火曜日, 4月 30, 2024
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つくば市の小中学生の高校進学を考える会 -検索結果

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私学の学費補助590万円の崖《竹林亭日乗》6

【コラム・片岡英明】昨年11月の茨城県議会で、県の森作宜民教育長は「中学生の進路選択に影響がないよう学級増の計画を示す」と答弁し、中学生徒に期待を持たせた。そして3月の県議会で、星田弘司県議がその計画を示すように求めた。 すると教育長は、つくば市の中学生がエリア内外の県立高校のほか、「私立学校などを含めた多様な選択肢の中から学校を選んで通学している」と、県立高学級増の計画を示さず、足踏みの答弁をした。 生徒の声に応え、つくばエリア県立高の入学枠を県平均水準まで引き上げる決断を示す場面なのに、後ろ向きであった。まるで、①定員割れの県立高に行って②交通費がかかるエリア外の高校も考えて③授業料は高いが私学もある―と聞こえる。 県が焦点をずらしているので、私たちの学習も、県立高の魅力アップ、通学やスクールバス問題、さらに私学の学費問題へと広がった。そこで、今回は私学の学費補助について考える。 私立高への学費補助の現状 私学振興助成法が1975年に成立し、私学への経常費助成が始まった。主な私学助成は、①学校運営のための経常費助成②生徒への授業料補助③生徒への入学金補助―の3つから成る。 <経常費助成> 茨城の2023年度の経常費助成(私立高校生1人当たり)は、国からの35万4027円に県の2万3505円を加えて、37万7532円である。 公立高校は生徒1人当たり約120万円の経費がかかると言う。その運営経費と私学経常費助成の差が保護者負担となり、私学の高学費を生んでいる。 昨年の茨城の私立高校初年度納入金は平均81万9691円である(内訳:授業料38万4875円、入学金18万3958円、施設費25万0858円=文科省学校基本調査)。 <授業料補助> 国は2010年度からの年収910万円未満の世帯に11万8000円支給することを始めた。さらに2020年度から、私立高校生に対する就学支援策を拡充させ、授業料部分について、年収590万円未満世帯には39万6000円の学費補助を開始した。 <入学金補助> 国と連動して各県も入学金補助を始め、茨城の場合は2017年度から年収350万円未満の世帯には9万6000円、同590万円未満の世帯には4万8000円の入学金補助を開始した。 私学もあると言うなら「崖」の解消を 国の授業料補助が年収590万円を境に低下することから、「590万円の崖」が発生、保護者負担が急増する。そのため各県は国の支援策充実に合わせ、それまで独自に行っていた授業料助成の仕組みを変え、年収基準緩和、補助額アップなどにより、崖の解消に努めた。 関東都県を見ると(独自加算分は県内在住のみ)、▽東京:年収910万まで46万9000円、▽埼玉:同500万まで59万6000円、同700万まで38万7000円、▽千葉:同590万まで52万2000円、同800万まで24万1000円、▽神奈川:同590万まで45万6000円、同700万まで19万3000円、▽群馬:同590~910万まで16万5120円。 茨城は、それまでの県独自の加算を都・他県のように授業料補助アップに切り替えず、県加算をやめた。そのため、私学の授業料補助は国の就学支援のみとなり、都・他県と比べ「590万の崖」は急になった。 高校進学前の中学生に「私学もある」と言うのなら、県は「590万の崖」を全力で解消してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

私学の学費補助590万円の崖《竹林亭日乗》6

【コラム・片岡英明】昨年11月の茨城県議会で、県の森作宜民教育長は「中学生の進路選択に影響がないよう学級増の計画を示す」と答弁し、中学生徒に期待を持たせた。そして3月の県議会で、星田弘司県議がその計画を示すように求めた。 すると教育長は、つくば市の中学生がエリア内外の県立高校のほか、「私立学校などを含めた多様な選択肢の中から学校を選んで通学している」と、県立高学級増の計画を示さず、足踏みの答弁をした。 生徒の声に応え、つくばエリア県立高の入学枠を県平均水準まで引き上げる決断を示す場面なのに、後ろ向きであった。まるで、①定員割れの県立高に行って②交通費がかかるエリア外の高校も考えて③授業料は高いが私学もある―と聞こえる。 県が焦点をずらしているので、私たちの学習も、県立高の魅力アップ、通学やスクールバス問題、さらに私学の学費問題へと広がった。そこで、今回は私学の学費補助について考える。 私立高への学費補助の現状 私学振興助成法が1975年に成立し、私学への経常費助成が始まった。主な私学助成は、①学校運営のための経常費助成②生徒への授業料補助③生徒への入学金補助―の3つから成る。 <経常費助成> 茨城の2023年度の経常費助成(私立高校生1人当たり)は、国からの35万4027円に県の2万3505円を加えて、37万7532円である。 公立高校は生徒1人当たり約120万円の経費がかかると言う。その運営経費と私学経常費助成の差が保護者負担となり、私学の高学費を生んでいる。 昨年の茨城の私立高校初年度納入金は平均81万9691円である(内訳:授業料38万4875円、入学金18万3958円、施設費25万0858円=文科省学校基本調査)。 <授業料補助> 国は2010年度からの年収910万円未満の世帯に11万8000円支給することを始めた。さらに2020年度から、私立高校生に対する就学支援策を拡充させ、授業料部分について、年収590万円未満世帯には39万6000円の学費補助を開始した。 <入学金補助> 国と連動して各県も入学金補助を始め、茨城の場合は2017年度から年収350万円未満の世帯には9万6000円、同590万円未満の世帯には4万8000円の入学金補助を開始した。 私学もあると言うなら「崖」の解消を 国の授業料補助が年収590万円を境に低下することから、「590万円の崖」が発生、保護者負担が急増する。そのため各県は国の支援策充実に合わせ、それまで独自に行っていた授業料助成の仕組みを変え、年収基準緩和、補助額アップなどにより、崖の解消に努めた。 関東都県を見ると(独自加算分は県内在住のみ)、▽東京:年収910万まで46万9000円、▽埼玉:同500万まで59万6000円、同700万まで38万7000円、▽千葉:同590万まで52万2000円、同800万まで24万1000円、▽神奈川:同590万まで45万6000円、同700万まで19万3000円、▽群馬:同590~910万まで16万5120円。 茨城は、それまでの県独自の加算を都・他県のように授業料補助アップに切り替えず、県加算をやめた。そのため、私学の授業料補助は国の就学支援のみとなり、都・他県と比べ「590万の崖」は急になった。 高校進学前の中学生に「私学もある」と言うのなら、県は「590万の崖」を全力で解消してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

つくば中学受験事情 分析事始め《竹林亭日乗》5

【コラム・片岡英明】5月の「つくば子どもと教育相談センター」総会で県立高校問題を5分ほど話した。すると参加者から中学受験の質問があり、それを契機に話し合いが盛り上がった。そこで今回は中学受験について考える。 中学受験の背景 つくば市は人口増の中、県立高校が削減され、そこにTX沿線開発で小中学生が激増。さらに2020年から県立付属中設置で高校入学枠の削減が追い打ちをかけた。つくば市の小中学生は自分の進路の選択肢が狭くなり、そのために中学受験に目が向いているのか。 中学受験に対する首都圏からの転入増の影響はどうか。東京の全日制高校は186校の都立より245校の私立の方が多く、その割合は4対6。私学の流れが強い。さらに187校ある私立中の133校(71%)が中高一貫。東京の中学受験の文化がつくば市にも流入しているのか。 しかし、生徒や保護者が知りたい中学受験に関して冷静な情報は少なく、素朴な疑問が解消されないまま、塾ベースの宣伝や口コミに流される傾向がある。そのため保護者にも不安がある。 そこで、「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」は6月の学習会で、つくばの県立高校不足の周辺の問題としてデータに基づいて中学受験についても考えることにした。 中学進学者の推計 まず、最初のデータでつくば市の中学進学数を捉える。つくば市ホームページのopen data(オープンデータ)で前年の小6と次年度の市立中1年の生徒数の差を調べる。これを県立中学、県内私立中、県外私立中などへの中学進学者数とする。もちろん小学卒業時の転出や中学1年の転入もあるので概数である。 <6年間の中学進学者の推移> ▽2018年:中1=1940人、前年小6=2193人。差は253人(11.5%) ▽2019年:差は285人(12.3%) ▽2020年:差は249人(10.4%) ▽2021年:土浦一高が付属中募集開始。差は304人(12.3%) ▽2022年:水海道一高・下妻一高も付属中募集開始。差は331人(12.8%) ▽2023年:中1=2155人、前年小6=2506人。差は351人(14.0%) <上の数字から言えること> ▽つくば市では中学進学者が人数・割合ともに増加傾向 ▽23年は18年より中学進学者が約100人増 ▽22年の小6は17年より313人多く、中学進学増は小学生増に伴う面も ▽正確に把握するには転出などを含む資料や中学別の分析が必要 中学受験 学びの視点 中学受験は、つくばの生徒増・県立高不足・県立中設置・東京などの影響以外にも、生徒・保護者の希望、通学条件や費用負担、私立中や塾の指導など多くの要素が絡んでおり、単純な評価・批判はなじまない。 今は中学受験の論評よりも現状把握が先決である。子どもの気持ちを大事にしながら、まず情報を集め、丁寧に語り合うことから始めてほしい。 小中学生の学びの要点は何か? それはどこで学びのスイッチが入るかにある。生徒に学びのスイッチが入れば、高校や過去の成績に関係なく大きく伸びていく姿を見てきた。ゆえに中学受験を生徒にとっての学びの視点で考えてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

つくば中学受験事情 分析事始め《竹林亭日乗》5

【コラム・片岡英明】5月の「つくば子どもと教育相談センター」総会で県立高校問題を5分ほど話した。すると参加者から中学受験の質問があり、それを契機に話し合いが盛り上がった。そこで今回は中学受験について考える。 中学受験の背景 つくば市は人口増の中、県立高校が削減され、そこにTX沿線開発で小中学生が激増。さらに2020年から県立付属中設置で高校入学枠の削減が追い打ちをかけた。つくば市の小中学生は自分の進路の選択肢が狭くなり、そのために中学受験に目が向いているのか。 中学受験に対する首都圏からの転入増の影響はどうか。東京の全日制高校は186校の都立より245校の私立の方が多く、その割合は4対6。私学の流れが強い。さらに187校ある私立中の133校(71%)が中高一貫。東京の中学受験の文化がつくば市にも流入しているのか。 しかし、生徒や保護者が知りたい中学受験に関して冷静な情報は少なく、素朴な疑問が解消されないまま、塾ベースの宣伝や口コミに流される傾向がある。そのため保護者にも不安がある。 そこで、「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」は6月の学習会で、つくばの県立高校不足の周辺の問題としてデータに基づいて中学受験についても考えることにした。 中学進学者の推計 まず、最初のデータでつくば市の中学進学数を捉える。つくば市ホームページのopen data(オープンデータ)で前年の小6と次年度の市立中1年の生徒数の差を調べる。これを県立中学、県内私立中、県外私立中などへの中学進学者数とする。もちろん小学卒業時の転出や中学1年の転入もあるので概数である。 <6年間の中学進学者の推移> ▽2018年:中1=1940人、前年小6=2193人。差は253人(11.5%) ▽2019年:差は285人(12.3%) ▽2020年:差は249人(10.4%) ▽2021年:土浦一高が付属中募集開始。差は304人(12.3%) ▽2022年:水海道一高・下妻一高も付属中募集開始。差は331人(12.8%) ▽2023年:中1=2155人、前年小6=2506人。差は351人(14.0%) <上の数字から言えること> ▽つくば市では中学進学者が人数・割合ともに増加傾向 ▽23年は18年より中学進学者が約100人増 ▽22年の小6は17年より313人多く、中学進学増は小学生増に伴う面も ▽正確に把握するには転出などを含む資料や中学別の分析が必要 中学受験 学びの視点 中学受験は、つくばの生徒増・県立高不足・県立中設置・東京などの影響以外にも、生徒・保護者の希望、通学条件や費用負担、私立中や塾の指導など多くの要素が絡んでおり、単純な評価・批判はなじまない。 今は中学受験の論評よりも現状把握が先決である。子どもの気持ちを大事にしながら、まず情報を集め、丁寧に語り合うことから始めてほしい。 小中学生の学びの要点は何か? それはどこで学びのスイッチが入るかにある。生徒に学びのスイッチが入れば、高校や過去の成績に関係なく大きく伸びていく姿を見てきた。ゆえに中学受験を生徒にとっての学びの視点で考えてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

「十五の春に泣く学園都市」つくば 《竹林亭日乗》4

【コラム・片岡英明】つくば学園都市の県立高校不足。このありえない問題を何とか解消したいと模索している。4月26日、茨城県の森作宜民教育長へ3回目の要望書を提出し、高校改革推進室と2時間ほど懇談した。つくば市選出の県議の皆さんも、この問題を議会で取り上げているが、教育長の答弁には揺れがある。 ▽つくばエリアは生徒増だが、周辺エリアを含めると生徒減(2022年3月) ▽つくばエリアに土浦・牛久・下妻エリアを含めると、生徒増(2022年11月) ▽つくばエリアの生徒増より、周辺の生徒減が大(2023年3月) データ公開と基準設定をスタートに生徒増を議論するのに、その範囲が変動しては議論が進まない。また、生徒増算定の基準年が毎年移動し、2030年までの生徒増数も変動する。 北海道が高校の4~8学級の適正規模の発想をやめた(茨城もやめた)と聞き、道教委HPの「公立高校配置計画」(2022年9月) を調べた。茨城県の「高校改革プラン」(2019年2月)には、生徒数などの基本データの記載がないが、北海道には2022年基準の生徒数、エリア生徒数、道立高の収容率などのデータがある。 北海道はアンケート調査結果も公開。その2問目で希望学科を問い、普通科希望が多いことを確認し、学級増減を計画している。茨城県もアンケート調査を実施したが、その結果はHP上にはなく、文書開示で調べると、希望学科の問いがない。 県は普通科増は困難と思っている? 生徒が急増しているつくば市で、なぜ定員割れのつくばサイエンス高が学級増なのか疑問だったが、少し謎が解けた。アンケートを取れば、当然、普通科の学級増希望となる。 しかし、つくば市は県立高が削減されて少なく、普通科で受験生が多いのは竹園高のみ。その竹園高は8学級。所狭しと校舎が建ち、2学級増となれば校地拡張と校舎新設が必要だ。普通科の牛久栄進高も8学級で、2学級増は困難と考え、つくば工科の学級を増やしたのではないか? つくばエリアに県立高は10あるが、いずれも学級増は困難。並木中等の高校2学級増には、校地拡張と校舎建設に加え、教育課程の変更も必要になる。茎崎校は定時制であり、全日制を入れるのは困難だ。 森作教育長の「進学先を確保し、中学生の進路選択に影響がないよう計画を示す」との答弁(2022年11月)を受け、つくばエリアの不足学級数を算出してみた。すると、現時点で15学級不足、2030年までに25学級増が必要―と判明した。 どうするか? つくば市の県立高の現状をみると、学級増だけを求めるのは不誠実だ。そこで私たちは。学級増の一つの形態として、高校新設も含めた次の3案を県に提案した。①困難だが学級増だけ、②学級増+1校新設、③学級増+2校新設―だ。 県も、現在の中学生のために、データを共有化し、学級増計画を早急に示してほしい。「十五の春に泣く学園都市」の汚名返上がつくば市の緊急課題であり、この問題の解決が茨城の発展にもつながることを、多くの方に知ってほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表) ➡片岡英明さんの過去のコラムはこちら

「十五の春に泣く学園都市」つくば 《竹林亭日乗》4

【コラム・片岡英明】つくば学園都市の県立高校不足。このありえない問題を何とか解消したいと模索している。4月26日、茨城県の森作宜民教育長へ3回目の要望書を提出し、高校改革推進室と2時間ほど懇談した。つくば市選出の県議の皆さんも、この問題を議会で取り上げているが、教育長の答弁には揺れがある。 ▽つくばエリアは生徒増だが、周辺エリアを含めると生徒減(2022年3月) ▽つくばエリアに土浦・牛久・下妻エリアを含めると、生徒増(2022年11月) ▽つくばエリアの生徒増より、周辺の生徒減が大(2023年3月) データ公開と基準設定をスタートに生徒増を議論するのに、その範囲が変動しては議論が進まない。また、生徒増算定の基準年が毎年移動し、2030年までの生徒増数も変動する。 北海道が高校の4~8学級の適正規模の発想をやめた(茨城もやめた)と聞き、道教委HPの「公立高校配置計画」(2022年9月) を調べた。茨城県の「高校改革プラン」(2019年2月)には、生徒数などの基本データの記載がないが、北海道には2022年基準の生徒数、エリア生徒数、道立高の収容率などのデータがある。 北海道はアンケート調査結果も公開。その2問目で希望学科を問い、普通科希望が多いことを確認し、学級増減を計画している。茨城県もアンケート調査を実施したが、その結果はHP上にはなく、文書開示で調べると、希望学科の問いがない。 県は普通科増は困難と思っている? 生徒が急増しているつくば市で、なぜ定員割れのつくばサイエンス高が学級増なのか疑問だったが、少し謎が解けた。アンケートを取れば、当然、普通科の学級増希望となる。 しかし、つくば市は県立高が削減されて少なく、普通科で受験生が多いのは竹園高のみ。その竹園高は8学級。所狭しと校舎が建ち、2学級増となれば校地拡張と校舎新設が必要だ。普通科の牛久栄進高も8学級で、2学級増は困難と考え、つくば工科の学級を増やしたのではないか? つくばエリアに県立高は10あるが、いずれも学級増は困難。並木中等の高校2学級増には、校地拡張と校舎建設に加え、教育課程の変更も必要になる。茎崎校は定時制であり、全日制を入れるのは困難だ。 森作教育長の「進学先を確保し、中学生の進路選択に影響がないよう計画を示す」との答弁(2022年11月)を受け、つくばエリアの不足学級数を算出してみた。すると、現時点で15学級不足、2030年までに25学級増が必要―と判明した。 どうするか? つくば市の県立高の現状をみると、学級増だけを求めるのは不誠実だ。そこで私たちは。学級増の一つの形態として、高校新設も含めた次の3案を県に提案した。①困難だが学級増だけ、②学級増+1校新設、③学級増+2校新設―だ。 県も、現在の中学生のために、データを共有化し、学級増計画を早急に示してほしい。「十五の春に泣く学園都市」の汚名返上がつくば市の緊急課題であり、この問題の解決が茨城の発展にもつながることを、多くの方に知ってほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表) ➡片岡英明さんの過去のコラムはこちら

「まずサイエンス高をテコ入れ」 つくばの市民団体要望に県教育庁

学級増はトーンダウン 人口が増加するつくば市で県立高校が不足している問題で、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は26日、森作宜民県教育長宛てに①現時点でつくば市周辺エリアの県立高校は学級数が15学級不足しているとして、高校改革プラン期間中の2026年までに15学級増やし、30年までにさらに10学級程度増やすこと②中学生が安心して進路選択できるよう学級増の計画を早急に示すことなどを求める要望書を提出した。 要望書を受け取った県教育庁高校教育改革推進室は「サイエンス高校の(定員割れの)状況がひじょうにショッキングな状況だったので、まずはそこをテコ入れしていかなくてはならない」とし、考える会が強く求めたつくば市周辺の県立高校の定員増に対しては「つくばエリア(の中学生)が増えていることは理解しているが、周辺地域を含め総合的に判断させていただき検討したい」との回答にとどまった。 昨年11月の県議会一般質問で森作教育長がつくば市周辺の県立高校について「中学生の進路選択に影響が出ないよう検討する」「適切な時期に県立高校の定員を増やしていくことが必要」と答弁したことを受けて(22年11月4日付)、市民団体が改めて学級増を要望した。一方、今年4月に開校したつくばサイエンス高校(旧つくば工科高)が、定員を2学級80人増やしたにも関わらず定員240人に対し72人の志願者しかなかったなど大幅に定員割れした事態を受けて、今年3月の県議会で森作教育長は「既存高校の魅力化を図ることにより志願者確保に努める」「つくばエリアの増よりも周辺エリアのマイナスの方が大きい」と答弁するなど、学級増に対する答弁をトーンダウンさせている(3月8日付、4月9日付)。 26日要望書を受け取った同改革推進室の増子靖啓室長は「要望について真摯に検討させていただくが、県の考えとしては、つくばサイエンス高校や筑波高校に欠員が出ており、我々のPRがうまくいなかったと反省しているが、魅力化を図って、来ていただける学校にしたいということが我々の取り組みの第一」だと強調した。 さらにサイエンス高について「『(普通科を希望する中学生が多いという)ニーズと離れているんじゃないか』というご指摘を(考える会から)いただいたが、つくばには研究機関がたくさんあり、大学進学のニーズもあることを踏まえ、学校を変えて定員増をしたが、結果として大変厳しい結果となったことは反省すべき点だと思っている」とし「一番残念だったのは、昨年の段階でPRした時、説明会にはたくさん来ていただいたが、(校舎が改修工事中だったため)実際の教室とか実習室とか、科学技術のために新しく整備したところを一切見せることができなかった。実際にこういう場でこういう授業ができるということを実際に見ていただければ中学生や保護者も違うのかなと思う」と話し、今年はサイエンス高のPRを強化するとした。 考える会の片岡代表はこれに対し「定員割れしている学校の魅力を高める問題と、歴史的に県立高校や学級数が削減された中で人口が増えて7人に1人しか市内の県立高校に入れないという問題を混同している」とし、定員割れの問題と県立高校不足問題を別々に検討するよう迫ったが、同改革推進室は「周りの県立高校に影響が出るので切り分けるべきではない」と答えるなど、平行線に終始した。(鈴木宏子)

「つくばサイエンス0.3倍」のメッセージ 《竹林亭日乗》3

【コラム・片岡英明】今年からつくば工科高校は2学級増の理科専科のつくばサイエンス高校となった。しかし、定員240名に対し志願者は72名(0.3倍)であった。昨年は160人に対し133人(0.83倍)だったので、志願者・倍率ともに低下した。 サイエンス高の説明会には約700人の生徒保護者が参加し、高い関心があったというが、なぜだろう。「0.3倍」に示された受験生からのメッセージを読み取ってみたい。 県立高必要地区での定員割れ サイエンス高があるつくば市谷田部地区は、合併時4万の人口が11万を超えているが、県立高はつくば工科1校のみである。県立高5校の取手、同4校の筑西よりも人口は多く、つくば市の中でも最も県立高(特に普通科)が必要な地区である。 つくばエリアには、TXが開通した2005年以降、こども増の中で県立高が逆に削減され、県立高不足という構造的な問題が発生している。一方、子ども増の中での県立高の定員割れという、もうひとつの課題も浮上している。この2つの課題を混同せず、それぞれ独自に解決を図る構えが必要である。 サイエンス高の場所を考えると、通学利便性も重要で、説明会でも通学に対する質問が多かった。利便性が従来のままで、定員割れの解消、さらに学級増まで2ステップ前進をねらった今年のサイエンス高新設は、当初より設定目標が高かった。 説明会参加の多さは新しい高校への期待である。その根底に新設校の豊かな学び・青春・進路への受験生の期待がある。生徒・保護者約700人が、ある意味校門まで来たのだ。楽しさや青春のある学園像を示し、受験の決断を促すもう一押し「祭りのステップ」が必要だった。 4学級理系・2学級文系では? 文系理系という日本独特の狭い分類に縛られている点も気になる。生徒がテーマを持って探求活動、つまりサイエンスを行えば、理系大学やマイスターへの道に加え、文系大学への可能性も当然広がる。そんな学びの深まり方も知らせてほしい。 高校受験段階で理科一本に決めかねている生徒も受けとめる柔らかさ、学びながら進路を考える安心が高校には必要である。あえて文理で考えるなら、4学級を理系、2学級を文系ではどうだろう。今後、時間をかけて評価を高め、谷田部地区の中学生がたくさん入学する地元の人気校になってほしい。 前回コラム(3月8日掲載)で扱った、つくばエリアの現時点での15学級、2030年までさらに10学級―合計25学級の県立高不足の解決が急がれる。特に普通科の学級増が急務だ。 今年のサイエンス高の2学級増に続いて、私たちは2024年入試での学級増と「今後の学級増の計画提示」を県に求めている。4月中に要望書を提出し、担当者と懇談したい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

「つくばサイエンス0.3倍」のメッセージ 《竹林亭日乗》3

【コラム・片岡英明】今年からつくば工科高校は2学級増の理科専科のつくばサイエンス高校となった。しかし、定員240名に対し志願者は72名(0.3倍)であった。昨年は160人に対し133人(0.83倍)だったので、志願者・倍率ともに低下した。 サイエンス高の説明会には約700人の生徒保護者が参加し、高い関心があったというが、なぜだろう。「0.3倍」に示された受験生からのメッセージを読み取ってみたい。 県立高必要地区での定員割れ サイエンス高があるつくば市谷田部地区は、合併時4万の人口が11万を超えているが、県立高はつくば工科1校のみである。県立高5校の取手、同4校の筑西よりも人口は多く、つくば市の中でも最も県立高(特に普通科)が必要な地区である。 つくばエリアには、TXが開通した2005年以降、こども増の中で県立高が逆に削減され、県立高不足という構造的な問題が発生している。一方、子ども増の中での県立高の定員割れという、もうひとつの課題も浮上している。この2つの課題を混同せず、それぞれ独自に解決を図る構えが必要である。 サイエンス高の場所を考えると、通学利便性も重要で、説明会でも通学に対する質問が多かった。利便性が従来のままで、定員割れの解消、さらに学級増まで2ステップ前進をねらった今年のサイエンス高新設は、当初より設定目標が高かった。 説明会参加の多さは新しい高校への期待である。その根底に新設校の豊かな学び・青春・進路への受験生の期待がある。生徒・保護者約700人が、ある意味校門まで来たのだ。楽しさや青春のある学園像を示し、受験の決断を促すもう一押し「祭りのステップ」が必要だった。 4学級理系・2学級文系では? 文系理系という日本独特の狭い分類に縛られている点も気になる。生徒がテーマを持って探求活動、つまりサイエンスを行えば、理系大学やマイスターへの道に加え、文系大学への可能性も当然広がる。そんな学びの深まり方も知らせてほしい。 高校受験段階で理科一本に決めかねている生徒も受けとめる柔らかさ、学びながら進路を考える安心が高校には必要である。あえて文理で考えるなら、4学級を理系、2学級を文系ではどうだろう。今後、時間をかけて評価を高め、谷田部地区の中学生がたくさん入学する地元の人気校になってほしい。 前回コラム(3月8日掲載)で扱った、つくばエリアの現時点での15学級、2030年までさらに10学級―合計25学級の県立高不足の解決が急がれる。特に普通科の学級増が急務だ。 今年のサイエンス高の2学級増に続いて、私たちは2024年入試での学級増と「今後の学級増の計画提示」を県に求めている。4月中に要望書を提出し、担当者と懇談したい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

「ハードル高いと受け止めか」県教育長 志願者減のつくばサイエンス高

茨城県議会3月議会一般質問が7日開かれた。今年4月から科学技術の専科高に改編される県立つくばサイエンス高校(つくば市谷田部、現在はつくば工科高)の志願者数が減少した問題について、森作宜民県教育長は「開校初年度でもあり、進学実績が見えない状況にあったことや、『理系の大学を目指す』と掲げたことでハードルが高いと受け止められた」のではないかと答弁した。 つくば市の人口が増加していることを受けて、県は2023年度から同校の改編と併せて定員を2学級80人増やし240人にした。しかし志願者数は72人、志願先変更後の志願倍率は0.30倍だった。市内にある筑波高校も同じく40人を超える欠員が生じた。 森作教育長はサイエンス高について、今後は中学の教員などに聞き取りを行い、入試の結果を分析し、科学への探求心を育てていく学校であることを理解してもらうよう努めるとした。 さらに、サイエンス高、筑波高2校の定員を充足させる必要があり、既存の高校の魅力づくりによる志願者確保に努め、必要に応じて定員増を検討するとし、筑波高校については、ICT(情報通信技術)を活用したAIドリルによる個別最適化学習などにより、一人ひとりに寄り添った指導体制の充実に努めるとした。 星田弘司県議(いばらき自民党)と、宇野信子県議(市民ネットワーク)の質問にそれぞれ答えた。 市民団体がつくば市などつくばエクスプレス(TX)沿線に県立高校の新設などを求めている問題について森作教育長は「既存高校の魅力化を図ることにより志願者確保に努める」など従来と変わらない答弁を繰り返し、「つくばエリア(つくば、常総、牛久市など)に隣接する周辺エリア(土浦、下妻市など)では、つくばエリアの増加以上に中学卒業者の減少が見込まれることから、県立高校を新設する判断には至っていない」とした。さらに募集定員についても、現状をみるとつくば市の中学校卒業生は他エリア同様、市内だけでなく、広範囲の県立高校や私立高校など多様な選択肢の中から学校を選んで進学していることを上げ、そのような通学実態を考慮して、受け皿が不足することのないよう検討すると話した。 傍聴に訪れていた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の代表片岡英明さん(72)は、県議会でこの問題がクローズアップされてから1年が経過した今、「進路選択に影響が出ないように検討と前回の答弁を聞いたときは、大きく前進したと受け取ることができた。しかし今回の答弁を聞く限り、県はつくばの人口増加をどう考えているのか分からなくなった」と落胆をにじませた。(花島実枝子)

高校不足と土浦一高の学級削減 《竹林亭日乗》2

【コラム・片岡英明】学校とは、3月の卒業式の生徒の笑顔のためにある。自分の指導が行き詰ったとき、私は何度も卒業式の生徒の笑顔を思い浮かべた。卒業式は生徒の笑顔に自信を読み取る日でもある。 3月14日は県立高校の合格発表だが、つくばの中学生にはつらい日である。つくばエリアの中学卒業生に対する県立高校の枠を何とか県平均まで高められないか、そんな思いで小さな「高校進学を考える会」で学習を続けてきた。 昨年11月の森作教育長の「中学生の進路選択に影響がないように学級増を行い、その計画を示す」との発言を受けて、私たちは不足学級数を検討した。その不足学級数と改善案を、2月19日の市民のつどいで説明した。この会合には国会議員をはじめ県議の方が5名参加され、多様な観点から深い議論が行われた。 つくば地区、30年までに25学級不足 私たちの会の計算では、県立高校の平均収容率や高校改革プランから、つくばエリア(つくば市、つくばみらい市、守谷市、常総市)で、現時点で15学級、2030年までにさらに10学級、合計25学級増が必要と分かった。 つくばエリアの中学生のために、25学級増を既存の高校でまかなえるのか? それとも学級増のひとつの方法として、高校新設も考える必要があるのか? 学級増と高校新設は対立的なことではないのだから、冷静に生徒数や算定基準を設定し、議論を積み上げれば、必ず着地点はある。 25学級増には、1校2学級として、12~13校の学級増が必要である。つくばエリアには並木中等や茎崎高校を入れても10校しかない。そのため、エリア外の土浦・牛久・下妻の協力を得る必要がある。また、エリア内の高校でも、校舎の増築・校地の拡張・教育の体制などで、2学級増が実際に可能なのかも検討する必要がある。 土浦一高、24年の入試から改善を 今回の改善案では、25学級増の案、10学級の高校新設含む案、10学級と8学級2校の新設を含む案―3案を提示した。その上で、2024年に県立高校の2学級増と土浦一高の定員削減停止を求めた。 手元に「三六会 卒業60周年記念誌 土中三六回同窓会 H8」がある。片岡久会長の発刊の言葉に始まり、恩師永山正先生からの文もある。地域に根差す伝統校の息づかいが感じられる184ページの大著である。 さて、土浦一高は2020年まで8学級募集だったが、2021年に7学級、2022年には6学級となった。それが、2024年から4学級に半減する。以前は、土浦の一つの中学校から10~20人と入学した話を聞くが、2022年は市内8中学で33人だった。これが4学級となれば、20人ぐらいになると心配している。 三六回の記念誌を読むと、卒業生が地域の伝統校としてネットワークを生かし、土浦の産業や文化を支えていることが分かる。高校を広い視点でとらえ、地元の中学生と高校不足のつくばの中学生のため、さらに土浦地域の発展のために、土浦一高の定員削減を停止してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

高校不足と土浦一高の学級削減 《竹林亭日乗》2

【コラム・片岡英明】学校とは、3月の卒業式の生徒の笑顔のためにある。自分の指導が行き詰ったとき、私は何度も卒業式の生徒の笑顔を思い浮かべた。卒業式は生徒の笑顔に自信を読み取る日でもある。 3月14日は県立高校の合格発表だが、つくばの中学生にはつらい日である。つくばエリアの中学卒業生に対する県立高校の枠を何とか県平均まで高められないか、そんな思いで小さな「高校進学を考える会」で学習を続けてきた。 昨年11月の森作教育長の「中学生の進路選択に影響がないように学級増を行い、その計画を示す」との発言を受けて、私たちは不足学級数を検討した。その不足学級数と改善案を、2月19日の市民のつどいで説明した。この会合には国会議員をはじめ県議の方が5名参加され、多様な観点から深い議論が行われた。 つくば地区、30年までに25学級不足 私たちの会の計算では、県立高校の平均収容率や高校改革プランから、つくばエリア(つくば市、つくばみらい市、守谷市、常総市)で、現時点で15学級、2030年までにさらに10学級、合計25学級増が必要と分かった。 つくばエリアの中学生のために、25学級増を既存の高校でまかなえるのか? それとも学級増のひとつの方法として、高校新設も考える必要があるのか? 学級増と高校新設は対立的なことではないのだから、冷静に生徒数や算定基準を設定し、議論を積み上げれば、必ず着地点はある。 25学級増には、1校2学級として、12~13校の学級増が必要である。つくばエリアには並木中等や茎崎高校を入れても10校しかない。そのため、エリア外の土浦・牛久・下妻の協力を得る必要がある。また、エリア内の高校でも、校舎の増築・校地の拡張・教育の体制などで、2学級増が実際に可能なのかも検討する必要がある。 土浦一高、24年の入試から改善を 今回の改善案では、25学級増の案、10学級の高校新設含む案、10学級と8学級2校の新設を含む案―3案を提示した。その上で、2024年に県立高校の2学級増と土浦一高の定員削減停止を求めた。 手元に「三六会 卒業60周年記念誌 土中三六回同窓会 H8」がある。片岡久会長の発刊の言葉に始まり、恩師永山正先生からの文もある。地域に根差す伝統校の息づかいが感じられる184ページの大著である。 さて、土浦一高は2020年まで8学級募集だったが、2021年に7学級、2022年には6学級となった。それが、2024年から4学級に半減する。以前は、土浦の一つの中学校から10~20人と入学した話を聞くが、2022年は市内8中学で33人だった。これが4学級となれば、20人ぐらいになると心配している。 三六回の記念誌を読むと、卒業生が地域の伝統校としてネットワークを生かし、土浦の産業や文化を支えていることが分かる。高校を広い視点でとらえ、地元の中学生と高校不足のつくばの中学生のため、さらに土浦地域の発展のために、土浦一高の定員削減を停止してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

知事との対話の芽―高校が足りない 《竹林亭日乗》1

【コラム・片岡英明】毎日、竹林と筑波山を見ながら散歩している。天声人語を読むと、コラムとは少し離れた視点で書くようだ。世相と少し離れたところから日記を書いた永井荷風を参考に、コラムの名前をつけた。 私は「出会ったところで考える」「対話で耕し合意形成」を心掛けている。その構えの方が疲れず、楽しいからである。では、どんなことに出会っているか。 1月27日のNHK首都圏ニュースのTX沿線特集で、つくば市は高校が足りないことを扱った6分ほどの放送があった。私たちは、2021年5月に「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」を立ち上げ、学習・懇談・署名などの活動を行ってきたが、当事者の受験生がマスコミに登場したのは初めてである。 取材された学生の「つくば市は結構人口も増えたので、もう少し高校を建ててもいいと思います」との発言に、「大人がこれに応えなければ」と感じた。 人口・子ども増「第3の波」 つくば市には「第3の波」が到来している。4町村が合併した1987年ごろ、第2次ベビーブーム世代の中学生増が「第1の波」。1989年をピークにして減少に転じた引き波が「第2の波」。多くの都市では、出生率低下により減少が続くが、つくば市は違った。TXが開通した2005年を底にして、中学生は増加に転じた。 TX沿線開発に伴い、2015年以降、つくば市では人口・子どもが増加し、「第3の波」が到来した。この事態への理解が問題解決の最初の鍵だ。 総務省人口移動報告(1月30日発表)によると、茨城県の人口は2年連続して転入超過になった。東京圏からTX沿線に移る人が増えたからだ。県としては、「第3の波」が続いていることへの対応が求められている。 私たちは、子ども増への対応について、県知事や教育長と対話を始めた。森作教育長は県民の声を受けとめ、つくばエリアの県立高校定員について、昨年11月の県議会で「進路選択に影響が出ないように検討し、その計画を示す」と答弁した。 大井川知事も、12月8日の茨城県総合教育会議で「通学圏のなかで学級数が足りないというのであれば、クラスを増やすなど、対応できるように県として努力します」と答えた。これは県との対話の芽である。 既存高の学級増か高校新設か 既存高の学級増か高校新設か? 新設高校は県立か市立か? 二者択一を迫る声もあるが、昨年の教育長と知事の答弁を基点に、まず、学級増の検討を始めてほしい。 教育長が言う「中学生の進路選択に影響がない学級増」とは、つくばエリアの全日制県立高の入学枠を広げ、県の平均収容率に合わせる努力をする「宣言」と考える。県平均に合わせるには、まず現時点で何学級不足か、さらに今後何学級不足するか―明らかにする必要がある。 県と市が生徒数や目標のすり合わせ作業をし、まず必要学級数を検討する。次に、その学級をどう増やすかがテーマになる。そのとき、学級増か高校新設か、県立か市立か―の問いは解消するように思う。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表) 【かたおか・ひであき】福島高校卒。茨城大学農学部卒業後、太陽コンサルタンツ勤務。茨城大大学院修了。39年間、霞ケ浦高校勤務。主な著書は、英語Ⅰ教科書「WORLDⅠ」(三友社、1990年)、「たのしくわかる英語Ⅰ 100時間」(あゆみ出版、同)、「若い教師のための授業・HRづくり」(三友社、2016年)。現在、「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」世話人。1950年福島市生まれ、つくば市在住。

知事との対話の芽―高校が足りない 《竹林亭日乗》1

【コラム・片岡英明】毎日、竹林と筑波山を見ながら散歩している。天声人語を読むと、コラムとは少し離れた視点で書くようだ。世相と少し離れたところから日記を書いた永井荷風を参考に、コラムの名前をつけた。 私は「出会ったところで考える」「対話で耕し合意形成」を心掛けている。その構えの方が疲れず、楽しいからである。では、どんなことに出会っているか。 1月27日のNHK首都圏ニュースのTX沿線特集で、つくば市は高校が足りないことを扱った6分ほどの放送があった。私たちは、2021年5月に「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」を立ち上げ、学習・懇談・署名などの活動を行ってきたが、当事者の受験生がマスコミに登場したのは初めてである。 取材された学生の「つくば市は結構人口も増えたので、もう少し高校を建ててもいいと思います」との発言に、「大人がこれに応えなければ」と感じた。 人口・子ども増「第3の波」 つくば市には「第3の波」が到来している。4町村が合併した1987年ごろ、第2次ベビーブーム世代の中学生増が「第1の波」。1989年をピークにして減少に転じた引き波が「第2の波」。多くの都市では、出生率低下により減少が続くが、つくば市は違った。TXが開通した2005年を底にして、中学生は増加に転じた。 TX沿線開発に伴い、2015年以降、つくば市では人口・子どもが増加し、「第3の波」が到来した。この事態への理解が問題解決の最初の鍵だ。 総務省人口移動報告(1月30日発表)によると、茨城県の人口は2年連続して転入超過になった。東京圏からTX沿線に移る人が増えたからだ。県としては、「第3の波」が続いていることへの対応が求められている。 私たちは、子ども増への対応について、県知事や教育長と対話を始めた。森作教育長は県民の声を受けとめ、つくばエリアの県立高校定員について、昨年11月の県議会で「進路選択に影響が出ないように検討し、その計画を示す」と答弁した。 大井川知事も、12月8日の茨城県総合教育会議で「通学圏のなかで学級数が足りないというのであれば、クラスを増やすなど、対応できるように県として努力します」と答えた。これは県との対話の芽である。 既存高の学級増か高校新設か 既存高の学級増か高校新設か? 新設高校は県立か市立か? 二者択一を迫る声もあるが、昨年の教育長と知事の答弁を基点に、まず、学級増の検討を始めてほしい。 教育長が言う「中学生の進路選択に影響がない学級増」とは、つくばエリアの全日制県立高の入学枠を広げ、県の平均収容率に合わせる努力をする「宣言」と考える。県平均に合わせるには、まず現時点で何学級不足か、さらに今後何学級不足するか―明らかにする必要がある。 県と市が生徒数や目標のすり合わせ作業をし、まず必要学級数を検討する。次に、その学級をどう増やすかがテーマになる。そのとき、学級増か高校新設か、県立か市立か―の問いは解消するように思う。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表) 【かたおか・ひであき】福島高校卒。茨城大学農学部卒業後、太陽コンサルタンツ勤務。茨城大大学院修了。39年間、霞ケ浦高校勤務。主な著書は、英語Ⅰ教科書「WORLDⅠ」(三友社、1990年)、「たのしくわかる英語Ⅰ 100時間」(あゆみ出版、同)、「若い教師のための授業・HRづくり」(三友社、2016年)。現在、「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」世話人。1950年福島市生まれ、つくば市在住。

高校新設めぐり押し付け合い? 知事「市立を」、つくば市長「県の仕事」

人口増加が続くつくば市で、市民団体が県立高校の新設を求めている問題で、大井川和彦知事が「つくば市立の高校をつくってはどうか」と昨年12月の県総合教育会議で発言したのに対し、つくば市の五十嵐立青市長が「県立高校をつくるのは県の当然の仕事」と6日の市長定例会見で反論するなど、県と市が押し付け合う形になっている。 昨年12月8日の県総合教育会議の議事録によると、大井川知事は「つくばにおける高校の問題は我々としても非常に注意を払って検討している」と述べた上で「(つくば市の)通学圏の周辺をみると、今後生徒数が減っていく中で、定員割れがどんどん増えてくる状況が予想される。通学圏にある高校を生かすことも検討しなければならないので、単純につくば市の中心部に新設校ということにはならない」などと述べた。 一方「通学圏の中でクラスを増やすなど、対応できるように県としても努力する」とし、高校新設について「我々からもつくば市に、市立の高校をつくってはどうかということも逆に提案させていただいている。その際には県として、教員の配置等含めて全面的に協力したいということも記者会見の場で申し上げている」と話した。 大井川知事はさらに「今後きちっとつくば市側に我々の意図をお伝えし、状況を理解いただいて、最善の選択肢ということを、我々としても努力しているということを、ご理解いただけるよう努力していきたい」などと述べた。 同教育会議で県教育委員の市原健一前つくば市長が「(市の)中心部ではお子さんがどんどん増えて、今後やはり高校に入りやすい環境をつくってほしいという意見もどんどん強くなっている」「ここは県と市が協力し合いながら、私はつくば市立の高校を設置していただくのが一番いいのかなということを、以前から感じている。その中で実態調査をお願いしたい。実態調査をきちんとやって、市と連携をとって、用地の提供であるとか、人事でも協力するというような姿勢を見せていただきたい」と県に投げ掛けたのに、大井川知事が答えた。 市は六つの小中学校つくる これに対し五十嵐市長は6日の会見で記者の質問に答え、「県立高校をつくるのは県の当然の仕事。これだけ人口が増加しているつくば市において、県として県立高校を責任をもってつくっていただきたい。市としては目先だけでも六つの小中学校をつくっていく。県で県立高校の一つをつくっていただくことができないということはないと思っている。県の責任で進めていただきたい」と述べた。 記者からは「県と市のはざまで父母が谷間に落ちてしまう。突っ張り合いでは問題は解決しないのでは」などの質問が出たが、五十嵐市長は「市立高校ニーズが出てくるのは、本来、県立高校がきちんとつくられていれば必要ない話。県がつくる意思があれば、市立高校の議論すら始まらない。私どもとしては基礎自治体の責任である小中学校、義務教育の学校をきちんとつくっている。県には当然の責任として県立高校をつくってほしい」と強調した。 さらに「県立高校をつくるのは県の仕事。本来果たすべき責任を果たさないで何かを提案するのではなく、責任を果たしてから次のステップになる。それをしないで、つくらないから市で、という発想になって、しょうがないねという発想になっていたら、自治体間の関係や県としての使命はどこにいってしまうのだろうと考えている。市は市としての責任を果たす。県は県立高校をつくるという県の責任を果たしてほしい。県が県立高校をつくれば解決する、県にできない理由はまったくない。県としての優先順位を高めていただければ回避できる問題」だと繰り返した。 県方針は既存県立高の定員増 つくば市の県立高校問題をめぐっては、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が、つくば市では2021年、中学3年生の6人に1人しか市内の県立高校に入学できなかったこと、つくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総市など)の中学卒業生が2030年には21年より1000人増えることなどから、県に対し、つくば市やつくばエクスプレス(TX)沿線に全日制県立高校の新設や既存校の定員増などを求めてきた。 これに対し県教育庁は、つくばエリアの中学卒業者は2030年までに約700人増加するが、周辺のエリアでは約1400人減少すること、つくば市の生徒が多く通学している土浦、牛久、下妻の3市に限れば、つくばエリアの中学卒業者数は2030年までに現在より約700人増加するのに対し、3市は約500人減少し、つくばエリアの増加が約200人上回る状況となるーなどとして、つくば市内の既存の県立高校の魅力を高め志願者を確保する、通学可能な範囲で進学先が確保できるよう適切な時期に既存の県立高校の定員を増やしていくなどとしている。(鈴木宏子) ➡つくば市の県立高校問題の過去記事はこちら

つくば市への県立高校新設に賛成?反対?【県議選’22候補者アンケート】1

県議選が2日告示され、11日投開票が行われる。NEWSつくばは告示前、県政と関わりの深いつくば地域の課題のうち①つくば市への県立高校新設の是非②洞峰公園パークPF事業の是非③TX県内延伸計画の是非と、④旧統一教会や関連団体との接点の是非について、つくば市区の立候補者8人にアンケート調査を実施した。結果を3回に分けてお伝えする。 1回目はつくば市内への県立高校新設の是非について。人口が増加するつくば市では2021年、中学3年生の6人に1人しか市内の県立高校に入学できなかったなどとして、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が、市内のTX沿線に県立高校新設や既存校の定員増などを求めて県議会12月定例会に請願書を提出した。結果は継続審査となり廃案となる見通しだ。つくばエリアの中学卒業者は2030年までにさらに約700人増加すると県自身が推計している。対策は急務だ。 立候補者8人には「人口が増加するつくば市に県立高校を新設してほしいという運動が市民の間から起こっています。つくば市に県立高校を新設することに賛成ですか、反対ですか」と質問し、賛成、反対、どちらでもないの3つのいずれかに〇を付けてもらい、50字程度で理由を書いてもらった。 各候補者の回答は以下の通り ▽佐々木里加氏 賛成「校舎については未だ新しく劣化していない廃校が事実存在し、新設に数十億かかるのであれば利活用も含め討論すべき。校舎を新設するのであれば、今後の少子化もかんがみて再利用が可能な建造物とすべき」 ▽宇野信子氏 賛成「TX沿線に巨大な沿線開発を行った茨城県の責任として、急増している子育て世代の進学先を公共交通機関で通学可能な場所に確保するべき」 ▽ヘイズ・ジョン氏 賛成「つくば市は既に4つの小中学校を新設し、令和8年までに更に4つを新設する。それぐらい子どもが増えている。受験戦争が苛烈であった時代と比べても更に苛烈な状態は自治体が責任をもって解消し、子どもにしわ寄せがいかないようにするべき」 ▽塚本一也氏 どちらでもない「少子高齢化は全国的な流れであり、県立高校の再編計画をつくば市の特殊事情で変える訳にはいかない。やるとすれば市立高校をつくるべきである。財源は北部の土地の売却益」 ▽山本美和氏 どちらでもない「新設する、しないだけの問題ではなく、県立高校改革プランの見直しが必要であると共に、通学手段の課題解決も重要」 ▽鈴木将氏「通学可能な県立高校の定数適正配置のため、一刻も早い学級増設による募集定員増の実施を進め、更なる人口(生徒)増の推移を見据えながら環境を創出していく」 ▽山中たい子氏 賛成「TX開発では8万人の人口増加。県立高校は街づくりです。市内の子供の6人に1人しか市内の高校に入れないのは異常です」 ▽星田弘司氏 どちらでもない「県立高校がつくば市内に建設されることが望まれますが、短期的には難しい。まずは、つくばから通学可能な高校の募集定員増加が必要と考えます」

請願は継続審査に 県議会文教警察委員会 「つくばに県立高校新設を」

人口が増加するつくば市などへの県立高校の新設や既存校の定員増などを求めた請願の審査が10日、県議会文教警察委員会(水柿一俊委員長)で行われ、継続審査とすることが全会一致で決まった。市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が約7500人の署名を添えて県議会12月定例会に提出していた(10月31日付)。 委員会の審査結果を受けて、12月定例会最終日の16日、改めて本会議で審議されるが、本会議も継続審査となると見られる。一方、現在の県議の任期は来年1月7日までであることから、継続審査になった場合、請願は来年1月7日で審議未了により消滅する見通しだ。 継続審査となったことについて、同委員会を傍聴した片岡代表は「小さな団体の請願を不採択にできなかったことが大きな成果。保護者や子供たち、市民の願いが県議会に伝わったことが大きい」とし、「昨年12月から今まで、つくば市選出の5人の県議全員がそれぞれの方向からこの問題を取り上げてくれたことが県に対する圧力になったと思う」と話した。 今後については「県は『中学生の進路選択に影響が出ないよう、既存校の学級を増やす』と答弁しているので、県に対し、こちらから学級増の具体的提案をしていきたい。具体的に検討すれば(既存校の敷地面積の制約や教室増築の費用などから)新設しかないことを分かってくれると思う」と述べた。さらに「つくばだけの運動では力不足なので、つくばみらい、守谷、牛久、土浦などにも(運動を)広げていければ」と語った。 考える会は、人口が増加するつくば市では2021年、中学3年生の6人に1人しか市内の県立高校に入学できなかったこと、つくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総市など)の中学卒業生が2030年には21年より1000人増えることなどから、県に対し、つくば市やつくばエクスプレス(TX)沿線に全日制県立高校を新設することや既存校の定員増を行うことなどを求め10月31日、請願書を提出していた。紹介議員となったのは山中たい子県議一人だけだった。 請願に対し県教育庁は10日の委員会で、4日の一般質問への森作宜民県教育長の答弁(11月4日付)と同様の説明を繰り返し、つくばエリアの中学卒業者は2030年までに約700人増加するが、周辺のエリアでは約1400人減少すること、一方、つくば市の生徒が多く通学している土浦、牛久、下妻の3市に限れば、つくばエリアの中学卒業者数は2030年までに現在より約700人増加するのに対し、3市は約500人減少し、つくばエリアの増加が約200人上回る状況となるーなどの調査結果を報告した。 その上で、つくば市内の既存の県立高校の魅力を高め志願者を確保する、通学可能な範囲で進学先が確保できるよう適切な時期に既存の県立高校の定員を増やしていくなどの方針を説明した。 県教育庁の説明に対し、同委員会から質問や賛否の意見などは一切出ず、継続審査とすべきとの声が出て、全会一致で継続審査とすることが決まった。

土浦、牛久、下妻を例に既存校の定員増へ努力 つくば 県立高校問題で県教育長

人口が増加するつくば市で、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が県立高校の新設や既存校の定員増などを求めている問題で、森作宜民県教育長は4日開かれた県議会12月定例会で、つくば市の子供たちが多く通学している土浦、牛久、下妻の3市を例に挙げ「今後、通学可能な範囲で進学先が確保できるよう努める」と答弁した。 定員を増やす学校の具体的な選定については「教室の数や敷地の広さなど敷地の状況も考慮しながら、中学生の進路選択に影響が出ないよう検討を進める」などとした。 さらに、中学卒業者数の推移や志願状況、学校施設などの状況を検討し「つくば市の人口増加に対応した県立高校の募集定員について、計画的に示せるよう取り組む」などとした。 鈴木将県議(自民)の一般質問に答えた。答弁を受け鈴木県議は、早ければ2024年度の募集に間に合うよう取り組みを求めた。 森作教育長は、県立高校の適正配置計画は、県内を12のエリアに分け、エリアを基本に検討しており、つくばエリア(つくば市、つくばみらい市、守谷市、常総市など)の中学校卒業者数は2030年までに現在より約700人増加する見込みなのに対し、周辺エリアは約1400人減少することが見込まれる、などとこれまでの答弁を繰り返した。 一方で、周辺エリアにはつくば市から通学している生徒が少ない市町村も含まれているとの市民団体のこれまでの指摘を認めた上で、つくば市から多くの生徒が通学している土浦、牛久、下妻の3市に限って推計すると、つくばエリアの中学卒業者数は2030年までに現在より約700人増加するのに対し、3市は約500人減少し、つくばエリアの増加が約200人上回る状況となることを認めた。 その上で「こうした状況から、適切な時期に県立高校の定員を増やしていくことが必要」だとし、来年春、つくばサイエンス高校(現在のつくば工科高校)の定員を2学級80人増やすのにとどまらず、さらに既存校の定員を増やしていくとした。 一方、市民団体が求めている、つくば市内への県立高校の新設については触れなかった。 請願署名402人分を追加し7477人に これに対し市民団体は、人口が急増するつくば市では6人に1人しか市内の県立高校に進学できず、通学費用や通学時間の負担が大きいなどとして市内などへの県立高校の新設や既存校の定員増などを求め、10月31日、県議会に請願を出し、10日開かれる文教警察委員会(水柿一俊委員長)で審議される(10月31日付)。4日、署名を402人分追加提出し、請願署名は計7477人となった。請願の紹介議員になったのは山中たい子県議(共産)ただ一人。

「つくばに県立高を」請願 7075人の署名添え県議会に提出

市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は県議会12月定例会開会日の31日、つくば市などへの県立高校の新設や既存校の定員増を求める請願書を伊沢勝徳議長あて提出した。請願には7075人の署名が添えられ、つくば市選出の山中たい子県議(共産)が紹介議員となった。 2021年5月に発足した同会の県への請願は今回が初めて。請願は10日に開かれる文教警察委員会(水柿一俊委員長)で審議され、採択・不採択(継続審議)の結論は定例会最終日の16日、本会議で決定する。 請願は、①つくば市やTX沿線に全日制県立高校を早急に新設、さらに既存の県立高校の定員増を行う②高校への通学利便性を高めるーの2点を求めている。この要望事項は、昨年9月つくば市議会で全会一致で採択された請願書や、今年8月につくば市長が知事宛てに出した県要望と同じ。片岡代表(72)は「つくば市とつくば市民の願いが詰まっている。人口が増えるつくば市内では、6人に1人しか市内の高校に入れないという実情を理解し、現在の小中学生のためにも、ぜひ採択してほしい」と話した。 今回の請願に向け、同会は9月18日に署名活動をスタートさせ、メンバーや賛同者がスーパーの前などに立つなどして、43日間で7000人超の署名を集めた。考える会の横井美喜代さん(73)は自身も児童クラブをまわったり、近所に署名依頼チラシをポスティングするなどして活動を続け、「この署名を待っていたと話す方もいるなど、日に日に関心の高まりを感じた」と話している。 同会の取り組みを受けて、県議会では今年3月に星田弘司、山中たい子両氏、6月には塚本一也氏らがつくば市の県立高校問題について一般質問し、高校不足問題を顕在化させた。紹介議員の山中たい子氏は「県はあくまで教育プランに沿ってこの問題を考えている。他地域とは事情が異なり、人口増加が著しいというつくば市の実情を理解していないようにみえる」と話した。(花島実枝子)

県議会請願へ市民団体、署名活動スタート つくば市に県立高校を

つくば市内への県立高校の新設や既存校の定員増などを求めている市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は18日、つくば市内で「請願署名を進める出発市民の集い」を開き、改選前の県議会12月定例会に請願を出すことを決め、署名活動をスタートさせた。 請願事項は①つくば市やTX沿線に全日制県立高校を早急に設置し、既存の県立高校の定員増を行うこと②高校への通学利便性を高めることーの2点。 考える会は、つくば市の人口増は「急増」にあたるとした上で、2021年度の高校入試で中学3年生の6人に1人しか市内の県立高校に入学できないこと、周辺5市で構成する「つくばエリア」の30年度の中学卒業生は21年度に比べ1000人以上増えることが明らかになっていることーなどを理由として挙げた。こうした状況の中、県は来年4月、つくば工科高校の学級を2学級増やすが、まだ不十分だとしている。 請願署名は10月30日まで集め、県議会12月定例会が開会する翌31日、つくば市区選出の星田弘司、田村けい子、鈴木将、山中たい子、塚本一也県議5人などに紹介議員になってもらうよう依頼した上で、同日、県議会に提出する予定。最低1万人を目標とし、今後、小中学校のPTAなどに協力を依頼するとしている。 署名活動出発集会で片岡代表は「つくば市の人口急増は、出生と県外からの転入が77%を占める。つくば市の人口急増によって、周辺の土浦、牛久、常総市などで地元の高校に入れなくなった中学生が増えている」などと数字を挙げて説明し、「県は22年3月に発表した第2次県総合計画で、主な成果のトップにTX沿線の人口増を挙げている。県立高校の設置は県の発展に大きく寄与すると、人口増・子ども増を前向きに受け止めてほしい」などと話した。 小学生の子供をもつ母親は「つくば市では高校の選択肢がとても少ないため、子供に過度の受験勉強を強いることになっている。県が自らTX沿線開発をして人口増を喜んでいるのに、県立高校の設置をしぶるのはがっかり」だなどと話した。参加者からは(県立高校新設の)具体的な場所がどこになるかで意見が分かれるのではないか」などの意見も出た。 出発集会には、山中たい子県議のほか、金子和雄、橋本佳子、飯岡宏之、ヘイズ・ジョン、小森谷さやか、山中真弓市議ら6人と、市総務部長らも参加した。(鈴木宏子)

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