【コラム・坂本栄】前回コラム「つくばエリアの『独立』を考える」(6月15日付)で、つくば市を中心にして政令市(人口要件50万以上)あるいは特別市(道府県から独立)を設置したらどうかと提案しましたが、大井川県知事が記者会見(6月19日)で「つくば市と土浦市が中心となる大都市圏」の形成をぶち上げました。私の提案と重なるところもありますので、その構想を紹介しておきます。
知事:政令市規模の人口塊が必要
知事の大都市圏構想は、東京圏に近い県南エリアに茨城県の核になるような50万都市をつくるのが望ましいという内容です。単なる経済圏なのか、それとも行政圏も展望しているのか、以下の発言から読み取ってください。
「今、世界的に人口は都市に集中し、都市化が進んでいる。一定の人口規模の都市にはさまざまな利便性、例えば交通網、文化娯楽施設などが集積する。自立的に人口を集める規模は最低でも50万と思う。茨城県の大きな課題の一つは、50万人規模以上の都市がないこと。TX土浦延伸がきっかけになり、つくばと土浦が中心となる大都市圏の形成を目指せればと思う」
「TX沿線に人口が集積している側面は二つある。一つは、東京のベッドタウンになっていること。仕事で首都圏に行き、住む場所はTX沿線という、利便性の観点からの方が結構いる。もう一つは、つくばにはしっかりした職場があること。研究所や大学など、この地で仕事をして、生活を成り立たせる基盤がある」
「地方の県としては、ベッドタウンを増やすことではなく、職と住の中核となる自立的な経済圏を増やしていきたい。学園都市つくばと商業都市土浦を核とした都市圏をつくれば、県にとって非常にプラスになる。その起爆剤になるのがTXの土浦延伸。TXと常磐線が接続されることによって、利便性が向上するからだ」
「(人口50万人規模=政令市を想定しているのかとの質問に)政令市かどうかは別にして、政令市規模ということ。状況次第で政令市になるかもしれないし、ならないかもしれないが、大きな人口の塊(かたまり)を、今、都市化が急速に進む中でつくることは、茨城県にとって非常に重要と思う」
市長:合併による政令市には反対
この知事発言について、五十嵐つくば市長に「知事は政令市も想定しているようだが、何か感想は?」と、記者会見(7月14日)で聞いたところ、以下のようなコメントが返ってきました。
「知事の発言は、政令市ではなく、都市圏をつくりたいということであり、政令市とは違う話と思う。合併して一つの都市になることと、広域都市圏として連携していくことは、天と地の違いがある。今、つくば市は周辺自治体と、交通を中心にさまざまな連携をしている。そういう意味では、広い都市圏がすでに存在している」
「(合併による政令市移行は考えないかとの質問に)今の時点で、周辺自治体との合併は考えていない。最近、近隣の自治体で合併話が持ち上がっていることは把握しているが、合併の申し出を受けた市の首長コメントを見ると、慎重な態度を示している。合併は、その場でサッと決められるようなものではない。一番大事なのは、住民の合意形成、地域がどういうビジョンを共有するかということ」
「つくば市は、6町村が合併して形成された市であり、その課題を感じながら市長職に取り組んでいる。それらの課題をつくば市で解決できなければ、広域で仮に他市と合併したとしても、同じことが繰り返されるだけになる。今回の知事発言についても、私あるいは市から知事や県庁に問い合わせなどはしていない」
攻めの知事VS.守りの市長
要するに、土浦延伸TXを大都市のツールと位置付ける攻めの知事=明確な構想による50万都市形成(必要なら政令市)、つくば市の現状維持と自市第一でいきたい守りの市長=現在の延長上の都市圏形成(政令市は不要)―という対立の構図です。強いパワーを持つ政令市あるいは特別市の形成を夢想する私の提案に比べると、いずれも行政実務者の思考上の制約を感じます。(経済ジャーナリスト、坂本栄)






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