金曜日, 1月 30, 2026
ホームつくば障害者の工賃アップ目指し不要パソコンを回収 つくばの就労支援施設

障害者の工賃アップ目指し不要パソコンを回収 つくばの就労支援施設

「さくら学園」

障害者の工賃をアップさせたいと、つくば市島名の障害者就労支援施設「さくら学園」(NPO明豊会運営、飯島喜代志代表)が、不要になったパソコンの回収と希少金属などのリサイクルに取り組んでいる。

パソコンの情報漏えい対策として、企業や学校などに出向き、記憶媒体装置のHDD(ハードディスクドライブ)を依頼者の目の前でパソコンから抜き取り、工具で傷付けて物理的に破壊してから回収するのが特徴だ。昨年夏、県内の障害者施設として初めてスタートした。

22、23日の2日間、市内の県立つくば特別支援学校に、障害者とスタッフ延べ7人が出張し、廃棄予定の150台のパソコンからHDDを取り出した。ゴーグルと手袋を着用した障害者が、100本の精密ドライバーセットの中から、ねじの太さや形に合ったドライバーを選んで、パソコンのねじをはずしながら解体していく。HDDを取り出すと、作業を見守る同校教員の目の前で、工具で傷付け情報を物理的に破壊する。

情報漏えい対策として、取り出し、傷を付けたHDD=同

HDDを破壊した後はさくら学園に持ち帰り、パソコンを鉄、アルミ、基板、プラスチックなど40種類ほどの部品に分解して分別する。1台のパソコンを解体するのに20種類ほどのドライバーを使いこなし、早い人で1台当たり30分、平均1時間程度で解体することができるという。現在、同学園を利用する35人の障害者のうち、7人がパソコンの解体作業に従事している。

介護福祉士で同学園サービス管理責任者の戸村雅一さん(68)によると「これまで従事した全員がパソコン解体作業を継続することができており、仕事として達成感があると思う」と話す。23日、同特別支援学校でHDDの取り出し作業をした同園を利用する砂長祐季さん(20)は「ねじが固いので大変」と話し、沖山大稀さん(19)は「ねじ回しが楽しい」と話していた。

平均工賃を2倍に

分別した部品は、資源として販売する。特に半導体が載った基板は金や銀など希少金属を含むことから高く販売でき、障害者の工賃アップにつながる。一方プラスチックなど同学園が費用を支払って処分する部品もあるが、95%は再資源化できるという。

同園では現在、障害者に対し、全国平均とほぼ同額の月平均1万6000円ほどの工賃を支払っているが、パソコン回収・解体作業により、従事した本人だけでなく、全体の工賃を2年後に現在の2倍の月平均3万円に上げることを目標にしている。

パソコンの処分を依頼したつくば特別支援学校の上野俊輔教諭(41)は「去年の夏に話があり、HDDの情報漏えい対策をどうするか検討していたところ、年末にさくら学園の方が来校し、処分を依頼することを決めた。さくら学園は卒業生が利用しており、卒業生の仕事が増え、工賃アップにつながれば」と話す。

さくら学園のスタッフに時折質問しながらパソコンを解体する沖山大稀さん(左端)。1カ月前からパソコン解体作業に取り組み始めたばかり=同

全国の事業所とネットワーク

きっかけは1年半ほど前、障害者施設の仕事量を増やす取り組みをしている茨城県共同受発注センター(水戸市)の担当者から、工賃をアップできる仕事として紹介を受けたこと。すでにパソコン回収作業に取り組んでいた神奈川県平塚市の障害者施設に戸村さんらが見学に行き勉強、さらに全国の障害者施設とネットワークを組んでパソコンの回収と再資源化に取り組んでいる「日本基板ネットワーク」(新潟市)の指導を受けた。

同ネットワークの取り組みは昨年3月、首相が本部長を務めるSDGs推進本部主催の「第6回ジャパンSDGsアワード」で、廃棄物を減らして環境負荷を低減し障害者の賃金向上と自立に寄与しているとして、特別賞を受賞した。現在も3カ月に1度、同ネットワークの指導を受けながら作業のさらなる安全性向上と効率アップに取り組む。

回収するのはパソコンのほか、携帯電話やゲーム機など。企業や団体のほか、個人からも回収し、寄付を受ける形で有価物として無料で引き取る。解体、分別後は、鉄、アルミ、銅は廃棄物回収業者に販売し、希少金属を含む基板などは新潟市の日本基板ネットワークに送り、兵庫県内の溶鉱炉で溶かし、金や銀を取り出す。

戸村さんは「利用者の平均工賃を上げるのが一番の目標」とし「利用者が他の事業所を訪れて作業する機会はあまりないので、出張解体を通して地域の人とつながることもできる」と意義を強調する。さらに「レアメタルは都市鉱山とも言われるが、限られた資源をリサイクルするということもやっていかなくてはらないことだと思う」とし、「県内に一緒にやれる事業所の仲間を増やしたい」と呼び掛ける。現在、パソコン回収に取り組んでいる福祉事業所はさくら学園を含めまだ2カ所のみという。(鈴木宏子)

◆回収するのは、パソコンと、ルーターやケーブルなどの周辺機器、携帯電話、ゲーム機など。コピー機、プリンター、故障した液晶モニターは不可。つくば市内の場合、10台以上は引き取りに行き、土浦市など周辺市町村は20台以上は引き取りに行く。個人の場合、さくら学園に直接持ち込むか、宅配便などで送付すれば引き取り可能。持ち込みや宅配便などの場合、破壊したHDDを写真撮影し解体証明書などと共に後日メールで送付する。さくら学園はつくば市島名2304。詳しくは電話029-875-3517またはメールinfo@sakura-gakuen.orgへ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

4 コメント

4 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

市長賞に羽成純さん 25年度「日本一のれんこんグランプリ」 土浦

消費者から「買いたいレンコン」などに選ばれた土浦市の生産者を表彰する2025年度「日本一のれんこんグランプリ」(土浦市など主催)の表彰式が29日、同市役所で催された。市長賞に羽成純さん、組合長賞に福田信一さん、協議会長賞に倉持亮太さんがそれぞれ選ばれ、安藤真理子市長らから表彰を受けた。 同グランプリは、日本一のレンコン産地である土浦のレンコンの魅力を広く発信することが目的。昨年11月22日に開催された土浦カレーフェステバル会場で投票が行われ、出品された33本の中から、総投票数563票のうち、羽成さんのレンコンは144票、福田さんは86票、倉持さんは38票を獲得した。今年度はさらに、出荷団体のJA水郷つくばやレンコン問屋など流通団体代表者がレンコンの形状などを審査し、糖度計で糖度を測定した上で選定した。 市長賞の羽成さんのレンコンは、全体のバランスと節ごとの大きさがそろっており、糖度が8.4あったことが評価された。組合長賞の福田さんは、バランスの良さと肌の白さが評価された。糖度は8.1だった。協議会長賞の倉持さんは、糖度が8.5と高く、形状とバランスが整っていることなどが評価された。 安藤市長は「レンコン日本一の名前に甘んじることなく、これからももっとPRして消費拡大、品質の向上に一生懸命取り組んでいく。生産者の皆様には引き続きさまざまなご協力をいただきたい。今回も本当に素晴らしいレンコンだった」と話した。 JA水郷つくばの池田正組合長は「日本一のレンコン産地で一番ということは日本一の中の一番だ。レンコンというくくりをつければ、ギネスにも挑戦できると思っている。『世界一のレンコンになる』、そのくらいの夢をもって将来に向けていいものを作ってもらいたい。日本に、そして世界に誇れるものを作ってほしい」と述べた。 市長賞に選ばれた羽成純さん(43)は「大変誇らしいし光栄。本当にいいレンコンを作っている地元の先輩農家はたくさんいる。満足せず、もっと質のいいレンコンを作っていけるように頑張りたい。糖度の高さが評価されたが、柴沼醬油(土浦市)の大豆かすと月の井酒造店(大洗町)の酒かすを肥料にしており、成果があったのかもしれない。手探りだがいろいろなことを試しながらやっていきたい」とし「妻の実家はもともとレンコン農家。良質なレンコンを作れるハス田を残してくれた先祖にも感謝したい。一緒に現場でやってくれている妻にも感謝している」と喜びを語った。 協議会長賞の倉持亮太さん(26)は「本当にうれしく思っている。これからもっと精進していきたい。運営の方や支えてくれている家族に感謝したい」と話した。組合長賞の福田さんは欠席した。 夫婦で二人三脚 霞ケ浦沿いの同市沖宿にある羽成さんのハス田は約1.7ヘクタール。繁忙期は手伝いを頼むが、基本は妻の智美さん(42)と2人でレンコンを作っている。羽成さんは朝5時半から、智美さんは小学生の子どもを学校に送った後、7時半からハス田で作業する。収穫後のレンコンの水洗いなども2人で行っている。 妻の智美さんは「冬の作業は寒いが2人で頑張っている。自宅ではレンコンのさまざまなレシピを楽しんでいる。天ぷらやサラダ、豚汁、カレーにも入れたり、すりおろしてハンバーグに入れたりする」と語る。羽成さんは「今回出品したレンコンは、朝2、3カ所のハス田を回って、悩みつつ、やっぱりこれだというのを持っていた。評価されてよかった」とし「地域を見渡せば若手がいるものの、辞めていく農家さんもいる。作付け面積は今後拡大されるので受け手になれる農家になりたい。今後は規模を拡大して、人も雇えるようになればと考えている」と抱負を語った。(伊藤悦子)

入院中の子供たちに寄り添う ファシリティドッグ導入へ 筑波大病院

来年4月から 入院中の子供たちに寄り添い、前向きな気持ちを引き出す「ファシリティドッグ」を筑波大学附属病院(つくば市天久保、平松祐司病院長)が2027年4月から小児病棟に導入する。国立大学病院としては全国初となる。 平松病院長は「つらい治療に向き合っている子供たちの心の支えとしてファシリティドッグが医療チームに加わってくれれば、子供たちは強い力を発揮して病気を克服してくれると思う」と期待を話す。 ファシリティドッグは、がんや重い病気と闘う子供たちのそばで、治療や検査に付き添ったり、リハビリに参加したり、不安な時に添い寝したり、話し相手になったりする。特別な研修を受けた看護師が犬とペアを組んで子供たちの心のケアをする。 同小児病棟には40床の病床がある。病気と向き合う子供たちにとって、治療や検査に伴う不安や恐怖、痛みは大きなストレスとなっていることから、子供たちが少しでも笑顔で過ごせる時間を増やそうと導入を決めた。 ファシリティドッグの訓練を実施し全国のこども病院などに様々なプログラムを提供している認定NPOシャイン・オン・キッズ(東京都中央区)と協働で取り組む。 導入に向け、地元の関彰商事が支援するほか、3月4日から2200万円を目標にクラウドファンディングによる寄付を募る。さらに寄付による支援を受けながら、犬の訓練や看護師の研修などの準備を進める。導入後は6年以上にわたって継続的な活動を想定している。入院患者には利用料は発生しない。将来的には緩和ケア病棟など一般病徴で大人のケアを行うことも視野に入れているという。 29日はファシリティードッグのミコ(ラブラドールレトリバー、3歳メス)が、同NPOのトレーナーなどと共に実際に小児病棟を訪れ、入院中の子供たちと触れ合うなどした。その後、永田恭介学長、平松病院長らと並んで記者会見席に座り、西尾チヅル副学長のひざにあごを乗せるなどのデモンストレーションを披露した。支援を決めた関彰商事の関正樹社長は「セキショウグループは2018年に創業120周年を迎え、120周年記念事業の一つとして取り組む。全社員で企画の志を共有したい。少しでもお役に立てれば」と話していた。(鈴木宏子)

水戸と筑波の「梅まつり」を比較する《水戸っぽの眼》9

【コラム・沼田誠】今年もまもなく「梅まつり」の季節…と言ったとき、つくば市の皆さんは「筑波山梅まつり」を想起されるでしょうか? それとも「水戸の梅まつり」でしょうか? つくば市の皆さまには申し訳ないのですが、「梅まつり」と言えば、水戸に縁がある私にとっては偕楽園の「水戸の梅まつり」です。年明けに暖かい日もあったことから、偕楽園では梅が咲き始めているとの情報も入ってきました。一方、本サイトの記事「ロウバイが満開 筑波山梅林…」(1月14日掲載)に掲載された写真を見て、「筑波山の梅もなかなかよいかも」と感じました。余談ですが、水戸でロウバイ(蝋梅)と言えば弘道館です。本館前のロウバイが開花したとの情報を得ると、早春の香りを楽しみに弘道館を訪れたものです。ということで、今回は「水戸の梅まつり」と「筑波山梅まつり」を比べてみます。 入込客数:水戸24万、筑波15万 まず、県の観光動態調査の数字(入込客数)を見てみます。「水戸の梅まつり」は2010年までは約100万人で推移していました。ところが、2011年の東北大震災で50万人台に落ち込みました。その後も震災前の水準に戻らなかったところ、コロナ禍でさらに減り、直近では24万人台(2025年24.4万人)で推移しています。 もちろん「入込客数」は推計であり、数え方が変わって実数に近づいた結果、減ったように見える可能性もあります。しかし、外部からのショックで数字が大きく揺れる、という傾向は読み取れます。一方、「筑波山梅まつり」はどうでしょうか。2010年は18万人で、震災の年だった2011年でも12万人を確保しています。そして2019年が19万人。ここがひとつのヤマで、2023年には18万人まで戻り、2024年は15万人でした。「水戸の梅まつり」に比べると、乱高下はしていないが、右肩上がりでもない、「上限が見えやすい催し」だと思います。 無理せず気持ちよく回遊-筑波山 その原因は、たぶん交通です。筑波山の梅は、ロープウェイ駅などの限られた入口から歩き出して見に行くようになっています。このため、駐車場やロープウェイなどの収容力や渋滞、公共交通の便といった物理的限界が、そのまま来訪の上限になっているのではないかと思います。 上にリンクを張ったロウバイ記事の「駐車場満杯」も、その「入り口の細さ」を象徴しているように見えます。このことを踏まえれば、無理に増やすより、気持ちよく回遊してもらう―そういうイベント設計思想の方がふさわしいのかもしれません。 歴史を借景に楽しむ-水戸偕楽園 一方、「水戸の梅まつり」は、「地元で自然発生した催し」ではなく、鉄道開通後に始まった観梅列車の運行(当時のインフルエンサーだった新聞記事とセット)と深く結びつきながら、観光のしくみとして育ってきた経緯があります。偕楽園が「藩主の庭園」から観光資源へと変わっていく過程で、鉄道側の観光サービスが重要だったわけです。つまり、偕楽園は「歴史を借景に梅を見る」場所、筑波山は「地形を楽しみながら梅に会いに行く」場所。同じ早春の花でも、味わいが別ジャンルなのです。その違いを感じるために、今早春は、どちらの「梅まつり」にも行ってみませんか?(元水戸市みとの魅力発信課長)

書店で万引き 職員を停職処分 つくば市

つくば市は28日、同市教育局、40代の非管理職職員を同日付けで停職2カ月と3日の懲戒処分にしたと発表した。同職員は昨年4月8日と7月28日の2度にわたり、市内のそれぞれ別の商業施設内の書店で書籍を万引きし、7月の万引きについて窃盗罪で起訴され、昨年11月20日に土浦簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受けたなど、地方公務員法に定められた全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があったなどとされる。 市教育局教育総務課によると、職員は4月に書籍10冊を万引きし警察の取り調べを受けた。7月には3冊を万引きし、防犯カメラに映っていたことから後日、警察の取り調べを受け、起訴された。 職員は両日とも休暇をとっており、公務外だったという。いずれも犯行を認め謝罪しているが、なぜ万引きしたかについては、万引きの記憶がないなどと話しているという。 罰金の略式命令が出されたのを受けて、市は職員の懲戒処分について審査する職員分限懲戒審査委員会を開き、27日に処分を決定した。規定では本来、停職6カ月にすべきだが、同職員には雇用期間の定めがあり今年3月末までの任期であるため、任期末日までの停職処分にしたとしている。同職員の性別や、正職員であるか非正規職員であるかについて市は公表しないとしている。 森田充市教育長は「市民の信頼を著しく失墜させる事態になり、誠に遺憾で深くお詫びします。改めて職員に服務規律の順守を徹底させ信頼回復に努めます」などとするコメントを発表した。