公式サイトも開設
学生宿舎の値上げ問題をはじめとした大学側の対応に対する疑問をきっかけに(3月11日付、18日付)、筑波大生有志らが今年4月、学生新聞「筑波学生新聞」を創刊し、7月中旬、だれでも無料で購読できる公式ウエブサイトを開設した。同大生によると「大学当局の意に反することを言いにくい」風土にも関わらず、「筑波大唯一の独立系メディア」と銘打ち、学生たちは意気軒昂(いきけんこう)に活動を続けている。
匿名を条件に取材に応じた新聞編集スタッフの一人は「(学生宿舎の)寄宿料の値上げをはじめ、大学のやっていることにおかしいと感じる点が多くあった」ことが、今回の発刊に至ったと話す。
同大にはもともと、大学公認の大学新聞「筑波大学新聞」とは別に、非公認ながらも学生たちが独自に編集制作した「筑波學生新聞」(※「学」の文字は旧字体)が2007年まで発行されていた。「筑波學生新聞」と、今回創刊された「筑波学生新聞」とは直接の関係は無いが、新聞編集スタッフは「昔あった『筑波學生新聞』は、大学に対して批判的な立場を貫いていたと聞いている。できれば、その志を受け継ぎたいという思いから、同じ名前を付けた」と、理由を説明する。旧「筑波學生新聞」は記事の中で、当時の「筑波大学新聞」と旧「筑波學生新聞」の違いを「権力と反権力」「拘束と自由」「強者と弱者」と表現していたという。

臨場感が伝わる記事に
4月に創刊された筑波学生新聞は、創刊以降、2カ月に1回のペースで定期発行し、必要に応じて特別号を追加発行している。これまでに学生宿舎問題を取り上げた「宿舎問題特別号」と、大学公認の学生代表組織「全学学類・専門学群・総合学域群代表者会議」(全代会)の問題点を取り上げた「全代会問題特別号」を発行した。
このうち「宿舎問題特別号」は、「学生による質疑に多くの記述を割くよう心がけた。執筆に際しては、(学生宿舎値上げ問題の説明会)会場で反響を呼んでいたものや、すでに他の学生による発信の中でも注目されている点に気を配った。(説明会の)その場にいた学生記者にしか書けない記事にしたかった」と、臨場感が伝わるような記事に仕上げたと話す。

学内配布が困難に
創刊当初の今年4月は、印刷した紙の新聞を学内で配布できず、公式Ⅹ(旧ツイッター)で告知するのがやっとだった。
編集スタッフは、学内で配布できなかった理由を「新聞を配布する約5日前に、教員のサインが入った届け出を、(学生部などの)関係部署に提出する必要があるため」だと明かした。提出時に紙面の内容もチェックされることから、「事実上の検閲」を受ける恐れがあると危惧(きぐ)しているとする。
さらに「届け出には責任者の名前を書かなければならず、その教員や学生が大学から目をつけられ、場合によっては処分されるかもしれないという恐怖がある。普通に考えればこんなことで処分されるのはあり得ないが、予想の上を行くのがウチの大学(筑波大学)なので…」と懸念を示した。
学生の懸念について筑波大広報局に確認を求めたところ、「学内において文書配布を希望する場合、掲示又は配布予定の5日前(休日は期間に算入しない)までに大学側に『文書等掲示・配布願』を提出し、配布の許可を得る必要がある」との回答があった。その上で同大広報局は「『届出』という表現は不正確であり、提出書類は許可を求める願い書である」と念押しし、文書配布の可否を決める権限は大学当局にあることを強調した。
根拠として2005年制定の「筑波大学学生の活動に関する法人規程」の第14条から第18条で文書の掲示や配布について定めた項目があるという。同大の「文書等掲示・配布願」には、団体名と団体の代表責任者の氏名・住所・電話番号などに加えて、掲示・配布場所、配布枚数など細かく記入する書式になっている。
学生有志が今年4月1日、筑波学生新聞の創刊を公式Ⅹで発表すると、2日後には大学側から「筑波大学新聞と筑波学生新聞は異なります」という趣旨の注意書きが公表された経緯があるという。
茨城大学生とも協力
紙の新聞の学内配布は事実上ふさがれた形だが、紙面画像データは公式Ⅹからダウンロードできるため、Ⅹからダウンロードして印刷したり、スマートフォンやパソコンから閲覧できる。7月中旬からは公式ウェブサイトが開設され、スマートフォンやパソコンからの閲覧が便利になった。
取材や執筆、編集作業は現時点で、少数の編集スタッフが手掛ける。ほかに、茨城大学(水戸市)の学生有志も協力しているという。以前は茨城大にも学生新聞があったが現在は無くなったため、筑波大生有志と茨城大生有志が協力して「茨大学生新聞」も今年4月下旬に創刊。このため発行元の名称が「茨城・筑波学生新聞連絡会」となっている。
文化や思索の拠点に
編集スタッフは「筑波学生新聞」のこれからについて「『暴露やスクープをどんどんやっていきたい』というよりは、『普通に新聞をやりたい』ということ。週刊誌のようになるのが目的ではない」と話す。その上で、以前の筑波学生新聞が学外の文化人を招いて講演会を開いた事例を挙げて「筑波大学の中での文化や思索の拠点になるようなものを目指している。もちろん、暴露すべきことはしっかり暴露するが、大学をおちょくるのが目的ではない」との将来像を示した。
一方で、学生宿舎問題をはじめとした、学生たちが大学生活などで抱く疑問や違和感など「学生たちが『これっておかしくない?』という声も紙面で取り上げていきたい」との姿勢を強調した。(崎山勝功)
※これまでの筑波学生新聞の記事は、公式Ⅹと公式ウェブサイトで無料で読むことができる。公式サイトはこちら。公式Ⅹ(旧ツイッター) はこちら。






最近のコメント