【コラム・鶴田真子美】迷子犬、徘徊(はいかい)犬、捨てられた子猫、野良犬が産んだ子犬たち。茨城県動物指導センター(笠間市)には多数の犬猫が、水戸市を除く全県から収容されてきます。市町村の窓口を経て回収されてくるもの、警察からの依頼によるもの、指導センターが依頼を受けて直接捕獲をした野犬など、様々です。

収容犬猫情報は、指導センターのホームページで毎日更新されています。収容のない日もありますが、1日の頭数が7頭になる日もあります。2022年3月の「飼い主死亡による犬18頭収容」や、7月の「飼い主逮捕勾留による犬42頭収容」など、多頭飼育崩壊が続けば、一気に頭数が増えます。12月には、犬だけで160頭を超えました。

指導センターでは、未去勢の犬たちが大部屋に詰め込まれ、小競り合い、餌の奪い合い、強い犬の弱い犬いじめなどが起こります。

2019年6月には、パルボウイルスによる伝染性疾患のまん延(21年5月24日付25日付)を理由に、指導センターが閉鎖されても、周辺市町村から犬猫が運び込まれました。指導センターに運べば引き取ってもらえる、という認識なのでしょうか。

「今、センターに入れてはダメですよ」

2022年夏、子猫の授乳室にパルボが出て、ワクチン未接種の子猫が命を落としました。そのときも、市町村は指導センターに子猫を運び込みました。私は、小美玉市の公用車に子猫を乗せて来た公務員さんを呼び止め、こう言いました。

「その子を、今、センターに入れてはダメですよ。パルボが出ているから、センターに入れると死んでしまいます。自分たちの町の動物は自分たちで解決する時代です。頑張る自治体は里親会を開き、飼い主に返還する努力をしていますよ」

公務員さんは、パルボが出ているのも知らされていませんでした。施設内での感染症の有無は、犬猫の命と健康を守るために重要な情報であるのに、県と市町村で共有されていなかったのは残念です。

県の動物愛護管理推進計画は、県と市町村の連携をうたっています。2019年の法改正では、市町村に動物愛護管理担当職員を置くよう努めることを求め、市町村による協議会設置や条例制定の際には、県は技術的な協力をすることになりました。動物行政は県だけではなく、市町村の取り組みも期待されています。(犬猫保護活動家)

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