間・55分授業の牛久栄進校と授業時間で遜色ない。それどころか、授業を5分伸ばすよりも1週間の英数国などの授業数を増やした方が学習効果は上がる。生徒も教師も大変だが、地域の声に応えようとするサイエンス高の努力に期待したい。 サイエンス高の魅力を上げると、①2学科制の幅広い学びある、②全学年がサイエンス高校生で学校が一新、③広いキャンパスでの充実した教育施設の中、楽しい友との出会いや共に進路を考える時間がある―ことである。 魅力ある学校づくりとは、学ぶ生徒の視点であり、地域にとって必要な学校になるということだ。成功するかどうかは、どれだけ多くの教職員が学校づくりを自分事として参画するかにある。そんな魅力ある学校づくりを見たいと思い、8月10日のオープンスクールを申し込んだ。 オープンスクールでは、生徒と教職員が共同で学校の魅力を発信してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代長)

25年入試から竹園高の募集定員増を《竹林亭日乗》17

【コラム・片岡英明】本サイトの「来年度から半分の3学級を普通科に-つくばサイエンス高」(5月24日掲載)の記事は受験生にとって朗報である。多くの方から喜びの声が上がっている。 4日後の28日、私たちの会は県に6回目の要望書を提出した。その際、①県がサイエンス高の学級編成を設置2年で見直したこと、②普通科を2学級でなく3学級確保したこと、③昨年の筑波高・牛久栄進高の学級編成発表より2カ月早く公表したこと-を評価し、その上で更なる改善を求めた。 サイエンス高校への普通科設置発表後、私たちの会員などから「竹園高の学級増が必要」「せめて1学級でも増やしてほしい」といった声が出ていた。これを踏まえ、要望書を渡した後の県教育委との懇談の場では、つくばエリアでの県立高不足の抜本的解消策のほか、当面の具体策としては2025年度入試からの竹園高の2学級増を求めた。 次の次は県立高の新設が必要 つくばエリアの県立高校定員増要求に対し、県はこれまで「つくば市内に定員割れの県立高があるので、その解消を優先したい」と応じてきた。 そのため、竹園高の学級増は「定員割れ」問題の影に隠れていたが、筑波高の進学コース設置(昨年)とサイエンス高の普通科設置(今年)が実現したことで、受験生・保護者、そして私たちの会員の関心は竹園高の定員増に向かっている。 元々、つくば市内既存校の定員割れ問題とつくばエリアの県立高定員不足問題はあまり関連がない。生徒が増えているのに、県は既存高の定員割れ解決を理由に、つくばエリアの構造的な問題(県立高校定員不足)の解決を先延ばしにしてきた。これに、近年の県立中設置に伴う土浦一高・水海道一高・下妻一高などの定員削減が加わり、受験生にとって入学枠の問題がかなり深刻になっている。 県がサイエンス高に普通科を設置することは、進学先に悩む生徒・保護者にとって好ましい対応と言える。これを契機に、竹園高の定員増(当面の策)を直ちに行い、つくばエリアの県立高新設(抜本策)への道が開けることを期待したい。 改善計画を示すべき 県の発表では、サイエンス高に普通科を設置するものの、定員は増やさない。そこで、つくば市内の県立高定員増策として、来年度入試から、竹園高の2学級増を求めたい。県は「高校改革プラン2019.2」で「エリアの生徒数に応じて募集学級数を調整する」と言っており、つくばエリアの必要学級数を算出し、改善計画を示すべきである。  私たちの試算では、県立高定員を県平均水準にするには、現状で15学級、2030年までにさらに10学級必要である。これには高校を新設しなければ対応できないが、当面の対応=竹園高学級増=は、生徒や保護者の願いである。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

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