木曜日, 1月 30, 2025
ホームつくば筑波山地域ジオパークが再認定 課題の改善が実る

筑波山地域ジオパークが再認定 課題の改善が実る

日本ジオパークの認定審査が27日、日本ジオパーク委員会(中田節也委員長)で実施され、筑波山周辺6市にまたがる「筑波山地域ジオパーク」が再認定された。2021年に続く2度目の再認定となる。

理由として同委員会は「筑波山地域サイトの見直し、拠点施設『つくばジオミュージアム』の完成と活用、地元の石材遺産の活用などを通して、ボトムアップ形式の活動や各市の連携強化などの効果を生み出している」と評価。今後に向けては「多様な教育の推進、ツーリズムの推進、パートナーシップの強化、新しいサイトの案内・解説看板の整備等に取り組み、地域内ネットワークを強化しながら地域の持続可能な発展に結びつけることを期待する」と、4年後の審査に向けた更なる改善への期待を述べた。

審査は4年ごとに行われ、前回の審査時には委員会から、運営体制の在り方や部会員間の相互連携など8項目の課題を指摘されていた(24年11月28日付)。

地域経済の発展につなげたい

「再認されました!」

午後4時16分。日本ジオパーク委員会から審査結果を知らせる電話がつくば市役所庁議室で鳴る。電話を受けるのは筑波山地域ジオパーク推進協議会会長を務める五十嵐立青市長。結果を周囲に伝えると、関係者の表情が安堵した様子に変わった。

「再認定」の知らせに安堵する関係者たち

五十嵐市長は「(この結果が)地域経済の発展につながっていくことが望ましい。広域で連携しながら市民と共に様々な活動を展開していくことで、より自律的な活動になることが望ましい」とし「各自治体に事務局支部を置いたことで、これまでよりはるかにやり取りができるようになった。役割分担が進んでいる」と述べた。課題として「認知度不足」を挙げる。「五感で味わうのがジオパークの魅力。多くの人に実際にジオサイトに足を運んでもらえるよう、さらに努力していきたい」と語った。

ジオサイトを組み直し

筑波山地域ジオパークは、つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうらの6市にまたがるエリアで構成されている。一帯にある筑波山、霞ケ浦、平野を流れる河川が生み出す独特の地形や地質とともに地域に根ざした営みが評価され、2016年に日本ジオパークに認定された。4年前の再認定審査の際は、学校教育との連携、ジオツーリズム、運営体制の在り方、関係機関間の相互連携など8項目の課題を指摘されていた。

今回の審査を前に同推進協議会では、ユネスコ世界ジオパークが再定義したガイドラインに基づきジオサイトを新たに組み直した。2021年から専門員を雇用し各学校で出前授業を実施した。中核拠点施設として同市北条の廃校に「つくばジオミュージアム」(23年10月31日付)を整備するなど、指摘された課題の解決に取り組んできた。昨年7月には筑波山塊の花こう岩が、国際地質科学連合により「ヘリテージストーン(天然石材遺産)」に認定され、自然遺産と地域の新たな連携も生まれている。

同協議会の伊藤祐二事務局長は「地域にある課題を克服していくことがこの仕組み。一つ一つ解決するために、地域との連携を大事にしながら活動を進めていきたい」と話した。

今回の審査では、伊豆大島(東京)、箱根(神奈川)、立山黒部(富山)など10カ所が再認定され、蔵王(宮城)が新規認定を得た。現在までに48地域が日本ジオパークに認定されている。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

ロボッツ最下位脱出、連敗11で止める

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは29日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで仙台89ersと対戦、93-76で勝利し連敗を11で止めた。これで茨城の通算成績は8勝25敗。仙台とは勝率で並んだが得失点差で1ポイント上回り、東地区7位に浮上した。この日は「つくば市PRデー」と位置付けられた。 2024-25 B1リーグ戦(1月29日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 93-76 仙台89ers茨城|30|27|19|17|=93仙台|15|23|15|23|=76 茨城は立ち上がりこそ仙台に5点の得点を許したが、久岡幸太郎の連続得点や中村功平の3点シュートなどですぐさま追い付く。第1クオーター(Q)後半には平尾充庸の3点シュートやエリック・ジェイコブセンのバスケットカウントなどでみるみる点差を広げ、第2Q以降はおおむね20点差程度を保ったまま試合を支配した。 「選手たちがゲームプランをしっかり遂行してくれた」とクリス・ホルムヘッドコーチ(HC)。特に守備は、失点を75点以下に抑える目標をほぼクリア。ロバート・フランクスやジェハイブ・フロイドらがゴール下で相手のビッグマンにボールを渡さず、攻撃でも試合のリズムを支えた。平尾らガード陣はターンオーバーを4に抑えながらアシスト数は18と奮闘した。 特に大きかったのはジェイコブセンのけがからの復帰だ。この日は19得点10リバウンドと攻守にわたる活躍。第3Q終盤にはフロイドへのアリウープパスも決めてみせた。ホルムHCは「コート上で選手に声を掛けられることも重要。小さいことだがチームの穴を埋めてくれた」と、精神的支柱になったことも讃えた。 平尾もこの日は出場時間を23分25秒に伸ばし、切れ味良いパスやドリブルを披露。3点シュートは8本中4本を決めている。「少しずつコンディションも上がり、そろそろ本来の力を発揮しなくてはと積極的にプレーし、シュートも思い切り打つことができた」と振り返り、今後に向けては「今日は勝った上で反省できたことが一番の収穫。これからも変化を恐れずにプレーしていきたい」とコメントした。 市長と観光大使がつくばをPR 「つくば市PRデー」の催しとして、試合前のオープニングセレモニーで五十嵐立青市長とつくば観光大使の宮本真理子さんがコートに立ち、2月8日から始まる筑波山梅まつりを観客にPRした。1階コンコースには同市のPRブースが設けられ、梅まつり期間中に登場する期間限定スイーツなどが販売された。ブースを訪れた水戸市から来た家族連れは「水戸の梅も有名だけど、つくばの梅まつりも面白そう。行ってみたい」と興味を示していた。 観光大使の宮本さんは、ロボッツダンスチームRDTの元メンバーでもあり、初代キャプテンも務めていた。「久しぶりにコートに立つのがうれしく、すごく楽しみにして来た。新しいアリーナになって、ダンスや衣裳もますます華やかになったようだ」とこの日の印象を話し、「梅まつりでは毎週土日に、私たち観光大使のお出迎えもあるので、ぜひいらして下さい」と呼び掛けた。特に初日の2月8日は、6人の大使全員が勢ぞろいするそうだ。(池田充雄)

障がいのある子のアート展《令和楽学ラボ》33

【コラム・川上美智子】ロータリークラブに入会して15年目を迎えた。まだ、大学の教育や研究、そして学部や大学院の改革で忙しい最中だったころ、ほんの気楽な気持ちで新たに水戸市内に誕生する女性会員だけのクラブに入会した。国際ロータリーが運営する厳しい基準やルールに縛られることも知らずにスタートしたロータリーの奉仕活動であったが、女性が活動しやすい形に少しずつ改善し、今に至っている。 女性だけのクラブという特色を生かし、身近な子どもの育ち、子育て、女性をテーマに、奉仕活動を行ってきた。 水戸市子育て支援・多世代交流センター「わんぱーく・みと」の玩具の清掃と寄付、水戸日赤乳児院や小児がんなど難病の子どもとその家族のための総合支援センター「アフラックペアレンツハウス」への物資などの寄付、「水戸市こどもフードパントリー」ではお子様がいる準要保護家庭の希望者に食品・食材や生活用品を配布している。 クラブ奉仕活動の中心になってきたのが「障がいのある子のアート展」である。水戸市内には盲学校、聾(ろう)学校を含め6つの茨城県特別支援学校があり、そこに通う幼児・小中高校生を対象に年1回、作品の展覧会を開催してきた。茨城県、県教育委員会、水戸市、市教育委員会、水戸芸術館、NHK、茨城新聞社などの後援と企業の協賛をいただき、子どもたちの学びの励みになればと数多くの賞を出している。 2月下旬、水戸京成百貨店 県教育委員や市教育委員を拝命しているころには、数多くの特別支援学校を視察し、児童生徒の美術の取り組みを見る機会があった。指導される先生方は、さまざまな障がいをもつ子どもたちに、その子がやりたいと思うアートの手法を選び、マンツーマンの体制で、子どもの感性のままの一筆ひとふでをサポートし、共に喜び、子どもの満足する表情や姿を確認し対応されている。 それが、一つの大きな作品となり、応募されるのだと思うと、託され受け取る側も選定や展示の仕方に力が入る。美術や担任の先生には、子どもたちのそれぞれの作品への取り組みの思いや背景を書いていただき、脇に展示している。毎年、本当に見応えがある力作が集まり、我々も楽しませてもらっている。 今年は2月21日~27日、水戸京成百貨店8階に30点余りが展示される予定で、多くの皆様に見てほしいと思っている。負担が多くかかる会員からは準備が大変で、見直しの声もあるが、意義ある活動として今後も継続して行きたいと考えている。後期高齢者の自分にとって、ロータリー活動は、社会と接点をもち、社会に小さな貢献する大事な機会になっている。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)

延伸計画には慎重姿勢 TX 8月に開業20周年

つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(本社・東京都千代田区)の渡邊良社長は28日、つくば市内で記者会見し、今年8月24日に迎える開業20周年記念の特別企画について発表した。安全・安定・安心の運行で沿線価値を高めてきたと20年間を総括。秋葉原から東京駅、つくばから土浦の両方向で立ち上る延伸論議には慎重な姿勢を崩さなかった。 利用者増も借入返済道半ば TXは2005年8月に開業、20年間で累計21億人を運んだ。1日当たり利用者数は2023年度で38万人超、24年度は40万人を超えると見られ、コロナ禍で27万人台にまで減少した20年度から立ち直った。 渡邊社長は、沿線の人口増もあったが、自治体や企業・法人、利用者と鉄道事業者との「共創」によって沿線価値を高めてきた結果で、「今後も地域と情報交流、意見交換をするコラボレーション型での発展の方向をめざしたい」とした。 「TXは開業時こそ最新鋭の高速鉄道だったが、20年も経つと経年劣化から設備の更新、車両の更新が求められる。特に混雑緩和のため車両を6両から8両編成にする計画で北千住駅のホーム改修などに取り組んでいる」のを優先課題に挙げた。 順調な利用者増で当初計画より早く単年度黒字を実現したが、資金状況を依然険しくしているのが借入金の返済負担だ。同社によればTXは総事業費約8000億円で建設され、うち6000億円は借入金。無利子だが、毎年200億円を鉄道・運輸機構に返済している。今後20年以上続く見通しという。 このため新たな投資には慎重だ。秋葉原駅から東京駅まで延伸させる「臨海地下鉄」の構想があり、沿線11区市が参加する事業化促進期成同盟会も設立されている。具体化は国の運輸政策審議会の結論次第だが、渡邊社長は進展を見極める必要があるとした。「資金的に債務過剰にならないか、株主である沿線1都3県の自治体としっかり検討していきたい」 また茨城県で検討されているつくば駅からJR常磐線土浦駅(土浦市)への延伸については「茨城県が交通体系をどうされるのか、その検討結果を受けてTXは対応を考えるという立場だ」と述べるにとどまった。 ロゴマークと新キャラ発表 開業20周年の特別企画としては記念のロゴマークと新マスコットキャラクターが発表された。ロゴマークは都心部や緑の多い地域、マンションが立ち並ぶ居住区などのさまざまな場所と、走り抜けていくTXを組み合わせ、沿線の街や人々と共に成長してきた20年をイメージしたビジュアルに仕上げた。 新マスコットキャラクターは、力強く純粋で幸運を呼ぶと言われているユニコーンをモチーフにした。未来につながる鉄道であるTXを体現し、共に駆けていく思いを込めた。3月にもネーミング投票を開始する予定だ。(相澤冬樹) ◆開業20周年記念特設サイトはこちら ➡渡邊良社長の記者会見の様子 https://www.youtube.com/watch?v=55wXZoof-l0

冬の洗濯物と器《続・平熱日記》174

【コラム・斉藤裕之】嫌いなこと。そのひとつが冬の洗濯物の長袖下着の袖に手を突っ込んで引っ張り出すこと。冷たい袖に手を入れると、やり場のない(誰の仕業かは明らかだけど)怒りがこみ上げてくる。寒さや冷たい水が年々苦手になってくるのは、歳(とし)と共に脂っ気が抜けてきたからかもしれない。 「氷河期を生き延びたのはポッチャリらしいわよ」とは、永遠のダイエッターである友人のマヨねえさんの言い分。ポッチャリかどうかは関係なく、人間が氷河期を生き延びたというのは本当だろうか。どう考えても、氷の世界をダウンジャケットも暖房もない人間が生き延びたとは私には考えられない。 そこまで遡(さかのぼ)らずとも、例えば、ちょっと昔の日本の家屋で冬を過ごすことさえ私には耐えられそうもない。そんなことを思いながら朝、薪(まき)ストーブに火を入れる。 さて昨年の春のこと。ある若い女性が古い家を買ってご主人と直して住むというので、その庭木の伐採と処理を引き受けた。その家は私の住まいからほど近いところにあって、大きな石の配してある庭に平屋の母屋が建っていた。敷地には槙(マキ)、ヒバ、モッコク、山茶花、カエデ、サルスベリなどの庭木が植わっている。 女性はその数本を残してほとんどを伐(き)ってほしいという。庭木程度と軽い気持ちで引き受けてしまったが、軽トラの荷台に山積みの枝を何度も運ぶことになった。結局、春から始めて、終えたのは夏前のこと。 「さいとうさんちで絵と器」展? 今、この家を暖めてくれているのはその庭木たちだ。普通は薪などにしない種類の木もあって、例えば金木犀(キンモクセイ)は意外に火の付きがよかったり、ゴツゴツ・クネクネの梅は火持ちがいい。月桂樹は乾くと軽かった。ストーブの中で揺らぐ火を見ていると、あの暑い中、汗をかいてヘトヘトになったことを思い出す。 そして、あのとき体から出て行った体温が回りまわって、今ストーブの中で燃えて体を温めてくれているような気がする。 先日、まだ置きっぱなしの残りの薪を取りにうかがうと、ご夫婦で風呂場の造作中。実はこの女性、大学の後輩の陶芸家で、今年はこの界隈(かいわい)で作品を発表したいという。そういえば…。10年以上前に我が家で自分の絵を展示したことを思い出して、「我が家でいかが?」と誘ってみたところ、まんざらでもなさそうだ。我が家の枯れ具合は器を並べる器として悪くないらしい。 ちなみに、器という字の真ん中はもともと「犬」という字だそうで、ご存じのように我が家には名(迷)犬パクもいるし、私の絵も飾って「さいとうさんちで絵と器」展なんてやってみようかという気になっている。 最近、家族内のグループメールを作った。その昔、洗濯機のふたに「袖出せ!」と殴り書きして貼ったことを思い出すが、メールには「袖はきちんと出して洗濯機へ」と書いてみた。 全く器の小さい人間だと自分でも思うが、そんな憂鬱(ゆううつ)も、苦手なパーカーのフードもカラッと乾かしてくれる薪ストーブの包容力に助けられている。(画家)