【コラム・片岡英明】5月18日、つくば市役所コミュニテイー棟で行われた「第6回高校進学を考える市民の集い」(つくば市の小中学生の高校進学を考える会主催、つくば市・市教育委員会後援)には会場いっぱいの120人が参加した。第1部のつくば市内4つの県立高校の校長先生による自校の魅力紹介が圧巻だった。その説明を聞きながら、生徒や保護者に高校説明会の開催に強い希望があると感じた。
この集いでは、初めに篠塚英司つくば市副市長があいさつし、五十嵐立青市長のビデオメッセージがあった。続いて、4人の校長先生がそれぞれの学校の魅力を力強く語った。
今年着任した竹園高校の桜井良種校長は進路状況を説明した後、自分が撮った生徒の主体的な学びの様子を映しながら、学園風景を新鮮に語った。
筑波高校の鈴木恒一校長は映像を用いて、3学級の高校での細やかな指導と地元とつながる「つくばね学」を通した生徒の伸びる可能性を丁寧に語った。
つくばサイエンス高校の石塚照美校長は、科学技術科と普通科の2学科制の可能性、設備が充実した教育環境、生徒の活躍の姿を豊かに語った。
茎崎高校は担当教諭が3部制フレックス高校の7つの特徴を説明の後、𠮷田真弘校長が手厚い教育的取り組みと地域に開かれた高校の魅力を熱く語った。
校長先生の説明はライブ感いっぱいで、多くの参加者の学校理解が進み、感動していた。そして学校説明会で地元高校を知ることは、高校が地域に根づく懸け橋にもなった。
以前は、中学校ごとに生徒と保護者向けに、卒業生の進学者が多い県立・私立高校を呼んで高校説明会が行われていた。受験する可能性のある高校の話を幅広く聞き、比較対照しながら、生徒は自分の受験校を絞った。
最近、その高校説明会はなくなり、各自が夏休みに高校の説明会に参加する形になった。そのため、受験校の全体をとらえずに個別学校の説明会に参加している。夏休み前に受験校がある程度絞られていない生徒にとっては、不安が高まる高校研究の流れである。
高校が一堂に会する「場」に期待
確かに、つくば国際会議場などでも、いくつかの団体などが企画する高校説明会はある。しかし、これらは個別対応で、人気校には長い行列ができ説明が聞けない状況だ。生徒が各校の個別研究に入る一歩前の全体の学校説明の段階が必要である。
今回の説明会は、生徒と保護者が必要な基本的情報を直接入手し、受験生の学習スタートにもなると分かった。
中学3年の6月には部活動がほぼ終わり、保護者や教員は生徒が受験モードに入ることを期待するが、実際は切り替えできない生徒が多い。そのような生徒のためにも、高校説明会という「場」が必要である。
受験生を励まし、学びのスタートを切るためにも、今回の集いで行った県立高校の試験問題の解説や学習法と組み合わせた高校説明会を、ぜひ中学や地域などで夏休み前に開いてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)