木曜日, 5月 16, 2024
ホームコラム80年代の中森明菜とつくば《映画探偵団》72

80年代の中森明菜とつくば《映画探偵団》72

【コラム・冠木新市】今年も、2月4日ホテルグランド東雲でやる『新春つくこい祭ツアー』(主催/国際美学院、つくば舞踊研究会)のプロデュースで幕を開ける。

演劇的な全3景の構成で、第1景はつくばセンター地区から筑波山に向かう「つくこい」バス車中での踊りの映画上映(実際に踊る)、第2景はゲスト歌手のショ一で、第3景は狸屋旅館の大宴会場で参加者が踊る。

第1景の日本舞踊とフラメンコの踊りには、毎回テ一マがある。2022年は筑波の歌を集めた「筑波組曲」。23年は生誕70周年を迎えた「アジアの歌姫テレサ・テン」の曲。そして、今年は「80年代の中森明菜」の曲にした。

昨年夏にはテ一マを決めていた。中森明菜の82年のデビュー曲『スローモーション』から91年の『二人静』まで、1年1曲で10曲踊る。

私には『二人静』が懐かしい。脚本家デビュー作、角川映画内田康夫・原作、榎木孝明・主演『天河伝説殺人事件』(監督市川崑)のイメージソングだったからだ。作曲家の関口誠人が歌うものと中森明菜が歌うものと、どちらも気に入りカセットテープに録音して繰り返し聞いた。

残念ながら映画の中では流れなかったが、市川監督がなぜ採用しなかったかは聞きそびれてしまった。

私が東京から来たのは1993

10年間の中森明菜の歌声を10曲聞くうちに発見したことがある。中森明菜が歌姫になる過程と、つくばの街の成長がピッタリと重なるのだ。

デビュー翌年1983年、つくばセンタービルが完成したときは『禁区』。1985年、つくばエキスポセンターが完成し、ショッピングセンター「クレオ」がオ一プンし、国際科学技術博覧会が開幕したときは『ミ・アモーレ』。1987年、つくば市発足(大穂町、豊里町、桜村、谷田部町の4町村が対等合併)のときは『難破船』。

1988年、つくば市と筑波町が合併、つくば都市交通センターが設立されたときは『TATTOO』。1990年、つくば三井ビルがオ一プン、つくば市立中央図書館が開館したときは『水に挿した花』。1991年、つくば都市振興財団が設立され、常磐新線整備に関する基本計画を国が承認したときは『二人静』。

私が新新住民として東京から引っ越して来たのは1993年。つくば市が一段と落ち着いたときだった。30年が過ぎ今では、私もシン・旧住民となったが、できれば中森明菜のデビューした1982年に移転したかったと思う。

西部の荒野に忽然(こつぜん)と街が生まれ、形成されていく様子。また、そのときには中心地区だった谷田部や筑波町が、周辺地区と呼ばれるようになるプロセス。これらを見たかった気もするからだ。

今、中森明菜ブ一ムが起きている。そして、つくば市は「人口増加率全国1位」だ。シン・住民もドンドン越して来ている。そうそう、第2景では、キングレコード専属歌手の比気由美子さんに民謡版『少女A』を゙歌ってもらう。

もしかして、中森明菜デビュー当時と現在のつくばの状況は似ているのかもしれない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

ハクレンの大量遡上始まる 桜川 つくば 松塚の堰 

15日朝、桜川 松塚の堰(つくば市松塚)に、ハクレンが大量に遡上したのを桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)が確認した。朝は水面が真っ黒になるほどだった。大量遡上が確認されたのは今年初めて。夕方には、朝より数は半分ほど減ったものの多くのハクレンが見られ、背びれを水面にのぞかせて泳ぐ様子に、川辺で農作業をしていた近隣住民も驚いていた。 ハクレンジャンプと言われる集団跳躍行動はまだ見られず、何匹かが堰を上ろうとジャンプする様子が観察された。堰を上りきれず浅瀬にジャンプし、岸に打ち上げられたハクレンも5、6匹見られた。 年々遡上する数が増加 桜川漁協の鈴木組合長によると、ハクレンが桜川に大量に遡上し始めたのは3年前からで、年々遡上する数が増えている。「おとといの13日、雨が降ったので桜川が増水し産卵のために上ってきた。今日は松塚の堰はそれほど水が多くない。松塚の堰を上ったハクレンは(さらに上流の)田土部堰(たどべぜき)が閉まっているのでこれ以上は行けず、ここにとどまったり戻ったりしながらジャンプしている。前は利根川のハクレンジャンプが有名だったが、最近は桜川でも見られるようになった」と話す。 20時間で稚魚になり霞ケ浦へ ハクレンは、1匹のメスに数匹のオスが寄り添って産卵と受精が行われる。受精した卵は下流に流されながら、20時間ほどでふ化して稚魚になるという。鈴木組合長は「3年前には霞ケ浦のワカサギ漁の網にハクレンの稚魚が大量に入り、ハクレンとワカサギをより分けるのが大変だったという話を聞いている」と話し、「去年も今年もワカサギはあまり獲れないと聞く。このままではハクレンばっかりになってしまう」と懸念する。 ハクレンは中国原産の外来魚で、成魚の体長が100センチ、重さが10キロほどになる大型魚。アオコなどの植物プランクトンを餌としている。産卵期が5月から7月で、この時期に集団跳躍をする習性がある。産卵は、産卵日の前日や前々日が雨天で、川の水量が増加した早朝から行われる傾向があるという。 昨年5月には田土部堰でハクレンの大量酸欠死が発見され(23年5月27日付)、6月初めには台風の影響による増水で大量の死骸が霞ケ浦に流される事態が発生した(23年6月2日付)。(田中めぐみ) https://youtu.be/mEdw6IGQxy4

県内の生産は低位推移 消費は緩やかに回復【筑波総研リポート】

筑波銀行グループの筑波総研が15日まとめた「茨城県経済の現状と展望」によると、2月の鉱工業指数(2020年=100、季節調整済み)は106.9と、前月比3.5%上昇したものの、低位の水準で推移している。中国経済の減速などを要因に、自動車や建設機械、半導体関連の生産が減少しており、生産活動には弱さが見られるという。 3月の大型家電店販売は大幅増 個人消費は一部に弱さが見られるものの、全体としては緩やかに回復している。3月の販売額を分野別に見ると、百貨店・スーパーは前年同月比5.2%、家電大型専門店は同23.0%、ドラッグストアは同5.6%、ホームセンターは同5.7%の各プラス。コンビニエンスストアは同0.2%マイナスだった。 筑波総研の担当者は「県内のサービス業の声を聞くと、物価上昇で節約志向がうかがえる一方で、宿泊や小売りは良くなっており、個人消費は緩やかに回復している」という。 空港国内旅客はコロナ前水準に 茨城空港の3月の国内旅客数(定期便)は6万650人になり、コロナ禍前の水準に戻っている。しかし、国際線旅客数(定期便)は2081人と回復が遅れている。「台北便は昨年から運行を再開したが、上海便は5月末まで運休、西安便も10月下旬まで運休が続く」ことがその背景。 コロナ禍でクルーズ船の寄港がほぼストップしていたが、県の誘致戦略もあり、今年度は国内船・外国船とも寄港数が増えそうだ。筑波総研が作成した寄港一覧によると、11隻が予定されている。(岩田大志)

5年ぶり200人規模に 18日 恒例の田植祭 JICA筑波

20年以上続く恒例行事の田植祭が18日、国際協力機構(JICA)筑波センター(つくば市高野台)内の水田で催される。当日は、JICA筑波で農業技術などを学ぶアフリカ、アジア、中南米からの研修員と地域住民が力を合わせて苗を手植えする。コロナ禍で2020年から2年間は開催が見送られ、昨年までは人数を制限して開催だった。今年は5年ぶりにコロナ前同様の200人規模での開催となる。 当日は「ネリカ米」を使ったエスニック料理の試食会もある。ネリカ米はアフリカの食糧事情改善を目的に開発され、JICAも品種開発と普及を支援する。 「日本は途上国を一方的に支援しているわけではなく、開発途上国に支えられている」とJICA筑波連携推進課の西岡美紀さん(38)はいう。食料自給率は4割未満。さらに近年は労働力人口の減少から、途上国とのつながりなしでは人手不足も解消できなくなりつつある。「田植祭の目的はJICA筑波の活動を知ってもらうと共に、交流を通じて、地域の方に日本と世界のつながりや途上国への関心を持ってもらうこと」だと話す。 つくばだからこそできる国際協力 全国に15カ所あるJICAの国内拠点の中でも特に農業に特化する筑波には、各国の政府機関や自治体から来る年間700人余りの研修員が、それぞれの国が抱える課題を解決しようとやってくる。各国の主要な作物について、品質や収量の向上、病害虫対策など、研修員は自国が直面する課題に対する実験計画を立て、日本の指導員と取り組み、最後にテクニカルレポートを作り上げて帰国する。 研修業務を担当する須田麻依子さん(45)は、近隣にある多様な専門機関と連携できるのがJICA筑波の特色だと話す。「つくばには、近距離に専門機関がたくさんある。気候変動を例にすると、農業分野でどう適応していくかを学びたい方がいれば農研機構の専門家にレクチャーしてもらうし、森林分野の問題では森林総研に最新の研究について講義をお願いする。筑波大の先生から海岸地域の気候変動対策に関するお話を伺い実際に施設を見せてもらうこともある。バスで15分も行けば専門家から直接レクチャーが受けられるのは国内でここだけ。オンラインで海外や日本全国の専門家と接続することは可能だが研修でしか学べないことがたくさんある」と話す。 道の駅を自国でオープン 近年は農業県である茨城の特色を生かし、自治体や農家を交えて多角的な視点で農作物に付加価値を付け、市場を広げる研修にも力を入れている。道の駅のアイデアを自国に持ち帰り、実際にオープンさせた例もあるという。 2020年からは研修員と、途上国での活動に関心を持つ企業や大学を結びつけるためのプロジェクト「農業共創ハブ」をスタートさせた。「企業にとっては現地の人の声を聞ける機会になり、研修員にとっても企業から話を聞くことは非常に有益。JICA筑波がハブとなり、日本の民間企業や大学と途上国のつながりが生まれるよう立ち上げた」と連携推進課の西岡さんは言う。 18日の田植祭は、交流を楽しみにする地元住民らから多数の応募があり、予定より早く募集を締め切った。 「アフリカでも若者の農業離れが進んでいると聞く。田植えは研修員にとっても日本人との貴重な交流の場。日本語を勉強している人もおり、地域の日本人との交流の機会になってよかったと言っている。双方向の文化の理解につなげたい」と西岡さんは企画への想いを語る。(柴田大輔) ◆田植祭は5月18日(土)午前10時40分から12時30分まで。場所はJICA筑波圃場内にらう水田で開催する。秋には収穫祭が予定され、例年9月に研修員と稲刈りを楽しみエスニック料理を食する。詳細はJICA筑波ホームページへ。

すてきな「つくばローズガーデン」《ご近所スケッチ》10

【コラム・川浪せつ子】「せめて連休中に咲いてほしいなぁ」と思っていたら、温暖化のせいか、バラの開花時期が数年前から半月ほど早まりました。今回のテーマは「なぜ人は絵を描くのか?」です。 2年少し前、実母が没した年齢を超えました。いつ「お空」に行くか、わからない。じゃあ、仕事を辞めて本当に好きなことをしよう。絵を描くことに集中しよう、という思いはよかったのですが…。 人生いつまでたっても、たくさん初体験。今年は3カ月半の間に5回も絵の展示。必死でお絵かき。 そうしたら、首から肩の痛みが取れない。絵だけの生活になって、ひどいギックリ腰を2回。展示会前日の夜まで描いているため、膀胱炎にも。疲労から?仕事では締め切り前に徹夜もして、どうにか乗り越えてきましたが…。 24時間絵のことばかり考えて 年齢を重ねたからということだけではなく、24時間絵のことばかり考えて…。仕事はルーチンワーク。自分の絵は新規の世界。全力で毎日走っているような。 仕事をしていると通帳の残高の数字は大きくなるけど、お絵かき(趣味)は残高が減るの…。でも止められないのはなぜ? そんな中、絵の仲間がたくさんできました。結論は出せないけど、「山になぜ登る」というのに似ているかもしれません。 登ったその風景を見たいから。そして自分の登ってきた足跡を振り返ることができるのは「生きてきた」証拠。そんなことで病み付きになるのかもしれません。 今回の「つくばローズガーデン」(つくば市古来)は本当にステキ! 上の絵も下の絵も10年前くらいに描いたものです。(イラストレーター)