日曜日, 10月 19, 2025
ホームつくばつくば自動車研用地に茗渓学園が移転へ TX研究学園駅南側、大和ハウスが開発

つくば自動車研用地に茗渓学園が移転へ TX研究学園駅南側、大和ハウスが開発

日本自動車研究所(JARI)がTX研究学園駅南側に保有している未利用地(つくば市学園南2丁目、15.5ヘクタール)の売却先が決まった(4月19日付)。公募型プロポーザル(事業提案による入札)で選ばれたのは、つくば市内で多角的に事業展開する大和ハウス工業(本社大阪市)。同社はこの一等地に茗渓学園学校(つくば市稲荷前)を誘致するほか、マンション、商業施設、研究施設などを建設する。

未利用地の取得価格は142億円

JARIが20日、公募に応じた3企業グループから提案された事業計画の審査結果を公表した。それによると、取得価格や提案計画などを総合的に審査した結果、大和ハウス・グループが1位だった。JARIが提示していた最低価格92億4000万円に対し、同社は142億円の取得価格を提示した。11月に売買契約が結ばれ、未利用地は12月に引き渡される。

JARIはTX研究学園駅の南側に80ヘクタールの土地を保有している。今回売却されるのは、敷地のほぼ中央を縦断する市道5-1711号線の右側にある未利用地。TX鉄道とエキスポ大通りに挟まれた場所にあり、どこがどう開発するか注目されていた。

自動車研未利用地図(JARI提供)

中高学校+マンション+商業施設…

大和ハウスによると、開発のコンセプトは「活発」「学術」「加速」。具体的には、マンションで構成される居住区画、スーパーマーケットなどで構成される商業区画、中高一貫高などで構成される学術区画、先端研究施設などで構成される産業区画を設ける。総投資額は明らかにしていないが、用地取得代も含めると300~400億円になりそうだ。

土地の造成などを経て、2024年秋に建物の建設に入り、スーパーや運動ジムなどが入る商業施設は26年夏、中高層マンションは28年初の完成を目指す。用地の北・左側から南・右側に走る道路も計画されている。

TX駅前は便利で魅力的=茗渓学園

開発では「中高一貫校」が目玉になる。計画書に学校名は明記されていないが、中高一貫校の茗渓学園(現在の生徒数は1526人)を誘致する方向で話が進んでいる。

大和ハウスは、全体用地15.5ヘクタールの28%に相当する4.3ヘクタールを茗渓学園用に確保している。茗渓学園側も、TX駅側に移れば東京都や千葉県からの通学が容易になり、駅から徒歩で通えるのも魅力的と判断している。大和ハウスが用地を確保したことを踏まえ、近く、移転の可否を理事会と評議員会に諮る。

現在の茗渓学園は赤塚公園の西側、気象研究所の南側に位置し、開校は1979年4月。事務局によると、開校から45年ということもあり、建て替えも検討していたところ、大和ハウスからこの話が舞い込んだ。移転すると敷地は少し狭くなるが、学校棟の高層化により、寄宿舎やラグビー場などから成る施設は十分確保できそうだ。(岩田大志)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

9 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

9 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「パレスチナの子供たちに思いはせてほしい」 靴150足並べ追悼と抗議

つくば駅前 子供の靴150足を並べ、パレスチナのガザ地区で死亡した子供たちを追悼し、イスラエルに抗議する行動が19日、つくば駅前のつくばセンター広場で実施された。抗議行動中の約2時間の間、ガザで死亡した子供たち一人ひとりの名前が読み上げられた。市内外の約40人が参加し、「ガザ虐殺を止めろ」「だれも殺すな」などと書かれた自作のプラカードを掲げたり、通行人にチラシを手渡し「パレスチナに関心をもってほしい」と呼び掛けるなどした。 パレスチナ人の父をもつ、つくば市在住の会社員、ラクマン来良さん(37)らが呼び掛けた。ラクマンさんはガザ侵攻が始まって以降、パレスチナに関心をもってもらおうと、自宅や市民活動拠点などで映画上映会やバザーを開いたり、つくば駅前で抗議行動などを実施してきた(24年2月27日付、同9月27日)。 150足の子供の靴は神戸市の疋田香澄さんから送られてきたものだ。疋田さんは、イスラエルによるガザ侵攻で犠牲となったパレスチナ人約6万7000人のうち40%近くが10歳未満の子供であることを表現しようと、SNSで呼び掛け、使わなくなった子供の靴を150足集め、ガザ侵攻から間もなく2年となる10月5日、150足の靴を並べて犠牲者を追悼するイベントを開催した。 SNSで神戸の追悼イベントを知ったラクマンさんが、疋田さんに連絡し、神戸に続きつくばでも、子供たちの靴を並べる追悼イベントが開かれることになった。 ラクマンさんは「子供たちが一番の犠牲者。靴は、大きくなれなかった子供たちを象徴するもの。亡くなった子供たちを追悼し(何人死亡したなどの)数字だけではなく、本当だったら走り回ったり、元気に遊び回っていたはずの子どもたちが殺されたことを知ってほしい」と話し、「イスラエルとハマスが10日停戦に合意し、このまま停戦が続いてほしいが、イスラエルは当初1日600台ガザに搬入すると言っていた支援物資を半分しか入れてない」とし「パレスチナの状況がこうなっているのは国際社会が許していることもある。もっとパレスチナに興味をもって自分のことと思ってくれたら」と話す。 ラクマンさんと共に追悼と抗議行動を呼び掛けた市内に住む大学生、斉藤花さん(25)は参加者を前にマイクをとり「ガザで第一段階の停戦に入ったが、これで完全に殺害や侵略が終わったわけではない。イスラエル軍におびえ、家族と切り離されながら、パレスチナ人の暮らしはとても厳しいものになっている。パレスチナの一人一人の子どもたちに思いをはせてほしい」などと話し、参加者に黙とうを呼び掛けた。 追悼と抗議行動には、つくばインターナショナルスクールに通う高校生5人が参加した。それぞれイギリス、インド、アイルランド、ロシア、バングラデシュにルーツをもつ2年生と3年生で、高2の女子生徒は「子供たちが殺されているのが悲しくて、SNSで追悼と抗議行動があるのを知り、友達や先生に声を掛けて、何かできることはないかと参加した」と話した。(鈴木宏子)

モグラのトンネルとジョウビタキ《鳥撮り三昧》6

【コラム・海老原信一】暖かい日差しに包まれた筑波山の梅林。林の縁に続く、草がきれいに刈り込まれた斜面。その下をゴツゴツした岩に縁どられた沢が一筋流れています。水が勢いよく流れる岩の苔にサワガニがしがみつき、流されまいと頑張っています。 沢筋の低木の枝先には、ジョウビタキのオスが一方向を見つめながら止まっています。何を見ているの?気になって視線の先を追うと、沢筋の斜面の土がモコモコ盛り上がって伸びています。「おっ、モグラだ」。ジョウビタキはこの斜面の一筋になぜ興味があるのか、程なく分かりました。 モコモコ伸びる一筋が小さな崩落を起こし、黒い土がバラバラと落ちています。それにジョウビタキが反応。崩れたところへ飛び、土の中へ嘴(くちばし)を差しこむと、何かをくわえ岩に飛び戻ります。嘴には小さな虫がくわえられていて、数回嘴を動かすとおなかへ。その間もモコモコは伸びていきます。 モグラのモコモコが崩れたら、そこから虫を得られる。何でもないようだけれど、考えると不思議に思います。モグラのトンネルが崩れると虫が出て来るのを、ジョウビタキはどうして知っているのか、推測することにします。 仲間で情報を共有し採餌 偶然モコモコが崩れたところに出くわし、そこから虫が出てきたのを見つけた仲間がいて、仲間たちがその情報を共有し、採餌(さいじ)行動ができたのだと思われます。こういったことは身近にあり、カラス、ムクドリ、セキレイなどが田畑のトラックターの後をついていき、土中から顔を出す虫を食べるのを見た方もいるでしょう。 公園などの草刈りの後、ムクドリやセキレイなどがやってきて、短くなった草の中から虫を捕らえているのも見かけると思います。 ある発見を採餌行動として成立させることを「学習する」と表現したりします。学問的にはもっと複雑な解説があるのでしょうが、一鳥見人が学んだことです。鳥を観察するって面白いものです。(写真家)

女性が働きやすい建設会社へ「取り組み認められた」 つくばの浅野物産

人気ユーチューバーが花の直売イベント つくば市羽成の建設会社、浅野物産(浅野一重社長)の庭・外構展示場「ここちテリア」で、園芸系の人気ユーチューバー古屋悟司さんが主催し、全国から花木生産者が多数集まる花の直売イベント「はなむすび」が11月2日、3日の2日間開催される。 古谷さんは都内で花屋を経営し、ユーチューブのチャンネル登録者数は20万人に達する。「はなむすび」は花がもつ感動や癒しの力を知ってもらうためのイベントで、花の楽しみ方や育て方を知ってもらい、園芸の新しい需要を掘り起こし、コロナ禍以降、園芸から離れてしまった人々を呼び戻すことが狙いという。 イベントではワークショップ、クイズ形式のトークイベント、オークション、質問ブースをなど設け、キッチンカーや地元飲食店も出店する。前回は5月に東京・よみうりランドで催され大盛況だった。今回は家族連れなど1500人の来場者を見込んでいる。 古谷さんは、会場にここちテリアを選定するにあたり、花がたくさんあるのを見て、イベントのイメージとぴったり合うことから会場を決定した。浅野物産の浅野弘美専務は「女性を多く雇用するようになってから会社にガーデナー部門が出来た。そのため選ばれたのではないか」と話し、建設会社として女性が働きやすい職場とする取り組みを重ねてきたことをPRしたい意向だ。 「茨城女性リーダー登用先進企業」に 浅野物産は今年2月、県が推進する2024年度の「茨城女性リーダー登用先進企業 奨励賞」を受賞した。国内の建設業全体では男性就業者が85%を占めるが、浅野物産は社員30人のうち半数の15人が女性だ。女性が働きやすい職場環境づくりに取り組み、女性の管理職登用を積極的に推進していることから表彰された。 建設業ではまれなこの取り組みの場となったのが、9年前に始めた「ここちテリア」だ。当初から女性を多く採用し、子育て中の女性にも対応した柔軟な働き方を目指した。 同奨励賞の受賞は、9年間の取り組みが社会的に認められた証しで、浅野専務は「以前は男性中心の会社だったが、女性目線で経営を考えるといろいろなことが出来るようになった。今後も社会に貢献できることは何かということを念頭に置き事業を展開していきたい」と話す。 浅野物産は1962年に運送会社として創業、68年に建設業を始め、2016年には造園部門のここちテリアを始めるなど、事業の幅を広げてきた。ここちテリアでは理想の庭を展示するほか、敷地内には、ギャラリーや貸スペースもあり、親子リトミックや園芸教室など市民活動も応援している。独自の企画として年に1回「ここちガーデンフェスタ」を開き、コンサートやフラワーマーケットなどのイベントも開催している。来年春には「Seasons(シーズンズ)つくばカフェ」が敷地内にオープンする予定だ。(榎田智司) ◆お花の直売イベント「はなむすび」は11月2日(日)~3日(月)、いずれも午前10時~午後4時、つくば市羽成23-1 ここちテリアtsukubaで開催。入場無料。主催は、はなむすび実行委員会あとりえ亜樹。問い合わせはメールgekihana.official@gmail.comへ。

つくばの夕焼け《ご近所スケッチ》19

【コラム・川浪せつ子】暑く長かった夏もどうにか終わり、やっと秋になってきたようです。忙しい毎日、空を見上げることはありますか? 都内からの帰宅中、高速バスや電車の窓から見える空と筑波山。特に空の大きさに、いつもホッとします。都心ではビルの隙間からしか見えないので、ヤレヤレという気持ちになります。 都内住まいの実家の母がつくばに来るたび、「つくばの空は広いねぇ」と言っていました。子供3人を抱え仕事をしていたそのころ、私は空を見上げる余裕なし。毎日、毎日、子供たちの胃袋を満たすこと、仕事の締め切りのことで頭がいっぱい。そんな私が空を見上げるようになったのは、母もいなくなり、子供たちも手が離れてからでした。 母は60才半ばで余命宣告され、実家と病院がある東京に通わなくてはならなくなりました。つくばエクスプレス(TX)もなかったころで、一番上の子が小学校に入ったばかりで、下の2人は保育所。いろいろなことが重なり、泣く泣く仕事を辞めました。今でいう介護離職? つらいときには空を見るの そのころ、母が入っている病院に行ったとき、「私ね、つらいときには空を見るの」と。都心の病院の窓から見える空は四角で小さかったのですが、母にとっては癒しの空だったのです。2年ほど病院と実家を行き来して、最期の半年は空の見える病室ではなく、狭い2人部屋。終末期には外もほとんど見えない部屋でした。30数年前ですから、まだ緩和病棟などがなかった時代です。 母の年齢を超えた今、空を見上げる時間、心の余裕ができました。つくば周辺は、本当に素晴らしい空が見られますね。特に夕日は、短い間にいろいろな表情を見せてくれます。今回は、つくば市西大沼で描いた絵です。牛久学園線が遠方に見え、まるで天国のどこかのようです(行ったことないけど)。私のイメージも絵に乗せてこんな風に。(イラストレーター)