2月からヒロサワで展示
国立科学博物館(篠田謙一館長)が所有する国産旅客機「YS-11」の量産初号機が19日、日本航空宇宙学会から航空宇宙技術遺産に認定された。同機は今年2月からテーマパーク、ザ・ヒロサワ・シティ(筑西市)内の科博廣澤航空博物館で一般公開されている(2月1日付)。
戦後の航空機産業の空白後に、再び航空機設計の基礎技術を確立し蓄積したエポックメーキングな機体であることなどが評価された。
YS-11は、国内唯一の純国産民間旅客機として国の支援を受けて開発され、性能や経済性などが世界的に評価され活躍した。ヒロサワで公開されている機体は量産初号機で、現存するYS-11の中では試作機を除いて最古となる。1965年3月に運輸省航空局(当時)に納入され、日本の飛行安全を確認する点検機として2万時間を超えて飛行した実績がある。
2007年には機械遺産(日本機械学会)、08年には「重要航空遺産」(日本航空協会)に認定された。
羽田空港内の格納庫で保管されていたが、2020年にグラウドファンディングによる支援を得て、筑西市のヒロサワに移設し組み立てられた。21年3月、同館とザ・ヒロサワ・シティが一般財団法人科博廣澤航空博物館(廣澤清代表)を設立し、今年2月11日から一般公開されている。
同館産業技術史資料情報センターの前島正裕センター長は「長いこと保有し、やっと皆さんに見ていただけるようになった中、航空宇宙技術遺産として技術や機体の重要性を認定いただき、感謝申し上げたい。多くの皆さんにご覧いただければ」と話している。
航空宇宙技術遺産は、日本航空宇宙学会が日本の航空宇宙技術発展史を形づくる画期的な製品及び技術を顕彰して、後世に伝え、今後の航空宇宙技術の発展に寄与することを目的に認定している。23年からスタートし、第1号として6件、今年はYS-11を含め8件が認定され、認定件数は計14件になる。今年の8件のうち、2件は国立科学博物館が所有する製品で、もう1件は同館上野本館(東京都台東区上野公園)に展示されている超小型のペンシルロケットが併せて認定された。