【コラム・小泉裕司】JR身延線の車中にいきなり鳴り響くチャイム音。大雨警報のエリアメールだ。
今年3回目となる「花火の日」8月7日(土)に開催された「神明の花火」(山梨県市川三郷町)は、雨予報の中、風や雲の影響もなく無事、打ち上げを終了。華麗な演目を締めくくったグランドフィナーレ花火の余韻を楽しむ間もなく、予約した特急「ふじかわ」に乗り遅れないよう市川大門駅に急いだ。
途中、大粒の雨が降り始め、駅到着時には雷鳴がとどろき、ゲリラ雷雨の雨嵐状態。折りたたみ傘は役立たず、天衣(てんい)を着用し、列車を待つ行列に並んだ。間もなくして特急券を事前購入した筆者は、駅に優先入場し、プラットホームで雨風を凌いだ。
その後入線した列車に乗車し出発したのだが、冒頭の気象状況で、次の停車駅「東花輪駅」で2時間40分の運転休止。甲府駅前のホテル到着は深夜1時を過ぎ、楽しみのビールものどを通らないほど疲弊し、床に就いた。
特急券は神対応で払い戻し
帰路土浦駅に到着間際、「ふじかわ」の指定席を譲ってくれた花火鑑賞士仲間から、遅延による特急券の払い戻し情報が届いた。だが、特急券は、昨夜、降車時に甲府駅員に渡してしまい手元にはない。ダメ元で、土浦駅改札口の駅員に払い戻しの手続きをたずねた。
「市川大門駅→土浦駅」の乗車券を提示しながら事情を駅員に説明。早速、駅員はJR東日本お問い合わせセンターの電話番号を記した案内メモに〇を付けた。その瞬間、「どうする?花火旅」(2023年9月17日掲載)の「JR窓口のたらい回し」が脳裏をよぎった。「またか!」の瞬間、彼はメモを取り下げ、「回収した特急券を甲府駅で探してもらう」と説明し、確認次第、連絡するとのことで帰宅した。
3時間後、「甲府駅で特急券を確認」との連絡が入り、翌日、払い戻しの手続きを完了した。JR駅員の「神対応」に心から感謝している。「終わりよければ…」ということで、1年前の一件をいったんリセットしてみよう。
「足立の花火」中止の英断
7月20日夜、東京足立区の荒川河川敷で開かれる予定だった「足立の花火」が、雨や雷の影響で開催直前に中止になった。ケーブルテレビのライブ中継画面には、稲光を背に中止の理由を説明する近藤やよい足立区長が映っていた。ゲリラ雷雨に見舞われながら帰路に着く観客の映像が流れるたび、切迫した中で観客の命を守るリーダーの英断に感服した。
しかし、多様な判断材料があることも十分承知しており、開催を強行する大会があることも理解できる。
今年の花火は、これからが佳境。本稿入稿の15日(木)は「諏訪湖祭湖上花火大会」(長野県諏訪市)、17日(土)は「赤川花火大会」(山形県鶴岡市)、31日(土)は「大曲の花火」と続くが、酷暑や台風の影響は予断を許さない状況が続くが、夏の花火大会では自分を守るための雨具は必携。
雨傘は周囲の邪魔となるため、大きな花火大会はすべて使用を禁止し、カッパやポンチョなどの天衣を推奨している。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドーン ゴロゴロ ザーザー」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)